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「ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦!南海の大怪獣」(1970)監督 本多猪四郎製作 田中友幸、田中文雄脚本 小川英撮影 完倉泰一美術 北猛夫音楽 伊福部昭特技監督 有川貞昌出演 久保明、高橋厚子、土屋嘉男、佐原健二 斉藤宜文、小林夕岐子、中村哲、堺左千夫 本編84分 総天然色 シネマスコープサイズ 東宝特撮怪獣映画「ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦!南海の大怪獣」を見ました。2016年11月にチャンネルNECOで放送された時の録画したものです。 木星探査無人宇宙船ヘリオス7号が宇宙空間で消息を絶つ。 カメラマンの工藤(久保明)はブラジルから帰国する旅客機の窓から太平洋に落下するヘリオス7号を目撃する。南太平洋のセルジオ島に観光開発計画があり、工藤は目撃したヘリオス7号の落下地点がセルジオ島の付近であることから、宣伝写真の撮影依頼をひきうける。 セルジオ島で開発を担当する「アジア開拓」の2人の現地駐在員が海で釣りをしていると巨大なイカの怪獣に襲われ、一人が食べられてしまう。島の祈祷師(中村哲)は怪獣は島の伝説の怪物ゲゾラだという。 島に到着した工藤とアジア開拓の宣伝部員 星野アヤ子(高橋厚子)、生態観察顧問の宮(土屋嘉男)、風俗研究家を自称する産業スパイ 小畑(佐原健二)たちを迎えた島民たちはゲゾラを怒らせたのは日本人だとしてあまり歓迎的ではない。ゲゾラを目撃した現地人の若者リコ(斉藤宜文)も恐怖のショックで記憶喪失となる。 海底に沈んだヘリオス7号を探しに潜った工藤と宮はゲゾラに襲われるが、イルカの群れが接近するとゲゾラはなぜか逃げて行った。島に上陸したゲゾラが村を襲撃して破壊するが、焚き火に怯んだことから高熱に弱いことがわかり、工藤たちは島民と力を合わせてガソリンを使った罠を仕掛けてゲゾラを倒す。 生物学者の宮は、怪獣は宇宙船にくっついて来た宇宙生物に寄生されて巨大化したイカだと推理する。彼らは島に遺棄されていた旧日本軍の小銃と機関銃でゲゾラの再来に備えるが、今度は銃弾が通用しない巨大なカニの怪獣ガニメが襲って来る。懸命な戦いの末、ガソリン缶集積所を爆発させてガニメを倒すことに成功する。 その夜、リコと恋人サキ(小林夕岐子)の結婚式がおこなわれ、リコの記憶が回復。怪獣がコウモリやイルカの放つ超音波を恐れることが判明し、全員コウモリが生息する洞窟に隠れて身を守ることになる。しかし、宇宙生物に寄生されて操られた小畑が洞窟にガソリンで火をつけ、コウモリを焼き殺そうとする。そこへ2匹目のガニメと巨大なカメの怪獣カメーバが現れ、皆は絶体絶命の危機に追い詰められる。 アヤ子の必死な説得で心を動かされた小畑は体内の宇宙生物に抵抗する。人間の心が甦った彼は洞窟内のコウモリを解き放つ。空を舞うコウモリの超音波によって二大怪獣は狂乱して同士討ちを始め、火山の噴火口へ落下する。そして小畑もまた自らの体内に寄生する宇宙生物を抹殺すべく、火口へと身を投じるのだった。 ゴジラのシリーズではない東宝の1970年8月に公開された怪獣特撮映画です。ゴジラ映画のような派手な作品ではなく小品といった感じであり、宇宙生物が地球侵略のためにイカやカニ、カメに寄生して巨大怪獣化、人間にも寄生する(なぜか人間は巨大化しない)という安直ともいえる設定です。 宇宙船、南の島と怪獣伝説、宇宙生物の侵略、怪獣どうしの戦い、火山の噴火口で解決するエンディングなど、東宝怪獣映画のこれまでの寄せ集めで一本の映画を作ったような感じもするけれど、本編87分間を退屈することもなく一気に見せて楽しませてくれるのは、やはり東宝の怪獣特撮映画ならではの安心感と、常連と云える手慣れた俳優たちのおかげではないかと。 久保明、土屋嘉男、佐原健二さんは先日の「マタンゴ」と同じ顔触れです。そしてヒロインといえる高橋厚子さんが無邪気ともいえる演技で周囲を明るく照らしているようです。
2021年10月21日
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「マタンゴ」(1963)監督 本多猪四郎製作 田中友幸原作 ウィリアム・ホープ・ホジスン 「闇の声」原案 星新一、福島正実脚本 木村武撮影 小泉一美術 育野重一デザイン 小松崎茂造型 利光貞三音楽 別宮貞雄特技監督 円谷英二出演、久保明、土屋嘉男、小泉博、太刀川寛 佐原健二、水野久美、八代美紀 本編89分 総天然色 シネマスコープサイズ 東宝SF特撮映画「マタンゴ」を鑑賞。4年前の8月にチャンネルNECOで放送された時の録画です。 1963年8月に「ハワイの若大将」の同時上映作品として公開。東宝の変身人間シリーズに含まれる作品ですが、「ガス人間第1号」「電送人間」「美女と液体人間」ほどの科学性というかSF性は感じられないけれど、人間がキノコを食べてキノコになってしまうというインパクトの強さで、現在までカルト的作品として語り継がれている映画です。 7人の男女(男5人、女2人)を乗せて外洋に出たたヨットが、嵐に遭って無人島に漂着する。食料と水を探して霧の中を探索すると、浜辺で朽ちた難破船を発見する。船内はおびただしいカビに覆われ、乗員の遺体や遺骨はどこにもない。なぜか船内には鏡がひとつもない。航海日誌には「船員が次々と消えていく」「キノコを食べるな」という警告が書かれていた。やがて7人の男女は食料と女性を奪い合って醜く争い、協調性が失われてゆく。 等身大のキノコに似た不気味な怪物が出没し、彼らを恐怖に陥らせ、絶望と飢餓のために、1人また1人と禁断のキノコに手を出していく。 先日の「吸血鬼ゴケミドロ」と同じく、極限状況に置かれた人間たちを描いていますが、さすがに東宝作品だけあって、このようなSF特撮映画は手慣れた感じがする。 土屋嘉男、小泉博、久保明、佐原健二さんなど、特撮映画でよく見る俳優です。東宝には彼らのような特撮映画に適した?顔ぶれがそろっていて、水野久美さんなどはその典型ではないか。このような俳優が大映や松竹にはいないんだな、と改めて感じます。東宝映画の強みではないかと思う。(藤田進、平田昭彦、志村喬、田島義文さん。女優の白川由美さんや星由里子さんなど、たくさんいますもんね) キノコを食べてキノコになってゆく漂流仲間から逃れ、ただ一人島を脱出した男(久保明)が精神病院に入れられてしまう。キノコを食べる誘惑に耐えて、苦難のすえに日本に帰ったが、彼を待っていたのはキチガイ扱いされるだけだった。こんなことなら、自分もキノコを食べてみんなと一緒にキノコになって島にいたほうが良かった、というエンディングです。 湿度が高そうな難破船内部の美術が良くできてるし、無人島の密林もよくできています。 結局、人間性やその人の本性などはその状況に置かれてみないとわからないものです。日頃は善人ぶって偉そうなことを云ってても、いざとなるとどうなることやら。 先日から「ゴケミドロ」「ギララ」と不作な映画を見たので、本作で口直しができました。
2021年10月19日
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「キングコングの逆襲」(1967)監督 本多猪四郎製作 田中友幸脚本 馬淵薫撮影 小泉一音楽 伊福部昭特技監督 円谷英二出演 宝田昭、ローズ・リーズン、リンダ・ミラー 天本英世、浜美枝、田島義文、沢村いき雄、堺左千夫 本編104分 総天然色 シネマスコープ 日本映画専門チャンネルで放送された東宝特撮映画「キングコングの逆襲」を録画して鑑賞しました。「キングコング対ゴジラ」(1962年8月)から5年後の1967年7月に公開された作品です。アメリカのRKO社から買ったキャラクター使用権の有効期間が5年だったので、その期間中にもう一本作ろうということで撮られたそうです。 悪の天才科学者ドクター・フー(天本英世)は、東洋の某国工作員マダム・ピラニア(浜美枝)から資金援助を受けて北極の地下にある放射性物質「エレメントX」を採掘しようとする。エレメントXは超強力な核兵器の原料となり、これがあれば世界征服が可能となる。 ドクター・フーはロボット怪獣メカニコングを造って、エレメントXを掘り出そうとするが、予想しなかったエレメントXが発する磁気のため、メカニコングが作動不能になってしまう。 国連の潜水艦エクスプロアー号が南海の孤島モンド島近くの海底を海底油田調査中にトラブルで故障し、応急修理のためモンド島に接岸する。上陸したネルソン司令官(ローズ・リーズン)、野村(宝田明)と看護婦スーザン(リンダ・ミラー)は伝説の巨獣キングコングと遭遇する。スーザンが恐竜に襲われたのをキングコングに助けられ、コングはスーザンの言葉を聞き分ける。 国連で発表されたネルソン司令官のコング発見の報告を聞いたドクター・フーはロボットではなく本物のコングを使っての採掘を計画し、モンド島からコングを催眠爆弾で眠らせて北極基地へ連れてゆく。 どうやってキングコングを命令どおりに動かせるのか? 天才科学者ドクター・フーはコングに催眠術をかけるという。しかしこれはすぐに効き目がなくなって、コングが暴れだすしまつ。その結果、キングコングとロボットのコングであるメカニコングの対決となるのですが、やることなすこと失敗ばかりのドクター・フー、あんた本当に天才科学者なの?と言いたくなるようなオトボケ悪役キャラ。演じる天本英世さんの怪演技ぶりが見ものです。 東京に上陸したコングとメカニコング。メカニコングがスーザンを拉致して、本物のキングコングが追う。戦いは東京タワーが舞台となって、二匹の巨獣はタワーをよじ登ってゆく。 東宝特撮映画ゴジラのシリーズは、この時期は、「南海の大決闘」(66)「ゴジラの息子」(67)「怪獣総進撃」(68)と、迷走しているというか、ゴジラ映画がお子様向けになってしまい、どうもいただけない、そんな時期であり、ゴジラ映画に代わる新しい路線を模索していたのだろうか? このメカニコングがのちのメカゴジラへと発展していったのだろうか?「キングコング対ゴジラ」ではまったく魅力がなかった浜美枝さんが、今作では某国の女スパイを演じています。某国とは北朝鮮のことか? 東洋の小国が強力な核兵器を持って世界征服をするという、その計画はとん挫するのだけれど。彼女、最後は主人公に味方して殺されてしまうが、ここは最後まで悪役に徹してほしかった。 国連の看護婦スーザンのいうことを聞き分けるコング。巨獣キングコングを恐れるばかりだった、それまでのヒロインではなくて、コングと心を通わせるヒロインというのは「キングコング」(1976)のジェシカ・ラングさんの以前に本作があるんですね。
2018年06月15日
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「大怪獣バラン」(1958)監督 本多猪四郎製作 田中友幸原作 黒沼健脚本 関沢新一撮影 小泉一美術 清水喜代志編集 平一二音楽 伊福部昭出演 野村浩三 、園田あゆみ 松尾文人、伊藤久哉、桐野洋雄、千田是也 村上冬樹、平田昭彦、山田巳之助、土屋嘉男、田島義文 本編87分 モノクロ シネマスコープサイズ 1958年(昭和33年)10月に公開された東宝の怪獣特撮映画です。 ゴジラやラドン、モスラなどに比べて知名度の低い怪獣バランということもあって、これまで見たことがなく、チャンネルNECOで放送されたのを機会に鑑賞しました。 子供が昆虫採集した蝶のなかにたいへん珍しい蝶があった。シベリアにしか棲息しないアカボシウスバシロチョウの一種で、それがなぜ日本で? 蝶が発見された東北地方、北上川上流の猪苗代湖付近(と思われる)僻地の岩屋部落へ調査に向かった研究員2人が謎の事故死をとげる。 その事故の原因を調べるために生物学研究員の魚崎健二(野村浩三)、カメラマンの堀口(松尾文人)と女性新聞記者 新庄由利子(園田あゆみ)が現地へ向かう。 岩屋部落を訪れた3人が、そこで見たものはバラダギ(婆羅陀魏)信仰にまつわる因習と、奥深い山霧がたちこめる湖から現れた、学名バラノポーダといわれる中生代の恐竜の生き残りである怪獣だった。婆羅陀魏山神(バラダギサンジン)として岩屋部落の人たちが古来から信仰してきた怪獣バランの出現に驚いた魚崎は「この怪獣が都会に行ったら大変だ」と。記事が新聞で発表されて自衛隊がバラン退治に乗り出す。 自衛隊がバランが潜む湖に毒物を投入し、出てきたところを無反動砲と迫撃砲で攻撃を加える。しかしバランに対してまったく通用せず、いたずらに怒らせるだけ。岩屋部落を蹂躙したバランは腕と足のあいだに飛膜を広げると空へ飛び立っていずこかへ姿を消してしまう。 そのバランが銚子沖に出現して東京へと向かう。陸海空自衛隊がバランを攻撃するために羽田空港に展開するが、はたしてバランを倒せるのか? 宇宙ロケットが打上げられ、やがて科学万能時代がやって来る。人類の目が宇宙開発に向いて、科学の発達によって怖い物なしになったと人類は思い上がっていた時代。新しいことは良いことだ、古い物の価値を認めず、捨てて新しい物に作りかえるのだ!と。 戦後の復興が進み、高度成長期にはいった昭和33年の映画です。 東北地方山中の湖におとなしく棲んでいた怪獣バラン。現地の住民はバラダギサンジンとして畏れて祀ってきた。それを心ない都会人が入り込んでいって信心を迷信と蔑み、禁足地を侵して怪獣バランを怒らせてしまう。 1954年の「ゴジラ」から始まった東宝の怪獣映画では「ゴジラの逆襲」(55)「空の大怪獣ラドン」(56)と、純粋に怪獣映画としては4作目になります。「地球防衛軍」(57)はロボット。 これまで見ることがなかったのは、その出演者の地味さゆえに関心が向かなかったのか。 脇役として平田昭彦さんや土屋嘉男さん、田島義文さんなどおなじみの顔がそろっているのに、肝心の主演2人 野村浩三 さんと園田あゆみさんに主役としての華がない。野村浩三さんは東宝特撮映画ではよく顔を見る脇役俳優(テレビ「ウルトラQ」の「変身」で巨人役)ですが、映画の主役となると話は別だろう。園田あゆみさんもヒロインというタイプではなく、キャスティングに問題ありです。 映画の中で自衛隊の攻撃がバランに通用しない。大砲や戦車、多連装ロケット砲も空からのロケット弾攻撃もまったく歯がたたない、と云っているけれど、それは大きな間違いで、歯が立たないのではなくて「命中していない」からですね。見ていると派手に撃っているけれど全然バランに当たらず、あさっての方向に着弾している。はずれっこないはずの巨大な標的なのにどこを撃っているんだ?
