能登半島地震で露呈した原発の「不都合な真実」 政府が志賀原発を“ 異常なし” と強弁した理由 古賀茂明 (msn.com)
今回の地震の結果を見るまでもなく、日本の原発は「危ないから」止めるべきだと考える 十分な根拠 がある。
私は、これを「 原発の不都合な真実 」と呼んでいる。意外と知らない人が多いのだが、今回の地震と併せて考えていただけば、理解が深まると思うので、この機会に一つだけその話を紹介したい。
「原発の不都合な真実」の中で、もっとも重要なのは、 原発の耐震性 に関する事実だ。
当たり前の話だが、原発の事故が起きても良いと考える人はほとんどいない。多くの人は、政府が、「 世界最高水準の規制基準を満たしています 」と言うのを聞いて、「福島の事故を経験しているのだから、さすがに動かして良いという原発は安全なものに決まっている」と信じているようだ。
日本の国土は世界のわずか 0.25 %しかないのに、 2011 年~ 2020 年でみると全世界のマグニチュード 6.0 以上の地震の 17.9 %が日本周辺で発生するという、 世界で最も危険な地震大国 だと言って良いだろう。その日本で世界最高水準の規制に適合していると聞けば、「原発は、ちょっとやそっとの地震ではびくともしない」と誰もが思っているだろう。
しかし、真実は全く違う。 日本の原発は地震に極めて弱い。 それをわかりやすく説明したのが、関西電力大飯原発を止めたことで有名な樋口英明元福井地裁裁判長だ。
私も樋口氏から直接話を聞いて知ったのだが、 日本の原発は、民間のハウスメーカーが販売する耐震住宅よりもはるかに耐震性が低い。 たとえば、三井ホーム、住友林業の耐震性は、各々最大約 5100 ガル(ガルは加速度の単位、大きいほど強い揺れを示す)、約 3400 ガルに耐える設計になっている。
一方、たとえば、四国電力の伊方原発の耐震基準は 650
ガル、高浜原発は 700
ガルと、 日本の原発の耐震性は民間住宅の数分の 1
しかない。
北陸電力志賀原発も建設当時は 490
ガル、その後 600
ガルに引き上げられ、現在は 1000
ガルということで安全審査を申請している。
なぜ、耐震性が上がっているかというと、さすがに 3
桁では信用されないということで、いくつかのマイナーな耐震対策を施して耐震性がすごく上がったと説明しているのだ。
日本では 2000
年から 20
年までの間に、 1000
ガル以上の地震が 17
回、 700
ガル以上は 30
回起きていた。つまり、 原発の耐震基準を超える地震はごく普通に起きるのである。
ちなみに、日本で記録された最大加速度は 2008
年の岩手・宮城内陸地震の 4022
ガルである。 2
番目が 2011
年の東日本大震災の時の 2933
ガル。
この事実を知れば、原発の耐震性はこれらよりも強くして欲しいと思う。しかし、日本の原発の耐震基準の大半は 1000 ガル以下である(詳しくは、樋口氏の著書『私が原発を止めた理由』『南海トラフ巨大地震でも原発は大丈夫と言う人々』〈いずれも旬報社〉を参照のこと)。
このような事実を知る人が増えれば、そんなに危ない原発が動いていたのかと驚き、今すぐ止めてくれということになるだろう。
今回の能登半島地震の最大加速度は、原発のある石川県志賀町の観測点で、東日本大震災に匹敵する 2828 ガルだったことがわかった。 1000 ガル以上も計 7 地点で確認されている。
だが、たまたま運が良かったのかどうか、あるいは計測に異常があったのかもしれないが、北陸電力の発表を鵜呑みにすると、志賀原発 1 号機原子炉建屋地下 2 階で 399.3 だったということだ(それ以外の観測点でどうだったのかはわからない)。近隣に比べて何故かずいぶん小さな揺れだったということになる。
1000
ガルの基準地震動から見れば余裕というところなのだろうが、その割には、 かなり深刻な被害が
出たのが驚きだ。
使用済み燃料プールの水が大量に溢れる、
冷却ポンプが一時停止する、
複数の変圧器付近で配管の破損による大量の油漏れがあり、その影響で外部電源の一部系統が使用不能になるなどかなりの異常が発生した。
これらの結果、放射能が外部に漏れたかどうかが気になるところだが、当初、モニタリングポストでは放射能漏れは観測されていないと発表されて胸を撫で下ろした。だが、なぜか 4
日になって、原発の北 15
キロ以上離れたところにあるモニタリングポスト 14
カ所でデータが確認できていないことが発表された。他のモニターの値が信用できるのか、また、より近くのモニタリングポストで計測不能になっていたらどうなったのかということも不安材料となった。
今回の地震を契機に、一方的に安全性のみを強調するのではなくて
原発の耐震性
について十分に議論してほしいと思います。
また、道路がこうも寸断されてしまっては、避難は困難です。
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