全101件 (101件中 1-50件目)
「吸血鬼ゴケミドロ」(1968)監督 佐藤肇製作 猪股尭脚本 高久進、小林久三撮影 平瀬静雄美術 芳野尹孝音楽 菊池俊輔出演 吉田輝雄、佐藤友美、高橋昌也、金子信雄 高英男、北村英三、楠侑子、キャシー・ノーラン、加藤和夫 本編84分 総天然色 シネマスコープサイズ 1968年8月公開の松竹ホラー映画「吸血鬼ゴケミドロ」を鑑賞しました。6年前にチャンネルNECOで放送された時の録画です。 赤く異常な空を飛ぶ、羽田から伊丹空港に向かうジェット旅客機が、東南アジア某国の大使を暗殺した逃亡犯 寺岡(高英男)にハイジャックされる。直後に、旅客機は未知の光体と接触して山中に不時着する。 不時着時の衝撃から生き残ったのは副操縦士 杉坂(吉田輝夫)、スチュワーデスの朝倉(佐藤友美)、次期総理大臣候補の議員 真野(北村英三)、兵器製造会社の重役 徳安(金子信雄)とその妻であり真野の愛人になっている法子(楠侑子)、精神科医の百武、宇宙生物学者の佐賀(高橋昌也)、ベトナムで夫が戦死した未亡人ニール、機に時限爆弾を持ち込んだ自殺志願の松宮、そしてハイジャック犯の寺岡だけだった。 他の者たちを銃で脅しスチュワーデスを人質にして逃走した寺岡は、岩陰に着陸して光輝く空飛ぶ円盤を目撃する。円盤に吸い込まれるように入っていく寺岡の額が縦に赤くパックリ裂けると、その傷中にドロドロ状の宇宙生物ゴケミドロが入り込んでゆく。ゴケミドロに寄生された寺岡は吸血鬼となって次々と生存者たちを襲い始める。 ゴケミドロに寄生された寺岡から逃れようとエゴを剥き出しにする者たちの争いが加わって、生存者たちは次々と死んでいく。その惨劇に冷静さを失わなかった副操縦士の杉坂とスチュワーデスの朝倉が脱出して下山して高速道路の料金所にたどり着く。そこには車内で死んでいる人々や、近くのホテルに入ると目に入る限りの人々が血を吸われて死んでいた。 墜落で生き残った面々のキャラクターが面白い。筆頭は次期総理大臣候補の政治家を演じる北村英三さんで、我が身可愛さに他人を平気で利用し蹴落とす男。「わしは死にたくない!おまえが死ねっ!」は名セリフ。次はやはり名優の金子信雄さんで、政治家に莫大なわいろと自分の妻を贈って、兵器会社を発展させた男。 極限状態に置かれた時に人間はどうなるか?に興味がある精神科医の加藤和夫さんと、宇宙生物研究家の高橋昌也さんなどは置かれた極限状態を興味をもって楽しんでいるかにも見えます。 そんな個性的な人物たちにかこまれると、副操縦士役の吉田輝夫さんやスッチー役の佐藤友美さんは存在感が薄くなってしまい、そのヒューマニズム行為も偽善的に見えてしまい、この二人がいちばんアホでいい加減な奴ではないのかと思ってしまう。 自分の旅客機が墜落したが、その現在位置がまったくわからないなどと、羽田から伊丹へ向かう途中で時限爆弾を持った男が乗っていると連絡を受けて羽田へ引き返し、ハイジャックされて沖縄へ向かえと脅迫された時に墜落した。それならば正確ではなくてもおおよその位置くらい、機長でなくてもパイロットならばわかるだろう。 墜落の生存者たちはケガもなくみんな元気。食料も水もなく救援隊が来るあてがないのに現在地にとどまろうとする。だったら自分たちで積極的に人里をめざして脱出すべきではないか。じっさいにラストでは数キロを歩いただけ(に見える)で高速道路のインターとホテルに達しているのだから。墜落現場にとどまっている理由などどこにもない。脚本がというか物語が破綻しているのではないか。 極限状態に置かれたら、人間は本性をあらわす。それがこの映画のテーマだと思いますが、戦争は悲惨だからとかのベトナム戦争(当時はその真っ最中)の反戦を取り入れたりして、かなり安直な映画作りです。実物大?のジェット旅客機のセットを作って撮影したのはえらいけど。
2021年10月17日
コメント(2)
「宇宙人東京に現わる」 (1956)監督 島耕二製作 永田雅一企画 中代冨士男原案 中島源太郎脚本 小国英雄撮影 渡辺公夫美術 間野重雄色彩指導 岡本太郎音楽 大森盛太郎特殊技術 的場徹、築地米三郎、田中捨一出演 川崎敬三、目黒幸子、刈田とよみ、山形勲 見明凡太郎、南部彰三 本編87分 総天然色 スタンダードサイズ 1956年(昭和31年)公開の大映特撮映画「宇宙人東京に現わる」を鑑賞。6年前にチャンネルNECOで放送された時の録画です。日本のSF特撮映画としては「ゴジラ」(1954)とともに最も古い時期の作品に入るのではないでしょうか。 日本各地で謎の円盤が目撃され、学者や世間の感心が高まるなか、湖や海岸に怪物が現れて人々を騒がせます。怪物の正体は遙か遠くの星からやって来た「パイラ星人」であり、ヒトデの様な星型の体で中心に青く光る大きな目がある。目撃した人は恐怖で逃げ出してしまう。 その事にパイラ星人も困惑していた。彼らは地球を侵略に来たのではなく、むしろ真逆で地球の危機を善意で伝えにやって来たのに、地球人は彼らの姿を見ると醜悪な怪物だとして逃げ出してしまう。 パイラ星人たちは会議をして思案の末に、人間の姿に変身して地球社会に入り込むことにする。その第1号は提案言い出しっぺの者が帝国劇場の人気スター「青空ひかり」(刈田とよみ)に似せて変身。記憶喪失の女として湖に浮かんでいるところを主人公の博士たちに助けられて保護される。「天野銀子」と名付けられて潜入に成功するが、指紋がないとか、異常な跳躍力や瞬間移動など特殊能力を見られて、人間ではないことが見破られてしまいます。 銀子は地球にやって来た目的を博士たちに語る。パイラ星から地球を観測していると、原水爆の巨大な爆発がいくつも起こっているのを見て、このままでは地球が滅びてしまうと警告するために地球に来たのだと。 パイラ星も何世紀か昔には同じような状態だったが原水爆の危険性を悟り、原子力を平和利用することに徹したことで、高度な文明を創り上げることに成功した。そして現在、松田博士(山形勲)が研究している「ウリウム101」はその原水爆を凌駕する危険なものだと警告する。 銀子は地球に迫るもう一つの重大危機について語る。地球に向かって「新天体R」という星が接近していて、このままでは近いうちに地球に激突すると。それを阻止するためには全世界の原水爆ミサイルを発射して、「R」を破壊するようにすすめます。 かくして博士たちは地球の危機を発表し、原水爆で新天体Rを破壊することを訴えるのだが、核兵器保有国の反応は半信半疑であり協力的ではない。しかし地球から「R」の存在をはっきり確認出来るようになると各国も協力しないわけにいかなくなり、時間を指定して一斉に世界中の原水爆ミサイルを発射する事が決定されます。 しかし世界中の原水爆ミサイルをもってしても「R」を破壊することはできず、唯一残された希望は松田博士が研究していた「ウリウム101」に託されることになる。 雨降りの駅で電車を降りて、帰りに赤ちょうちんで一杯、というシーンから始まります。昭和31年の庶民(中流上流な家庭)の平凡な生活風景を背景にして、宇宙人が登場する。この当時はまだSFという用語はなく、空想科学映画(-小説、-漫画)などと云われた時代。原水爆実験がさかんにおこなわれ、ソ連やアメリカが核兵器競争をやってた時代です。その危機を親切な宇宙人が警告に来る話ですが、宇宙人イコール恐ろしい侵略者というありきたりな設定ではないのが、この初期SF映画ですでに描かれています。 宇宙人イコール侵略者というイメージが持たれるようになった原点は何なのだろうか? はるか遠くの星からわざわざ地球までやって来る動機は、善意とか友好目的ではなく、侵略しかありえないだろうというのは人間の損得勘定からのものですか?
2021年10月16日
コメント(0)
「最後の脱出」No Blade of Grass(1970)監督・製作:コーネル・ワイルド原作 ジョン・クリストファー脚本 ショーン・フォレスタル、ジェファーソン・パスカル撮影 H・A・R・トムソン音楽 バーネル・ホイブリー出演 ナイジェル・ダヴェンポート、ジーン・ウォレス ジョン・ハミル、リン・フレデリック、アンソニー・メイ ウェンディ・リチャード イギリス映画 本編97分 総天然色 シネマスコープサイズ 洋画チャンネル「ザ・シネマ」で放送された「最後の脱出」を録画したBD-REを鑑賞しました。 ず~っと昔にテレビで深夜にやっていた洋画劇場で見ていらいです。 中国が開発した農薬が発端となった病害が発生し、ウィルスが媒介となって世界中に蔓延する。イネ科の植物のコメ、小麦、大麦、トウモロコシなど穀物類が全滅し、それを食べた家畜類も死滅してしまう。中国から始まった大規模な食糧難が世界に拡大して餓死者が続出。危機が欧州にも迫り、無政府状態となった中で人々が生き残りをはかる物語です。 建築家のカスタンス(ナイジェル・ダヴェンポート)はロンドンに戒厳令が布かれるとの情報を得る。彼は都市封鎖される前に脱出して疎開する決意をし田舎にある兄のディビッドが経営する農園へ向かって妻と娘、その恋人の青年とともに車で出発する。途中で暴動を起こした市民が商店を襲って略奪するのを見て、護身のための銃を買おうと銃砲店に立ち寄ります。銃を売るのを拒絶した店主を店員のピリー(アンソニー・メイ)が射殺して妻とともにカスタンスと行動をともにすることになる。 市民の移動が禁じられる中、軍の検問を兵隊を撃ち殺して突破した彼らは、途中で凶悪なバイク集団に襲われ、妻と娘メアリー(リン・フレデリック)が暴行されてしまう。 車を捨てて徒歩となった彼ら一行は「約束の地」をめざして旅をつづけ、民家に押し入り、家人を射殺して食料を奪う。自分たちが生きるために他人を殺すことにためらいがなくなってゆきます。 ウィルス発生源の中国では口減らしのために3億人の国民を神経ガス爆弾で殺したとの情報が入り、英国政府も同じような手段をとるという噂がひろがって、人々は恐慌におちいります。 秩序が崩壊した無法社会で、食料の奪い合いと、生き残りをかけた戦いがくりひろげられる。 こういう殺すか殺されるかの極限状況になった時、今の平和ボケた日本人は「殺さなくてもいいじゃないか、話し合って食料を分けてもらえばいい」などと馬鹿な甘っちょろいことを云うかもしれない。 娘のメアリーがレイプされたあと、彼女はしだいに恋人よりも、粗野で荒くれな、銃砲店で働いていたピリーという男に惹かれてゆき、「彼といるほうが安全だから」と云います。弱肉強食の極限状況におかれた場では、恋人の教養や学歴など何の役にも立ちはしない。銃の扱いがうまくて強い男の下にいれば安全だから、というのは真実、そのとおりなのだろう。 人類が誕生した時から、時代や東西にかかわらず、人々は強いリーダーの下に集まり、集団が営まれてきた。そして他集団を襲って食料を奪う。リーダーには、他集団の襲撃を退け、他集団を襲って勝つことができる強さが求められて、その下に人々が集まる。集団は人数が多い方が有利だと、この映画でも云っていましたね。 現在の、中国が発生させた新型コロナウィルス騒動のなかで、この映画は単なる荒唐無稽な近未来SF映画ではなく、人間の本質をついているという点ではリアルな作品になっています。 中国って国は疫病を発生させて世界に迷惑をかける存在であり、3憶人の自国民を抹殺するような暴挙をやりかねない国として、この1970年当時からそう見られていたのか、というのが面白い。
2020年05月25日
コメント(0)
「空飛ぶ戦闘艦」(1961) MASTER OF THE WORLD監督 ウィリアム・ウィットニー製作 ジェームズ・H・ニコルソン原作 ジュール・ヴェルヌ脚本 リチャード・マシスン撮影 ギルバート・ウォーレントン音楽 レス・バクスター 出演 チャールズ・ブロンソン、ヴィンセント・プライス ヘンリー・ハル、メアリー・ウェブスター、デビッド・フランカム 本編104分 総天然色 ビスタサイズ 洋画専門チャンネル「ザ・シネマ」で放送された映画「空飛ぶ戦闘艦」を鑑賞しました。 ジュール・ヴェルヌの「海底二万里」の空中版みたいな感じで、若きチャールズ・ブロンソンが主演級で出ているという以外にあまり見どころがないような、低予算(B級)映画です。 1868年アメリカのペンシルベニア州。モーガンタウンという田舎町で山が噴火し、空から「神は怒っている。戦いをくり返す国々や人々に天罰がくだされるだろう」という不思議な声が聞こえたという騒動が起きる。 フィラデルフィアの気球協会の会議で「新型の気球に付けるプロペラは前が良いか後ろが良いか?」という議論がおこなわれていると、そこへ現れたのが政府内務省の役人ストロック(チャールズ・ブロンソン)という男。 彼は火山でもない山がなぜ噴火したのかを調査したいので気球を借りたいという。そこで気球を製作した工場の社長プルーデント(ヘンリー・ハル)と娘ドロシー(メアリー・ウェブスター)、婚約者エバンス(デビッド・フランカム)が同行して、気球に乗って噴火した山へ向かう。 火口に近づくと、ミサイル?が飛んできて気球が撃ち落され、気が付くと謎の飛行船内に捕虜となっていた。 謎の飛行船アルバトロス号。ストロックたちの前に船長のロバー(ヴィンセント・プライス)が現れ、彼は世界の国々を脅迫して武装解除させるのが目的なのだと語ります。 まず手始めにアメリカの軍艦に爆弾を投下して爆沈させる。つぎに英国に向かってテムズ河口に停泊している軍艦を攻撃して全部爆沈してしまう。 争ってばかりいる世界の国々から兵器を取り上げて平和な世界をめざす。従わなければ攻撃を加えるのだというロバー船長の目標には賛同できるが、その手段は許せないというストロックだった。 SF特撮映画としては、飛行船アルバトロス号のデザインはレトロでマニアックでもあり良いのだが、撮り方がやっつけ仕事な感じがしていただけません。ハリーハウゼン先生や日本の円谷英二さんのような特撮への愛やこだわりが感じられないのが最大の難点か。 ストロック(ブロンソン)と一緒に飛行船の捕虜になったプルーデント社長が軍需産業の経営者というのがポイントで、彼は「生産した武器や兵器、爆弾は金を払えばどこの国でも売る。それをどう使おうがその国の勝手だ」と言い放つのが面白いです。 やっつけ仕事的でお世辞にもほめられない映画だけれども、世界の国々を強力な科学力と軍事力で脅迫して武装解除させ、世界平和をめざすというテーマは現代でも通用するものでしょう。どうでもいいリメイク映画や続編ばかり作ってないで、このような作品をリメイクするべきではないか。 チャールズ・ブロンソンさんの最初期の作品かと思ったら、1961年だから「荒野の七人」(60)の後に作られた映画でした。
2018年11月16日
コメント(0)
「オール・ユー・ニード・イズ・キル」(2014) EDGE OF TOMORROW監督 ダグ・ライマン製作 アーウィン・ストフ、トム・ラサリー ジェフリー・シルヴァー、グレゴリー・ジェイコブズ ジェイソン・ホッフス原作 桜坂洋「All You Need Is Kill」(集英社刊)脚本 クリストファー・マッカリー ジェズ・バターワース、ジョン=ヘンリー・バターワース撮影 ディオン・ビーブプロダクションデザイン: オリヴァー・ショール 音楽 クリストフ・ベック出演 トム・クルーズ、エミリー・ブラント ビル・パクストン、ブレンダン・グリーソン 本編113分 カラー シネマスコープサイズ 2014年7月に公開されたアメリカ映画「オール・ユー・ニード・イズ・キル」をブルーレイソフトで鑑賞。 SFのジャンルのひとつである「タイムループ」を近未来戦争アクション映画に取り入れた作品。「タイムループ」とは同じ時間をくりかえす現象で、朝、目覚めたら昨日の朝だったというような、あれです。 主人公は同じ日を何度も繰り返すので、次に何が起こるかを経験してすでに知っている。そのたびに別の選択肢を進んでいくのだが、というSF小説や映画のジャンルです。 近未来のヨーロッパ。「ギタイ」というエイリアンの侵略をうけて窮地に追い込まれた人類が抵抗の戦いをつづけている。唯一の明るい展望はヴェルダンという地で敵に一矢をむくいた勝利に貢献した女性兵士リタ・ヴラタスキ軍曹(エミリー・ブラント)の英雄的な活躍だった。 トム・クルーズ扮する主人公はアメリカ軍の広報士官であるケイジ少佐。彼は後方の安全な場所にいて、若者たちに人類存亡の戦いに参加するよう呼び掛ける宣伝をしている。そんな彼が統合防衛軍の将軍(ブレンダン・グリーソン)から反攻上陸作戦の最前線に同行して現地報道するよう命令されます。 危険な戦場に行きたくないケイジ少佐は、今度の反攻作戦は多くの犠牲者がでるのが予測され、広報担当の自分が将軍の名前を出せば、その家族からあなたが糾弾されるだろう、と暗に脅迫して命令を撤回させようとする。 将軍の怒りと不興をかったケイジ少佐は即刻逮捕されて、陸軍二等兵に降格され、もっとも危険な敵前上陸部隊に新兵として配属されてしまう。 戦闘訓練もろくに受けていないケイジ二等兵はさっそく地獄のような戦場に放り出されることになり、彼の眼前で「ヴェルダンの女神」と呼ばれる英雄リタ・ヴラタスキ軍曹が戦死してしまう。直後にケイジ二等兵も襲ってきたギタイを対人地雷で吹き飛ばすが、爆発で彼も死んでしまう。しかし、目覚めると新兵として配属された出撃前日に戻っていた。 ケイジ二等兵は死ぬたびに前日に戻り、タイムループで同じ戦闘と生死をなんども繰り返し、リタ・ヴラタスキ軍曹を救い、彼女と協同して戦いを生き延びて、ついに強力な侵略者ギタイの根源へと挑んでゆく。 最初はヘナチョコのチャラ男だった主人公が生死を繰り返し、経験を積むことでたくましい古強者へと成長してゆく。 映画の分類としては戦争映画だけれども、近年の映画は現実の戦争ではなくて、近未来における宇宙からの侵略者を相手にする設定になったのは、現実の国家を敵役にするのがはばかられる時代になったということだろうか。 宇宙からの侵略エイリアンだったら遠慮なくやっつけられるということか。しかし人類側の兵器は「トランスフォーマー」や「世界侵略:ロサンゼルス決戦」「バトルシップ」など、実在の兵器や現在研究中の兵器など現実的なものが登場する。 本作の場合もそうで、歩兵が装備するパワードスーツもそうだし、オスプレイを四発にしたような垂直離着陸輸送機など、近い未来には実用化されそうです。
2018年07月08日
コメント(0)
「猿の惑星」(1968) PLANET OF THE APES監督 フランクリン・J・シャフナー製作 アーサー・P・ジェイコブス モート・エイブラハムズ原作 ピエール・ブール脚本 ロッド・サーリング マイケル・ウィルソン撮影 レオン・シャムロイ特殊効果 L・B・アボット特殊メイク ジョン・チェンバース音楽 ジェリー・ゴールドスミス出演 チャールトン・ヘストン、キム・ハンター ロディ・マクドウォール、リンダ・ハリソン、モーリス・エヴァンス ジェームズ・ホイットモア、ジェームズ・デイリー 本編113分 総天然色 シネマスコープサイズ 昨日5月8日にNHKのBSプレミアムで映画「猿の惑星」(68)が放送されました。 1968年4月に日本公開されたSF映画の傑作です。金沢では7月に駅前の都ホテル地下街にあった金沢ロキシー劇場で公開され(同時上映は「地獄から来た男」)、学校の夏休みに入ったすぐの時に友人と見に行った、思い出深い作品です。ちなみに併映の「地獄から来た男」はテレビ映画「過去のない男」を劇場公開用に編集した作品でロバート・ランシング、ダナ・ウィンター主演。「猿の惑星」は当時、雑誌「ボーイズライフ」などでも紹介された話題作でした。 ANSA(アメリカ宇宙局)が光子推進の宇宙船を打ち上げて太陽系外の惑星を探査する「リバティー計画」を実施。ジョージ・テイラー大佐(チャールトン・ヘストン)を隊長とし、ランドン中尉、スチュアート中尉、ドッジ中尉が乗り組んだ宇宙船は、18ヶ月後(地球では2000年が経っている)に、ある惑星に不時着水する。睡眠カプセルの密閉が破れたことでスチュアート中尉が死亡したが、テイラーたち3人は湖水に落ちて沈む宇宙船から脱出し、荒涼とした未知の大地に上陸する。 幾日か砂漠を歩いた末に森林地帯に入った時、初めて人間の群れに出会ったが、彼らは言語を持たない未開人だった。そこへ現れた猿の一隊。銃で武装し、馬に乗ったゴリラたちが網を持って人間を追いまわして捕獲する。テイラーは喉を撃たれて捕らえられ、ドッジは射殺され、ランドンは行方不明となる。 この惑星では、猿が文明を持つ支配者で、人間は家畜以下の下等動物であり、猿たちは人間狩りをおこなっていた。捕らえられて檻に入れられたテイラーはチンパンジーのジーラ博士(キム・ハンター)と、その婚約者の考古学者コーネリアス博士(ロディ・マクドウォール)に出会う。二人はテイラーの知能が高いことを知って興味を持つ。喉を負傷して話せないテイラーは文字を書いて自分が他の惑星から来たことを伝えるが、二人は半信半疑だがテイラーにとって唯一の味方となる。 この惑星の最高権威者であるオランウータンのザイアス博士(モーリス・エバンス)は、なぜかテイラーを毛ぎらいする。檻から脱走したテイラーは捕まって査問会にかけられ、ジーラとコーネリアス博士が弁護人となる。知能を持つ人間の存在を認めない査問会に二人の博士の弁護は一笑にふされてしまう。ジーラとコーネリアスはテイラーと彼を慕うノヴァ(リンダ・ハリソン)を逃がしてやるが、彼らがコーネリアス博士が発掘調査していた海岸まで来た時、ザイアス博士たちの追跡隊に追いつかれてしまう。 SF映画といえば、それまでは子供向け映画扱いされて、スター俳優の出ないB級映画ばかりでした。そんな低い扱いしかされなかったSF映画に大スターのチャールトン・ヘストンさんが出演したことは画期的なできごとです。 猿が人間を支配する世界というユニークな設定と、ショッキングなラストシーン。テイラーとノヴァが馬に乗って海岸線を禁断地帯へと入っていき、そこで目撃したものは・・・。このラストシーンですが、オチはこれ以外にないだろうというものですね。だからネタバレがどうのと云うより、誰もが推測のできる結末です。 人類は進化して現在の姿になったのですが、人間は動物のなかで最も優れた存在なのか?、人間がいちばん優秀な存在だと、人間が勝手に思い込んでいるだけではないのか? そして、現在が進化の最終的な姿なのか?まだまだ進化の途中なのではないか? この先、人間は遠い未来に向かって進化(退化?)してゆくのではないか。 猿の文明を描くことで人間の愚行と偏見と差別、核の脅威を描き出したSF映画史に残る傑作です。 今回はNHKのBSプレミアムではなく、ブルーレイソフトでの鑑賞です。日本語吹替えに日本語字幕を表示して見たのですが、ラストシーンのテイラー隊長(チャールトン・ヘストン)の台詞がちょっと気になった。「自由の女神、自由の女神… すると、ここは… ここは、地球なのか! とうとうやってしまったんだな、この、バカ共め! 、なんてやつらだ、 こんなにしちまって バカめ! 猿に笑われるはずだよ、これじゃ!」となっています。 この最後の、「猿に笑われるはずだよ」はいくらなんでもソフトな表現すぎないか。字幕では「このザマは何だ!バカ野郎! 皆、地獄で苦しめ! 」となっていて、むかしテレビ洋画劇場で見たときは確か、「何ということをしたんだ! 人間なんかみんな、地獄へ落ちてしまえ! 」と云っていたようです。テイラーの嘆きと怒りと絶望と、人類への呪いが伝わるには、地獄へ落ちろと云うほうが適っていると思うのですが。 NHK BSプレミアムでは、ここの字幕はどうなっていたんだろう?
