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芙美花、道端で摘んだ小花を手に。それを見つめながら、「それから…。おとうさんと私の生活が始まった。…って言うか、私が何とか、立ち直るまではおばちゃんが…。はは。」そして芙美花、「あっ。はは。」真鍋を見て、「バセット。…うんうんうん。バセットにも助けられた。ウチの愛犬。」瞬間、芙美花、眞鍋を見て、「あ、ごめんなさい。バセットの事。」眞鍋に申し訳なさそうに。睦美、そんな芙美花に、首を振って、「ううん。」睦美も前を向いて、「でも…。さすがに…。…昔の、子供の時の、あの時が…。」芙美花、眞鍋を見て、「犬に噛まれた。」睦美、コクリと。「早くにね。病院に行ったのが幸い。時間が遅かったら。」顔を左右に。「だから…。あれからは、今まで。小さな犬を見ただけでも…。自然に体が…。シャットアウト。」芙美花、そんな眞鍋を見て、「おとうさん、トラウマって…。」睦美、その声にコクリ、「うん。…だからかな~~。」息を吐いて、吸って、「自然に、あんまり外には…。」近くの公園に辿り着いていた。そこのベンチでふたり。芙美花、「ここから、あと10分くらいのところに、ヨシカワ音楽教室があるんです。」その声に睦美。目を真ん丸に。あちこち見回して、「あ、そっか~~。あ~~。うんうんうん。確かに~~。ヨシカワに近いって~~。」芙美花、眞鍋に。「眞鍋さん。」睦美、芙美花を見て、「うん…???」「おとうさん、眞鍋さんたち、きっと、大切な人たちって思ってる。…まっ、確かに。会社がリモートになって、前みたいに、会社に行く訳じゃないから。…あまり、出掛けなくなった。…って言うか、私も、家におとうさんがいてくれると、何だか、不思議に安心できるって…。」睦美、そんな芙美花に、「うんうん。分かる気がする。…家にいても、仕事はしてるんだもんね。」芙美花、眞鍋に顔をコクリと。「うん。コロナになって、ウチは変わったのかも…。」僅かな沈黙。芙美花、「眞鍋さん。」睦美、「うん…???」芙美花、眞鍋を見て、「バセット。好きになってくれたら、嬉しい。」睦美、困ったようにも、何とか笑顔で、「あぁ~~。」脳裏に現れた晄史、「…克服しないと。」睦美、思わず顔を下に。そして膝の上で両手を握り、「ん~~~。」芙美花、「私が~~。小さかった頃かな~~。もぅ~~。その時にはバセットはいた。はは。あの頃…。…って言うか~~。幼稚園の頃なんて、かなりバセットにやんちゃしてた。バセットに負ぶさってねぇ~~。もぅ~~。いっつもバセットと一緒で…。バセットに凭れて寝てたな~~。…って言うか、私…。ほら。ひとりっ子だから。」睦美、その声に、コクリと。「あ~~。うんうんうん。」「だから。尚更ね~~。ははは。バセットってほんと、全く吠えたりしない。抱き締めるともぅ~~。ほっぺをペロペロ。」そこまで言って芙美花、「でも…。今じゃ、麻沙美だけどね~~。…もしかしたら、バセットも、懐かしいんじゃないかな。あの頃の私が戻ってきた。みたいな。」そして芙美花、眞鍋を見て、「だから。バセットは絶対に、人を怖がらせない。それだけは自信を持って言える。…っというかぁ~~。私の。」口を搾って、「ん~~~。私の…、おねえさん…???」顔を傾げて。睦美、芙美花を見て、「あの犬…、メス…???」芙美花、目をパチクリと、「うん。そうだよ。」「へぇ~~~。」芙美花、「はは。暗くなるのが早い。…帰りましょうか。」睦美、「ですね。」家の前まで。カーポートに車が…。芙美花、「あ。おばちゃん。」睦美、「木守…さん。」「うん。」睦美、車を見て、「…と、言う事は~~。レッスン。」芙美花、「終わったみたいですね~~。」芙美花、ドアを開けて、「ただいま~~。」リビングで耀司、「おっ。帰ってきた。」汐梨、キッチンで、「うん。みたいね。」麻沙美が玄関に、「キャハハハハハ。」駆け足で。そして、玄関のフロアにしゃがむように滑りながら、「おかえり~~。」芙美花、「はは。ただいま~~。」睦美も、ニッコリと。「こんにちは~~。」そのまま麻沙美、また起きて駆けながらリビングに。キッチンから汐梨、睦美に、「はは。こんにちは~~。ささ。どうぞ。うん。」ニッコリと。睦美、ペコリと。「お邪魔、しま~~す。」耀司、内心、心臓がドキドキ。そして…、芙美花と睦美、リビングに。耀司、ニッコリと。「ども。」睦美、高井戸に、「さっきは…。」鼓動が高鳴ってはいる。耀司、その声に顔を左右に、そして右手をヒラヒラと、「いえいえ。」既に麻沙美はバセットに凭れて絵本を。睦美、口の中の物をゴクリと飲み込むように。バセットに凭れている麻沙美を見て睦美、僅かに目を潤ませて。けれども…。汐梨が、睦美に、「はい、どうぞ~~。」コーヒーを。そして、「ごめんね。インスタントしかなくって。」汐梨、申し訳なさそうな顔で。睦美、その声に恐縮そうに、「あ、いえいえ。」 ママでいい…。 vol,127. 芙美花、眞鍋を見て、「あ、ごめんなさい。バセットの事。」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2024.11.27
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睦美、いきなり…。体を…。そして…。頭の中で…。「…やっぱりだめ。」急ぎ足で玄関に。耀司、そんな睦美に、「睦美さん。」芙美花、慌ててキッチンから。そして父に、「おとうさん。私が。」耀司、芙美花に、「う、うん。」睦美、既に玄関で靴を履いてうずくまっている。そんな睦美に芙美花、「ま、なべ…、さん。」その声に睦美、「あ、あ。あ~~~。ごめんなさい。私…、また…。」芙美花、体をくの字にして両手を腰で結んで、顔を睦美に近づけるようにして…。そして、ニッコリと。「少し、歩きませんか…???」睦美、顔を僅かに右に。「え…???」芙美花の顔を見て、「…えぇ…。」芙美花、上体を起こしてリビングに向けて、「おとうさ~~ん、ちょっと歩いて来る~~。」その声に耀司、リビングから、「お、おぅ。」そしてゆっくりと玄関に。そして睦美に、「だい…じょうぶ…???」睦美、「え、えぇ~~。」頭をコクリと。そして…、「ごめんなさい。」芙美花、ドアを開けて…。そして父にコクリと。耀司も、コクリと。芙美花と睦美、アプローチを…。そして…。芙美花、「眞鍋さん。お花、ありがとうございます。」睦美、「え、え~~~。」「それから…。」「えっ…???」芙美花、ニッコリと。「お見舞い、ありがとうございます。」その声に睦美、「あ。あ~~。いいえ。…私の方こそ。高井戸さん、いなかったら、私なんて、今、こうやっては…、いられなかったと思うから。」芙美花、そんな声に、両手を組んで前に、後ろに。「はは。…ですよね~~。」前を向きながら、「叔母が言ってました。さすがは黒帯だって。」睦美、そんな芙美花を見て、「えぇ。その話、高井戸さんからも…。…と、言うか、木守さんから…???…話しを…。だったような。」「子供の頃に~~。映画を観て…。」瞬間、「あれ…???…合気道だったかな~~。空手…???」顔を傾げて…。そしてクスクスと。「はは。忘れちゃった。…でぇ~~。単純な話。たったそれだけで~~。教室に入った~~。でぇ~~。何でか、とんとん拍子に~~。黒帯~~。」睦美も、「うんうんうん。そんな風に聞いてます。」「もしかしたら~~。」芙美花。そんな芙美花の声に睦美、「うん…???えぇ…???」「おとうさん。自分の大切なもの、増えたって、思っているの、かも…。」その声に睦美、芙美花を見て、「えっ…???」「おとうさんって~~。」芙美花、前を見て歩きながら、「あぁ見えて~~。物凄い単純。そして優柔不断。」睦美、「うそ。」芙美花、その声に、顔を左右に振って、「ううん。ほんと。前に、おかあさんがいきなり倒れて、入院。その時なんて酷かった。おとうさん、あぁ見えて、物凄い単純だけど、物凄い責任感もあって、私に迷惑掛けたくなかったんじゃないかな~~。自分から進んで料理を。」瞬間、睦美、芙美花を見て、「うそ。家事出来ないって。」芙美花、顔をコクリと、「はい。出来ません。…なんだけど~~。変に正義感。…と、言うか、責任感…???…感じたん。だろうと思う。会社休んで、おかあさんに付き添って、そして帰って家で食事の…。それが…。」眞鍋にぷ~~たれた顔をして、「もぅ~~。キッチンやらリビングのテーブル、ぐっちゃぐちゃ。私、学校から帰って、それを見て、おとうさんに、大声で、何よこれっ!!!って、怒鳴り散らした事あった。」睦美、「えへぇ~~~???」「おとうさん。私に申し訳なく、ごめん。何とか、やろうと思ったんだけど…。私に。そして次に、体を曲げるように私に、本当に申し訳ない。ごめん。」睦美、黙って芙美花の話しを。芙美花、「私。私もね。いきなりおかあさんが乳癌になって。あ。眞鍋さん、私のおかあさん、乳癌だって…。」睦美、「えぇ。…高井戸さんから。」芙美花、「私もパニクってたんだよな~~。」空を見ながら。「いきなり学校で先生から、芙美花さん、すぐ病院に。おかあさんがって。スマホ、開けてみたらおとうさんから3回も電話が。スマホ、電源切ってたから。…それからだよね。おばちゃんが家事、手伝ってくれて…。それから私にバトンタッチ。」睦美、「うんうん。」「おばちゃん、おとうさんとはあんまり口、利かなかった。家事出来ないから。…って言うか、ひとりにしておこうって。芙美花には私がいるけど…。兄さんには…。…まっ。当然、芙美花がいるけど…。お義姉さんがこんな事になって。そして…。何か月か…。おかあさんが…。あの時は。」芙美花、目をパチクリと。「あの時は、私が…。完璧に参ってた。…なんだけど…。おとうさんは…。」芙美花、思わず自分の頬に手を。鼻を啜って。涙が零れていた。「とにかく、おとうさん、私の事、毎日、心配で…。それに…。おばちゃんがいてくれた。後で話を聞いたけど。おとうさん、覚悟はしていたって。さすがに、黒帯の精神だよ。私なんて全然。」 ママでいい…。 vol,125. 頭の中で…。「…やっぱりだめ。」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2024.11.26
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誓、「へぇ~~~。こういうワンちゃんなんだ~~。めっちゃくちゃ可愛い~~。耳がおっきくって長~~い。しかも、垂れてるのがまた可愛い~~。ほんと、大人しそうで、人懐っこそう~~。」暁美、「ははははは。睦美の腕を噛んだ犬とは大違い。」ソファから睦美、「だから~~。その話はやめて~~。」その声に暁美、鼻の下を伸ばして舌をチロリと、「怒られた~~。」夜の9時を過ぎようとしている。耀司のスマホにライン通話の電子音。左手はまだ使えないが、右手で仕事の最中。「ふん…???」そして画面を見ると、「えへ…???…うそ。」3回のコールで通話に。そして右手で持って右耳に、「はい。高井戸です。睦美さん…???」スマホから、「もしもし。高井戸さん…???…睦美です。」睦美、鼓動が高鳴る。部屋着でベッドに腰掛けたままで。耀司、「あ。はい。高井戸です。」睦美、心臓はバックンパックン状態。「あの。…今日は…。申し訳ありませんでした。」スマホを耳に、深く頭を下げる睦美。スマホから高井戸の声、「あ、あ~~~。あ、いや…。…と、言うか。…あの…。僕も、申し訳ありませんでした。」睦美、一瞬、「えっ…???」耀司、パソコンの画面を見ながら。「あ、いや…。家に、犬を飼っているなんて、一言も言わないで。しかも…。中型犬で、ちょっと、大きいので。」その声に睦美、「あ、あ、あ~~。はい。」スマホから、「ごめんね。いきなりだったから、ビックリしちゃったよね。はは。」睦美、「あ、あ~~。はい。」高井戸の声、「あ、いや。ビックリなんてもんじゃないよね~~。僕の方こそ、申し訳なかった。はは。反省してます。」そして、「はは。…だから、汐梨にも怒られる。」睦美、スマホを耳に、「怒られる。…反省してるって…。」目をパチクリと。耀司、思わず顔を上に、「あ、いやいやいや。ははは。…こっちの話しで…。」「あの。」いきなり睦美。ハッキリとした口調で。耀司、その声に瞬きして、「あ。はい。」睦美、目を閉じて、ゆっくりと息を吐いて。吸って。今度はふたり同時に。「あ、あの…。」「あの。高井戸さん。」耀司、その声にまた、「あ。はい。」「明後日。」耀司、僅かに顔を傾げて、「あ、明後日。」睦美、「あ、はい。…あさって…。…あの。…もう一度…。…お邪魔しても。」耀司、その声に、「え…???…はっ…???」睦美、まだまだ鼓動は高鳴っている。そして、今度は、「明後日、またお邪魔しても…。」「あ、あぁ~~。」耀司。「あ、あ、はい。」部屋のカーテンを見て。「え、え~~~。べ、別に…、構いませんけど…。…でも…。」睦美、口の中の物を飲み込んで、「あ、ありがとうございます。」耀司、「あ、あの…。…でも…。ウチには…、犬が…。」睦美、「えぇ。…分かってます。」少し間を置いて…。耀司、スマホに、「だ、大丈夫…、ですか…???…晄史さんから睦美さん。…犬の事を…。」「えぇ。…でも。…このままじゃ…。」最後の語尾は小さく。耀司、僅かに眉間に皺を。「…このままじゃ…???」睦美、スマホに、「あ。いえ…。明後日。…お邪魔します。」「あ、はい。」耀司。「わ…かりました。お待ち…、しております。」汐梨、麻沙美を連れてヨシカワ音楽教室に。ママ友たちとも鉢合わせ。そんなママ友たちから汐梨、「ねね、木守さん。麻沙美ちゃんのおじさま。…って…???」その声に汐梨、思わず。…けれども、「はは。あん。えぇ~~。実は、脚をちょっと、怪我しちゃってて。」その声にママ友、「あらまぁ~~。…道理で~~。…顔を見せないから心配しちゃって~~。」汐梨、何とか作り笑顔を。「はははは。ご心配頂き。」事務局員にも、「こんにちは~~。」講師のスケジュールで、遅い時間で始まった今日。睦美、事務局員たちに挨拶をして、「お先に失礼します。」事務局員たち、「おつかれさま~~。」睦美、フラワーショップに寄り…。高井戸家の玄関のチャイムを。学校から帰って来ている芙美花、「あ、来た。」捻挫は殆ど回復。けれども用心で松葉杖を。耀司、芙美花に、「あ、おとうさん出るよ。」芙美花、「うん。」足取りは軽くなっている。芙美花、モニターに、「は~~い。」モニターから睦美の声。「眞鍋です。」芙美花、「空いてます。どうぞ~~。」耀司も玄関で、「空いてますよ。どうぞ。」ドアが開く。そして…。睦美、高井戸の前でお辞儀をして、「こんにちは。先日は…。」耀司、ニッコリと。「まま。どうぞ。」睦美、花束を持ったままで靴を…。そしてゆっくりとリビングに。鼓動は高鳴っている。リビングに入るや否や、「高井戸さん、これ…。」花束を…。耀司、振り返って、「ああ。はは。うん。ありがとう。芙美花~~。」キッチンから芙美花。「あ、は~~い。」花束を受け取って、「ありがとうございます。」そして、睦美。リビングの定位置の犬を。 ママでいい…。 vol,124. 「…あの。…もう一度…。…お邪魔しても。」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2024.11.25
