うたのおけいこ 短歌の領分

うたのおけいこ 短歌の領分

February 17, 2007
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カテゴリ: ものぐさ枕草子庵
清少納言 枕草子 初段

春は、あけぼの。
だんだん白んでゆく山際が少し明るくなって、紫がかった雲が細くたなびいたの(が、すてきね)。

夏は、夜。
月の出ている頃は言うまでもないわね。
闇夜もなおさらね。
蛍がたくさん飛び交っているの。
また、たった一匹二匹などがほのかにぼんやり光っていくのも、すてき。
雨なんか降るのも、すてきね。

秋は、夕暮。
夕日が射して山の頂きに近づいたところへ、烏が寝床へ帰ろうと、三つ四つ、二つ三つなど急いで飛んで行くのさえ、しみじみする。
まして、雁なんかの連なったのが、とても小さく見えるのは、すっごくすてき。
日が入り果てて、風の音、虫の音(ね)など、もう、言葉では言い表わせない。

冬は、早朝。
雪が降ったのは、言葉にできないわ。
霜がとっても白いのも、またそうでなくても、すごく寒いので火など急いで熾(おこ)して、炭を持って(廊下などを)渡っていくのも、とってもハマっている。
昼になって、気温が暖かく緩んでくると、炭櫃(すびつ)、火桶の火も白い灰がちになって、ダサいのよね。

(拙訳)



やうやう白くなりゆく山ぎは少し明りて、紫だちたる雲の細くたなびきたる。

夏は、夜。
月の頃はさらなり。
闇もなほ。
蛍の多く飛び違ひたる、また、ただ一つ二つなどほのかにうち光りて行くも、をかし。
雨など降るもをかし。

秋は、夕暮。 
夕日のさして、山の端いと近うなりたるに、烏の寝どころへ行くとて三つ四つ二つ三つなど、 飛び急ぐさへ、あはれなり。

日入り果てて、風の音、虫の音など、はたいふべきにあらず。

冬は、つとめて。
雪の降りたるは、いふべきにもあらず。霜のいと白きも、また、さらでもいと寒きに、火など急ぎ熾して炭もて渡るも、いとつきづきし。
昼になりて、温くゆるびもていけば、炭櫃、火桶の火も白き灰がちになりて、わろし。





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Last updated  February 18, 2007 10:12:57 AM
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くまんパパ @ 体に気を付けて、のんびり行きたいですね やすじ2004さん、いつもありがとうござい…
やすじ2004 @ Re:松任谷由実  ハロー、マイ・フレンド(08/16) お元気ですか 今日も湿度が高い一日でした…
くまんパパ @ 男と女の契り 七詩さん、いつもありがとうございます。 …
くまんパパ @ 新仮名づかいの悲劇ですかね、旧仮名に変更します(^^) 七詩さん、いつもありがとうございます(^^…
くまんパパ @ 短歌では、ありですね(^^) 七詩さん、そうですね、同感です。 私も…
七詩 @ Re:ニヒルなれども面白し(06/08) くまんパパさんへ あの「世の中にたえて…
くまんパパ @ ニヒルなれども面白し 七詩さん、いつもありがとうございます(^^…

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