2018年05月09日
コメント(0)
「キングコング 髑髏島の巨神」(2017) KONG: SKULL ISLAND監督 ジョーダン・ヴォート・ロバーツ製作 トーマス・タル 、メアリー・ペアレント ジョン・ジャシュニ、アレックス・ガルシア原案 ジョン・ゲイティンズ、ダン・ギルロイ脚本 ダン・ギルロイ、マックス・ボレンスタイン撮影 ラリー・フォンプロダクションデザイン シュテファン・デシャント衣装デザイン メアリー・フォークト音楽 ヘンリー・ジャックマン出演 トム・ヒドルストン、サミュエル・L・ジャクソン ジョン・グッドマン、ブリー・ラーソン、ジン・ティエン トビー・ケベル、ジョン・オーティス、コーリー・ホーキンズ 本編118分 カラー シネマスコープサイズ 2017年3月に公開された「キングコング 髑髏島の巨神」。7月にDVDとブルーレイソフトが発売。12月に低価格化されて再発売。ブルーレイソフトが1400余円で買えたので購入しての鑑賞です。 日本でもアメリカでもキングコングを知らない人はいないだろう、怪獣では日本のゴジラと双璧をなす存在ではないでしょうか。東宝の怪獣特撮映画を見て育った私としては、今回の「キングコング 髑髏島の巨神」は興味津々、見逃せない作品です。 どうでもいいことかもしれないけれど、「King Kong」をどう表記するか? キングコングかキング・コングか? 1976年版(ジョン・ギラーミン監督とジェシカ・ランング)は「キングコング」。2005年版(ピ-ター・ジャクソン監督 ナオミ・ワッツ)は「キング・コング」と表記されました。 日本での表記は1933年版が日本で公開された時(昭和8年9月)のポスターや宣材をもとにするべきだと思うのですが、当時の資料が残っていないのだろうか?よくわからない。現在発売されている1933年版のDVDは「キングコング」と「キング・コング」両方があってかなりいいかげんな扱いです。 私自身は子供の頃に見た「キングコング対ゴジラ」(63)も「キングコングの逆襲」(67)もコンマなしだったので「キングコング」とすべきだと思っています。 1944年南太平洋の孤島にアメリカ陸軍戦闘機P-51と日本海軍戦闘機零戦が相打ちになって、米日ふたりのパイロットが落下傘で降下する場面から物語が始まります。 敵同士のふたりが争っていると、そこへ突如現れた巨大なゴリラ。 そして画面は1973年のベトナムにとぶ。ベトナムからアメリカ軍が撤退することが発表され、帰国準備で周囲があわただしい陸軍のパッカード大佐(サミュエル・L・ジャクソン)。 地球観測衛星ランドサットが南太平洋で謎の島を発見したことで、調査団が派遣されることになり、その「髑髏島」へ向かう調査団を護衛する任務がパッカード大佐の部隊にくだされる。 調査団は軍の護衛だけでは不足と考え、戦闘とサバイバル能力に長けた元SAS隊員のコンラッド(トム・ヒドルストン)を雇ったことから、調査の背景に隠された何かがあると直感した戦場カメラマンのウィーバー(ブリー・ラーソン)がチームに同行することになる。 一年を通して悪天候に囲まれ、外界から隔絶した髑髏島に輸送船で接近した一行は、暴風圏外からパッカード大佐のUH-1輸送ヘリの強襲ヘリコプター部隊に分乗して島に向かう。 暴風圏を抜けたヘリ部隊は大自然が美しい島を目にする。その島の自然を破壊するような強震を起こす爆弾を投下する乱暴な調査を開始した一行の前に怒り狂った巨大なゴリラが現れて、つぎつぎとヘリコプターが叩き落とされる。 必死の銃撃を浴びせて応戦するが部隊は全滅。墜落からかろうじて生き残った者たちは合流しながら、救出予定地点へと向かって密林の中を歩き出す。 危険な密林を進む調査団と兵隊たちは未知の巨大生物に襲われる。 DVDとブルーレイソフトに収録されている日本語吹替え音声は声優ではなく、演技に素人同然のタレントが使われているので台詞が棒読み、聞くに堪えないヘタクソなものです。そのために英語音声と字幕での鑑賞になりましたが、たいへん面白く見ることができました。 ただキングコングの映画としては何かが不足している感じが残ります。怪獣映画というよりは、「ジュラシック・パークIII」(2003)の世界を見ているような。秘境と調査隊と巨大生物の出現。「ジュラシック・パークIII」が嫌いではないし、面白かったので、今回の「キングコング 髑髏島の巨神」も面白く見られた、ということです。 日本語吹替えに演技力のないタレントを使うのは、その演じている俳優にたいしてすごく失礼なことではないか。そのことに気づいていないとしたら、日本の配給会社はどうかしていると思うのですが。
2018年01月07日
コメント(0)
「プテロドン 零式戦闘機 vs 翼竜軍団」(2008) WARBIRDS監督 ケヴィン・ジェンドルー製作 スティーヴン・ファースト ケヴィン・ジェンドルー ジェイソン・ヒューイット クリスチャン・マッキンタイア 原案 ケヴィン・ジェンドルー クリスチャン・マッキンタイア、ジョン・ターレスキー スコット・ホイーラー脚本 ケヴィン・ジェンドルー撮影 アドルフォ・バルトーリ出演 ジェイミー・エル・マン、ブライアン・クラウズ デヴィッド・ジェンセン、トオル・マサムネ、ルーシー・ファウスト ショーナ・ラポルド 本編88分 カラー ビスタサイズ FOXムービーで放送された映画「プテロドン 零式戦闘機 vs 翼竜軍団」を録画して鑑賞。 太平洋戦争末期の1945年春。日本海軍の戦闘機 零戦と恐竜が戦うというので興味津々。娯楽映画としてこれほど奇想天外な企画を思いついた製作スタッフに脱帽というか、普通はこんなこと誰も考えつかないだろうし、日本ではだれもこんな作品を撮ろうとはしないだろう。 主人公は陸軍婦人補助部隊(WAAC)、のちに陸軍婦人部隊(WAC)と改称されましたが、車両輸送隊の運転手や、気象予報、火器整備、事務処理、会計、給食、被服、医療、庶務などの任務についた女性たちの、そんな中の、航空機を操縦して空輸するパイロットです。 本土からハワイのホイラー飛行場まで新型爆撃機B29を運んだ彼女たちは、休養も与えられずに、そのまますぐに太平洋上のテニアン島まで極秘の貨物を運ぶよう命じられます。同行するのはテラー大佐と部下の兵隊が2名。 嵐に遭遇し、悪天候のなかを飛行するB29だったが、正体不明の飛翔体に襲われて機体が損傷し、洋上の小島に不時着することになる。そこで彼女たちが目にしたのは放置された4機の零式艦上戦闘機と数名の日本軍残留兵、そしておよそ100匹もの翼竜プテロドンだった。翼竜の餌食になるまえに島を脱出しようと試みる彼女たちは零戦とB-29を使って飛び立つが・・・。 この作品はテレビムービーだと思われる、出演者の顔ぶれはまったく知らない人ばかりです。おそらくハワイかどこかの島で撮影されたのだろう?、いくつかの小さな建物とテント、軍用トラックが1台。あとは恐竜と零戦とB29の飛行シーンは完全なCGであり、それだけの低予算映画(B級映画)です。 しかし、恐竜(翼竜で頭部はヴェロキラプトルみたいな)と日本の零戦が空中戦をおこなうという、ワクワクさせるような突飛なアイデアと、婦人部隊の彼女たちのなかなか魅力のおかげで、最後まで飽きることなく見せられました。 彼女たちが中身を教えられずに運ぶことを命じられた貨物は、すぐに察しがつくので秘密でもなんでもないけれど、アイデア勝負の一発である佳作といったところか。
2017年06月06日
コメント(0)
1955年の外国映画興行成績です。 金額は配給収入1位「砂漠は生きている」 2.9億円 2位「シネラマ・ホリデー」 2.7億円 3位「海底二万哩」 1.8億円 4位「ヴェラクルス」 1.7億円 5位「エデンの東」 1.6億円 6位「征服者」 1.4億円 7位「スタア誕生」 1.4億円 8位「裏窓」 1.4億円 9位「暴力教室」 1.3億円 10位「ピクニック」 1.2億円 ジュール・ヴェルヌの古典冒険小説「海底二万里」は私の愛読書です。 その映画化であるウォルト・ディズニー製作の1954年作品「海底二万哩」を鑑賞しました。一昨年にスターチャンネルで放送された日本語吹替え版です。「海底二万哩」(1954) 20,000 LEAGUES UNDER THE SEA監督 リチャード・フライシャー製作 ウォルト・ディズニー原作 ジュール・ヴェルヌ脚本 アール・フェルトン撮影 フランツ・プラナー音楽 ポール・J・スミス出演 カーク・ダグラス、ジェームズ・メイソン ポール・ルーカス、ピーター・ローレ、ロバート・J・ウィルク テッド・デ・コルシア、カールトン・ヤング 本編127分 総天然色 シネマスコープサイズ 1866から67年頃、世界各地の海で航行中の船が怪物に襲われて沈められる事件が続出。 アメリカ政府は怪物捜索の軍艦を派遣することになり、フランス人の海洋学者アロナクス教授(ポール・ルーカス)と助手コンセイユ(ピータ・ローレ)、カナダ人の銛(もり)打ちネッド(カーク・ダグラス)が招かれて捜索艦に乗り込むことになる。太平洋を3カ月にわたって調査したが怪物を発見することができず、捜索を中止することに。その夜、謎の怪物が出現し、艦は怪物に体当たりされて大破。体当たりの衝撃でアロナクス教授、コンセイユ、ネッドの3人は海に放り出されてしまう。 彼らは漂流の末に謎の潜水艦が浮上しているのを見つける。怪物の正体はこの怪潜水艦で、捕らわれた3人はネモと名乗る艦長(ジェイムス・メイソン)と出会い、艦はノーチラス号という。 アロナクス教授はネモ艦長に興味を持ち、ノーチラス号の科学力に感嘆する。 ネモ艦長は教授をある島に案内し、その島の強制収容所で大勢の囚人が働かさせられているのを見せられる。艦長もかつてはそこの囚人で、仲間と脱獄したのだと。天才科学者であるネモの知識を国が軍事利用しようと脅迫したが彼は断った。その時に彼の妻子が拷問されて殺されたと、ネモ艦長は教授に語る。 地上の権力へのネモ艦長の憎しみ。各国の船を襲う彼の動機は復讐だった。 基本的な設定はジュール・ヴェルヌの原作と同じですが、アロナクス教授と助手コンセイユ、銛打ちのネッド・ランドのキャラクターが小説のイメージとは異なっています。 とくにコンセイユは原作では主人に忠実で篤実な若者なのに、映画では50歳の俳優ピーター・ローレが演じて大きな違和感がある。 それとこれも原作では気難しく頑固で食いしん坊な好漢である銛打ちのネッド・ランドを、この映画製作当時の大スター カーク・ダグラスが扮しているが、コソ泥をたくらみ、食事での下品な無作法など、見ていてやりきれない思いがする。 ネモ艦長を名優ジェイムズ・メイソンが演じていて、これは貫禄もあってさすがの好演です。 人間社会から縁を切り、海底世界の平穏を好み、地上権力を憎んでいるネモ(誰でもないという意味)艦長を謎の人物としておけばいいのに、彼の行動の動機が発明を奪おうとする国家の脅迫によって無惨に殺された妻子の復讐だとする個人的なものにしてしまった。植民地化され圧政に苦しむ祖国の独立がついにかなえられず、その結果、独立の達成を海底に求めたとする原作とは異なるように変えてしまったのは、いかがなものか。
2017年03月15日
コメント(0)
「海底大戦争」(1966)WATER CYBORG監督 佐藤肇 企画 亀田耕司 、吉野誠一 原案 福島正実 脚本 大津皓一 撮影 下村和夫 水中撮影 館石昭 美術 江野慎一 編集 祖田富美夫 音楽 菊池俊輔 特殊撮影 矢島信男出演 千葉真一、ペギー・ニール フランツ・グルーバー、アンドリュウ・ヒューズ エリック・ニールセン、マイク・ダニーン、ビバリー・ケラー ブラウン・ガンサー、室田日出男 本編84分 総天然色 スタンダードサイズ チャンネルNECOで放送された映画「海底大戦争」を録画して鑑賞しました。 特撮映画が好きで、よく見るのですが東映のはめずらしい。日活の懐かしい青春映画やアクション映画だけでなく東宝の特撮映画、そしてこの東映の特撮映画など、チャンネルNECOは私好みの映画をよく放送してくれるので、たいへんありがたいチャンネルです。 新聞記者の安部(千葉真一)は、米海軍の潜水艦で記者を集めて行われた新型魚雷の発表会の席上でモニター画面に黒い人影のような物体が横切ったのを見つける。海軍のブラウン中佐(フランツ・グルーバー)は適当なことを云ってごまかすが、納得がいかない安部は恋人のカメラマン・ジェニー(ペギー・ニール)と翌日、その海域を調べようとアクアラングを着けて潜ります。 海底でジェニーが不思議な人影を目撃し、撮影するがカメラを落としてしまう。安部とジェニーはそのカメラを捜すうちに海底の洞窟へまぎれこんでしまいます。 その洞窟は謎の海底施設につづいていて、安部とジェニーは世界征服をたくらむ悪の組織に捕まってしまう。組織のボスはムーア博士(エリック・ニールセン)というマッドサイエンティスト。彼は人間を改造して半魚人サイボーグをつくりだしていた。安部とペギーも手術台にしばられて半魚人サイボーグに改造されようとする。 さらに原子科学者のハワード博士も半魚人どもに拉致されて海底基地につれてこられる。その3人を救おうとアメリカ海軍のブラウン中佐が奮闘し、潜水艦で捜索にむかいます。 東映とアメリカのラム・フィルムとの日米合作映画です。日本公開は1966年7月。 若き千葉真一さんが主役の熱血記者を演じていますが、あとの出演者のほとんどは外国人ばかりです。恋人のジェニー役のペギー・ニール、アメリカ海軍のブラウン中佐のフランツ・グルーバーなど、外国人の台詞はすべて日本語に吹替えられている。 この外国人たちはあまり演技が上手ではなく、日米合作といってもペギー・ニールとフランツ・グルーバーの他は俳優ではなく、日本在住の外国人たちを使ったのではないか? 千葉真一さんにとっては、テレビの「新・七色仮面」と「アラーの使者」が1960年。「キイハンター」が1968年からなので、その間に制作された作品です。 演技に素人くささを感じる外国人俳優?たち。演出もどこかぎこちなく、「味わいがあるが変な映画」を見たという感じがします。半魚人の着ぐるみを着たまま水中撮影がおこなわれたらしく、その水中撮影はよく出来ています。先日見た「大アマゾンの半魚人」に負けていない?