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暁美、「この日本にいて…。かれこれ15年。おまえ、一度だって日本人の友達。」そこまで言って暁美、「まっ。ひとりの男性を好きに。…けど…。それだって~~。残念なことに。」晄史、「かあさん。」誓、瞬きして、「お義母さん、お義姉さんの…。その…。」鳩が豆鉄砲を食ったような顔をして誓。そんな誓に暁美、微笑みながらも、「はははは。私が知らないとでも~~???…知ってるよ。睦美のかつての…。」そして暁美、「まぁね~~。子供じゃないんだから、恋人を失って、何日も塞いで…。な~~んて事はなかったから。…けどね~~。毎日が、辛そうで…。」暁美、睦美を見ながら、「たった、一言だったね~~。大事な人、死んじゃった。まっ。あの時は、私も、抱き締めるしかなかったよ。…どうする事も出来なかった。」晄史、「かあさん。」ソファに座ったままで暁美、「今度はあんたかいって、思ってね~~。」その声に誓、「あ~~~。うんうん。晄史から聞いたけど、韓国での…。」暁美、「父親もね~~。…どうしてだか、私もおまえも、男運には…。」瞬間、晄史、「かあさん。…そんな…。男運って…。」睦美、ポツリと。母を見て、「かあさん…。」けれども暁美、「まっ。仕方がない。とにかく、過去は過去。ただ、私は、かあさんは、あんたたちに、かあさんみたいにはなって欲しくない。2度も自分の夫を失ったなんて…。」そして暁美、「とにかくだ、睦美。あんた。…高井戸さん、大事にしな。」睦美、母を見て、「えっ…???」暁美、ソファにどっぷりと背中を。「いい人じゃないかぁ~~、高井戸さん。まっ。確かに、あんたよりは一回りも上。それに、娘さんもいるって。…けど、まぁ~~。今の世の中、そんなのは別に~~。いろんなスタイルはあるんだ。とにかく、要は、いい人に巡り合えたかどうか。…それに、あんた。睦美。昔っから。子供の頃からそうだよ。とにかく、あんまり自分の事は話さない。…と、言うか、口下手。私はね。その事がとにかく心配。音楽教室でもどんな風なのかは分からないけど。この前、高井戸さんが来た時も、専ら話してたのは晄史。」睦美、晄史、誓は黙って聞いている。誓、晄史を見て、「ま、まぁ…。」晄史も誓を見て、「確かに。…でも、僕らは話をしないと…、仕事にならない。」そして…。「まっ。姉さんの場合は…。」そこまで言って晄史、「ん~~。…でも、それは。…姉さんの…。まぁ…。どうしようもない…性格…???…でもさ。姉さんだって、人を好きになって、結婚も…。…だから…。」姉を見ての晄史。睦美、ポツリと。「直んないよ。」ソファに座って、上体を前に俯きながら。「私の性格。…私が一番良く知ってる。」「まぁね~。…と、言うか、無理に直す必要は…、ないとは思うけど…。」睦美。「まぁ。…何とかしな。」一拍置いて。「私はとにかく、あんたたちがこのまま、幸せであってくれたら、それが本望。晄史が誓と結婚。嬉しいなんてもんじゃないよ。これで、孫が生まれた日にゃ~~。天にも昇る気持ちだよ~~。はははは。」そう言いながらソファから立ち上がり、「食事の支度をしようかね。」そして暁美、キッチンに向かいながら、「睦美~~。何とかしなよ。」キッチンでエプロンを付けながら。誓、「あ、あたしも~~。」暁美、「まっ。高井戸さん以外にも、誰か、気になる男性、いるんなら話は別だけどね~~。」睦美を見てニンマリと。その声に晄史、ソファから後ろに体を。「えっ…???」誓も、義母を見て、睦美を見て、「え…???」そして晄史、その格好のままで姉を見て、「姉さん。他に気になる男性って…。」睦美、コーヒーカップを両膝の上で。屈むような姿勢で。そして晄史をチラリと。クシャリとした顔で、「いる訳ないでしょ。音楽教室にだって男性、いないし。家と音楽教室の往復だけだし。」その声に晄史、瞬きしながら、「た…しかに。…うんうんうん。だよね~~。」誓、「びっくりした~~。もぅ~~。お義母さ~~ん。」そんな誓に暁美、「かかかかか。まね~~。こういう事でも言わないとさ~~。その気になれないでしょう~~。」ニコニコと。その声に誓、鼻の下を伸ばして、「ま、まま。まっ。…うんうんうん。確かに。」睦美、コーヒーカップをテープに。そして体を後ろに。ソファにどっぷりと。「はぁ~~~~。」晄史、「ただ…。肝心の…、犬だよね~~。バセット。」そして晄史、スマホで…。「ははははは。うんうんうん。可愛い~~。」そして姉にその画像を…。「ほら。」睦美、画像を見もしないで顔を一瞬だけ、「ムスッ。」晄史、ソファからキッチンに、「ほらほら。これ~~。高井戸さんちの犬~~。」母と誓の間に。誓、「わ~~。」暁美、「あら。かわいいじゃな~~い。」誓もニコニコと、「ねぇ~~~。」 ママでいい…。 vol,123. 「ひとりの男性を好きに。」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2024.11.24
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叔母と父を見て芙美花、「うん。ママだよ、ママ。」芙美花からそんな話を聞いての汐梨、耀司を見て、「どうよ、兄さん。」右目を歪めて。「どうやら、芙美花の方が、兄さんよりも遥かに説得力、あるよね~~。ふふ~~ん。我が姪ながら、うん。しっかりとしてる。」耀司、そんな汐梨に、「あ、いや…。その…。」途端に汐梨、厳めしい顔をして、「また、その、あ、いや…。その~~を~~???…全然説得力、ないんですけど~~。」そして、またまた右を歪めて。口をグンニャリと。「この~~。優柔不断男~~。」間髪入れずに耀司、「いやいやいや。優柔…不断…って。…んな。」耀司、こちらも口をグンニャリと。眞鍋家。晄史がコーヒーを淹れている。暁美と睦美から犬の事を詳しく聞かされての誓、「そういう事が…。」睦美、コクリと。「うん。あったの。」そして左袖を捲って誓に。そして、ファンデーションを剥がして。その左腕を見て誓、「あ、ほんとだ~~。」そして誓、「…って、今まで全然気付かなかった。」睦美、微笑みながら、「いつも、ファンデーションしてるから。じゃないと、半袖だったら。」誓、薄っすらと残っている傷を見て、「うんうんうん。確かに。…って言うか。これって…。」義母と睦美を見て、「…だったら、狂犬病…???」晄史、新しいコーヒーを。「高井戸さんもそう言ってた。」暁美、「だから、すぐに駆け付けて病院に。お医者さんも、早くて助かりました。もし今以上に遅れて時間が…。取り返しが付かなかったって。…でもね~~。それからが。」睦美を見て、「高熱が毎日続いて~~。左手が動かない日…、続いたんだよ~~。お蔭で、ピアノも…。」誓、「うんうんうん。」「1週間以上は…、続いたかねぇ~~。…でも、その後は、ケロリと。…ただね~~。傷跡がね~~。友達に何か言われるって思って~~。夏だって言うのに、長袖。…まっ。偶然にも、あの年は、冷夏だったから。ん~~。暑かったり寒かったり。それが、幸いしたんだけどね~~。でぇ~~。子供だったから、傷もそれほど目立たなく。…けど。…どうしたって、目立ってしまってね~~。それからだよ、毎日ファンデで。」話を聞きながらに晄史、誓の隣に。「僕がその話を聞いたのが~~。」顔を傾げて、「何歳の頃…???…かあさんと姉さんを見て、姉さんの左手にクリーム塗っているとこを見て、何してるのって…。それで初めて。」暁美、「晄史が~~。5歳くらいの時だったかねぇ~~。」誓、「ふ~~~ん~~。」そして誓、「けどさ~~~。」睦美は袖を元に。誓、睦美に、「お義姉さん、どうする…???…高井戸さん。」瞬間、睦美、顔を落として、「あ~~~ん~~。それなんだよね~~。」困ったような表情での暁美。「見舞い。」睦美。キッチンのカウンターに花瓶に生けられている花を見て、「行かなきゃ…、って~~。思っているんだ…、けど~~。」晄史、「バセットって言うんだって、あの犬。」3人揃って晄史の声に、「バセット。」晄史コクリと。「うん。」そして…。「多分。僕が高井戸さんの家を出て、その後、ふみかさんが散歩でも。とに~~かく、大人しかった。僕が高井戸さんの家にいた間、全く吠えなかった。…って言うか、時々、顔はあちらこちら。…けど。それでも自分の定位置で大人しく。」誓、「へぇ~~~。」「けど~~。」晄史。「前にね。高井戸さんの家に不審者が現れたんだって。その時に、そのバセット。思いっきり吠えたんだって。」睦美も暁美も誓も、「へぇ~~。」「そぅかぃ。」「すっご~~~。」「とにかく人懐こいって。…ん~~~。確かに。」眉間に皺を寄せて晄史。「横になっている、あの感じでも、大きいって思うし。確かに、あれで、立ち上がったら、普通の家庭で飼っている犬よりは…、大きいよね。…中型犬だって。」暁美、「中型犬。」睦美、「ふ~~~ん~~。」そして晄史、姉を見て、「姉さん。」睦美、「うん…???」「克服しないと。」瞬間、誓、「ぷっ。」そして、「うん。確かに。」コーヒーを飲んで。睦美、瞬間、瞬きして、「えっ…???」晄史、「じゃないと~~。見舞い、行けない。」瞬間、睦美、僅かに顔を落として右手を髪の中に、「あぁ~~~。」暁美も、「そうだね~~。…とにかく、あんたを庇ってくれたんだから~~。…そういう意味では…。」誓、「庇ってくれた…、と、言うより…。」睦美を見て、義母を見て、そして晄史を見て、「守ってくれた。…じゃないかな~~。」間髪入れずに暁美、「うまい。」そして、「ははははは。誓~~。良い事言うね~~。」晄史、ニコニコと、「うんうんうん。」睦美、ぎっしりと唇を口の中に。暁美、「…って言うか、睦美。あんた、高井戸さんの事、どう思ってんだぃ。」睦美、その声に、母をチラリと、「えっ…???」 ママでいい…。 vol,122. 晄史、「バセットって言うんだって、あの犬。」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2024.11.23
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耀司、「誰と~~~。」汐梨、「目の前にいるでしょっ。つぅの。」「何を馬鹿な。おまえと。」いきなり汐梨、腰を浮かせて、「このトンチンカン。何で私なのよ。私以外の目の前でしょ。何を馬鹿な。」耀司、いきなり体を右後ろに僅かに引いて。そしてぶすっとして、「私以外の目の前でしょ。って誰よ、それ。」目を真ん丸にして汐梨、「かぁ~~。まだ気付かないこのすっとこどっこい。…ったく、呆れたね~~。」芙美花も、「おとうさ~~ん。」耀司、芙美花に、不貞腐れた顔で、「う~~ん…???」「おばちゃんの言っているのは~~。眞鍋さん。」耀司、その声に、「眞鍋さん…???…ったく。」「睦美さんの事だよ。」耀司、ある意味、馬鹿馬鹿しくなっている気分。「睦美さん…???」その声に汐梨も芙美花も黙ったままで。耀司、思わず瞬きして、「む…、睦美さん…???」汐梨、こころなしか、「こんにゃろ」とも思しき形相で、耀司と同じく腕組みしたままで体を僅かに右後ろに、「決まってんでしょう~~。今現在、付き合っている人の中で~~。あの人以外にいる…???…と、言うか、い・ま・す・か。…って~~。」いきなり耀司、目を真ん丸に、「睦美さん…???」右手人差し指を自分に向けて、「睦美さん…???…睦美さん…???…俺と…???」汐梨、口をグンニャリと。すかさず耀司、ニコニコとしながらも、「お~~ぃおぃおぃ。」顔を下に。そして右手をヒラヒラと。「かかかかか。悪い冗談。悪い冗談。やめて、やめて。」いきなり汐梨、腕組みを解いて、「どうしてよ~~~。」「いやいやいや。だ~~ってさ~~。」汐梨、また腕組みして両肘をテーブルに。「理由を訊こうじゃないのよ~~。だ~~ってさ~~、なんて言うんならさ~~。」汐梨をある種、馬鹿にしている顔で、「いや…。理由…???…って言うか…。いや。あのね。」耀司、思わず今度は体を正して、汐梨に何かを。「あのね。あの。」汐梨、畳み込むように、「はい、理由。」上半身を僅かに前に。「はい。どんな…???」「いや。…どんなって…。その…。」「あるんでしょ、理由。悪い冗談。やめて。やめてって、言うくらいだから~~。あの人のここが嫌。あそこが嫌。嫌い。だめ。俺には無理。って言う、説明できる、ちゃ~~んと納得できる理由。言ったんさい。はい、どうぞ。」その声に耀司、「おぃっ!!!」「何よ。」耀司、右目を瞑って、口をグンニャリと。「…って。」目をあちこちに。そして、チラリと芙美花を。芙美花も口を半ば尖らせたままで父を。「おとうさん。」今度は耀司、右手の平を汐梨に、「待て。待て。」汐梨、「いや。待たない。言ってよ、その理由。」耀司、口を斜めに。「歳が…。」間髪入れずに汐梨、「歳…???」目を真ん丸に。「今の時代、歳が何よ~~。一回り…???二回り…???…んなの関係ないっつぅの。好きになったら一途だっつぅの。」そんな汐梨に睨み付けるように、そして歯をがっしりと噛み締めて口を丸く開いての耀司。汐梨、耀司に、「あのね兄さん。ひとつ、言ったげる。」そのままの形相で耀司。汐梨、「ウェディングプランナーを舐めんな。」いきなり芙美花、「かかかかか。出た、その台詞。かかかか。おばちゃん良い。良い。ははははは。」そして芙美花、父に、「おとうさ~~ん。私は眞鍋さん、良いって思う~~。」その声に耀司、芙美花を見て、「はっ…???…いやいやいやいや。」瞬きして、右手をヒラヒラと。「いやいやいや。待て、待て待て待て。」芙美花、顔を傾げて、「じゃあ、どうして…、ダメなの…???」その声に耀司、「いや…。…って言うか~~。その、あの。」汐梨、「ほ~~ら、説明も説得もできな~~い。」芙美花、遠くを見るように、「眞鍋さん。…あの人だったら~~。うん。」コクリと。「ただ…。おかあさん。…って、言う感じは…。」顔を傾げて、「ん~~~。多分、ないかな…。」汐梨、芙美花の声に、「えへ…???」思わず、「なんで…???」的な表情で。芙美花、また遠くを見るような表情で、「なんか…。おかあさん…って感じじゃなくって~~。どっちかって言うと~~。ママって…???…感じ…???」汐梨、「ママ。」「うん。…私のおかあさんは~~。ひとりっきりしかいないし~~。」汐梨、芙美花を見ながら、「うんうんうん。」「もし、今も、おかあさん、生きていたら、思いっきり甘えちゃう。…って、言うか~~。思いっきり、甘えられる。私には、そんなおかあさんだったから。」汐梨、芙美花の話しを聞きながら、「うんうんうん。確かに。義姉さん、おっきかったもんね~~。物凄い包容力。さすがは看護師って。」「だから~~。」芙美花。「…もし、仮にだよ、仮に。」汐梨、「うんうん。」「眞鍋さんが~~。あの人が、おとうさんと結婚する事になったら~~。ママ。」 ママでいい…。 vol,122. 「おばちゃんの言っているのは~~。眞鍋さん。」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2024.11.22
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汐梨、「え――――――――っ!!!…来てすぐにっ。」芙美花、叔母に、「そぅ~~~。」耀司、「…に、なっちゃった~~~ってね~~~。」バセットに凭れて寝ている麻沙美を見て汐梨、顔をガックリと。「あっちゃ~~~~。」髪を右手で掬うように、「バセットがぁ~~~。マジで。」芙美花、「マジで。」両眉を上下に。「私なんて、何…???…どうしたの…的~~。…で、晄史さん…???」汐梨、芙美花に、「うんうんうん。弟さんね。」「話してくれたんだけど~~。子供頃に。」汐梨、「その…、野良犬に左手…。腕…???…噛まれて…それが…、トラウマ。」耀司、「いや。俺だってビックリよ。いきなり入って来てすぐに玄関に駆けてくんだもん。んんんんん…???…で、晄史さんから話を聞いて。」汐梨、まだ髪の中に右手を入れたままで、「確かにねぇ~~。…トラウマって言うか。ん~~。小さい頃の後遺症…???」汐梨、瞬きしながら、「…きっついわ~~。」けれども汐梨、「あっ。…でも、晄史さん、芙美花が作った料理。」芙美花、その声にニッコリと。「うん。バチオッケィ~~~。」汐梨もその声に左手を芙美花に。芙美花もその手にタッチ。お互いに、「イェ~~イ。」耀司、「…って言うかさ。何…???…睦美さんが…???…犬から噛まれた。確かに、それは…。過去に…。」汐梨を見て、芙美花を見て。瞬間、汐梨、「兄さん。」芙美花も芙美花で父を見て。汐梨、「…って言うかさ。芙美花、どうだったの…???眞鍋さん。お姉さんの睦美さん。」瞬きをしての芙美花、「あ、あ~~。」そしてニッコリと。「うん。奇麗だった。」顔を傾げて、「…と、言うか~~、あは。可愛かった~~~。」その声に汐梨、ニッコリと、「はは。うんうんうん。」芙美花、「眞鍋さんって、幾つくらいの…???」叔母と父をそれぞれ見て。汐梨、「あっ。とぉ~~。」そして耀司に、「兄さん。」いきなり振られて耀司、瞬きして、「え…???えぇ~~~???」眉間に皺を。「幾つくらいって~~~。」目だけ斜め上に。「ん~~~???…その~~。」顔を傾げて、「ふん~~~。って言うか~~。…年齢…。…いや。知らない。幾つくらいの…???…かな~~~。…って言うか、そんな…。…女性に、年齢、聞けないでしょ~~。…って、晄史さんの歳だって、聞いてないのに。」けれども耀司、「あれ…???…晄史さんの歳…???…30…、幾つ…???」汐梨を見て、芙美花を見て、「…聞いたかな~~俺。…確か…、誓さんと~~。同級生って…、話し、聞いたような…。まっ。年齢的に。」汐梨、「誓さん。」瞬きしながら、「ふん。…あの、感じだと~~。」目をパチクリと。「誓さんは~~。30そこそこ…。20代には見えない。…ってぇ事は~~。うんうんうん。」耀司を見て、「晄史さんもそんな感じ。…って~~、事は~~。睦美さん。」すると汐梨、「あん、もぅ~~。何々、40にもなってないじゃんよ~~。絶対に。」耀司、その話に空を見て、「まっ。確かに。…祐里子から比べれば、ダントツに、若い。」汐梨、ニヤリと。「でしょう~~~。」途端に耀司、汐梨にブスッとして、「な~~によ~~。その…、でしょう~~って~~。」「いやいやいや。だから~~。」汐梨、頭の中で、「…いい加減に気づけよ、この鈍感。」汐梨、耀司に、「あのね。…高井戸家、このままでいいのっ???…って話~~。」いきなり耀司、「はい…???」汐梨、腕組みしてテーブルに両肘を。「芙美花、来年、受験生です。」耀司、口を尖らせて、「そうですよ。」チラリと芙美花を見て。汐梨、「このまま、兄さん、芙美花に家の事、全部させるつもり…???」途端に耀司、「いやいやいやいや。そんな事は…。…って言うかぁ~~。まま。おまえが今、家に来てくれて~~。家事、手伝って~~。」いきなり汐梨、テーブルを右手でペンと。「甘えるんじゃない。」そして、「いつまでもそんな事、続く訳ないでしょ。来年も再来年もなんて~~。炊事、掃除。料理に洗濯~~。」いきなりシュンとする耀司。「しゅみません。」「まだ、ようやく、洗濯物の畳み方、覚え…???…これが、ひとりになったらどうなるか~~。…って、家政婦雇うつもり~~。」間髪入れずに耀司、「バカ言っちゃあ~~。」汐梨、口を尖らせて、「それこそ、近所から何言われるか、高井戸さんのとこ、この頃毎日、誰か…。…再婚したって話…、聞いてないけど…。…な~~んて。」耀司、汐梨に、「おぃおぃおぃおぃ。…誰が家政婦…???」ぶすっとして。汐梨、「折~~っ角、最近、芙美花、外に出て友達と~~。」「はいはいはい。おまえさんのお蔭です~~。」「それだって~~。この先、ず~~っと。なんて、思うなよ。」「じゃ、どうすりゃいんだよ。」興奮して耀司、「痛っ。」左肩を右手で。汐梨、「再婚するしか~~。」 ママでいい…。 vol,121. 汐梨、「え――――――――っ!!!…来てすぐにっ。」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2024.11.21
