マンガ 100人の不登校たち

マンガ 100人の不登校たち

July 26, 2012
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テーマ: 困った子供達(2)
カテゴリ: 独りごと日記
ある先生から相談が来ました。

俗に「五月雨生徒」と呼ばれる、
学校に来たり来なかったりする生徒についてです。

その先生は
毎朝その子の自宅に迎えに行って
何とかその子を登校しやすいものにしようと
誘ってくれたり励ましてくれたり、
頑張ってくれています。

元気に一緒に登校できる日もあれば

ぐずって登校できない日もあります。


その先生は、
その生徒のそういった行動が理解できず、
僕にこう質問してきました。

「この子はひょっとして
 甘えているだけなのでしょうか?」



僕は先生がその子を
「甘えている」と見てとっていることに
違和感を覚えました。

先生に構われるのを期待して
悪ふざけやちょっかいをかけてくる生徒が、

放任主義の親に育てられた子や育児放棄の子などに、よくある反応です。

しかし
その五月雨登校の生徒は、
体調が悪くなったりしながらも
何とか学校に行こうとしてくれている、


なので
なぜ先生がその子を「甘えている」と見立てたのか
僕には分かりませんでした。



そうして僕が思い至ったのが、
「甘えている」と大人が子どもを見なしている時は、
そう言っている本人が、
実は甘えたがっている時なのではないかと。


どの人にも、
自分の経験や見聞などから作り上げた
独自のものの見方、感じ方、判断基準があるように、
子どもにももちろんあります。

大人と比べると未熟かもしれませんが、
子どもには子ども独自の
ものの見方、感じ方、判断基準があります。

しかし、
自分の理解できる範囲から外れているものを理解しようとすることは、
外国語を学ぶことと同じで、
とても労力が要ります。


子どもがどういうつもりでいるのかを理解しようと思ったら、
大人は子どもの目線まで
しゃがみこまないといけません。


子どもの行動の意味が分からない…、
どう解釈すればいいかわからない。


相手を理解しようと努力することに疲れたとき、
もうこれ以上相手のために頭も身体も使いたくないとき、
子どもが「甘えている」ということにして、
子どものせいに
してしまいたくなるのでは。


「甘えている」という言葉は、
まるで子どもの未熟さに問題があるかのように人に思わせられる、
世間一般にも通用しやすい
とても都合のいい言葉です。(言った者勝ちなところがあります。)

本来出来るはずなのにわざとやっていない、
子どもは実力を出し惜しみしているのだから、大人がそれに歩み寄る必要はない…
というニュアンスもあります。



相手を理解しよう、歩み寄ろうと努力することに、
「もう疲れた」「休みたい」「楽したい」…、

その気持ちを子どもに映し出し、
まるで子ども自身がそう感じているかのように受け取り、
そうして自分を納得させ、
子どもが甘えていることにしてしまう…。


とりわけ教職員は、
職業上自分に厳しく、
「甘えたい」気持ちを強く押し込めている人が多いもの。

甘えたい気持ちを強く押し込めている人ほど、
相手の態度に「甘え」を映し出しやすくなります。

(そして自分が「甘える」ことを許さないでいる人ほど、
 相手の甘えへの怒りも強く感じてしまいます。)


その先生が五月雨登校の生徒を
「甘えている」と見なしているのは
実はその先生が
本当は甘えたい、つまり、
大人である自分が生徒に歩み寄るのに疲れた、
生徒の方こそが自分の方に歩み寄ってきて欲しいと
内心願っているのではないか?と。


そう思い至った僕は
その先生に対して
日頃頑張ってくれていることを労ったり、褒めたり、評価したりすることを
忘れていたことを思い出しました。

先生が
毎日その子を迎えに朝早くから頑張っているのに、
教員として当たり前のこととして
誰からも労ったり褒められたりもせずにされているのは、
その五月雨登校の生徒が
一生懸命学校に行こうと頑張っているのに
その(見えない)努力を労ったり褒められたりもせずにされていることと
実は同じであると。

僕は
子どもを「甘えている」と言っている先生に対しては、
実はその先生に、
人に甘えたい、癒されたい、評価されたい、労わってもらいたい気持ちがあるのではないか。
そしてその気持ちを
強く押さえ込んでいるのではないか、と
考えるようにしています。

どうしてもスクールカウンセラーは
生徒の方に気が向きがちなのですが、

「ご立派ですねぇ~。誰でも出来ることではないですよ。
 その努力はちゃんと、あの子の成長の糧になっていっていますよ、本当ですよ。」 

など、
いつも生徒のことで骨を折ってくれている先生にも、
ねぎらいいたわりの声をかけるように。
そうすることで、
先生の生徒への見方も
より自然体なものへと変わります。


甘えたい気持ちは誰でも持っているもの。
大人の方にも
適度に甘えたり楽したり癒されたりしておいてもらわないと、
子どもの理解出来ない言動に出遭う度に、
抑圧している気持ちを投影し、
「あの子は甘ったれている」と、
子どもに不当な評価を下し、
子どもを辛い状況に追いやってしまうことになりかねません。



僕は
子どもの態度に対し、大人が見てとってしまう気持ちは、
実はその大人の心の叫びかもしれないと、
大人には内緒で、
勘ぐるようにしています。

2007.October
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乙生 弦吾

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