2016年12月03日
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1954年(昭和29年)日本映画の興行成績です。 金額は配給収入1位「君の名は・第三部」 3億3015万円2位「忠臣蔵 花の巻・雪の巻」 2億9064万円3位「七人の侍」 2億6823万円4位「新諸国物語 紅孔雀」 2億4182万円5位「二十四の瞳」 2億3287万円6位「月よりの使者」 1億6491万円7位「宮本武蔵(東宝版)」 1億6341万円8位「ゴジラ」 1億5214万円9位「ハワイ珍道中」 1億5017万円10位「哀愁日記」 1億4641万円 東宝特撮映画の「ゴジラ」が誕生したのは昭和29年です。 劇場公開は11月3日(一部10月27日)。監督 本多猪四郎製作 田中友幸原作 香山滋脚本 村田武雄、本多猪四郎撮影 玉井正夫音楽 伊福部昭特殊技術 円谷英二出演 志村喬、河内桃子、宝田明、平田昭彦 堺左千夫、村上冬樹 本編97分 モノクロ スタンダードサイズ 今では知らない日本人はいないだろう、日本映画が誇る特撮怪獣映画「ゴジラ」。 そもそもは製作者の田中友幸さんの「ビキニ環礁近くの海底で眠っていた恐竜が、水爆実験の影響でよみがえって異常発達して日本に襲ってきたらどうなるだろう」という思いつきから始まったそうです。 このアイデアをもとにして作家の香山滋さんが物語を創り上げることになったとか。 映画は11月3日に公開されたのですが、それ以前の7月17日から9月25日にかけてラジオドラマとして、ニッポン放送から11回にわたって放送されたそうです。「ゴジラ」という名前が日本人に広まったのはこの放送の時からというわけで、映画の公開以前に「ゴジラ」が一般に知られていたんですね。 10月にはこのラジオドラマの台本に手を加えた香山滋さんによる小説として刊行され(岩谷書店刊)、ストーリーは映画とほぼ同じもので、結末も同じだそうです。 観客の興味は、この原作本がどのように映像化されているのだろうか?といったことだったそうです。 のちにシリーズ化された「ゴジラ」の第1作。けっきょくはこの第1作を越えることができないで終わったようですが、日本映画史に残る「ゴジラ」(1954)は、日本映画の文化遺産といっても過言ではないのでは? 参考 「よみがえる 昭和こども新聞 昭和21年~昭和37年編」(日本文芸社)
2014年11月24日
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日本映画専門チャンネルで放送された東宝特撮映画「宇宙大戦争」(ロングバージョン)を録画して鑑賞。 この作品を見るのはまったくの初めてです。「宇宙大戦争」(1959)監督 本多猪四郎製作 田中友幸原作 丘美丈二郎脚色 関沢新一メカデザイン 小松崎茂撮影 小泉一音楽 伊福部昭特技監督 円谷英二出演 池部良、安西郷子、千田是也、土屋嘉男 村上冬樹、伊藤久哉 本編93分、総天然色、シネマスコープサイズ 地球への侵略者ナタール星人の秘密基地が月の裏側にあって、地球人類は熱線砲を装備したスピップ号(宇宙ロケットで、1号艇と2号艇がある)を発進させ、ナタール星人の秘密基地を調査に向かう。 隊員の1人がナタール星人に脳波コントロールされ、破壊工作で1号艇が爆破されるが、なんとか敵の秘密基地に損害を与えて脱出、地球に帰還する。 数日後、月からナタール星人の円盤が大挙して襲来、地球の戦闘艇と空中戦が展開される。 この作品が公開されたのは昭和34年(1959)の12月。 東宝特撮映画としては、「ゴジラ」(1954)「ゴジラの逆襲」(1955)「空の大怪獣ラドン」(1956)「地球防衛軍」(1957)「美女と液体人間」(1958)「宇宙大戦争」(1959)「電送人間」(1960)「ガス人間第1号」(1960)「モスラ」(1961)「妖星ゴラス」(1962)「キングコング対ゴジラ」(1962)「海底軍艦」(1963) といった順になります。「宇宙大戦争」は「地球防衛軍」の姉妹編として作られたそうで、しかしその出来は数段落ちるような感じがします。特撮はよくできているけれど、出演者に魅力がなく、物語部分も上出来とはいえない。 侵略宇宙人を相手に、ロケットに乗って月の裏側へ降り立ち、敵の基地を発見。その後の戦いも展開ももたついて、見ていてハラハラするなら良いけれども、イライラするばかり。 主演は池部良さんですが、このような娯楽SF映画には向いていないのでは? ヒロイン役の安西郷子さんは美人だけれども、存在感が薄く、隊員のメンバーとしても足手まといのような感じがしてイマイチな感じです。「地球防衛軍」が良くできていたので、この「宇宙大戦争」を期待して見たのですが、ちょっとガッカリな作品でした。伊福部昭さんのテーマ曲が盛大に鳴りますが「怪獣大戦争マーチ」の原曲なんですかね。 製作されたのが昭和34年、物語の背景は近未来の昭和40年(1965年)、人類は宇宙ロケットや宇宙ステーションを開発していて、熱線砲もあるし、月の裏側へ着陸も可能になっている。 当時はまだ「SF」という用語が一般的ではなく、耳慣れないものだった。 昭和31年(1956)に月刊雑誌「少年」に連載開始された「鉄人28号」(横山光輝)は「探偵漫画」だったし、「鉄腕アトム」は「科学まんが」と題されていて昭和27年(1952)と「鉄人28号」より数年早い連載開始だけれども、「SF」を早くから描いていた手塚治虫さんは「子供にデタラメを教えるな!」との批判をうけ、「悪書追放」の対象にされて校庭で焚書の憂き目にあった(ナチスドイツの焚書と同じことが小学校で、PTAによって実行された)。 早川書房の「S-Fマガジン」が創刊されたのは昭和35年(1960)です。 この頃から、それまで空想科学ものと呼ばれていた映画や漫画などを「SF」と呼ぶ、となったのですね。
2014年11月23日
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「ゴジラ」(54) 河内桃子「ゴジラの逆襲」(55) 若山セツ子「空の大怪獣ラドン」(56) 白川由美「地球防衛軍」(57) 白川由美、河内桃子「美女と液体人間」(58) 白川由美「電送人間」 白川由美「モスラ」(61) 香川京子、ザ・ピーナッツ「キングコング対ゴジラ」(62) 浜美枝、若林映子「妖星ゴラス」(62) 白川由美、水野久美「海底軍艦」(63) 藤山陽子、小林哲子「モスラ対ゴジラ」(64) 星由里子、ザ・ピーナッツ「宇宙怪獣ドゴラ」(64) 藤山陽子、若林映子「三大怪獣地球最大の決戦」(64) 星由里子、若林映子、ザ・ピーナッツ「フランケンシュタイン対地底怪獣」(65) 水野久美「怪獣大戦争」(65) 水野久美、沢井桂子「フランケンシュタインの怪獣サンダ対ガイラ」(66) 水野久美「ゴジラ・エビラ・モスラ南海の大決闘」(66) 水野久美 1954年(昭和29年)からの東宝特撮映画ですが、そのヒロインです。「ゴジラ」での可憐な河内桃子さんから始まって、前半は白川由美さんがよく目立ちます。「空の大怪獣ラドン」「地球防衛軍」そして最高傑作「美女と液体人間」の白川由美さんは大人のお姉さん、といった感じがとても素敵です。まだ20~22歳なのに、現代の同年齢の女性は全体に子供っぽく、これほどの大人っぽい印象を受ける人はいないですね。(当時は日活の芦川いづみさんや北原三枝さんなどもそうですが、日本の若い女性は大人っぽくあろうとしていたのでしょうか。早く大人になろう、というか、しっかりした大人が認められる時代だったようです) 白川由美さん、おきゃんな星由里子さん、お嬢様タイプの藤山陽子さん。金星人の若林映子さん、そして妖艶な水野久美さん、と。「キングコング対ゴジラ」(62)ではのちに英国のアクション映画007ボンドガールに抜擢された浜美枝さんと若林映子さんが出演しているのに、この役はいったい何だ?と思うくらいにひどい扱いをうけています。 若林映子さんは、いなくてもいいくらいの小さな役だし、浜美枝さんにいたっては、この役はやらないほうが女優としてのキャリアのためには良かったのではないか、と思うくらいのひどさです。 浜美枝さんは高島忠夫さんの妹の役。その恋人(佐原健二)が東京製綱の社員で、特殊繊維ロープを開発している。 彼が乗っていた船がゴジラに沈められたというニュースを聞いて急行「つがる」で東北へ向かうのですが、そこへゴジラが出現。大勢の乗客が避難するなかで彼女だけが逃げ遅れて取り残されてしまうバカさ加減。 危機一髪、駆けつけた恋人に助けられるのだけれど、そのわずか数日後には、都内で電車に乗っているのをキングコングに襲われて、こんどは拉致されてしまう。たくさんいる乗客がみんな逃げるのに、なぜ彼女だけ逃げ遅れるのか?、このドジさ、ノロマさ、見ていて「グズでバカな女」としか思えません。 私にとっては、この「キングコング対ゴジラ」のせいで浜美枝さんに対するイメージが悪くなってしまった。けっして浜美枝さんの責任ではなく、脚本や演出のせいなのですが、これではどうしようもない。 他の出演作(たとえばクレージーキャッツのコメディとか)をいくつか見てイメージ修正するまでは、この印象は消えないようです。
2014年08月10日
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映画「キングコング対ゴジラ」(1962)のクライマックス場面で、パシフィック製薬が南洋のファロ島から持ってきた赤い実をもとに合成した眠り薬ファロラクトンでキングコングを眠らせます。 眠っているコングを気球を使って、特殊繊維で作ったロープで吊り上げて、ゴジラがいる富士山麓へ運んで戦わせようという作戦が立てられる(写真)のですが、このキングコングを気球で吊り上げるのに使われたポリプロピレンロープを開発したのは「東京製綱」という会社で、映画の中でも実名で登場しています。(注意 このロープはワイヤーロープではなく繊維ロープです。社名の「東京製綱」は「製鋼」ではありません) 主人公の桜井(高島忠夫)の妹 ふみ子(浜美枝)の恋人を佐原健二さんが演じていて、この人が東京製綱の社員で、新開発したポリプロピレンの糸を自慢げに見せます。「なんだミシン糸か」とそっけない桜井に、「やだなぁ、ハガネよりも強く、絹糸よりもしなやか、原子力時代の繊維ですよ!」と。 恋人の兄貴の前でベランダを乗り越え、細い糸を手にぶら下がったりして、糸の驚異的な優秀さを大いにアピールする。彼はこの新素材で作った船具の試作品テストのために明日、第2新盛丸に乗船してとうぶんのあいだ航海に出るという。 そしてクライマックスとなって、キングコングを眠らせてどうやって運ぶのかという問題の場面。 自衛隊の隊長が「問題はどうやって運ぶかだ」と言うのに、高島忠夫さんの桜井が、「あります、吊るんです、吊って空を運ぶんです」。 傍らの妹の恋人の東京製綱マンに「ほら、ハガネよりも強く、絹糸よりもしなやかってヤツだよ」 佐原健二さんの東京製綱マンが「そうだ、ぜひやらせてください」と、熱く請け合う。 東京製綱の社名が入ったトラックが到着して大量のPPロープが運ばれ、自衛隊がキングコングにロープを巻き付けていきます。 キングコングを無事に吊りあげることができ、そこで高島忠夫さんが「ハガネよりも強く、絹糸よりもしなやか、おい、テストは大成功だぜ!」と。 この映画「キングコング対ゴジラ」に実名登場することで、東京製綱にとって大きな、という以上に巨大なコマーシャルになったのではないでしょうか。 映画の中ではといえ、身長45メートル、体重2万500トンのキングコングを吊り上げたのだから、その耐久性は抜群の引張強さを誇る。「キングコングを吊ったんですよ」という営業マンがいたとしてもおかしくないですね。
2014年08月09日
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1962年の日本映画興行成績です。 金額は配給収入。1位 「天国と地獄」 4億6020万円 2位 「花と竜」 3億6040万円 3位 「勢揃い東海道」 3億5212万円 4位 「キングコング対ゴジラ」 3億5010万円 5位 「宮本武蔵 般若坂の決斗」 3億241万円 6位 「人生劇場 飛車角」 2億8800万円 7位 「どぶろくの辰」 2億8480万円 8位 「忠臣蔵 花の巻・雪の巻」 2億8010万円 9位 「裏切者は地獄だぜ」 2億7912万円 10位 「青い山脈」 2億7080万円 東宝の特撮怪獣映画「キングコング対ゴジラ」は1962年(昭和37年)8月公開のお盆映画です。「キングコング対ゴジラ」製作 田中友幸監督 本多猪四郎脚本 関沢新一撮影 小泉一音楽 伊福部昭特技監督 円谷英二出演 高島忠夫、有島一郎、藤木悠、浜美枝、若林映子 佐原健二、平田昭彦、田崎潤 本編97分 総天然色 シネマスコープサイズ「ゴジラ」(54)「ゴジラの逆襲」(55)に続いてのゴジラシリーズ第3作です。 東宝怪獣映画の位置付けとしては、「ゴジラ」(1954)モノクロ・スタンダードサイズ「ゴジラの逆襲」(55)モノクロ・スタンダードサイズ「空の大怪獣ラドン」(56)総天然色・シネマスコープサイズ「大怪獣バラン」(58)モノクロ・シネマスコープサイズ「モスラ」(61)総天然色・シネマスコープサイズ「キングコング対ゴジラ」(62)総天然色・シネマスコープサイズ の順です。「ゴジラの逆襲」から7年後に公開された「ゴジラ」新作は総天然色・シネマスコープの大作となって、アメリカを代表する怪獣キングコングと対決する。 観客動員数1255万人はシリーズ全28作中での最高記録です。配給収入は3億5010万円。 シリーズ第19作「ゴジラVSモスラ」(92)が観客動員数420万人でシリーズ最高額の配収22億2000万円なのは劇場料金が約10倍以上?になっているから。(配給収入とは、興行収入から劇場の取り分を差し引いた金額のこと。興収の50~60%くらいになる) 前作「ゴジラの逆襲」で北極海の氷で生き埋めにしたゴジラが氷山の中から現れてアメリカの原潜を沈める。ゴジラはベーリング海のアメリカ?の軍事基地を破壊し、松島湾から本土に上陸。 製薬会社パシフィックが宣伝のために南洋のファロ島から魔神キングコングを眠らせて大筏で日本へ連れてくる。運搬の途中で眠りから覚めたコングは暴れて、千葉県の海岸に上陸。 闘争本能でゴジラの存在を感知したコングは、ゴジラの跡を追うかのように進み、やがて両怪獣が対決することになる。「怪獣対戦」は前作「ゴジラの逆襲」ですでにゴジラとアンギラスが戦っているけれど、本格的にタイトルに「対」が付けられて怪獣対決を売りにした作品は初とされて、本作以降は「怪獣対決」が東宝怪獣映画のお決まりになります。 先日も書きましたが、映画誌「映画秘宝」9月号の特集ゴジラ映画ベスト10では「キングコング対ゴジラ」が2位の「ゴジラ」(54)と僅差で第1位にランクされています。1 キングコング対ゴジラ(1962)2 ゴジラ(54)3 ゴジラ対ヘドラ(71)4 ゴジラ対メカゴジラ(74)5 怪獣大戦争(65)6 怪獣総進撃7 ゴジラVSビオランテ(89)8 モスラ対ゴジラ(64)9 ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃(2001)10 三大怪獣 地球最大の決戦(64)次点 ゴジラの逆襲(55) 私は第1作「ゴジラ」(54)をリアルタイムで見た世代ではなく、公開当時の社会状況や時代の雰囲気を知らないので、現在の視点から(テレビ放送やDVD鑑賞)でしか印象を語ることができず、まさかそれをマイベスト1位にするわけにはいかないでしょう(傑作・名作とは思うけれども、自分のベストには入れない)。 そんな意味では、この「キングコング対ゴジラ」は私が小学生の時に初めて見たゴジラ映画であり(公開の1962年ではなく63年だったかもしれない)、これをマイベストに入れる資格はあると思いますが、映画館だけでも3回(65年頃、66年か67年頃にも)見ているけれども、ベストに選ぶとすれば、他に「怪獣大戦争」などの好きな作品があるので、本作ではないですね。 明日につづく、です。
2014年08月08日
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7月25日に、アメリカ映画「GODZILLA ゴジラ」(2014)が劇場公開されました。 日本の東宝映画「ゴジラ」が1954年に公開されて、今年でちょうど60年です。 日本映画専門チャンネルでは「総力特集・ゴジラ ゴジラ還暦30作品を完全放送」として先日、その全作品を放送完了したところです。 その中には日本の「ゴジラ」(1954)をアメリカで編集し、レイモンド・バーさんが出演した「怪獣王ゴジラ GODZILLA KING OF THE MONSTERS!」(57)も含まれていて、これは貴重な鑑賞機会になっている。 その日本映画専門チャンネルでは「ゴジラ総選挙 あなたが選ぶベスト・オブ・ゴジラ」という企画があって、そのベスト4作品が発表されました(詳細発表は8月になってからの予定)。 その結果によると、 第1位「ゴジラVSビオランテ」(1989) 第2位「ゴジラ」(1954) 第3位「ゴジラVSデストロイア」(1995) 第4位「モスラ対ゴジラ」(1964) です。 また、映画誌「映画秘宝」の9月号には「秘宝ゴジラ総選挙!!」という特集が組まれていて、こちらのベスト10では、 第1位「キングコング対ゴジラ」(1962) 第2位「ゴジラ」(1954) 第3位「ゴジラ対ヘドラ」(1971) 第4位「ゴジラ対メカゴジラ」(1974) 第5位「怪獣大戦争」(1965) 第6位「怪獣総進撃」(1968) 第7位「ゴジラVSビオランテ」(1989) 第8位「モスラ対ゴジラ」(1964) 第9位「ゴジラ モスラ キングギドラ 怪獣総攻撃」(2001) 第10位「三大怪獣 地球最大の決戦」(1964) 次点「ゴジラの逆襲」(1955) なるほど、です。人にはさまざまな「ゴジラ」があるようです。その人にとっての「ゴジラ映画」は、幼少期に映画館で初めて見た作品に強い思い入れがあるのかもしれない。 私が選ぶとすれば 第1位は「怪獣大戦争」(1965) 第2位は「三大怪獣 地球最大の決戦」(1964) あとは順位を決められずに「ゴジラ対ヘドラ」(71)と「ゴジラ モスラ キングギドラ 怪獣総攻撃」(2001)、「ゴジラ×メカゴジラ」(2002)が上位にくるかと。 シリーズ第1作の「ゴジラ」(1954)と第2作の「ゴジラの逆襲」(1955)は年齢的にもリアルタイムで見たわけではないので、私の世代の作品ではなく、選ぶ資格がありません。 映画秘宝での第1位「キングコング対ゴジラ」(1963)はなるほどとは思うけれども、浜美枝さんのおバカな役のために、それほど良い作品とは思えない。
2014年07月27日
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「ゴジラ FINAL WARS」(2004)製作 富山省吾監督 北村龍平脚本 三村渉撮影 古谷巧音楽 キース・エマーソン特殊技術 浅田英一出演 松岡昌宏、菊川怜、水野真紀、北村一輝、ドン・フライ 宝田明、ケイン・コスギ、水野久美、佐原健二、泉谷しげる 本編125分 総天然色、シネマスコープサイズ 日本映画専門チャンネルで放送された「ゴジラ」シリーズ最終作の「ゴジラ FINAL WARS」(2004年12月公開)を録画して見ました。 結果を先にいうと、これはひどい映画でした。「映画はけなすものではない、良いところを見るようにしなさい」とおっしゃった淀川先生の言葉を守るように心がけているつもりだけれども、これはあまりにもひどすぎて褒めようがありません。 冒頭に「田中友幸、本多猪四郎、円谷英二に捧ぐ」との文字が出るのですが、こんなものを捧げられてはたまらない、と思うほどです。 1954年に始まった「ゴジラ映画」の50周年記念作に当たり、シリーズ第28作で、最終作。 本来ならば「有終の美を飾る」ために集大成としてふさわしいゴジラ映画に仕上げられるべきだし、それでこそ「捧ぐ」に値するはず。それなのに、このていたらくでは「晩節を汚す」というしかないですね。 こんなものを見せられて観客が満足するだろうと思って作ったとしたら、ゴジラ映画ファンだけでなく観客全員に対する侮辱で、入場料を返せという客がいてもおかしくない。 これまでシリーズ中で最低作は「ゴジラVSモスラ」(第19作、1992年)だと思っていたけれども、最低作はこの「ゴジラ FINAL WARS」に決定です。 20XX年、世界は核実験等の影響で目覚めた怪獣が各地に出現。国際連合はその脅威に対抗するために地球防衛軍を結成する。 その組織にはミュータントで構成された「M機関」なる部門があり、怪獣と戦っていた。 そんな折り、東京上空に巨大なUFOが現れ、彼らは友好のためにやって来た「X星人」だと名乗る。 あの「海底軍艦」の轟天号と「怪獣大戦争」に登場したX星人が出るというので、 興味津々、期待して見たのですが、その期待は失望になりました。 開巻、確かに轟天号が出てきて怪獣マンダを冷線砲で凍結させて木っ端微塵にする。海底軍艦の轟天号が見られるのはここだけで、後に登場する新・轟天号は「海底軍艦」とは似ても似つかぬ別物になっている。 地球侵略にやって来た「X星人」も、「怪獣大戦争」のX星人とはコスチュームもちがうし、名前がX星人というだけです。 期待させておいて、見事に裏切られました。なぜ海底軍艦「轟天号」をもっと活躍させないのだろう?、なぜ、あの未来に向かって脱出するといって爆発した「X星人」を再び私たちの前に出現させて、ファンを嬉しがらせてくれないのだろう? 怪獣を総出演のように出す必要性はなくて、ゴジラとX星人、轟天号、それだけで充分ではないかと思います。「M機関」のミュータントだって?、ぞろぞろ出てきたミュータントのどこがいったいミュータントなのか?普通の人間ではないか。 きわめつけにバカバカしいのは、軽トラに乗ったミニラと、泉谷しげるの爺さんと鼻につく子役の登場。これはなんの意図があるのか? 不必要なものです。観客をバカにしてらあ。 出演者にも魅力がなく、ケイン・コスギさんの扱いもひどいもので、何かというと牙をむく狂犬のような男。こんな役をよくも引き受けたものだ。
