東方見雲録

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2024.04.20
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カテゴリ: 教育
PTA非加入の生徒に不利益通達「通学班に入れません」 学校側は謝罪も「差別的」と炎上

ネット上では「PTAは不要」との声も……(写真はイメージ)【写真:写真AC】
© ENCOUNT

PTA会長が15日付けで非加入世帯の保護者宛てに文書を通達
埼玉県内のある公立小学校のPTAが、非加入世帯の保護者宛てに送った通達の内容が「横暴すぎる」「差別的」と拡散。炎上を受け、PTAが通達内容を撤回する騒動となっている。通達は発出されてからたった2日しかたってない今月17日に急きょ引っ込められた格好だ。いったい何があったのか、同校に事情を聞いた。

小中学校において、任意加入の保護者と教職員が児童生徒のためにボランティアで支援活動を行うPTA。結成や加入を義務付ける法的根拠はないものの、実質的には参加が強制となっている地域もあり、保護者からは負担の声が上がっている。

問題の学校では、PTA会長が15日付けで非加入世帯の保護者宛てに文書を通達。「先日ご提出頂いたPTA非加入届を受け取りまして、拝読し、お気持ちを理解いたしました」「PTA非加入で学校生活を送られることに伴い、PTAが児童に対して実施する活動については、必然的に参加不可となりますのでご了承ください」として、加入しないことでさまざまな不利益があることを示唆している。

通学班登校については「PTAの常任委員が担当し、PTA会員の児童で編成していますので、非加入世帯の児童は通学班に入れません。また、児童一人登校は認められていませんので、必ず、毎朝登校の付添いをお願いいたします」、進級・卒業の祝品については「PTA会費で購入するため、非加入世帯の児童には渡せません」などと記されており、会費分にあたる金額の寄付の申し出についても「大変申し訳ありませんが、そのような形で受け取ることができません」としている。

ネット上では「PTAの横暴がすぎる」「非加入の児童に対する差別」「子どもを人質にとった脅迫では」「PTAは不要、解体すべき」と批判の声が多数寄せられている。

同校の校長は18日、ENCOUNTの取材に「PTAから保護者に文書をお渡ししたこと、通達の内容については確かです」と事実関係を認めた上で、「通達の内容は17日付けですべて撤回しております。児童の不利益にならないようにとの判断。PTAとしても、いろいろと説明が足りていなかった」と説明。「保護者の方にもご理解をいただいております。この度はお騒がせして申し訳ありませんでした」と謝罪している。ENCOUNT編集部/クロスメディアチーム

こちら

関連サイト:体験談まとめ こちら

先駆的事例拝見:義務化していたPTA活動を廃止、ボランティア制の団体「PTO」ヘ  東洋経済オンライン  こちら
「嶺町小PTO」とは、「保護者と先生による楽しむ学校応援団」(Parent -Teacher Organizationの略。Oは応援団の掛け声「お〜っ!」でもあるという)。2015年にこの団体に生まれ変わる以前は、ほかのPTAと同様の悩みや問題を抱える組織だった。

「くじやじゃんけんなど半ば強制的に役員や委員を決め、やらなくてもいいと思う活動でも前例の踏襲で継続するなど、問題が山積みの状態でした。当時、他薦でPTA会長になった男性がこのような組織のあり方や運営方法に疑問を呈し、『子どもたちのための活動を誰もが気軽に楽しめる団体に変えよう』と改革に取り組みました。保護者にPTAに関する意識調査アンケートを行い、そこに集まった声を基に、学校や地域と対話を重ね、PTAから『できる人が、できるときに、できることをやる』を基本理念としたPTOとして新たにスタートさせたのです。





関連サイト:PTAを解散・改革した学校はどうなった?「強制なし・会費なし・教員なし」の意外な効果  ダイヤモンドオンライン 大塚玲子  こちら
【解散例1】保護者グループ「ココスク-ル」を複数校で立ち上げ
 兵庫県川西市では、同じ中学校区の3つの小学校――北陵小、牧の台小、東谷小――のPTA会長らが相談し、中学校にも声をかけ、4校同時にPTAを解散。2023年度からココスクール(ココスク)という保護者グループをたちあげました。

 名称や「強制ナシ」「会費ナシ」の運営スタイルは共通ですが、活動内容は各校ごとに異なります。会員制をとらず、活動はすべての保護者に呼びかける形だそう。会費がないので学校への寄付もなく、お金が必要なときはその都度募る予定だといいます。
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【解散例2】教職員の強制加入をなくすため保護者会に移行
 千葉県松戸市立栗ヶ沢小学校PTA(栗小PTA)も、2022年度末で解散し、2023年度から保護者会に移行しました。



 会員と非会員が対立することがないよう予算の用途も徹底的に絞り込み、会費減額を決めましたが、その矢先にコロナ禍で活動停止となり、2020年からは会費を実質ゼロに。

 ただし、この改革を行った際、唯一解決できなかったのが「教職員の強制加入」の問題でした。

PTAのT、すなわち教職員(Teacher)も加入の対象になります。現状多くの場合、教職員も「強制加入」や「会費の強制徴収」に巻き込まれている当事者なのです。

 栗小が2023年度から保護者会(PA)に移行した最大の理由は、この残された課題を解消するためでした。学校側はなぜか教職員の入会意思確認には消極的だったため、臨時総会を経て解散し、保護者会となり、教職員を会員対象からはずすことにしたのでした。

 なお、先ほどのココスクと同様に、栗小保護者会も会員制はとっていないそう。誰でも参加できるよう、活動はすべての保護者に呼びかけて、希望者を募る形です。なお、保護者会に移行してからは、「募金制」を採用しています。



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解散はせずに大変身を遂げたPTAもある
筆者がこの1年取材してきたなかで最も「斬新!」と感じたのが、「保護者の加入率が2%未満」という、千葉県柏市立大津第二小学校PTAでした。

 そう、解散はしておらず、PTAのままなのです。でも、本記事で紹介した多くの新組織と同様、強制も会費もありません。違いは「T」の会員がいる点ぐらいですが、教職員も完全な任意加入となっています。取材時点では、PTAに入会している教職員は校長のみでした。

 この校長と、PTA会長の山口晃一郎さんを除いた会員は3人。この小学校は全校生徒の家庭数が250程度なので、保護者側(計4人)の加入率は2%弱となります。

 今は少数精鋭で「体操服リサイクル活動」のみを行っているといいます。会長の山口さんは「PTAを本来あるべき姿に戻した」と話しており、なるほど、そういう考え方もできるわけです。(参考:AllAboutニュース)

 こうなってくるともう、PTAを解散してもしなくても、あまり関係ないのかもしれません。要は、保護者が学校とどんな形でつながればいいか考え、それを実現できるなら、PTAでもPTAでなくても、手段はなんだっていいのでしょう。

関連日記:2023.07.08の日記  PTAの負担軽減   こちら

関連日記:2023.07.08の日記  もう、学校を教員だけで運営するのは無理    こちら

関連日記:2023.01.17の日記  PTAもう限界 「サザエさん」家庭は少数派、外の力頼れ   こちら

関連日記:2022.08.25の日記  PTAの「仕事」引き受けます KNT-CTが新サービス   こちら





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Last updated  2024.04.20 09:00:09
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