2016年10月13日
コメント(0)
2015年外国映画興行成績です。 金額は興行収入。1位「ジュラシック・ワールド」 95.3億円2位「ベイマックス」 91.8億円3位「シンデレラ」 57.3億円4位「ミニオンズ」 52.1億円5位「ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション」 51.4億円6位「インサイド・ヘッド」 40.4億円 7位「ワイルド・スピード SKY MISSION」 35.4億円8位「アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン」 32.1億円9位「ターミネーター:新起動ジェニシス」 27.4億円10位「テッド2 」 25.1億円「ターミネーター」シリーズ最新作の「ターミネーター:新起動ジェニシス」が第9位にランキング。 1984年に第1作が公開されて大ヒットしたSFアクション映画で、主演のアーノルド・シュワルツェネッガーさんの代表作となったのですが、続編の「ターミネーター2」(1991)を限りに、「3」(2003)「4」(2009)と明確な方針を保てなくなり、迷走してしまった、人気が高いシリーズです。「ターミネーター:新起動/ジェニシス」(2015) TERMINATOR: GENISYS監督 アラン・テイラー 製作 デヴィッド・エリソン デイナ・ゴールドバーグ 脚本 レータ・カログリディス パトリック・ルシエ 撮影 クレイマー・モーゲンソー 衣装デザイン スーザン・マシスン 編集 ロジャー・バートン 音楽 ローン・バルフェ エグゼクティブ音楽プロデューサー ハンス・ジマー出演 アーノルド・シュワルツェネッガー、ジェイソン・クラーク エミリア・クラーク、ジェイ・コートニー、イ・ビョンホン、J・K・シモンズ 本編126分 総天然色 シネマスコープサイズ 2029年、機械軍との壮絶な戦いを繰り広げていた人類は、抵抗軍のリーダー ジョン・コナー(ジェイソン・クラーク)の指揮により勝利が目前になっていた。追い詰められたスカイネットは、ジョン・コナーの存在そのものを消し去るため、殺人ロボット ターミネーターT-800を過去の1984年に送り込んで、ジョンの母親サラ・コナーの抹殺を図った。 それを阻止すべくジョン・コナーは、ターミネーターの魔手から母親サラ・コナーを守らせようと腹心のカイル・リース(ジェイ・コートニー)に後を追わせる。 ここまでは第1作の始まりの箇所と同じですが、カイル・リースが時間を超越して1984年のロサンゼルスに現れると、彼を待ち受けていた警官に変装したターミネーターT-1000(イ・ビョンホン)に襲われる。 カイルが追って来たT-800は1984年に到着するとすぐにサラ・コナー(エミリア・クラーク)と、彼女が「おじさん」と呼ぶT-800(アーノルド・シュワルツェネッガー)によって破壊され、T-1000に襲われたカイルを救ったサラとおじさんT-800はあなたの来るのをずっと待っていた、と云う。 カイルがジョン・コナーに教えられていた、ただのウェイトレスにすぎないはずのサラ・コナーは、彼女が9才の時に未来からやって来たターミネーターに両親が殺され、その後ずっと「サラを守れ」とプログラミングされたT-800によって強い女戦士に育て上げられていた。 未来戦のみだった前作「4」にはまるで「ターミネーター」らしさがなく、その迷走ぶりはこの先どうなるんだ?と不安が残るものでしたが、この「5」である「新起動ジェニシス」は、「ターミネーター」はこうでなくっちゃ!と原点に戻ったような雰囲気があって、ファンを嬉しがらせる作品になりました。 あらためて「ターミネーター」にはアーノルド・シュワルツェネッガーさんの存在は欠かせられないと認識。 今後どうなるかわからないけれど、ジュワルツェネッガーさん抜きにしてはこのシリーズは成り立たないのではないか。 シュワちゃんのおじさんT-800に助けられたカイルが、その年取った顔を見て『古い」と云うと、いささかプライドを傷つけられた感じで「古いがポンコツではない」と云う。 「ターミネーター2」(1991)の時のシュワルツェネッガーさんも良かったけれど、その頃からすでに「大根役者」ではなくなっていましたね。表情と簡単な台詞のみで観客を感動させる、情感を表情だけで表現できる良い俳優になっていました。 今作でも、引き続いてサラ・コナーを守護する「年取った」ターミネーターT-800を暖かみのある逞しさで演じていて、とても良い。 おなじみの台詞「I’ll be back」も健在だし、シュワちゃんが「古いがポンコツではない」を何度も云いますね。よほど気に入った台詞のようで。「ターミネーター」(1984) 製作費が640万ドルくらいのB級映画(低予算という意味)だった。「ターミネーター2」(1991) 製作費1億ドル以上の超大作になった。「ターミネーター3」(2003) 評価は低いが、自分的には気に入っている。「ターミネーター4」(2009) これはただの未来戦争映画で、「ターミネーター」ではない。 「ターミネーター サラ・コナー・クロニクルズ」(2008) TVシリーズ(全31話)。サラ・コナーがいつも深刻な顔をしていて、なんだかなーといった感じ。
2016年06月17日
コメント(0)
1990年外国映画興行成績です。 金額は配給収入。1位「バック・トゥ・ザ・フューチャーPART 2」 55億3000万円 2位「バック・トゥ・ザ・フューチャーPART 3」 47億4000万円 3位「ダイ・ハード2」 32億5000万円 4位「ゴースト ニューヨークの幻」 25億円 5位「バットマン」 19億800万円 6位「ゴーストバスターズ2」 17億5000万円 7位「7月4日に生まれて」 14億7500万円 8位「デイズ・オブ・サンダー」 14億1000万円 9位「グレムリン2 新種誕生」 13億4000万円 10位「フィールド・オブ・ドリームス」 11億円 「バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2」は1989年12月公開。「PART 3」は7ヶ月後の1990年7月公開です。「バック・トゥ・ザ・フューチャーPART 2」(1989) BACK TO THE FUTURE PART II監督 ロバート・ゼメキス製作 ニール・キャントン ボブ・ゲイル製作総指揮 スティーヴン・スピルバーグ フランク・マーシャル キャスリーン・ケネディ脚本 ボブ・ゲイル撮影 ディーン・カンディ特撮 ILM音楽 アラン・シルヴェストリ出演 マイケル・J・フォックス、クリストファー・ロイド トーマス・F・ウィルソン、エリザベス・シュー、リー・トンプソン 本編108分 総天然色 ビスタサイズ 第1作が作られた時点では続編の予定はなかったそうですが、ビデオソフト化された時(87年)にエンディングで「つづく」と入れたのがきっかけとなって急遽続編が作られることになったとか。 続編は1本のはずだったのが、アイデアがつぎつぎと生まれて2本になったそうです。「PART 2」の最後に「PART 3」の予告編が入り、次作を乞う御期待、となる、こういう趣向は当時ではたいへん珍しいものです。 1955年から無事に現代(1985年)に戻ることができたマーティ。30年後の2015年の世界を見てくるといって出かけたドクが戻って来て、「君たちの子供が大変だ。なんとかしないとならないので一緒に来い」と云うところで終わった第1作。 第2作の本作はそのまま同じシーンから始まります。流用ではなく同じシーンを撮り直したそうで、変わったのはジェニファー役のクローディア・ウェルズさんが家庭の事情で降板しエリザベス・シューさんに交代したのみで、構図も演技もまったく同じ(第1作から約4年経っている)。 ドクと一緒に2015年へ向かったマーティとジェニファーは、彼らの息子が窃盗容疑で有罪判決を受け、そのことが家庭崩壊へのきっかけとなると教えられる。マーティが息子に成りすまして息子を犯罪に誘おうとする悪役ビフの孫グリフ(トーマス・F・ウィルソン2役)をやっつける。 未来の彼らの家庭の危機を未然に防いで、1985年へ帰りがけにマーティが1950年~2000年までのスポーツ試合すべての勝敗結果が載った「スポーツ年鑑」を買うと、ドクから「金儲けのためにタイムマシンを作ったのじゃない」と叱られ、その本をゴミ籠へ捨てる。それを見ていたビフが拾って、こっそりデロリアンに乗り込んで1955年の高校生時代の自分へ渡す。 1985年に戻ったマーティとドク、ジェニファーはその世界が大きく変わっているのに驚きます。 ビフがスポーツ賭博で大金持ちになって町を支配している。マーティの父ジョージは殺され、母ロレイン(リー・トンプソン)はビフと再婚している。2015年のビフが1955年のビフに「スポーツ年鑑」を渡したことで歴史が大きく変わってしまった。 暗黒の無法地帯になってしまった現代(1985年)を元に戻そうとするマーティとドクの話が、この第2作です。 前作は自分の母親に恋される主人公のてんやわんやを描いた青春SF映画として完結しているはずなのに、あえて作られた続編。 今作では悪役ビフの出番が圧倒的に多く、老若ビフの2役を特殊メイクでトーマス・F・ウィルソンが演じていて存在感が大きい。マーティもドクもその前には形無しといった感じです。 ビフからスポーツ年鑑を取り返して、一件落着といったところに、悪天候でドクが乗ったデロリアンが落雷を受けて消滅、マーティは1955年に取り残されてしまった。 1885年のドクから「鍛冶屋をやって無事に生きている」との手紙を受け取ったマーティは、ドクが100年前の西部開拓時代で生きているのを知り、もう一度1955年のドクに助けを求める。
2015年12月26日
コメント(2)
「大怪獣ガメラ」(1965)監督 湯浅憲明製作 永田雅一企画 斉藤米二郎脚本 高橋二三撮影 宗川信夫編集 中静達治音楽 山内正特技撮影 築地米三郎出演 船越英二、姿美千子 霧立はるみ、山下洵一郎、北原義郎 内田喜郎、浜村純、吉田義夫、左卜全 本編89分 モノクロ シネマスコープサイズ 大映の怪獣映画「大怪獣ガメラ」の公開は1965年(昭和40年)11月27日。 テレビで「ウルトラQ」の放送が始まるのが1966年1月2日(第1回「ゴメスを倒せ」)だから、その約1ヶ月前です。「ウルトラQ」と「ウルトラマン」で怪獣ブームが起こるのですが、その直前に上映された作品になります。 同じ年には 1965年8月8日 「フランケンシュタイン対地底怪獣(バラゴン)」(東宝) 12月18日 「怪獣大戦争」(東宝) 1966年7月31日 「フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ」(東宝) があり、私たち当時の子供には圧倒的に東宝怪獣特撮映画の人気が高く、大映の「ガメラ」などには見向きもしなかった。 テレビの「ウルトラQ」や「ウルトラマン」に夢中になったのも、円谷プロ特撮作品だったからであり、特撮ばかりでなく、東宝系出演者に魅力があったからです。 この大映「大怪獣ガメラ」は確かに見たはずで、内容はまったく記憶になく、今回チャンネルNECOで放送されたのを機会に数十年ぶりに再見したのですが、はてな?、こんな映画だったっけ、といった印象です。 思っていたのとまったく異なる内容で出演者もまったくちがっていた。本郷功次郎さんが出ていたと思っていたのに、本郷功次郎さんが出ているのは第2作目の「ガメラ対バルゴン」(1966)であり、でもそれはカラー作品で、私の記憶ではモノクロだから、「?」です。 動物博士 日高(船越英二)、助手の山本京子(霧立はるみ)、新聞社カメラマン 青柳(山下洵一郎)は北極海のエスキモーの集落でアトランティス大陸にいたという謎の亀を調査中に、上空を国籍不明の爆撃機編隊が飛んでいくのを目撃する。 領空侵犯で迎撃に飛び立った米軍機がその爆撃機を撃墜し、墜落した機が原爆を積んでいて、核爆発が起こる。その原爆の熱エネルギーによって、巨大な亀の姿をした怪獣が冬眠から目覚めた。 日高博士は怪獣は核爆発の放射能を浴びたから海底で死んでいるだろう、と勝手に判断し、報道陣に「動物学者としては惜しいことです」などと云っている。 その亀型怪獣「ガメラ」が北海道に出現し、自衛隊は冷凍爆弾でガメラを動けなくしてひっくり返す作戦を採る。みごと裏返しになったガメラを見て、日高博士は「亀は自力では起き直れないから、このまま飢え死にさせよう」と気の長い話。 ところが、ガメラは手足を引っ込めると、クルクル回転を始めて空飛ぶ円盤のように何処かへ飛び去ってしまう。「亀が飛ぶとは・・・」と唖然とする博士たち。 次は高圧電流には弱いだろうと、これも根拠のない勝手な見込みで発電所の電力を流してガメラを倒そうとするが、充電されたようなカメラは倒れるどころか逆に元気いっぱいになる始末。「どうも、わしの作戦は失敗のようだ」と、この日高博士は頼りない。 万事がこの有様で、東宝怪獣映画では果敢に怪獣に立ち向かってゆく自衛隊なのに、こちらはまことに頼りなく、見ていて盛り上がらない。 しかも、ガメラを勝手に友達だと思い込んだ亀好きの子供が出てきて、「亀はみんな良いやつなんだ」と、やたらと顔を突っ込んでくるのだからやりきれない。この子役にはイライラさせられ、怪獣映画に子役を出せば、子供の観客が親近感を持って感情移入するだろうという安易な製作方針が逆効果になっています。子供を出せば子供が喜ぶだろうなどと、子供の観客をあなどっているのではないか。 特撮は東宝にけっして劣るものではないけれども、出演俳優に魅力がなく、物語の内容のなさ。子役が出てきてイライラさせられ、とにかく怪獣以外の部分があまりにもお粗末で、東宝に負けないぞという意気込みも熱意も感じられない作品です。 ガメラなんかより、冒頭での原爆を積んでアメリカへ向かう国籍不明機(ソ連にきまってるが)のほうが大きな問題ではないか。
2015年12月17日
コメント(0)
「恋はデジャ・ブ」(93)に似ているという意見が多いようですが、私はそれより「ジョニーは戦場へ行った」(1971年 日本公開1973年)を連想しました。 主人公のスティーヴンス大尉(ジェイク・ギレンホール)はアフガンで戦闘中に戦死したのですが、それは表向きで、実は下半身を失いながらも生きている。四角い生命維持装置内に寝かされて、そのまま極秘システムのために利用される。 彼は何かのコクピットみたいなカプセル内にいて(現実ではなく彼の脳内イメージにすぎない)、なんで自分がこんな任務につかされるのかわからないし、ここから出してくれといっても、博士は「それはできない」の一点張り。 やがて主人公は自分が戦死したことにされていて、生命維持装置内でかろうじて生かされているだけにすぎないのを知る。そして「殺してくれ」と願うのですが、博士は爆破犯人を特定する任務を遂げれば、その願いをきいてあげようと約束する。 しかしそのクソ野郎の博士は約束を平然と反故にし、ミッション終了後はスティーヴンスの記憶をすべて消して、また次のミッションで利用する時まで生かしておこうとする。 カプセル内のスティーブンスとの連絡窓口になっていた女性士官グッドウィン大尉(ヴェラ・ファーミガ)は、スティーヴンスの気持ちを理解し、彼の願い通りに死なせようと生命維持装置のスイッチを切ります。「ジョニーは戦場へ行った」(1971)は生命の尊厳と死の尊厳をテーマにした作品で、第一次大戦に出征した主人公が両手両足も目も耳も口も鼻も失って帰国し、病室に寝かされているだけの存在。 担当する看護婦さんは彼を不憫に思い、胸に指でメリークリスマスと書いたり、日の光の暖かさや外気の清々しさを感じさせてくれる。そして彼の「死なせてくれ」という願いをきいて生命維持のチューブを外そうとするのですが、医師たちに見つかってしまう。医師たちは彼がどれだけ精神が正常でいられるか、そんな状態でどれだけ生きられるかを実験するために病室を完全に閉ざしてしまう。「ミッション:8ミニッツ」はパラレルワールドを題材にしたSF映画です。「パラレルワールド」とは「並行世界」ともいわれるのですが、異世界とか異次元世界のことではありません。この現実世界とは別の、もう一つのというより、現実世界から分岐した無数に無限数にある世界のこと。 私たちは誰もが、その人生において無数の分岐点を経ています。 その時々の選択肢において、あの時、ああしていたら、これではなくあれを選んでいたら、別の道に進んでいたら、今とは異なった人生になっているだろうと、その異なる人生がパラレルワールド。 その時々に選んだ選択ではなく、別の選択をしていたらどうなっていたか? 今より幸福になっているとはかぎらず、不幸になっているかもしれない。もしかするとその世界では自分は死んでしまって、どこにもいないかもしれない。
2015年10月22日
コメント(0)
「ミッション:8ミニッツ」(2011) SOURCE CODE監督 ダンカン・ジョーンズ製作 マーク・ゴードン フィリップ・ルスレ脚本 ベン・リプリー撮影 ドン・バージェス編集 ポール・ハーシュ音楽 クリス・ベーコン出演 ジェイク・ギレンホール、ミシェル・モナハン ヴェラ・ファーミガ、ジェフリー・ライト 本編93分 総天然色 ビスタサイズ 2011年10月に日本公開されたパラレルワールド物のSF映画。 買ったまま封を切ってなかったDVDでの観賞です。 陸軍パイロットのスティーヴンス大尉(ジェイク・ギレンホール)はアフガンでヘリに乗って戦闘中だったはずなのに、目が覚めるとシカゴ行きの通勤列車の座席に座っていた。前席のクリスティーナという見知らぬ女性(ミシェル・モナハン)が親しげにショーンという他人の名前で呼ぶ。トイレの鏡を見ると、そこには別人の顔が映っていて、身分証明書はショーンという名前で職業は教員となっている。わけがわからないうちに列車は大爆発を起こし、再びスティーヴンスが意識を取り戻すと、金属製のカプセルの中にいた。 カプセルは軍の研究施設内にあって、モニターに映る軍服の女性グッドウィン大尉(ヴェラ・ファーミガ)が言うには、今朝シカゴ行きの通勤列車で爆破テロが起き、乗客乗員が死亡した。その被害者の一人ショーンという人物の死ぬ直前8分間の残像にスティーヴンスを同期させたのだと。 爆破犯人は次のテロを予告している。その第二の爆破を阻止するたために、スティーヴンスは列車内のショーンの意識に同期して爆発前8分間の彼となって犯人を捜し出せと命令される。 列車の中を五里霧中で犯人を捜そうとするスティーブンスは、まず仕掛けられている爆弾を発見し、犯人を特定しようとするが、怪しいと思った人物は見当外ればかり。 スティーヴンスは8分間を何度か繰り返すうちに、失敗と間違いの行動の結果から学んだことで、8分間が毎回同じではなく小さな変化が起きているのを知る。ひょっとしたら未来を変えられるのではないか? 彼はクリスティーナだけでなく、爆発を阻止して他の乗客も救えるのではないかと思うようになってゆきます。 爆発前の列車内に戻って爆発を止めて乗客を救おうとしても無意味なのだと、起こってしまったことは変えられないのだと、この同期システムを開発した博士(ジェフリー・ライト)が言う。「電球を消した時に灯りがゆっくり消えて、しばらく明るさが残るだろう。脳もそれと一緒で、死んでもしばらくの間は帯電している。その間回路は開いたままで、8分間の記憶を保存する。コンビニの監視カメラが一日の最後の部分をハードディスクに保存するようなものだ。この脳から8分間の記憶を取り出して活用することで、我々は8分間限定の並行世界へのアクセスを可能にしたのだ」と。 爆発はすでに起きたことであり、それを変えることはできない。タイムマシンで過去へ行くのではない。被害者の一人ショーンという人物の爆発までの8分間の意識内に入り込むことが可能なだけのシステムなのだと。 犯人を特定して報告すれば、その犯人を逮捕して次の爆破を阻止できる。スティーヴンスに出来るのはショーンの8分間の最後の記憶内に入り込んで、犯人を捜し出して特定するという、それだけなのだと博士が言います。「爆発までの8分間が限界」というシステムが創り出した「世界」へ何度も送り込まれているうちに、スティーブンスは自分がアフガンで戦死したことになっていて、下半身も内臓もうしない生命維持装置で生かされているだけの臨死状態にあることを知る。そして、「8分間の世界」はただの爆発までの8分間の被害者の残像ではなく、パラレルワールドではないかと考え、その並行世界で列車の乗客を救い、心を通わせるようになった女性クリスティーナと生きてゆこうと決心する。スティーヴンスはこれが最後の8分間だと賭け、その8分間が経ったら生命維持装置を切ってほしいと、現実世界のグッドウィン大尉に頼みます。 つづく。
2015年10月21日
コメント(0)