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凡そ1時間半。晄史、高井戸家の玄関で…。高井戸と芙美花に丁寧にお辞儀をして、「ご馳走様でした。」そして、頭を掻きながらペコリと。「姉さんの方は…。本当にごめんなさい。…まさか…。」耀司、「いやいや。」芙美花も両肘を曲げて、手の平をヒラヒラとさせながら…。耀司、晄史に、「まっ。しょうがないよ。…そんな…。自分のトラウマのような事がいきなり目の前に。…誰だって。…もし仮に…。…僕だって…。…そうなる可能性、ない。とも、限らない。」晄史、またペコリと、「はい。…でも。ごめんなさい。…そして…。」芙美花を見て、「料理、ご馳走様でした。ほんと、凄い美味しかったです。」芙美花、晄史に丁寧にお辞儀をして、「ありがとうございます。」そして父を見てニッコリと。耀司もそんな芙美花を見て頭を撫でる。「ウチの自慢の娘なもんで。はは。」晄史、ニッコリと。「ですよね~~。料理も出来る、家事も出来る。凄いや。…じゃあ、僕はこれで。」ペコリと。「あ。」晄史、高井戸に両手の平を。「ここで、大丈夫です。はい。」耀司、そんな晄史に、申し訳なさそうに、「はは。」顎だけ前に突き出して、「ごめんね。」晄史、ドアを開けて、「じゃあ~~。ここで。」コクリと。耀司、右手をかざして、「また、遊びに。待ってる。」晄史、「はい。喜んで。」ドアの外でまたお辞儀をして、ドアは閉まる。耀司、「いやいやいや。」芙美花、「帰っちゃった~~。」「それにしても…。」耀司。「まさか…、犬に噛まれた。」芙美花、廊下を歩きながら、「ん~~~。」そして、「でも…。奇麗な人だよね。眞鍋さん。」耀司、芙美花のその声に、「えへっ…???」「見た瞬間、そう思った。奇麗~~って。」僅かに芙美花、首を後ろにチラリと。そしてまた元に。耀司、瞬きしながらも芙美花に、「あ、あ、あ、あ、あ~~。うん。…じゃないの…。かな…。」その声に芙美花、今度は父に振り返って、「はっ…???…何よ、それ。あ、あ、あ、あ、あ~~。うん。…じゃないの…。かな…。って…。おとうさん、奇麗なら奇麗って、素直に言えばいいのに~~。」その声に今度は耀司、顔を傾げて、眉間に皺を。「はぁ~~~ぁあ…???」芙美花、キッチンに入ってひとりでボソッと。「もぅ~~。この鈍感。」けれどもこの声は耀司は聞いていない。ただ、芙美花も、眞鍋と言う女性を見た瞬間、目を真ん丸に、頭の中で、「…うそっ!!!…この人…???…奇麗~~。…それに…、可愛い~~。」いきなり心臓をぶち抜けられた感じだったのである。そして…。こんな風にも感じたのだった。「さすが、おばちゃん、目の付け所~~。」つまりは、耀司と麻沙美がバセットと散歩している隙にリビングで、「兄さんに、眞鍋さん。どうよ。…いいと思わない…???」と、汐梨が芙美花に吹き込んだのであった。ただ、当の芙美花本人は、事実、まだ眞鍋と言う女性、見た事もないために、その時は、「誰々…???」と、はしゃいではしまったのだったが…。あの時から、頭の中で、「…どんな人…???」が繰り返されてはいたのだった。耀司、ゆっくりと椅子に。「ふぅ~~~。」芙美花、「バセット~~。後で一緒に散歩ね~~。」その声にバセット、キッチンの方に顔を。「ワン。」そして、そのバセットの前にはルンバが。耀司、「あれ…???…いつの間にかルンバ。はは。どこを掃除していたのやら。」晄史、スマホで、「てかさ~~。…このままでいいの…???」相手は睦美である。睦美、晄史からの電話に、口を尖らせて、「ん~~~~。…でも…。…これ、ばっかりは…。」晄史、スマホに、「ん~~。確かに。姉さんのトラウマは分かる。その時の傷だってまだ…。…それに…。今日、いきなりで…。」睦美もスマホに、「まさか…、高井戸さんの家にあんな犬がいるなんて…。…想像もしなかった。一言も犬の話し、なかったから~~。さっき、誓からも電話で。…で、犬の事、話したけど…。」晄史、「うん。…でもな~~。このまんまだと…。」睦美も、「ん~~~~。」溜息交じりに。晄史、「どうすんだよ。姉さん。今、姉さん、溜息だったよ。そんな風に感じた。つまりは、姉さん、高井戸さんの事…。」瞬間、睦美。瞬きしながら、「へっ…???…はっ…???…いやいやいや。」晄史、キッパリと。「姉さんっ!!!…阪部洵はいないんだよ。」そして、「姉さん、病院でも、それ~~。自分から。」睦美、「そ、それは~~。それで…。ん~~~。」「…って、もぅ~~。どうすんの…???…このまんまじゃ、高井戸さん、打撲が治らないと、姉さん、会えないよ。見舞い、出来ないよ。」キッパリと。そして晄史、「あっ。…て事は~~。うんうんうん。」睦美の声、「何よ。」晄史、「もしかして…、高井戸さん、ヨシカワ音楽教室にも…。」瞬間、睦美、「あっ。確かに。…あの日…。…木守さんだった。」晄史、「あの状態じゃ~~。」睦美、瞬間、「あ、あぁ~~。」 ママでいい…。 vol,120. 「自分のトラウマのような事がいきなり目の前に。」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2024.11.20
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睦美のスマホにバイブ。睦美、バッグからスマホを。ラインの画面を。晄史から、「姉さん、大丈夫…???」晄史、「既読にはなったけど…。」そして晄史、再び、「姉さん、今、何処…???」すぐさま既読に。けれども…。晄史、「ん~~~。」1分。そして…、「あっ。電車に乗ってる。」耀司、「電車…???…あぁ~~。もぅ…、そこまで…。」そしてまた晄史、「姉さん、大丈夫…???」既読。そして…。「うん。…落ち着いた。」「高井戸さんと娘さん、心配してる。」すると…。「ごめんなさい。」のメッセージ。晄史、更にメッセージ。「犬の事は、高井戸さんと娘さんには話したよ。」また1分。返って来た言葉が、また、「ごめんなさい。」そして…。「先に帰るね。」晄史、高井戸に、「姉さん、帰るって。」耀司、その声に、「仕方が…。ないよね~~。」晄史、その後…。耀司、「折角来たんだから…。」芙美花、ふたりの為に料理をしていたのだった。キッチンから料理を運んでくる芙美花。その料理を見て晄史、目を真ん丸にして、「うわっ、凄っ。いや~~~。」芙美花、照れながら、「お口に合うかは、分かりませんけど…。」晄史、嬉しそうに、「いえいえ。とんでもない。はははは。美味しそう~~。」運ばれて来た料理を見ながら晄史、目をパチクリと、「これ…、全部、ふみかさんが…。」名前を呼ばれて芙美花、「あっ。私の名前。」耀司、コクリと、「はい。しっかりと教えてます。」晄史、「凄いですよね~~。」耀司、晄史に右手を、「どうぞ、どうぞ。」芙美花も、「召し上がってください。」晄史、ニコニコと、「はは。それなら…。うん。いただきます。」そして、箸を使って取り皿に。そして一口。目を真ん丸にして、「うん。んま。」耀司、ニッコリと。「はははは。」芙美花、両手を合わせて、「良かった~~~。」そして、「あ。こっちもどうぞ。」その声に晄史、「ははは。うんうんうん。」そしてまた再び口に。食べて、またまた目を真ん丸にして、またニッコリと。「はは。美味しい~~。はははは。」耀司、芙美花に右手を挙げて、芙美花、その手にタッチ。ふたり共に、「イェ~~イ。」そして…。睦美、仕方なく、家に。「ただいま~~。」リビングでは暁美がお茶を。睦美を見て、「あら。…えっ…???…どうしたの…???」その頃、誓も、晄史から電話を貰って。「え~~~ぇえ…???…犬…???」晄史、スマホに、「うん。」誓、「…って、どういう事よ。」実は、この日、3人で高井戸家に訪れる事にしたのだが、当初の予定では、誓は高井戸と睦美のために自分は行かずに晄史と睦美だけを高井戸家に。と、思って、ドタキャンを想定していたのだったが、それが先日のアクシデント。結局、3人で高井戸家に訪れる事に。けれども、ドタキャンのはずがその日曜日の朝、実際に会社から電話があり会社に。但し、その用事は2時間ほどでクリアし、誓は街で時間を潰していたのだった。そして軽食喫茶でお茶を飲んでいたところに晄史からの電話。晄史も高井戸家で食事の最中に。誓、「うそ。私、初めて聞いた、その話。」晄史、「まぁ…。家族で動物の話しなんて、まずしなかったからね~~。」誓、コクリと、「うん。まっ。それはそうだけど~~。まさか、お義姉さんにそんな過去。」晄史、スマホで、「う、うん。」暁美も睦美から話を聞いて、「あらららら。なんと…。高井戸さんのお宅に、犬。…そりゃ、あんた、無理だわ。うん。…で…???…睦美、あんた、そのまま。」睦美、ソファに座って花束を持ちながら、「うん。高井戸さんのお宅のリビングに入るなりすぐ…。見ちゃって、そのまま…。」暁美、「あらま~~。…まま。あんたにとっては、とにかく…。あの時、かあさんもどうしよって…。とにかく死に物狂いだったから。」そして暁美、「そっか~~。」睦美、「それに…。あのワンちゃん。かなり大きくて。」「おや。」「でも…。」睦美、両手を顔に。「逃げるように高井戸さんの家、出て来ちゃって。あ~~~ん。…こんな事って~~。」暁美、「まぁ…。仕方がないんじゃない。…えっ…???…でも、晄史は…。」睦美、唇の口の中に、そして、目をパチクリと。顔を動かして、「あのまま…。高井戸さんの家…???」すると、睦美のスマホにライン通話の電子音。「うん…???…あ、誓~~~。」睦美、思わず右目を瞑って。「はい。私~~。」スマホから、「お義姉さん、どうしたのよ~~。今さっき、晄史から電話で~~。何、犬…???」すぐさま睦美、スマホに、「ごめんなさい。」軽食喫茶の椅子に座りながら誓、「もぅ~~~。…って、お義姉さん、子供の頃に、犬に噛まれた…???」睦美、コクリと、「えぇ。」誓、「…で…???…高井戸さんのお宅にも、犬が…。」「う、うん。」睦美。口を尖らせて。誓、顔をクシャリとさせて、「あっちゃ~~~。」 ママでいい…。 vol,119. 「犬の事は、高井戸さんと娘さんには話したよ。」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2024.11.19
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耀司、芙美花を見て、「うん…???」芙美花、口を噤んだままで…。数秒の沈黙。晄史、高井戸に、「あ、あのぉ~~。」バセットは見知らぬ男性の近くを通ってまた自分の指定席に。その犬を見て晄史、高井戸に、「実は…。姉さん。」耀司、晄史に、「うん…???」晄史、「姉さん、子供の頃に、犬に嚙まれたんです。」瞬間、耀司、芙美花、「えっ…???」晄史、犬を見ながら、「僕はまだ、小さくって、記憶はないんですけど…。」耀司、怪訝そうな顔で晄史を見ながら、「犬に噛まれた。」その声に晄史、頷いて、「えぇ。」芙美花、「そんな…。」晄史、顔を落として、「かあさんの話しだと、この辺。」左腕、肘の近くに右手を。「ガブリと。…夏の時期、姉さんは、ショートパンツにTシャツ。犬に後ろから噛まれたようです。」芙美花、また、「そ、そんな…。」「多分、野良犬…。」耀司、そして晄史に、「それから…、睦美さん。」晄史、「かあさん、その時、僕を背中に負ぶって、そして姉さんを抱き抱えて、とにかく走って、誰かに、助けてって。ようやく近くの人を見つけて救急車を…。」芙美花、小さな声で、「こわ…。」耀司、「もしかして…。狂犬病…。」晄史、「すぐに病院に…。」耀司、頷きながら、「うんうんうん。」「幸い、噛まれたすぐ後で…、しかも、すぐに病院に。との事で、医者が手当を。…あと、数時間も遅かったら、取り返しが付かなかったかもと…。」耀司、ホッとしたような顔で…、「おぉ~~。」晄史、「でも…。その後も、姉さん、高熱で…。」耀司、また頷きながら、「うんうんうん。」芙美花、「狂犬病って、名前は聞いたこと…。」耀司、チラリと芙美花を見て、「あぁ。日本じゃ、昔の事だけど、凄い危険な病気。」芙美花、「今はそんな…。」耀司、「あぁ。時代じゃない。」晄史、「ねえさん。未だに左腕には…。」耀司、晄史を見て、「その時、噛まれた傷…。」「えぇ。…薄~~くは、なってますけど…。…だから…。あれ以来…。犬は…、本人が、確実に、シャットアウト。」睦美はただ黙って歩いていた。左手には花束を…。時折、さっきの光景が…。高井戸家のリビングに入った時点での、犬。見た瞬間だった、意識より、体がすぐさま反応していた。睦美、歩きながらもガッシリと目を瞑って。顔を小刻みに揺らして。そして今度は大きく深呼吸。「ハァ~~~。」そして…、左手を顔に。その繰り返しだった。そして…。「あ~~ん。…どうしよ。」耀司、「…って言う事は…。トラウマかぁ~~~。」晄史、また顔を犬の方に。「だから姉さん、小さい頃から、とにかく犬を見ると。とにかく誰かの後ろに。…そして、逃げるんです。…だから…、小さい頃から、とにかく、犬…、以外に、猫でも…。」芙美花、思わず、「えっ…???…猫でも…。」耀司、「同じ、四つ足。」「あ、あ~~。」晄史、「まっ、けど…。猫の方は…。何とか…。友達の家で猫を。」耀司、コクリと、「うん。」「猫の子が産まれたって。…で、ちっちゃな猫に手を。そうしたら、子猫も手を差し出して、姉さんの手を撫でるように。…何とか、それで猫は克服できたと。」耀司、「そっかぁ~~~。」バセットを見て。「バセットは、中型犬。」晄史、高井戸を見て、そして犬を見て、「バセットと言うんですか…???」芙美花、「うん。」バセットに近づいて、そして、バセットの頭を撫でて、体を撫でて。バセット、芙美花の腕に頬釣りするように…。「ウチの家族。」耀司、「とにかくおとなしい。…けど、こと、不審者には確実に吠える。はは。前ね。ウチのブロック塀を乗り越えてきた不審者がいたんですけど、いきなりバセットが吠えて。物凄い吠え方だったらしくって、その不審者も驚いて、またブロック塀をよじ登って逃げてった。…な~~んて事がありましたね。かかかかか。ウチの用心棒でもあります。」芙美花、バセットを抱くように、「バセットは強いもんね~~。」バセット、芙美花の右方を舐めながら…。晄史、話を聞いて、「へぇ~~~。凄いですよね~~。」耀司、「人には懐くし、しかも、おとなしい。麻沙美なんて、ウチ来たら、必ずバセットに背中を凭れるように絵本、見てますから。バセットも麻沙美が好きですからね~~。そして、そそは一切しない。必ず自分の定位置で。」そこまで言って、「ただ。」顔を傾げて、「ん~~~。どうだろうかね~~。いきなりバセットを見た人は、おっきぃ~~って、思うよね。中型犬だから。…今は、座っているから。だけど…。確かに、立ち上がれば大きいよ。」睦美は、駅に。そして改札を抜けて…。電車に乗っていた。花束を持ったままで。そして…。花束を見ながら、「私…。」そして、両手で顔を。「あ~~ん。どうしよ。」そして、顔から両手を放して、今度は上を見て…。 ママでいい…。 vol,118. 晄史、「姉さん、子供の頃に、犬に嚙まれたんです。」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2024.11.18
