マンガ 100人の不登校たち

マンガ 100人の不登校たち

July 31, 2012
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カテゴリ: 独りごと日記


(少なくとも僕のケースにおいて)一番障害となるのは
昼間家でゴロゴロすることを
「甘え」だの「怠け」だの
「不摂生な生活をしているのがいけない」などの偏見によって
回復に必要な
エネルギー補充の時間の邪魔をされてしまうことです。


この点について
理解を得るのが難しいこともあって、


「不登校の子が昼間寝て過ごすのは自然なことですから」
「心身の疲労回復には睡眠が一番いいんです」
「ゴロゴロ、ぼーっとする時間は、今まで頑張ってた分、必要なんです」
と、
不登校の子にとって
ゴロゴロ・ぼーっと過ごすことが
正常かつ自然で、回復の道を進んでいる証拠なのだと説明しても、

「昼間っから家に居るのは許せない」
「周りの子がちゃんと学校に行っているのに甘えている」
「働かない、学校にも行かないことは、人として認められない」
「不摂生な生活態度だから何事も上手く行かないのだ」

親御さん自身の人生観、生活観、それまでの自分の育児に対する自負などが
子どものこの「ゴロゴロ、ボーッと過ごす時間」の邪魔をします。


以前僕が面談を続けていた不登校生のお母様に
「昼夜逆転もゴロゴロ、ボーっと過ごすことも、
 回復に必要なので存分にさせてあげて欲しい」とお願いしましたが、

 多忙な親に代わって家でも働いてきた。
 それなのにこの子は怠けていて…どうしても怠けを認められない」と言われ
子どもの態度を怠けととるその見方を
断固変えられなかった方がいました。

それから一年後に
その不登校の生徒に会った時、
髪の毛が白髪だらけになっていたのを見て、
「ああ、守ってあげられなかったなぁ」と、
自分の力不足を嘆いたことを覚えています。

お母様が自分の価値観に固執したため、
そうでないものを受け入れられなかったようです。
子どもは子どもなりに一生懸命考えて生きているのに、
自分の理解できないものを認めようせず、
社会の物差しだけで何でも見ようとするその頑なさが、
子どもに生き辛さを与えてしまっていたのではないかと
その時思いましたが…。


ゴロゴロ、ボーっとしているからといって
子どもは決して怠けているわけではありませんし、
むしろこの
「ゴロゴロ、ボーッと過ごす時間」を過小評価したために、
不登校状態に陥ってしまったのではないかと僕は思っているくらいです。


不登校は、
きっかけは対人トラブルなどですが、
不登校になる前段階に、
新しい学校や人間関係に馴染もうとしていたり、
ハードなクラブ活動について行こうとしていたり、
自分の能力を超えた学習課題を必死にこなしていたり、
自分の資質に合わない教育スタイルを親のために続けていたり…など
周りの基準に自分を合わせ、使い込み過ぎていた時期があります。
その時は、
自分のことを省みる余裕がなかったことでしょう。

不登校になって、
最初の激動期を終えると出てくるこの「ゴロゴロ・ボーっ」は
不登校生たちが、
その目的に向かって頑張っていた時期に、
本来ならするはずだったであろう行動の集大成です。


当時、
身体も心も疲労回復を望んでいたはずですが、
「何とか馴染むため頑張らねば」
「こんなダラダラしている暇はない、無駄に時間を過ごさず勉強しなければ」、など
時間や労力や気力を目の前の目標達成のために使い、
自分のための無為に過ごす時間、
無駄なことをする時間を持つことを後回しにしていたことでしょう。


人生の挫折やらストレスやら、
嫌な出来事のクッションとなるのは、
この「無駄な時間・無為に過ごす時間」です。
ストレスフルな出来事が起こったとき、
人は、
この「無為な時間を過ごしていた時」にいったん避難するのです。
そうして疲労を回復し、体勢を立て直した後、
元の道に戻ろうとします。


しかしそれらを「無駄」「非効率的」「目標到達に関係のないもの」として
生活から締め出し、
目的追求のための時間や行動ばかりを重視すると、
避難の場所も、大事な生きる力を養う時間をも
失ってしまうことになります。
(これは不登校生のみならず、サラリーマンの鬱などでも同様です)


不登校生の
この「ゴロゴロ・ボーっ」と過ごすありようを見ると、
無為に過ごす時間、無駄なことをする時間を
本能的に取り戻そうとしているように思えます。

もちろんそうするのは、
回復と、そしてその後の新たな成長のためのエネルギー充電です。
(大人の鬱と違うのは、
 休養だけではなく、成長のための助走の働きも実はしていることです。)

子どものしていることが一見無駄に見えても
無駄なことこそが、生きる力を育んでいたりするものです。
子どもの行動全てが、
実は自立に向かって成長しようとする行動であることは、
僕は確信しています。

「無駄な時間こそ、生きる力を養う」のです。

2012.06.12

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Last updated  February 11, 2018 03:47:32 PM


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乙生 弦吾

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ことはカウンセラー Kotoha
ことはのカウンセリングルームのカウンセラー。

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保見先生 Yasumi
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調くん Shirabe
新米カウンセラー。小中学校で不登校生対応のボランティアをしている。

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調、こと葉の指導教官。カウンセリングルームで働きながら大学で心理学を教えている。

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