■「学ぶ工場」の時代へキヤノンが挑む完全自動化の舞台は、大分県にある一眼レフの基幹工場など。2018年をめどにレンズ部品の製造からカメラの最終組み立てまで人手による作業を自動ラインに置き換えるという。自動化で生産コストは下がるが、その目標は、目先のコスト削減でもないし、単なる円安下の「国内回帰」策でもないだろう。
そもそも、生産自動化のカギを握る産業用ロボットは今、人の手をロボットのアームに置き換えるだけの発想で導入されているわけではない。キーワードは、ロボティクス(ロボット工学)の大きな進化だ。作業ロボットが車ではなく、互いに塗料を吹きつける――。過去には、絵に描いたような混乱で有名になった製造現場があった。一昔前の米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)の工場だ。
GMはロボットの大量導入で日本車メーカーに対抗しようとしたが、日本勢の強みは製造現場の従業員の知恵や工夫、そして自分たちの手による「カイゼン」を臨機応変に取り入れていく柔軟性にあった。それをロボットに吹き込むことは非常に困難だったのだ。
しかし、それは1980年代のこと。以降、ロボティクスは大きく進んだ。ボストン・コンサルティング・グループのシニア・パートナー、東海林一氏は「当時はロボットに作業の微妙な動き方をプログラミングすることが難しかった。今は人工知能(AI)などの進歩もあり、製造現場の技能やノウハウを人がロボットに教え込むことが段違いにはやく、簡単になった。その分、ロボットを使うコストも下がっていく」という。
「一般的に、日本はロボットに強いとされるが、それはメカトロニクスに強い技術者が多いから。一方、工場全体や生産システムそのものを制御する技術者は不足している。この制御系の高度人材をどう育成し、確保していくのか。大きな課題だ」
それは製造業にとって人材戦略どころか、ロボティノミクス時代の優劣に関わる。これらも引っくるめて、キヤノンの試みは壮大な実験になっていくはずだ。
出典: http://www.nikkei.com/article/DGXMZO90666440Y5A810C1000000/?dg=1
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