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「さ~~てと~~。」耀司、家にひとりになって。いつもの定位置のバセットに首を振りながら、「いやいやいや。これじゃあ、いつものバセットとの散歩も、無理だ~~ねぇ~~。」そして、右手でコーヒーカップを持って口に。「あ。」そして、耀司、「やべぇ~~~。」いきなり口をへの字にして顔をクシャリとさせながら、「…と、言う事は…。」いきなり右腕に顔を伏せて、「ぁあ~~~。」そしてゆっくりと顔を上げて、「麻沙美の保育園。それと…、ヨシカワ…。あ~~~~。1、2週間という事は…。…って、今日からじゃん。」今度は下唇をビロンと。「保育園でもヨシカワでも、絶対に言われる。」いきなり品を作っての耀司、「高井戸さん、最近、お顔見せませんでしたけど、何か…。」そしてまた耀司、顔をクシャリとさせて…。「あ゛~~~~。」そして…。1時間後に耀司のスマホに着電。耀司、「あ。はい。晄史さん、おはようございます。」相手は晄史である。「高井戸さん、おはようございます。昨日は…。あの…、体の具合。」その声に、「あ~~。うん。ははは。特に…。変わりは…、ないですね~~。娘には、こってりと。無理しないでって言われて学校に…。」晄史、会社に歩きながらのスマホ。「そうですか~~。」スマホから、高井戸の声、「いやいやいや。」晄史、スマホに、「あのですね、高井戸さん。」耀司、その声に、「あ、はい。」晄史、交差点、横断歩道の赤で止まって、「今度の日曜日。明後日なんですけど。」晄史と睦美、スマホを見ながら、「ここだね。」「うん。」晄史、家の前の表札を見て、「高井戸。」姉に、「行こうか。」睦美、コクリと。「うん。」晄史、チャイムを。耀司、その音に、「おっ。」そして、芙美花に、「芙美花~~。代わりに~~。」キッチンの中の芙美花、「あ~~。うん。」そして耀司、ゆっくりと椅子から。そして松葉杖を使って、「へへ。3日も経ちゃあね。慣れてくるもんだ。」確かに。耀司、2日目からは松葉杖も、トントンと。汐梨も、そんな兄を見て、「何と。使えるね~~。」その声に耀司、「へへ。」耀司、玄関に、「はい。どうぞ~~。開いてますよ~~。」ドアを開けての晄史と睦美、「こんにちは~~。」病院での時と変わらない高井戸。けれども服装は普段着。晄史と睦美に、ペコリと、「こんにちは。ささ。入って~~。」リビングから芙美花、「こんにちは~~~。」晄史、睦美、目を真ん丸に、「わあ。」「はは。こんにちは~~。」芙美花、ふたりに深く頭を下げて、「こんにちは。父がいつもお世話になってます。」晄史、「こんにちは~~。」そして高井戸を見て、「凄い、可愛い~~。」睦美も、「うんうんうん。」ニッコリと。晄史、女の子に、「ふみかさん。」睦美も、「うんうんうん。」芙美花、ニッコリと、「あ、はい。高井戸芙美花と言います。」睦美、「可愛い~~。」芙美花、思わず照れながらも…。芙美花が先頭。そしてゆっくりと松葉杖を突きながらの耀司。そして晄史。最後に睦美。耀司、リビングまで来て、「どうぞ、どうぞ。あ。でも、誓さん。」晄史、「え~~。朝に会社から電話があって。そのまま仕事に。」耀司、「大変ですね~~。日曜日も。」睦美、芙美花にニッコリと。そしてお辞儀を。「お邪魔しま~~す。」そして…。リビングのテーブルまで来た瞬間、いきなり目を真ん丸に。そして、突然吐き気に襲われて、踵を返して駆け足で玄関の方に。耀司も芙美花も、一瞬の事だったが、「えっ!!!」晄史も、「姉さん…???」耀司、何が起きたのか全く。芙美花も瞬きをして、ゆっくりと玄関の方に。睦美は睦美で、玄関に。そしてそのままドアを。鼓動は高鳴っていた。そして、恐怖感。ある意味、死に物狂いとでも言っていい程の。芙美花、玄関に。姿はない。「あれ…???」玄関のドアを開けて、あちこちと。芙美花、顔を傾げて、「あ~~れ~~???」睦美は小走りで…。とにかく、逃げる事しか考えてなかった。耀司、晄史に眉間に皺を。「睦美さん、どうした…。」ぽか~~んと。晄史も顔を傾げて。こちらも眉間に皺を。「分かんない…んですけど…。」その時、芙美花の後を追い駆けて、バセットが玄関の方に。瞬間、晄史、犬を見て、「わあっ!!!」耀司、「あ。はははははは。愛犬のバセットです。」晄史、いきなり体を縮こまらせて、「わぁ~~。い、犬~~~。…そ、それに…。」芙美花、リビングにバセットの頭を撫でながら、「おとうさん。」顔を傾げて、「もぅ…、いなかった~~。」耀司、その声に、「ぇえ゛~~ぇえ…???」頭を傾げて、「おか、しぃな~~。」晄史、思わず慌てるように、「あ、あの…。あ、はははははは。…いや。」顔を傾げて。耀司、晄史にも、「どうし…。」晄史、「あ、いや~~~。」困ったように。そして顔を下に、頭を撫でながら…。 ママでいい…。 vol,117. 「今度の日曜日。明後日なんですけど。」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2024.11.17
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「じゃあ~~。彼も、打撲と軽い捻挫以外には。」辻元。スマホから、「はい。医師の話しでは…。…と、言うか、看護師の話しになりますけど、打撲は1、2週間は続くかと言う。」「確かにね~~。…でも、骨折してないんだから…。」視線をあちこちに。「…って言うか、あの状態で、骨折もしてないって、それ以上に、凄いって思うんだけど…。」その声に晄史、「あぁ。…それ。僕らも不思議って思ってたんですけど…。彼、高井戸さん、昔、学生時代に柔道を…。」スマホから、「へぇ~~。高井戸って言うんだ、あの人。…で、柔道。」晄史、「黒帯です。」「わお。…へぇ~~~。…だからか~~。受け身~~。…な~~るほどね~~。」晄史、スマホに、「僕たちも、けがの症状に不思議がっいたんですけど、彼の妹さんが病院に迎えに来て、その時に、さすがは黒帯ねって言って。その時、僕らも前に、学生の頃に柔道をしていたって聞いてましたから、あっ、そっかって。」スマホから、「な~~るほどね~~。そっか~~。…あ、わざわざ電話、ありがとうね。」晄史、スマホを耳にお辞儀をして、「いえいえ。こちらの方こそ、本当に助かりました。ありがとうございます。……はい。…では、失礼します。」通話は切れる。睦美も誓も、「どんな感じ…???」晄史、「うん。はは。何だか、親しみやすそうな人。」暁美、「あんたたち、河原崎栄伍に。」3人共に、「うん。」晄史、「何かの仕事なんじゃないかな~~。車まで出してくれて。」そして、「忘れてたよ、誓、ありがとう。」誓、ニッコリと、「うん。」翌朝…。耀司のスマホに…。耀司、画面を見た瞬間、「ヤベ。」芙美花、「うん…???…どうしたの…???」朝食の最中。耀司、芙美花にスマホの画面を。芙美花、ニッコリと、「あぁ~~、おじいちゃん。」耀司、仕方なくスマホを耳に、「はい、俺。」いきなり、「な~~にやってんだおまえ~~。」どでかい声。耀司、「うっ。」そして、「汐梨かぁ~~。」スマホから、「で…???…どうなんだ、肩。…んな…、汐梨から今さっき電話が来て。」耀司、スマホに、「あ、あ~~。うん。入院する必要は。」「それも聞いた。女性を庇って、階段から転がり落ちたって~~。」「もしもし。」また強い声。「耀司、あんた~~。」耀司、「ゲッ。今度はおふくろ。」「もぅ~~~。どういうつもり…???」耀司、「いやいやいや。どういうつもりも何も。…こうなっちゃったんだから~~。」「とにかく、気を付けて頂戴。あんたに何かあったら芙美花が~~~。もぅ~~。汐梨から電話でもぅ~~、居ても立っても~~~。そっちに行こうっても~~。汐梨がいるから~~。」耀司、「はいはいはいはい。大丈夫ですぅ~~。左肩、打撲してんだけど、まぁ…、一晩寝ても、特に、症状は変わんないし~~。医師の話しでも、とにかく安静に。腫れは1、2週間は続くからって~~。包帯の巻き方も~~。ちゃんと資料見て、分かるから~~。右手は大丈夫だから~~。骨折もしてないんだし~~。松葉杖使って歩けるから~~。」スマホから母の声。「もぅ~~~。汐梨が近くにいるからそんなに…。」耀司、「あのねぇ~~。ウチには、芙美花と言う、とってもしっかりした娘がいるんですぅ~~。」芙美花、その声に、「はははは。」そして父に、「ねね、代わって。」耀司、スマホを、「うん。」芙美花、スマホを受け取って、「もしもし、おばあちゃん。」スマホから、「あら、芙美花~~。」「へへ~~。私~~。」「うんうんうん。はは。元気か~~ぃ。」「うん。元気だよ。はは。おとうさん、大丈夫だから、私もいるから。」「そうかい~~。頼んだよ。」遠くから、「芙美花か、代われ。」すぐさま妻からスマホを。「もしもし、芙美花か。」芙美花、「あは。おじいちゃん…???はい。芙美花です。」「あ~~。はははは。久し振りに声、聞いた。ははは。元気そうで~~。」「うん。元気だよ。おじいちゃんは…???」「あ~~はははは。おじいちゃんも元気だ。うんうんうん。」耀司は食事をしながら。芙美花との電話はまだまだ。電話の相手は、芙美花の祖父母。つまりは耀司と汐梨の両親。和歌山にいる壮一郎(そういちろう)と香奈枝(かなえ)である。芙美花、電話しながらもにこにこと。「うんうんうん。あはははは。うん。」耀司、食べながら、「汐梨め。今朝、電話しやがったな~~。…まっ。しゃあねえか。…ふん。」そして芙美花、リビングで、「絶対よ、おとうさん。無理だけはしないで。バセットも見てるから。」リビングでコーヒーを飲みながらの耀司、「…って言うか、この状態で、無理も何も。かかかか。歩くには松葉杖。仕事は~~。これから他のスタッフに電話する~~。」芙美花、「うん。じゃ、行ってきま~~す。」「行っといで。」 ママでいい…。 vol,116. 耀司のスマホに…。耀司、画面を見た瞬間、「ヤベ。」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2024.11.16
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「名誉の負傷~~。」汐梨。部屋着の芙美花、「勘弁してよね~~~。」ゆっくりと耀司、その後ろから汐梨がリビングに。テーブルにはラップされている焼きそば。芙美花、「もしかしたから、眞鍋さんたちと一緒だから、食事はしてくると思って~~。先に食べてよって思ったんだけど~~。いきなり電話で。うっそ――――――って。まっ。怪我してて、食べたいかどうかは…。…おばちゃんが病院に迎えに行ったからって~~。」耀司、「腹は、空いてる。」右手で椅子を引いて、椅子に、「ヨッコイショ。」芙美花、「麻沙美~~。焼きそば食べよう。おばちゃん、夕食…。あ、この時間だから、もぅとっくに…か。」汐梨、「あん。私は大丈夫。はは、麻沙美~~。焼きそば食べる~~???」麻沙美、ニッコリと、「うん。お腹空いた~~。」「まっ。家では食べて来たんだけどね~~。美味しいもの、見ちゃうとね~~。」晄史、睦美、誓、電車の中で…。誰も声を…。けれども…、晄史と誓、ふたり、共に、「あ。高井戸さん、お見舞いに…。」その声に晄史、誓、お互いに顔を。「え…???」「へへ…。同じ事。」ふたりに挟まれての睦美、コクリと、「うん。…私も…、さっきから、その事…。」3人共に帰宅。母の暁美に今日の事を話して。暁美、「え――――――――っ!!!」そして、睦美を見て、「あんた、本当に大丈夫なの…???」睦美、母に、コクリと、「うん。…けど…。高井戸さんが…。」瞬きしながらの暁美、「うんうんうん。…でも、入院は…。」晄史、「あぁ。それは…、お医者さんも、特に、入院するほどの…。」暁美、頷いて、「そぅ~~。…大変だったね~~。」誓、「あ。晄史。」晄史、誓に、「うん…???」誓、目を真ん丸にして、「ほら。あの人にも、連絡しないと。車まで。」瞬間、晄史、「あっ!!!」睦美、「えっ…???…車…???」晄史、「うんうんうん。僕と誓、タクシーで救急車、追い駆けるつもりだったんだけど…。ほら。芸能人の、タレントの…。」睦美、「あぁ~~~。河原崎栄伍。」誓、「そのマネージャーさんの…、運転手…???…なのかどうかは分かんないけど…。ホールから車、出してくれて…。」睦美、「えっ…???…じゃあ…、あなたたち、その車で…???」晄史、コクリと。「うん。ハッキリ言って、タクシーだったら病院、行けなかったかも。何処の病院かも分かんなかったから。」暁美、「河原崎栄伍って、あの…、バラエティに出てる河原崎栄伍…???」3人共に、「うん。」晄史、「救急車まで呼んでくれて。」暁美、「あら。」晄史、「あっと。名刺、貰ってるんだった。」バッグから名刺を…。そしてスマホで…。誓と睦美、晄史に寄り添い、名刺を…。「芸能プロダクション創健社マネージャー辻元香世子…。」スマホから声。「もしもし。辻元ですけど。」晄史、スマホに、「あ、辻元さんの携帯番号で良かったですか。僕、今日、品川のマリアナホールで、階段から転がり落ちて、救急車を呼んでもらって、車まで。」スマホから辻元の声。「あ~~。あの時の~~。」「あ、はい。眞鍋(まなべ)と申します。今日は、本当にありがとうございました。お蔭様で、今は自宅に…。」事務所だろうか、未だに外出着のままの辻元。「あら、本当~~。じゃあ、特にどこも…。」スマホから、「えぇ。私の姉は大丈夫。」「お姉さん。」「あ、階段から転がり落ちた女性の方です。」「あ~~。はいはい。」一拍置く。そして、「へぇ~~。あの女性の方、特にどこも…。」そしてまた一拍。「凄いのね。階段から落ちて、特にどこも…。」目を動かす。「あ。…でも、男性の方は…???…ストレッチャーで運ばれた。」晄史、「あ、あ~~~。その人、なんですけど~~。」誓と姉を見て。「…実は…。」そのイントネーションで辻元、「え…???…まさか…。」瞬間、晄史、「いえいえ。」右手を振って。「その人なんですけど…、左肩の打撲と、右足の軽い捻挫で…。」「うそ。」スマホから。辻元、瞬きしながらも、「いやいやいや。へぇ~~~。あんな状態で階段から落ちて、いや。打撲と捻挫。はは。おやおやおや。凄い。」遠くから、「お疲れ様で~~す。戻りました~~。」の声。辻元、スマホに、「いやいやいや。…で、彼は…???…あの男性。病院で…、今も…???」晄史、「あ、いいえ。もう…、今頃は自宅に…。医師からも、入院する必要はないって言われて。」スマホから、「へぇ~~~。そうなんだ~~。あちこち怪我、もしくは骨折はしているんじゃないかな~~って、心配は…。」晄史、「本当にありがとうございます。それに…、車まで…。」辻元、貌を振って、「いいえ~~。…まっ。丁度ね~~。タイミング良く~~。ウチの河原崎も、あぁいうの見ちゃうと、黙っていられない性格だから。」スマホから聞こえてくる声、「あ、はい。」 ママでいい…。 vol,115. 「名誉の負傷~~。」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2024.11.15
