うたのおけいこ 短歌の領分

うたのおけいこ 短歌の領分

March 9, 2010
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カテゴリ: 現代短歌の曠野
紀野恵(きの・めぐみ)

晩冬の東海道は薄明りして海に添ひをらむ かへらな


第一歌集「さやと戦げる玉の緒の」(昭和59年・1984)

冬の終わりの東海道は

帰ろう。


第一歌集の劈頭に置かれ、そのまま作者の代表作となった名歌。

これを詠み発表した時、作者が10代の少女だったという驚愕の事実とともに語られ、多くの歌詠みを絶望の淵に呻吟させている。

明らかに天賦の才女である作者が、かけまくもかしこくも怖ろしいこともあり、このブログでは彼女の作品をあまり引用していないが、僕は密かに自作で、分からない程度にパクれるところはちゃんとパクっている

なお、歌壇の対談などを読むと、本人はなかなか豪快な気性の女丈夫のようである。

3~5句が、「薄明り/して海に添ひ/をらむ かへらな」と大胆な句跨りと精緻な韻律を構成している。

(かへら)な:「・・・しよう」。活用語(この場合は、動詞「帰る」)の未然形に接続して、話者の意志を示す上古語終助詞。万葉集に頻出する。おそらく、奈良時代当時の口語だったのだろう。





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Last updated  June 21, 2010 05:16:12 PM
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くまんパパ @ 体に気を付けて、のんびり行きたいですね やすじ2004さん、いつもありがとうござい…
やすじ2004 @ Re:松任谷由実  ハロー、マイ・フレンド(08/16) お元気ですか 今日も湿度が高い一日でした…
くまんパパ @ 男と女の契り 七詩さん、いつもありがとうございます。 …
くまんパパ @ 新仮名づかいの悲劇ですかね、旧仮名に変更します(^^) 七詩さん、いつもありがとうございます(^^…
くまんパパ @ 短歌では、ありですね(^^) 七詩さん、そうですね、同感です。 私も…
七詩 @ Re:ニヒルなれども面白し(06/08) くまんパパさんへ あの「世の中にたえて…
くまんパパ @ ニヒルなれども面白し 七詩さん、いつもありがとうございます(^^…

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