2014年07月25日
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シリーズ第25作「ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃」(2001)は傑作だと思います。 第1作から50年ぶりに日本を襲ったゴジラ。 防衛軍(自衛隊ではない)が出動するけれど、通常兵器では刃が立たない。そこへバラゴンが現れてゴジラと対戦し敗退。モスラも現れて戦うがこれも敗退、さいごにキングギドラが現れて・・・。 このやまとの国の守護神である護国三聖獣の3匹の怪獣たち。とくにキングギドラはこれまでの作品では宇宙からの侵略怪獣でしたが、今作では日本の国の守り神として登場する。 護国三聖獣は当初の予定ではバラゴンとアンギラス、バランだったそうで、商業的に、名の知られた人気怪獣のほうが観客を集められるのではないか、との理由でアンギラスとバランではなくモスラとキングギドラに変更されたそうです。たしかに娯楽映画的な面ではモスラとキングギドラで正解だったかな、とは思う。 ゴジラが50年ぶりに日本を襲うのですが、「ゴジラは強烈な残留思念の集合体で、ゴジラには太平洋戦争で命を散らした数知れぬ人間たちの魂が宿っているのだ」と映画の中でいわれる。 だったら、なぜゴジラが日本を襲うのか。それは「人々がすっかり忘れてしまったからだ。過去の歴史に消えていった多くの人たちの叫びを。その無念を」だという。 ゴジラが戦死者の亡霊だとすると、なぜ日本を襲うのか?、それは現代の人々が彼らの無念の気持ちと、日本のために戦った気持ちを忘れてしまったからだと。 そう考えると、冒頭で奇声を上げて走る暴走族がゴジラに襲われてトンネル崩落事故で死ぬのも、湖で傍若無人に遊びほうけるクソガキどもをモスラ(守護神のはずなのに)が殺すのも理解できるようです。 このクソガキどもは戦争で南の海に散っていった若者たちと同じくらいの年齢。その現代のバカな若者たちに戦死者たちの亡霊が天誅をくわえるのだと。そういう意味でしょうか。 立花父娘(宇崎竜童と新山千春さん)の会話で、 宇崎さんの父親が「太平洋に散った英霊たちは、日本を守るために戦って散った。それがなぜ、ゴジラになって日本を攻める?」 新山千春さんが「犠牲になったアジアの人々と、アメリカ人と、原爆で死んだ日本人と・・・それが、こう、ひとつになったんじゃない?」と言うのですが、アジアの人々とアメリカ人は、あとからとってつけたような感じがして、本来は戦争で死んだ日本人たちだけではないか?と。 現代の、恥も外聞も無く遊びほうける人たち。戦争で死んだ人たちは、未来の日本をそんな乱れはてた姿にするために犠牲になったわけではない、ということだと思うのです。ゴジラはだから彼らの無念の象徴で、乱れた日本を破壊しに現れた。 新山千春さんがカメラの前で言います。いま、わたしたちを守るために生命をかけて戦っている人たちがいます、と。だから私は彼らのためにも報道を続けなければならない、彼女は勇ましく危険に立ち向かってゆく。この立花由里を好演する新谷千春さんがとてもいい。ゴジラシリーズ全作でも屈指のヒロインになっています。 ラストで、生還した宇崎竜童さんと出迎えた新山千春さんがゴジラが消えた海に向かって万感の思いをこめて敬礼する、このシーンはいいですね。
2014年07月08日
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2002年の日本映画興行成績です。 金額は興行収入。1位 「猫の恩返し」 64億6000万円2位 「名探偵コナン ベイカー街の亡霊」 34億円3位 「ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃」 27億1000万4位 「劇場版ポケットモンスター 水の都の護神ラティアスとラティオス」 26億7000万 5位 「ドラえもん のび太とロボット王国」 23億1000万6位 「千年の恋 ひかる源氏物語」 20億8000万7位 「ONE PIECE ワンピース 珍獣島のチョッパー王国」 20億円8位 「模倣犯」 16億1000万9位 「映画 犬夜叉 時代を越える想い」 15億4000万10位 「ナースのお仕事 ザ・ムービー」 14億4000万円 日本映画専門チャンネルで放送された「ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃」を面白く鑑賞しました。あまり期待していなかったのですが、予想に反して、これは良かったです。「ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃」(2001年12月公開)製作 富山省吾監督 金子修介 脚本 長谷川圭一、横谷昌宏、金子修介撮影 岸本正広音楽 大谷幸、伊福部昭(ゴジラテーマ曲)特殊技術 神谷誠出演 新山千春、宇崎竜童、小林正寛、佐野史郎、仁科貴 南果歩、大和田伸也、渡辺裕之、布川敏和 、天本英世 本編105分 総天然色 シネマスコープサイズ ストーリーは単純で、日本にゴジラが現れて、日本古来からの守り神であるバラゴン、モスラ、キングギドラが対抗して戦うというものです。 シリーズ第25作ですが、物語は第1作(1954年)から直接につながっていて、その間の作品はすべて存在しないという設定。しかも他の東宝怪獣映画である「モスラ」(61)や「フランケンシュタイン対地底怪獣」(65)なども存在しなかったことになっていて、モスラやバラゴン、キングギドラは護国三聖獣として登場し、やまとの国を破壊神ゴジラから守るために現代によみがえる。「護国三聖獣」のバラゴン(婆羅護吽)、モスラ(最珠羅)、ギドラ(魏怒羅)。ラストでギドラが変異してキングギドラ(千年竜王)と呼ばれる。 このゴジラと護国三聖獣の戦いに日本の防衛軍が加わって話が進みます。 主人公は立花由里(新山千春さん)というBSテレビ番組のリポーター。ゴジラと護国聖獣との戦いに巻き込まれてゆき、危険をかえりみずに現場から報道をつづける。 立花由里の父親が防衛軍の立花准将(宇崎竜童)で、彼は巡洋艦「あいづ」で作戦指揮を執り、最後には潜航艇に乗って単身ゴジラに立ち向かい、ゴジラの体内からミサイルを発射してゴジラを倒すことに成功します。 この親娘の感情がよく描かれていて、娘は父親に危険を冒させたくなく、准将の地位にあるのになんで最前線にいるのか、なぜお父さんじゃないとならないのかと問うと、父親は「だったら、お前の知らない他の誰かならいいのか?」と言う。これには返す言葉がない娘。 父親としては娘を危険な場所から遠ざけたいが、娘は「報道は自分の仕事だ」と言ってきかない。それに対して父親も「これは自分の仕事だ」と。この父親と娘のシーンは最高で、娘を持つ父親だったら泣きますって。 長くなるので、明日につづく。
2014年07月07日
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2000年の日本映画協業成績です。金額は興行収入。1位「劇場版ポケットモンスター/結晶塔の帝王エンテイ」 48億5000万円2位「ホワイトアウト」 42億円3位 「ドラえもん のび太の太陽王伝説」 30億5000万円4位 「名探偵コナン 瞳の中の暗殺者」 25億円5位 「ONE PIECE ワンピース」 21億6000万円6位 「ゴジラ2000 ミレニアム」 16億5000万円7位 「リング0 バースデイ」 16億円8位 「どら平太」 14億円9位 「GTO」 13億2000万円10位 「おジャ魔女どれみ#」 12億7000万円 日本映画専門チャンネルで放送された「ゴジラ2000ミレニアム」(1999年12月公開)を録画して鑑賞。「ゴジラ2000 ミレニアム」(1999)製作 富山省吾監督 大河原孝夫脚本 柏原寛司、三村渉撮影 加藤雄大音楽 服部隆之テーマ曲 伊福部昭特殊技術 鈴木健二出演 村田雄浩、西田尚美、鈴木麻由、阿部寛、佐野史郎、西村雅彦 本編107分 総天然色 シネマスコープサイズ 東宝怪獣映画「ゴジラ」シリーズとしては、前作「ゴジラVSデストロイア」(1995年12月公開)から4年の間をあけての製作になります。 ハリウッド版「GODZILLAゴジラ」(1998)はゴジラではなくジュラシックパークみたいで不評でしたが、それでも日本のゴジラにとってはある意味で刺激になったのではないか、と思う。ゴジラの造型がリアルになったですね。恐龍的な感じがして、これは良い。 前作「VSデストロイア」で最後だったはずですが、その4年後に再スタートした「新シリーズ」です。 根室に出現したゴジラ。そして日本海溝から引き揚げられた巨岩(隕石?)実は宇宙からの侵略UFOで、6千万年だか7千万年だかに地球に飛来して海底に眠っていたのを深海探査の科学者たちが発見した。 その巨大UFOが動き出して、最終的には怪獣化してゴジラと対戦するんですが、何かというと怪獣を出してゴジラと戦わせる、こんなバトルがないと子供の観客に受けないと思っているんだろうか? 冒頭、北海道の根室で3人の男女がアンテナやら機材をセットしている場面から始まって、この3人、「ゴジラ予知ネット」の主催者篠田(村田雄浩)と、その小学生の娘イオ(鈴木麻由)、取材に来た雑誌記者 一ノ瀬由紀(西田尚美)です。 ゴジラ出現を予知したのですが、「ホントに来るのぉ」とやる気のない一ノ瀬由紀に、「大事なクライアントをガッカリさせないよ」と自信満々な篠田。 やる気のないような女優と、子役の小学生。「ゴジラVSモスラ」(92)を思い出してイヤな予感する。 しかし作品を台無しにした「ゴジラVSモスラ」の小林聡美と子役とはちがって、さすがは西田尚美さん、しだいに好演になってきて活躍するし、わるくはなかった。篠田イオというしっかり者の女の子の役を演じた鈴木麻由さんは、嫌みのない素直な演技が良かった。キャスティングと子役の選定がいかに重要かという好例です。 根室からゴジラが海を南下し、東海村の原子力発電所を襲う危険性が高まったことから自衛隊が出動。久慈川河口に自衛隊の90式戦車部隊を展開して防衛戦を敷きます。 空からは攻撃ヘリの編隊が、空自のF15戦闘機もゴジラを攻撃する。 さらに新兵器フルメタルミサイル(徹甲弾頭のミサイル)でゴジラを集中攻撃。上陸したゴジラと自衛隊との戦闘が繰り広げられて、この場面は見ものです。 映画でこれだけたくさんの戦車が登場するのは久しぶり。「バルジ大作戦」(65)以来かも。実写ではなくCGだろうけれど、日本に90式戦車がこんなにたくさんあるのか?と思わせるくらいです。 空からは攻撃ヘリが3機編隊になって代わる代わるゴジラをミサイル攻撃し避退してゆく。こういう描写はとてもいい。 昔のゴジラ映画では自衛隊の攻撃は明後日の方向へ飛んでいき、少しも命中しなかったけれども、さすがに新しい(と言っても14年前だが)映画だけあって、全弾が命中する。
2014年07月05日
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東宝の怪獣映画「ゴジラ」のシリーズを見直しているのですが、第1作の「ゴジラ」(1954)を最後まで越えることができなかったのではないか、と思います。「ゴジラ」(54)から「ゴジラ FINAL WARS」(2004)まで、50年間に全28作が作られましたが、けっきょくは最初の「ゴジラ」(54)の時点で、すでに完成されてしまっていて、以降、それを越えるできばえの作品は作ることができなかった。 水爆実験で生活環境を破壊され、安住の地を追い出されたゴジラが日本近海に現れて貨物船を襲い、大戸島に上陸し、つづいて東京湾から本土に上陸して暴れ回る。主人公の男女と科学者が登場し、秘密兵器でゴジラを倒す。怪獣映画の物語設定はこの最初の一作で完成されてしまっています。 シリーズ化にあたって、今後の設定をどのようにするか。 水爆怪獣の恐怖というテーマを捨て去って、ゴジラとは別の怪獣を登場させて二匹を戦わせる。当時、テレビで人気があったプロレス中継の対戦とタッグマッチを取り入れて怪獣バトルの路線で行こうと、そういうことでしょうか。「ゴジラの逆襲」(1955)「キングコング対ゴジラ」(62)。 そして「空の大怪獣ラドン」(56)のラドンと「モスラ」(61)のモスラをゴジラ映画に出演させて怪獣オールスター対戦へと。「モスラ対ゴジラ」(64)と「三大怪獣 地球最大の決戦」(64)がそうなのですが、つづく「怪獣大戦争」(65)では怪獣映画と宇宙人侵略を合体させた、SF怪獣路線へとなっていきます。 東宝映画の若手スターを中心に、志村喬さんや藤田進さん、上原謙さん、田崎潤さん、田島義文さんなどベテランスターを配した映画作りはけっして子供向けではなく、青年も大人も、どちらかといえばこちらが対象なのではないかと思う本格的な映画作りをしています。 宝田明、平田昭彦、小泉博、高島忠夫、佐原健二、夏木陽介。女優では第1作の河内桃子さんを初め、若山セツ子さん、浜美枝さん、若林映子さん、星由里子さん、水野久美さん、まさに東宝のオールスターがゴジラ映画につぎつぎと出演しています。 そしてゴジラ映画に観客が入らなくなっていったのが1970年頃から。 客が入らないから製作費が削減されスター俳優が出なくなり、作品の質が落ちてゆき、だからなおさら客が入らない悪循環に。 テレビの怪獣ブームで怪獣を安売りしてしまったことが原因なのか、怪獣ブームが終わるとゴジラも人気が低迷することに。 先日、第1作の「ゴジラ」(1954)を見て、その傑作であることを再認識しました。 東宝怪獣映画のなかで、最高作は「ゴジラ」(1954)。 個人的に好きなのは、リアルタイムで見たという思い入れもあるけれども「三大怪獣 地球最大の決戦」(64)と「怪獣大戦争」(65)。 ゴジラ映画ではない「フランケンシュタイン対地底怪獣」(65)と「フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ」(66)は怪獣映画+恐怖・怪奇映画の雰囲気があって、なかなかの傑作です。「ゴジラ対ヘドラ」(71)はゴジラが空を飛んだりして、以前は最低だと思っていたが、再見してその捨てがたい味わいがあることを認識しました。ただ怪獣映画としては低予算ですが。
2014年06月24日
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「ゴジラ」(1954)に登場する芹沢大助博士(平田昭彦)。 山根恭平博士(志村喬)の娘 恵美子(河内桃子)と婚約していて、山根博士の婿養子になるはずだったのですが、戦争で片目を失ったことから研究室に閉じこもるようになり、恵美子との婚約は破棄された形になっています。 毎朝新聞の荻原(堺左千夫)という記者がデスクに指示されて芹沢博士に会いに行くのですが、門前払いをくわされたといって山根恵美子に紹介の労を頼んでくる。 芹沢博士の研究がゴジラ対策の打開につながるのではないかという情報を聞いて、意見を求めに訪問します。 芹沢博士は自分の研究は関係ないと言って荻原を帰したあと、その研究を恵美子に見せる。 地下の実験室に案内された恵美子は、そこでオキシジェンデストロイヤーなる芹沢博士の恐ろしい発明を見せられて衝撃を受ける。芹沢は「恵美子さん、あなただから見せたのです。ぜったいに誰にも内緒だよ」と秘密を守ることを誓わせます。 オキシジェンデストロイヤーは芹沢博士が酸素原子の研究途上で発見し、完成させた薬品。「液体中酸素破壊剤」で、恵美子の前で彼は水槽にその薬を入れ、泳いでいた魚がたちまち骨だけになってしまうのを見せる。 液体中の酸素を破壊し、あらゆる生物を窒息死させた後、液化させてしまう化学兵器。砲丸大のもの1個で東京湾を死の海にさせる威力があるという。 酸素の研究の途中で偶然に生まれた発明ですが、これがもしも戦争に使われれば恐るべき兵器になる。 芹沢博士は、この発明を発表せずに秘密にしておくつもりだったけれども、最後にはゴジラを倒すために使わざるを得なくなります。 この発明を世界の為政者がだまって見ているはずがない、かならず兵器として使われることになる。そう恐れている芹沢博士は、ゴジラに対抗するために、一度だけ、このオキシジェンデストロイヤーを使う決心をする。 彼は、ゴジラが海底で白骨化するのを見届けると、自らの生命を絶ち、自分の発明の製法と存在を葬ります。 この映画「ゴジラ」(54)に登場する2人の学者。 芹沢博士は自分の研究成果を、自分の生命とともに永遠に葬るのですが、これは科学者の良心です。 もう一人の学者は、ヒロイン恵美子の父親 山根恭平博士。古代生物学者で、ゴジラを貴重な発見だとして、それを殺そうとするのを批判する。 水爆の洗礼をうけてもなお生きている生命力。その謎を解くのが第一で、ゴジラは貴重な研究材料だと。 この山根博士は一見、立派な分別ある大人に見えるけれども、学者のエゴしかないのですね。 ゴジラが東京に上陸し蹂躙、地獄のような惨状が目の前に広がっているのに、多くの人々が死んでいるのに、なおもゴジラをかばおうとする。犠牲者の生命よりも研究材料としてのゴジラの方が大切なのです。 この2人の学者の対比。良心に苦悩する芹沢博士と、ゴジラを研究対象としてしか見ない山根博士のエゴ、がおもしろいですね。
2014年06月22日
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昭和29年(1954)3月、日本の遠洋マグロ漁船「第五福竜丸」が中部太平洋ビキニ環礁でアメリカがおこなった水爆実験のまきぞえで放射性降下物(死の灰)をあび、船員23名全員が被爆。 この年の11月に「ゴジラ」が公開され、このSF怪獣映画は原水爆核実験の影響と不安が大きく反映されています。 映画の中でも、通勤電車内でゴジラ出現のニュースを読んだサラリーマンの会話として、「長崎の原爆からやっと生き延びたのに」という女性に、「疎開先を考えないと」「また疎開かい、やだな」「放射能の雨に、放射能マグロ。こんどはゴジラか」と言う男たち。 放射能被爆の不安が、庶民の生活に、他人事ではなく実感されていた時代に製作されたのが「ゴジラ」です。 公開時のポスターには「水爆大怪獣映画 ゴジラ」と書かれている。 映画の中で、対策委員会の席上、水爆実験の結果でゴジラが現れたということを公表すると、国民を不安に陥れるし、またアメリカの水爆が関係する国際問題でもあり、秘密にしておこう、みたいに言う代議士がいます。 アメリカに対してはばかられる、という意味ですが、それに対して女性議員が「ばかもの!事実だからこそ堂々と公表しろ!」と噛みつきます。この女性議員を演じているのは菅井きんさんで、痛快な場面です。 ゴジラが東京に上陸し、国会議事堂を破壊するシーンでは観客が拍手喝采を送ったとか。ふたたび、明日につづきます。
2014年06月21日