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5人共に、正面玄関とは異なる方向に…。耀司、右手で後部座席のドアを。晄史が補助して、「よっこいしょっと~~。右側から乗るしか…。」晄史、「左足は大丈夫ですもんね~~。」耀司、晄史にニッコリと、「うん。」汐梨は運転席に。そして、「じゃあ、行くよ。」窓を開けて。汐梨、3人に、「それじゃあ。」ニッコリと。晄史、睦美、誓、一礼して、そして高井戸にも一礼を。「おやすみなさい。」車は動き出す。汐梨、右見て、左見て、「おし。」そして、「や~~れやれ~~。」後部座席から耀司、「何ともな~~。」「それはこっちの台詞~~。電話来て話聞いてビ~~ックリ~~。」耀司、その声に、「面目ない。」「何やってんだか。」耀司、唇を尖らせて。運転しながら汐梨、「ま~~た、またまた、ひと手間増えたわ~~。」耀司、「だから~~。面目ないって~~。」「はいはい、聞きました~~。…って言うか…。それにしても、さすがに凄いね。」耀司、前を見ながら、「う~~ん…???」「階段から落ちて、すぐさま人を庇って抱き締めて…、で、落ちる。ドラマや映画じゃないんだから~~。…それに…、刑事ものでもないんだから~~。…それで、肩の打撲に足の軽い捻挫。」汐梨、バックミラーを見ながら、「ね。」耀司、「うん。」「階段って、どんな階段だったの…???」「ん~~~。」耀司。「確か…。ロビーから踊り場までは何段…???…そこから右に折れて…、10段以上は、あったかな…。踊り場までより、踊り場からが長い。勾配にして…???…30度くらいかな~~。まっ。ロビーの天井自体、高かったからな~~。」汐梨、「ふ~~ん。…そっから、転がり落ちた。」「うん。」耀司、顔をコクリと。「…って言うか。」汐梨。「家庭の階段…???…まっ。その殆どは木造だろうけど…。ホールだからねぇ~~。鉄筋…???」「うんうんうん。多分。…まっ。そんな詳しくは見てないけど…。」いきなり汐梨、「う~~~。ゾッとする~~。」耀司、「何が言いたい。」「まっ。一言。」またバックミラーを見て、「良くぞ、ご帰還。」「当たり前だ。」「かかかかか。…さ~~てと~~。芙美花、心配してるぞ~~。」こちらは…。タクシーを拾っての晄史、睦美、誓。睦美、晄史と誓に挟まれて。「高井戸さん、大丈夫かな~~。」晄史、「打撲と捻挫。ん~~~。」誓、「それにしても、凄いよね~~。」睦美、誓に、「ん~~~???」「お義姉さんを抱き締めて転がり落ちる。」睦美、「あ~~ん、それ、もぅ止めて。」両手で顔を覆いながら、「もぅ…、申し訳なくって、申し訳なくって~~。高井戸さんにもしもの事あったら~~。」晄史は晄史で、階段から落ちた、その時の事を頭の中で…。…けれども…。考えれば考える程…。そして…、いきなり。目尻から涙が…。誓、「ちょっと~~。晄史~~。聞いてる~~???」瞬間、晄史、体をビクンと。そして数回の瞬き。そして鼻を啜って。首をぎこちなく、「うん…???…えっ…???…何…???」体を動かして姉と誓を。「うん…???」思わず睦美、瞬きする晄史を見て、「うん…???」僅かに頭を引くように、「どうしたの。」車内、暗くてあまり良く分からないが、何かしら、鼻声の晄史。睦美、誓、「もしかして…。涙…???」晄史、ふたりのその声に、「えっ…???…あ…。はは。いやいや。…ってか。」そんな晄史を見る睦美と誓。晄史、「ん~~~。何て言うか…。」瞬きしながら、「高井戸さん。」そこまで言って、思わずニコニコして、「ははは。凄いや。って、思って…。…いや。だってさ。姉さんを抱きながら階段。…はは。あの時の事、考えたら、なんでか…、涙…、出て来た。ははははは。」その声に睦美、「晄史。」そして、ニッコリと。「ふふ。うん。」晄史、「とにかく…。姉さん、何ともなくって。」睦美、そんな晄史に、「ありがと。心配してくれて。」いきなり誓、シートに深く。そして、「はは。どんなもんだい、私の旦那様。」睦美、思わず誓の右肩に自分の左肩を押し込んで、「え~~~~???…はははは。私の弟なんですけど~~。」誓、目を真ん丸に、「わお。そうでした~~~。かかかかか。」チャイムの音で芙美花、玄関に。「おとうさんっ!!!」汐梨、耀司の後ろから、「ただいま~~。」芙美花、父の姿に、「大丈夫なの~~~???」松葉杖を使って、「んしょっと。」汐梨、「おっと、兄さん。」耀司の右肩を支えながら。バセットもゆっくりと玄関に、「クゥ~~ン。」耀司、ゆっくりと玄関のフロアに腰を下ろして、右手で靴を。「何とかね~~。大丈夫…。とは、言えないけど~~。」芙美花、「もぅ~~~。」汐梨も、「はい。私も、そのもぅ~~は、言いました~~。」芙美花、「電話で眞鍋さん…???」耀司、「あぁ。」そして耀司、ゆっくりと立ち上がり、「おしっと。」 ママでいい…。 vol,114. 「何やってんだか。」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2024.11.14
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「そんな訳で~~。」耀司。汐梨、「階段から転がり落ちたって…。あ~~ん。」麻沙美、「おじちゃん、どうしたの~~~。」麻沙美に耀司、「麻沙美~~。おじちゃんさ~~。はは。怪我しちゃった~~。」「けが…???」「うん。だから~~。こんな格好~~。おかしいでしょ。」けれども麻沙美、首を左右に振って、「ううん。…でも、痛い…???」そんな麻沙美に耀司、「う~~ん。黙っていれば痛くないけど~~。…多分、動くと痛いかも。」「そっか~~~。気を付けてね~~。」そんな麻沙美に耀司、ニッコリと。「はい。」顔をコクリと。「わかりました~~。」「でも。」汐梨。耀司を見て、「階段から転がり落ちて…。」耀司、そんな汐梨に、「うん。」汐梨、睦美を見て、「話しを聞くと、睦美さんからカバンのバッグのベルトを引っ張られて。」耀司、またもや、「うん。」「反射的に、睦美さんを抱き締めるように、落ちた。」目をパチクリと。「でぇ~~~。その…。」睦美を見て。「睦美さんは~~。何ともない。」睦美、申し訳ない顔で。「え…。あ…、はい。」汐梨、「でぇ~~、兄さんも~~。左肩の打撲と、右足の軽い捻挫。」顔を傾げて、「それで…。良く済んだよね~~~。…普通なら…。…そんな…。…幾ら何でも、人を抱き締めて階段を転げ落ちるなんて…。」瞬間、晄史、「あ。」誓も、「あ。」耀司、そんな汐梨の声に、困ったような顔で、「いやいやいや。だから~~。…それは…。」そこまで言って耀司、思わず難しい顔をして、「ん~~~。だから…。反射的に…???」汐梨、「…って言うか、普通なら体のあちこち。しかも…、睦美さんだって、何ともない。」睦美を見て、「先生からも言われたんでしょう。特に異常は…。」睦美、その声に、「え、え~~。」汐梨、目を丸く、そして口を真一文字に。そして耀司を見て、「さすがは黒帯。」瞬間、晄史、誓、睦美すらも、「え…???…あっ。」晄史、目を丸く、「あ。そっか~~。」すぐさまフィンガースナップ。高井戸さん、「柔道~~。」誓も睦美も、「あ~~~。確かに。」けれども耀司、顔をクシャリと。「いやいやいや。…そんな…。んな…。だって~~。それは…、学生の頃の~~。」汐梨、ぷ~~たれた声で、「いや。だって~~。階段から転がり落ちて、この状態。…でしょう~~。それに、睦美さんだって、特に~~。」耀司、すぐさま、右手を振りながら、「いやいやいや。…かかかか。買い被り過ぎだって~~。」汐梨、「まっ。兄さん本人の意識は、なかったにしても~~。ちゃ~~んと、体は分かってたんじゃないかな~~。それしか考えらんないよ。普通なら間違いなく、そんな…、誰かを抱き締めてなんて…、とんでも。それこそ、ふたり共に、今頃、病院のベッドの上~~。打撲以上に、骨折だってあったかも~~。」晄史、頷きながら、「うんうんうん。」そして、「高井戸さん、凄い。」瞬間、睦美、「晄史。そんな…、怪我している高井戸さんに凄いって。」汐梨、すぐさま、「まま。…でも、睦美さん、良かったよ~~。体、どこも~~。」そんな木守に睦美、また頭を下げて、「お蔭様で。」汐梨、耀司に、「…で、兄さん。立てるの…???」その声に耀司、「う…???…うん。」そして、椅子からゆっくりと。睦美、すぐさま高井戸に手を添えて…。高井戸の右半身を。ゆっくりと立ち上がる耀司。汐梨、「ほほほほほ。」静かに両手を叩いて、「や~~るぅ~~。…で、歩ける。」耀司、松葉杖を使いながら、一歩、二歩。「ははははは。うんうんうん。」けれども、「あ。…でも、明日になったら…。」晄史も睦美も、誓も、「あ、あ~~~。」「ま。」汐梨。「けど、まぁ。それは、それで…、明日からの…。」晄史、木守に深く頭を。「ごめんなさい。僕らがいて。」誓も、頭を。「ごめんなさい。」睦美も、「申し訳ありませんでした。」すぐさま汐梨、首を振り、「ううん。不慮だよ。」睦美も晄史も、「ふりょ。」誓、「あん。つまりは、どうしようもない事。」汐梨、「うん。誰のせいでもないって。まっ。睦美さんにぶつかった人も、今や、かなり落ち込んでいる、かも、知れないけどね~~。…もしかして…、あの時、私…???…ってね~~~。…けど、睦美さんも、誰から…。」睦美、その声に、顔を左右に、「えぇ。全く…。…とにかく一瞬でしたから。」睦美に汐梨、にっこりと。そして、「兄さん。じゃ、帰ろ。」耀司、そんな汐梨に、「お、おぅ。」そして、「うん。助かる。」「芙美花も、心配してるから~~~。勝臣には後で電話するわ。」耀司、「お、おぅ。」「今は沖縄に添乗だから。明日、帰ってくるけどね~~。そん時でもいっか~~。旅行中に、怪我した電話なんて。」晄史、「かつおみさんって…。」木守を見て。汐梨、晄史に、「私の旦那。東京には、私と旦那と、兄さんと芙美花しかしないから。麻沙美とね~~。」 ママでいい…。 vol,113. 汐梨、「階段から転がり落ちたって…。あ~~ん。」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2024.11.13
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睦美、「実は…。マテリカル・ゴールドって…、その前は、シャーマン・オッズと言うジャズバンドだったんです。」「シャーマンオッズ。」耀司。晄史、「な~~るほど…。」耀司、「…って言うか、みなさん、座りません…???」晄史、その声に、「あっ。」あちらこちらを見て。睦美、「あ。…確かに。この時間。」耀司、にっこりと。「えぇ。」そして睦美、仕方なさそうに。「その…、シャーマンオッズに、私が付き合っていた人がいたの。」誓と耀司、「えっ…???」誓、隣に座っている睦美に、「うそうそうそ。私、初めて聞く、そんな話。」睦美、誓に、「…ってか、敢えて話す必要ないし。」その声に口をへの字にして誓、顔をコクリとして引っ込めるように、「た、確かに。」耀司の左隣に座った晄史に、「晄史さんは、この話。」晄史、コクリと、「えぇ。知ってます。…けど…。その…、姉さんと付き合っていた人。」睦美、「亡くなりました。」ハッキリと。耀司、誓、「えっ…???」「うそ。」睦美、「1年前にね~~。」両腕を伸ばして、両手を組んで、それを裏返しにして。そして睦美、「私の…、好きだった人。…恋人~~。」腕を戻して睦美。そして、「ふふん。」右見て、左見て。顔を傾げても微笑みながら、「はは。言っちゃった~~~。はははは。」耀司、睦美に、眉間に皺を。「でも、そういうの、話して、良いんですか…???」睦美、そんな高井戸の声に、「…って言うかぁ~~。…でも…。」一気に目頭が熱く…。「高井戸さん、こんな風になっちゃったから。」いきなり喉の奥がゴクリと。「ん。」誓、「お義姉さん。」睦美、目尻から涙が。睦美、誓を見て、涙目でニッコリと。「へへ。」そして、高井戸に顔を。涙目になりながらに、コクリと。「ごめんなさい。」耀司、慰めるように、「そんな…。…無理しなくていいのに。わざわざ。」睦美、前を見て、少し、上を見ながら、「いいの。…だって…。この世には…、もぅ。いないんですから。」また、喉の奥をゴクリと。晄史、「姉さん。」睦美、「ALS…。何とか言う病気。…それも、難病。…筋、萎縮…何とか…。難しい病気。リハーサル中に…、いきなりショックで倒れて、そのまま病院に運ばれて…。…で、1年前に…。」耀司、「睦美さん。」「手も足も動けなくなって…。その内に…、言葉も…。」睦美。「話に寄ると、その難病に掛かっても数年は生きていられるって…。」睦美、上体を微かに前に、そして顔を下に。「…けど…。」一度、鼻を啜って。そして顔を左右に小刻みに揺らしながら、また顔を起こして、「早かった。…症状の進行が…。」また鼻を啜って。そして今度は顔だけを下に、両手を伸ばして両手握り拳を大腿に。震えながら…。耀司、そんな睦美を見て、「睦美さん。」誓、義姉の右肩に左手を。「お義姉さん。」睦美、けれどもその震えを止めて、一息吐いて、「ふぅ~~~。」そしてそのまま顔を上に。涙で濡れた頬。目を真っ赤にさせて、「5年。」耀司、睦美を見て、「5年…???」また睦美、鼻を啜って、「えぇ。…彼とは5年。…付き合ってた。」晄史、「結婚の約束もね。」耀司、いきなり晄史を見て。晄史、高井戸に顔をコクリと。耀司、また睦美を見て、「そうだったんですか~~。」睦美、ポツリと。「そんな彼が…、入院していた病院が…。…杉並総合病院。」瞬間、耀司、目を真ん丸に、「え゛っ…???」睦美、「…で、その病院で彼に良くしてくれた看護婦さんが、高井戸さんの。奥様。」高井戸をチラリと見てニッコリと。耀司、「え…???…ええええ…???」晄史も誓も、「うそ。」誓は睦美を見て、「ほんと…???」睦美、誓を見て、ニッコリと。「うん。…だから…。…あの時、一緒に食事した時…???…高井戸さんの写真、見た時、いきなりびっくりした。」晄史、「あ。そっか~~~。あの時。」睦美、「うん。…とにかく、彼に見舞いに行くと、殆ど、必ず、あの看護婦さんがいた。そして…、私が行くと、必ず、ごゆっくりと。って言って笑顔で、お辞儀をして病室を出る。何だか、毎回のルーティンみたいに…。」小声で耀司、「祐里子が…。」遠くを見るような目をして。「そうだったんだ~~。」いきなり、玄関とは違う方向から、「兄さん。」麻沙美を連れて。耀司、「あは。」汐梨、ゆっくりと4人の元に。ゆっくりとお辞儀をしながら。3人が椅子から立ち上がり、木守に深々と頭を下げて。晄史、「ごめんなさい。高井戸さんが…。」汐梨、耀司を見て、「どうしてこんな事に~~。」睦美、また頭を下げて、「ごめんなさい。私がわ。」耀司、「睦美さん。…んな事、ないって~~。」そして汐梨を見て、「あのね。」汐梨、「うん。」そして耀司、事の顛末を。晄史と睦美、誓を見ながら…。汐梨、「うんうん。」そして…。「うそ。え~~~~???」 ママでいい…。 vol,112. 睦美、「実は…。マテリカル・ゴールドって… 。」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2024.11.12
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芙美花、スマホを耳に、「何で、何で…???…何でそんなことに。」耀司、何とか、記憶を辿って芙美花に事の顛末を。芙美花、「病院って、まさか、入院…???」キッパリと耀司、「それはない。汐梨が今、こっちに向かってるから。」芙美花、その声に、「あん。うん。おばちゃんが行ってくれるなら。」いきなり睦美、高井戸に、「すみませんけど。」そう言ってスマホに手を差し出し…。目をパチクリと耀司、自然にスマホを睦美に、「あ、はい。」睦美、スマホを受け取って。「もしもし。眞鍋睦美と言います。今日は、おとうさん、申し訳ございませんでした。ごめんなさい。」スマホを持ったままで睦美、深々と頭を下げる。いきなり芙美花、目をパチクリと。「えっ…???…誰…???…女性の人。」瞬きしながらも…。何とか冷静に。目の瞳が…。「あ。…眞鍋さん…???」晄史も誓も、「姉さん。」「お義姉さん。」耀司も思わず、「睦美さん。」睦美、スマホに、「あ、すみません、いきなりで。あ、はい。私、眞鍋睦美と言います。本当にごめんなさい。私が…。」芙美花、話を聞いて、「あ。いえ…。…で、おとうさんの…、その…。具合は…。」睦美、「あ、はい。高井戸さん、左肩を打撲。…さっきも、高井戸さん、言ってましたけど…。左肩、ガッシリと固定されてます。それに…。右足の軽い捻挫。…階段から転がり落ちて。…あの、その時。私が…。」高井戸の傍にあるカバンを見て。耀司も自分のカバンを。そして、小声で、「これだよね~~。」晄史も誓も、「あ、あ~~。」睦美、スマホに、「私が階段の上で誰かから押し倒されそうに。その時に、高井戸さんのカバンのベルトを引っ張って。」そして睦美、また、「ごめんなさい。」耀司、そんな睦美に、「睦美さん。」右手を。睦美、ゆっくりとスマホを高井戸に。耀司、スマホに、「そんな訳だから。…今、言ったように、肩と足。その他は何とも。…肩は…、まぁ。」3人を見ながら、「1、 2週間は…。でも、足の方は…。数日で…。…だから、おま。あんまり心配しないで。」スマホから、「心配しないでって言われても~~。」すぐさま耀司、「はは。確かに。まっ。帰ったら、詳しく話すよ。」スマホから、「うん。分かった。」そして、「気を付けてよね~~。」耀司、「あぁ。じゃ、切るよ。」芙美花の声、「うん。」通話は切れる。晄史、姉に、「姉さん。」睦美、晄史を、そして誓と高井戸を見て、「あ、あ。あ、いや…。ほんとにごめんなさい。」耀司、「あ、いや…。でも。…そんなに…、睦美さんが謝らなくとも…。実際、睦美さんが悪い訳じゃ。」その頃、汐梨は車を運転しながら、後部座席には麻沙美が…。「んもぅ~~。何やってんのよ、兄さん。」病院のロビーで。晄史、「確か、あの時。」誓も、「うん。数人、どたばたと。」耀司、「…と、思ったら、いきなり…。」睦美、「誰かに…、体…。私の…、肩…???」「う~~ん。…と、思ったら、僕も…。」睦美、思い出しながら、「倒れそうになって…。咄嗟に、カバンのベルト。」高井戸のカバンを見つめながら…。「…で、僕も反射的に…。…でぇ~~。…それからが、どうなったのか…。」晄史、記憶を辿りながら、「何か…。高井戸さん、姉さんを抱き抱えるように…、かな…。」耀司、「はは。もぅ、完璧に…、憶えてないや。とにかく、反社的…、だったんだろうねぇ。」誓、「高井戸さん、足、痛みます…???」その声に耀司、「あ、いや…。…と、言うか、多分、動けば、また、痛みが…。今は、鎮痛剤。」晄史、「あぁ…、痛み止め。」「うん。」耀司、コクリと。誓、今度は、「肩は…。」耀司、顔を傾げて、「ん~~~。確かに。…普通じゃ、ないよね~~。何か、変な感じ。」そして、耀司、病院の中を。「はは。何だか、懐かしいや。」その声に3人、「えっ…???」耀司、3人に、「あ、ほら。僕のカミさん。看護師だったから。」「あ、あ~~~。」「確かに。」「ですね。」睦美、誓、晄史。耀司、睦美を見て、「あ。でも、睦美さん。ホールで何を。」瞬間、晄史も誓も、「あっ。」睦美、ドキン。「あ、あ~~~。」耀司、睦美を見て、「うん…???」睦美、口を噤んで…。けれども、「あ、あの…。その…。」そして…。「実は~~。…マテリカルゴールドって…。私の…、知り合いの…。ジャズバンドなんです。」瞬間、3人、「えっ…???」晄史、瞬きして、「えっ…???…それって。」誓、「お義姉さん…???」耀司、「睦美…さん…???」晄史、また瞬きして、「姉さん。…まさか…、それって…。あの…。…彼の…。」誓と耀司、「彼の…???」睦美、難しそうな顔をして…。…けれども…。「う、うん。」僅かに頭をコクリと。いきなり晄史、「そういう事~~。」誓、瞬きしながらも、「ぇえ…???…何…???…そういう事って…???…晄史。」 ママでいい…。 vol,111. 「何で、何で…???…何でそんなことに。」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2024.11.11
