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(坂口波路様を偲んで)闘病の 幾年春を 惜しみけり励ましの 文も絶えたり 花冷ゆる天国の 妻を恋ひてか 鳥雲に
2010.11.30
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入学児 一気に階を 登りきる流氷を 踏みし彼の地の 蒼い空彼岸桜 吟行せし友 先立てり眼科医と 向き合う近さ 薔薇眩し
2010.11.29
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春障子 灯り隣家の 十七日髪染めて 作り笑ひの 四月馬鹿春雨に いのち犇(ひしめ)く 雑木山
2010.11.28
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春愁や 泪の量を 計らるる春愁の 鎖骨をさぐる 心電図検血の 黒あざさする 春寒し惜春や 通夜の灯闇を 深くせり
2010.11.27
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歩き初む 孫に小さき 雛飾り雪倒れ 青き力みて 立ち上がる春雨に 洗われてをり 遊園地
2010.11.26
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冴返る 灯油値上げの きりもなしのど飴を 舌にころがし 春を待つ湯の街の 朝の目覚めに 樹氷林野良猫の 生きる眼光 深雪漕ぐ
2010.11.25
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夫眠る 寺の寒さに 紅の菊きさらぎや 鉢のなんばん 炎めく立春や 孫歩き初む 誕生日
2010.11.24
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八十路なる 坂に倖あれ 初暦追憶の 友の賀状を 温めけり独り居の 胃の腑重たく 寝正月
2010.11.23
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初夢の 夫にたっぷり 酒供ふ逞しき 冬目に朝の 光満つそれぞれの 句集豊かに 寒椿初鏡 口紅淡く 背を伸ばす
2010.11.22
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友を待つ ポプラ並木に 秋の風名月の 真夜しんかんと 路地眠る野良猫に 日々ねだらるる 食の秋
2010.11.21
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康司逝き 山を離れぬ 鰯雲旅人も 足湯に並び 紅葉晴敬老の 日をぽつねんと 子無し人夫の待つ 秋の彼岸の ビール泡
2010.11.20
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けもの路 たどりて涼し 滝しぶき錦絵の 山の緞帳 リス駆くる安値とて 秋刀魚独りに 余しけり
2010.11.19
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青蔦の 登りつめたる 虚空なり蛇塚の 裏の茂りの ざわめきぬ雁鳴いて 故郷の墓も 古りにけり川底に 光る一円 水澄めり
2010.11.18
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鈴虫に 耳を澄ませり 新借家友病めり 沖につらなる 秋の雲秋天に 核の黒雲 墳怒仏
2010.11.17
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鷺草の 夜はひそやかに とび立てり追手より 逃れてひかる 恋蛍えいじ氏の 句碑の裏より かたつむり瞬けば またたき返す 星涼し参照=鷺草(サギソウ)鳥のサギに似ている。
2010.11.16
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血のいろに 俊の描きし 原爆図病院の 庭を彩り 合歓の花定年の 窓辺飾りし 額の花
2010.11.15
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麦秋の 風に乗りゆく 伝書鳩仏らに 一歩近づき 星祭朝顔や 惜命の水 ごくごくといなびかり 信濃連邦 ねむらせず
2010.11.14
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父の忌の 露草いろを 極めけり父の忌の 梅酒琥珀に 灯に透けり迎え火の 闇の深さに 樹々のこえ
2010.11.13
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夕焼けは 血のいろめきて 沖縄忌梅雨空の 玻璃もろともに 清掃夫狂言や 紅美しき 毒きのこ夏至過ぎの 白髪増えたる 水鏡
2010.11.12
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水無月の 風口中に 歯科通い老農の 眠りの浅き 芭種かな七月の 八百屋テナントを 張り出しぬ
2010.11.11
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郭公に 五百羅漢の 耳澄めり初夏の 髪しっとりと 人に逢うメーデーを 遠くに農夫 田にこもる六月の 牧かろがろと 調教場
2010.11.10
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巣つくりに 励む鴉の 樹を剪らる遠来の 新茶分け合う 誕生日束の間の 別れに揺るる 夕辛夷(ゆう、こぶし)
2010.11.09
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嘶(いなな)きに 耳かたむけて 水芭蕉一指さへ 拒む白さの 水芭蕉あめんぼは 恋の水輪を ひろげけり曼遇説 巾を利かせる ペンネー
2010.11.08
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まさをなる 空へ炎の 牡丹の芽晩婚の 真白き皿に 桜餅面影の おぼろとなりし 遠忌かな残雪の 嶺鮮烈に 鳶の笛
2010.11.07
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彼岸会の句碑を囲みて雀啼く惜春の足音遠く旅立てり雛市に佇つや戦後も五十年
2010.11.06
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恋猫の ためらいもなく 出でゆけり立ち読みの 後めたさに 日脚のぶ茶柱の 立ちし朝や 大試験
2010.11.05
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惜春や 一筋の道 貫きてあたたかき 声耳底に 白椿友病むや 枝にこえなき 寒鴉待春の 日ざしの中の 砂時計
2010.11.04
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剪定の 木のヌーボと 月を浴ぶ二ン月の 画廊に微光 ただよへりバーゲンに 心ゆるみし 二月かな
2010.11.03
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『早 春』大寒の 寺のしじまを 点しけり飽食の 猫まるまりて 寒の通夜一冊を 小腋にかかへ 冬ぬくし早春の 風に覚めたる 山の笹
2010.11.01
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