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1954年(昭和29年)日本映画興行成績です。 金額は配給収入。1位 「君の名は 第三部」 3億3015万円2位 「忠臣蔵 花の巻・雪の巻」 2億9064万3位 「七人の侍」 2億6823万4位 「新諸国物語 紅孔雀」 2億4182万5位 「二十四の瞳」 2億3287万6位 「月よりの使者」 1億6491万7位 「宮本武蔵」 1億6341万8位 「ゴジラ」 1億5214万9位 「ハワイ珍道中」 1億5017万10位 「哀愁日記」 1億4641万円 第3位は黒澤明監督の「七人の侍」で、その主演を務めた志村喬さんが第8位の「ゴジラ」にも重要な役で出ている。 日本初の特撮怪獣映画「ゴジラ」は「七人の侍」とともに日本映画史に記録される作品です。 のちには、テレビの「ウルトラマン」によって起こった怪獣ブームに「ゴジラ映画」も便乗し、観客対象が小学生や幼児になってしまうのですが、この初代「ゴジラ」は出演俳優の顔ぶれを見ただけでも、決して子供向けではないですね。 アメリカ映画では、古くは「キング・コング」(33)あたりからSFモンスター映画が作られていて、1950年代前半には「原子怪獣現わる」(53)「放射能X」(53)「水爆と深海の怪物」(55)がある。 東宝の特撮怪獣映画第1作「ゴジラ」(54)は、それらアメリカのモンスター映画を意識したものと思われます。当初の円谷英二さんの企画イメージでは原水爆実験の影響で誕生した怪物は「大ダコ」だったそうです。「ゴジラ」(1954年11月公開)製作 田中友幸監督 本多猪四郎原作 香山滋脚本 村田武雄、本多猪四郎撮影 玉井正夫音楽 伊福部昭特殊技術 円谷英二出演 宝田明 河内桃子、志村喬、平田昭彦 堺左千夫、村上冬樹、 本編97分 モノクロ スタンダードサイズ 伊豆諸島の大戸島付近で貨物船が遭難し、捜索と救援に向かった船と大戸島の漁船も立て続けに消息を絶ちます。1人だけ生き残った漁師が大戸島の浜辺に漂着し、「船ごと、やられた」と言い残して気を失う。 村の老人は、島に伝わる伝説の「ゴジラ」のしわざだと言うけれども、「また爺さまのゴジラが始まった」と笑って誰も相手にしない。 大戸島が台風に直撃された夜、暴風雨を突いてゴジラが上陸。甚大な被害を被ります。 東京から災害調査にやって来た山根博士(志村喬)は、放射能を帯びた巨大な足跡と絶滅したはずの太古の三葉虫を発見し、彼らは山の向こうに巨大な怪物を目撃します。 東京に戻った山根博士は、海底に眠っていた200万年前の恐竜が水爆実験で目覚めたのではないかとの見解を発表し、大戸島の伝説にちなんで仮に「ゴジラ」と呼称することになる。長くなるので、明日につづく。
2014年06月20日
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「ゴジラ対メカゴジラ」(昭和49年3月公開)「メカゴジラの逆襲」(昭和50年3月公開)「ゴジラVSメカゴジラ」(平成5年12月公開)「ゴジラXメカゴジラ」(平成14年12月公開)「ゴジラXモスラXメカゴジラ東京SOS」(平成15年12月公開) メカゴジラが登場するのは全部で5作品。タイトルは「対」「VS」「X」となっていて、ややこしい。 最初の2本は宇宙人(ブラックホール第3惑星人)が地球侵略のために造ったロボットだったが、平成になってからのメカゴジラは、対G(ゴジラ)兵器として日本政府が開発したものです。「ゴジラVSメカゴジラ」では自衛隊ではなく「G対策センター」の実戦部隊「Gフォース」が使用する対G兵器で、23世紀未来から来てゴジラと戦って海に沈んだメカキングギドラを参考にして開発した。「ゴジラXメカゴジラ」ではG対策センターなどの設定はなくなり、というより最初から存在しない。防衛庁(現在は防衛省)が撮影に協力していて、自衛隊が活躍する物語になっています。「特生自衛隊」という専門部隊は架空ですが、登場する兵器には車体に陸上自衛隊、特生自衛隊と明記されている。「ゴジラ」の第1作(1954)からずっと自衛隊が登場していたが、作中では「自衛隊」ではなく「防衛隊」と言っていました。「防衛隊」ではなく「自衛隊」と、はっきりした名称で登場するのは第16作「ゴジラ」(1984)から。この時の最新兵器「スーパーX」機体には「陸上自衛隊」と書かれている。 そののち「自衛隊」が登場しなくなって、代わって架空の組織「国連G対策センター」所属の「Gフォース」になり、ふたたび「自衛隊」という設定に戻っています。「ゴジラXメカゴジラ」(2002)のおもしろさは、主役がゴジラではなく自衛隊の「機龍」と、その搭乗員たちの物語であることです。ゴジラは悪役であり、それを倒すことに生命を賭ける者たちの話。 本編88分は見やすい長さであり、長い映画はしんどいと感じる私にはちょうどいい。 併映が「とっとこハム太郎」であることから子供の観客を意識する必要があるのだろう、子役が出ています。人工生物学の湯原博士(宅麻伸)の娘 湯原沙羅の役で小野寺華那さん。 9歳の小学生です。映画に子役を使う場合は慎重さが必要で、その子役しだいで作品が台無しになることが多いけれども、本作の場合は本人の持ち味なのか嫌みのない素直な演技で良かったです。 母親を亡くして父親との生活を送っている少女といった、子役の人選しだいでは作品全体に影響する重要な役を無難にこなしていました。 主人公は「機龍」と、その「機龍」を遠隔操縦する(のちに機内に入って操縦)オペレーター 家城 茜(やしろ・あかね)で、演じるのは釈由美子さん。 ゴジラとの戦いで同僚を死なせたことから資料課に転属されていたが、機龍隊が編成されたときに上官にスカウトされて現場復帰する。 ゴジラ映画ではめずらしい戦うヒロインです。女性自衛隊員の制服姿もりりしくて良い感じ。 身寄りがなく孤独な雰囲気のヒロインで、湯原父娘としだいに心を通わせてゆく役で、釈由美子さんのラストでの「機龍」への敬礼もいいな。
2014年06月14日
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2003年日本映画の興行成績です。 金額は興行収入。1位 「踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!」 173億5000万円2位 「劇場版ポケットモンスター アドバンスジェネレーション 七夜の願い星ジラーチ」 45億円3位 「名探偵コナン 迷宮の十字路」 32億円4位 「黄泉がえり」 30億7000万円5位 「座頭市」 28億5000万円6位 「ドラえもん のび太とふしぎ風使い」 25億4000万円7位 「ONE PIECE ワンピース THE MOVIE デッドエンドの冒険」 20億円8位 「ゴジラXメカゴジラ」 19億1000万円9位 「バトル・ロワイアルII 鎮魂歌」 18億5000万円10位 「陰陽師 II」 16億円 2003年、もう10余年も前になるんですね。年月が経つのは早いものです。 相変わらずアニメが目立つ日本映画ですが、そんな中でゴジラ映画第26作にあたる「ゴジラXメカゴジラ」が第8位に入っている。興行収入(チケット売上げ)19億1000万円。観客動員数170万人。 「ゴジラXメカゴジラ」(2002年12月公開)製作 富山省吾監督 手塚昌明脚本 三村渉撮影 岸本正広音楽 大島ミチル特殊技術 菊地雄一 出演 釈由美子、宅麻伸、小野寺華那、高杉亘、友井雄亮、水野久美、中尾彬 萩尾みどり、森末慎二、田中美里、村田雄浩 特別出演:松井秀喜 本編88分 総天然色 シネマスコープサイズ「ゴジラ」シリーズ全28作の中では、それまでの作品はなかったことにして第1作(1954)から直接つながる話にしたものがあり、1984年「ゴジラ」がそうですが、今作の「ゴジラXメカゴジラ」(2002)も同じく、ゴジラの日本上陸は1954年以来という設定になっています。 1954年に上陸して暴れ回ったゴジラは芹沢博士のオキシジェンデストロイヤーで倒すことができた。しかし、その後の日本は生態系が狂ったとしかいえないように巨大生物が現れ、モスラ、「サンダ対ガイラ」のガイラが出現。 自衛隊は「対特殊生物自衛隊(特生自衛隊)」を編成し、「メーサー殺獣光線車」を主力兵器として巨大生物に対処している。 そんな折り、台風をついて館山市にゴジラが上陸。特性自衛隊が出動するがメーサー殺獣光線車では刃が立たない。 日本政府は全力を挙げて対G兵器の切り札とされる「メカゴジラ」開発に乗り出し、日本の優秀な科学者を集めたチームを編成する。 海底から引き揚げたゴジラの骨格を基にして、4年の歳月を費やして完成したメカゴジラは「3式機龍」と制式名を与えられ、選抜された隊員の訓練が開始される。 この「ゴジラXメカゴジラ」(2002)は「ゴジラ」シリーズでは屈指の傑作になっています。 監督の手塚昌明さんは対象観客を子供でもマニアでもなく、日本人全体を対象にしたと語っています(DVD収録の音声解説)。 かつてオキシジェンデストロイヤーで倒したはずのゴジラがもう一頭いて驚く政府首脳の様子が描かれ、水野久美さん演ずる柘植首相(女性の首相だ)は強力な対G兵器の開発は諸外国に危惧を抱かせるのではないかとの質問に「世界を説得するためならどこへでも行きます。きっとわかってもらえるはず」と答えます。 柘植首相が退任し、五十嵐首相(中尾彬)が新首相になり、「機龍プロジェクト」が推進される。 完成した機龍はゴジラとの初戦で撃退に成功するが、ゴジラのDNAを基にしたのが原因とされる暴走を起こして制御不能に。ゴジラ同様に街を破壊する惨事を引き起こし、五十嵐首相は責任をとって総辞職を考えるはめになる。 長くなるので、明日につづきます。
2014年06月13日
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東宝アクション映画「国際秘密警察 絶体絶命」(67)では、三橋達也さんの相棒役を演じるニック・アダムスさんが印象に残ります。 暗殺組織ZZZの手からブッタバル国首相(田崎潤)を守ろうとする北見次郎(三橋達也)とジョン・カーター(ニック・アダムス)のコンビは、当時人気があったテレビ映画「0011ナポレオン・ソロ」を思わせるものです。 軽口をたたき合う会話。ニック・アダムスさんの吹替えが矢島正明さんなので、なおさらそう感じるのかもしれません。 ニック・アダムス Nick Adams 1931年7月10日生まれ、1968年2月7日没 アメリカ/ペンシルバニア州の出身。 その出演作品で私が見たのは「理由なき反抗」(55)「襲われた幌馬車」(56)「突撃隊」(61)。テレビ映画「コンバット!」の第147話「怪しい兵隊」。 それくらいしか見ていないけれど、日本の東宝映画での3本は、その好演、好漢ぶりで強く心に残るものになっています。●「フランケンシュタイン対地底怪獣(バラゴン)」(1965)では広島国際放射線医学研究所で働くボーエン博士の役で、相手役は水野久美さん。●「怪獣大戦争」(1965)では木星探査ロケットP-1号の地球連合宇宙局パイロット グレンの役。X星人の波川女史(水野久美)に恋をする、好漢ぶりもあって良い役でした。●「国際秘密警察 絶体絶命」(1967)では国際秘密警察のジョン・カーター役。 撮影ではスタッフと積極的に交際して打ち解けようとしたとか。その明るい人柄はスタッフの間では評判が良かったそうです。「怪獣大戦争」では、水野久美さんに「女房と別れるから結婚してほしい」とアタックしたそうです。 X星人統制官役の土屋嘉男さんとは大いに気があって仲良くなり、日本語ができないニック・アダムスさんに土屋さんが冗談に、日本では女性に対しての挨拶は「もうかりまっか?」、朝の挨拶は「ああ、腹減ったなあ」と言うんだと教えたら本気にして、あちこちで使ってあきれられていたそうです(DVD「怪獣大戦争」収録の土屋さんによる音声解説)「国際秘密警察 絶体絶命」の日本公開が1967年2月。そしてニック・アダムスさんは翌1968年2月7日に急逝してしまう。 アルコール中毒の治療薬を過度に服用したためで、過失によるのか、自殺かは不明だそうです。
2014年06月12日
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東宝特撮SF映画「地球防衛軍」(1957)は傑作だと思います。 出演者がいいですね。現代の日本映画では味わえない魅力ある役者さんたちがそろっている。 主演の佐原健二さんは、私の場合はテレビの「ウルトラQ」(1966)が意識をした初めで、民間小型機パイロット万城目 淳の役。 助手 戸川一平(西條康彦)と新聞社カメラマン江戸川由利子(桜井浩子さん)とのコンビと、毎回の怪事件が忘れられない、テレビで怪獣が見られるという画期的な特撮ドラマでした。 佐原健二さんは1932年生まれ。1956年の「空の大怪獣ラドン」で初主役を演じ、引き続き「地球防衛軍」(57)と「美女と液体人間」(58)に主演。相手役は同じ白川由美さんです。 白川由美さんは1936年生まれ。 最近、日本映画専門チャンネルで放送された東宝特撮映画でよくお見かけし、昔の女優さんはいいなと思わせてくれる存在です。「空の大怪獣ラドン」(56)「地球防衛軍」(57)「美女と液体人間」(58)「電送人間」(60)「妖星ゴラス」(62)。 河内桃子さんは第1作「ゴジラ」(54)のヒロイン役。佐原健二さんと同じ1932年生まれです。 ミステリアンの統領を演じる土屋嘉男さんは1927年生まれで、ヘルメットで顔が見えない宇宙人役だけれども、黒澤監督の「七人の侍」(54)を始めとする黒澤映画で知られる俳優。 東宝特撮映画でも「美女と液体人間」(58)「電送人間」(60)「ガス人間第1号」(60)、それに「怪獣大戦争」(65)のX星人 統制官役で決定的な印象を残しています。 先日、子供の頃からSF映画やマンガの超科学兵器に興味があったと書きましたが、この「地球防衛軍」に登場するマーカライト・ファープ。 制式名称はマーカライト・フライング・アタック・ヒート・リジェクター。直径200メートルもの巨大な熱反射器です。ミステリアンが発射する殺人光線を反射して熱線として敵に照射する新兵器。「メーサー殺獣光線車」の原型が「モスラ」(61)の「原子熱線砲」だと書いてしまったけれど、それ以前にこの「マーカライト・ファープ」がありました。これが原型のようです。 メカデザインは小松崎茂さんです。SF挿絵画家として私たちの年代ではとても有名です。「週刊少年サンデー」の巻頭特集図解や挿絵で、昔の軍艦や戦闘機からSF的メカまで、そのイラストは当時のメカ好き男子たちの間では尊敬の目を集めた神様のような存在。
2014年06月01日
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そんなわけで(どんなわけ?)、東宝特撮映画「地球防衛軍」をDVDで鑑賞しました。 4年前に買った書店販売のディアゴスティーニ「東宝特撮映画DVDコレクション」の「第10号」です。「地球防衛軍」 1957年(昭和32年12月公開作品)監督 本多猪四郎製作 田中友幸原案 丘美丈二郎、脚本 木村武 、潤色 香山滋メカデザイン 小松崎茂撮影 小泉一音楽 伊福部昭特技監督 円谷英二出演 佐原健二、平田昭彦、白川由美、河内桃子、志村喬 藤田進、土屋嘉男、中村哲、村上冬樹、伊藤久哉 本編88分 総天然色 シネマスコープ かつて火星と木星の間にあった第5惑星「ミステロイド」は10万年前に核戦争で破滅し、生き残った種族ミステリアンは火星に移住。放射性物質に被爆汚染したミステリアンは自分たちのみでは存続が困難となり、地球に目を付けて侵略を開始します。目的は地球の女性との結婚によって種族を存続させること。 ミステリアンは富士山麓に地球攻撃本部のドームを建設し、地球人女性を拉致します。このふざけやがった侵略者に対して地球人類は敢然と立ち向かう。 殺人機械モゲラ、本来は地下掘削土木用ロボットですが、科学力の誇示目的で地球攻撃に現れて街を破壊し始めます。 ミステリアンの侵略に対し徹底抗戦を決定した防衛隊(自衛隊)はジェット戦闘機(F86F)と戦車(M4)でミシテリアンのドーム基地を攻撃するが、通常兵器では刃が立たない。 地球の危機に対して世界各国が協力し、科学陣を結集して地球防衛軍を組織。超科学兵器の巨大飛行艦α(アルファ)号とβ(ベータ)号の建造と、ミステリアンが弱点とする高熱を照射する熱線砲マーカライト・ファープを開発してミステリアンに挑んでゆく。 富士山麓のある村。夏の夜、盆踊り大会ののどかな場面から始まり、主演の佐原健二さん、平田昭彦さん、白川由美さんと河内桃子さんがさっそく登場し、山火事が起こって、村が地面陥没で全滅し、調査に向かった人たちの前で山腹から巨大ロボット モゲラが現れて襲ってくる。 避難する人々と駆けつける自衛隊。モゲラの進撃をくい止めるために鉄橋を爆破する、このたたみかけるような展開はお見事。演出と編集、演技陣の質の高さです 宇宙からの侵略テーマですが、怪獣・怪物ではなくて宇宙から他民族が自分たちの子孫存続を目的として侵略してくるという、具体的な侵略目的が描かれている。「宇宙からの侵略」映画はたくさんあるけれど、ただ「侵略」とするだけの作品が多いなかで、この「地球防衛軍」はその具体的な目的が描かれています。「侵略」というと「土地を奪うこと」と思いがちですが、原始時代から古代において人類が集団生活を営むようになり、その集団同士の争いで他の集団を襲う目的は、土地や領土を奪うことなんかではなく、蓄えられている食糧・財産と女性を奪うことです。 その意味ではこの「地球防衛軍」に登場する侵略者(インベーダー)の目的は具体的で生々しいです。
2014年05月31日
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東宝特撮怪獣映画「ゴジラVSスペースゴジラ」(94)を鑑賞。 これで「平成ゴジラ VSシリーズ」6作品すべて見たことになります。「ゴジラVSビオランテ」(89)「ゴジラVSキングギドラ」(91)「ゴジラVSモスラ」(92)「ゴジラVSメカゴジラ」(93)「ゴジラVSスペースゴジラ」(94)「ゴジラVSデストロイア」(95) の6本。 6本のうちで傑作だと思うのは「VSビオランテ」(89)「VSメカゴジラ」(93)「VSデストロイア」(95)の3本。 最低作はミスキャストと子役のまずさのために台無しになっている「VSモスラ」(92)で、それについで今回の「VSスペースゴジラ」(94)がよろしくない、といったところ。 ゴジラのG細胞が宇宙でブラックホールに飲み込まれて宇宙怪獣スペースゴジラになって地球に来襲する。とくに侵略宇宙人に操られているとかではなくて、ただ理由もなく地球にやって来てゴジラと対決します。「国連G対策センター」は対ゴジラ戦用に開発した「モゲラ」Mobile Operation Godzilla Expert Robot Aero-type の略で、「対ゴジラ作戦用飛行型機動ロボット」という意味らしい、をスペースゴジラに立ち向かわせます。 前作「ゴジラVSメカゴジラ」でゴジラに勝った超科学兵器メカゴジラという凄いやつを登場させたのに、今作ではスケールダウンしてしまい、ゴジラ映画としても冴えないものになっています。 スペースゴジラの造型に魅力がなく、いかにも安直に作った怪獣といった感じで、リトルゴジラときたら銀行がくれた貯金箱のようなものです。「モゲラ」は同じ東宝特撮SF映画「地球防衛軍」(1957)に登場した怪遊星人ミステリアンの宇宙ロボット。デザイン的には本作とはちょっと違っていますが基本は同じですね。 特撮技術が発達した1994年の「ゴジラVSスペースゴジラ」は特撮映画としても娯楽冒険映画としても1957年の「地球防衛軍」に負けています。 昭和32年(1957)公開の「地球防衛軍」(写真)。 監督は本多猪四郎、特技監督 円谷英二、音楽 伊福部昭 出演 佐原健二、白川由美、河内桃子、平田昭彦、志村喬、藤田進、土屋嘉男 総天然色 本編88分。 宇宙人の地下掘削土木用ロボット「モゲラ」が両目から殺人光線を発射しながら襲ってくるのですが、対抗する地球人側の超科学兵器もすばらしく「α(アルファ)号」と「β(ベータ)号」がミステリアンに挑んでゆく。 SF映画としてワクワクする楽しさ、出演俳優が本気で演技をし、役になりきって気分を出しているすばらしさ。昔の映画に見られる、このような製作側の熱意と本気度が新しい映画では薄れているようです。 1995年日本映画興行成績です。 金額は配給収入。1位 「耳をすませば」 18億5000万円 2位 「ゴジラVSスペースゴジラ」 16億5000万円3位 「男はつらいよ 拝啓 車寅次郎様」 15億5000万円4位 「学校の怪談」 15億円5位 「ドラえもん のび太の創世日記」 13億円6位 「ドラゴンボールZ 復活のフュージョン!!悟空とベジータ」 12億7000万円7位 「美少女戦士セーラームーンS」 10億5000万円7位 「家なき子」 10億5000万円9位 「きけ、わだつみの声」 10億1000万円10位 「藏」10億円「ゴジラVSスペースゴジラ」は期待外れでしたが、1995年度の興行成績第2位になっている。 配収16億5千万円、観客動員数340万人。勝てば官軍、といったところか。
2014年05月30日
