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1月に観た映画は9作品でした。三回に分けて紹介します。
「私は、マリア・カラス」
テーマ作品に選ばれなかったら、永遠に観なかった世界。オペラの歌というだけでなく、音楽全般が苦手。でも、私がカラスの特別な才能を目の辺りにしているのは理解している。
声量が続く人は多いのかもしれない。けれども、表情とともに歌える人は多くは無い。と思う。
大きな目玉と、大きな口、そして巨大な鍵鼻。宮崎駿アニメに出て来る魔女そっくりの特徴的な迫力ある顔から、この世のものとは思えない音楽が発せられる。人類は、そういうものに、数十万年間反応して来たのかもしれない。
(解説)3年間かけて世界を回り、マリア・カラスの友人たちを探し出しました。彼らは誰も見たことのない数多くの資料を保管していて、それらはマリア・カラスのとても個人的な記録でした。自叙伝と400通を超える手紙を読み終えた時に、やっと見えてきた〈マリア・カラスの姿〉が映画の最も重要な部分になることを確信しました。またその過程で、楽曲に関しても、観客によって撮影されたコンサートやオペラの映像をはじめ、幸運にも、これまで聴いたことのない数々の録音にアクセスできました。
今回、彼女と親しかった数え切れないほどの人々に会いましたが、彼女自身の言葉ほど強く、印象的な証言はなかったので、映画の中に他の人の証言はほぼ入れず、彼女の言葉だけでつなぐことを決めました。
彼女が書き残した言葉が世に出るのも、多くの真実が明かされるのも初めてなので、本作では、彼女の熱狂的なファンさえも知りようのなかった〈マリア・カラス〉が見られます。ライトを浴び、特別な運命を辿ったレジェンドの影に隠れていた〈一人の女性〉について、きっと深く理解していただける映画になったとおもいます。
―監督:トム・ヴォルフ2019年1月2日
シネマクレール
「鈴木家の嘘」
予想とは違って、冒頭のお母さんの作るお昼ご飯が丁寧で、そこからこの作品いいんじゃないの?とお家族全員の「演技」に「嘘」が全然感じられなかった。
唯一の「嘘」と思えるのは、ピッタリタイミング良く現れる何回かのコウモリ君であって、他は自殺された家族の有り方を丁寧に丁寧に写し取ったと思う。
自殺された家族は基本的に救われない。人に語ることが1番大きな癒しになる。お母さんと妹には、その道はあったが、お父さんにはない。だけど、お父さんは忘れる能力があるだろう。結果、自殺する人に直前に見せると逆効果だろうから、10年前に観て欲しい。無理かな(^^;)。
妹の富美を演った木竜麻生は、表情は少ないけど、時々爆発する役柄であり、新人ながら力演だったと思う。途中から、すっかり「妹」にしか見えなかった。
リアルなのに、そこかしこで観客を笑わし、泣かせもする見事な脚本。この作品が賞レースに絡まないならば、その賞レースは信用しない。
(解説)鈴木家の長男・浩一がある日突然この世を去った。ショックのあまり記憶を失った母のため、遺された父と長女は一世一代の嘘をつく。「引きこもりだった浩一は家を出て、アルゼンチンで働いている」と。父は原宿でチェ・ゲバラのTシャツを探し、娘は兄に成りかわって手紙をしたため、親戚たちも巻き込んでのアリバイ作りにいそしむ。すべては母の笑顔のためにーー!母への嘘がばれないよう奮闘する父と娘の姿をユーモアたっぷりに描きつつ、悲しみと悔しみを抱えながら再生しようともがく家族の姿を丁寧に優しく紡ぐ感動作。家族の死と、そこからの再生という重厚なテーマを心に沁みいるハートウォーミングな喜劇に仕立てた、まったく新しい家族映画の傑作が誕生した。
鈴木家の家長・幸男役に岸部一徳、母・悠子役に原日出子、引きこもりの長男・浩一役に加瀬亮が扮し、いずれも見事な演技を披露するほか、瀬々敬久監督作『菊とギロチン』で主演の女力士を演じ注目された新星・木竜麻生が長女・富美を演じ、瑞々しい輝きを放つ。そのほか岸本加世子や大森南朋ら演技派が個性的なキャラクターの親族を魅力的に演じ、画面を明るく彩る。 『滝を見にいく』(沖田修一)、『恋人たち』(橋口亮輔)などを生み出した松竹ブロードキャスティングのオリジナル映画プロジェクト第6弾となる本作は、橋口亮輔(『恋人たち』)、石井裕也(『舟を編む』)、大森立嗣(『セトウツミ』)ら名匠たちの助監督を務めてきた野尻克己の監督デビュー作。脚本も、監督が自身の経験を基に手がけたオリジナルで、家族の再生をあたたかなユーモアで包みこんだ物語は岸部一徳ら名優たちをもうならせ、出演を快諾させた。