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走りながらの車の中で晄史、「す、凄い、走り。」誓、「ま。確かに、他の車は、脇に寄ってはくれるけど。…こんな、走り方、あり…???」幸いなことに、ある程度の渋滞は解消されてはいた。程よく。救急車は最寄りの病院に搬送。晄史、誓、病院に到着して、運転手に、「ありがとうございます。」晄史、「あのぅ。お名刺、頂けませんか…???」運転手、「あ、ごめんなさい。僕、名刺、持ってなくって…。あ、ちょっと待って下さい。」車のサイドボックスから小さなケースを。そしてその中から1枚を男性に渡す。「これです。」晄史、名刺を受け取って、「芸能プロダクション創健社(そうけんしゃ)マネージャー・辻元香世子(つじもとかよこ)…。」晄史、「ありがとうございます。」そして、晄史、誓、そのまま病院に…。そして、受付から案内されて…。「こちらでお待ちください。」30分後、ある診察の一室から出て来た睦美。ベンチに座っている晄史と誓、「姉さん。」「お義姉さん。」睦美、「あは。うん。」晄史、「どう…、だっ。」睦美、恥ずかしそうに、「う、うん。…特には…。…検査も、してもらったんだけど…。どこもなんとも。…って言うか、先生の方が、階段から落ちて何ともないというのも…。転がって落ちたんでしょって。顔を傾げてたけど…。」晄史、姉を見て、「ほんとに、どこも…???…何とも…???」睦美、実に、困ったように…。そして晄史に口を尖らせて、「う、うん。」そして、ハッキリと、「うん。…と、言うか、どこも痛くない。ただ…。…先生にも言われたけど、明日、もしくはその後に何かしらの異変が…、ある可能性も否定できないから、その時は、必ず病院へと。」晄史も誓も、頷いて、「うんうんうん。」「だよね。」「…と、言う事は…。」晄史、あちらこちら。そこは、緊急外来。晄史、あちこち見回して、ひとりの看護師を。「あ、あの。さっき救急車で運ばれて来た男性は。」看護師、「ご家族の…。」晄史と睦美、「あ、いえ…。知り合いで…。その場に一緒に。」「あ。それなら、今はまだ検査中で…。多分、MRI。…少しお待ちください。…あ。こちらでお待ちになって構いませんので。」そして…。再び待つこと30分。看護師から伴われての耀司。晄史、誓、睦美、「高井戸さん。」左肩をガッシリと固定され。そして、右手で松葉杖を。3人を見ての耀司、申し訳なさそうに、「はは。」晄史、「高井戸さん。」耀司、「左肩。」顔を傾げながらも、「…打撲だって。」3人、「打撲。」耀司、「右足は…。」また顔を傾げて、「軽い…、捻挫。かな…。はははは。」晄史、「打撲…。」誓、「軽い捻挫…。」いきなり睦美、高井戸にガッシリ頭を下げて、「申し訳、ありませんでした。」そんな睦美に耀司、にこやかに、「いえいえ。」振れるだけの左手をヒラヒラと。看護師、「先生も言われておりましたが、特に、入院する必要もないとの事で。」耀司、看護師に、「はい。ありがとうございます。」「ただ…、左肩の回復は…、1、2週間は掛かると思いますので。」耀司、看護師に、「ですよね~~。」耀司、そして3人に。「階段から転がり落ちて、この程度で済んだのは驚き。って。普通なら全身打撲。臓器にも異常は必然。って。まっ。踊り場で止まったのがせめてもの…、運かも。」看護師、「それじゃあ、ご案内します。」耀司、看護師にペコリと。「ありがとうございます。」晄史たち、高井戸の後ろから…。耀司、病院の中をあたらこちらと。そして、「はは。う~~~ん。」看護師、そんな男性に、「うん…???…はい…???」耀司、「え…???…あ。はは。いや…。なんでも。…なんだか、懐かしくって。」その声に看護師、「はぁ。」そして…。受付を…。全ての手続きを済ませて。耀司、3人に、「はは。これじゃあ…、食事どころじゃ。」気まずい雰囲気の3人。それぞれが、「う、うん。」耀司、椅子に座り、「っと~~。」バッグからスマホを。「とにかくっと~~。」スマホで…。「あ。もしもし、汐梨。」スマホから汐梨の声。耀司、「あのさぁ~~。」そして、今の状況と事の顛末を。いきなり、「え―――――――――っ!!!」耀司、すぐさま口をへの字に。スマホから、「どこどこ。どこの病院…???…今から行く。」耀司、「あ、あ~~~。」あちこち見回して、そして、今度は病院の領収書を。「え…、と~~。……。」すぐさま、「分かった。今から行く。そこにいて。」耀司、「あ~~い。」通話は切れる。晄史と睦美、「木守…さん。」耀司、コクリと。「うん。妹。すぐ行くって。…んでっと。」耀司、またスマホで。3回のコールで相手が出る。「もしもし、おとうさん…???」耀司、「あ~~、うん、おとうさん。あのね…。……。」するといきなり、「うそ―――――――っ!!!」晄史、高井戸に、「娘さん…???」耀司、晄史に、両眉を上下に。 ママでいい…。 vol,110. 晄史、姉を見て、「ほんとに、どこも…???」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2024.11.10
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ひとりの男性が隣の女性に、「救急車を。」女性、「あ、はい。」階段の踊り場で。晄史、「姉さんっ。高井戸さん。」ようやく耀司、「痛ってぇ~~~。」気が付いた耀司。すぐさま、自分の顔のすぐ下にある睦美の顔に、目を丸くして、「大丈夫ですか、睦美さん。」その声にようやく気付く睦美。目を開けて、「え…???…あ、あ~~。」耀司、体を起こして、「つぅ~~。ほぅ~~~。」睦美、すぐさま、「高井戸さんっ。高井戸さん。」耀司、その場に膝まづいて、両目を閉じて、そして開けて、「ほぉ~~~~。」睦美、ゆっくりと。晄史、誓、「姉さん。」「お義姉さん。」他の人たちも、「大丈夫ですか…???」睦美、すぐさま体を起こして、「私…。」体中を…、あちこちと。「なんとも…。」その声に耀司、睦美を見て、「ははは。良かった~~~。」晄史、「良かったじゃないですよ、高井戸さん、どこか…。」瞬間、晄史、高井戸の左肩に手を。耀司、「痛っ。…くぅ~~~。」耀司、晄史を見て、「どうやら…、肩、やっちゃったみたいですね~~。」晄史、ふぃに触れた手を引っ込めて、「あ。ごめんなさい。」睦美、膝まづいて、「高井戸さん。肩…???」晄史、周りに、「誰か、救急車を。」「あ。それならもう呼んでます。」ロビーは既にかなりの人数が…。耀司、そして晄史、誓が、その人物に顔を。耀司、その人物の顔を見て、「もしかして…。」晄史、「河原崎栄伍(からわざきえいご)。」誓も、「河原崎栄伍…???」階段の下にも群がっている。河原崎、踊り場の方に歩み寄り、「大丈夫ですか…???」階段を見て、「どうやら…。」そして、「今さっき、救急車は呼びました。」後ろを振り返り。女性も、コクリと頷き、「もう間もなく、ここに…。」晄史、「あ、でも…。2時間ほど前にこの近くで事故が…。」河原崎、「大丈夫かとは、思いますが…。緊急車両ですから。…それはともかく…、おふたりとも、怪我…。」そんな河原崎に耀司と晄史、そして誓、それぞれの頭の中に、「…どうして…、この人が…???」河原崎栄伍。タレント、俳優である。昨今、ドラマや映画には出演はしていないが、バラエティ番組やその他の特別番組などには引っ張りだこである。レギュラーを数本掛け持ちしているという芸能人である。恐らく、この人物目当てのロビーの混み様である。踊り場に今度は座ったままで睦美、「高井戸さん。」その声に耀司、睦美を見て、「ははははは。うん。睦美さん、何ともなくって。」睦美、その声に、「えぇ。」誓、「でも、お義姉さん。大丈夫って言っても…。」耀司、自分から立ち上がろうと…。すると、今度は右足が…、「あた。」晄史、「えっ…???」誓、「高井戸…。」耀司、「あ、いや…。大丈夫です。少しチクンとしだけで…。」その場で軽く、足踏み。「うんうん。多分…、OK…???」河原崎、「…けど…。もう間もなく救急車。とにかく、病院へ。」その内に、外で救急車のサイレンの音。誓、「あ、来た。」河原崎の付き人のような…。女性が、救急隊の先導を。晄史、「高井戸さん。」そして救急隊員に、階段から転がり落ちて。晄史、高井戸を支えるように。「とにかく高井戸さん。」耀司、「あぁ。あ~~。はい。」誓は睦美を。「お義姉さん、とにかく、大丈夫とは思うけど。高井戸さんと一緒に。」そして救急隊員に、「この人も落ちた当人です。どこもなんともないとは本人、言ってますけど。」救急隊員、「歩けますか…???」睦美、「えぇ。」「とにかく、一緒にお願いします。」睦美、どうしようもなく、「えぇ。…あ、はい。…分かりました。」耀司はストレッチャーに。そしてそれに付き添うように睦美が…。晄史、救急隊員に、「僕たち、後から追い駆けます。」ストレッチャーはそのまま救急車に。晄史、河原崎に一礼して、「ありがとうございました。」河原崎、微笑んで、「いえいえ。お大事に。」誓も、ペコリとお辞儀を。晄史、誓に、「タクシー、捕まえて。」誓、「あ、うん。」「あ、それなら。ちょっと待って。」河原崎の付き人らしき女性、スマホで。…そして…、「えぇ。お願い。」すぐさま駐車場の方から1台の車が。女性、後部座席のドアを開けて、「乗って頂戴。タクシー捕まえるよりこっちの方が遥かに早い。」そして運転手に、「菅波(すがなみ)君、あの救急車、追い駆けて頂戴。」そして、「くれぐれも、安全運転で。」菅波と呼ばれた運転手、男性である。女性に、「あ、はい。分っかりました。」女性、「お願いね。」後部座席に晄史と誓、ふたりに、「ありがとうございます。わざわざ車まで。」「うんうんうん。すみません。甘えま~~す。」救急車が出る。それに合わせて晄史と誓の乗った車も。晄史、誓、「おっと。」「わっ。」大通りに出て、そのままサイレンを鳴らしながら…。運転手の男性、「すみません、シートベルトお願いします。」晄史、誓、「あ。すみません。」「あ、はい。」 ママでいい…。 vol,109. ひとりの男性が隣の女性に、「救急車を。」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2024.11.09
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匠哉、「新たなメンバー。ルマンダ・蛯原(ルマンダ・えびはら)。」両手をルマンダに。緒方、「阪部が…。」そこまで言って、一度顔を伏せるが、顔を上げて、「眞鍋ちゃんには、申し訳ない。」その声に睦美、右手を振って、「いえ…。」「ある人から紹介で、俺たちと一緒にって。」ルマンダ、女性にニッコリと。そして、右手を差し出して、「こんにちは、初めまして、ルマンダ蛯原と言います。」そして匠哉と佐名木原を見て、「もしかして…、阪部さんと言う人の…。」稜平、「そう。恋人。」瞬間、ルマンダ、目を真ん丸にして、「へぇ~~~~。わ~~お。奇麗な人~~。」その声にメンバーたち全員笑顔で、「ははははは。」ルマンダ、「阪部さんの事は聞いているんです。演奏もビデオで見て、凄い人って。」そしてルマンダ、「そっか~~~。阪部さんの~~。」緒方、「眞鍋睦美さん。」ルマンダ、「まなべ、むつみさん。」稜平、「元、ピアニスト。」その声にまたまたルマンダ、「わ~~お。凄~~い。緒方~~。」緒方、そんなルマンダを見て、「はははははは。」睦美、畏まりながらもメンバーたちを見て…。少し目を潤ませながらも、「みんな…。元気そうで…。」稜平、そんな睦美を見て、「ははははは。泣くなよ眞鍋ちゃん。」緒方も、「はははは。…時間は…???…あるなら、部屋で少し。」バッグからハンカチを。そして鼻の下に、睦美。そして顔を左右に、「あ、うん。…ありがと。…でも、今、人を待たせてるから。」佐名木原、「おっと~~~。」何かしら両眉を上下に。稜平、「まっ。眞鍋ちゃん、奇麗だから~~。阪部がいなくとも…、充分に。」そんな稜平に緒方、「おぃおぃ。まだ、あれから1年だぞ。」睦美、「あん。それは…。もぅ…。今、弟と弟のお嫁さん、待たせてるの。」匠哉、「おっと~~~。そっち…???」「それと…、もうひとり…。」佐名木原、「もうひとり…。」睦美、「あん。このコンサートを知らせてくれてチケットと予約してくれた人。大のサックスファンなの。」瞬間、ルマンダ、「わ~~お。嬉しい~~。」そして眞鍋にいきなり抱き付く。いきなり目をパチクリの睦美。緒方、「かかかかか。ルマンダはとにかく体で表現するから。」他の3人も腕組みしながらニコニコと。ルマンダ、眞鍋から離れて、「その人って、男性でしょ。」睦美、思わず、「えぇ。」そしてニッコリと、「弟が、友達になってくださいって。…それから弟と弟の嫁と一緒に付き合わせてもらってるんだけどね。」緒方、「へぇ~~~。」そしてニッコリと。「んじゃ、大切にしなきゃ。」その声に睦美、「えっ…???」稜平と佐名木原、「だ~~ねぇ~~。日本人でしょ、その人。」目をパチクリと睦美、「えぇ。」匠哉、「なら、尚更じゃん。」瞬間、睦美。「えっ…???…いや…。なら、尚更って…???」匠哉、睦美を見ながら、「いや。だって眞鍋ちゃん、俺と同い年じゃん。」「そうだけど…。」ルマンダ、「あ、は~~ん。な~~るほどね~~。」そしてルマンダ、「うんうんうん。大事にしてあげて~~。ふふふふ。」佐名木原、「ルマンダはアメリカにフィアンセがいるんだ。来年の春には結婚。」睦美、目を真ん丸に、「あら~~。」稜平、「そうなると、メンバー全員が所帯持ち。…つまりは、既婚者って事に。」匠哉、「だから~~~、眞鍋ちゃんも~~。」睦美、匠哉を見て、「うそ。匠哉君、結婚…???」メンバーたち、ひとりひとりを見て。メンバーたち、それぞれが頷く。緒方、「阪部が亡くなってから半年後にな。逆に、結婚、延期にしようって考えもあったんだけど、そんな事したら阪部に怒られるって思ってな。俺たち、メンバーの事、大切にしてたあいつだったから。ある意味、ムードメーカーな。」稜平、「だから~~。匠哉と同い年。眞鍋ちゃん、奇麗なんだから~~。折角知り合えた人、大切にしな…。」誓、睦美を見て、「あ、来た来た。」耀司、晄史も顔を…。「はは。」3人共に、階段の傍で。睦美、3人に、「待たせてごめ~~ん。」そして高井戸の傍に。「高井戸さん、申し訳ありませんでした。」高井戸にペコリと。その時、数名の人が階段に。「きゃ――――――っ!!!」瞬間、睦美、左肩がぶつかり倒れそうに。一瞬だった。睦美が高井戸の左肩に掛けていたショルダーベルトを右手で。けれども睦美が倒れそうに、その勢いにふいを突かれた耀司もそのまま引っ張られて、ふたり諸共階段を。目を疑った晄史と誓、「うそっ!!!」耀司と睦美、ふたり共に階段から。気付いたら、階段の踊り場で…。睦美が下に。耀司は睦美の上に。晄史、「姉さんっ!!!」誓も、「お義姉さんっ!!!」階段を降りた数人が、後ろを見て、「えっ!!!」その場に晄史、「姉さんっ。高井戸さんっ。」数人が階段の踊り場に。「大丈夫ですかっ???」1階のロビーのその状況に騒然。「何…???」「何々…???」 ママでいい…。 vol,108. 少し目を潤ませながらも、「みんな…。元気そうで…。」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2024.11.08