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私は、小学校に入った頃から科学的なメカや兵器類に興味があったようです。 当時のマンガでも「よたろうくん」(山根赤鬼さん)などは確かに面白かったけれども、どちらかといえば桑田次郎さんの「月光仮面」や「まぼろし探偵」、一峰大二さんの「七色仮面」、「ナショナルキッド」が好きでした。 横山光輝さんの「伊賀の影丸」を好んで読みましたが、しかし「鉄人28号」や「少年ロケット部隊」のほうにより強く惹かれるものがありました。 小沢さとるさんの「サブマリン707」や「少年台風」、「エムエム三太」が大好きだったのも同じで、SF的な超科学メカに関心があって、自分なりに空想をはたらかせてチラシ裏などの紙にマネした絵を描いたものです。 そんな私が東宝怪獣映画に登場する自衛隊の活躍、その科学的メカや兵器にあこがれなかったはずがなく、ご老体になった今でも、その嗜好はあいかわらず。東宝の特撮や怪獣映画を子供心にかえって無邪気に楽しんでいます。 写真(上)は「怪獣大戦争」(1965)に登場する「Aサイクル光線車」。車体に陸上自衛隊と書いてある、地球攻撃を開始したX星人に対抗すべく開発された新兵器。X星人がゴジラやラドンを操っている電磁波を遮断するAサイクル光線を発射すると同時にX星人の弱点とする周波数音波を発するスピーカー群を搭載しています。 このアイデアの基は「モスラ」(61)で、モスラが東京タワーに作った繭を焼き払うのに出動した原子熱線砲ではないかと思います。 さらにその発展型が「サンダ対ガイラ」(66)の「メーサー殺獣光線車」写真(下)。 凶悪なフランケンシュタインの人食い怪獣ガイラをやっつけるべく自衛隊が展開する「L作戦」で出動する。この超科学兵器は「ゴジラ」シリーズで度々登場するので科学メカ好きの男子を喜ばせているようです。 昨日見た「ゴジラVSメカゴジラ」(93)にも、2002年の「ゴジラXメカゴジラ」にももちろん登場。だけでなく幾多の「ゴジラ」で見られる自衛隊の超科学兵器としてお馴染みになっている。 伊福部昭さんのカッコ良い曲に乗って出動するこれらのメカ類には、としがいもなくワクワクします。
2014年05月29日
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1994年日本映画興行成績です。 金額は配給収入。1位 「平成狸合戦ぽんぽこ」 26億3000万円2位 「ゴジラVSメカゴジラ」 18億7000万円3位 「男はつらいよ 寅次郎の縁談」 15億7000万円4位 「ドラゴンボールZ 危険なふたり!超戦士はねむれない」 14億5000万円5位 「ドラえもん のび太と夢幻三剣士」 13億5000万円6位 「ヒーローインタビュー」 13億4000万円7位 「美少女戦士セーラームーンR」 13億円8位 「RAMPO」 12億円9位 「ドラゴンボールZ 超戦士撃破!!勝つのはオレだ」 11億2000万円10位 「クレヨンしんちゃん ブリブリ王国の秘宝」 10億700万円 日本映画はアニメばかりといった感じですが、そんな中で「ゴジラVSメカゴジラ」が健闘しています。観客動員数380万人、配給収入が18億7000万円。「ゴジラVSメカゴジラ」(1993年12月公開)監督 大河原孝夫製作 田中友幸脚本 三村渉撮影 関口芳則音楽 伊福部昭特技監督 川北紘一出演 高嶋政宏、佐野量子、原田大二郎、小高恵美、中尾彬 宮川一朗太、シェリー・スウェニー、レオ・メンゲティ、中山忍、ラサール石井 佐原健二、高島忠夫、川津祐介 本編107分 総天然色 ビスタサイズ 「ゴジラVSビオランテ」(1989)から始まった「VS(平成)シリーズ」の第4弾ですが、前作「ゴジラVSモスラ」(92)はなかったことにしたのか?、「ゴジラVSキングギドラ」(91)から続く設定のようです。 23世紀から来てゴジラと対戦し、そのまま未来人が置いていったメカキングギドラから得た未来の科学技術。それを基にして開発したメカゴジラが登場する。 今作から対ゴジラ対策組織である「国連G対策センター」と、その実戦部隊Gフォースが中心となってゴジラとの戦いが展開されるようになります。 Gフォースの指揮官 麻生大佐を演じるのが中尾彬さんで、VSシリーズ最後の「VSデストロイア」(95)までずっと出演する。主要登場人物は常連キャラの三枝未希(小高恵美さん)などを含めて、公的機関の人たちで占められ、「対ゴジラ戦」の物語が繰り広げられる。 ベーリング海のアドノア島(架空の島)で翼竜の化石が発見され、調査隊はさらに孵化した後の卵殻と未孵化の卵を見つけます。巨大な翼竜ラドンが現れ、逃げ惑う調査隊員たちの前にさらに海からゴジラが出現し、ラドンと戦い始める。 調査隊はヘリコプターで島から脱出。持ち帰った卵を京都の国立生命科学研究所に持ち込む。 その卵は翼竜のものではなく、ゴジラザウルスが託卵したらしくゴジラザウルスの赤ちゃんが生まれます。 研究員の五条 梓(佐野量子)にベビーと名付けられて育てられるのですが、それを同族と感知したのか、ゴジラが四日市市に上陸し、Gフォースはメカゴジラの出撃を命令する。「ジュラシック・パーク」(93)の大ヒットにより、ちょっとした恐竜ブームだった頃です。日本映画でも便乗して「REX 恐竜物語」(93)なんてのが作られ、「ゴジラ」の本作にもその影響がうかがえるようです。 かつての「ゴジラの息子」(67)のミニラのようにふざけたものではなく、さすがにゴジラの息子は避けたようで、同族の卵から孵ったという設定になっている。このベビーが成長し、リトルからジュニアと呼ばれるようになって時期ゴジラへと世代交代します。「ゴジラVSメカゴジラ」は実のところ初めての鑑賞です。まったく予備知識を持たずに見たので、これは面白かった。クライマックスのメカゴジラとゴジラの対戦も盛り上がったし、ラドンが現れ、メカゴジラがラドンとゴジラを相手に戦うことに。「メカゴジラ」、このような超科学兵器はSF的ですごいな。本作でいちおうはゴジラにトドメを刺して勝っているんですね。まさかラドンによって生き返るとはお釈迦様でも。
2014年05月28日
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東宝特撮怪獣映画でのキングギドラは徹頭徹尾悪役を演じた怪獣として、その名を知られます。 三つ首で二又に分かれた尾、大きな翼を持ち、身体は金色の鱗に被われ、三つの口からは引力光線を吐く。 初登場は「三大怪獣地球最大の決戦」(1964)。 5千年前に金星の高度な文明を滅亡させた宇宙怪獣で、金星人と名乗るセルジナ公国のサルノ王女(若林映子さん)が地球襲来を予言します。 続いて「怪獣大戦争」(65)ではX星人による地球侵略の手先として出現。 その後は、1968年の「怪獣総進撃」と1972年の「地球攻撃命令ゴジラ対ガイガン」に。 そして、「平成ゴジラ、VSシリーズ」の「ゴジラVSキングギドラ」(1991)に23世紀から来た未来人の手先として現れ、19年ぶりにゴジラとの対戦が描かれることに。 未来人たちは23世紀の世界で巨大国家となった日本を押さえるために20世紀に現れて、歴史を変えようとする。太平洋戦争中のマーシャル諸島ラゴス島に棲息していたゴジラザウルスという恐竜が戦後に核実験でゴジラ化するのですが、そのゴジラ化の前にベーリング海に転送することでゴジラを歴史から消してしまおうと。そのゴジラがいなくなった20世紀現代にキングギドラを出現させて日本を壊滅させようとの陰謀です。 ゴジラがいなくなった日本ですが、キングギドラを倒すにはゴジラを生み出さないとならない。ベーリング海に転送された恐竜をゴジラにするには核汚染させるしか方法がない。 おかしなことに何もしなくてもベーリング海にいる恐竜がゴジラになってしまいます。 ベーリング海はソ連の核廃棄物で汚染されていて、その放射能でゴジラになる。さらに原子力潜水艦を沈めて、その核物質を吸収し、元々のゴジラ(身長80メートル)よりも大きい100メートルのゴジラになって日本にやって来ます。 このゴジラがキングギドラを倒して、未来人の陰謀は潰えるのですが、未来人の捨て台詞ではキングギドラがやられても日本はゴジラに滅ぼされるだろうと。 何がなにやら変な展開になってしまい、さらに今度はその大きくなったゴジラを倒すために海底に葬りさったキングギドラを未来においてサイボーグ怪獣化して、再び戻って来てゴジラと対戦することになる。 ようするに、未来の科学力で海底に沈んでいるキングギドラ(ゴジラにやられて真ん中の首がない)をサイボーグ化して20世紀に戻ってゴジラを倒そうとします。 未来人の陰謀を裏切って現代日本人に味方した未来人の日本女性エミー(中川安奈さん)がサイボーグ・キングギドラ(メカキングギドラ?)の内部に入って操縦し、ゴジラと戦います。これが初めての悪役ではないキングギドラです。 三つ首の怪獣キングギドラのデザインは古事記や日本書紀にある八岐大蛇(ヤマタノオロチ)だと思うのですが、「三大怪獣 地球最大の決戦」で初登場したときは、当時の小中学生の誰もが知っていたヤマタノオロチを、みな同じように連想したことでしょう。「三大怪獣 地球最大の決戦」の最初の設定ではキングギドラは青い胴体に青・黄・赤の三原色の翼だったそうです。それが撮影に入るときに金色に再塗装されたとか。
2014年05月24日
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1992年日本映画興行成績です。 金額は配給収入1位 「紅の豚」 28億円 2位 「おろしや国酔夢譚」 18億円3位 「ドラえもん のび太と雲の王国」16億8000万円 4位 「ドラゴンボールZ 激突100億パワーの戦士たち」16億円5位 「ミンボーの女」 15億5000万円 6位 「ドラゴンボールZ 極限バトル三大超サイヤ人」 15億円7位 「遠き落日」 15億円8位 「ゴジラVSキングギドラ」 14億5000万円9位 「男はつらいよ 寅次郎の告白」 14億1000万円10位 「釣りバカ日誌4」 12億円 日本映画専門チャンネルで放送された「ゴジラVSキングギドラ」(91)を録画して鑑賞しました。「ゴジラVSキングギドラ」(1991年12月公開) 監督 大森一樹製作 田中友幸 脚本 大森一樹撮影 関口芳則美術 酒井賢 音楽 伊福部昭特技監督 川北紘一出演 中川安奈、豊原功補、小高恵美、原田貴和子、小林昭二、佐々木勝彦 チャック・ウィルソン、西岡徳馬、土屋嘉男、山村聡、ケント・ギルバート 本編103分 総天然色 ビスタサイズ 太平洋戦争中のマーシャル諸島ラゴス島に恐龍が棲息していて、日本軍守備隊をアメリカ軍の攻撃から守ってくれ、この恐龍が戦後にアメリカの水爆実験でゴジラになったという設定で物語が始まります。 東京に23世紀の未来人がタイムワープして出現。未来では日本がゴジラによって壊滅的打撃を受けたというので、未来を変えるために過去にさかのぼって恐龍がゴジラ化する前に別の場所、ベーリング海に転送することになる。 その結果、現代の歴史からゴジラは消滅するが、かわりにキングギドラが現れて日本の都市を破壊し暴れ回ることに。 悪だくみを持っている未来人たちは、ゴジラを転送した跡の島に彼らのペットであるドラッドという愛玩動物を置いてきて、それが水爆実験の結果キングギドラ化させたのだ。 23世紀では日本が高度成長してアメリカやソ連以上の巨大国家となり、世界の大部分を支配しているという。未来人たちはキングギドラを使って20世紀の時点で日本を衰弱させて、日本が支配する未来の歴史を変えよう企んでいた。 ゴジラが消えた20世紀でキングギドラが未来人の手先として出現し、暴れる。 自衛隊では刃が立たないキングギドラにどう対処するのか? 歴史から消滅したゴジラをもう一度ゴジラ化させてキングギドラと戦わせるしかない、となるのですが・・・・ この作品が公開された1991年12月には、すでに日本のバブル経済崩壊が始まっていたのですが、作品内容は、未来の日本が巨大化して、米ソをしのぐ国家になっているという。 現実に当時は日本の企業が海外進出し、外国企業を次々と買収して傘下に加えたり、外国の土地や有名建築物を買いあさったりした、そんな日本中が浮かれていた時代があった。その夢のようなバブル期が崩壊せずに23世紀まで続く。そんな未来を変えようとする未来人がやって来て、20世紀の時点で日本を疲弊させ、未来をかえようとする策謀がテーマになっていて、このような話はバブル期でこそのものですね。 それと、SF映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズ(85年・89年・90年)と「ターミネーター」シリーズ(84年・91年)など、当時のSF映画はタイムトラベルものが流行だった、そんな時代をうかがわせる「ゴジラ映画」です。 確かにツッコミどころは多々あるけれども娯楽映画としてはそれなりかと。しかし未来人を演じるチャック・ウィルソンさんの演技と台詞の拙さが大きな欠点になっています。 テレビの「世界まるごとHOWマッチ」でお茶の間に知られた外国人タレントですが、このような安直なキャスティングはいけない。 外国人俳優を使うならばプロの俳優を使って、「怪獣大戦争」(65)や「フランケンシュタイン対地底怪獣」(65)「サンダ対ガイラ」(66)のように日本語吹替えにするか、英語で話させるべきです。
2014年05月23日
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ゴジラを悪役に戻して再出発した「平成ゴジラ VSシリーズ」は1984年の「ゴジラ」を新シリーズの幕開けとして始まった形で、「ゴジラVSビオランテ」(89)「ゴジラVSキングギドラ」(91)「ゴジラVSモスラ」(92)「ゴジラVSメカゴジラ」(93)「ゴジラVSスペースゴジラ」(94)「ゴジラVSデストロイア」(95) の6作品があります。 1995年12月公開の「ゴジラVSデストロイア」は最後の作品とされ、ゴジラ完結編になるはずだったのですが、それが撤回されて4年後の1999年に「ゴジラ2000ミレニアム」が作られ、ファンは騙されたと思ったか?、再開に喜んだか?は、各人それぞれでしょう。 2000年以降の「ミレニアム・シリーズ」とされるのは「ゴジラ2000ミレニアム」(99)から「ゴジラFINAL WARS 」(2004)まで全部で6本あり、その中では釈由美子さんが格好良く機龍に搭乗する「ゴジラXメカゴジラ」(2002)が最高作。そのほかはそれほどの作品がなく、惰性で作られた感じがします。 で、平成ゴジラVSシリーズ最後の「ゴジラVSデストロイア」を楽しく鑑賞したのですが、最終作ということで、昭和29年(1954)の第1作を意識した設定になっています。芹沢博士(平田昭彦)のオキシジェンデストロイヤーだけでなく、山根博士(志村喬)の娘 山根恵美子(河内桃子さん)が40年ぶりに登場する。 ヒロインの山根ゆかり(石野陽子さん)は山根家の養子になった新吉(鈴木豊明)の娘、ゆかりの弟 山根健吉(林泰文)は新吉の息子という設定です。 姉弟の伯母にあたる山根恵美子を演じる河内桃子さん(写真)は「ゴジラ」シリーズ初代ヒロインです。 その人にとって初めての「ゴジラ映画」は小学生か、遅くとも中学生の頃に見るべきものだと思います。ゴジラ映画をこれまでに一度も見たことがないという年配の人がいたとして、今から見たとしても時すでに遅しで、その面白さを楽しめないのではないか? 映画は夢を描き、現実を離れて空想世界を楽しむものだとすれば、初めての「ゴジラ映画」は子供の時に体験するべきで、その時のワクワク・ドキドキした思い出を一生持ち続ける、そんな映画鑑賞の経験を持つ人は幸福だと思うのです。これは自分自身のことですが。 三世代を比較するテレビ番組「ジェネレーション天国」のように、20代中心、40代中心、60歳以上の人に、あなたの思い出に残る「ゴジラ」はどの作品でしょうかと問えば、それぞれの年代に応じた答えがあるはずです。 そして、子供の頃に「ゴジラ」を見て、そのヒロインに幼い胸をときめかせた思い出もあるのでは。
2014年05月22日
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1996年日本映画興行成績です。1位 「ゴジラVSデストロイア」 20億円2位 「学校の怪談2」 15億6000万円3位 「Shall we ダンス?」 15億5000万円4位 「ドラえもん のび太と銀河超特急」 15億4000万円5位 「スーパーの女」 14億5000万円6位 「男はつらいよ 寅次郎紅の花」 11億6000万円7位 「ガメラ2 レギオン襲来」 7億円8位 「クレヨンしんちゃん ヘンダーランドの大冒険」6億5000万円9位 「7月7日、晴れ」 6億円10位 「学校II」 6億円 この年の配収第1位は「ゴジラVSデストロイア」(1995年12月公開)です。 観客動員数400万人、配給収入20億円(興収36億円くらいか?)。「ゴジラVSデストロイア」(1995)監督 大河原孝夫 製作 田中友幸、富山省吾脚本 大森一樹撮影 関口芳則 美術 鈴木儀雄 編集 長田千鶴子音楽 伊福部昭特技監督 川北紘一出演 辰巳琢郎、石野陽子、小高恵美、大沢さやか 林泰文、篠田三郎、中尾彬、河内桃子、高嶋政宏 本編103分 総天然色 ビスタサイズ 宣伝ポスターやチラシには「オキシジェンデストロイヤー 悪魔の発明からすべては始まった。そしてついにシリーズ完結編 今世紀最大の謎が今、明かされる」、そして大きな文字で「ゴジラ死す」と書かれています。 東宝の怪獣特撮映画として長年、親しまれてきた「ゴジラ」の最後の作品とされ、そしてゴジラが死ぬ、ということで観客の関心を集めた結果の大ヒットだと思われます。 前作「ゴジラVSスペースゴジラ」(94)での南太平洋上にあるバース島(地下に天然ウラン鉱脈があり、リトルゴジラが棲息する)が爆発して海上に水蒸気を残すのみで跡形もなくなる。島にいたリトルとゴジラはどこへいったのか?、という所から始まります。 そのゴジラが香港に出現。表皮が赤く裂けて発光し燃えさかっている。吐く熱線も青だったはずが赤くなって、アメリカのGサミットはゴジラの心臓部(原子炉)が異常な状態になっており、体温が上昇を続けていると発表。このまま体温が上がれば核爆発のおそれがあるという。 そして、40年前、かつて芹沢博士が、自分の発明した悪魔の兵器ともなるべきオキシジェンデストロイヤーをゴジラと共に葬り去った東京湾の海底。その海底から、オキシジェンデストロイヤーによる無酸素状態が原因で太古の生物がよみがえって、異常に進化した怪獣デストロイアが出現する。 核爆発の危険をおびたゴジラが日本に向かってくる。そして御前崎沖を泳ぐリトルが発見され、三枝未希(小高恵美)は「生きていてくれた」と安堵。リトルは大きくなっていて、すっかり「ゴジラ」になっている。Gフォースの麻生司令官(中尾彬)は「もはやリトルではない。立派なゴジラだ、いやゴジラジュニアというべきか」と。この時から「リトル」から「ジュニア」に昇格。 前作「ゴジラVSスペースゴジラ」(94)と、前々作「ゴジラVSメカゴジラ」(93)、さらに1954年の第1作「ゴジラ」を見ていない人はついていけない物語内容になっています。 すくなくとも「ゴジラ」(54)を見ていることが絶対前提で、さらにリトル(ゴジラの子ではなく同族)に馴染みがあれば感情移入して見ることができ、クライマックスはハラハラするし、怪獣映画なのに泣かされます。 リトルは、「ベビー」から「リトル」、「ジュニア」へと成長とともに呼名が変わる。 明日につづきます。
2014年05月21日
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「ゴジラVSビオランテ」(1989)。 20数年ぶりの鑑賞ですが、シリーズ全作の中でも屈指の作品ではないかと思います。 原案を一般公募したそうで、その中から選ばれた作品(小林晋一郎さん作)を基本にして監督の大森一樹さんが脚色。 新たな出発の最初は1984年「ゴジラ」ですが、ゴジラ対自衛隊の図式よりも政府の対策、とくに首相(小林桂樹)に重点を置きすぎたことで、娯楽映画として失敗してしまった。 その続きとしての第2弾「ゴジラVSビオランテ」(1989)は、一転して魅力的な成功作になったのは、バイオテクノロジーの発達、その用いかたしだいで人類の福音にもなれば脅威にもなるという、科学の二面性をテーマにした脚本の功績だと思われます。 そして観客がゴジラ映画に求めるのは「ゴジラ対自衛隊」の戦いであり、それを存分に見せてくれたこと、です。 バラ(植物)に女性の細胞を、さらにゴジラの細胞を融合させた結果から生まれた怪獣ビオランテ。 これまで登場した数々の怪獣たちのなかでは群を抜いた存在感をしめし、そのデザインも素晴らしい。ビオランテが芦ノ湖の水上に巨大にそびえる光景は夢に出てきそうな感じがする。 出演者もいいですね。中心となる三田村邦彦さんと田中好子さん。 自衛隊の対ゴジラ作戦の指揮を執る黒木特佐の役で高嶋政伸さん(「特佐」という階級は実在しない)が好演している。 そして、テレパシーでゴジラを感じる超能力少女の三枝未希というキャラクターが本作から登場し、平成シリーズでは連続出演することに。演じる小高恵美さんが可愛い。「サイキックだかしらないが、あんな女の子にゴジラの矢面に立たせるのか」という自衛隊幹部に黒木特佐が「彼女のことは僕たちのチームの一員として信頼しています」と言い切るのが印象的な場面です。 自衛隊の対ゴジラ兵器スーパーX2が登場。機首が開くとミラーがあって、ゴジラの放射熱線を受け止めて集束し、1万倍に増幅して撃ち返す強力なレーザー武器を搭載。このスーパーX2は無人機で、特殊戦略作戦室で遠隔操作される。 このスーパーX2の操縦オペレーターの役で新人の鈴木京香さんが出ています(写真)。NHKの連続テレビ小説「君の名は」で有名になる前ですね。 音楽はすぎやまこういちさんですが、伊福部昭さんのマーチが勇壮に展開すると一発で吹っ飛んでしまう。