2019年1月6日
シネマ・クレール
★★★★
「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」
原作との差異を確かめたくなった。親や叔父さん叔母さんの死に際を看取った事はあるけど、老人介護の現場で仕事しているけど、まるきり違う介護の現実がありそうだ。やはり体験してみないことには、わからない事は多そうだ。
最初の頃の高畑充希の「この人、何様⁈」と思っている表情に説得力あって、良かった。大泉洋の鹿野さんそのモノのような演技に、もしかしたら彼の代表作になるかもしれない説得力を感じた。
感動押し売りにならずに、きちんと笑わせる。こういう映画は貴重である。ただし、テーマが「ボランティアから見た障害者」であり、決して「障害者から観た障害」ではない。そこには、まだまだ描かれない事は多いと思う。また、NPO法人の運営者である萩原聖人、渡辺真起子、宇野祥平の本当の活動は省略されていて、ボランティアの本当の姿もまだまだ描かれてはいない。また、そこを描いていいのか、どうかも私には判断できない。
(解説)
鹿野靖明、34歳。札幌在住。幼少の頃から難病の筋ジストロフィーを患い、体で動かせるのは首と手だけ。人の助けがないと生きていけないにも関わらず、病院を飛び出し、風変わりな自立生活を始める。自ら大勢のボランティアを集め、わがまま放題。ずうずうしくて、おしゃべりで、ほれっぽくて!自由すぎる性格に振り回されながら、でも、まっすぐに力強く生きる彼のことがみんな大好きだった―。この映画は、そんな鹿野靖明さんと、彼に出会って変わっていく人々の人生を、笑いあり涙ありで描く最高の感動実話!
実在した人物・鹿野を演じるのは、同じ北海道出身の俳優・大泉洋。減量で最大10キロ痩せるなどの容姿面を似せるだけでなく、彼の人間的な魅力をユーモアたっぷりに体現する。鹿野に反発しながらも、少しずつ心を開いていく新人ボランティアの安堂美咲役には、高畑充希。何も知らない感情豊かな女の子が、鹿野の最大の理解者へと成長していく姿を、伸びやかに演じる。その美咲の恋人で医大生の田中久を演じるのは、三浦春馬。将来や恋に悩みながらも、鹿野と触れ合う日々を通じて変わっていく青年を、繊細に演じる。その他、萩原聖人、渡辺真起子、宇野祥平、韓英恵、竜雷太、綾戸智恵、そして原田美枝子と、本格派・個性派キャストが勢揃い。佐藤浩市も友情出演し、豪華な俳優陣が脇を固める。
監督は『ブタがいた教室』『ドルフィンブルー フジ、もういちど宙へ』など、デビュー以来「命」と「生きること」をテーマに映画を創り続ける前田哲。原作は、第35回大宅壮一ノンフィクション賞と第25回講談社ノンフィクション賞をダブル受賞した渡辺一史の名著「こんな夜更けにバナナかよ 筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち」。実際に鹿野靖明さんが暮らしていた札幌や、美瑛・旭川などのオール北海道ロケで撮影が行われた。
誰もが見たことのない力強い人生に、生きる力と希望が溢れ、笑いと涙が止まらない!この冬、最高の感動作が誕生します。
(ストーリー)
北海道で医大に通う田中(三浦春馬)は、ボランティア活動を通じて体が不自由な鹿野(大泉洋)と出会う。鹿野は病院を出てボランティアを募り、両親の助けも借りて一風変わった自立生活をスタートさせる。ある日、新人ボランティアの美咲(高畑充希)に恋をした鹿野は、ラブレターの代筆を田中に頼む。ところが美咲は田中の恋人だった。
(キャスト)
大泉洋、高畑充希、三浦春馬、萩原聖人、渡辺真起子、宇野祥平、韓英恵、竜雷太、綾戸智恵、佐藤浩市、原田美枝子
(スタッフ)
監督:前田哲
脚本:橋本裕志
音楽:富貴晴美
原作:渡辺一史
2019年1月7日
Movix倉敷
★★★★
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