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koshka0467

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2005/12/11
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カテゴリ: 観劇記
無計画なチケット購入により、


一日目はムソルグスキー劇場にて、
ソ連期の振付家である故レオニド・ヤコブソンの作品
『ロダン』『婚礼行列』『クロープ』。
ヤコブソンは
きわめてオリジナリティーのある振付家で、
それゆえに当局との様々な軋轢に悩まされたけれども、
1960年代に自分のバレエ団を作ったそうです。

日本ではまず観られない、と聞いて
いそいそと出かけていきました。

『ロダン』はヤコブソンが
ロダンの彫刻に想を得て振り付けた
6つの小品からなる抽象バレエです。
それぞれ、踊り手は1人か2人で、
みな真っ白な全身レオタードをつけています。
くっきりと浮かび上がる体のライン。(きれいだった!)
始めは静止した彫刻である彼らが
音楽(ドビュッシー、プロコフィエフ、ベルグ)で動き出し、
甘い恋やら苦悩やら劣情やらを表現して、


しかし、照明が見にくい!
天井の地明かりを全て消し、
ピンスポットのみでダンサーを追うのですが、
このスポットが弱々しい暖色系の光(普通の電球の色)で、
動きをカバーしきれていないし、

と思いました。(というか、何もしないで、
ただライトを当てただけ、という印象。)

理解に苦しむ照明は『婚礼行列』でもありました。
上手から下手へ、あるいは逆に、登場人物たちが
帯のように列をなして戯画的に行進する演出が
何回かあったのですが、このときも地明かりなしで、
上、下両袖に置いたスポットライトで
真横に照らしていました。
しかしこれだとヘンな影ができて、
実に見にくかったです。
もう少しクリアーに、帯を切り取るような照明の方が
納得いくと思うんだけど。
劇場の設備の問題?アウェー公演だったしなぁ。

そういうこともあって、私は最後の『クロープ』が
いちばん気に入りました。
これはマヤコフスキーの創作過程を踊りにしたもので、
彼の作品の登場人物たちが
カラフルなハイカラ・ファッションで
ちょろちょろたくさん出てきて、
後ろでベストにワイシャツ、ネクタイのマヤコフスキーが
あれこれ指図。言うことを聞かない登場人物は
首根っこつかまえて殴る蹴る。
でもしまいに彼は、この作品をボツにすべく、火をつける。
登場人物たちは正座してマヤコフスキーのほうを向き、
拝む、怒る、じたばたする。
この動きが二度繰り返されるラストが、
破滅的なんだけどとってもキュート。
途中で自殺を暗示するシーンもあるんだけれども、
暗さであれ何であれ、なにもかもを
毒々しい狂騒的な笑いに包んでしまって
コミカルにハイスピードで描く、
という軽みが、とても印象的でした。
日本で言ったら、ちょっとNYLON100℃を思い出させます。
だからこれって、ヤコブソンの「バレエ団」じゃなくて、
「劇団」って言われても違和感ないな、と思いました。
ものすごく踊れる「劇団」。あるいはヤコブソン一座?

  (ところでこの公演があった劇場、
   「ムソルグルキー劇場」「マールイ劇場」
   「オペラ・バレエ劇場」「ミハイロフスキー劇場」と、
   人によって呼び名がまちまちです。
   なんで?と思い、劇場で正式名称を見てみたら、
「ムソルグスキー・ミハイロフスキー名称
マールイ・オペラ・バレエ劇場」
   と言うのでした。長いよ…)





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Last updated  2005/12/14 06:34:42 AM
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