2014年05月20日
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1990年の日本映画興行成績です。 金額は配給収入。1位 「天と地と」 50億5000万円2位 「タスマニア物語」 25億2000万円3位 「ドラえもん のび太とアニマル惑星」 19億1000万円4位 「稲村ジェーン」 18億3000万円5位 「男はつらいよ ぼくの伯父さん」 14億1000万円6位 「クライシス2050」 14億300万円7位 「オーロラの下で」 11億円8位 「ゴジラVSビオランテ」 10億4000万円9位 「あげまん」 10億円10位 「ドラゴンボールZ この世で一番強いヤツ」 9億5000万円 シリーズ分類上で「平成ゴジラ」の第1作とされる「ゴジラVSビオランテ」(1989)をDVDで鑑賞しました。5月14日に「ゴジラ60周年記念版」として発売された東宝DVDの1枚です。 定価2500円+税。Y電機さん等では1896円+税で買えるので、これは持っていてもいいかと。 5年くらい前にディアゴスティーニの書店販売DVDシリーズで「東宝特撮映画DVDコレクション」があったけれど、あれが税込み1990円だったので、その差60円ばかり。買うなら東宝の正規盤のほうがいいです。「ゴジラVSビオランテ」(1989年12月公開)監督 大森一樹製作 田中友幸原案 小林晋一郎脚本 大森一樹撮影 加藤雄大編集 池田美千子音楽 すぎやまこういちテーマ曲 伊福部昭特技監督 川北紘一出演 三田村邦彦、田中好子、高嶋政伸、小高恵美、峰岸徹、高橋幸治、金田龍之介、鈴木京香 本編102分 総天然色 ビスタサイズ 怪獣映画だけでなくSF映画や小説ではマッドサイエンティストは主要登場人物として欠かせないのですが、本作では白神博士(高橋幸治)がその位置にあります。 遺伝子工学の世界的権威で、中東のサラジア共和国(架空)の砂漠を穀倉地帯に変える目的で、砂漠でも育つ植物を開発している人物。 ここまではマッドではないけれども、愛娘の英理加(沢口靖子)を失ったことからおかしくなったようで、英理加の細胞を移植したバラとともに、芦ノ湖畔の静かな研究所で暮らしている。 ゴジラの細胞(G細胞)をもとにして「抗核エネルギーバクテリア」の開発を依頼されて断るが、英理加の細胞を組み込んだバラが枯れそうになったことで、G細胞を預かることを条件に協力を承諾します。彼は枯死寸前のバラにG細胞を融合させることで、英理加を永遠に生きるバラにしようとしたのですが、その結果は植物怪獣ビオランテを誕生させてしまう。 バイオテクノロジーをテーマにした「ゴジラ映画」。 脅威の再生能力を持っているゴジラ。その細胞の奪い合いと、ゴジラと自衛隊の戦い。ゴジラとビオランテの戦い。 これは最近見たゴジラ映画ではベスト級のおもしろさでした。前作の「ゴジラ」(84)がマジメで暗いものだっただけになおさら。怪獣映画はこうあるべきです。 長くなったので、つづく。
2014年05月19日
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1985年の日本映画興行成績です。 金額は配給収入。1位 「ビルマの竪琴」 29億5000万円 2位 「ゴジラ」 17億円 3位 「乱」 16億円 4位 「Wの悲劇」 15億5000万円 5位 「男はつらいよ 寅次郎真実一路」 12億7000万円 6位 「早春物語」 12億5000万円 7位 「愛・旅立ち」 11億7000万円 8位 「男はつらいよ 寅次郎恋愛塾」 11億円 9位 「TAN TANたぬき」 11億円 10位 「キン肉マン 逆襲!宇宙かくれ超人」 10億7000万円 1975年の「メカゴジラの逆襲」から9年ぶりに製作された「ゴジラ」(1984年12月公開)。シリーズ第2作「ゴジラの逆襲」(1955)から第15作「メカゴジラの逆襲」(75)までのすべてをなかったことにして、第1作「ゴジラ」(54)の続編という形をとっています。「ゴジラ」(1984年12月公開)監督 橋本幸治製作 田中友幸脚本 永原秀一撮影 原一民音楽 小六禮次郎特技監督 中野昭慶 出演 田中健、沢口靖子、宅麻伸、夏木陽介 、小林桂樹、内藤武敏 鈴木瑞穂、村井国夫、小沢栄太郎、織本順吉、御木本伸介 (特別出演 石坂浩二、江本孟紀、武田鉄矢、かまやつひろし) 本編103分 総天然色 ビスタサイズ シリーズ最低の観客動員数97万人という成績だった前作「メカゴジラの逆襲」から9年後の新しいゴジラ映画です。1985年興行成績では第2位を記録。 観客動員数320万人は、それだけの関心と期待を持たれた証だと思うのですが、そんなファンの期待に応えられた作品になっているかは、どうなのでしょうか? 日本映画専門チャンネルでの放送を機会に、30年ぶりに鑑賞したのですが、これまで見てきたお子様向け・娯楽・マンガチック・怪獣バトルに慣れた目で見ると、原点回帰はともかく、これはマジメすぎて(マジメに作るのは良いことだけれど)、このような暗い色調と内容で「初めてゴジラ映画を見る子供たち」の心に興奮と感激を残せるだろうか。 伊豆諸島の大黒島(架空の島)で噴火が起こって3ヶ月後。付近で漁船が遭難し、その唯一の生存者奥村宏(宅麻伸)の目撃証言でゴジラ出現と判明する。 ゴジラはソ連の原潜を沈め、静岡今浜原発に現れると放射性物質を吸収して去ります。 やがてゴジラが東京湾から上陸して新宿副都心へと。陸海空自衛隊と、新兵器スーパーXがゴジラを迎え撃つが返り討ちにあってなすすべがない。 ゴジラが渡り鳥の群れに反応したことから、ゴジラの帰巣本能を利用した超音波で誘導し、三原山の噴火口に落とそうと計画される。 政府のゴジラ対策を中心に物語が進むのですが、アメリカとソ連が核兵器でゴジラを倒そうとの提案を、非核三原則を持ち出して拒否した三田村首相(小林桂樹)。「怪獣映画」というより「パニック映画」(近年はディザスター映画という)です。 ゴジラ出現を人類の大災害とみなして、その対策におわれる人々を描いています。 そのような災害・大惨事の中での人間ドラマが娯楽映画としては重要なのですが、その部分は新聞記者(田中健)と、最初のゴジラ目撃者の奥村(宅麻伸)と、その妹(沢口靖子)が演じています。 しかしこのドラマ部分が、それまでのような子供向けではなく大人にも鑑賞の堪える一般映画になっているかというと、この若手俳優ではあまりにも弱く、その若手俳優をベテラン俳優が脇で補佐しているとも思えない。武田鉄矢のコメディ演技も余計なだけだし。 米ソの核兵器使用提案を蹴った三田村首相は確かにご立派ですが、その代案はどうなのか? 自衛隊の新兵器スーパーXは失敗し、残されたのは三原山火口への誘導作戦だけ。ゴジラを誘導して火口へ落としてしまおうとの計画は、あまりにも希望的観測すぎないか? 第1作から30年。ゴジラ出現を聞いても誰も驚かないのは不思議です。 普通だったら、ゴジラは芹沢博士のオキシジェン・デストロイヤーで骨になって死んだはずではないか、まだ他にもいたのか!と驚くのでは。
2014年05月17日
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日本映画専門チャンネルで東宝特撮映画「ゴジラ」シリーズ全作品が順次放送されていて、ブルーレイにせっせと録画しています(BD-R1枚に6本くらい入る)。 そのうちの「メカゴジラの逆襲」(75)を鑑賞。先日見た「ゴジラ対メカゴジラ」(74)の続編です。「メカゴジラの逆襲」(1975年3月公開)監督 本多猪四郎製作 田中友幸脚本 高山由紀子撮影 富岡素敬 音楽 伊福部昭特技監督 中野昭慶 出演 平田昭彦、藍とも子、内田勝正、佐々木勝彦 麻里とも恵、睦五郎、中丸忠雄、大門正明、沢村いき雄、佐原健二 本編83分 総天然色 シネマスコープサイズ 前作「ゴジラ対メカゴジラ」と同じく平田昭彦さんが科学者の役で出ていますが、まったく別人の設定になっています。主人公たちといっしょに行動する物理工学の宮島博士の役だったのが、今作では海洋開発理論を発表し、動物を自由にコントロールする実験をおこなったことで学会を追放された真船博士の役。 真船博士は学会が自分をキチガイ扱いして追放したことで人類全体に恨みをいだき、宇宙人(ブラックホール第3惑星人)の地球侵略に手を貸します。 前作でゴジラに敗れたメカゴジラの残骸を海底で捜索中だった潜航艇が突如現れた恐龍に襲われて爆発沈没する事件が起こる。その恐龍は真船博士がかつて発見したもので、今は宇宙人に操られて、というより真船博士が動物コントロール装置で操っているのですが、宇宙人は地球を征服するため、真船博士は人類に復讐するため、両者は利害が一致して協力し合っています。 恐龍のチタノザウルス、宇宙人が造ったメカゴジラ2号(残骸を回収して修理改造したもの)が街を破壊し暴れ始める。そこへゴジラが現れて、前回はゴジラ側にはアンギラスやキングシーサーがいたけれど、今回はゴジラのみがチタノザウルスとメカゴジラを相手に戦うことに。 タイトルは「メカゴジラの逆襲」。ゴジラ映画で唯一「ゴジラ」が付かないタイトルです。 主役はゴジラではなく、しかしメカゴジラでもなく、真船博士の愛娘「真船桂(まふね・かつら)」が主役ですね。演じるのは藍とも子さん(写真)。 ヒロインの桂。真船博士の実験を手伝っていて事故死したところを、現れたブラックホール第3惑星人にサイボーグ手術を施されて再生します。 サイボーグ少女として生き返ったのですが、復讐の執念に凝り固まっている父親とはちがってまだ人間のやさしい心を失わずにいる。しかし争いに巻き込まれ、再び命を失うことになり、またまた宇宙人によって再生します。今度はメカゴジラとリンクさせられて、コントロール装置を体内に埋め込まれる。 けっきょく、メカゴジラを倒すためには自分が死ぬしかないと思って、哀しい結末になります。 この作品は「ゴジラ」のシリーズでは最低の興業成績(観客動員数97万人)だったそうで、このあと1984年12月公開の「ゴジラ」まで9年間、ゴジラ映画が作られなくなってしまう。「キングコング対ゴジラ」(1962)の観客動員数1255万人。「モスラ対ゴジラ」(64)が720万人、「三大怪獣地球最大の決戦」(64)が541万人。「怪獣大戦争」(65)513万人、「南海の大決闘」(66)が421万人、「ゴジラの息子」(67)が309万人。「ゴジラ対ヘドラ」(71)は174万人。 前作の「ゴジラ対メカゴジラ」(74)は133万人だったのが、この「メカゴジラの逆襲」(75)では97万人にまで落ち込んでしまう。この時期になるとゴジラ映画は客を呼べなくなったというか、客離れが進んでしまったのですね。怪獣ブームは終わっていて、怪獣は飽きられていたのでしょうか。私も東宝怪獣映画には興味がなくなっていて外国映画ばかり見ていました。
2014年05月16日
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日本映画専門チャンネルで放送された「ゴジラ対メカゴジラ」(74)を録画して鑑賞。 昨日の「ゴジラ対ヘドラ」(71)との間には「地球攻撃命令ゴジラ対ガイガン」(72)「ゴジラ対メガロ」(73)があり、本作はシリーズ第14作。 ゴジラ映画20周年記念とのことで、ドラマ部分に力を入れた(とも言えないか?)、子役が出ない大人の俳優だけのゴジラ映画になっています。 1960年代後半からのゴジラ映画は、テレビの「ウルトラマン」による「怪獣ブーム」の影響を受け、内容を低年齢層の子供を対象にしたことで、それまでのゴジラ映画ファンにソッポを向かれるようになって行った。これはそんな時期の作品です。 この時期の日本映画は斜陽化が進み、「ゴジラ」だけでなく、日本映画全体が観客を呼べなくなってゆく。客が入らないから予算が削られ、それが作品内容を低下させ、さらに客が離れてゆくという悪循環。 少し前までだったら見なかったかも知れない本作ですが、最近は開き直った気持ちで、子供向けと割り切ってしまえばそれなりに楽しく見られると思うようになりました。そのおかげで「ゴジラ対ヘドラ」といった傑作にも出会えたことだし。「ゴジラ対メカゴジラ」(1974)監督 福田純製作 田中友幸原作 関沢新一、福島正実脚本 福田純、山浦弘靖 撮影 逢沢譲音楽 佐藤勝 特技監督 中野昭慶 出演 大門正明、青山一也、田島令子、平田昭彦、松下ひろみ、小泉博 岸田森、睦五郎、佐原健二 本編84分 総天然色 シネマスコープサイズ 沖縄が返還されて2年後の作品で、沖縄海洋博(1975年)の施設建設が進んでいる頃。 建設現場で洞窟が発見され、その内部に描かれた壁画には「黒い山が現れた時に怪獣が現れてこの世を破壊するが、太陽が西から昇る時に2頭の怪獣が救う」と書かれていた。 建築技師の清水敬介(大門正明)は現場で知り合った首里大学考古学者の金城冴子(田島令子)とともに洞窟で見つけたシーサー像を調べてもらいに東京の考古学者の和倉博士(小泉博)を訪ねます。 シーサー像は怪獣が現れたときに怪獣から沖縄を守ってくれるキングシーサーを目覚めさせる重要アイテムと判明。 一方、清水敬介の弟の正彦(青山一也)は別の鍾乳洞で謎の金属片を見つけ、それをやはり調べてもらいに宇宙工学の宮島博士(平田昭彦)を御殿場に訪ねる。その金属は地球上にはないスペースチタニウムと判明。 この清水兄弟と2人の博士がいっしょに行動したり、別々になったりし、それにインターポール捜査官(岸田森)が加わって話が展開します。 壁画の予言の通り、ゴジラが出現するが、このゴジラはこれまでとは違う鳴き声で、ゴジラの相棒で舎弟のアンギラスと戦う。実はこのゴジラは偽物で宇宙からの侵略の手先だった。アンギラスはその正体に気づいて兄貴分のゴジラを呼ぼうとしていたのだが、偽ゴジラにボコボコにされ、口を引き裂かれ撃退されてしまう。 この偽ゴジラは地球侵略をもくろむブラックホール第3惑星人が造ったサイボーグ怪獣で、全身が金属(スペースチタニウム)で造られているメカゴジラ(写真)だった。 清水敬介・冴子組はシーサー像を持って沖縄へ。正彦は宮島博士(と、その娘)も宇宙金属を調べるために沖縄へ向かう。 沖縄を舞台にして、侵略宇宙人のブラックホール第3惑星人(その先遣隊)が操るメカゴジラのビーム攻撃とミサイル攻撃を相手に、ゴジラとキングシーサーがタッグを組んで戦います。 宇宙人に捕らえられた正彦と宮島博士とその娘。彼らを救出に向かった敬介とインターポール捜査官の活躍。主人公たちが2組になっているので、ちょっと忙しい感じがする。 この時期のゴジラ映画は、子供向けといいながらも流血シーンがあって、といってもゴジラがだけれど、前作の「地球攻撃命令ゴジラ対ガイガン」でもそうだし、今作でもゴジラが血を噴き出して血まみれになる。 1970年代の映画。クルマはスカイライン2000GTが出てくるし、登場人物たちのファッションもいかにも70年代といった感じがして懐かしい。 見るまでは、この時期のゴジラ映画はダメだと思い込んでいたけれど、今見ると、けっこう楽しいではないか。
2014年05月15日
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東宝怪獣映画「ゴジラ」のシリーズ第11作の「ゴジラ対ヘドラ」を鑑賞しました。 日本映画専門チャンネルで放送されたときの録画で、ハイビジョンなので画質はとても良いです。 ずっと昔に見た時は、その良さがわからず、ゴジラが空を飛ぶし、子供が出てくるし、ゴジラが良い子のヒーローだし、というので、見るに堪えないと思っていたのですが、私の不明のいたすところでした。改めて、これは思いがけない傑作です。「ゴジラ対ヘドラ」(1971)監督 坂野義光製作 田中友幸脚本 馬淵薫、坂野義光撮影 真野田陽一美術 井上泰幸音楽 真鍋理一郎 特殊技術 中野昭慶 出演 山内明、木村俊恵、川瀬裕之、柴本俊夫、麻里圭子、吉田義夫 本編85分 総天然色 シネマスコープサイズ 水質汚染が続く駿河湾で漁師のお爺さん(吉田義夫)がオタマジャクシのような未知の魚?を見つけ、海洋学者の矢野(山内明)のもとに持ってくる。時を同じくして、巨大な謎の怪物にタンカーが沈められる事件も。 海洋学者の矢野は岸辺に息子を待たせて調査のために海に潜るが、海底で出会った謎の怪物に襲われ、顔半分を硫酸を浴びたかのような重傷を負う。 矢野の息子はヘドロだらけの海から誕生した怪物を「ヘドラ」と命名。 そのヘドラは海から陸に上がり、街を襲う大騒ぎになる。「汚れちま~った海 汚れちまった空、生きものみ~んないなくなって 野も山も黙っちまって♪」(作詞:坂野義光)と、ゴーゴー喫茶(アングラ・バー?)で歌うダンサーのミキ(麻里圭子さん)。 子供向け映画なのに?、ドラッグ(とはハッキリいわないけれど、それを感じさせる)でトリップ中だった行夫(柴本俊夫)とミキだが、彼らもヘドラと遭遇することに。 そこにゴジラも現れて、湾岸工業地帯を舞台にゴジラとヘドラの戦いが始まる。両怪獣の戦いはなかなか決着がつかず、街はヘドラの発する硫酸ミストのため被害甚大、多数の死傷者を出すことに。 汚染された海のヘドロや工場の煤煙を吸ってしだいに成長するヘドラは飛行能力まで持つようになり、市街地上空を飛び回り、ヘドラが通過した後は硫酸が撒かれたように錆付き、腐食し、人々は白骨化する恐ろしい事態になる。 ゴジラはこれまでの怪獣とは勝手が違うヘドラを倒すことができず大苦戦。そして、とうとうゴジラを上回るほどに巨大化したヘドラ。 海や河川が廃棄物によって汚染され、空は工場の煤煙やクルマの排気ガスでスモッグにおおわれた、今の薄汚い中国を笑えない時代が日本にもあった。そんな公害が大きな社会問題になっていたのが、この映画が作られた1970年前後の時代です。 核実験で生まれた怪獣ゴジラと、公害のヘドロから生まれた怪獣ヘドラ。 この両方共が人類の負の遺産で、ゴジラは核と放射性物質による被爆の恐怖の代表であり、ヘドラは放射性物質に次ぐ環境汚染公害の恐怖の代表。 そのゴジラとヘドラが戦うのですが、いかにも低予算による造型の怪獣ヘドラなのに、その不気味さは(形はマンガチックなのに)それまでのゴジラ映画にはなかったものです。 しかもゴジラが大苦戦するという最強ぶり。研究施設ではなく自宅で研究している海洋学者の親子がいなかったなら、ゴジラはヘドラに勝てなかったことでしょう。 子役が中心だと侮っていた私がおろかでした。これは見応えのある大傑作でした。 1970年前後の時代の風俗が懐かしい。ゴーゴーとサイケデリック。
2014年05月14日
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現在、日本映画専門チャンネルで東宝怪獣映画「ゴジラ」シリーズ全28作品を順次放送中で、今日(5/18)の時点で第16作「ゴジラ」(1987年)までが放送され、すべて録画させていただきました。 で、いま同チャンネルでは「あなたが選ぶ!ベスト・オブ・ゴジラ」ということで「ゴジラ総選挙」というキャンペーンをやっています。1 1954「ゴジラ」2 1955「ゴジラの逆襲」3 1962「キングコング対ゴジラ」4 1964「モスラ対ゴジラ」5 1964「三大怪獣 地球最大の決戦」6 1965「怪獣大戦争」7 1966「ゴジラ・エビラ・モスラ南海の大決闘」8 1967「怪獣島の決戦 ゴジラの息子」9 1968「怪獣総進撃」10 1969「ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃」11 1971「ゴジラ対ヘドラ」12 1972「地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン」13 1973「ゴジラ対メガロ」14 1974「ゴジラ対メカゴジラ」15 1975「メカゴジラの逆襲」16 1984「ゴジラ」17 1989「ゴジラVSビオランテ」18 1991「ゴジラVSキングギドラ」19 1992「ゴジラVSモスラ」20 1993「ゴジラVSメカゴジラ」21 1994「ゴジラVSスペースゴジラ」22 1995「ゴジラVSデストロイア」23 1999「ゴジラ2000ミレニアム」24 2000「ゴジラ×メガギラス G消滅作戦」25 2001「ゴジラ・モスラ・キングギドラ大怪獣総攻撃」26 2002「ゴジラ×メカゴジラ」27 2003「ゴジラ×モスラ×メカゴジラ東京SOS」28 2004「ゴジラ FINAL WARS」 1954年の第1作「ゴジラ」(製作:田中友幸 監督:本多猪四郎、音楽:伊福部 昭)に始まって、ちょうど50年後の2004年までに全28作品が製作されました。 この全28作品の中で、あなたの「ベスト・オブ・ゴジラは?」という問いの答えは、人それぞれ、年齢によって異なるのでしょう。 昭和29年の第1作を劇場で見たという方もおられるだろうし、昭和45年前後の「ゴジラの息子」あたりのお子様向け作品をお父さんと一緒に楽しく映画館で見たという方もおられるはず。 作品の出来がどうのというのでなく、その人が幼い時や少年時代に映画館でどれだけ楽しく鑑賞したか、どれだけ心に深く残ったか、ということが重要なのですね。 私はさすがに第1作をリアルタイムで見たというような年齢ではない。 私の場合は、第3作の「キングコング対ゴジラ」を姉につれていってもらったけれど、これは私のベストではなくて、選ぶとすれば最高作は絶対不動の「怪獣大戦争」(第6作)です。「怪獣大戦争」 1965年12月公開 監督:本多猪四郎、音楽:伊福部 昭 これを初めて見たのは中学2年の夏休み(金沢劇場)。関沢新一さんの脚本はけっして子供向けではなく、むしろ大人向けともいえるものです。 宝田明、ニック・アダムス(声は納谷悟朗)、そしてなんと言っても私の憧れのおねえさまである水野久美さん! X星の掟を破ってグレンに恋した波川は世界教育社の社長に抹殺されてしまう。「ナミカワが何をしたっていうんだ!」グレンの怒りの叫び。 水野久美様の波川女史は、私の心にロマンティックに残っています。
