うたのおけいこ 短歌の領分

うたのおけいこ 短歌の領分

July 28, 2021
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カテゴリ: 万葉恋々
鰻蒲焼.jpg






痩せたる人を わら へる歌

石麻呂 いはまろ われ まを
  夏痩せに良しといふものぞ むなぎ 取り



万葉集 3853

痩せた人を笑った歌

(その痩せこけた姿を見るにつけ)
石麻呂に友としてあえて僕は物を言う。
夏痩せに良いというものだぞ。
ウナギを取って召し上がれ。


石麻呂 いはまろ :大伴家持の親友。石麻呂は字(あざな、通称・ニックネーム、おそらく幼名か)。成人名、吉田連老(よしだのむらじおゆ)。

鰻(むなぎ):「うなぎ」の古語。語源は「胸黄」といわれる。天然ウナギを見ると、ビタミンA(カロテン)系の栄養素の色だろうか、確かに胸が黄色い。

今日は土用丑の日。
よく鰻料理店の壁などに、この歌を刷り込んだポスターが貼ってあったりする。
こういった万葉集の「戯咲歌・戯笑歌(ぎしょうか)」の数々は、近世の「狂歌」の源流となり、江戸の知識人であった平賀源内は当然知っていただろう。土用の丑の日にウナギを食すという食習慣(恒例行事)を創始した源内の発想は、この辺りから生み出されたと思われ、幕末以降一気に定着した。

なお、ウナギは古くは筒切りまたは丸刺しの串刺しで、焼いて食べたものと考えられる。その形が「蒲(がま、かば)の穂」に似ていることから、「蒲焼」の名が付いたという説が有力。

「蒲焼」という単語の初出は、いわゆる現在言う形の蒲焼になった江戸中期を遥かにさかのぼる室町時代の1399年(応永6年)の「鈴鹿家記」という本であることも、この傍証となる。

ちなみに「蒲鉾」も同様な語源で、原型は今でいう「竹輪」のようなものである。形だけで言えば「きりたんぽ」なども似ている。



200px-PD-icon_svg.jpg creative commons.jpg   ウナギ  蒲焼

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Last updated  August 1, 2021 08:42:09 PM
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くまんパパ @ 体に気を付けて、のんびり行きたいですね やすじ2004さん、いつもありがとうござい…
やすじ2004 @ Re:松任谷由実  ハロー、マイ・フレンド(08/16) お元気ですか 今日も湿度が高い一日でした…
くまんパパ @ 男と女の契り 七詩さん、いつもありがとうございます。 …
くまんパパ @ 新仮名づかいの悲劇ですかね、旧仮名に変更します(^^) 七詩さん、いつもありがとうございます(^^…
くまんパパ @ 短歌では、ありですね(^^) 七詩さん、そうですね、同感です。 私も…
七詩 @ Re:ニヒルなれども面白し(06/08) くまんパパさんへ あの「世の中にたえて…
くまんパパ @ ニヒルなれども面白し 七詩さん、いつもありがとうございます(^^…

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