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ハンドのリーダーはピアノの緒方邦治(おがたくにはる)ではあるが、コンサートの間中、常にセンターでサックスを演奏しているルマンダ・蛯原(ルマンダ・えびはら)がコンサートを仕切っている。しかも、この人は歌も歌えるのではないかとも思わせる美声の持ち主で、聴く人の耳に心地良く届く声。衣装も派手ではなく、確実に動きやすい服装で。ギターとベースとの楽曲を通してのパフォーマンスも絶好調で、演奏された楽曲毎に割れんばかりの拍手喝采がホール内を包み込んでいた。最後の曲はバラード。そしてアンコール曲は2曲。4人は知らなかったが、この2曲のどれもが知る人ぞ知る国内でも大ヒットした曲なのであった。耀司、「終わったか~~~。」晄史、「ですね~~。」誓、「何だか、まだまだ興奮冷めやらぬって感じ。」耀司、そんな誓の声に、「ははははははは。」そして、「さてと…。」3人に顔を。「これから、皆さん、ご予定は…???…もしなかったから、一緒にお食事。」晄史、高井戸を見て、「いいですね~~。」誓も、高井戸を見てニッコリと。「うんうんうん。」睦美は黙ってまだ前を…。そんな睦美を見て耀司、「睦美…さんは…。…うん…???」黙って前を向いている睦美。晄史が、「姉さん…???」誓も、「お義姉さん…???」耀司、再び、「睦美さん…???」その声に睦美、ようやく気が付いて、「えっ…???…はっ…???」高井戸を見て晄史を見て。晄史、姉に、「姉さん、これから高井戸さんと一緒に食事。」睦美、その声に、「あ、あ、あ~~~。」瞬きをして…。「あの…。」睦美、高井戸に、「あの。…すみませんけど…。ちょっと用があるんですけど…。」耀司、その声に、「あ、はぁ…。」晄史、姉に、「姉さん…???」睦美、「ちょっと…、ごめんなさい。少し、時間頂戴。」その声に耀司も晄史も、「え…???」そのまま席から腰を上げて、「ちょっと私、行くとこある。」晄史の前、そして誓の前を…。晄史、「ちょっと、姉さん…???」誓も、「お義姉さん…???」睦美、晄史と誓に、「ごめん、ちょっと待ってて。」そして…、そのままホール内の通路を。晄史、「あ、あ。…行っちゃった~~。」顔を傾げて、「どうした…???」誓を見て。誓、顔を左右に、「分かんな~~い。」晄史、高井戸を見て、ペコリと。「すみません。」耀司、その声に、右手をヒラヒラと、「いえいえ。…けど…、睦実さん、何…???」小走りに通路を行く睦美の後ろ姿。けれども、すぐさま他の人の姿で消えて。晄史、「どうしたんだろ…。」耀司、「とにかく…。ここで待っていても…。…出ますか。」晄史、誓、「そうですね。」「ですね~~。」ホールの外に睦美。そして、アチコチ探して…。スタッフらしき人に、「あ、あの…。」スタッフ、「あ、はい。」「マテリカルゴールドの控室って…。」「あ~~。はい。…あの。ご案内致しましょうか。」その声に睦美、「あ、はい。ありがとうございます。」「別の方になりますので。」「あ、はい。ありがとうございます。」スタッフ、もうひとりのスタッフに、「案内してきます。」そして、「こちらからです。」2階のロビーは客でごった返している。その中をスタッフに伴われて…。その時、晄史が睦美を見つけて、「あ、姉さん。」睦美、その声には気付いて晄史にニコリと。そして右手を掲げて…。晄史、「姉さん、何処に…???」誓、「今、誰かの後ろを…。」顔を傾げる。耀司、「少し、ここで待ってましょう。」晄史、「あ、はい。」マテリカルゴールドの控室。既に何人かのファンが…。メンバーたち、そんなファンの色紙にサインを。その時、ひとりの男性が…。「うん…???…もしかして…、眞鍋ちゃん…???」ドラムの池内稜平(いけうちりょうへい)である。そしてリーダーの緒方に、「おぃ。あれって…。眞鍋ちゃん…???」すると緒方、稜平の向いている方向に顔を。「えっ…???」すぐさま笑顔で、「はは。」稜平が今度はベースの佐名木原神谷(さなぎはらこうや)とギターの結城匠哉(ゆうきたくや)に。ふたり、共に、睦美の顔を見て手を。そしてふたり共に、「緒方~~。」緒方、「おぅ~~。はははは。」睦美、メンバーから合図されてそのまま。ファンは色紙にサインを貰って大喜び。そしてスマホで写真を。握手をしてメンバーから離れる。ふたりくらいのファンに…。睦美メンバーたちの近づきお辞儀を。緒方、「ちょっと待っててねぇ。」そして、最後のひとりとスマホで写真を。握手して睦美の前を…。稜平、「いやいやいやいやいや。眞鍋ちゃん。うん。はは。久し振り~~。と、言うか、ご無沙汰…???」緒方、「何々~~。元気だった~~???」傍にいるルマンダだけが口を噤んで目をパチクリと。ギターの結城匠哉(ゆうきたくや)。ルマンダに、「紹介しよう。」 ママでいい…。 vol,107. 耀司、「終わったか~~~。」晄史、「ですね~~。」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2024.11.07
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耀司、「かかかか。知らないで予約したんですけど、それから調べてみたらビックリ。」睦美、「えっ…???」晄史も、「高井戸さん…???」「ははは。僕、サックスの渡野辺佳津夫(わたのべかずお)の大ファンなんです。」睦美と晄史、「わたのべかずお。」誓、「あ~~。はいはいはい。有名なジャズミュージシャン。名前だけは知ってます。」晄史、誓に、「えっ…???…誓、知ってるの…???」誓、コクリと。「うん。…だから、名前だけ。曲は聞いたことはないけど…。ジャズやフュージョンの世界では有名~~。」晄史と睦美、高井戸を見て、「へぇ~~~。」耀司、「御年89歳。…けど、まだまだ現役。僕が夢中になったのが18歳の頃、ノベカズのフリーマンアクセルって曲があるんですけど。まっ。あの頃に…。あ。ノベカズって言うのが渡野辺佳津夫(わたのべかずお)の…、まっ。何て言うか、ニックネームかな。名前を略してのね。」睦美も晄史も、「ノベカズ。」「わたのべかずお。だから、間を取って、ノベカズ。」誓、「あ~~。はいはい。今でも言いますよね。」晄史、誓を見て、「誓、詳しい~~。」そんな晄史に、左手を振って、「いやいやいや。だから、曲、聞いたことがないって。名前と顔くらいは知ってる~~。」耀司、「その、フリーマンアクセルが大ヒットしましてね。CМでも使われて。」睦美と晄史、「へぇ~~~。」耀司、思い出しながら、「あの当時、レコード、買っちゃってましたね~~、ははははは。まっ。今から30年近く、前になりますけど…。」そして耀司、「でぇ~~。そんなノベカズを師事したのが…、マテリカルゴールドのリーダーの緒方邦治(おがたくにはる)。いやいや、この人、バンドではピアノ専門なんだけど、何々、何でも熟せるんだって。凄ぇやって思って~~。」その話に睦美がドキン。晄史、「へぇ~~。そうなんだ~~。」「でぇ~~。またまた驚いたのが~~。サックス奏者が女性。」瞬間、睦美、「えっ…???…うそ。」高井戸を見て。晄史も、「サックス奏者が女性…???」耀司、コクリと、「えぇ。」誓、「うんうんうん。ホントだ~~。」晄史、「かかかかか。僕は調べてなかった。とにかく、見て聞いてのリアル感、大事にしたいから。最初っから調べちゃうと。とにかく、圧倒さをって。僕は。」耀司、「あ~~。うんうんうんうん。分かります。…でね。」耀司、そこまで言って、少し体を前に。睦美と晄史を見て、「あ。…じゃあ~~。後は~~。聞いてからのお楽しみって。」睦美、いきなり、「え~~~~???…そこまで…。」耀司、思わず、「かかかかかか。」晄史、「姉さん、ごめん。」睦美、晄史に、「あんたがそういう事、言うから~~。」誓、「ルマンダ・蛯原(ルマンダ・えびはら)。サックス。うんうんうん。女性だわ。アメリカでジャズミュージシャンとして活躍。」スマホで検索して。耀司、「当たりです。」睦美、「そんな人が…、マテリカルゴールドに…。」晄史、姉に顔を。「姉さん、マテリカルゴールド、知ってるの…???」瞬間、睦美、「えっ…???へっ…???」いきなり照明が…。耀司、「おっと。」誓、「始る~~~。」晄史も、「うんうんうん。」睦美、思わず鼓動が…。緞帳がゆっくりと…。そして…、ドライアイスの煙がステージ上を。すると、今度はコンガの小刻みなリズム。サンバのリズムである。1分程コンガが続いたかと思うと、今度はベース。同じく1分程度。そして…、いきなキーボード。…かと思ったら、そのままサックスが重なる。いきなり観客席から拍手とフィンガーホイッスル。そして、ギターとも重なる。耀司、「かかかかか。いきなり来ましたね~~。」睦美、「凄~~い。」晄史も、「わ~~お。この迫力~~。」誓、「うんうんうん。」耀司、「これは、聞き応え充分。」睦美も、「うんうんうん。」オープニングはサンバの曲で始まった。そして、終わったかと思うや否や、今度はギターの唸る音から始まり、そのままドラムが重なっての曲。晄史、「あれ…???…この曲…。どっかで…。」すると睦美、思わず、「わっ!!!」耀司も、「あれ…???」すると、「あ~~~。はいはいはい、テレビの車のCМ~~。」睦美も晄史も、「うんうんうん。」晄史、誓に、「ほらほらほら。カツマのCМ~~。車の名前までは分かんないけど、このCМの曲、いいわ~~ってふたりで。」誓、顔を傾げて、「うん…???」睦美、「夜の10時頃に見るよね~~、あのCМ~~。」いきなり誓、「あ。はいはいはい。うんうんうん。確かに~~~。はははは。」耀司、「かかかかか。みなさん、ご存じのようで…。」睦美、「へぇ~~~。あのCМの曲~~。この人たちの~~~。」4人共に、アンコール、そして終演まで一切席を立つこともなく、コンサートを堪能したのであった。 ママでいい…。 vol,106. 「ジャズやフュージョンの世界では有名~~。」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2024.11.06
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そして…。あっと言う間に、ジャズコンサート当日。高井戸より早く到着した晄史と睦美。「品川のマリアナホール。」晄史。睦美も、「うんうんうん。」「なんか、凄いトコだよね~~。」「ねぇ~~~。」ふたり共に辺りを見回しながら。晄史、「や~~っぱ。ネットで画像を見るより、実際に来て、スケール凄いわ。はははは。」睦美も、「うんうんうん。」「こ~~んなトコで、ヴァリエットのステージ、やってみたいな~~~。」そんな晄史に睦美、ニッコリと。そして…。晄史のスマホにライン。誓からである。「後、10分くらいかも…。…って、混んでる。」耀司もタクシーの中で運転手に、「混んでますね~~。」運転手も、「そのようですね~~。普段は、そんなに混まない道なんですけど…。」その声に耀司、「へぇ~~~。」タクシーの後部座席で誓、スマホの画面を見ながら…。すると、ピコン。「えっ…???…品川………。乗用車と貨物トラックの衝突事故。え―――――――――っ!!!」全く車は動かない。誓、腕時計を見ながら、「ヤッバ~~~。」晄史、「うそ。姉さん、あれ…。」睦美、「うん…???」ホールの電子掲示板で、「品川………。乗用車と貨物トラックの衝突事故。」晄史、「わお。…って、すぐ近く…。」睦美、「誓、大丈夫かしら。…それに、高井戸さんも…。」タクシーの運転手、無線の声に、「道理で~~~。」誓、タクシーの運転手に、「すみません、ここで降ります。全然動かないもん。」運転手も、「すみません。申し訳ない。この分だと。」そして誓、タクシーから降りて歩道に…。「もぅ~~~。」すると…。「お~~い、誓さ~~~ん。」誓、その声に振り向くと、「へっ…???」そして、走ってくる人を見て、「あは。高井戸さん。」耀司、誓に駆け寄り、「へぇ~~~。いやいやいや。タクシーの運転手から、お客さん、その先で事故、あったらしいです。ちょっとやそっとでは~~。時間もないからタクシーから降りて。」誓、ニコニコと、「うんうんうん。私も同じ~~。」「晄史さんから、先に入って待ってるって。」誓も、「うんうんうん。私にも同じ。」耀司、誓に、「行きましょうか。」「はい。」そして…。耀司、誓、共々、「わお。」「凄い。」耀司、誓に、「ははははは。初めて来た。」誓も、「私もです。」中に入ってまた、「へぇ~~。」耀司。「凄~~い。」そして…。ふたり共に中を見回して…。耀司、「お~~~。」誓、スマホで。ホール内の案内板を見て、耀司、「あっちですね。」歩きながら…。ふたり、階段を上って2階に。誓、階段を上りながらも、「わお。お洒落な階段。踊り場にもなってる。」耀司、「ははは。うんうんうん。まっ。こけら落としが2年前って言う話ですから、新しいですよね~~。」誓も、「うんうんうん。ですよね。」そしてふたり共に2階に。ドアを開けて、「へぇ~~ぇえ~~。」耀司。誓、「どこ…???」耀司、確か…。誓のスマホにライン。誓、画面を見ながら、「…と、言う事は~~。」耀司も、「あっちですね。」誓、頷いて。そして…、あるきながらも…。やがて、手を振るひとりの男性。誓、「あは。いたいた。」耀司も、「お~~~。はははは。」晄史と睦美の席に。耀司、「ふぅ~~~。」誓、「はぁ~~~。やっとこさ。もぅ~~~。近くまでタクシーで。全然動かないんだも~~ん。」耀司、「かかかかか。焦りましたね。」晄史、少し、座席に体を深く、そして、「高井戸さん、どうぞ。」耀司、「あ、あ~~。…じゃあ。はい。すみません。」晄史と睦美の前を…。そして睦美の左隣の空いている席に。そして誓は通路側。晄史の右隣に。睦美、高井戸に、「間に合って良かったです。」耀司、「いや、すぐ目の前だってぇのにいきなり、お客さん、その先で事故のようですって言われて、うそ。」誓も、「うんうんうん。タクシー降りちゃったよ。そしたら、偶然、後ろから高井戸さんの声。」晄史、誓を見て、「わお。」睦美、誓を見て、そして高井戸を見て、「もしかして…。そこから歩いて…???」耀司、「あ、いや…。思わず走っちゃいました。200メートルくらいかな。」誓、「ですよね~~。」晄史、「何と。」誓、前を見ながら、「…って言うか、ここ、凄いよね~~。何ともスケール~~。」晄史も睦美も、「うんうんうん。」「建物の外見から凄かったからびっくり。こんなとこ、あったんだ~~って。」耀司、座席に座り直して、「まっ。何とか間に合って良かった。あと15分。」睦美と晄史、「えぇ。」「はい。」晄史、高井戸に、「高井戸さん、マテリカルゴールドって知ってます…???」耀司、その声に、「いえ。知らないんですけど、結構、有名なジャズバンドなんですね~~。」その声に睦美、ドキン。 ママでいい…。 vol,105. 晄史と睦美。「品川のマリアナホール。」※※※※※※※※※※※
2024.11.05
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いきなり晄史の高い声、「へぇ~~~。それは凄い。仕事が忙しい。」「えぇ。お蔭様で。」その瞬間、また耀司、欠伸が…。それを堪えて。そんな顔を見ての芙美花、「ぷぷぷぷ。目ぇ、真っ赤。欠伸、堪えた。かかかかか。」耀司、スマホに、「何故か分かんないですけど、急に仕事量が増えまして。ここ、1週間ほど…???…かかかかか。お蔭様で、いつもの寝る時間…、外。」「寝る時間…、外…???」晄史の声。「あ~~。」耀司。「かかかかか。つまりは、寝るの、深夜、通り越しちゃってますね~~~。」いきなり晄史、「え――――――――っ!!!」その声にキッチンの睦美と暁美、「うん…???」晄史、「寝るのが深夜…、通り越してる…???…凄いや。…って言うか、高井戸さん、体…、大丈夫ですか…???」その声に睦美と暁美、顔を見せ合って、「寝るのが深夜って…。」「まぁ…。」耀司、ルンバが足元で、「おっと。」そして、「…と、言っても、何だか、懐かしくって。」スマホから、「懐かしい。」「今の会社、立ち上げた時も、こんな感じだったんです。」「へぇ~~~。」「晄史さん、今日も仕事…???」その声に晄史、「あ、いえ…。今日は、誓と買い物する予定があって。仕事は休みです。午前中に出掛ける予定です。」耀司、「はは。いいですね~~。」晄史の声、「今日は高井戸さん、何か予定は…???」その声に耀司、「ま。僕の方は、日曜だけど、仕事になると思います。納期に間に合わせないと…。…と、言うか、こういう状況、そんな、長くは続かないとは思いますけど。多分、イレギュラーかと。」「大変ですね。」「娘からは体、動かさないとって、今、言われたばかり。」「へぇ~~~~。」晄史の声。耀司、「楽しい買い物にしてください。」「はい。ありがとうございます。それじゃあ、また。」耀司、芙美花を見て、「はい。電話、ありがとうございました。」通話は切れる。キッチンで芙美花、「電話、その…、眞鍋さん…???」耀司、「あぁ。ヨシカワの音楽教室の眞鍋さんの弟さん。」芙美花、頷いて、「ふ~~ん。」そして、「はい、バセットもご飯にしよ。」その声にバセット、「ワン。」そして自分の席から立ち上がり朝の食事。洗い物を済ませての暁美と睦美。暁美、「何だい、高井戸さん、深夜になってから寝るって~~???…大変だねそりゃ。」その声に晄史、「うん。まっ。でも、会社、立ち上げの頃みたいで懐かしいんだって。」「おや。」暁美。「会社、立ち上げって、前々からあった会社じゃないのかぃ。」その声に晄史、顔を傾げながら、「ん~~~。そこまでは話…、聞いてないけど…。」睦美、「洗濯物…っと~~~。」「ふ~~~ん。お義兄さん、ジャズコンサート。品川の…???」勝臣。「うん。」汐梨。「ヨシカワの眞鍋さん。ん~~~。顔、忘れちゃったけど。」「かかかかか。最近、パパ、ヨシカワ行ってないもんね。」「うん。」そして勝臣、「まぁ。…でも、ママから聞いたあの事…???」汐梨、その声に、「あ、うん。」「できればね~~。」お味噌汁を吸いながら、「叶えて欲しいとは思うんだけどな~~~。」汐梨、その声にニッコリと、「うん~~~。」けれども、「でもね~~。結構、あぁ見えて、兄さん、鈍なところ、あるから。」勝臣、「かかかかか。…って、笑っちゃ~失礼だけど。ん~~~。確かに。芙美花ちゃんから、おとうさん…???…って。」その声に汐梨、両眉を上下に。「ふん。」「まっ。…けどな~~。電気、機械に関してはとにかく凄ぇもんな~~。この人、プロかぃって、お手並み。」汐梨またもやニコニコと、「うんうんうん。」「何とか…、眞鍋さんと、しっかりと鞘に収まってくれれば、ありがたい限り。」汐梨、いきなり、「…って、パパ。本人には、言わないでよ~~。まっ。芙美花には話してあるけどさ~~。兄さん、まだ、それに気付いてないんだから~~。」そこまで言って汐梨、「…ってか。眞鍋さん、弟さんも、意外と…、そこまで考えて、るのかな…???」勝臣、「うん…???」汐梨、顔を傾げて、「…ってか、分かんないけど…。…だって、そもそもよ。」妻の声に勝臣、「うん。」「まっ。確かに~~。ジャズフェス…???…偶然に会って、そのまま食事。うんうん。分かる。まぁ。眞鍋さんの弟さんから誘われてって事で、食事、したみたいだけど。」勝臣、頷いて、「うん。」「けどさ。その後、これまた偶然に芙美花の吹奏楽の定期演奏会…???…それだって、普通…、自分の姉を誘ってまで来る…???…普通なら、自分だけで…。ま。確かに、自分ひとりで行くのもって言うのも、ありそう…かも、知れないけどさぁ。あの時は、奥様の方は仕事で抜けられなくって~~。」その話に勝臣、「ん~~~~。」 ママでいい…。 vol,104. 「急に仕事量が増えまして。」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2024.11.04
