草加の爺の親世代へ対するボヤキ

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2020年07月13日
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前回、「太郎と花子の物語」の習作をデッサンしてみました。

 非常に難解なテーマでしたが、かなり大勢の人たちからの興味と関心を喚起することになったようで

す。

 成功すれば、相当にユニークで画期的な作品が実現するだろうと思われ、創作意欲を刺激されますが、

現在の私には、何というか、気力に欠ける所があって、少なくとも当面は仕事に取り掛かることが、出来

ません。

 その時期が来たならば、駄作に終わろうが、自分の持てる全精力を傾注して挑戦するつもりでおります

が、そういう事情ですので、しばらくは御容赦ねがいます。

 で、今回は、えつこ曼荼羅つれづれ草の追加を、思いつくままに草することに致します。



いのですが、兎に角、書いてみる事にします。

 悦子の父・慶吉氏は遠洋漁業と言うか、捕鯨船に出稼ぎという形ででしたが、長年船に乗っていまし

た。そのせいか、囲碁がとても上手でした。ヘボの横好きの私など、赤子の手をひねるようで、勝負にも

ならない格段の実力差でしたね。

 この舅の御人柄というのか、地味ではありますが、日本男児らしい持ち味が、私は、ある意味では娘の

悦子以上に好きでした。慶吉氏の如き男性のタイプは、人生で始めて出会う、そういう意味では非常に稀

有なキャラクターだった。

 都会で育ち、軽佻浮薄を絵に描いたような人物にばかり取り囲まれて育って来た私には、新鮮で、とて

も魅力のある御人でしたよ。悦子は先ず、父親の良いところを全部引き継いでいると思います。

 父親だけを取り上げたのでは片手落ちになるますので、姑のとみよ刀自についても触れてみましょう。

 義理の母も、良い意味の田舎育ちを持ち味とする、ユニークなお人でした。巧まざるユーモアのセンス



 私は、この義母の作った「とって投げ」、つまりスイトンが大好きでした。小麦粉(?)を捏ねてから湿

らせた布巾に包んで、一晩寝かせるのがコツだとか。

 私の実母の作ってくれたスイトンも、なかなかなものでしたが、義母のものはそれを一枚も、二枚も上

手な、上品な味わいを持っていたのを、よく記憶しています。

 序と言っては何ですが、悦子の兄と弟、そして妹についても一言ずつ述べておきましょうか。長男の登



の頃、私は悦子と知り合って間もない夏のことですが、築地(?)の船員会館で初対面の挨拶をしたのです

が、自家製のホヤの塩辛をご馳走になったのを、忘れずにいます。

 弟の守さんは非常に姉思いのお人ですし、妹の累子さんはとても素直な、純朴な方です。

 筆の序と言うのもおかしな表現ですが、ここまで書いたら、この素敵なお二人さんに言及しないのは片

手落ちと言うことになるので、ご紹介しましょうね。

 お一人は、金町小町と言うか、とびっきりの美人です。長谷礼子さん。悦子より少し年長者ですが、御

心持ちのとても良い方。ハートの美人でもある。

 そして、幼な馴染みの同級生で、現在でも青森県の野辺地にお住まいです。この熊谷礼子さんも、女優

さんにも引けを取らないという、とびっきりの別嬪でいらっしゃる。そして、心根の方も超がつく程の優

しさ。

 天は二物を与えずと申しますが、このおふたりの礼子さん達は、自然にこの二つの美質を身に備えてい

らっしゃる。

 このように書いてきますと、何か私が殊更に悦子を取り巻く親しい人々を美化して表現している如く

に、或いは受け取られるかもしれませんが、さにあらず。類は友を呼ぶの譬え通りで、掛け値なしで素晴

らしいお人ばかりなのですね、実際のところ。

 さて、こう書いて来て、誰か忘れていませんか、と女神の悦子が耳元で囁くのが聞こえましたよ。

 そうです、大切な御方を書き漏らすところでした。浅草今半の社長の澤井映子様です。

 この御方も勿論美人なのですが、それよりも人使いの巧さで老舗を更なる繁栄へと導いていらっしゃ

る、名社長なのです。そして、悦子は生涯の最後にこの社長と運命の出会いを遂げたことで、接客者とし

ての大輪の花を咲かせる事が、出来たのでした。悦子と澤井社長とは、お互いの長所を熟知し合った素晴

らしい、幸運な出会いを遂げたのでした。本当に有難い事でした。

 こうして見てくると、悦子は生家の家族以外にも、とても充実した人間関係を築き、ハッピーな生活を

エンジョイするべく運命づけられていた。そう、結論づけて良いようです。

 女性でありながら、女性が好きで、だから悦子の周りには美人女性ばかりが集まるという、実にもった

いないような現象が、自然に生じていたわけですね。

 こういう言い方もおかしいのですが、悦子は生来「男」という存在に興味や関心を持たなかった。そう

