おぢさんの覚え書き

おぢさんの覚え書き

2017.08.14
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カテゴリ: 近代
加計問題で安倍政権が批判を浴びて自民党の支持率が落ちても、野党が受け皿となっていないという声が聞かれる。

その問題の根本にあるのが以前も取り上げたが野党側に軸がないということではないか?
かつての社会党の社会主義のように思想上の軸もなければ、政策上の軸もない。自民党との対立軸も有りようもない。

左の軸が失われた世界 (おぢさん)

ソビエト連邦が崩壊して久しい今、共産党や社民党が伸張することはあっても、自民党を代表とする保守との対立軸となることはあり得ない。現在の安倍自民党は国家中心の全体主義である。これに対抗する軸があるとすれば共産主義ではなく独立した個人による民主主義である。もっと言えばアナキズム(無政府主義)となるのだが、この「無政府主義」という言葉は誤訳だ。この誤訳のために大いに誤解されている。無政府主義者といわれる人で文字通りの無政府を志向した人をおぢさんは知らない。
分かりにくいので政治的スペクトルやノーランチャートと呼ばれるもので表すとこんな感じになるだろう。


正木氏が反共主義者であることはかつて述べた。彼が国家主義を嫌悪したのは個人主義的な立場から当然と思われるが、彼の強烈な反共主義が何に発しているかといえば、同じく個人主義に根差しているのだろう。
正木氏が考える社会主義を恐れるに足らない理由 は以前紹介したが、根本的に社会を設計するという不自然、その設計された社会を動かす共産党と官僚の存在、生産手段の社会的所有、正木氏から見れば共産主義も毛色の違う国家主義にしか見えず、個人が尊重されるとは思えないだろう。
おぢさんは共産主義が自由主義の対義語であるとは思わないし。そもそも共産主義は自由主義を志向しているとは思うが、結果的に「革命」という手段を選び、共産党独裁になる時点で全体主義国家に帰結してしまうと考える。

ソ連の共産主義は、今やその主義の科学性のみならず宗教性を失い、ただいたずらに各国の統一破壊のスローガンとなって、半開国民を扇動する具に供せられるに至った事は哀れである。
p.143 昭和12(1937)年「近々抄」『近きより』第1巻第8号<十一・十二月号>



私は堺枯川の人柄は好きであったが、その講演の直後に私は同氏に、
『先生の主張される唯物論を以て、先生の殉教者的の行為を説明することができますか。
先生がもし、純粋の唯物論者ならば、何を苦しんで、その苦難の路を選ばれるのですか。
先生は、日本で危険視されるのその主義を隠して、英文学者なり、売文業なりにいそしんだ方が、生活が安定し、物質に恵まれはしませんか。
先生の運動は、むしろ精神に生きる唯心的のものではありませんか、それとも物質欲のためにやるのですか』
と問うた時、枯川氏は、あっけにとられ、黙して答えず、そのうちに誰かが、私のことを「スパイだ」と呼んだら、皆が「引きずり出せ引きずり出せ」と騒ぎ始めた。
p.156 昭和12(1937)年「第七回コム・インターン大会決議 [1] 」『近きより』第1巻第8号<十一・十二月号>

それなりに理屈は通っているので、いきなり聞かれて答えに窮するのも無理もない。堺利彦も面食らっただろう。観衆が質問者を引きずり出すという暴挙に出ずに、正木氏と堺氏には時間をとって対談して欲しかった。
「人はパンのみにて生きるに非ず」(マタイ4:4)と聖書にもあるように、人が生きるためには物質だけでなく精神的なことも重要だ。ということは史的唯物論を唱える共産主義者にとっても常識であるわけで、そうであってもベースとしてはパン(物質)が無ければどうにもならない。ということで経済論としては共産主義(唯物論)となる。共産主義は経済社会の理論であり、個人の生き方を指南した宗教というわけではないので堺氏の運動が精神に生きるものであっても何の不思議もない。



[1] 一九三五年七月二五日から八月二〇日にかけて、モスクワで開かれた第七回コミンテルン(共産主義インターナショナル)大会で採択された、ファシズムに対する労働者の統一戦線・人民戦線テーゼのこと。
[参考HP] 日本人はみんな保守主義者? (むのきらんBlog)


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Last updated  2017.08.14 18:04:33
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