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2026年06月28日
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津軽半島の突端、龍飛崎から南西のところに小泊の町があります。小さな漁村ではありますが、太宰治が世話人を慕って訪れたり、御崎の権現を祀る権現崎があったりと面白いところです。
そこから更に南に下りますと市浦町。今でこそ五所川原市にまとめられていますが、かつては別個の町でした。
市浦町も地方特有の一風変わった神社仏閣が多くあります。今回紹介する神社もその1つで、かつては薬師堂の名で親しまれていたようです。奉斎していたのは天台宗系の僧侶ですが、津軽はどちらかというと真言系の密教が盛んな所で、天台系はかなり少ないんです。江戸時代の初め頃に、​ 大行院 ​という当山派修験が津軽の修験・巫覡などの統括となって管理していたこともあり、そこからは天台勢力はあまり拡大できませんでした。そうした意味でも、この様な天台勢力の痕跡は珍しいと言えるのではないでしょうか。

2025.6.1
洗磯崎神社


龍飛まで伸びる国道339号をひたすらに北上。御不動山の麓あたりで、左側に権現鳥居が見えてきます。ここが今回紹介する洗磯崎神社です。



緩くカーブした参道沿いには大きな水盤を供えた手水舎があります。



白木の社殿が見えてきましたね。
津軽特有の色あせた木材は、何となく見ていて心落ち着きます。








洗磯崎神社

御祭神:大已貴命(大国主神)、少彦名神
御例祭:9月8日

御由緒

 明治以前は、薬師堂または薬師宮と称され薬師信仰が盛んで、旧暦4月8日には薬師祭が行われ、近隣から白旗たてた参詣者で賑わい、社寺分離まで続いたと伝えられる。明治6年(1873年)4月神仏分離令により洗磯崎神社と改め村社に列せられる。



13世紀に天台宗の僧侶 賢正によって建立されたことに始まります。本尊は薬師如来。
安倍氏・安東氏の祖神 荒吐神を祀ったという言い伝えもあるみたいですね。ここ以外にも市浦にはアラハバキ関連の神社があります(​ 市浦神明宮 ​)。荒吐神は石神であると言う説も有りますが、両社とも境内に巨石などは見当たらないので、ホントの所は良く分かりません。

荒吐神に関しては不明な点が多く、あまり語ることは出来ませんが、この神社が元々天台宗系の仏堂だったという点に関しては、非常に興味があるのです。
安倍・安東氏は地方の豪族でありましたが海運により中央とも密接な繋がりを持っていたようです。そのためか十三湖周辺には何故か天台宗に関連する霊場・霊場跡が多く残っています( 山王坊日吉神社 ​・​ 高山稲荷神社 ・川倉賽乃河原地蔵尊堂など、何れも山王鳥居がある)。後裔である檜山安東氏なども天台宗を篤く信仰していたようで、本拠地であった能代には社格の高い能代日枝神社が今でも鎮座しています。
洗磯崎神社に関しても、靄山脇元岩木山神社の御山参詣の起点となっております。御山参詣は 岩木山神社 ​のメイン祭事であり、もしかすると安東氏時代の津軽では天台系の勢力が中心となって霊場を運営していた可能性もありそうですよね。江戸時代ともなると、岩木山神社(かつての岩木山 百澤寺)は津軽真言五山に数えられる真言宗の霊場として名を馳せており、このころ既に津軽の天台勢力はかなり下火になっていたことが分かります。
猿賀神社 もかつては天台系の一大霊場でしたが、津軽氏に逆らったためか天台勢力は別当から外されています。
この様に津軽の密教勢力の変遷を見るときに、津軽氏の台頭が1つの区切りとなっているのではないでしょうか。当神社も終始天台系だったのかは非常に気になる所です。

社殿に懸かる扁額はかなり豪華です。



境内には自然岩が2つ。これらにも何か祀られているのでしょうか?



隣のは末社の稲荷社?かな?




あの形の整った山は靄山。頂上には 岩木山神社 が勧請されており、かつては遥拝所でした。津軽半島北部は岩木山から遠く離れているためか、岩木山神社が数社勧請されています。個人的には御山参詣に遠すぎて出られない当地の住民が、自分たちの土地でも御山参詣が出来るようにと勧請したのではないかと考えています。



少々ガスがかかっていますが、津軽西浜の遥か先に岩木山が姿を見せてくれています。



斜めから。
当地の密教勢力の変遷を伺う上でも重要な霊場でした。松に囲まれた海辺の小さな神社ではありますが、抱えている歴史は相当に面白かったです。



以上です。






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最終更新日  2026年06月28日 19時03分36秒
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