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そして…。来る日も来る日も耀司、汐梨から家事の教育。そして…、麻沙美の保育園のお迎え。ヨシカワ音楽教室には週に2回。耀司、「…って言うか汐梨~~。木守家の家事は、大丈夫なの~~???」そして、耀司、「ふぁ~~~。」と、欠伸。そんな声に汐梨、逆に、「な~~に言ってるかな~~。私は芙美花の為にやってるの。かかかかか。兄さんひとりだったら、逆に、家政婦雇ったら~~って、見放しちゃうわよ。兄さんの人生でしょって。…って言うか、兄さんが今もこうやって家でちゃんと生活出来るって言うの、事実上、芙美花がしっかりしているから、こそなんだからね~~。洗濯なんか、朝早く起きて、ちゃ~~んとやってんだから~~。しかも、朝食の準備まで~~。普通、高校生がここまでやるぅ~~~???…まっ。最近じゃ、私が明日の準備して帰るから~~、その分、芙美花は楽になっているはず。なんだけど~~。」そんな話に耀司、「はいはいはい。すみません。その通りでございます。」ペコペコしながら。「…って言うか。」汐梨、耀司を見て、「何さっきから欠伸ばっか。」耀司、「うん…???…あぁ。…いや。まっ。何て言うか、その~~。仕事がさぁ~~。」「ふん。」「何故か一昨日辺りから、受注が多くって。」その声に汐梨、「あら。」「他のスタッフに回そうってラインしたんだけど、何でか、他のスタッフも新しい仕事が次々とって。…だから、他のスタッフにも仕事、回せない状態。な~~もんだから~~。しかも…、納期にも間に合わせないと…。…と、なると、夜中にまで仕事…。」「へぇ~~~。…と、なると、会社だったら、つまりは、残業…???」「まっ。家でやっている仕事だから、元々残業なんて付かないけど。…時間配分がね~~。昨日は、終わったの深夜2時。」「うそ。」「まさか…、こんな受注…、そんなに続かないとは思うけど…。…ただ。…他のスタッフも同じ状況…、と、言うのがどうも、気になる。」「何でなの…???」耀司、両手を挙げて、「さあ。」ただ…。そんな耀司の仕事は…。と、言うより、株式会社ウェルストン、耀司意外の他のスタッフたちも同じように、その後、1週間は続いた。その度に耀司、リビングでは、「ふぁ~~~。」欠伸が…。芙美花、「おとうさん。そんなだったら、もう少し寝てたら~~???」その声に耀司、乱れた髪のままで、パジャマのままで、「いやいやいや。そんな訳には…。」そして、またひとつ、「ふぁ~~~。仕事が遅れてクライアントに迷惑は。」そして耀司、「かかかかか。会社、立ち上げた時のあの頃みたい。」芙美花、「あ~~、うん。確かに。」株式会社ウェルストン。元々は、会社自体、産声を上げたのは今から6年程前である。IT関係の企業に属していた耀司ではあったが、ここでは自分の力が発揮出来ないと、元々大学時代に交流していた仲間たち数名とで株式会社ウェルストンを立ち上げたのであった。元々、その道のプロであり、立ち上げからの業績は右肩上がり。但し、スタッフたちは、「まさか、これほどまでに…???」業績は上がるものの、疲労感もあった。但し、その頃は自分たちの力が思う存分発揮出来ているという達成感もあり、疲れもいつの間にか癒えてはいた。耀司、30代後半。ただ、それから数年で新型コロナの時代が訪れてくるのだが…。「…って言うかさ~~。今日、日曜日なんだから~~。少しは体、休めてよね~~。家で仕事だからっておとうさん、それを良い事に日曜日も仕事してるでしょう~~。少しは運動してもいいんじゃない~~~???…友達のおとうさんは、日曜日はゴルフ~~~ってぇ。まっ。おとうさんの場合、昔取った杵柄で、黒帯で鍛えても、いるから~~。大丈夫だ。とは、思うんだけど~~。」芙美花、ヒョットコのような口をして顔を傾げて。耀司、こちらも顔を傾げて、「ん~~~。ま。確かにね~~。鍛えている…、ちゃ~~。…とは、言っても、何年になる…???…あれから…。」と、変顔。芙美花、「…って、おばちゃんだって心配してんだから~~。」耀司、コーヒーを飲みながら、「ん~~~。まさか、1週間も続くとは…。なぁ~~~。いきなりドド~~ンと~~。」そんな耀司にラインの電子音。「おっと~~。うん…???」そして…。「はい。高井戸です。おはようございます。」スマホから、「おはようございます。晄史です。」耀司、「はいはい、おはようございます。…どうしました…???…はははは。朝早くから。」晄史、「高井戸さん、朝ごはん。」「あぁ、えぇ~~。」空になった皿や茶わんを見て、「終わりましたけど…。」晄史の声、「どうしてるかな…、と、思って~~。」「はははは。うんうん。まぁね~~。仕事…、忙しいです。はは。」 ママでいい…。 vol,103. 耀司、「ふぁ~~~。」と、欠伸。※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2024.11.03
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生野、「眞鍋さんには、いつでも教室空いている時にピアノ、弾いてもいいですよって言ってますから。」宮下、生野に、「事務局長、眞鍋さんって、元ピアニストなんですよね。」その声に生野、「おや。良くご存じで。」宮下、舌をチロリと。「ママ友から訊いちゃいました。」生野、「あらららら。」「ママ友も本人から聞いた訳じゃないらしいんですけど、事務局の人たちが言っているのが聞こえたらしくって。」「あら~~。はははは。何と。レッスン生やその親御さんたちがいるときには、事務局員のプライベートな事は絶対に。とは、釘を刺してはいるんですけど…。はははは。何とも、うっかりなりませんね~~。…と、言うより、聞いてて、ピアニスト…???…と、思わない方がおかしいんですけど…。眞鍋さん、とにかく、ピアノ、ジャズからクラシック、その他までもしっかりと弾けます。」耀司、頷きながら、「へぇ~~~~。凄~~い。」生野、「おっと。はははは。長話を。」そしてペコリして、「失礼します。」耀司、そして宮下も生野にお辞儀を。眞鍋、ピアノを弾き終わり、教室のドアに。ふたりの顔を見て、目を見開き、そして、思わず顔を赤らめて。ドアを開いてふたりに会釈を。そして…、「どうも…。失礼しました。」耀司、そんな睦美を見て、「凄い。さすがです。」宮下もにっこりと、「素敵。」眞鍋、照れながらも恥ずかしそうに、今度は丁寧にお辞儀をして、「失礼します。」すぐさま踵を返して事務局の方に。宮下、瞬きをして、そして顔を傾げて、「なにやら…。顔が、赤かったような…。」そして、「ま。当然か…。ピアノを弾いているところを見られて…。」けれども、「うん…???…でも、元ピアニストなら別に…、恥ずかしい…、と、言うのは…。ちょっと…。」眞鍋、事務局に。そして奥の自分の席に…。その時、チラリと眞鍋を見た奈織と有紀、「…ん…???…眞鍋さん、顔…。」ふたり、共に瞬きしながら…。顔を見合わせて…。「赤かったけど…。」「うんうんうん。」数秒後、高井戸と宮下、事務局に、笑顔で、「お世話様でした~~。」奈織と有紀、「あ~~~。はいはい。うんうん。」麻沙美も、「お世話様でした~~。」有紀、ニッコリと、「ははは。ふたりとも~~。今日も頑張ったね~~。」麻沙美、「うん。」蘭夢は、「はい。」宮下、奥の席の眞鍋を見て、微笑んで…。高井戸、事務局員たちに、「では、また。」有紀と奈織、「は~~い。」高井戸と宮下が玄関の方に。有紀と奈織、顔を傾げながら、眞鍋の方を…。奈緒、「もしか…、して…???」有紀も、「ん~~~???」ヨシカワ音楽教室の駐車場に宮下、高井戸に、「じゃあ、また。」耀司、にっこりと。「はい。」麻沙美、蘭夢に、「バイバ~~イ。」蘭夢も、「バイバ~~イ。」耀司、麻沙美に、「さて。帰るか。」麻沙美、「うん。」宮下の運転する車が駐車場を出る。耀司、またお辞儀を。車の中で宮下も軽くお辞儀を。学校の帰り道。景織子、芙美花に、「はははは。芙美花、何だか、ここんとこ、何かに解放された~~って顔、してない…???」詩乃と千愛も、「うんうんうん。何か、吹っ切れたって感じ、あるよね。」芙美花、そんな3人に、「えへ…???…うっそだぁ~~~。そんな事、ないよ~~。」景織子、「いやいやいや。絶対ある。いや、だ~~ってさ~~、前の芙美花なら、途中までは私たちと…。」詩乃、「うんうん。…けど、結局は、私、ごめん、帰んないと。に~~、なっちゃうじゃない。最近、そういうの、めっちゃ減った~~。」千愛、「だよね~~~。」詩乃、芙美花に寄り添いながらも、「あやしい~~~。」芙美花、「かかかかか。何が怪しいかな~~。」千愛、「もしかして…、誰か好きな人。」芙美花、思わず早い瞬き、そして、「はっ…???」景織子、「な~~~んて、事は、ないよね~~。私たちの間で~~。」芙美花、目を真ん丸にして、「いやいやいや。び~~っくりした~~。うそでしょ。好きな人…???」そして、クシャリとした顔で、「逆に、私の方が欲しいよ~~~。」口を尖らせながら。千愛も詩乃も、「ははははは。」景織子、「私たちの中で、抜け駆けは許さない。」そして4人、「キャハハハハハハ。」「へぇ~~~。ジャズコンサート。」汐梨、洗濯物を畳みながら。耀司、同じように汐梨の手先を見ながら、「うん。品川のマリアナホールでね。」「で、また、眞鍋さんたち誘って。」「うん。あ、いや…。って言うか、サイト見るとさ~~。ズラリと、予約枚数終了ってあってさ。早く予約しないとまずいって、思って~~。」「へぇ~~ぇえ~~。はは。まっ。私も行ってみたいけど、麻沙美がいるから無理~~。」耀司、その声に、「了解してます。」 ママでいい…。 vol,102. 「事務局長、眞鍋さんって、元ピアニストなんですよね。」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2024.11.02
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睦美、ベッドの中で、「マテリカルゴールド。みんな…、頑張ってるね~~。」マテリカルゴールド。つまりは、阪部洵のいたジャズバンド。阪部洵を失って後の新たにサックス奏者の加入で、バンドネームも改めての再結成となったのであった。バンドのリーダーから睦美宛に、ラインで知らされていた。「眞鍋ちゃん、気が向いたらたまに聴きにお出で。」と。そのメッセージに、「ありがとうございます。機会があったら是非。」と、送ってはいた。阪部洵が在籍していた頃の「シャーマン・オッズ」改め、「マテリカル・ゴールド」芙美花、お風呂に入りながら、「ふんふんふん。おとうさん、今度、またジャズコンサートかぁ~~。はははは。好きだね~~。…けど。」両腕を上に高く、「う~~~ん。はは。眞鍋さんか~~。…どんな人なんだろ。」そして、クシャリとしながら、「…ってか。私だけ、顔知らないって~~。…もぅ~~~。」鼻の下までお湯に浸かりながら…。翌日、耀司、また麻沙美をヨシカワ音楽教室に。「こんにちは~~。今日もよろしくお願いしま~~す。」事務局員の有紀と奈織、「は~~い、いらっしゃ~~い。」そして、その後から宮下朋佳(みやしたともか)が息子の蘭夢を連れてヨシカワ入り。こちらには事務局、少し離れた場所から万智が、「蘭~~夢君。こんにちは~~。」宮下が高井戸に、少し顔を赤らめながらもペコリと、「こんにちは~~。今日も、よろしくお願いします。」耀司、恐縮しながらも右手をヒラヒラと、「いえいえいえ。こちらこそ~~。」廊下を歩いてきた睦美、「あぁ、こんにちは~~。」低姿勢で高井戸の前を。少し顔を赤らめて。耀司、睦美に、ニコニコと、「こんにちは~~。」そして睦美、麻沙美と蘭夢に、またまた低姿勢で、「今日も、頑張ってね~~。」左手を振って。そして。腰を上げてそのまま低姿勢でソロソロと。そんな…、少し顔を赤らめた眞鍋を見て彩未と万智、そのまま眞鍋を目で追うように…。万智、彩未に、「ねね、彩未さん、眞鍋さん、また顔…、赤く…。」彩未も万智の声に2度程コクリと、「うんうんうん。」そして…。「うん…???」今入って来た高井戸と宮下を見て、「うん~~~???」顔を傾げて…。そんな万智を見て彩未、「彩未さん…???」彩未、顔を傾げて、訝しげに、「ん~~~~~。ん…???」いきなり目を見開いて、そして眞鍋の方を見て、「まさか~~~。」万智、そんな彩未に、「へっ…???」彩未、万智を見て、「あ。はは。」そしてまたチョコンと顔を傾げて、「あぁ、うん。…まぁ…。…けど…。…一応は…、予感…、だけだけどね~~。」そんな彩未に万智、眉間に皺を。「予感…???」彩未、「はいはいはい。仕事、仕事~~。」…そして…。音楽教室のレッスンを終えての耀司と宮下。そして麻沙美と蘭夢。廊下を歩きながら…。すると…。何処からかピアノのメロディが耳に入ってくる。宮下、「あら。」耀司、「おや。」ふたり共に、そのメロディに吸い込まれるように。すると…。今はレッスンのしていない教室からのピアノの音。宮下、ピアノを演奏している女性の姿に、「凄いわ~~、眞鍋さん。」その声に耀司、「えっ…???…宮下さん、ご存じなんですか、眞鍋さんがピアノ弾くの。」「もちろんですよ~~。」高井戸を見ながら。「ウチの子もね~~。あんな風にピアノ弾けたら~~。…って言うか、その為にここ、来ているんですけど…。」その声に耀司、「はは。…ですよね~~。」宮下、「眞鍋さん、元ピアニスト。」瞬間、耀司、「えっ…???…そうなんですか…???」その驚きに宮下、「あら。高井戸さん…、ご存じ…。」耀司、急に困ってしまって、「あ、いえいえ…。…って言うか…。」すぐさま頭の中で、「…あれ…???…汐梨…、言ってたっけ…???…と、言うか、俺、聞いたの忘れてた…???」宮下、「…と、言っても、私も本人から聞いた訳じゃないんですけどね。同じレッスンのママ友から…。事務局の人たちが話しているのが聞こえたらしくって。凄いって思ったんですって。」そして宮下、「凄いですよね~~。眞鍋さん、韓国人であんなに奇麗で、しかも、ピアノも弾ける。…ん、だけど~~。彼女、結婚してらっしゃらないのかしら。見た目、どう見ても20代には見えないですよね。…恐らく…、30~~。半ば…???…ん~~。中々、近くで眞鍋さん、見る事、出来ないんですもん。他の事務局の人たちはきさくに声、掛けてくれるけど~~。席も奥の方だし~~。」そこに生野、ふたりににこやかにお辞儀をして。そして教室から聞こえるピアノのメロディに、「ほほぅ~~。今日はリストですね~~。ラ・カンパルネ。うんうんうん。」耀司、事務局長に、「えっ…???…さすが、聞いていてすぐに何の曲か。」生野、「ははははは。お蔭様で。」 ママでいい…。 vol,101. 「…ってか。私だけ、顔知らないって~~。…もぅ~~~。」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2024.11.01
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