言い切ってしまっては嘘になるでしょうが、私以外には強い牽引力を感じなかった。少なくとも、そんな

風な表現なら、当たらずと言えども遠からずでしょうか。

 それからこれは余計な事で、言わずもがなの所が多分にあるのですが、オカマなる変種の女性が大好き

だった。それも、セックスアピールを少しも感じないで接する事が出来るから、という理由で。何も、本

人から確認をとったわけではありませんが、私にはそんな風に感じられました。

 一口に男勝りと言いますが、悦子はずばりそういう男勝りの典型でした。だから、良い意味で男っぽく

てさっぱりしている。だから、女性に特有の 嫉妬 の感情などとは全く無縁だ。そう、頭から信じて過

ごしていました。だから、何時だったか、電話で八戸の義弟・守さんと会話をしている際に、私がうっか

り、「彼女は女っぽくないから、嫉妬など心配する必要がないから、気楽でいいですよ」と言ったとこ

ろ、「何をいってるのですか、克征さん。克征さんが仕事で地方などに長期間行って、家を留守にしてい

た時などには、俺の所に頻繁に電話してきては、(浮気が)心配だ、心配だって、ぼやいていましたよ」と

軽くたしなめられた覚えがあります。

 そう言えば、彼女はほんの時折、私が「おやっ!」と思うほどに、私の前で実に女っぽい仕草としな

(嬌態・科)を示す事がありました。本当に巧まずして、自然に垣間見せる女性らしい魅力あるポーズ。

 そんな瞬間的でチャーミングな映像が、私の脳裏に強く焼き付いているところからすると、直ぐに忘れ

るともなく忘れていたのですが、私も相当にその瞬間瞬間で、悦子の「女」にチャームされていたに相違

ないのでした。

 過剰な嫉妬と言い、時折の仕草と言い、悦子はやはりごく普通に女だった。それを、勝手に私が男っぽ

いなどと決めつけていただけにしか過ぎなかった。

 ごく当たり前で、普通の女だって、神仏の使い姫となることは可能だし、死後には私の守り神に変じる

事も有り得ることなのだ。

 「古屋さんの、家の奥さん」と仕事をご一緒した局プロがよく言っていた時期がありました。仕事以外

の話題が必要な時に、私は口が滑っても、間違っても、自分の妻をネタにしておく分には、問題はないと

考えたので、雑談の際に決まって家内の事を持ち出したので、それを揶揄するように言うのが、「古屋さ

んの家の奥さん」だったのですが、御存知の方もいらっしゃるでしょうがアメリカの刑事ドラマで『刑事

コロンボ』と言うのが当時流行っておりました。それから私は安直にお借りしただけで、仕事中も家内の

ことばかり考えたり、思ったりしていたわけではありません。それどころか、家を一歩出ると、仕事の事

ばかりが頭の中に居座っていて、悦子のえの字も思い出さない仕事一筋の人間でしたね。掛け値なしで、

私はそれだけの人間でしたよ、実際のところは。

 今になって考えてみると、悦子はそうした意味でも完璧な女房であって、亭主に我儘一杯を精一杯頑張

ってさせてくれていたわけだった。私は、お釈迦様の手のひらの上できんとん雲で飛び回っていた孫悟空

のような存在だった。

 何から何まで、実に至れり尽くせりとはこの事で、私は名実共に「世界一の、いや、この宇宙で最高の

果報者」であったし、今現在も、そしてこれからもそれは変わらない。

 私は時折、過去を振り返って、自分が実際に経験したことでありながら、あれは本当に自分が体験した

ことだったのだろうか、と訝しく感じることがある。それくらい、過ぎ去ってみると、現実離れして感じ

る経験ばかりを閲して来ている、本当の、本当ですよ。

 以前に、二人の息子たちと差しで会話を楽しんでいた際に、長男も、そして次男も、決まった言ったも

のでした。「お父さんの話は、要するに自慢話だけなのだ」と。私は、最初は唖然としてしまって、二の

句が継げなかった。何故と言って、私には「自慢をする」などという意識はまるでなかったから。ただ、

自分が経験した、ちょっとだけ他人とは違った体験を、有りの侭に、懐かしく語ったに過ぎない。

 考えてみれば、芸能界で活躍する超有名人が次々に話題に登場する私の過去話は、実際「自慢げな法螺

に近似した、それ故に浮世離れのした自慢話」としか、本人以外の人には聞こえなかったであろう。

 実際、悦子も語っていた事があった、「あの渡辺 謙さんや松平 健さんなどというスターが、私にま

で丁寧にご挨拶して下さるなどとは、夢にも考えたことはなかった」と。

 おや、おや、またまた「自慢話」の方に話が逸れてしまいましたね。御退屈様でした。今回は、ここま

でと致しましょう。





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最終更新日  2020年07月20日 14時36分53秒
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