2014年05月13日
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1993年の日本映画興行成績です。 金額は配給収入。1位 「ゴジラVSモスラ」22億2000万円 2位 「REX 恐竜物語」22億3位 「水の旅人 侍KIDS」20億3000万4位 「ドラえもん のび太とブリキの迷宮」16億4000万5位 「男はつらいよ 寅次郎の青春」14億5000万6位 「ドラゴンボールZ 燃えつきろ!!熱戦・烈戦・超激戦」13億7000万7位 「ドラゴンボールZ 銀河ギリギリ!!ぶっちぎりの凄い奴」13億1000万8位 「クレヨンしんちゃん アクション仮面VSハイグレ魔王」12億5000万 9位 「高校教師」11億1000万10位 「病は気から 病院へ行こう2」7億3000万円 東宝特撮怪獣映画「ゴジラVSモスラ」(92)が配収第1位。1992年12月公開作です。 この配収は東宝の特撮映画では最高額だそうです(物価・入場料金変動を考慮に入れない)。 「ゴジラVSモスラ」(1992)監督 大河原孝夫製作 田中友幸脚本 大森一樹 撮影 岸本正広音楽 伊福部昭 特技監督 川北紘一 出演 別所哲也、小林聡美、村田雄浩、小高恵美、宝田明 小林昭二、大沢さやか、今村恵子、篠田三郎、大竹まこと 本編102分 総天然色 ビスタサイズ 昨日、アメリカの「GODZILLA ゴジラ」(98)を見たあとなので、その落差があるのだろうけれど、鑑賞するとガッカリなものでした。この程度では評判が良くないアメリカのゴジラ映画のほうが、映画としての完成度はよほど高いのではないか。「ゴジラ映画」では怪獣が暴れて破壊することと、それを阻止しようとする自衛隊の戦い。この映画では後半にそれがあるので、ある程度は観客を満足させてくれるのですが、そのような怪獣によるバトルを楽しむには、その土台に登場人物たちのドラマがしっかりと構成されている必要があります。 この「ゴジラVSモスラ」の主役たちの魅力に関してはお寒い限りで、華のない俳優と演技力の乏しさもあるのだろうけれど、その主役男女は元夫婦という設定で、ことあるごとに罵りあう口喧嘩。夫婦喧嘩など他人にはどうでもいいことで、このような観客には関心のないことを怪獣映画で見せられてはかなわない。見ていてイライラするばかりです。 冒頭で、主人公の藤戸拓也(別所哲也)という男がタイの遺跡で盗掘をやっている。 彼が逮捕された留置場に日本から環境省の役人(小林昭二)が、別れた妻(小林聡美)と開発会社の社員(村田雄浩)といっしょに訪れ、ある調査の仕事を頼まれてくれたら釈放させると言う。 仕事を受けた拓也は、元妻と商社員と共にインファント島に向かう。その島の奥地で彼らは巨大な卵を間近に見、そこに現れたのはコスモスと名乗る2人の小美人(大沢さやか、今村恵子)。 彼女たちにより、1億2千年前に環境破壊をおこしたため“地球生命”に滅ぼされてしまったコスモスの歴史と、コスモスの守護神モスラ、そして再び“地球生命”を守るために現代に復活するであろうバトラの存在を告げられる。 タイトルは「ゴジラVSモスラ」となっているが、「モスラVSバトラ」とすべき物語で、ゴジラは何のためにいるのか?、ただの通りすがり的存在。 古代文明の守護神だったモスラと、地球が環境破壊の危機に遭うと地球生命が地球を守るためにバトラ(バトル・モスラの略)を遣わして文明を滅ぼすという。 そして今、環境破壊が進む地球を守るためにバトラが出現し、強欲な人間のために拉致されたコスモスを救うためにモスラが出現する。 ラストはモスラとバトラが協力してゴジラと対決するのですが、これはつじつまの合わない変な話です。 ゴジラは地球文明を破壊する存在で、バトラも同じ役割を持って現れたはず。バトラにとってゴジラは同じ目的を持つ仲間であり、本来の敵はモスラではないか。 それがなぜかバトラとモスラが共同戦線を組んでゴジラを倒そうとする。これはムチャクチャな話。 ともかく「極彩色の大決戦」とうたわれるとおり、横浜のみなとみらい21で繰り広げられる怪獣たちの戦いには目を奪われるものがあるけれど、その戦いの元は理屈の通らないものです。 冒頭の東南アジアでの盗掘シーンは「インディ」のマネで、子供の観客にもバカにされるだろう程度。その後の密林行程もドリフのコントのようなもので、こんなものを撮っているから「ゴジラ」が、というより日本映画が凋落してゆくのです。
2014年05月12日
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東宝特撮映画「地球攻撃命令ゴジラ対ガイガン」(1972)を鑑賞。日本映画専門チャンネルで放送されたものを録画したDVDです。「ゴジラ」シリーズ第12作で、昭和47年(1972)3月公開。監督 福田純製作 田中友幸脚本 関沢新一撮影 長谷川 清音楽 伊福部 昭特殊技術 中野昭慶 出演 石川博、梅田智子、菱見百合子、高島稔、村井国夫、西沢利明 本編89分 総天然色 シネマスコープ ゴジラと相棒(というより舎弟)のアンギラスが画面にマンガのような吹き出しが出て会話するという、話には聞いていたけれど見るのは今回が初めてです。 ゴジラが舎弟のアンギラスに「おい!アンギラス、すぐ ていさつにゆけ」。アンギラスが「OK!」「いそげよ」にも「OK!」。なぜかアンギラスは「OK!」しか言わない(笑) 結論からいうと、脱力系の、ゆるキャラかと思うようなゴジラとアンギラスがタッグを組んで、宇宙からの侵略怪獣キングギドラとガイガン(新怪獣)と戦うもので、バカバカしいと思いながらも、けっこう楽しんで見ました。 地球を奪うためにM宇宙ハンター星から来たゴキブリ野郎ども(文字通りのゴキブリが正体)が、「世界子供ランド」なる施設を建設し、隠れ蓑にしている。 その侵略の手先としてキングギドラとガイガンを呼び寄せ、地球の守護神ゴジラと、その相棒アンギラスが迎え撃って、ドシン、バタンとプロレスのような戦いを見せてくれます。 かつては東宝スターの宝田明さんや高島忠夫さん、夏木陽介さんなどが主役を務めていたのに、この頃になると、そんな大スターは出なくなって、主役は若手俳優が使われるようになっています。 主人公は売れないマンガ家の小高源吾という青年で、演じるのは石川博さん。 物語は、彼が「世界子供ランド」に怪獣のデザイン画を描く仕事で雇われるのですが、その怪しさに感づき、ガールフレンド(菱見百合子さん)や「世界子供ランド」の虜になっている兄(村井国夫)を救おうとしている妹(梅田智子さん)といっしょに地球侵略の陰謀を暴くというもの。 宇宙人どもの基地が「世界子供ランド」だったり、エンディングで流れる「ゴジラマーチ」の「がんばれ、がんばれ、ぼくらのゴジラ♪」といった歌詞など、子供子供と言うわりには出演者に子役が出てきません。 本作のヒロイン的存在は梅田智子さんで、ゴキブリ宇宙人に捕らえられている兄を助けようと奮闘する。 梅田智子さんには馴染みがないのですが、私の一学年上の同世代。ベリーです、グーです(西沢利明さんふうに)。
2014年04月19日
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東宝の怪獣映画「怪獣島の決戦 ゴジラの息子」が日本映画専門チャンネルで放送されたのを機会に、初めてまともに見ました。 1967年12月公開で、当時は中学3年になっていて、このゴジラ映画にはあまりのばかばかしさに、ゴジラ映画ファンの同級生たち(自分も含めて)は完全にソッポを向いてしまった記憶があります。 製作:田中友幸 監督:福田純 特技監督:有川貞昌 音楽:佐藤勝 出演:高島忠夫、前田美波里、久保明、平田昭彦、佐原健二 土屋嘉男、黒部進 他 南海のゾルゲル島という孤島で、将来の食糧難にそなえて気象コントロール実験がおこなわれていて、実験は謎の妨害エネルギーによって失敗する。その実験の影響で島が異常高温になりカマキリが巨大化した怪獣カマキラスが発生。 卵からゴジラの息子ミニラが生まれ、カマキラスがミニラを襲っているところへパパであるゴジラが助けに出現する(妨害エネルギーはミニラがゴジラを誘導するために出していた)。 前作「南海の大決闘」からそうなのですが、舞台が孤島に限定されていて、現実社会から離れて主人公が異常な、摩訶不思議な体験をするというものになっています。 それまでのゴジラ映画では現実社会に怪獣が現れて大暴れする、そんな人類にとっての大災害に対してどう立ち向かうか、というものでしたが、この頃になると、異次元ワールドのような世界になっている。 どちらかといえば、「SF巨大生物の島」といった感じで、低予算ですませるにはこのような方針で行くしかなかったのでしょうか? テレビで「ウルトラQ」が放送されたのが1966年1月~7月。つづいて「ウルトラマン」が66年7月から翌67年4月まで。「キャプテンウルトラ」が67年4月~9月。「ウルトラセブン」が67年10月~68年9月まで。 このテレビ放送で怪獣ブームが起こり、怪獣映画が低年齢化することになったわけで、ゴジラが子供向けというより幼児向けになっていくのは、このテレビによる怪獣ブームのせいだと思います。 いま、「怪獣島の決戦ゴジラの息子」を見ると、「ゴジラ映画」ではなく「異次元ワールドもの」としてわりきれば、それなりに楽しめるかと。 ミニラとパパ・ゴジラはシリーズ最低といえるひどいものなのはともかくとして、カマキリの怪獣カマキラスと蜘蛛の怪獣クモンガの操演(着ぐるみに人間が入って動かすのではなく、ワイヤーで吊って操る方式)はよくできています。 ゴジラ映画なのに肝心のゴジラとミニラに魅力がなく、主役は実験を指揮する博士役の高島忠夫さん、取材にきたルポ・ライター役の久保明さん、島にいた娘役の前田美波里さんで、印象に残るのはゴジラ親子の脱力感のみ。いま流行のゆるキャラではあるまいし。
2014年03月25日
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日本映画専門チャンネルで東宝映画のゴジラシリーズ全作を順次放送するとのことで、これはありがたい企画です。 これまでに1954年(昭和29年)の第1作「ゴジラ」から、1967年の第8作「怪獣島の決戦ゴジラの息子」までが放送され(4月5日現在)、すべて録画して保存するチャンス。 そんなわけで、第7作「ゴジラ・エビラ・モスラ南海の大決闘」を鑑賞しました。 1966年12月公開で、本編87分、総天然色、シネマスコープ。 製作:田中友幸 監督:福田純 脚本:関沢新一、音楽:佐藤勝 出演:宝田明、水野久美、平田昭彦、砂塚秀夫 他 全作の「怪獣大戦争」(1965年12月公開)までは映画館で見ている(夏休み映画教室だけど)のですが、この「南海の大決闘」になると関心が薄れたのか、見なくなってしまった。 このあたりになると子供に受けようとする安直な姿勢が感じられ、「ゴジラ」は「怪獣大戦争」までだなと思うようになっていて、今回の鑑賞は初めてまともに見たと言えるものです。 その思いはやはり間違っていなかったようで、「三大怪獣地球最大の決戦」、「怪獣大戦争」と盛り上がったのに、この「南海の大決闘」で大きくスケールダウンしている。「怪獣大戦争」(1965年12月)との間が1年間あるのは、「サンダ対ガイラ」(66年7月)があったせいらしく、特技の円谷英二さんや音楽の伊福部さん、本多猪四郎監督はそちらの方に専念したのか、製作予算もそちらが優先されたのでしょうか。 南海の孤島に秘密結社「赤い竹」(変な名前だ)の核兵器製造工場があって、インファント島の人々を拉致してきて強制的に働かせています。 ヨットが暴風雨にあって遭難した4人の男(宝田明、砂塚秀夫他)が、漂着した島で謎の秘密基地を見つける。彼らは基地から逃げ出してきたインファント島の女性ダヨ(水野久美)から「赤い竹」と称する組織の悪事を知り、捕らえられた島民を救出しようと、島の地下に眠っていたゴジラを蘇らせる。 ゴジラは基地を破壊し、「赤い竹」の野望を粉砕する。ゴジラは海の怪獣エビラと対決するが、島には核爆発の危機が迫っていた。 これまでのゴジラ映画は、ゴジラや怪獣の脅威に主人公と自衛隊と科学者が協力して立ち向かう、そこには子供の入る余地はない、完全な大人だけの世界でした。 今回も確かに子供は出ないけれども、話の内容は南海の孤島にある悪の秘密基地をゴジラがたたき壊す、その島の海には巨大エビのエビラがいて、ゴジラと対決する。モスラは最後になってチョコッと出演し主人公と島の住民を迎えに来るだけ。 それまでの怪獣映画にあった大都会をミニチュア模型で作ってゴジラが破壊するという場面もないし、自衛隊が迎え撃つ場面もない。なにしろタイトルで流れる音楽がなぜか時代劇調で、なんだい?この音楽は。「ゴジラ」シリーズは今作のあと、ますますお子様向けになってゆくことになる、情けない転換点になった記念的作品でもある? 水野久美さんはX星人の時の妖艶さではなく、今回はなぜかあどけなくて可愛い。
2014年03月24日
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東宝の特撮映画。変身人間シリーズの第3作「ガス人間第1号」(1960)。 先日、日本映画専門チャンネルで放送された時に録画してもらっての鑑賞で、そのタイトルは知っていたけれど見るのは初めてです。「美女と液体人間」(58)「電送人間」(60)、そして「ガス人間第1号」の3作が「変身人間シリーズ」とされるものです。「透明人間」(54)は先駆けとなる位置にあり、シリーズには含まれないのだとか。 これらの東宝特撮映画は、すべて日本映画専門チャンネルで放送されて、昔の特撮映画好きにはありがたいことです。 (3月からは「ゴジラ」シリーズの全作品が放送予定されている)「ガス人間第1号」(1960)。 製作:田中友幸、監督:本多猪四郎、特技監督:円谷英二、脚本:木村武 出演:三橋達也、佐多契子、八千草薫、土屋嘉男、左卜全、田島義文 総天然色 91分 宇宙開発に耐えられる不死身の肉体を造る目的の生体実験により、身体をガス化できる能力を持ってしまった男と、彼の愛する女性との悲恋を描いたSFスリラーです。 銀行強盗殺人事件を捜査する岡本警部補(三橋達也)は、容疑者として日本舞踊の家元、藤千代(八千草薫)に目を付ける。だが、彼女は無実であると主張する水野という男(土屋嘉男)が現れる。この水野が、自分の身体を気体化させる能力を使って銀行強盗を働いていた真犯人だった。 人里離れた屋敷に住む春日流の家元、藤千代。 人間関係のもつれから、才能があるにも関わらず零落してしまった藤千代に心を寄せる水野は、ガス人間の能力を使った銀行強盗で得た大金を彼女に貢いでいた。 社会になじめず、屈折した思いをもっている水野は、藤千代に自分と同じ境遇を見いだし、彼女に貢ぐことで社会に対する復讐を正当化しようとしていた。 藤千代は、黙って水野の好意を受け止め、自分にとって最後になるだろう日舞の新作発表会を開く。 その場がガス人間水野と自分の滅びの場所になる事を知りながら。 科学実験によって人間が意思に反してグロテスクな異形の者になってしまう悲劇です。 海外SF小説では「蝿」(ジョルジュ・ランジュラン)の、物質電送機に紛れ込んだ一匹の蝿のために天才科学者がハエ男になってしまう話がよく知られていて、古くは「ジキル博士とハイド氏」(ロバート・ルイス・スティーヴンソン)あたりから始まったのではないか?と思うのですが、物語の設定としては二通りあるのではないでしょうか。 一つは、人間が人間でなくなることの恐怖で、主人公は愛する人に助けを求める。 もう一つは、異形の者に変身したことで得た特殊能力を悪用する。人間の本性の「悪」が現れて怪物になってしまう。 「ガス人間第1号」は、どちらかといえば人間でなくなることへの恐怖と、社会への復讐と愛する女性につくすことにガス人間の能力を使うことで破滅へと進んでゆく。 けっきょくは変身人間になることは悲劇以外の何でもなく、人間が人間でなくなればこの社会にはどこにも居場所がなくなるのだ、ということです。 科学はほんらいは人間の幸福と繁栄のためにあるはずなのに、その悪用と誤用と実験の失敗によって悲劇が生まれる。 SF小説(映画)のジャンルのひとつとして確立されているのも、科学の誤用が人間を不幸にするという大きなテーマだからですかね。
2014年01月22日
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東宝の特撮映画「海底軍艦」が日本映画専門チャンネルで放送され、録画してもらって鑑賞しました。 ゴジラやモスラなどの怪獣映画の陰にかくれて目立たない感じがするけれど、根強いファンがいるカルト的な作品です。 昭和38年12月公開だそうで、私が見たのは、おそらく翌年の夏休みに「映画教室」だったと思う。例によって金沢市内の小中学生を対象にした映画鑑賞の催しです。 昭和39年、小学校の夏休みですが、この「海底軍艦」はけっして子供向けではないですね。 高島忠夫さんと藤木悠さんが深夜の埠頭でグラビア写真の撮影をしていて、海に落ちるタクシーを目撃する場面。モデル役の北あけみさんがコートを脱いでビキニ水着姿になるのですが、小学生にとってはショッキングで、このビキニ水着は肝心の海底軍艦や怪獣マンダ以上に悪友仲間での話題になったものです。製作 田中友幸監督 本多猪四郎特技監督 円谷英二音楽 伊福部 昭出演 高島忠夫、藤山陽子、田崎 潤、小泉 博、上原 謙、小林哲子、藤木 悠、佐原健二 本編94分、シネマスコープ、総天然色 1万2千年前に太平洋に沈んだというムウ大陸。その伝説の大陸を支配したムウ帝国が地熱を資源とした科学力で現代まで生きながらえ、全世界に挑戦してくる。 ムウ帝国の要求は、世界の国がムウ帝国の植民地となること。神宮司大佐(田崎 潤)が南海の孤島で建造中の「海底軍艦」を即時中止して、ムウの軍門に降ることなど。 世界に残された対抗手段は神宮司大佐が極秘裏に建造中の「海底軍艦」のみとなり、かつての日本海軍での上官だった楠見少将(上原 謙)が神宮司大佐に協力させるべく説得におもむきます。 神宮司大佐は終戦時に「伊403潜」で乗組員と共に叛乱脱走し、南海の孤島で密かに海底軍艦を建造していた。その目的は世界平和のためなどでなく、日本帝国再興のためであると言い、協力を拒否します。 そのような時代錯誤、狂信的な神宮司大佐は、恩人の楠見少将や一人内地に残した愛娘(藤山陽子)の説得を受けて、しだいに頑なな心を開き、海底軍艦「轟天号」を出撃させることを決意する。 海底軍艦の捕虜にされたムウの皇帝陛下(小林哲子さん)が神宮司大佐に向かって「むだな抵抗はやめよ」と言います。「たとえ余は殺せても、ムウ帝国に動力室があるかぎりムウは滅びぬぞ」と言い放つ。ムウ帝国の総エネルギー源で、地底にある宮殿の地下、さらに10キロにあって、外からは絶対に行くことができない、と。「ならば、そこを破壊してお目にかけよう」と神宮司大佐は宣言し、海底軍艦は海底の、さらに地中深くへ、ムウ帝国の心臓部めがけて進んでゆく。 海底軍艦が登場するのは全編94分のうち、45分を過ぎてからです。 海底軍艦のムウ帝国との戦闘や活躍シーンがもっとあってもいいかと思うし、ちょっと消化不良ぎみ。 南海の孤島を根拠地にして、日本帝国再建を目標にする日本海軍の残党?というのも、昭和38年という、戦後まだ18年しか経っていないといった時代を感じさせます。 神宮司大佐の娘、真琴を演じるのは藤山陽子さん。「若大将」でもお目にかかった美しいお嬢さん役がよく似合います。 ムウ帝国の皇帝陛下役で、威厳ある美しさが印象に残る小林哲子さん。 藤山陽子さんも小林哲子さんも共に1941年生まれなので、当時は22歳。現代の日本映画界にこのような大人びた22歳の女優さんがいるでしょうか?
