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イスラエルは一月の停戦合意を破ってガザを爆撃した。またもや子供をふくむ多くの死傷者が出た。ベンヤミン・ネタニヤフ首相は、ハマスが壊滅するまで攻撃をやめない、と言っている。しかしながら昨年 10 月以来のこの執拗な残虐なパレスチナ攻撃に対して、もちろん戦闘開始がハマス側の奇襲攻撃にあったことは承知したうえで、私はネタニヤフ氏の「個人的な欲望」を感じるのだ。
こう言うと、私は「反ユダヤ主義者」と指弾されるであろう。だが、それは違う。私はユダヤ民族のとてつもなく長い苦難の歴史を知っている。20世紀の第二次世界大戦下でのドイツにおいては、ヒットラーによる「ユダヤ1,000万人絶滅計画」が実行さ600万人が虐殺された。戦後の1948年5月14日、「流浪の民」はイスラエル建国(独立)を果たし、数千年に及んだまさに悲願を達成した。
私がその建国記念日を記憶し、忘れないでいるのは、私自身の誕生日と同じだからでもある。私が生を享けたのは1945年5月14日、太平洋戦争終結のちょうど3ヶ月前。米軍による日本本土無差別爆撃が開始された最中だった。グラマンB29爆撃機が侵入してくる駿河湾に面した土地が、私の生まれた里である。・・・戦地から帰還して間もなかった若き父は、敗戦を予感してい、第一子である私に歴史が改まる希いをこめた名前を付けた。・・・空襲警報のサイレンは生まれたばかりの赤ん坊の聴覚記憶に深く刻まれたのかもしれない。私は一見弱々しいが実は豪胆な子供だった。しかし中学生頃まで、サイレンの音に、それが何のサイレンであれ、心身が凍りつくような恐怖を感じたものだ。
イスラエルを建国した人々は、民族の苦難を克服して平安を得た「智(wisdom)」を全人類の普遍的真理として、率先して未来に向かって行動するであろう、と私は思った。イスラエルの人々は自らの苦難の歴史から「学んだ」はずだ、と。
しかし、社会的な「学び」には両極があることに、私は気付かなければならなかった。
すなわち一つの事例から、一方は寛容・善行等の高邁な行動原理を発見すること。他方、悪の実行原理と方法を発見すること。
数年前のこと、日本の大臣級の政治家が「ヒットラーに学べ」と発言した。どういう意味かというと、つまり、ヒットラーのナチス政権樹立とその後の施政の方法は、政権の目論見を達成するために、国民にはその政策から一見遠くにあるように見える法律を作る。次々に法律を作って制限を厳しくしてゆき、国民がこれはおかしいぞと気づいたときには、国民の手足のみならず心身 が身動きが取れないようにがんじがらみになっている。国際的にはちゃんと「法治国家」として大義名分はたつ。悪法もまた法なのである。・・・日本のさる政治家がヒットラーから「学んだ」のはそのような「悪の方法論」だったと言える。
さて、そのヒットラーの悪法に拠って「ユダヤ人絶滅計画」は実行された。狩り立てられた男性は「断種」手術をさせられた人もあった。子供も容赦無く虐殺された。まさにユダヤ民族をこの世から絶滅しようとしたのである。たった一人の男の精神の抜きがたい異常性(臭気を嗅ぐような顔の表情にサディズムの傾向を指摘した研究もある)が、ドイツ国民を異常に向かわせた。この驚くべき事例は、政治的最高権力の在り方の研究のみならず人間研究のうえでは興味深い。
私がイスラエルに人類平安のパラダイム理論を期待したことは見事に裏切られた。国を守らなければならないという強い意志は、私とて理解している。しかしながらハマス急襲への反撃としてのガザ攻撃の実態は、病院や学校を含む一般市民が対象になっていることと、その規模の大きさ犠牲者の多さに、私は疑惑を感じるのである。イスラエルは建国以後、パレスチナ人を抑圧してこなかっただろうか。かつてユダヤ人がゲットーに押し込められたように、パレスチナ人をゲットーに押し込めていはしないか。互いの民族の個々人の親しい交際を、政策の大きなくくりにおいては断ち切ろうとしてはいないか。そのような意識下における社会的コンセンサスを形成するように仕向けてはいないか。
病院や学校を攻撃対象とすることについてイスラエル政府は、そこにハマスの司令室があるからだとかイスラエル攻撃のための地下通路があるからだ、と弁明している。それは事実かもしれないが、陰謀かもしれない、と私は思う。なぜならその攻撃の執拗さと残虐さは、特に産院を爆撃し子供を殺害している事実は、まさにパレスチナ民族絶滅を目論んでいるのではないかと疑わせるからだ。イスラエルは自らの苦難の歴史から「悪の方法論」を学んだのではないか、と。
一国の最高権力者は多かれ少なかれ「英雄」志向がある。その志向の強さがまさに「救国」に結果する場合があることは無論であるが、却って国を滅ぼすことになることもある。私がオトナになったからであろうか(実際は死期もまじかい老人なのだが)、21世紀になって、最高権力者の英雄志向が異様に映るほど多い。それはなりふり構わずというのもヘンだが、国内のあらゆる社会的コンセンサスの破壊と民心分断 が国内のみならず他国にまで及び、世界の分断を引き起こしている。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相にも、私は非常に強烈な英雄志向を感じる。1976年のエンテベ空港奇襲事件で戦死し、イスラエルの英雄と称えられている、兄ヨナタン・ネタニヤフに対する「英雄コンプレックス」があるかもしれない。1996年のパレスチナによる自爆テロとその4ヶ月後に首相選挙で当選し、パレスチナ自治政府を念頭にイスラエルに対する攻撃に対して、それがいかなる攻撃であろうと対抗する方針を示した。ネタヤニフ氏が、対抗者とみなす言動に「 反ユダヤ主義」とレッテルを貼って激しく非難するのも、首相就任当初からの方針にそうやりかたなのであろう。
しかし、過酷な現状にあるパレスチナを人道的に支援しようとする人が現れるのはむしろ当然である。それをしも「反ユダヤ主義」と非難し、国連難民救済物資輸送を攻撃しているのであるから、私はネタニヤフ首相が対抗者にふりかざす「反ユダヤ主義」というレッテルは、むしろベンヤミン・ネタニヤフ氏の欲望の隠れ蓑になっているのではないかと思う。ネタヤニフ氏の「個人的な欲望」が国政の名のもとに「 反・反ユダヤ主義」の御旗で偽装されてはいないか。
ベンヤミン・ネタニヤフ首相の正義がすべからく真実「正義」であるならば、国際刑事裁判所(ICC ; International Criminal Court) は、ネタニヤフ氏の逮捕状を出さなかっただろう、と私は思う。
ベンヤミン・ネタニヤフ首相は、パレスチナとの戦闘状態にある現状を共存和平に漕ぎ着けることこそ、「英雄」として歴史に名を残す道であろう。
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