東方見雲録

東方見雲録

2026.01.26
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カテゴリ: 政経
若田田:これまで日本の財政はプライマリーバランス(基礎的財政収支、PB)の単年度黒字化を目標にしてきましたが、高市政権はこれを見直しました。こうした転換は、突然生まれたものではありません。

城内実日本成長戦略担当大臣が'22年から、「責任ある積極財政」を掲げる議員連盟の顧問として、党内議論を粘り強く牽引してきた積み重ねがあります。その議論が今、高市政権の経済財政運営の「肝」として結実しつつある。日本の進む方向を静かに、しかし確実に変え始めていると言っていいでしょう。

若田部:単年度のPB黒字化を財政の目標に掲げている国は他にありません。

会田:今、世界は官民が連携して成長投資を行う大競争の時代に突入しています。そんな中で、日本だけがPB黒字化の範囲内だけでしか投資ができないのであれば、世界の潮流から取り残されてしまう。将来の所得や成長を生む投資であれば、当然このために国債を発行してもよいと高市総理は考えています。
永濱:とくに経済安全保障においても投資が重要になっています。各国がどのように企業に投資を促しているかというと、設備投資の減価償却費を初年度に一括して償却し、法人税を減らせる税制優遇を行っており、これは高市政権でも導入を検討しています。

ただし、この「即時償却」を認めると、その年は物理的に法人税収入が減るわけです。だからPBの単年度黒字化を目指すと、こういった政策を導入できないことになります。そのため政府債務残高の対GDP(国内総生産)比などの数値で、たとえPBが一時的に赤字になっても財政が健全かどうかを見極めながら投資を促進する政策を行うわけです。これが世界標準であり、日本もそちらの方向に向かっているのだと思っています。
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ところが、中国が国家主導の産業政策を強力に推進し、西側諸国の技術をキャッチアップして、経済的にも軍事的にも脅威になってしまいました。このため、ある程度は国が産業政策を主導しなければいけないということが世界的な潮流になっています。日本だけが独自にやろうとしていることではありませんので、むしろそちらの方向に進まないと諸外国に遅れを取ってしまうことになると思います。

会田:これまでの日本の産業政策は、どちらかというと国が出ていかないと立ち行かない分野に予算をつけますという考え方でした。しかし、今回の成長投資では新しい発想が出てきています。
たとえば、今回策定された17の戦略分野に、これまでだと入らなかったであろう「コンテンツ」が入りました。マンガをはじめ、日本のコンテンツ産業はすでに強いわけです。これをもっと強くしていこう、コンテンツ産業をさらなる成長分野にしようとしています。

若田部:日本には独自の強みがあって、それを米中との対比の中でどう活かしていくかという視点も大事です。米国は圧倒的にソフトウェア重視です。その結果、ハードウェアを作ることに対してものすごく脆弱になってしまった。アップルのアイフォンが中国で製造されていたように、これまではハードを中国に作らせてきたわけです。ところが、経済安全保障上の問題で、サプライチェーンが国内で回らないようになった。
片岡:それで米国は今、製造業を自国に戻そうとしていますね。関税率を引き上げても、なかなかうまくいかないと思いますが。

若田部:一方で中国も国内で問題を抱えています。産業政策を推進して成功したと言えば成功しましたが、大量生産の隘路にぶつかっているのも事実です。たとえば、電気自動車が大量に生産され、安価で世界中に溢れてしまった。

そういう意味では、じつはソフトウェアとハードウェアの両方を兼ね備えているのが日本だと再評価されていて、株価が比較的好調なのはそういう側面もあると思います。
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Last updated  2026.01.26 17:42:12
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