1978年の外国映画興行成績です。 金額は配給収入。1位 「スター・ウォーズ」 43億8000万円 2位 「未知との遭遇」 32億9000万円 3位 「007私を愛したスパイ」 31億5000万円 4位 「サタデー・ナイト・フィーバー」 19億2000万円 5位 「ブルース・リー死亡遊戯」 14億5000万円 6位 「コンボイ」 14億5000万円 7位 「ジョーイ」 11億2000万円 8位 「カプリコン・1」 8億円 9位 「オルカ」 6億4000万円 10位 「ザ・ドライバー」 5億1000万円 ジョージ・ルーカス監督の「スター・ウォーズ」とスティーヴン・スピルバーグ監督の「未知との遭遇」が興行成績トップ10の第1位、2位となり、SF映画ブーム到来の先駆けとなった1978年です。「未知との遭遇」(1977) CLOSE ENCOUNTERS OF THE THIRD KIND監督 スティーヴン・スピルバーグ製作 ジュリア・フィリップス マイケル・フィリップス脚本 スティーヴン・スピルバーグ撮影 ヴィルモス・ジグモンド ラズロ・コヴァックス特撮 ダグラス・トランブル リチャード・ユリシック音楽 ジョン・ウィリアムズ出演 リチャード・ドレイファス、フランソワ・トリュフォー テリー・ガー、メリンダ・ディロン、ケリー・ガフィー 本編135分(劇場公開版)132分(特別編)137分(ファイナルカット版) 総天然色 シネマスコープサイズ メキシコの砂漠で砂嵐のなか、第二次大戦時の雷撃機が発見される。 それは30年前1945年5月に訓練に飛び立ったまま消息を絶った5機のアベンジャー雷撃機で、当時そのままの状態で発見され、調査団のラコーム博士(フランソワ・トリュフォー)に、現場にいた老人は「夜中に太陽が出て、歌が歌われた」と謎の証言をする。 アメリカのインディアナ州では、深夜にバリー(ケリー・ガフィー)という3才の幼児が何物かに導かれるように家をとびだして行き、母親ジリアン(メリンダ・ディロン)が彼のあとを追う。 そして同じ町に住む電気技師ロイ(リチャード・ドレイファス)は広範囲にわたる町一帯の停電を調べるために車を走らせていてUFOのような光を目撃。彼はこの不思議な光にすっかり取り憑かれ、変人と思われながらも、その正体を追求してゆく。 ジリアンは息子をUFOに連れ去られ、ロイは気が変になった行動に走り妻(テリー・ガー)が子供をつれて出て行ってしまう。ロイとジリアンは、深層心理に残された山状のイメージがワイオミング州のデビルズ・タワーという山だと知り、その山へ向かうことになる。 ワイオミング州デビルズ・タワー周辺では軍が住民を強制退去させていて、その山こそは、UFO、異星人との接触が予定される地点であり、政府は軍を派遣してそれを隠蔽しようとしている。 ロイとジリアンは軍に捕らえられるが逃げ出してデビルズ・タワーに登り、そこで彼らが見たものは・・・・。 人類と異星人との接触をテーマにしたスピルバーグ監督のSF映画です。 SF小説やSF映画では、異星人といえば地球を侵略に来る存在と決まっていました。 この映画では、そうではないのだと、異星人を侵略者だと決めつけてはならないのだと。地球人と異星人の友好的遭遇をテーマにしています。 エンディングでディズニー映画「ピノキオ」の「星に願いを」のメロディが流れます。 映画の中でもロイ(リチャード・ドレイファス)が子供たちに「ピノキオ」の映画をやっているから見に行こうと言う。子供たちも妻も、そんな子供だましの映画はイヤだ、興味がないという。 ロイは子供の時にこそ「ピノキオ」を見るべきなのだ、と主張するが妻は聞く耳を持たない。 星空を見上げて、美しく輝く遠くの星に向かって願いをかける。 女神様が現れて、良い子でいたら、いつかその時に願いがかないますよ、と言う。 そのような夢を大人になっても持ち続けている人たちのために作られた映画です。 UFOに取り憑かれた夫を見限って出て行ってしまった妻(テリー・ガー)は、夢を始めから持たなかったのか、持っていたけど現実の生活を送るうちに捨ててしまったのか、夫を理解できない。 スティーブン・スピルバーグ監督はウォルト・ディズニーを尊敬し、そのアニメ映画が大好きだというのはよく知られた話です。「1941」は「ダンボ」、「E.T.」では「ピーターパン」。製作を担当した「グレムリン」では「白雪姫」。
2015年09月26日
コメント(0)
「バーバレラ」(1967)BARBARELLA監督 ロジェ・ヴァディム 製作 ディノ・デ・ラウレンティス 原作 ジャン=クロード・フォレスト 脚本 テリー・サザーン、クロード・ブリュレ ロジェ・ヴァディム、ジャン=クロード・フォレスト 他撮影 クロード・ルノワール 音楽 ミシェル・マーニュ、チャールズ・フォックス出演 ジェーン・フォンダ、ジョン・フィリップ・ロー ミロ・オシー、デヴィッド・ヘミングス、マルセル・マルソー アニタ・パレンバーグ、ヴェロニク・ヴェンデル、セルジュ・マルカン ウーゴ・トニャッツィ 本編98分 総天然色 シネマスコープサイズ 日本公開は1968年10月ですが、金沢は2ヶ月ほど遅れて12月頃。私が高校1年の時に悪友と見に行ったのは年末でした。 あれから46年。いま見るとキッチュでサイケな映画ですね。俗悪で安っぽくて(良い意味で)、原色を使ったケバケバしい奇抜なデザインです。 CG技術がない時代なのですべて手作りで、映画のシーンすべてがセット撮影です。 オープニングタイトルでの有名なバーバレラのストリップシーン。無重力で宇宙服を脱いでいく。まず手袋、次に脚、背中が割れて・・・と、最後はスッポンポンになってしまう。 この場面は本当の無重力ではなく、背景を床に描いて、そこに寝て演じているのを上から撮っている。でもちゃんと無重力の感じが出ているのが上手いです。 物語の基本はSFの定番であるスペースオペラです。ヒーローが宇宙船を駆っていろんなエキゾチックな惑星を旅して冒険する活劇。小説では「宇宙のスカイラーク」とか「レンズマン」「キャプテン・フューチャー」など(かつて創元SF文庫やハヤカワから出ていた)。その影響を受けて、日本の特撮テレビ番組では「キャプテンウルトラ」(1967年全24話)が代表的なものだったかと。 男の主人公ではなく女性のバーバレラによる、とある惑星での冒険を描いたのが映画「バーバレラ」。フランス・イタリア・アメリカの合作です。 主演のジェーン・フォンダさんは当時はロジェ・ヴァディム監督の奥さん。ロジェ・ヴァディムは自分の妻の美しさを自慢したいがために撮ったような感じが見ていてします。とっかえひっかえ衣裳を着替えさせて、「どうだ!俺のワイフは綺麗だろう」って。 ジェーン・フォンダさんは映画女優としてより、ベ平連やウーマンリブの闘士として有名になってしまうのですが、この1967年当時はまだそのような活動には目覚めていないようです。 お父さんの名優ヘンリー・フォンダに顔立ちが似ていてパパ似の彼女、見ようによっては男顔とも言えそうなのに、ロジェ・ヴァディム監督はさすがに美しく撮っています。出演女優を美しく撮ってくれる監督はいいな。 破壊光線を発明した科学者デュラン・デュランが消息不明になり、彼を探し出して連れてこいというのが地球国大統領から与えられた任務。 宇宙船で出発したバーバレラは磁気嵐にあって、とある惑星に不時着する。その惑星で悪の黒の女王(アニタ・パレンバーグ)と戦うことになります。 女王の侍従長(ミロ・オシー)に捕まったバーバレラがセックス拷問機にかけられる。侍従長がピアノの鍵盤みたいなのを操作すると、バーバレラのエクスタシーが増幅されて最後はイキすぎて死ぬという恐ろしい拷問。ところが彼女の性欲が強すぎてマシンが過熱し、壊れてしまって、悪の侍従長があきれるのには大笑いです。 おバカでナンセンスな映画ですが、ジェーン・フォンダさんの最高作(だと私は思う。本人は認めたくないかもしれないけど)。
2015年06月22日
コメント(0)
一昨日の「金沢にあった映画館」に載せた写真は「バーバレラ」(67)です。 映画専門チャンネル ムービープラスの「ハリウッドお宝映画アカデミー SF編~懐かしさの中にある近未来映画~」という企画の一作品として、7/6、7/13、7/23に放送されるそうで、その映画「バーバレラ」について書こうと思ったら、以前にすでに書いていました。 参考までに、以下はその時(2012年2月24日)の再掲です。 ・・・・・・・ 1967年フランス映画「バーバレラ」、日本公開は1968年11月。私が見たのは12月の末だったと思います。 浅野川大橋の近くにあった北国第一劇場で、同時上映は「黄金の眼」(1968年イタリア映画)でした。 この「バーバレラ」は近所の銭湯に宣伝ポスターが貼ってあって、悪友が「これを見に行こうと」。 ところが当日になって、誘っておきながら「こんな映画は行ってはならない」と親に言われたとかでオジャンに。でも、あきらめないで、翌週こっそり2人で見に行きました。 フランスのコミックの映画化だそうです。この当時はまだコミックの映画化というのは現在ほど盛んでなく、めずらしいものでした。 西暦4万年の宇宙。ヒロインのバーバレラ(ジェーン・フォンダさん)は、地球大統領の「宇宙破壊光線」を発明した科学者デュラン・デュランを捕らえてこいとの指令を受ける。 彼女の宇宙船が磁気嵐にあって、とある惑星に不時着。ここから純情可憐、キュートで脳天気なヒロインの悪者退治の冒険が始まります。 地下にある町。そこは悪の「黒の女王」が支配していて、恐怖政治に抵抗する民衆による革命が起ころうとしている。 バーバレラは盲目の天使パイガーの協力を得て、黒の女王と黒の衛兵に立ち向かう。 SF映画といっても、サイエンス・フィクションというよりかセクシャル・ファンタジーという方が合っているような作品です。 特撮はけっして褒められたものではないけれど、その、いかにもといったB級感が魅力になっている。ほのぼのとした手作り感があって、現代のCG特撮に慣れた目には逆に新鮮だったりします。 冒頭のタイトル場面での、ヒロインの無重力ストリップは語りぐさになっているくらいに有名です。 自分的にはジェーン・フォンダさんはタイプではありませんが、このバーバレラ役は魅力的で、彼女の代表作といっても良いかと思う(当人は気に入らないようだが)。 盲目の天使パイガーを演じるのはジョン・フィリップ・ローさん。同時上映の「黄金の眼」でも主人公の怪盗ディアボリクの役をやっていて、同じ俳優の映画が二本立てだったのは偶然か? ジョン・フィリップ・ロー。「新・夕陽のガンマン 復讐の旅」(67)にリー・ヴァン・クリーフと共演していて、その金髪のせいか、アメリカ人なのにヨーロッパ人に見えてしまうという、ちょっと変わったタイプのアメリカ男優です。 ・・・・・・・・ 手抜きになってしまってスミマセン。 長くなるので、明日につづきます。
2015年06月21日
コメント(0)
「ガメラ3 邪神<イリス>覚醒」(1999)監督 金子修介総指揮 徳間康快脚本 伊藤和典、金子修介撮影 戸澤潤一美術 及川一編集 冨田功音楽 大谷幸特技監督 樋口真嗣出演 中山忍、藤谷文子、前田愛 螢雪次朗、本田博太郎、山咲千里 手塚とおる、小山優、安藤希、川津祐介 本編108分 総天然色 ビスタサイズ 先に、「ガメラ3邪神(イリス)覚醒」は好きではないし面白いとは思いません、と書いたのは、劇場公開時(1999年3月)に見てそう感じたからです。今あらためてDVDで見直しても同じような印象を受けました。 まったく面白くないわけではないけれども、「1」「2」のような怪獣映画ファンを熱くしてくれるものがなく、完結編としてなんでこんな方向へ行ってしまったのか、と不満が残るものです。 これまでの怪獣映画で描かれなかったこと。あえて描くのを避けてきたともいえること。 怪獣同士が街中で戦ったり、テレビの「ウルトラマン」でも街中で怪獣とドシンバタンと戦う、これまで幾度も見たシーンですが、その戦いに巻き込まれて犠牲になった人々がいたはずだということです。 悪い怪獣が現れて、正義のウルトラマンが飛んで来てドシンと着地する。身長40m、体重3万5千トンが着地した時の衝撃がどのような被害をもたらすか、踏みつぶされる人がいるかもしれないし、倒壊破壊した建物の下敷きになって死ぬ人もいるはず。怪獣との戦いで破壊される建物に押しつぶされたり、爆発や爆風で多くの人が死ぬだろう、そういうことはいっさい取り上げられることがありませんでした。 平成「ガメラ」3部作の完結編「ガメラ3 邪神<イリス>覚醒」。 主人公は4年前の1995年、「1」の東京でガメラがギャオスが戦ったさいに、ガメラに踏みつぶされて両親を失った少女 比良坂綾奈(前田愛)です。 奈良の田舎の村に住む親族に引き取られていて、余所者あつかいされて馴染めず、中学校ではイジメを受けている。 イジメ子に村の古い祠がある洞窟に入って祀られている石をとってくるように言われた綾奈は、洞窟内で謎の卵を見つける。それはギャオスの卵で、彼女は孵化した雛にイリスと名付け、餌を与えて育てる。両親を殺したガメラをイリスに倒させて復讐を遂げようと考えます。 ギャオスが変異したイリス。少女の怨念が生み出したともいえるイリスが進化して巨大怪獣となり、ガメラとの戦いとなり、その巻き添えで数万人もの被害者が出てしまう。 これまでの怪獣映画では人が死ぬシーンはほとんど映されなかったのですが、今作はギャオスを倒すために渋谷にガメラが現れて、人がごった返す夜の渋谷で両怪獣が大暴れ。その争いに巻き込まれた犠牲者は1万人以上。渋谷が壊滅する場面は、怪獣映画としては史上空前のものです。 そんな大惨事に政府はギャオス以上にガメラを脅威と見なし、ガメラ討伐の方向に動くことになる。 大繁殖をとげて増え続けるギャオスとの戦いで、ガメラは人間を巻き添えにしてしまう。 ガメラは果たして人間の味方なのか? 超古代文明は増えすぎた人間を減らすためにギャオスを創った。ところが予想に反して減らすどころか滅亡させてしまいそうになる。あわてて対ギャオス兵器としてガメラを創ったが間に合わずについに文明が滅んでしまった。 ガメラは人間を守るよりギャオスを倒すことを優先する。「わたしはガメラを許さない」。前田愛さん演じる綾奈を中心に、「1」に登場した鳥類学者の中山忍さん、ガメラと通信した藤谷文子さん(4年間でずいぶんお姉さんになった)、刑事だった螢雪次朗さんが登場します。 中山忍さんの長峰真弓が渋谷を歩いていると、道端で古雑誌を売っている大迫(螢雪次朗)に気がついて声をかける。 人違いだと否定する大迫。かつては長崎県警の警部補で、「1」で長峰真弓といっしょにギャオス調査をしたのですが、今は落ちぶれてしまってホームレスをしている。「ごめんなさい。懐かしい人に出会って、とても嬉しかったものですから」と長峰が優しく詫びる、このシーンが好きです。 中山忍さんの優しいキャラクターが良くて、螢雪次朗さんも、普段はコメディ的な俳優ですが、こういう役をすると味わい深くて上手ですね。
2015年05月25日
コメント(0)
1996年日本映画興行成績です。 金額は配給収入。1位 「ゴジラVSデストロイア」 20億円2位 「学校の怪談2」 15億6000万円3位 「Shall we ダンス?」 15億5000万円4位 「ドラえもん のび太と銀河超特急」 15億4000万円5位 「スーパーの女」 14億5000万円6位 「男はつらいよ 寅次郎紅の花」 11億6000万円7位 「ガメラ2 レギオン襲来」 7億円8位 「クレヨンしんちゃん ヘンダーランドの大冒険」 6億5000万円9位 「7月7日、晴れ」 6億円10位 「学校II」 6億円 平成のガメラ(金子修介監督)第2作「ガメラ2 レギオン襲来」(1996年7月公開)が興行成績第7位に入りました。前作の「ガメラ 大怪獣空中決戦」が配収5億2000万円でしかなく、今作は7億円で第7位とはいえ東宝の「ゴジラ」に大きく差を広げられています。作品のできばえは決して劣るものでなく、むしろ段違いに上回っているといえるのに、亀の怪獣では観客を集められないのでしょうか(もしかすると昭和ガメラの先入観を持たれている?)「ガメラ2 レギオン襲来」(1996)監督 金子修介 製作総指揮 徳間康快製作 土川勉、佐藤直樹、南里幸脚本 伊藤和典撮影 戸澤潤一特撮監督 樋口真嗣編集 荒川鎮雄音楽 大谷幸出演 永島敏行、水野美紀 石橋保、吹越満、藤谷文子、川津祐介、沖田浩之 螢雪次朗 本編99分 総天然色 ビスタサイズ この作品については2012年1月14日に書いていて、いまでもそれ以上に付け加えることもないので、以下は再掲です(手抜きですみません)。 ・・・・・・・ 怪獣映画「ガメラ2 レギオン襲来」を見ました。これで何度目か?、好きなので何度も見ています。 1996年作品で、前作95年の「ガメラ 大怪獣空中決戦」も面白いけれど、この「2」の方が良いです。 「ガメラ3 邪神(イリス)覚醒」(99)は好きではないし、面白いとは思いません。 やはり、この「2」が最高傑作で、「ゴジラ」を含めた怪獣映画全体としても、特撮、演出、出演者の魅力など、最高水準なのではないだろうか。 隕石落下、札幌の地下鉄から始まって、ガメラとレギオンが現れて、仙台が壊滅、ガメラを自衛隊が援護するという展開になります。 見るからに凶悪な体型のレギオン。一時はガメラがやられるのですが、「必ずガメラは復活します。だって、だってガメラはレギオンを許さないから」。 東京を死守するため自衛隊が防衛戦を張る。レギオンとガメラの戦いに、自衛隊の師団長は最初、「なぜ怪獣を援護しないとならないのだ」と言ってたのが、「火力をレギオンの頭部に集中し、ガメラを援護しろっ!」と。 自衛隊とNTTが撮影に協力した映画というだけあって、自衛隊が大活躍。 永島敏行さんの軍服姿がよく似合ってカッコ良い。別れる時に「ご無事で」と言う水野美紀さんに永島さんが敬礼を返す。 ラストでレギオンを倒したガメラが去ってゆくのを見送る自衛隊員たちが感謝を込めて敬礼をするシーンは目頭が熱くなります。 「敬礼」を意識して見ると、この映画「ガメラ2 レギオン襲来」は敬礼を描いた傑作といえるかも。 怪獣映画と自衛隊とは切っても切れない関係です。初期のゴジラ映画でも自衛隊の戦車や戦闘機が攻撃しますが、花火のような火花が飛ぶだけで、少しも命中しない。 近年の怪獣映画は命中して爆発したり、そういえばアメリカが作った「GODZILLA ゴジラ」(98)では、ミサイルが突き刺さるように命中してゴジラ(ゴジラらしくないけど)を倒しましたね。 藤田進さんや、時代劇の悪役でお馴染みの田島義文さんなど、自衛隊の隊長や軍人役が似合う俳優ですが、近年はこんな威厳と貫禄のある人がいなくなった。そんな意味でも永島敏行さん、良かったです。 それと水野美紀さんのミニスカートが。監督のこだわり(ご趣味?)なんだそうで(笑) ・・・・・・・・・ 今回、何度目かの鑑賞ですが、やはり自衛隊の二等陸佐役の永島敏行さんがとても良い。 ガメラにギャオス、今度は宇宙生物。水野美紀さんが「世界のタガがはずれちゃったんじゃないでしょうか」と言うのに「タガがはずれていようが腐っていようが、それを守るのが我々の仕事です」と答える。 水野美紀さんは青少年科学館の文芸員 穂波碧(ほなみ・みどり)の役。ヒロインとして魅力的です。物語は札幌から始まり、「札幌市青少年科学館」は実在するんですね。 防衛庁のほか、NTT北海道支社、札幌市交通局が協力していて、現実感を出すのに効果を上げています。 先に、「ガメラ3邪神(イリス)覚醒」(99)は好きではないし面白いとは思いません、などと書いていますが、もういちどあらためて見てみます。
2015年05月24日
コメント(2)
1995年日本映画の興行成績です。 金額は配給収入1位「耳をすませば」 18億5000万円 2位「ゴジラVSスペースゴジラ」 16億5000万円 3位「男はつらいよ 拝啓 車寅次郎様」 15億5000万円 4位「学校の怪談」 15億円 5位「ドラえもん のび太の創世日記」 13億円 6位「ドラゴンボールZ 復活のフュージョン!! 悟空とベジータ」 12億7000万円 7位「美少女戦士セーラームーンS」 10億5000万円 8位「家なき子」10億5000万円 9位「きけ、わだつみの声」10億1000万円 10位「藏」 10億円 この年の日本映画興行成績のトップ10に、あの怪獣映画の大傑作「ガメラ 大怪獣空中決戦」が入っていないのは信じられない思いがします。 1995年3月11日公開。大映の怪獣映画「ガメラ」ですが、昭和のシリーズ(第1作「大怪獣ガメラ」1965年、以下全8作)は東宝の「ゴジラ」に大きな差が付けられていて、確かに私たち子供が見ても「良い子の味方ガメラ」はあまりにも子供だまし的なものでした。 そのガメラが平成になって復活した、金子修介監督の新しいガメラは「怪獣映画ファンが本当に見たかった作品がこれだ!」、で素晴らしい傑作です。「ガメラ 大怪獣空中決戦」(1995)監督 金子修介 製作 池田哲也、萩原敏雄、澤田初日子企画 佐藤直樹、武井英彦、森江宏、鈴木伸子製作総指揮 徳間康快脚本 伊藤和典撮影 戸澤潤一特技監督 樋口真嗣怪獣デザイン 前田真宏怪獣造形 原口智生音楽 大谷幸出演 伊原剛志、小野寺昭、中山忍、藤谷文子 本田博太郎、螢雪次朗、長谷川初範 本郷功次郎、久保明、渡辺裕之 本編95分 総天然色 ビスタサイズ 太平洋上に移動する謎の環礁が出現し、黒潮に乗って日本に近づいている。 海上保安庁の米森(伊原剛志)と保険会社の草薙(小野寺昭)が調査船で向かい、環礁に上陸。古代文字が刻まれた石版と多量の勾玉を発見するのですが、環礁が動き出したために海に放り出されてしまう。米森は海中で環礁が生物であるのを見た。 同じ頃、九州の五島列島 姫神島で、「鳥だっ!」との無線を最後に全島民が消息を絶つ事件が発生。県警の大迫(螢雪次朗)から調査に同行を依頼された鳥類学者の長峰真弓(中山忍)は島の惨状を目の当たりにし、巨大な怪鳥を目撃する。島民を喰ったとみられる3頭の怪鳥は新たな餌を求めて次の島へ飛び立った。 人間を餌にする肉食の飛翔怪獣ギャオスと、ギャオスを倒すことを使命としたガメラが戦います。超古代文明が創りだしたギャオス。自分たちが創った物が手に負えなくなり文明が滅ぼされてしまった。彼らは次の文明をギャオスの脅威から守るためにガメラを守護神として残した。 そのギャオスが現代の日本に甦り、ガメラは人類と現代文明を守るために長い眠りから目覚め、いま日本に向かっている。 政府と環境庁(環境省)はギャオスを希少動物として捕獲し保護しようとする。 鳥類学者のヒロイン長峰真弓は「未知の生物」だからそれは危険だと忠告するのですが、聞く耳持たぬとガメラを敵視して攻撃する自衛隊。 観客はどちらが敵かわかっているから見ていて「攻撃する相手をまちがっているぞ!」とハラハラ。 やがてギャオスがさらに巨大化し人間を次々と襲い始める。環境庁の役人がその時になって「ガメラはどうしたんだ」と。ヒロインが「身勝手すぎます!」と怒る。そうだそうだ、もっと言ってやれ。 福岡ドームにギャオスを閉じ込めようという作戦。ガメラが出現したことで失敗するのですが、登場する自衛隊がいいですね。 福岡から東京に移って、ギャオス目がけて短SAM(81式短距離地対空誘導弾)を発射し、ギャオスがうまく逃げたので東京タワーに直撃、タワーが途中からポキッと折れてしまう。怪獣相手にあまり活躍とはいえないけれど、この借りは次作で返すということか、次の「ガメラ2レギオン襲来」(86)では感動的なくらいに大活躍することに。 自衛隊の責任者役の長谷川初範さんはエリート自衛官といった冷静な雰囲気があるし、現場指揮官役の渡辺裕之さんはちょっとしか出ないけれど自衛官らしい武骨さを感じます。 通信班では女性隊員がいて、このような女性自衛官が怪獣映画で見られるのは、東宝の「ゴジラ」シリーズでも平成になってからで、昭和の怪獣映画では見られませんでした。 戦車は陸上自衛隊の協力を得て実物の74式戦車が走行するシーンがある。航空自衛隊も登場し、F-15J(イーグル)とF-4EJ(ファントム)が見られます。F-4ファントムはベトナム戦争時代の古い機種ですが、近代化改修されて現在でも使われているとか。 ペンダントにした勾玉状のオリハルコンを媒体としてガメラと通信する少女 草薙浅黄を演じているのはスティーヴン・セガールさんの娘 藤谷文子さんです。 ガメラと一心同体になっていて、ガメラを見守り、ガメラが傷つくたびに自分も血を流す。父親の草薙(小野寺昭)が「もういい!なぜおまえが傷つかないとならないのか」と言うと、「ガメラは私たちのために戦っているのよ!」。このシーンはいいですね。 1995年の大映映画で、配給はなぜか東宝。東宝の「ゴジラVSスペースゴジラ」が16億5000万円の配収を上げたのに、なぜかこちらは5億円だったとか。怪獣映画のおもしろさ、できばえでもこの「ガメラ」が圧倒しているのに知名度の差なのでしょうか。
2015年05月23日
コメント(0)
キネマ旬報の1972年外国映画ベストテンです。第1位 「ラスト・ショー」 監督ピーター・ボグダノヴィッチ第2位 「フェリーニのローマ」 監督フェデリコ・フェリーニ第3位 「死刑台のメロディ」 監督ジュリアーノ・モンタルド第4位 「時計じかけのオレンジ」 監督スタンリー・キューブリック第5位 「わらの犬」 監督サム・ペキンパー第6位 「真夜中のパーティー」 監督ウィリアム・フリードキン第7位 「ジュニア・ボナー華麗なる挑戦」 監督サム・ペキンパー第8位 「ゴッドファーザー」 監督フランシス・フォード・コッポラ第9位 「キャバレー」 監督ボブ・フォッシー第10位 「フレンチ・コネクション」 監督ウィリアム・フリードキン いま思えば「ラスト・ショー」なんかが第1位とは信じられません。個人的な好みかもしれないけれども、私は「ラスト・ショー」は不潔に思えて、登場人物に感情移入もできないし、少しも良い映画だとは思わない。 第4位「時計じかけのオレンジ」と第5位「わらの犬」は「暴力」をテーマにした作品ですね。ともに話題作でもあり、劇場公開時に見たのですが(北国第一劇場だった?)、当時は暴力をリアルに直接的に描いた「わらの犬」よりも、なぜか「時計じかけのオレンジ」の方が気に入ったものです。 スーザン・ジョージさんはよくもあのような役をひきうけたものだと思う「わらの犬」にくらべると、「時計じかけのオレンジ」は、なんなのだろう?、暴力を描きながらもなぜか後味の悪さがないようです(近未来のSF調のためか?)。「時計じかけのオレンジ」(1971) A CLOCKWORK ORANGE監督 スタンリー・キューブリック製作 スタンリー・キューブリック 原作 アントニイ・バージェス(ハヤカワ文庫刊)脚本 スタンリー・キューブリック撮影 ジョン・オルコットプロダクションデザイン ジョン・バリー衣装デザイン ミレーナ・カノネロ音楽 ウォルター・カーロス出演 マルコム・マクダウェル、パトリック・マギー エイドリアン・コリ、オーブリー・スミス、マイケル・ベイツ スティーヴン・バーコフ イギリス映画 本編137分 総天然色 ビスタサイズ 近未来の不良グループ。アレックス(マルコム・マクダウェル)をリーダーにする4人組は、浮浪者を袋叩きにしたり、他の不良グループと乱闘したり、作家宅へ押し込んで奥さんを乱暴したりのやりたいほうだい。 しかし、やがて仲間(子分)の裏切りにあってアレックスは逮捕され、懲役14年の刑で投獄。 模範囚となったアレックスは、政府が主導する凶悪犯罪者の人格を改造する治療の第1号被験者に選ばれる。 アレックスは特殊な薬を注射した上で暴力シーンの衝撃的なフィルムを見せつづけられ、生理的に暴力に耐えられないよう洗脳される。 暴力や侮辱に無抵抗のおとなしい人畜無害な人間に変わった彼は釈放され、家に帰ると、彼が使っていた部屋には知らない男が養子として入りこんでいた。家を出るしかないアレックスが町をさまよっていると2人の警官に捕まり、その2人は、かつて彼を裏切った仲間たちだった。暴行をくわえられボコボコにされたアレックスは一軒の家にたどり着いた。それはアレックス一味に妻を乱暴された作家の家だった。 主人公の不良少年アレックスが凶悪人を善人に変える洗脳実験を受け、暴力や悪徳に接すると嘔吐をもよおす無抵抗人間にされて娑婆に戻される。そんな彼を待っていたのは、かつて自分が暴力で支配していた者たちからの報復だった。 スタンリー・キューブリック監督の代表作です。 不良少年アレックスの暴力はたしかに嫌悪感を覚えるものだけれど、人間の暴力性、暴力嗜好性は人間の本能なのではないか? 多少の差はあるだろうけれども「気に入らない奴をやっつけたい」という願望は誰もが持っているのではないか。映画は主人公の視点から描かれ、許せない凶悪な主人公なのになぜか感情移入してしまう、これは危険な映画ともいえるのかも。 善悪の行動判断はその個人にまかされるべきだと。時の権力者が、犯罪の原因となるような個人が持つ怒りの感情、暴力嗜好の性格を強制的に洗脳して消してしまうことが許されるのか?というのが一つのテーマですね。 かつて話題になり廃止された、精神病院で暴力的な患者の脳に処置をくわえて無害な人格に改造するロボトミー手術と同じなのではないか。
2015年04月15日
コメント(0)
「ロボコップ」(2014)ROBOCOP監督 ジョゼ・パヂーリャ製作 マーク・エイブラハム エリック・ニューマン脚本 ジョシュア・ゼトゥマーオリジナル脚本 エドワード・ニューマイヤー マイケル・マイナー撮影 ルラ・カルヴァーリョ音楽 ペドロ・ブロンフマン出演 ジョエル・キナマン、ゲイリー・オールドマン マイケル・キートン、アビー・コーニッシュ、ジャッキー・アール・ヘイリー サミュエル・L・ジャクソン 本編117分 総天然色 シネマスコープサイズ 映画「ロボコップ」(1987)は1988年2月に日本公開されて大ヒット。続編として「ロボコップ2」(90)「ロボコップ3」(92)が作られました。 2014年3月公開の本作は続編でもリメイクでもなく、もう一度新しく最初から出発というリブート(再起動)作品といえるようです。 ポール・ヴァーホーヴェン監督の「ロボコップ」(87)が傑作だっただけに、どうしても比較してしまって、見る前からどうせオリジナル版にはかなわないだろうと先入観を持ってしまう。なので、あまり期待せずに見たせいか意外におもしろく見ることができました。「ロボコップ」(87)は傑作、「ロボコップ2」(90)は大嫌い、「ロボコップ3」は案外イケる、この最新版「ロボコップ」は「ロボコップ」(87)には劣るけれども「健闘している」といった位置付けになります。 2028年。巨大企業オムニ社がロボット開発で世界最先端の技術を誇っている。 同社のロボットが世界各地で軍事利用される中、アメリカではロボット配備規制法が可決されようとしており、アメリカ国内での販路拡大を目指すオムニ社は、議員の買収やテレビ番組を利用して世論を誘導し、規制法の廃案を画策する。 デトロイト市警のアレックス・マーフィ(ジョエル・キナマン)には愛する妻と息子がいて、彼は追求中の組織によって車に爆弾を仕掛けられ瀕死の重傷を負う。 オムニ社のノートン(ゲイリー・オールドマン)博士による最先端ロボット技術を駆使した手術が施されて一命を取り留めたマーフィはサイボーグ警官「ロボコップ」として復活します。 オムニ社の社長セラーズ(マイケル・キートン)はこのロボコップを広告塔として利用すべく、マーフィを現場に復帰させる。ロボコップとなったマーフィは、その驚異的な捜査能力で街の治安維持に貢献していくのだが。 1987年のオリジナル版との大きな違いは「家族の絆」が描かれることです。 オリジナル版ではマーフィーは死んだことにされ、妻と子に捨てられてしまうのですが、今作は彼の妻子が重要な役になっている。夫の身体が機械になってしまっても愛せるのか。ロボットの身体になった父を息子は愛することができるのか。 マーフィの奥さんクララ(アビー・コーニッシュ)の役は前作にはなかったもので、夫婦愛、家族愛が描かれるのは現代の娯楽映画としては正統派なのでしょう。このほうが救いがあっていいですね。 奥さんが重要な役で出てくるためか、相棒のアン・ルイス巡査(ナンシー・アレン)の役が男性に変更されている。前作ではロボコップになった相棒を健気に支援する女性警官がいて私のお気に入りでもあったのですが、女性が2人になるとバランス的におかしなものになると思われ、相棒の性別変更は仕方のないところでしょう。 最大のテーマは、ロボット兵士やロボット警官を採用することの可否ですね。 ベトナムやイラクやアフガニスタンで多くのアメリカの若い兵士が死に、犯罪多発都市では多くの警官が殉職している。それらをロボットに置き換えることで人間の生命を失わずにすむだろうというのは当然の論理ですが、感情のないロボットを兵士や警官にして、かれら機械に人間の生命財産の安全をゆだねるのはいかがなものか?と。
2015年03月19日
コメント(0)
「ロストワールド ジュラシック・パーク」(1997) インジェン社の社長がハンターたちを雇って、ヘリコプターで大がかりな装備を持ってソルナ島へのり込みます。 ハンターたちがジープに分乗して恐竜たちを追い回して網や麻酔銃を使って捕獲するシーン。 これはどこかで見たようなと思ったら、ハワード・ホークス監督の「ハタリ!」(1962)でジョン・ウェインたちがトラックとジープでアフリカの野生動物を追いかけて捕獲するシーンですね。 スティーブン・スピルバーグ監督が「ハタリ!」を見ていないはずがないだろうし、ハワード・ホークス監督を尊敬していてもおかしくないでしょう。きっとホークス監督へのオマージュ的シーンなのでは? 野生動物を保護する人とハンターのように猛獣狩りの獲物として見る人との対立は、野生動物を恐竜に置き換えても成立すると思われ、この「ロストワールド ジュラシックパーク」のテーマもそういう所にあるのでは。 だからといって、捕獲されて檻に入れられた恐竜たちを主人公たちが錠を壊して逃がすのはいかがなものかと。逃がすだけならそれですんだのですが、逃げ出した恐竜がキャンプ内で暴れ回ってハンターたちを踏みつぶしたり車を破壊し大混乱におとしいれて死者が出ることになる。その結果インジェン社のハンターたちは車も機材も通信機も失うことになって、このあとの惨劇へとつながってゆく。 数学者マルカム博士(ジェフ・ゴールドブラム)とその恋人の動物学者サラ(ジュリアン・ムーア)、いっしょに島に着た2人の仲間。マルカム博士と古いつきあいがあるらしいエディ(リチャード・シフ)が崖に宙づりになったマルカムとサラを救おうと一人で奮闘するけれどティラノサウルスの夫婦に二つに食いちぎられてパクリと食われてしまう。 彼が死んだのは、サラたちが脚を骨折したティラノサウルスの仔をトレーラーに連れてきたことで親ティラノサウルスを怒らせたから。動物保護というより自己満足にすぎない身勝手で無責任な行動で仲間を死なせてしまう。その無責任行動を本人たちはまったく自覚せず反省の色もない。 このサラという女性、野生動物の行動にくわしいといいながらも、仔を連れてきたら親が取り戻そうと追ってくると考えなかったり、仔恐竜の血が付着した上着をずっと着ていて「湿気があるので乾かないの」とか呑気なことを言う。その血のニオイが親ティラノサウルスを引きつけていると気づかない馬鹿さかげん、ほんとうにアナタは動物学者なんですか?と言いたくなります。 この映画がおもしろくないのは、主人公たちが無責任でバカな奴に思えてしまって感情移入できないからです。 インジェン社の社長たちはティラノサウルスの雄親とその仔を捕獲し、貨物船でアメリカ本土のサンディエゴへ連れてくる。サンディエゴには「ジュラシック・パーク」が建設されている。 その貨物船が港に近づいてくるのだけれど速度を落とさない。貨物船でなにかが起こっている。何があったのか?桟橋に激突して停まった貨物船に乗り込んだ人たちが見た物は食いちぎられた乗組員の死体の残骸(画面には映らないけれど)。 乗組員を食って無人にしたのは船倉にいるティラノサウルスの仕業ではないですね。おそらくヴェロキラプトルが船内に侵入していたのだろうけれど、映画にはその説明がありません。それがあれば「エイリアン」のような恐ろしい場面になっただろうに。 クライマックスは大都会のサンディエゴでティラノサウルスが暴れて、車やバスが衝突したり大破して、逃げ惑う人々で街はパニックにおちいる。 大都会に連れてこられた怪獣が暴れるというのは「キング・コング」(1933)ですね。夜の大都会で恐竜が暴れるのはスピルバーグ監督が撮りたいと希望したそうです。
2015年03月13日
コメント(0)
1997年外国映画興行成績です。 金額は配給収入。1位「インデペンデンス・デイ」 66億5000万円2位「ロスト・ワールド ジュラシック・パーク」 58億円3位「スピード2」 20億円4位「フィフス・エレメント」 16億円5位「スリーパーズ」 14億5000万円6位「身代金」 13億円7位「デビル」 13億円 8位「デイライト」 12億9000万円9位「101」 11億円10位「スター・ウォーズ特別篇」 10億円 1993年7月に公開(金沢グランド劇場)されて大ヒットした「ジュラシック・パーク」(93)の続編(97年7月公開)です。 マイクル・クライトンの原作小説はハヤカワ文庫から出ていて、こちらもベストセラー。その映画化ですが、前作ほどの面白さはありません。「ロスト・ワールド ジュラシック・パーク」(1997) THE LOST WORLD: JURASSIC PARK監督 スティーヴン・スピルバーグ製作 コリン・ウィルソン ジェラルド・R・モーレン製作総指揮 キャスリーン・ケネディ原作 マイクル・クライトン(早川書房刊)脚本 デヴィッド・コープ撮影 ヤヌス・カミンスキー特撮 インダストリアル・ライト&マジック特殊効果 スタン・ウィンストン音楽 ジョン・ウィリアムズ出演 ジェフ・ゴールドブラム、リチャード・アッテンボロー ジュリアン・ムーア、 ピート・ポスルスウェイト、ヴィンス・ヴォーン アーリス・ハワード、アーリス・ハワード 本編129分、総天然色 ビスタサイズ コスタリカ沖合いの孤島イスラ・ソルナ。そこにはイスラ・ヌプラル島での「ジュラシック・パーク・リゾート計画」に必要な恐竜をクローン生産させるための「サイトB」と呼ばれる研究拠点があり、前作での事件後パークは閉鎖されたが、無人のソルナ島では野放しになった恐竜たちが滅ぶことなく繁殖を続けていた。「ジュラシック・パーク」建設をおこなったインジェン社のハモンド(リチャード・アッテンボロー)は社長の座を退き会長となっている。彼は恐竜たちの野生のままの生態を研究することで過去の償いと名誉回復をめざし、前作での生存者である数学者マルカム博士(ジェフ・ゴールドブラム)に調査隊に加わってほしいと依頼する。一度は断ったマルコムだが、恋人の動物学者サラ(ジュリアン・ムーア)がすでに危険なソルナ島へ出発したと聞かされ、彼女を連れ戻すために調査隊と共にソルナ島へ向かうことになる。 インジェン社の新社長ルドロー(アーリス・ハワード)は会社の経営を立て直すためにソルナ島の恐竜を生け捕ってきてアメリカ本土にジュラシック・パーク建設を計画。腕利きのハンターたちを雇って大量の最新機材とともにソルナ島へ送り込む。 「ロストワールド ジュラシック・パーク」(97)予告編です。 第1作では古生物学者を演じたサム・ニール(アラン・グラント博士)とローラ・ダーン(エリー・サトラー博士)がとても良く、姉弟2人の子役も好演していました。 それが続編の今作では脇役の数学者マルカム博士は別として、その周囲の人々、登場人物たちにまるで魅力が感じられない。マルカム博士の恋人の動物行動学者サラでさえ他人の迷惑をかえりみない自分勝手な人間として描かれている。マルカム博士が養女としている黒人の女の子でさえもが自分勝手な嫌な子供で可愛げが無く、見ていてイラッとしてしまう。 原作とはずいぶんちがった映画化になっていて、キャスティングが悪いのか脚本がだめなのか、前作が傑作だっただけに、格段に内容が落ちる作品になっています。これではスピルバーグ監督である必要がないのでは。 特撮でリアルに動き回り走り回り飛び回る恐竜たちは、これだけはお見事。どうやって撮ったのか不思議なくらいです。 第2作である「ロストワールド ジュラシック・パーク」ですが、これに比べると評判よくない第3作「ジュラシック・パークIII」(2001)の方が、私はずっと面白いと思うし、好きですね。
2015年03月12日
コメント(0)
「AVP2 エイリアンズVS.プレデター」(2007) ALIENS VS. PREDATOR: REQUIEM監督 コリン・ストラウス グレッグ・ストラウス製作 ジョン・デイヴィス、デヴィッド・ガイラー ウォルター・ヒル 脚本 シェーン・サレルノ撮影 ダニエル・C・パール音楽 ブライアン・タイラー出演 スティーヴン・パスカル、レイコ・エイルスワース、ジョン・オーティス ジョニー・ルイス、アリエル・ゲイト 本編94分 総天然色 シネマスコープサイズ「エイリアンVS.プレデター」(2004)の続編で、日本公開は2007年12月28日。 南極での事件後、帰還する宇宙船内でプレデターの遺体の胸を突き破ってチェストバスター(エイリアンの幼体)が現れ、プレデターのDNAを取り入れたプレデリアンに成長し次々と宇宙船内のプレデターたちを襲ってゆく。 コントロール不能となった宇宙船はアメリカ片田舎の森に墜落。 船内に研究用として保存してあったフェイスハガー(卵から産まれた状態の幼虫?。カニに長い尻尾があるような形)が容器が破損して逃げ出し、森で狩りをしていて墜落を目撃した親子に寄生します。彼らの胸を破って現れたチェストバスターが町の住民たちを襲って増殖してゆく。 事態を悟ったプレデターの本星からエイリアン駆除と痕跡を消して後始末するためにプレデター(なぜか1人だけ)が地球へとやって来て、彼が人間を巻き込んだエイリアン駆除を開始します。 町の住民たちが次々と謎の惨殺死体となってゆき、保安官を中心に、ムショ帰りの男とその弟、イラク帰りの女性兵士とその幼い娘。それに不良少年たち(こちらはすぐに殺されてしまう)、彼らがパニックに陥った町中でエイリアンと戦かったり逃げたり。保安官の連絡で州軍が出動するがエイリアンに襲われて全滅してしまう。はたして生き残れるのは誰か?・・・・。 前作に比べると低予算映画になってしまったようで、それなりに退屈はしないけれども500円の未公開映画DVDを見ているかのようで、昔だったら、話題作と2本立て上映されるB級作品のような感じです。 前作の製作費が6000万ドル、今作は4000万ドル(そんなに掛かっているように見えない)。 ほとんどの人が「画面が暗くて何をやってるのか見えない」と言っていますね。 無数のエイリアンと1人のプレデターが戦うのですが、何をやってるのかよく見えないと。 私が見たのはブルーレイソフトなのに、それでも暗くてよく見えない感じがするのは確か。これがDVDだとどうなのか、もっと見づらいのでしょうか?。 この画面の暗さは監督の意図したものでしょう。真っ暗闇で何物かに襲われて、それが正体不明の恐ろしい怪物か何かで、そういう恐怖感を出そうとしたのだろうが、暗いにも限度があると思けどな。 エイリアンとプレデターがどちらも似た格好になってしまって、どちらも黒いし、夜で雨が降ってるし、どっちがどっちなのかわからない。これでは対決もなにも見ていてわからんぞ。 前作の「エイリアンVS.プレデター」は「プレデター3」といった感じだったけれど、今作は真っ暗闇の街中で怪物に襲われるB級ホラー・パニック映画といった感じです。
2015年02月24日
コメント(0)
「安物買いの銭失い」といいますが、「買わないと損だ」という場合もありますね。 先日、近くの家電量販店で映画のブルーレイソフトやDVDソフト、プレステなどゲームソフトのワゴンセール(1枚500円、お一人様5枚まで)をやっていたと書きましたが、その時に買った「エイリアンVS.プレデター」と続編の「AVP2エイリアンズVS.プレデター」が2枚パックになったブルーレイソフト(写真)。 高画質・高音質(サラウンド音声が前後左右から響く)のブルーレイソフトが1枚250円になるわけで、これは「買わないと損」の良い例かもしれない。(古本の100円コーナーで司馬さんの「新選組血風録」を買った例も)「エイリアンVS.プレデター」(2004) 2004年、軌道衛星が南極大陸の地下に熱源を探知する。巨大企業ウェイランド社 社長のチャールズ・ビショップ・ウェイランド(ランス・ヘンリクセン)は、民間の学者や掘削技術者を召集し、砕氷船で南極に出発。かつて捕鯨基地だった廃墟(100年前に全員が謎の失踪をとげた)の地下600メートルにその熱源があることが判明する。 掘削するまでもなく、すでに何者かの人知を超える超技術によってその地点までトンネルが掘られていた(ご都合主義だけど、時間短縮になる)。その地下で彼らは古代のピラミッドを発見する。 調査をすすめるにつれて、そのピラミッド構造物は宇宙の狩人(プレデター)が100年周期で訪れて「狩り」をする場所だったことがわかる。 地球に文明が起こる以前、プレデターたちが地球に飛来して人類に文明を与えた。彼らは地球に「エイリアン」を持ち込んで繁殖させ、それを獲物として狩りをする。 調査隊が迷い込んだピラミッドは、100年に一度地球に来るプレデターがエイリアン・クィーンに卵を産ませ、人間を生け贄にして育てたエイリアンたちと若いプレデターたちを戦わせる「成人の儀式」を行なう場所だった。 「エイリアンVSプレデター」予告編はこちらです。 若いプレデターたちをエイリアンと戦わせて生き残った者が晴れて大人の仲間入りできるという成人の儀式。その場所に人間がおびき寄せられて迷い込んでしまうという話です。 エイリアンやプレデターと遭遇した調査隊のメンバーが次々と死んでゆく。 環境工学者であり冒険家でもあるヒロイン(サナ・レイサン)が最後まで生き残り、これも一人残ったプレデターと「敵の敵は味方」ということで協力してエイリアン・クイーンと戦うことになります。 人気悪役スターである「エイリアン」と「プレデター」をどうやって戦わせるのか?それが最も重要な、見る者が納得するような理由づけが必要なのですが、なるほど、「狩りの場」にしたかと。 両者を対決させるだけでなく、そこへ人間をどのように関わらせるか、です。「狩りの場、成人の儀式の場」に人間を迷い込ませる。簡単なようで、こういう発想はちょっと思いつかないのではないでしょうか。「プレデターが弱すぎる」という人がいるようですが、弱いのはあたりまえです。まだ狩りの経験の浅い未成年のプレデターだから。
2015年02月23日
コメント(0)
「エイリアンVS. プレデター」(2004) ALIEN VS. PREDATOR監督 ポール・W・S・アンダーソン製作 ジョン・デイヴィス、ウォルター・ヒル ゴードン・キャロル、デヴィッド・ガイラー ティエリー・ポトク 原案 ポール・W・S・アンダーソン ダン・オバノン、ロナルド・シャセット脚本 ポール・W・S・アンダーソン撮影 デヴィッド・ジョンソン、キース・パートリッジ音楽 ハラルド・クローサーVFXスーパーバイザー ジョン・ブルーノ出演 サナ・レイサン、ラウル・ボヴァ ランス・ヘンリクセン、ユエン・ブレムナー、コリン・サーモン アガト・ドゥ・ラ・ブライユ、トミー・フラナガン 本編101分 総天然色 シネマスコープサイズ「夢の競演」といえば大げさかもしれないですが、20世紀フォックスの大ヒット映画の、今では知らない人はいないだろう「エイリアン」と「プレデター」を対決させ、その現場に人間が巻き込まれてしまう話です。「エイリアン」(79) 1979年7月公開「エイリアン2」(86) 1986年8月公開「エイリアン3」(92) 1992年8月公開「エイリアン4」(97) 1998年4月公開「プレデター」(87) 1987年6月公開「プレデター2」(90) 1991年1月公開 「エイリアンVS.プレデター」(04) 2004年12月公開「AVP2 エイリアンズVS.プレデター」(07) 2007年12月公開「プレデターズ」(10) 2010年7月公開 1979年に「エイリアン」第1作(監督リドリー・スコット)が公開されて大ヒットしたのは映画史に記録されてもいい出来事かと思うのですが、続編の「2」(監督ジェームズ・キャメロン)が1986年に公開され、エイリアンの造型とイメージは決定的なものになりました。「プレデター」第1作が登場したのは「エイリアン2」の翌年1987年で、こちらは「エイリアン」ほどの知名度はないかも知れないけど、アーノルド・シュワルツェネッガーさんの代表作です。 共にそれ以降、続編が作られて、恐るべき繁殖力と酸性の血液が特徴のエイリアン(おぞましい姿形)と高度な科学力と運動能力、知性を備えた宇宙の狩人プレデター(捕食者の意味)は多くのファンを持つSFアクション映画のスター的悪役キャラクターになっています。 その両者が対決するという「夢の競演プロジェクト」が実現されたわけで、ファンにとっては歓迎すべきかどうかわからないけれども、興味津々という点では間違いないところかと。 明日につづきます。
2015年02月22日
コメント(0)
「キングコング」(1976) KING KONG監督 ジョン・ギラーミン製作 ディノ・デ・ラウレンティス脚本 ロレンツォ・センプル・Jr撮影 リチャード・クライン特撮 リック・ベイカー特殊効果 カルロ・ランバルディ音楽 ジョン・バリー出演 ジェフ・ブリッジス、ジェシカ・ラング、チャールズ・グローディン ジャック・オハローラン、エド・ローター 本編134分 総天然色 シネマスコープサイズ 1976年版「キングコング」。監督は「レマゲン鉄橋」(69)や「タワーリング・インフェルノ」(74)のジョン・ギラーミンです。音楽は「007」のジョン・バリー。 日本公開は1976年12月16日で、お正月映画。私が「金沢プラザ劇場」で見たのも、この年末でした。 1933年版はまだ見たことがなかったので、私が見た初めての「キング・コング」映画です。 初めてだったせいかもしれないけれども、このリメイク版キング・コングは思い出深いものもあって、今でも時々見返している好きな作品になっている。 映画撮影に行くのではなくて石油採掘調査に行った未開の島で原住民とキングコングに遭遇し、見世物にする目的でコングを巨大タンカーの油槽に閉じ込めてニューヨークへ移送します。 美女とコング。ニューヨークへ連れてこられたコングが暴れ出して、という基本設定は同じですが、コングが登るのがエンパイア・ステート・ビルではなくて世界貿易センター(ワールドトレードセンター、ツインタワー)になっている。 ツインタワーに登ったコングが軍用ヘリのガトリング機関砲に撃たれて、ついに力尽きて地上に転落死する。このリメイク版は1933年のオリジナル版になかったコングと美女ドワン(ジェシカ・ラング)との心の交流が描かれていて、コングが機関砲でメッタ撃ちされて血しぶきを上げるシーンは、人間の身勝手さに腹が立ち、コングが可哀相すぎて涙なくしては見られないものになっています。 ヒロインのドワンはコングがただの暴れ者ではないことを知っています。 ヘリの攻撃を受けようとするコングがドワンを巻き添えにしないために離すと、ドワンは「私をつかんでいないと撃たれるわ!」と言う。ヒロインはコングをかばおうとし、コングはドワンをかばう。 1933年版のヒロイン アン・ダロウ(フェイ・レイ)は野獣コングを恐れて、ただ悲鳴をあげるばかりで最後までコングを嫌っていた。大きな相違点であり、1933年と1976年という時代の差でもあるのかと。 コングがドワンの衣裳を剥いで胸を露わにするエッチなシーンがあるのですが、これは意外にも1933年版にもあったんですね。コングがアンの衣裳を一枚一枚皮を剥ぐようにして脱がせ、その匂いを嗅ぐのはやりすぎている(笑)。 右下の写真は1976年末に映画公開に合わせて刊行された角川文庫の「キング・コング」。220ページばかりの薄い文庫本です。 メリアン・C・クーパーとエドガー・ウォーレスの共同脚本をデロス・W・ラブレースがノヴェライズした、1932年末に発表された小説です。翻訳は各務三郎さん。 資料としても貴重なこのノヴェライゼイション(映画脚本を小説にしたもの)は、ずっと絶版になっていましたが、2005年にピ-ター・ジャクソン監督版が公開されたときに復刻されました(現在はふたたび絶版)。 名作のリメイクは難しいものですね。同じものを撮っていては意味がないし、だからといってオリジナル作品と違いすぎては不評をかってしまう。いちばん重要なのはオリジナル作品への思いの深さと敬意が感じられるか、でしょうか。
2014年09月02日
コメント(0)
「キング・コング」(1933) KING KONG製作・監督 メリアン・C・クーパー アーネスト・B・シュードサック製作総指揮 デヴィッド・O・セルズニック原案 メリアン・C・クーパー、エドガー・ウォーレス脚本 ジェームズ・アシュモア・クリールマン、ルース・ローズ 撮影 エドワード・リンデン、ヴァーノン・ウォーカー、J・O・テイラー特撮 ウィリス・H・オブライエン音楽 マックス・スタイナー出演 フェイ・レイ、ロバート・アームストロング、ブルース・キャボット 本編100分 モノクロ スタンダードサイズ 秘境映画の監督カール・デナムは、街でスカウトしたアン・ダロウという美しい女優をともない、スタッフとともにスマトラ島沖にあるという地図にも載らない南海の孤島を目指す。 その「髑髏島」には原住民が何物かを恐れて巨大な防壁を築いていた。 島に上陸したデナムの撮影隊は原住民からアンをコングの花嫁に差し出せと迫られ、拒否して船に引き上げるが、その夜アンは原住民に拉致され、コングへの生贄にされてしまう。さらわれたアンを救出するべく撮影隊と船員たちがコングを追跡するが、島の奥地のジャングルで彼らが見たものは太古の恐竜だった。 お馴染みのキングコングの、これがオリジナルで、映画史に残る古典的名作です。 1933年(昭和8年)の、スクリーン投影式の映画ができてから約38年、映画に音が入ったトーキー化からまだ6年でしかない時代の作品です。 そんな時代の大ヒット怪獣映画ですが、すでに怪獣映画としては「ロスト・ワールド」(25)が存在し、「魔人ドラキュラ」(31)や「フランケンシュタイン」(31)のような怪奇映画も作られているし、戦争映画の最高傑作「西部戦線異状なし」(30)など、この時代にすでに映画を代表するような完成作品ができてしまっていて、当時の観客は「キング・コング」の特撮にとくに驚いたわけではなかったのでしょう。 秘境での冒険と、美女を片手につかんでニューヨークのエンパイア・ステイト・ビルのてっぺんによじ登り、攻撃する複葉戦闘機(当時の最新兵器)を叩き落とすコングの勇姿が大不況で落ち込んだ人々を熱狂させ、鬱憤晴らしになったのだと思われます。大ヒットの背景には1930年代アメリカの大恐慌が存在する。 この映画のコングは「恐怖の象徴」です。 のちのリメイク版のようなコングの心を理解した美女アンとの暖かい交流はまだ描かれていない。そもそも「コングとアンの気持ちが通い合う」のは、この作品のテーマではなくて、のちにリメイクのさいに付け加えられたものです。 映画の中でも言われますが「美女と野獣」がテーマです。「世界に君臨できる者。だが、美女が現れて彼を手中にする。野獣は美女と出会ったためにダメになってしまう。彼は掟を忘れ去る」(「キング・コング」角川文庫 各務三郎 訳)「タフガイが美女に惚れてしまったために腑抜けに成り下がってしまう」 という物語です。 ジャングルの王者として君臨していたコングが、山のてっぺんにいれば安全だったのに、その野生の掟を忘れ、美女アンを追って下界に姿を現し、罠に落ちて捕らえられてしまう。 原住民から神と崇められるジャングルの王者も大都会ニューヨークに連れてこられたら、ただの「見世物」になってしまうのです。 コングが戦闘機に撃たれてエンパイア・ステート・ビルの頂上から転落。その死骸を前に巡査部長が「飛行機がコングをやっつけるとは思えなかった」と言うのに、デナムが「飛行機がコングを倒したのではない。美女が野獣を殺したんだ」と言い返します。 初めてこの映画を見たときに、デナムの台詞がいまいち理解できなかったのですが、つまりはコングはずっと以前に、美女アンのとりこになった時に死ぬ運命にあり、死んでいた、ということなんですね。
2014年09月01日
コメント(0)
1977年の外国映画興行成績です。 金額は配給収入。1位 「キングコング」 30億9000万円2位 「遠すぎた橋」 19億9000万3位 「カサンドラ・クロス」 15億3000万4位 「ロッキー」 12億1600万5位 「サスペリア」 10億9000万6位 「ザ・ディープ」 10億7位 「アドベンチャーファミリー」 8億9000万8位 「がんばれ!ベアーズ 特訓中」 7億9000万9位 「エアポート’77 バミューダからの脱出」 6億7400万10位 「ダーティハリー3」 6億600万円 古典映画「キング・コング」(1933)の前回のリメイクは1976年12月公開のジョン・ギラーミン監督版です。 日本での興行成績は配収30億9000万円。興収表記にすると50億余円くらいか? 2005年の新しいピーター・ジャクソン監督版は興収23億5000万円。前回リメイク版の約半分の売上げ成績でしかないことになります。 世界的に見て興業失敗作ではなかったようですが、巨額の製作費250億円をやっと回収できたくらい、とのこと。 特に日本での興業成績は大きく見込みをはずれたものだったようで、予想は50億円以上、できれば80億を目指していた、それが半分、三分の一でしかなかった意外な不入りという結果に。 現代の日本人はキング・コングに関心がなくなったのか?、と思うのですが、私自身は、この2005年ピーター・ジャクソン監督版は、面白く鑑賞できたし、近年の映画ではトップクラスの良作だと思います。 76年ジョン・ギラーミン版は舞台を現代に移して、登場人物たちのキャラクター設定もまったく別物になっていましたが、それを原点に戻したピーター・ジャクソン監督版の優れているのは1933年のオリジナル版を大切にする気持ちがうかがえるところです。 同じ1930年代を舞台にし、映画撮影のためにスマトラ沖にあるという、地図に載っていない霧に隠された孤島へと向かう主人公たち一行。 ヒロインのアン・ダロウは女優ではなくボードビリアンだが、失業からの空腹で屋台の店頭からリンゴを万引きしようとして映画監督カール・デナムの目にとまる、という、オリジナル版どおりの場面もちゃんとある。 大不況下のアメリカでは彼女のような美女でさえ仕事がなくて食うに困っていたという、この時代背景は重要な点です。 全体にオリジナル版に忠実に作られていて、異なるのはアンと恋に落ちるジャック・ドリスコルが、オリジナルでは一等航海士だが、この2005年版では舞台劇の脚本家になっている。 基本設定はオリジナルどおり、そしてピーター・ジャクソン監督版ではオリジナル版にはなかったコングとヒロイン アン・ダロウ(ナオミ・ワッツ)との間に心の通い合いが描かれること。これはオリジナル版ではなくて1976年のジョン・ギラーミン監督版からのものですね(33年版、76年版の両方からイイとこ取りか)。 アンはコングがただの暴れ者ではない、凶暴な野獣ではないことを知っている。恐竜との戦いで勝って雄叫びをあげるコングはケンカ番長みたいで微笑ましく、コングの優しい顔と、アンの笑顔。 ニューヨークの雪に覆われた公園の凍った池で滑って遊ぶコングとアンの姿は、見ていて顔がほころんでしまう。 しかし、この直後、ひそかに包囲していた軍隊が攻撃を始めて、クライマックスのエンパイア・ステート・ビルへと話は一気に進む。 ラストはオリジナル通りにエンパイア・ステート・ビルディングに登ったコングを複葉戦闘機の編隊が銃撃する。機関銃に撃たれて傷ついていくコングは、それでも必死にアンを守ろうとする。そして、ついに力尽きて・・・・。 ピーター・ジャクソン監督の子供の頃からの夢、「キング・コング」を自分で作りたいという夢が実現したわけで、あれもこれも取り入れたいという気持ちからか、本編188分もの長尺になってしまった、それが欠点といえばいえるのかと。 これだけ自然な感じで表情豊かに、なめらかに動くキング・コングを作り得たのは現代の特殊撮影技術ならではです。 なによりもケンカ番長みたいなコングが好演。コングが惚れた美女アン・ダロウを演じたナオミ・ワッツさんがとてもいい。 しかし、やはり188分は長いです。
2014年08月31日
コメント(0)
2006年興行成績です。 金額は興行収入1位「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」 110億円2位「パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト」 100億2000万円 3位「ダ・ヴィンチ・コード」 68億6000万円4位「ナルニア国物語 第1章ライオンと魔女」68億6000万円5位「M:i:III」 51億5000万円6位「Mr.&Mrs. スミス」 46億5000万円7位「フライトプラン」 31億2000万円8位「チキン・リトル」 26億8000万円9位「ワールド・トレード・センター」 24億円10位「キング・コング」 23億5000万円 第10位の「キング・コング」(2005)はニュージーランド・アメリカ映画で、監督はピ-ター・ジャクソン。 日本公開は2005年12月17日。冒険SF大作なのに子供向けではなかったせいか、興収は10位に甘んじた。自分的にはもっと上位の成績になってもいいはずと思うけれども、キングコング物語は現代の日本では受けないのでしょうか。「キング・コング」(2005)KING KONG監督 ピーター・ジャクソン製作 ジャン・ブレンキン、キャロリン・カニンガム、ピーター・ジャクソン、フラン・ウォルシュ原案 メリアン・C・クーパー、エドガー・ウォーレス脚本 ピーター・ジャクソン、フラン・ウォルシュ、フィリッパ・ボウエン撮影 アンドリュー・レスニー視覚効果監修 ジョー・レッテリ特殊メイク リチャード・テイラー音楽 ジェームズ・ニュートン・ハワード出演 ナオミ・ワッツ、エイドリアン・ブロディ、ジャック・ブラック、トーマス・クレッチマン 本編188分 総天然色 シネマスコープサイズ オリジナル版「キング・コング」は1933年のアメリカ映画。 双葉十三郎さんが「世界文化遺産といってもいいほどだ」と「外国映画ぼくの500本」(文春新書)で書いていますが、若い人ならともかく年配の映画ファンで知らない者はいないだろう「キングコング」。 80年も昔の古い映画なので見ることができないというのは現代では言い訳にならない。わずか200円ばかりで簡単にDVDが買える時代です。 そんな一般常識として知っているべき古典的名作「キングコング」をニュージーランドのピーター・ジャクソン監督がリメイクしました。 ピーター・ジャクソンさんは9歳の時にこの映画をテレビで見たことが映画監督をめざすきっかけになったとか。 1998年夏、ユニヴァーサルに持ち込んだ脚本でリメイク化が決定し準備が進行していたとき、ディズニーが「猿人ジョー・ヤング」のリメイクである「マイティ・ジョー」を、ソニーが「GODZILLA」を発表し、3本の怪獣映画が同じ時期に公開されるのは多すぎるとして製作がキャンセルなった因縁もあります。 舞台は1930年代、大不況真っ只中のアメリカ。野心家の映画製作者デナム(ジャック・ブラック)は、地図にも海図にもない未知なる島の伝説を聞き、そこで世間を驚かせるような映画を撮って起死回生をはかるべく、主演女優アン・ダロウ(ナオミ・ワッツ)や脚本家ドリスコル(エイドリアン・ブロディ)を連れて航海に出る。 やがてその孤島「スカル・アイランド(髑髏島)」に到着し、上陸した撮影隊がそこで見たのは想像を絶する世界だった。 凶暴な原住民との遭遇。ヒロインがさらわれ、原住民が恐れる巨神コングの生け贄にされる。撮影隊と船の乗組員らによる島の奥地での追跡救出劇と、物語は展開してゆく。 つづきます。
2014年08月30日
コメント(0)
2007年の外国映画興行成績です。 金額は興行収入1位 「パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド」 109億円2位 「ハリーポッターと不死鳥の騎士団」 94億円3位 「スパイダーマン3」 71億2000万円4位 「硫黄島からの手紙」 51億円5位 「トランスフォーマー」 40億1000万円6位 「ダイ・ハード4.0」 39億1000万円7位 「レミーのおいしいレストラン」 39億円8位 「ナイトミュージアム」 35億7000万円9位 「オーシャンズ13」 32億円10位 「バイオハザード III 」 28億5000万円 この10本の映画の中では、最も自分好みなのは第5位の「トランスフォーマー」です。 最も嫌いなのは第4位の「硫黄島からの手紙」で、映画を見てこれほど不愉快になったことはなく、2度と見ることはないだろうと思う。 そんなわけで、公開時に見て以来、DVD、ブルーレイ、これからも何度も見るだろう「トランスフォーマー」です。「トランスフォーマー」 TRANSFORMERS 製作 ドン・マーフィ、トム・デサント、ロレンツォ・ディボナヴェンチュラ、イアン・ブライス製作総指揮 スティーヴン・スピルバーグ、マイケル・ベイ、ブライアン・ゴールドナー マーク・ヴァーラディアン監督 マイケル・ベイ原案 アレックス・カーツマン、ロベルト・オーチー、ジョン・ロジャース脚本 アレックス・カーツマン、ロベルト・オーチー撮影 ミッチェル・アムンドセン特殊視覚効果 ILM 音楽 スティーヴ・ジャブロンスキー出演 シャイア・ラブーフ、ミーガン・フォックス、ジョシュ・デュアメル、ジョン・ヴォイト ジョン・タートゥーロ、レイチェル・テイラー、タイリース・ギブソン 本編143分、総天然色、シネマスコープサイズ、字幕翻訳:松崎広幸、吹替翻訳:岸田恵子 正義のトランスフォーマー軍団(オートボット)と悪のトランスフォーマー軍団(ディセプティコン)が地球を舞台にして争う話。 母星を滅ぼしてしまった金属生命体(トランスフォーマー)たちの抗争が地球に持ち込まれて、主人公の高校生サム・ウィトウィッキー(シャイア・ラプーフ)とガールフレンド ミカエラ(ミーガン・フォックス)が巻き込まれる。 シリーズ化されて、現在は4作目の「トランスフォーマー ロストエイジ」(14)が公開中ですが、この1作目にはまだスティーブン・スピルバーグ作品の特徴のひとつである郊外住宅地に住む中産階級者の生活が描かれます。これは第2作以降になると薄れてしまいます。 基本は、普通のモテない高校生が困難に立ち向かうなかで成長してゆき、強い男子となって憧れの女の子と結ばれるという、青春サクセス物語。「スパイダーマン」や「キック・アス」など、高校生が主人公のヒーロー映画は、この基本だけ取り上げるとみな同じですね。 この「トランスフォーマー」の大きな特徴としては、アメリカ軍が主人公たちといっしょになって戦うことです。 冒頭で輸送機として優れもののオスプレイが登場し、A-10サンダーボルト攻撃機やAC-130ガンシップ、F22ラプター戦闘機が活躍する、こういうのを映画で見るのはめずらしいです。 アメリカ軍が撮影に協力しているようで、宣伝効果もあるのでしょう。
2014年08月11日
コメント(0)
「スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー」(2004) SKY CAPTAIN AND THE WORLD OF TOMORROW監督 ケリー・コンラン製作 ジョン・アヴネット、サディ・フロスト、ジュード・ロウ マーシャ・オグレズビー 製作総指揮 アウレリオ・デ・ラウレンティス ラファエラ・デ・ラウレンティス、ビル・ヘイバー脚本 ケリー・コンラン撮影 エリック・アドキンス美術 ケヴィン・コンラン 衣装 ステラ・マッカートニー音楽 エドワード・シェアマー出演 ジュード・ロウ、グウィネス・パルトロー、アンジェリーナ・ジョリー ジョヴァンニ・リビシ、マイケル・ガンボン、バイ・リン、ローレンス・オリヴィエ(復元) 本編107分 総天然色? ビスタサイズ 1939年のニューヨーク。摩天楼の空に巨大ロボットの大群が飛来して街を襲い始める。 科学者が連続で失踪する事件を追っていた女性記者ポリー(グウィネス・パルトロー)は無謀にもその模様を撮影しようとして、襲いかかるロボットから間一髪のところを、元恋人で陸軍航空隊の凄腕パイロット、スカイキャプテン(ジュード・ロウ)に救われる。 愛機カーチスP40を駆って敵に立ち向かうスカイキャプテンは、怪ロボットの群れが怪電波によって操られていることを突き止める。科学者失踪事件とロボット襲撃事件に関連を見出した彼はポリーと協力して怪電波の跡を追うことに。 予告編はこちらです。 予告編でもわかるように、俳優は実写で、それにCGアニメーションを合成した、マンガ的な映像世界です。 クラシックなマンガ世界を復活させたような画面作りは、懐かしさがあって面白いですね。 おそらく観客を選ぶ作品ではないかと。そのようなレトロ感が理解できないと、まったく退屈で見るに堪えない作品になるのではないでしょうか。 昭和35年~40年くらいの時代。「少年サンデー」や「少年マガジン」、「日の丸」「ぼくら」「冒険王」「少年」「少年ブック」などを愛読して育った世代の、いまでも子供時の心を失っていない男性だったら、きっと共感していただけるのでは? 主人公の愛機がアメリカ陸軍のカーチスP40戦闘機というのもセンスを感じさせるし、登場する怪ロボットや、きわめつけは空中空母!です。 この英軍の空中浮遊航空母艦のSF超科学兵器の、しかもクラシック感があふれるデザインは。 これはまさに私たちが子供の頃にマンガ雑誌のカラー口絵や特別図解でお目にかかったような超メカではないか。その指揮官が、マンガから飛び出してきたようなアンジェリーナ・ジョリーさん。 エンパイア・ステートビルのてっぺんに係留するヒンデンブルグ飛行船、怪ロボットの大群、怪電波、P40戦闘機に、秘密基地、空中空母、それにマンタ隊。 こういった空想力あふれるSF的メカの魅力がわかる人だったら、この映画はお薦めです。 巨大な空中浮遊航空母艦。雲の中に隠れていて、主人公たちが乗るP40の燃料切れを救うのですが、この超秘密兵器は硬式飛行船を巨大化したもので、けっして実現不可能なものではないですね。 巨大飛行船の上面に飛行甲板を設けて、そこに飛行機を発着艦させる。 じっさいに1920~30年代の複葉機時代に研究されたそうです。飛行甲板と格納庫、艦上施設と防御銃塔をそなえた本格的な航空母艦です。飛行機の発達により、その必要性がなくなったとか。
2014年07月31日
コメント(0)
昔、テレビで「ウルトラマン」などを見ていて、不思議に思ったこと。 ウルトラマンが怪獣を倒すのですが、倒した怪獣はそのあとどのように処理されるのか? ウルトラマンが宇宙空間まで運んで捨ててきてくれればいいのだけれど、でないと大変なことになる。 全長数十メートル、体重が何万トンもある巨大な怪獣の死骸。それが時間が経つと腐敗し、その屍臭はすさまじいものであるはずです。 たとえ木っ端微塵に吹き飛ばしたとしても、その肉片と体液が周囲何十キロもの範囲にばらまかれて、その回収作業はどうなるのか、想像もできないくらいです。 病原菌汚染や伝染病などの原因になるかもしれないし、そもそも巨大な死肉の処分はどうするのか? 近年はなくなったけれど、私が小さかった昭和30年代。鼠の死骸や、車にはねられた犬の死骸、そんなのが骨になるまで空き地に放り捨てられたままになっていたことがある。 その屍臭はたまったものではなかったですね。私の父や祖父の年齢だったら戦争での、人間の屍臭を経験した人が多いのでしょうが、私たち戦後世代ではせいぜいが動物の屍臭くらいです。さらに現代の若い人は屍臭などまったく知らないでしょう。 映画「パシフィック・リム」(2013)には、そんな倒した怪獣の処理が、ちょっと描かれていましたね。こういうのはかつてなかったことです。 香港の闇ルートを牛耳るハンニバル・チャウ(ロン・パールマン)なるおっかない人物がいる。政府からの予算を打ち切られた太平洋防衛軍に資金援助していて、その見返りに怪獣の死骸を独占している。そんな巨大な死骸を何にするのか、商売なんですねぇ。 怪獣の死骸を解体して、その肉や臓器、骨、寄生虫までを、再利用する。骨の粉末は漢方薬的に男性用の精力剤になるとか。へえっってなもんです。 そういえば、昔のヨーロッパではエジプトから持ち帰ったミイラ(人間干物)の粉末が不老長寿の薬になるとかで評判だったとか。そんな不衛生なもの、逆に身体に悪そうだが。 この香港暗黒街の顔役でもあるハンニバル・チャウ。演じるのはロン・パールマンさん(写真)です。 ロン・パールマン Ron Perlman 1950年4月13日生まれ。アメリカのニューヨーク市マンハッタン出身。 悪役が似合う大男です。「薔薇の名前」(86)、「エイリアン4」(97)など。 主役としては「ヘルボーイ」(2004)があって続編の「ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー」(08)も。「デビルクエスト」(2011)ではニコラス・ケイジの相棒役でした。「パシフィック・リム」はおもしろく鑑賞したのですが、ロボットと怪獣のデザインが記憶に残らないのが欠点。主人公が乗るジプシー・デンジャーがどんなスタイルだったか、どんな顔をしていたか。まったくおぼえていません。 その意味では、主役たちの顔も思い出せない。おぼえているのは好演の菊地凛子さんと、このロン・パールマンさんだけです。
2014年07月18日
コメント(0)
2013年の外国映画興行成績です。 金額は興行収入。1位「モンスターズ・ユニバーシティ」 89億6000万円2位「レ・ミゼラブル」 58億9000万3位「テッド」 42億3000万4位「シュガー・ラッシュ」 30億5位「アイアンマン3」 25億7000万6位「怪盗グルーのミニオン危機一発」 25億7位「ローン・レンジャー」 20億9000万8位「ダイ・ハード ラスト・デイ」 20億6000万9位「ワイルド・スピード EURO MISSION」 20億2000万10位「ワールド・ウォーZ」 19億3000万11位「ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日」 19億1000万12位「オズ はじまりの戦い」 17億8000万13位「ホビット 思いがけない冒険」 17億14位「パシフィック・リム」 15億5000万15位「オブリビオン」 13億1000万円 興行収入第14位の「パシフィック・リム」(2013)をブルーレイソフトで鑑賞しました。 昨年8月に日本公開されたロボット・怪獣映画。12月にDVD&ブルーレイソフトが発売され、先日7月9日に低価格化されて再発売。 劇場公開時に興味がなかったわけではないのですが、ヒロインの幼少期を、一時期毎日のようにテレビに出ていた日本の子役が演じていると聞いて、見る気が失せてしまい、でも怪獣映画好きなので、やはり興味には勝てず、低価格ソフトが発売されるのを待っての鑑賞です。「パシフィック・リム」 PACIFIC RIM製作 トーマス・タル、ジョン・ジャシュニ、ギレルモ・デル・トロ、メアリー・ペアレント監督 ギレルモ・デル・トロ原案 トラヴィス・ビーチャム脚本 トラヴィス・ビーチャム、ギレルモ・デル・トロ撮影 ギレルモ・ナヴァロ 音楽 ラミン・ジャヴァディ 出演 チャーリー・ハナム、イドリス・エルバ 、菊地凛子 チャーリー・デイ、ロブ・カジンスキー、マックス・マーティーニ ロン・パールマン、バーン・ゴーマン 2013年アメリカ映画 本編131分 総天然色 ビスタサイズ グアム島沖の海溝に空間のゆがみが生じたことで異世界からの通路ができ、そこから怪獣が現れて世界各国沿岸の大都市を襲う。軍隊が出動して何とか倒したものの、初めは数年に一度だったのが毎年のようになり、数ヶ月に一度、一ヶ月、一週間と、その怪獣出現の頻度が多くなってくる。 沿岸各国は怪獣対策として太平洋防衛軍 (PPDC) を設立。怪獣迎撃用の巨大ロボット「イェーガー」を開発し、怪獣に立ち向かいます。 イェーガーの登場によって人類は一時的に優位に立つのですが、政府は費用がかかりすぎるというのでイェーガーを廃して海岸に巨大防護壁を建設する方向へシフトする。怪獣相手にイェーガーで犠牲を出しながらも苦戦してきた太平洋防衛軍は予算を打ち切られてしまいます。 巨大防護壁を難なく突破する怪獣。怪獣の出現ペースは少しずつ早まっていき、再び人類に危機が迫るようになってゆく。 イェーガー「ジプシー・デンジャー」のパイロット、ローリー・ベケット(チャーリー・ハナム)は怪獣との戦いで兄を戦死させてしまう。彼は失意から太平洋防衛軍を辞め、防護壁建設現場で作業員として働いているところを、かつての隊長だったペントコスト司令官(イドリス・エルバ)の復帰要請を受けて、ふたたび「ジプシー・デンジャー」のパイロットとなります。 政府の資金援助を打ち切られた太平洋防衛軍はペントコスト司令官のもと、香港を基地に自分たちだけの力でレジスタンス的な戦闘活動を続けている。 残されたイェーガーは4機となり、アメリカの「ジプシー・デンジャー」、ロシアの「チェルノ・アルファ」、オーストラリアの「ストライカー・エウレカ」、中国の「クリムゾン・タイフーン」。 イェーガーの操縦は戦闘機の操縦システムとして開発されていた、パイロットの神経と機体を直結してシンクロさせる仕組みで、パイロットの動きがそのままイェーガーの動きに反映します。 開発当初は1名のパイロットだけの操縦だったが、負担が大きいとのことで、パイロットは2名となり右脳、左脳を分担し、それを同調させることになった。お互いの意識と記憶を共有させることが重要で、2名のパイロットは兄弟や親子、夫婦の関係が多い。 主人公ローリーはペアを組んでいた兄を戦いで失い、戦線復帰したあとは日本人女性の森マコ(菊地凛子)が相棒になってジプシー・デンジャーに搭乗することになります。 長くなるので、明日につづく。
2014年07月17日
コメント(0)
「ロボコップ3」(1992)ROBOCOP 3監督 フレッド・デッカー脚本 フランク・ミラー、フレッド・デッカー撮影 ゲイリー・キッブ特殊効果 ロブ・ボッティン音楽 ベイジル・ポールドゥリス出演 ロバート・バーク、ナンシー・アレン、レミー・ライアン、 ジル・ヘネシー、ブルース・ロック、フェルトン・ペリー、マコ 本編105分 総天然色 ビスタサイズ SF近未来アクション映画「ロボコップ」の第3作です。「ロボコップ」(1987)「ロボコップ2」(90)、「ロボコップ3」(92)となるのですが、第2作は好きではないので、これまでに一度きりしか見ていないし、今後も見ないだろう。 ポール・ヴァーホーヴェン監督の第1作は傑作であり、特撮映画史に残るものです。本作の第3作はそのヴァイオレンス要素を取り去った、どちらかといえばテレビ映画のような毒気のないものになっている。 近未来のデトロイト。かつてロボコップを生み出したオムニ社は日本企業カネミツに吸収合併されている。カネミツ(マコ)はデトロイトに未来都市を建設しようと計画しており、オムニ社はその意向を受けて、都市再開発の名目で都市再建警備隊「リハッブ」を組織し、暴力で住民を強制退去させている。 一部の住民たちは武器を取って抵抗するが、オムニ社とリハッブ隊は彼らをテロリストとして排斥しようとする。オムニ社に実質支配されているデトロイト市警の警察官であるロボコップことマーフィ(ロバート・バーク)とルイス巡査(ナンシー・アレン)は住民たちの抵抗組織に加勢するが、ルイス巡査はリハップ隊の隊長に撃たれて殉職。ロボコップも大きな損傷を受けてしまう。 評価の低い作品です。確かに第1作に比べると格段に落ちるかもしれないが、私は気に入っていて、気軽に楽しんで見ました。ロボコップのマーフィがミーター・ウェラーでないのが残念だけれど違和感がないし、ルイス巡査のナンシー・アレンさんもわるくない。この人は撃たれて死んでばかりいるけれど。 ロボコップの整備や修理をするマリー・ラザレス博士を演じるジル・ヘネシーさんも魅力的だし、子役の天才パソコン少女ニコ役のレミー・ライアンも好演している。アメリカの子役ってなんでこんなに上手なんだろう?といつも感心させられます。 この映画が作られた1992年は日本でのバブルの最終期ですね。1988年から1991、92年頃までのバブル期。日本の潤沢な資産を持つ企業がアメリカの不動産や企業買収しました。ソニーがアメリカ映画会社のコロムビアを傘下におさめたのが代表的なことでしょうか。 日本企業がアメリカに進出して、その脅威にアメリカ国民たちはどう思ったか? ずいぶん反発があり腹立たしいことだったのではないか。 ラストで日本大企業家のカネミツ氏(マコ・イワマツ)が現れて、ロボコップやラザレス博士たちに謝意を示してお辞儀をする。強制退去に抵抗した市民たちと権力に屈せず誇りを捨てなかった警察官たちの勝利。金で何でもできると思い上がった日本大企業とその走狗となったオムニ社に抵抗した市民たちの不屈の精神とプライドに対して敬意を表し、謝罪したということだろうか。「ダイ・ハード」の第1作(1988年)での日本企業ビルがテロリストに占拠される話から始まり、この「ロボコップ3」(92)の日本企業のデトロイト再開発計画の話まで。バブル期の作品です。
2014年07月03日
コメント(0)
「GODZILLA ゴジラ」(1998) GODZILLA監督 ローランド・エメリッヒ製作 ディーン・デヴリン製作総指揮 ローランド・エメリッヒ、ウテ・エメリッヒ脚本 ディーン・デヴリン、ローランド・エメリッヒ撮影 ユーリ・スタイガー音楽 デヴィッド・アーノルド出演 マシュー・ブロデリック、ジャン・レノ、ハンク・アザリア マリア・ピティロ、ケヴィン・ダン、マイケル・ラーナー、ヴィッキー・ルイス 本編138分 総天然色 シネマスコープサイズ 字幕翻訳:戸田奈津子 吹替翻訳:木原たけし 7月25日にアメリカ映画「GODZILLA」(2014)が新作公開されるそうで、ゴジラ好きというより怪獣映画好きな私としては、ちょっと興味あり、です。 アメリカ映画が製作した「ゴジラ」では、1998年7月に日本公開された「GODZILLA ゴジラ」があるのですが、これは評判がよろしくないですね。 私としては、東宝ゴジラにそれほど思い入れを強く持っているわけではないからか、この巷で評判悪いアメリカのゴジラ映画は、見所もあり、けっこう良くできていると思うし、楽しく見ることができました。 ただ、これが「ゴジラ映画」か?、となると首をかしげざるをえないし、「ふつうの怪獣映画として見れば、それなりに面白い」というならば、それは「ゴジラ」ではなくなってしまうのですが。 フランスが核実験をおこなった南太平洋海域で日本のマグロ漁船が正体不明の怪物に襲われる。さらにパナマの小さな村が襲われて放射能が検知される。大西洋でトロール漁船が海中に引きづり込まれる事件が起こって。 チェリノブイリの被爆地でミミズの研究をしていたニック・タトプロス博士(マシュー・ブロデリック)がよばれて怪獣対策に協力させられるのですが、怪獣は南太平洋からパナマ地峡を通って大西洋へ、そしてニューヨークに上陸します。 この出だしは快調で、ゴジラがニューヨークに出現するシーンがとてもいい。 長雨がつづく薄暗いニューヨーク。市長が選挙演説をぶっていると、ズシ~ンという地響きが。駐停車しているクルマが揺れて飛び上がり、盗難防止アラームがなる。 人々がなんだ、なんだと不審がっていると、大通りの向こうの方のビル壁面が崩れ出すあたり、この演出と画面作りは最高のできばえです。カメラの視点を低くして見上げるように撮っているのが効果的。 このあたりはまでは「面白いではないか」と思いながら見ていたのですが、ゴジラが卵を産んでいるとなって、その場所がマジソン・スクエア・ガーデンの地下。卵からかえった小さなゴジラどもが主人公たちを追いかけてくるあたりは、まるで「ジュラシック・パーク」になってしまった。 ゴジラに巨大怪獣といった強さが感じられず、怪獣というより生物として描いているので、大通りの真ん中に大量の魚をおいてゴジラが食べに来るのを待ちかまえたり、ニューヨークに現れたのは営巣のためだ、などとなって、この映画の製作者は何を描きたかったのか?、わからなくなってしまいます。 東宝ゴジラと同じものを作りたくないというのは当然なことですが、それにしても、です。 ニューヨークの市街地を軍隊に追われて逃げ回る俊敏なゴジラ。アパッチ攻撃ヘリの編隊が攻撃するが、ゴジラの動きが速すぎてことごとく回避される。そのために、街を破壊しているのは軍隊のほうではないか!と市長が怒ることに。 けっしてつまらない映画ではない。怪獣映画として見れば、ですが、それでは困るんですけどね。
2014年05月11日
コメント(0)
数年前にブックオフにて300円で買った映画DVD「タイムマシン」(2002)。 ずっとそのままになっていたのですが、思い立っての初鑑賞です。冒頭部分の主人公の恋人(シエンナ・ギロリーさん)が公園で暴漢に撃たれる所まではテレビの金曜ロードショーで見たことがあるけれど、最後まで見たのは初めて。「タイムマシン」(2002)THE TIME MACHINE監督 サイモン・ウェルズ、ゴア・ヴァービンスキー原作 H・G・ウエルズ脚本 ジョン・ローガン撮影 ドナルド・マカルパイン音楽 クラウス・バデルト出演 ガイ・ピアース、ジェレミー・アイアンズ、オーランド・ジョーンズ、シエンナ・ギロリー サマンサ・ムンバ、マーク・アディ、フィリーダ・ロウ 本編96分 総天然色 シネマスコープサイズ 字幕翻訳:佐藤恵子 吹替翻訳:藤澤睦美 英国の作家ハーバート・ジョージ・ウエルズの有名なSF小説「タイムマシン」の映画化です。 40年くらい前に創元SF文庫で読んだことがある、というより読もうとしたのですが、翻訳が固くて?最後まで読むことができませんでした。 1895年(明治28年)に発表された古典小説で、いまもういちど読書に再挑戦するなら小学校高学年向けくらいの本がいいのかもしれない。「タイムマシン」で時間旅行、「モロー博士の島」で改造人間を通して人間の本質を、「宇宙戦争」で火星からの侵略を描いたH・G・ウエルズです。「タイムマシン」は1960年に映画化(監督ジョージ・パル、ロッド・テイラー主演)されていて、今作の2002年版はリメイクというより、2度目の映画化とするべきでしょう。 1899年ニューヨーク。原作はロンドンですが、アメリカ映画なのでニューヨークを舞台にしている。 若き科学者アレクサンダー(ガイ・ピアース)は公園を恋人エマ(シエンナ・ギロリー)と歩いているところを強盗に襲われ、エマが殺されてしまいます。 この運命を何とか変えることができないか?と、アレクサンダーはタイムマシンで過去に戻ってエマを救おうとするが、何度戻っても、彼女は別の事故で死んでしまう。 千回過去をやり直しても千通りの死に方を見せられるだけだ。過去を変えることはできないのか? アレクサンダーはそのヒントを過去ではなく未来に求めようと、未来へと旅立ちます。 1899年から2030年へ。さらに2037年に。未来のニューヨークでは月面を爆破して開拓し、移住を計画していて、その失敗で月を破壊してしまう。月の破砕片が地球に落下する大惨事が起こって人類滅亡の危機に。 そしてアレクサンダーは80万年後の80万2701年へと。 80万年後のニューヨークで主人公が目にしたのは、「猿の惑星」を思わせる光景だった。 「タイムマシン」(2002)予告編はこちら。 このような映画は原作どおりではないという理由で批判されがちで、現にそのような理由で「駄作」だと決めつける人たちがいます。原作と同じものを求めるなら原作を読んでいればいいのであって、映画は原作と同じである必要はなく、原作と映画は別物と考えるべきです。 映画作品に対して軽々しく「駄作」だとか、なかには「クソ映画」という汚い言葉を使う人、そんな人は映画ファンの風上にも置けない。 故淀川長治先生が言っていましたが、「映画はけなすものでない。つまらないと思っても、どこか良いところをさがしなさい」と。それが映画鑑賞の基本です。 この「タイムマシン」は19世紀から20世紀になろうとする時代の、古いニューヨークの雪景色の街から始まって、後半は荒廃した世界へと一変する。 主人公が失った恋人を取り戻したい一心でタイムマシンを開発して時間を超えるのですが、その恋人を取り戻す願いを捨てて(過去を変える不可能を悟った?)、ラストは80万年後の未来に自分の意思で残るという話になっています。 傑作とはいえないにしても、普通のSF映画として面白く見ました。タイムマシンの周囲が回転してタイムトラベルをする特撮はかなり良い。 ジル・バレンタインのシエンナ・ギロリーさんも出ているし。
2014年04月24日
コメント(0)
映画「スターシップ・トゥルーパーズ3」(2008年。日本公開は同年7月)「スターシップ・トゥルーパーズ」(97)の正統な続編です。「2」(03)は続編とはいえず、番外編のようなもので、低予算のテレビ映画として作られ、ほとんどを屋内スタジオのセットで撮りましたといった感じがする小品でした。 この正統な続編(ジョニー・リコが出ている!)は製作費2000万ドルということで、「1」の5分の一だけれど、それなりに見栄えのする作品に仕上がっている。「スターシップ・トゥルーパーズ3」(2008) STARSHIP TROOPERS 3: MARAUDER監督 エド・ニューマイヤー 脚本 エド・ニューマイヤー 撮影 ロレンツォ・セナトーレ 衣装デザイン ダイアナ・シリアーズ 音楽 クラウス・バデルト、イーアン・ハニーマン、アンドリュー・レイハー 出演 キャスパー・ヴァン・ディーン、ジョリーン・ブラロック、ボリス・コジョー スティーヴン・ホーガン、アマンダ・ドノホー 本編105分 総天然色 ビスタサイズ 字幕翻訳:小寺陽子 吹替翻訳:田尾友美「1」の主人公だったジョニー・リコ(キャスパー・ヴァン・ディーン)が大佐になって惑星ロクサンの防衛隊を指揮しています。 人類のバグズとの戦いは泥沼化していて厭戦、反戦ムードが高まっている。政府は反戦思想家や平和主義者を逮捕して公開処刑をおこない、新兵募集を大々的におこなっている。 そんななかで、ジョニー・リコ大佐のいる最前線に連邦軍総司令官(スティーヴン・ホーガン)が副官ハウザー将軍とローラ艦長(ジョリーン・ブラロック)を伴って視察にやって来ます。 ハウザー将軍とローラ艦長はジョニー・リコ大佐の旧友で、再会を喜ぶ彼らだが、その間もバグズの執拗な猛攻がつづき、ついに防衛戦が破られてしまう。 惑星ロクサンはついに陥落し、連邦軍総司令官一行は無事に本艦に戻ることができるが、帰還の途中で被弾しバグズに撃沈(宇宙艦でもそう言うか?)され、総司令官とローラ艦長たちは一部の生存者とともに脱出艇で近くのバグズ支配の惑星に不時着することに。 ジョニー・リコ大佐は無事に地球に帰還できたが、惑星ロクサン敗北の責任をとわれて絞首刑を宣告される。 処刑の寸前、総司令官の副官ハウザー将軍に救われて、不時着した総司令官たちを救出に行くように命令されます。「救出にはどの連隊をつれていけばいいのですか」、「連隊はない。7名だ。君を含めて」「なんですと!死刑になっていたほうがましだ!!」 ここで原題の「MARAUDER」が登場します。「マローダー」とは「パワードスーツ」の機種名のこと。「パワードスーツ」とは映画の「アイアンマン」に出てくるような、それを着用することで兵士の肉体を強化し、スーパーソルジャー化するもの。 ジョニー・リコが率いる6名の選抜された男女兵士たちが、「マローダー」に乗り込んで総司令官(バグズに洗脳されスパイになっていたことが判明)とローラ艦長たちを救出しに向かう。「マローダー」は強化装甲され、腕には機関砲やガトリング砲、火炎放射器などを装備(7体それぞれ異なる装備らしい)、群がるバグズを殲滅して生存者救出に成功する。 この「マローダー」ですが、ロボットらしい動きで格好いいのですが、正確にはパワードスーツとはいえないようですね。パワードスーツはそれを人間が「着用」して人体と一体化し、手足として動くもの。 マローダーは内部に人間が入って操縦する(操縦桿で)ので、ロボットといったほうが合っているようです。 この「スターシップ・トゥルーパーズ」では連邦軍の兵士たちには男女区別がなくて、まったくの平等に描かれています。任務だけでなく、風呂に入るのも着替えも男女いっしょ。ジェンダーフリー賛同の人が見たら喜ぶ?
2014年04月18日
コメント(0)
「スターシップ・トゥルーパーズ2」(2003年アメリカ映画)の製作意図は、よくわからないですね。 前作の「スターシップ・トゥルーパーズ」(97)は1億ドル以上の製作費をかけた大作なのに、その続編の「2」はわずか700万ドル。そもそも前作がその製作費を回収できなかっただろうという成績(全米で5400万、全世界で1億2100万ドルの興収)だったのに、あえてその続編を作るとは。 この低予算映画は、アメリカでは劇場公開されず、テレビ映画として作られ、DVD発売されたとか(日本では2004年6月に劇場公開された)。「スターシップ・トゥルーパーズ2」(2003) STARSHIP TROOPERS 2: HERO OF THE FEDERATION監督 フィル・ティペット脚本 エド・ニューマイヤー撮影 クリスチャン・セバルト 音楽 ジョン・モーガン、ウィリアム・T・ストロンバーグ 出演 リチャード・バージ、 コリーン・ポーチ、ブレンダ・ストロング エド・ローター、エド・クイン、サンドリーヌ・ホルト本編92分 総天然色 ビスタサイズ 字幕翻訳:小寺陽子 吹替翻訳:田尾友美 開巻、どこかの惑星で地球連邦軍のシェパード将軍(エド・ローター)が指揮する一小隊がバグの群れに苦戦している。 このままではヤバイとなって、近くの前哨基地に立て籠もることに。 その見捨てられ、なかば廃墟と化した基地で電源を復旧させ、上官殺害の罪で焼却炉に閉じ込められていた大尉を解放する。 バグの大群が襲ってくるのを電磁バリアで撃退したものの、いつまで保つことやら。「あれから7年。奴らはさらに進化していた」というのが日本公開時の宣伝文句ですが、この作品では口から体内に入ってその人間を支配する寄生型バグが登場します。 基地に立て籠もった兵隊たちが次々に寄生されてゆく。バグの目的はシェパード将軍の体内に入って地球に帰還し、連邦軍上層部の人間に寄生して操ろうというもので、ただ襲ってくるだけのそれまでとはちがい、なかなか知的になっている。 焼却炉に監禁されていた大尉が指揮官として優秀で、彼の指導と、彼に信頼を寄せる微弱ながらもサイキック能力を持つ女性二等兵が活躍し、バグに寄生された兵士たちを倒してゆく。 最後は、基地の屋上に救出艇が飛来し、乗ろうとする将軍を大尉が撃ってバグの群れに突き落とし、女性二等兵のみを救出させる。大尉は「ここであった事実を報告しろ。俺はどうせ殺人犯だから」と言って踏みとどまって戦死します。 連邦軍はこの大尉を英雄として祭り上げて戦意高揚の宣伝に利用する。これが原題の「HERO OF THE FEDERATION」、「連邦の英雄」ですね。 なんで将軍(星ひとつなので准将か)が小隊を率いていたのか、という説明もなく、前半は戦争映画、後半はエイリアンが人間の体内に寄生するといったホラー映画です。 大作だった第1作につづけて本作を見ると、そのB級映画となった落差が目立ちます。 本作だけで見れば、ホラーとグログロ・血みどろ映画として、それなりに楽しめるかと。
2014年04月17日
コメント(0)
映画「スターシップ・トゥルーパーズ」(1997年アメリカ映画)。 もう16年も前になる1998年4月末、ちょうど今頃の季節ですが、「007トゥモロー・ネバー・ダイ」(97)を劇場に見に行った時に予告編をしていて、これは面白そうだと思いながらも、タイトルを忘れてしまい、そのままになっていた映画です。「スターシップ・トゥルーパーズ」(1977)STARSHIP TROOPERS 監督 ポール・ヴァーホーヴェン 原作 ロバート・A・ハインライン「宇宙の戦士」(ハヤカワ文庫) 脚本 エド・ニューマイヤー 撮影 ヨスト・ヴァカーノ 特撮監修 フィル・ティペット 出演 キャスパー・ヴァン・ディーン、ディナ・メイヤー、デニース・リチャーズ ジェイク・ビューシイ、 ニール・パトリック・ハリス、クランシー・ブラウン パトリック・マルドゥーン、マイケル・アイアンサイド 本編129分 総天然色 ビスタサイズ 字幕翻訳:林 完治 未来の宇宙を舞台に、異星の昆虫型生物(バグズ)と地球連邦軍の兵士たちの死闘を描いたSF戦争アクション大作。 青春学園ドラマのような恋のさや当てから始まって、ハイスクールを卒業した主人公たちが軍隊に入り、訓練を受け、配属先で戦場の凄惨な実態を知ることになる。 主人公のジョニー・リコ(キャスパー・ヴァン・ディーン)は学校生活では優等生のカルメン(デニス・リチャーズ)と超能力を持つカール(ニール・パトリック・ハリス)の3人組でつるんでいたが、入隊後は優等生の友人たちはパイロットや情報部などエリート・コースへと進み、リコは体力と運動神経だけの学業はおバカさんタイプなので機動歩兵隊を志願。 鬼軍曹にしごかれるブートキャンプの厳しい猛訓練のすえ、リコは機動歩兵として昆虫型生物との激戦地へと配属される。 公開時には良識派?の先生たちからは「好戦的」「軍国主義賛美」だと批判されたそうで、なんでそんな見方になるのか?と逆に良識派先生たちの映画鑑賞姿勢を疑ったものです。 映画中には、日本の大本営発表のような誇大戦果を伝えるニュース放送や戦意高揚のためのプロパガンダ放送があり、「軍隊は実力次第で出世ができる」「なんとか中尉もなんとか軍曹も活躍しているよ。さあ、君も入隊して、いっしょに戦おう」「いまこそ国のために戦うときだ!みんなが君を待っている」というような、入隊募集の映像がこれでもかというぐあいに流される。 こういう場面を見て、そのまま鵜呑みにする人たち。この映画は軍国主義を皮肉り、おちょくっているのに、それを理解しないで「軍国主義賛美」で「好戦的」だと批判するのは、どんな見方をすればそうなるのか。 この映画は戦闘の残酷さが強調され、戦争映画としてはスピルバーグ監督の「プライベート・ライアン」が同時期(1998年9月公開)にあるけれど、共に戦争映画の残酷描写としては画期的な位置にあるのでは。 文字通り雲霞の如く攻め寄せる昆虫型生物(バグズ)の恐ろしさ。小さな昆虫が人間と同じ大きさか、人間より大きかったらどれだけ恐ろしいか、ということですが、固い外骨格を持っていて銃で撃ってもすぐには倒せない。カマキリのような脚で人間を突き刺し、口でくわえて引き裂き寸断する。その人体バラバラ、血肉が飛び散る描写のグログロ、エグイ描写は見ていて気色が良いくらい(最近は慣れっこになってしまった)です。
2014年04月16日
コメント(0)
1979年の外国映画興行成績です。 金額は配給収入(興行収入から劇場の取り分を引いた、配給会社の収益)。1位 「スーパーマン」 28億円2位 「ナイル殺人事件」 19億円3位 「グリース」 17億5000万4位 「ジョーズ2」 16億5000万5位 「エイリアン」 14億5000万6位 「チャンプ」 14億5000万7位 「ロッキー2」 9億5000万8位 「エーゲ海に捧ぐ」 8億5000万9位 「メテオ」 7億5000万円 10位 「ピンクパンサー4」 6億1000万円「エイリアン」(1979年アメリカ映画)の劇場公開時のキャッチコピーは、「宇宙では、あなたの悲鳴は誰にも聞こえない」。 この1979年の外国映画興行成績トップ10作品は、映画館では1本も見ていません。 当時は、映画はテレビの洋画劇場で見るくらいで、映画館へはほとんど行かなかった時期です。「エイリアン」もそんなわけで映画館ではなく、初めて見たのは1980年10月10日(金)のゴールデン洋画劇場での放送でした。 ちなみにこの月の放送作品は、10月3日「荒野の七人」(60) 監督ジョン・スタージェス、出演ユル・ブリンナー10月10日「エイリアン」(79) 監督リドリー・スコット、出演トム・スケリット10月17日「栄光のル・マン」(71) 監督リー・H・カッツィン、出演スティーヴ・マックィーン10月24日「アメリカン・グラフィティ」(73) 監督ジョージ・ルーカス、出演リチャード・ドレイファス10月31日「ブーメランのように」(76) 監督ジョゼ・ジョヴァンニ、出演アラン・ドロン「エイリアン」を初めて見たときは本当に怖かったです。猫のジョンジーの使い方がうまい。 地球へ向かって航行中の宇宙貨物船ノストロモ号が、謎の救難信号を受けて未知の惑星に降り立ちます。調査に向かった船員たちは、異星人の異形な宇宙船の船内で無数の卵を発見する。 卵から飛び出したカニのような生物が顔に貼り付いた船員を収容し、ノストロモ号は航海を再開するが、その船員の体内にはすでに異星生物の幼体が産みつけられていた。 腹を突き破って姿を現したエイリアンは脱皮を繰り返して成長し、一人また一人と乗組員を餌食にしてゆく。 この映画はSFホラーとして画期的なものであり、またヒロインが大活躍するという設定も、それまでにはなかったという意味で画期的です。 悲鳴を上げるだけで役に立たず、男の足手まといになる、そんな役ではなくて、男に負けないどころか男以上の働きをする女性。 この映画は製作費1100万ドル。けっして低予算というわけではないけれども出演俳優に関しては低予算映画なみにスターを使っていない。トム・スケリット、ジョン・ハート、イアン・ホルム、ヤフェット・コットー、脇役専門の俳優ばかりです。 この映画で初めてシガニー・ウィーバーという女優さんを知りました。 テレビ洋画劇場での放送では野際陽子さんが声を担当していた。 シガニー・ウィーバー(Sigourney Weaver)、1949年10月8日生まれ。 アメリカ合衆国の女優。身長180センチ。 私がこれまでに見た出演作品は「エイリアン」(79)と「ゴーストバスターズ」(84)「エイリアン2」(86)、「3」(92)、「4」(97)。それと「ワーキング・ガール」(88)と、比較的新しいところでは「アバター」(2009)ですか。
2014年04月10日
コメント(0)
映画「ターミネーター」(1984)をブルーレイソフトで鑑賞しました。 2029年の未来では世界を支配する機械と、抵抗する人類が戦争をしていて、機械側は人類側のリーダーであるジョン・コナーを生まれる前の過去にさかのぼって抹殺しようとする。 機械側はジョン・コナーの母親サラ・コナーを殺害するために殺人ロボット「ターミネーター」を過去に送り込みます。 近未来から送り込まれた「ターミネーター」が1984年のロサンゼルスに現れ、サラ・コナーと同姓同名の女性たちを次々に殺害、その魔手はついにサラ・コナーに迫る。 未来のジョン・コナーは機械のたくらみを阻止するために戦士カイル・リース(マイケル・ビーン)を送り込み、サラ・コナーを守らせる。 執拗に追ってくる不死身のターミネーターを相手に、サラとカイルは死闘を展開することに。 この映画は公開時(1985年5月)には見ていなくて、1987年ごろにテレビ洋画劇場で初めて見て、そのあまりの面白さに驚きました。それ以来、ビデオやDVDで何度見たことやら。監督・脚本 ジェームズ・キャメロン製作・脚本 ゲイル・アン・ハード撮影 アダム・グリーンバーグ音楽 ブラッド・フィーデル特殊メイクアップ スタン・ウィンストン ターミネーター・・・アーノルド・シュワルツェネッガー(声・玄田哲章) カイル・リース・・・マイケル・ビーン(宮本 充) サラ・コナー・・・リンダ・ハミルトン(佐々木優子) 1984年アメリカ映画。スター俳優を使っていない低予算映画(B級映画)です。 当時は監督のジェームズ・キャメロンさんも、主演のアーノルド・シュワルツェネッガーさんもリンダ・ハミルトンさんも駆け出しで、まだ名も知られていない。 当初は、シュワルツェネッガーさんが未来からサラ・コナーを守りに来るカイル・リースの役だったそうです。それが本人の希望がいれられて殺人ロボットの役に代わりました。 この未来から来た殺人ロボット(サイボーグと書いている人がいますが、ロボットです)は大柄で目立つ存在。当初の予定ではもっと地味で目立たない、陰に隠れた暗殺者といったふうの設定だったとか。 映画とは不思議なものですね。今ではターミネーターといえばシュワルツェネッガーさんの代名詞のようなものなのに、最初の予定では別の役をやることになっていた。 俳優にとって一世一代の当たり役を得たことで、SFアクションの傑作として映画史に残ることになりました。 この「ターミネーター」のブルーレイソフトはなかなか良くできています。 1984年作品だから、もう30年も前の映画で、最新作の画質にはおよばないかもしれないけれど、充分に満足のいく精細さ。 とくに音声に立体感があってすばらしい。我が家はリア・スピーカーを、置き場所がないために横に置いているのですが、アクションシーンの臨場感と低音はかなりの迫力。劇場公開時をしのぐ音になっているのではないでしょうか。 日本語吹替えにするとそれほどの臨場感がなくなるのが残念です。 ターミネーターの台詞、「I'll be back.」はシュワルツェネッガーさんの決め台詞のような感じですが、「ターミネーター」シリーズだけでなく、「コマンドー」(85)でも言ってますね。
2014年04月05日
コメント(0)
イマジカBSで放送された「マックィーンの人喰いアメーバの恐怖」を見ました。 このタイトルはテレビ洋画劇場で放送された時のもので、劇場公開時は「マックィーンの絶対の危機」(原題「THE BLOB」)。 1958年作品で、日本公開は「荒野の七人」(60)「大脱走」(63)のあと、1965年1月だそうです。 スティーブ・マックィーンさんがテレビ西部劇「拳銃無宿」の主演を始めたのが1958年なので、その頃の劇場映画です。「荒野の七人」や「大脱走」で人気スターとなったことでの過去作品の上映だったらしい。 スティーヴ(マックィーン)がガールフレンドのジェーン(アニタ・コルシオ)と車を止めて夜空を眺めていると流星が落ちてきます。近くの森に落ちたらしく、2人は探しに行くことに。 森に住んでいる爺さんが落下した隕石を見つけて、木の棒で突つくと、割れて中からゼリーのようなドロドロ物体が出てきます。 棒ですくい取ると物体は棒を辿るようにして老人の手首にくっついて離れなくなる。 救いを求めて老人が道へ飛び出したところへ、スティーヴの運転する車がやって来ます。 スティーヴとガールフレンドは苦しむ老人を乗せて病院へ連れて行くが、診察した医師(スティーヴン・チェイス)には物体の正体が分からず手の施しようがない。 ソフトボールくらいの大きさの隕石の中から現れたドロドロ物体が、アメリカの小さな田舎町を混乱に陥らせる、典型的なB級(低予算の意味)SF映画。 予告編はこちら。 物語は大人対ティーンエイジャーの対立?があって、イタズラして大人をからかう若者たちと、彼らをどうしようもない悪ガキだと思っている大人たちの姿があります。 謎の物体が発見者の老人を吸収し、診察した医師と看護婦をも吸収してしだいに大きくなってゆく。 マックィーンと女友達が、その危機を警察に伝えるがとりあってくれない。 2人の目撃談を信じてくれたのは同じ年代の悪友の少年少女たちで、かれらが奔走することになる。 この映画は40年くらい前にテレビ洋画劇場で見て、ちょっと面白かった記憶があるけれども、いま見るとだめですね。町の危機を訴える主人公たちに聞く耳もたない大人たち、というのが見ていてイライラします。 ヒロインの弟で子役が出て、この子の存在も邪魔なだけで、意味がない。 何よりもスティーブ・マックイーンさんが演じるような役ではありません。 大人から不良少年と見られている主人公は、おそらく高校生あたりの年代で、その悪友たちも同様です。 それが全体に大人びていて、じっさいに年齢がティーンエイジャーではないのでしょう、少年少女には無理がある。 マックィーンさんは当時28歳だし、俳優としてのタイプからみてもこの役は似合わないようです。
2014年03月15日
コメント(0)
1988年の外国映画興行成績です。 金額は配給収入。 1位 「ラストエンペラー」 24億5000万円 2位 「ランボー3 怒りのアフガン」 23億9000万 3位 「危険な情事」 17億4000万 4位 「ウィロー」 14億9000万 5位 「ニューヨーク東8番街の奇跡」 10億8000万 6位 「ロボコップ」 9億1000万 7位 「インナー・スペース」 8億8700万 8位 「クロコダイル・ダンディー2」 7億9000万 9位 「007 リビング・デイライツ」 7億7300万 10位 「フルメタル・ジャケット」 7億6200万円「ロボコップ」(1987)の日本公開は1988年2月。興行成績でも第6位にランクインしているし、大ヒットした話題作でした。 監督のポール・ヴァーホーヴェンさんの出世作として記録されるもので、そのエグいと言っていいほどのヴァイオレンス描写は独特の味わいがあります。 近未来のデトロイトを舞台にしたSFアクション。主人公の警官マーフィー(ピーター・ウェラー)が極悪な凶悪犯どもに撃たれるシーンは残酷で、当時は目を背けたくなるものでした。あれから26年、DVDやブルーレイが低価格で買える現在ですが、今では慣れっこになったのか、それほどの衝撃を感じなくなってしまった。 私が持っているDVDは2枚組(990円)で劇場公開版とディレクターズ・カット版が入っています。 それぞれ103分と104分で、その差は1分間。見比べないとわからないくらいで、マーフィーが撃たれるヴァイオレンス場面がわずかに長いのか、と思う程度です。 「ロボコップ」(87)予告編はこちら。 ブルーレイソフト(1490円)のほうは、ディレクターズ・カット版の104分のみの収録。DVD劇場公開版に入っていたメイキング(「ロボコップの悪役たち」「昔ながらの特殊効果」「ロボコップ伝説誕生の軌跡」)などの特典映像はなぜか、入っていない。ただこちらは日本語音声が5.1chDTSになっていて、DVDの日本語音声は普通の5.1ch。 上の予告編に流れる音楽は「ターミネーター」のように聞こえ、「ロボコップ」のテーマ曲ではないですね。 2014年現在、3月14日から新しくリメイクされた新作が公開されていますが、このロボコップは格好良くないです。エイトマンのように素早く動くのはロボコップらしくないし。
2014年03月12日
コメント(0)
映画「X-メン」シリーズの登場人物の一人、ウルヴァリン(ヒュー・ジャックマン)。記憶を失っていて、ローガンと名乗り、プロフェッサーXがミュータントの少年少女を集めて教育している学園に招かれます。 ウルヴァリンはミュータントで、驚異的な肉体治癒能力を持っている。 そのことで肉体強化のための、普通の人間には耐えられない実験に使われ、骨格をアダマンチウム合金に入れかえられた。 この実験は超人兵士を作り出すスーパーソルジャー計画のひとつで、「キャプテン・アメリカ」や「超人ハルク」と同じ計画ですね。「アイアンマン」のトニー・スタークは、人間の肉体を強化するよりもパワードスーツを開発するほうが現実的で容易だという方向です。 ウルヴァリンは、性格が粗暴で礼儀を知らないように見えるが、義侠心があって友人や親しい人間に害をなす敵には容赦をしない。 映画のシリーズではジーン・グレイ(ファムケ・ヤンセン)に惹かれていて、彼女が「2」で死んだあと一時落ち込むが、すぐに積極的に立ち直ろうし、サイクロップスから、その肉体同様に心も癒えるのが早いのか?と皮肉を言われる。「3」の「ファイナルデシジョン」ではジーン・グレイが敵となって復活し、彼女を愛するウルヴァリンが自分の手でその命を絶つことになる。 ミュータントの少年少女たちの指導役であり、X-メンの司令塔でもあったプロフェッサーXが死に、サイクロップスもジーン・グレイも死んでしまった。この後の「X-メン」はどうなるのか? 映画のエンディングにはマグニートーが復活するような暗示があるけれど。 ウルヴァリンを野性的に演じるヒュー・ジャックマンさんは近年の男優ではスター的なキャラを持つ人だと思います。 初めてヒュー・ジャックマンさんを映画で知ったのは「ヴァン・ヘルシング」(2004)。もちろんこれ以前に「X-メン」(2000)や「X-MEN2」(03)があるけれど、まだ見ていない映画だったので知らなかった。 ヒュー・ジャックマン(Hugh Jackman) 1968年10月12日生まれ。オーストラリアの人です。 英国映画の「007シリーズ」では、ジェイムズ・ボンドは英国人しか演じることができないという決まりがあるようだけれど、イギリス連邦加盟国のオーストラリアならOK(ジョージ・レイゼンビーさんのボンドがある)ならばヒュー・ジャックマンさんでもいいではないか。 ダニエル・クレイグの陰気なボンドよりも、野性的なヒュー・ジャックマンさんの007号を見てみたい気がします。
2013年09月04日
コメント(0)
アメリカンコミック(マーベルコミック)史最高のベストセラー「X-メン」の映画化である「X-メン」シリーズ第3作「X-MEN ファイナルデシジョン」(2006)をブルーレイで鑑賞。「X-メン」(2000)、「X-MEN2」(2003)、そして3作目が「X-MEN ファイナルデシジョン」(2006)、これは邦題が「ファイナルデシジョン」、「最後の選択」となっていますが、原題は「The Last Stand」で「最後の姿勢」。姿勢は、意思を示すというような意味です。 外国映画の邦題を原題とは異なったカタカナ語にするのは近年になっての風潮です。 前作でプロフェッサーの片腕的存在だったジーン・グレイが死んで、その哀しみから立ち直れないX-メンたち。 ミュータント(mutant)とは突然変異の生じた個体や細胞。突然変異体ですが、それを病気だとして治療する薬が開発され、政府はそれをもってミュータント根絶をめざす。 人類のミュータントへの差別と迫害を描くSF娯楽映画で、この物語の背景には人種差別や、同性愛者や異宗教信者など、マイノリティたちへの白眼視や差別テーマがあります。 「X-MEN ファイナルデシジョン」(06)予告編はこちら。 突然変異で産まれた者を病気だと見なして、治療、矯正しなければならないする見解。 それに対して抵抗し反抗するミュータント。人類と友好関係を築こうとする者たちと、我々は人類から進化した存在で、人類にとってかわる存在であるとする者たち。 結局の所、人間は自分の理解できない、理解の範囲を超えた存在を怖れ、排斥しようとする本能を持っているようです。 また、自分と毛色の異なる者を嫌い、差別する。人間のいやらしい性質ですね。 見解のちがいから悪役としてプロフェッサー率いるX-メンに対立するマグニートー(イアン・マッケラン)が言う、奴らが我々を憎んで排斥しようとするなら、奴らにとってかわるだけのことだ、というのもよくわかる考えです。 自分たちは人類を超越した存在で、自分たちより能力に劣る者に支配されるいわれはない、と。 シリーズ3作目で、これが最終章だとか。このあと新3部作として、「X-MEN ファースト・ジェネレーション 」原題は「First Class」(2011)があり、プロフェッサーとマグニートーの若き日を描く。 それと主要キャラのウルヴァリン(ローガン)をスピンアウトした「ウルヴァリン:X-MEN ZERO」原題「X-Men Origins: Wolverine」(2009)があって、こちらは最新作が日本を舞台にして近日公開予定です。
2013年09月03日
コメント(0)
劇場映画版第2作「スター・トレック カーンの逆襲」(1982)をブルーレイで鑑賞。 スタジオの屋内セットで撮影したSF映画です。 同時期の「スター・ウォーズ帝国の逆襲」(80)、「ジェダイの復讐」(83)の製作費に比べると半分から三分の一の予算なのでしようがないか。「帝国の逆襲」(80)は2千500万ドル「ジェダイの復讐」(83)は3千200万ドルこの「スター・トレックカーンの逆襲」(82)は1千120万ドル。「スター・ウォーズ」のような大作感がなく、逆にその低予算のセット撮影が功を奏したのか、テレビの「宇宙大作戦」の特別編のような感じがする。演出のせいもあるのか、テレビ映画を見ているようです。「カーンの逆襲」はカーク提督に対して復讐の念に燃える超人カーン・ノニエン・シン(リカルド・モンタルバン)が部下とともにUSSリライアント号を奪ってカークの前に現れる。「宇宙大作戦」第15話「宇宙の帝王」の遺伝子工学で生まれた超人で、悪役。 20世紀末の独裁者で、敗北後、宇宙へ脱出。冬眠状態で漂流しているのをエンタープライズ号に救われるが、目覚めてエンタープライズを制圧し宇宙を支配しようとする。無人惑星に流刑となって、映画はそのつづきという設定。 そんなわけで、この映画はテレビの「宇宙大作戦」を知っている人なら、初めての人より倍の楽しみがあるようです。 「スター・トレック カーンの逆襲」予告編はこちら。 バルカン人のミスター・スポックがよく言う、「それは論理的です」とか「論理的ではありません」というセリフですが、この映画ではまさに悪役カーンは論理に反する行動をとったために自滅した、ような。 カーンたちは不毛の無人惑星に流刑になっていた。宇宙船USSリライアント号を奪取したのだからどこへでも行けるはず。 また、不毛の惑星をフォーマットしなおして生命あふれる惑星に一夜にして変えるという「ジェネシス計画」 (生命のある惑星に対しておこなうと現存する生命を完全に滅ぼして、あらたに生命を生み直すことになる)のデータを奪うことに成功したのだから、最終兵器を手にしたと同じで、これでカークに復讐することができるはず。 それなのに、カーク船長の挑発にのって怒り心頭、エンタープライズと戦って敗れてしまう。感情的にならず論理的になっていれば、カーンはカーク船長にも惑星連邦にも勝てたはずなのに。 冒頭で「コバヤシ丸」の訓練場面がありますが、訓練生のための実戦を想定した作戦シュミレーションです。バルカン人の女性訓練生が艦長を務め、クリンゴンの巡洋艦3隻と対戦してエンタープライズ号は全滅してゲームオーバー。 このシュミレーションは勝率ゼロとされるものらしく、ただ一人勝ったという伝説的な記録を残すのがジェームズ(ジム)・カーク。 このコバヤシ丸のテストでカークが勝ったというエピソードは新しい「スター・トレック」(2009)にありましたね。
2013年08月13日
コメント(0)
英国の冒険小説「女王陛下のユリシーズ号」(アリステア・マクリーン著 村上博基 訳 ハヤカワ文庫)の原題は「H.M.S. Ulysses」です。 第二次大戦の北大西洋で船団護衛の任務に就く英国海軍の巡洋艦ユリシーズ号の艦長以下、疲労困憊した乗組員たちが敵のUボートと爆撃機、極寒の海と暴風雨の脅威に立ち向かう物語で、冒険小説ファンにとってはバイブルのような存在になっています。 その原題の「H.M.S. Ulysses」。頭の「H.M.S.」は、「艦船接頭辞」といわれるもので、「His/Her Majesty's Ship」です。「国王陛下の、女王陛下の船舶」ということで、「英国海軍の艦船」を意味します。「艦船接頭辞」とは、船舶の国家別または種別ごとの略称を艦船名の前部に表記する接頭辞で、軍用艦艇の場合はおもに所属国家を表します。 アメリカ海軍の艦船には頭に「U.S.S.」が付いて、「U.S.S.エンタープライズ」(空母)とか「U.S.S.アイオワ」(戦艦)のように表記されます。 アメリカの場合は「United States Ship」で、「合衆国の船舶」のこと。 テレビ映画「宇宙大作戦」や劇場映画「スター・トレック」で主人公たちの乗艦「U.S.S.エンタープライズ号」の場合も、同じように艦船接頭辞ですが、「アメリカ合衆国海軍」を意味するものではなく、「United Federation of Planets Star Ship」という意味で、「惑星連邦の船舶」を表しているようです。「艦船接頭辞」と混同しやすいのが「艦種記号」で、「戦艦」を表す「BB」、空母を表す「CV」、原子力空母は「CVN」、重巡洋艦は「CA」、軽巡は「CL」、駆逐艦は「DD」です。 2012年に退役した超有名な原子力空母「エンタープライズ」(艦齢51年)の艦種記号は「CVN-65」で、「65」はアメリ海軍の65番目の艦隊型空母を意味します。 テレビの「宇宙大作戦」の「U.S.S.エンタープライズ NCC-1701」。 U.S.S.が艦船接頭辞で、NCC-1701は艦種記号だと思うのですが、「NCC」はどの艦種を表しているのか、私にはわかりません。「スター・トレック」の熱心なファンのかたならご存じかと思います。ぜひ、お教えいただければ、と。
2013年08月12日
コメント(0)
全101件 (101件中 1-50件目)