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そうやって通りを歩いていくと、80歳といくつかのおばあさんに出会った。お久しぶりね、大丈夫?でも元気そう、よかったわて言われる。おばあさんはきれいにお化粧をしていた。この人のことをなんて呼んだらいいのか、いつも迷うんだ。それで、お元気そうですね、てそれだけ言う。そうなのよ、このまえ頭の検査をしてもらったんだけど、頭の中がきれいでね、40代の頭ですよ、て言われたのそれで記念に写真を持って帰りなさいって言われてね頭の中がきれいってどういうことなんだろうなんだかおかしいなにかを想像してみようと思うのだけれど、それで少し笑ってしまう。ほら、あそこの病院、いま建て替えているでしょう?それでかしら。ふつう、レントゲン写真なんてあげないわよねえおばあさんは笑うわたしね、いま詩を書いているの詩なんてお父さんが書いていたけれど、わたしはそんなことしなかったのにねなんだかすらすら書けてしまってね、こんど読んでくれる?おじいさんは去年亡くなったのだ。ずっと若いときにエイゼンシュタインの「モンタージュ理論」をくださった。本当は貸してくれたのかもしれない。でもその本は、おじいさんがなにかの包み紙でつくったブックカバーにくるまれていまでもぼくの本棚におさまっている。おばあさんの家のお嫁さんの赤い車が近づいてきてそれがきっかけで、それではね、身体、大事にね、ておばあさんは言う。わたし、これからちょっと出かけるからお嫁さんが車の中から頭を下げるお嫁さんの髪の毛に白いものがまじっている
2009年08月26日
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そうそう、この写真をとった次の日だった。それは突然やってきて、喋ろうとしてもうまく喋れないのだった。びっくりしたな。でも案外冷静でいられた。後から少しこわくなったけれど。○○さんの文章はニュートラルだから安心です、て、言われた。そういうことが素直にうれしい年齢になったんだと思った。久しぶりに仕事場まで歩いた。日が差してきた。それで黒いシャツから白いシャツに着替えた。まっすぐにのびる細い道は、しんとしていた。昼下がり、誰もいない日の当たる路地を描いた樹村みのりさんの漫画を思い出した。あれはなんという作品だったろう。旅先のセブンイレブンで買った500円のトートバッグが気に入っていて、この日もそれを持って出かけた。ホテルにあずけた黒いカバンにはPCが入っていて重いんだ。友だちはPCを残して死んだ。
2009年08月26日
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