日々おだやかに、心豊かに

日々おだやかに、心豊かに

2023.07.05
XML
カテゴリ: 季節を楽しむ


キュウリやナスのはしりが出始めると
ぬか漬けが漬けたくなります。



私の母は、ぬか漬け名人でした。
十年以上のぬか床をそれはそれは大事に大事に
目まぐるしく忙しい時でも、熱があっても
必ず一日に一度、夏には3度もかき回して。



夏になれば山椒を入れたり、
ナスの葉や柿を入れたり、
冬になればゆずの皮も入れていたなあ。




愛情込めて
母の手の中で

じっくりじっくり
乳酸菌が育っていく。




茶色い壺に入ったぬか床。
毎朝毎晩、母は漬けた旬の野菜を食卓に出してくれた。

私が小さな頃からおなかを壊したことがほとんどないのは
ぬか漬けのおかげかも知れない。





それはそれは香りがよく
塩のあんばいもよく
酸味のバランスも絶妙。




家庭訪問に来た担任の先生も
お茶を飲みに来る近所のおばちゃんも
母の華道教室に訪れるお弟子さんたちも
みんなみんな母のぬか漬けのファンになっちゃって。



高校3年の時の担任の先生は
卒業前、私が大学合格を報告に行くと
先生は祝いの言葉もそっちのけで
「ところで、お前のお母さんのぬか床、分けてくれ」とささやいた(笑)

もう食べられないと思うと、いたたまれなくなったという。




しかし
生きているものは必ずこの世から去る日が来る。




ぬか漬けは母とともに浄土へと旅立った。


入院する前の晩、
母は念入りにぬかに塩でふたをしていた。
どんな思いでふたをしたのだろうと
いまでも思う。




母の他界後、見様見真似で漬けてみた。
けれども
そこにはもう
母の味はなかった。





それから私は滅多にぬか漬けを食べなくなった。


どんなに美味しいと評判でも
私の舌の記憶は「違う」とつぶやくから。




ところが数年前のこと。

それでもぬか漬けが恋しくなって
自分でやってみようかと試してみた。

もう何度かそういう突発的な欲求と
失敗を繰り返していたのだけど、
今度こそは美味しいぬか床があるかも知れないと
すがりつくような思いで探し出した。




楽天市場で評判のよかったぬか床を買ってみた。
50年継ぎ足したぬか床だという。


これならいけるかも知れない。


すると


どうだろう。


母の味に似ていた。

同じではないけれど、実に近い味と香り。



なつかしい、乳酸菌たっぷりの香り。


添加物や甘味でごまかした味ではなく、
いわば、
ぬか床の神様が下ろしてくれた味。



滋味深い、
身体が真に喜んでいるのが分かる味。





ぬか床の色味を見ただけで、美味しそうだってなんとなく分かる。



庭で採れたキュウリやミニトマトを漬けてみた。


寒い間はジップロックで封をして
冷蔵庫で寝かしていたのだけれど

足し床を買い足して 、復活。




毎日かきまわさなくても大丈夫なところが
不精なワタシに合っていていい。

野菜にほんの少し塩をまぶして
ぬか床に入れ、冷蔵庫に寝かしておくだけ。

半日~1日で極上のぬか漬けができている。



たまにクッキングペーパーをかぶせて、
水分を抜いてあげるくらい。
(ちなみにこのペーパーを顔に5分くらいパックすると最高)



さあ、今年もおなかの中から元気な夏を始めようっと。










お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2023.07.06 00:56:29


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Profile

オレンジミント7272

オレンジミント7272

Keyword Search

▼キーワード検索

Calendar


© Rakuten Group, Inc.
X

Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: