ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

Sep 1, 2006
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カテゴリ: 旅情
 フィンランドでの短期間の夏休み、あっという間に終わってしまった。ここアメリカに戻ってきて何日か経った今でも、あの日々を振り返っては現実逃避の毎日。

 今回の旅で気づいたこと、考えたことなどをいくつか。

1.  まず、なんてったって 工業デザイン 。噂どおり、観光の目玉にすらなっている。
 今回に限らず、旅びととして外国を歩く際にいつも気に留めるブツが自分にはあって、それは、当地の公衆電話、郵便ポスト、そしてトイレ(特に男性用小便器)。勝手な意見だけど、これら三種の神器は、その国のデザイン観、デザイン力を測るひとつの基準になると思う。機能的にも外観的にも、決して無限な可能性を秘めてるオブジェではないし、どこまで費用と労力をかけるべきか微妙だけど、その国特有の色やカタチが必ずある。
 で、フィンランドの工業デザインって、奇をてらってるわけではないはずなのに、どこかひねっていて、そのさりげない「何か」に思わず唸ってしまう。そして、その「何か」はうっかりすると見過ごしてしまう。ほかの国と異なるのは、使用する側の人間にも、きちんとアタマを使うことを要求する点。だからちょっと疲れる。
 外見はもとより内部も一風変わった建築物が多く、内部をぼーっと歩いていると迷子になってしまったり。
 道路標識とか、駅構内の案内も妙にクセがある。トイレの男女の別も、扉に文字で「男」「女」とでかでかと書かれてるものより、間接的に男や女をイメージさせる絵や記号が掲げられているほうが圧倒的に多い。フィンランド語ができない我々には、文字より絵のほうが助かるのは事実だけど、ふたつの扉を前にけっこう考え込んでしまったり。
 教育水準の高い国というのは以前から聞いていたが、やはり頭の回転が速い国民だからこそ、こういうウィットに富んだ?表示が可能なのか。それとも、僕自身が、何ごとも単純かつ直接表現を良しとするアメリカ社会に慣れてしまっているということか。

2. フィンランドの著名人 について知ることができた。シベリウスは当然として、ヨーナス・コッコネンとかいう作曲家についても頻繁に目にし、耳にした。チェロ協奏曲がいい感じ。何より僕は彼の名前が気に入った!
 建築家アルバー・アールトについても学べた。今まであまり知らなかったけど、芸術的にもビジネス的にも秀でた人らしい。
 そして、この旅のおかげで、ようやく僕は ムーミンとバーバパパの違い がわかるようになった(笑)。そーいえば、キティちゃんとミッフィーちゃんの違いすらわからない、おおざっぱな幼少時代をお過ごしになったワタクシといたしましては、これは大きな進歩と思われる。

3.  フィンランドと日本との大きな違いは、たぶん 出生率 。フィンランドは、田舎を歩いてても都市を歩いてても、若い夫婦に二、三人の子どもという構成の家族の姿をほんとによく見かけた。そして男性の育児参加が目に見えて顕著。こればかりは、実際に目の当たりにして初めてハッとさせられる。

4.  逆に、フィンランドと日本の共通点といったら、やっぱり 移民が少ない こと。外国人率がわずかに2%ぐらいらしい。体力を必要とする過酷な重労働も、高学歴を必要とする知的職業も、みんな白い肌の北欧人でまかなわれてる感じで、東っぽい人とか南っぽい人を見ない。移民の国アメリカに住んでる自分としては、「ガイジンがいて当たり前」という国全体の雰囲気に甘えられることも逆にあるけど、こういう国の場合、日本みたいに、お役所の対応に外国人が苦労する場面も多いのだろうか。
 旅を終え、ニューヨークに降り立った瞬間、空港内で働く人びとを見て、改めてアメリカの「人種のるつぼ」度を実感した。アメリカ全体の「外国で生まれた居住者の比率」は13%ぐらいと聞いたことがある。(地域によっては40%以上とか。)

*****

 ずっと前から行きたかった国フィンランド。今回実際に行ってみて、地理的にも社会的にも、どこか閉鎖的な国という印象を持った。実際に足を踏み入れたにも関わらず、親近感を強く抱けずに帰ってきてしまったような気もする。


 ま、あんまり難しいこと考えずに、もっと純粋に楽しく観光しても良かったかなーと今になって思ってたりもして。





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最終更新日  Sep 4, 2006 02:11:53 AM
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