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2018年02月27日
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「新装版 解体新書」前野良沢 杉田玄白 酒井シズ 講談社学術文庫



刊行時には名前を載せることさえ許さなかった前野良沢の、翻訳に果たした役割は決定的であるとしても、実はこうやって本書を全体的に俯瞰してみると、やはり杉田玄白のプロデュースも「決定的」だったことが判る。

刊行の段取り、読みやすさの工夫だけではなく、中身についても、「注」というのにはあまりにも多くの文章を費やして「解説」あるいは「推論」を述べている。もちろん間違いはある。しかし、それ以上に本書によって「洋学の扉が開かれ、明治維新を準備した」というみなもと太郎「風雲児たち」の主張はその通りだと思うのである。

杉田玄白が眼球の役割を「諸説を調べて」長々と解説している(107ー109p)。正確ではないが、彼らは光線及び眼の光学的知識を全く持っていなかった段階で、ここまで真相に近づいている。そもそもなぜ人は物を見ることができるのか、江戸の人たちは、初めてその合理的な解説に接したのである。その驚きは、幾ばくであっただろうか。

「軟骨」や「神経」など、現代でも使われている数多くの医療用語を発明した。この翻訳を基に、当時の秀才が玄白や良沢のもとに集まり、大槻玄沢、稲村三伯、宇田川玄真などが蘭学及び洋学を発展させる。それ以外の無名の秀才たちが、競ってこの本を写筆したのは目に見えている。

杉田玄白「蘭学事始」に「鼻」の翻訳時に「フルヘッヘンド」を訳するのに苦労してやっと「うずたかし」と訳した、という有名な箇所があるが、実は鼻の説明にその言葉は出ていないというのは、トリビア的な有名なエピソードである。鼻の説明は「中央に隆起し」と書いている。更にトリビア的なことを言えばこの単語は「乳」の説明に使われている。「その形は円くてうずたかい」(128p)

この文庫本では残念なことに、洋画家の開祖・小野田直武の解剖図が所々潰れて不鮮明である。それだけのためではないが、元本の復刻版も安く出ているらしい。1度紐解いてみようと思っている。





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最終更新日  2018年02月27日 13時56分03秒
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