2014年01月05日
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高校生の時に持っていた本で、早川書房の箱入りの「異色作家短編集」というのがあったのですが、その1冊で、ジョルジュ・ランジュランという作家の「蝿」。 物質転送機をテーマにしたSF恐怖小説。くわしい内容は忘れましたが、たしか映画化されて「ザ・フライ」というタイトルだったか。昔の古い映画もあって「ハエ男の恐怖」とかなんとか? そんな小説などで物質転送機なる装置はSF好きにはおなじみのものですね。 で、わが日本の東宝特撮シリーズの「電送人間」(1960)。日本映画専門チャンネルで放送されたのを機会に、さっそく録画しての鑑賞です。 遊園地のお化け屋敷内で、客の男が何者かに銃剣で刺殺される。 刑事(平田昭彦)と新聞記者(鶴田浩二)が捜査を開始し、軍国キャバレー大本営の経営者たちが、かつて終戦のドサクサ時に、軍用金の金塊を横領隠匿。その口封じに須藤兵長(中丸忠雄)と物体電送機を研究していた博士(佐々木孝丸)を殺害した過去をつきとめる。 この須藤兵長が生きていて、博士の発明した物体電送機を使って神出鬼没にあらわれて、仇の者たちを次々と殺害し、復讐をおこなっていた。 東宝の特撮映画では平田昭彦さんは常連なのでおなじみだけれど、鶴田浩二さんは珍しい出演です。ヒロインは素敵な白川由美さん。 物質電送機なる装置は犯行に使われるけれど、SF色や怪奇色は薄く、犯罪サスペンス的な内容で、復讐鬼と化してつぎつぎに仇を銃剣で刺殺してゆく須藤兵長の中丸忠雄さんが顔を動かさずに笑うのが不気味です。 先日の「透明人間」(54)も「美女と液体人間」(58)もそうですが、本作も子供向け映画ではないですね。 おもしろいのが軍国キャバレー大本営。金粉塗ったダンサーが踊るショウや、ホステスさんたちがミニスカートの水兵さんの格好をしている。 こんなキャバレーが実在したのかは知らないけれど、本当にあったら、ちょっと行ってみたい気がする。 客を装って張込みの刑事(平田昭彦さん)がホステスさんの水兵に「なんだいこの酒は?ヒリヒリするぜ」「焼夷弾よ」「もっといいの持って来いよ」「はーい!、ミサイル2挺!」「氷がたりないよ」「はーい!ただいま輸送してまいります」 ってなぐあいで、昭和30年代のミリタリー・コスプレ・キャバレー(本当にあったん?)。 映画に描かれる当時の風俗ですが、貴重な記録です。
2013年10月27日
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透明人間の映画では1933年の「透明人間」(監督ジェームズ・ホエール、主演クロード・レインズ)を始めとして、「インビジブル」(2000)などがありますが、今回見たのは東宝の特撮SFで、日本映画専門チャンネルで放送されたものの録画です。 監督 小田基義、撮影 円谷英二(特技だけでなく本編も) 出演 河津清三郎、三條美紀、土屋嘉男、藤原釜足、近藤圭子 1954年作品 白黒 73分 スタンダード・サイズ 同じ1954年に始まった「ゴジラ」とともに、東宝特撮のもう一つの流れである「変身人間」シリーズ第1作。 白昼の繁華な大通りで走行中の車が目に見えない何者かを轢いてしまう。何もないじゃないか、はやく車をどけろという巡査の目の前で、やがて姿を現す轢死体。所持していた遺書から、透明人間が都内にもう一人生存していることが判明します。 現場に居合わせた新聞記者の小松(土屋嘉男)は調べをすすめ、戦争中に透明人間部隊が存在していたことを突き止め、部隊の生き残りを捜し始める。 その後、「透明人間」を名乗るギャング団が銀行や宝石店を襲う事件が続発。 キャバレー「黒船」でサンドイッチマンのピエロとして働く南條(河津清三郎)は同じアパートに住む盲目の少女まり(近藤圭子)に「金髪のジェニー」のオルゴールをプレゼントする約束をする。 透明人間の調査を進めていた新聞記者の小松は、襲撃された宝石店を訪れていた南條に目を付け、そのアパートで驚くべき光景を目にする。 南條が顔を塗ってピエロの格好をしている理由は、彼こそがもう一人の透明人間だからであった。 南條は小松と協力し合って、自分の名をかたって強盗を働くギャング団を追求することを誓う。 1954年(昭和29年)作品で、戦争が終わってまだ9年しか経っていない。 この時期の映画には戦争の影響が色濃く残っているのが多いですね。 東宝特撮映画では、「海底軍艦」や「フランケンシュタイン対地底怪獣」など。それに同じ東宝の変身人間シリーズでは次作の「電送人間」もそうです。 戦地で悪事をはたらき、戦後にその復讐をするとか、戦争中に極秘でおこなわれた研究が戦後になって復活したとか、そのような設定の映画がこの1960年前後には日本でも外国でも見られます。 いま考えてみると、そのような設定は現代のアメリカのヒーローものにもあります。「超人ハルク」や「キャプテン・アメリカ」などは第二次大戦中のスーパーソルジャー計画です。 東宝の「透明人間」は、1933年のものや、2000年の「インビジブル」のように透明化によって狂気におちいり凶暴になることもなく、冷静を保ったまま薄幸の美少女を手助けしたり、自分の名をかたるギャング団を追ったりする。 しかしその最期は、ギャングのボスと心中することになり、異形の者は、この世には居場所がないのだという哀しいものになっています。 この当時の東宝特撮映画は子供向けではなく、キャバレーのセクシーなショウなど、子供に見せるのをはばかるようなシーンがあったりします(今時の子供は平気かも?)。
2013年10月26日
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「ゴジラ」(1954)「ゴジラの逆襲」(55)「キングコング対ゴジラ」(63)「モスラ対ゴジラ」(64)「三大怪獣地球最大の決戦」(64)「怪獣大戦争」(65) このあとの「南海の大決闘」(66)まではなんとか鑑賞に堪えるのですが、しだいに子供だましというより、子役を出せば子供が感情移入するだろうと、子供におもねるようになったために「ゴジラ映画」が堕落してゆきます。 ゴジラが尻尾を抱いて丸まった姿勢で、口から吐く放射性熱線を推進力として空を飛ぶようになっては、「こりゃダメだ」です。この1970年代になると初期からのゴジラファンは完全にソッポを向いてしまった。ゴジラ映画は第1作(54)から「怪獣大戦争」(1965)までの6作のようですね。それ以降になると、出演俳優陣なども変わってしまった。「ゴジラの逆襲」(1954)を見ました。数年前に「日本映画専門チャンネル」で放送されたときに録画したものです。本編83分、モノクロ、スタンダードサイズ。 監督はこの作品だけ本多猪四郎さんではなく小田基義さん、音楽も伊福部昭さんではなく佐藤勝さん。そのためか、見慣れたゴジラ映画とは少々受ける印象が異なります。 出演は小泉博さんと千秋実さん、若山セツ子さん。 前年の「ゴジラ」(54)が大ヒットしたことによって急遽続編を作ることになったそうで、わずか6カ月後の公開だったとか。 充分な準備期間もなく、やっつけ仕事のようなもので、見応えのある内容ともいえず、ワクワクする楽しさも感じられない。それとこの時期にはまだ「ゴジラ」が今後も続いていくのか明確なシリーズ化の方針もないような感じがします。 大阪の水産会社に雇われているセスナ機(フロート付きの水上機)で空から魚群探査をやっている2人のパイロットが主人公。月岡(小泉博)と小林(千秋実)です。 小林の乗る機がエンジン不調になって岩戸島に不時着し、月岡が救助に向かい、2人はその島でゴジラとアンギラスが格闘しているのを目撃する。 そのゴジラが大阪に上陸。ゴジラを寄せ付けないために灯火管制を実施し、海上に照明弾を投下。ゴジラを海上におびき出そうとするのですが、折から避難中の囚人が脱獄し、その逃走車が石油コンビナートに激突して大火災が発生。激しい火炎の明かりにゴジラが大阪に上陸して大暴れ。アンギラスも呼び寄せられたように上陸して2匹の怪獣が大阪城を破壊して戦います。 ラストは千島列島の孤島に現れたゴジラを氷山をジェット機で爆撃して氷の下敷きにする。この続きが「キングコング対ゴジラ」(63)になるわけです。 作中でも言ってるのですが、ゴジラに対して「対策はない」。ただゴジラが日本から去ってゆくのを待つしかないのだと。 第1作で東京を破壊しまくったゴジラを芹沢博士(平田昭彦さん)が発明したオキシジェンデストロイヤーを使って、海中でゴジラを白骨にして抹殺した。 このときに芹沢博士も死んだために、二度とオキシジェンデストロイヤーを使うことはかなわず、ゴジラ対策はまったくなくなってしまった。 次の「キングコング対ゴジラ」以降は、ゴジラはラストで海に落ちて姿をくらます、というようになっていく。 日本政府と自衛隊がゴジラ対策を積極的にとるようになるのは昭和末から平成の「新ゴジラ」になってからですね。この新しいゴジラは身長も50メートルから80メートルになり、さらに100メートルと巨大化します。 自衛隊の対ゴジラ兵器が登場し、「スーパーX」が、「スーパーX2」、「スーパーX3」と新型になってゆき、さらに対特殊生物防衛専門の「特生自衛隊」が結成され、初代ゴジラの白骨からメカゴジラ「機龍」を製造し、ゴジラに立ち向かう。 話が脱線しましたが、「ゴジラの逆襲」は、ゴジラ来襲を、台風か何かの災害のような感じで、自分のいる地域にさえこなければいい、みたいな感じで描いています。 料亭で宴会していて、ゴジラの脅威があるのにのんきなものです。
2013年05月18日
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デアゴスティーニの書店販売シリーズ「東宝特撮映画DVDコレクション」の第2巻「モスラ対ゴジラ」(1964年)を買って、もう3年も経ちます。 定価1990円は高価で迷ったのですが、思い切って買って良かったと思っています。 台風の大嵐で流れ着いたモスラの卵。ゴジラの上陸。自衛隊とゴジラの戦い。 モスラの救援。モスラとゴジラの戦い。モスラの死。そしてモスラの卵から双子の幼虫が生まれて、ゴジラに挑んでゆく。 第1作「ゴジラ」(1954)いらい10年ぶりに怪獣映画に出演した宝田明さんと、怪獣映画初出演の星由里子さん。そして「モスラの歌」を歌うインファント島の小美人(ザ・ピ-ナッツの美しい声)。「モスラの歌」は「モスラ」(1961)と「モスラ対ゴジラ」で劇中歌として歌われ、次の「三大怪獣 地球最大の決戦」(1964年)では「幸せを呼ぼう」という曲もあって、「幸せを呼びにいこう~、懐かしい島へ~♪」とザ・ピーナッツのお二人が歌いますね。「モスラの歌」は「モスラヤ モスラ ドゥンガン カサクヤン インドゥ ムー」と、意味のわからない歌ですが、心に染みいるような、打楽器をもちいた、どこか本能に訴えるような曲です。 この歌はでたらめな歌詞を言ってるのでなく、インドネシアの古い言葉だそうで、「モスラ、モスラ、お目覚めください。わたしたち無力な僕(しもべ)の祈りを聞き届けて、どうかお守りください」という意味なのだそうです。 伊福部昭さんの勇壮で悲壮感もあるテーマ曲、自衛隊が敵わずとも果敢にゴジラに立ち向かってゆく悲壮感。 日本人は悲壮感が好きなようですが、「怪獣大戦争」のマーチは第1作「ゴジラ」で自衛隊が出動する時に使われた音楽です。この伊福部マーチとともに「モスラの歌」は、日本映画主題曲史に残る屈指の名曲だと思います。「モスラの歌」を歌う小美人(ザ・ピーナッツさん)は「モスラ」と「モスラ対ゴジラ」、「三大怪獣地球最大の決戦」の3作に出演しました。 ザ・ピーナッツの曲では、「恋のバカンス」や「ローマの雨」、「銀色の道」など素敵な歌がありますが、「モスラの歌」も一度聴いたら耳から離れません。
2012年12月18日
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東宝の怪獣映画「モスラ」(昭和36年)を見ました。 この作品は東宝怪獣映画では「空の大怪獣ラドン」(昭和31年)に続いてのカラー第2作目(当時はカラーといわず総天然色といった)で、画面がスタンダードサイズからシネマスコープサイズになりました。 小学生の時に夏休みの「映画教室」で見て(片町の金劇)以来、約50年ぶりの鑑賞です。 物語は原爆実験がおこなわれたインファント島という南の島から、妖精の小美人(ザ・ピーナッツのお二人)を興行のために拉致してきて、それを島の守護神であるモスラが取り返しに来るというもの。 楽園だったインファント島を核実験で惨い状態にしてしまった人間の罪深さ、金儲けのためなら手段を選ばないという強欲さ、がテーマです。 身長が約30センチの小美人。「小美人」とは、この映画の中でフランキー堺さん演じる記者による命名です。新聞では若い女性は美人と表記するのが常とかで、小さいから「小美人」と名付けた。 フランキー堺さんと香川京子さんの東宝怪獣映画出演はめずらしく、この後は宝田明さんや高島忠夫さん、女優では水野久美さんや星由里子さんたちが常連になってゆく。 脇役では志村喬さん、平田昭彦さん、佐原健二さんなどお馴染みの人たちが出演しています。 この「モスラ」で最も印象に残るのはザ・ピーナッツのお二人。歌手デビューがこの映画の2年前(昭和34年)で、映画の撮影中に20歳の誕生日を迎えたそうです。 モスラヤ モスラ ドゥンガン カサクヤン インドゥムゥ♪・・・モスラを呼び寄せる歌の「モスラの歌」は今聴いても良い歌です(永遠の名曲)。 特撮は円谷英二さん。モスラが破壊する東京の街。ゴジラなどもそうだけれど、ミニチュア模型で作った街並みは、なんとか商店とか、酒店とかそろばん塾だとか、そんな看板がかかっていて当時の生活感が感じられるものです。 避難する人たちのなかに着物姿の女性や、車では懐かしいオート三輪がいたりするのは昭和30年代の時代を感じます。 出動する自衛隊(映画ではなぜか防衛隊といっている)のM4シャーマン戦車やF-86Fセイバー戦闘機。日本が当時、アメリカ軍から無償供与を受けていた兵器です。 これらの特撮はCGのない時代であり、円谷英二さんたちスタッフの苦心と熱意のたまものです。 怪獣映画というよりもファンタジー映画という感じで、モスラが、卵→幼虫→繭→成虫へと変化する姿は傑作ですね。 しかし、この映画の悪役ネルソン(ジェリー伊藤さん)はすごく悪い奴で、憎たらしい奴です。ジェリー伊藤さんは東宝映画の外国人悪役が似合う。 ネルソンの配下役で「レッド・サン」の中村哲さんが出ていて、最近よく見かける顔です。
2012年12月17日
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1972年 外国映画興行成績です。 金額は配給収入 1位 「ゴッドファーザー」 3億6651万円 2位 「007/ダイヤモンドは永遠に」 3億900万3位 「屋根の上のバイオリン弾き」 2億1992万4位 「風と共に去りぬ」 1億9962万5位 「レッド・サン」 1億9572万6位 「ひきしお」 1億1397万円 第5位の「レッド・サン」は1971年11月26日日本公開ということですが、当時は全国一斉ではなくて地方は遅れて公開されたようです。 金沢はおそらく12月下旬公開のお正月映画だったのではないかと。私が見たのは12月26日でした。 三船敏郎さんと中村哲さん、田中浩さん(強盗団首領のアラン・ドロンに撃たれる侍の役で、テレビCMの「わんぱくでもいい、たくましく育ってほしい」でおなじみ)が出演しています。 西部劇に日米修好使節としてアメリカに派遣された武士が出る異色娯楽作品。スペインで撮影されたフランス製西部劇です。 日米修好の使節が乗った列車が強盗団に襲われます。 天皇からアメリカ大統領への贈答品の宝刀を強盗団の首領ゴーシュ(アラン・ドロン)に奪われる。 中村哲さん扮する坂口備前守が三船敏郎さんの黒田重兵衛に、ゴーシュに裏切られて置き去りにされたリンク(チャールズ・ブロンソン)といっしょに追いかけて宝刀を取り戻すよう命じます。猶予期間は7日間。 ゴーシュを追った黒田重兵衛とリンクの珍妙な旅が始まり、二人はお互いを認め合うようになり友情が芽生える。 この黒田重兵衛の主君である坂口備前守を演じるのが東宝俳優の中村哲さんです(写真)。 当時の日本映画界は映画会社がそれぞれ自社専属の俳優を持っていました。 三船さんも中村哲さんも東宝の専属俳優です。 先日から昭和30年代の東宝映画をいくつか見たのですが、中村哲さんが「国際秘密警察指令第8号」(63)と「美女と液体人間」(58)に悪役で出ていました。 特撮映画では他に「モスラ」(61)と「地球防衛軍」(57)に出ています。 とくに悪役が似合うようで、「モスラ」ではザ・ピーナッツの小美人をインファント島から拉致してきて見世物興行で儲けようとするネルソン(ジェリー伊藤さん)の配下Aの役でした。 私は「レッド・サン」を見て初めて中村哲さんを意識し、その名前を知ったのですが、いま昭和30年代の映画をいくつか見ると、ああ、あの人が出ている、と気づくことがあります。 藤田進さんは黒澤明監督の「隠し砦の三悪人」の「裏切り御免!」が印象深いですが。特撮怪獣映画では自衛隊の対策本部長や防衛軍司令の役などでよく見かける常連さんです。いかにも武骨そうで、軍人の役が似合う俳優です。 もう一人、田島義文さんも常連です。この人も軍人役が似合いますが、悪役も多いですね。
2012年12月08日
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最近、東宝の昭和30年代の映画をつづけて見たのですが、「国際秘密警察指令第8号」(1963)と「美女と液体人間」(58)の佐藤允さんが強く印象に残りました。 佐藤允さんはギロリとした目の豪快なタイプなので東宝特撮映画には出番がないのか、ほとんどお目にかかりませんね。 もっぱら戦争映画やアクション系の方が多いのではないかと。「独立愚連隊」(59)や加山雄三さんと共演した「太平洋の翼」(63)と「ゼロファイター大空戦」(67)や、「太平洋奇跡の島キスカ」(65)など。 他に、テレビの「遊撃戦」(1968)は石川県では毎週水曜日の夜8時からで、当時は必ず見ていたドラマでした。 東宝特撮映画での東宝俳優といえば、宝田明さんや佐原健二さん、志村喬さん、藤田進さん、田島義文さんを思い浮かべるけれど、常連俳優といえば、なんといっても平田昭彦さんです。 昭和29年(1954)の「ゴジラ」記念すべき第1作に芹沢博士(写真)の役で出演。 以降、「空の大怪獣ラドン」(56)、「地球防衛軍」(57)、「美女と液体人間」(58)、「モスラ」(61)、「妖星ゴラス」(62)、「キングコング対ゴジラ」(62)、「三大怪獣地球最大の決戦」(64)、その後も「南海の大決闘」(66)などなど。 その知的でスマートなハンサムぶりは、科学者や警察の捜査課長などが多いようです。 先日見た「美女と液体人間」、「三大怪獣地球最大の決戦」の警察の課長さんは良かったですが、「ゴジラ」第1作の芹沢博士の役が最高かもしれません。 この昭和29年の「ゴジラ」は戦後まだ9年めで、焼け野原になった東京がようやく復興なった時代。そこへゴジラが東京湾上陸してふたたび東京を破壊する。 この映画はけっして子供を対象にした作品ではない。「水爆実験が生んだ現代の恐怖」と「放射能被爆の恐ろしさ」をテーマにしたSF映画です。 芹沢博士(平田昭彦さん)が発明した「オキシジェン・デストロイヤー」。酸素原子の研究途上で発見し完成させた恐ろしい兵器です。「液体中酸素破壊剤」で、液体中の酸素を破壊し、あらゆる生物を窒息させて、その後に液化させてしまう化学兵器。 ゴジラを退治する唯一の兵器として、芹沢博士はみずから犠牲になって海中で使用し、ゴジラを白骨化させ、液化し、消滅させる。 平田昭彦さんは特撮映画だけでなく、戦争映画や、時代劇、クレージーキャッツのコメディ映画、「若大将」など青春映画にも出ているし、幅広くいろんなジャンルに出演していますが、私にとってはやはり特撮SFや怪獣映画のほうが印象深いです。
2012年12月07日
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