曲目 1. Castellorizon 2. On An Island 3. The Blue 4. Take a Breath 5. Red Sky at Night 6. This Heaven 7. Then I Close My Eyes 8. Smile 9. A Pocketful of Stones 10. Where We Start
【アルバム収録曲について】
1.Castellorizon
一曲目からインスト曲を配しているが、これはこの後の二曲目と事実上一体となっている構成だ。イントロからギルモアのギターが入り、「あ~、フロイドだな~」と思わせてくれる憎い展開だ。物静かなインスト曲だが心に染みて聞いていると、二曲目に入りギルモアのヴォーカルが聞えてくる。
2.On An Island
何時の間にかタイトル曲である二曲目に入っている展開は、この曲が前曲を含めて一つの曲であると認識できる。ギルモアのヴォーカルはまるで聞いていると時間の経過を感じさせない何かがある。ラストは彼のギターが消え入るようにF.O.していく。 デヴィッド・クロスビーとグレアム・ナッシュがヴォーカルで、リック・ライトがハモンド・オルガンの演奏で加わっている。 3.The Blue
前曲の流れを引き継いだかのような一曲。全体的に落ち着きと浮揚感を感じる曲調であるが、ギルモアのギターはそこにメリハリを付けているのでただ単に落ち着いて曲に終わらせないのは流石だ。リック・ライトがヴォーカルで加わっている。
曲調はロック調ながらもメロディ・ラインやギルモアのヴォーカルには、ポップな味も感じさせる。しかしそこはギルモア、ただ単にポップなナンバーで終わらせない演奏面の工夫(ギターソロ)が成されている。ライヴで演奏すれば受けそうなナンバーだ。
5.Red Sky At Night
ギルモアのプレイするサキソフォンで始まるのには驚いた。彼ってサックス演奏出来たって知りませんでしたよ。インスト曲であるが間髪を入れずに次の曲へと繋がる。
6.This Heaven
前曲から続く形で入るナンバーで、ギルモアはアコギも弾いているようだ。バックにはジョージー・フェームがハモンド・オルガン、フィル・マンザネラがキーボードで加わっている。この三者一体となった演奏とギルモアのギターソロの絡みは圧巻なのと、ドラムスの使い方がチョッとユニークなナンバーだ。
7.Then I Close My Eyes
再びインスト曲になるが、どことなく英国トラッド風なアレンジに終始している。ロックの演奏というよりはイージーリスニングをどこか思わせる雰囲気だが、このムードは英国人アーティストでないと出せない「音」だと思った。
8.Smile
ギルモアのアコギで始まる静かな雰囲気を感じさせる。バックにはアルバム中6曲で共作しているポーリー・サムソンが控えめにヴォーカルを付けている。タイトルが「スマイル」だが彼なりに「笑顔」を思い浮かべて歌っているようだ。ここではドラムス以外の演奏はギルモアが全てこなしている。 アコギの音色と曲調が見事に共存している素敵なナンバーだ。 9.Pocketful Of Stones
透明感のあるピアノの音色に惹かれてギルモアのヴォーカルがソフトに進むナンバー。演奏はピアノが全体をリードする形でギルモアのギターソロもバックの演奏と見事に噛み合っている。
10.Where We Start
8と同様にドラムス以外の演奏は全てギルモアが担当している。ヴォーカリストとしては彼独特の味わいと渋さを感じさせるし、演奏者としては本職の弦楽器と友に鍵楽器も打楽器もこなせる多彩さをここでは感じてもらいたい。最後は彼のギターがF.O.して終わる。