眠れない夜のおつまみ
2026
2025
2024
2023
2022
2021
2020
2019
2018
2017
2016
2015
2014
2013
2012
2011
2010
2009
2008
2007
2006
2005
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
全1件 (1件中 1-1件目)
1
俺は人の波に紛れながら、ゆっくりと街を歩いて行った。何でこいつらは笑っていられるのだろう。能天気な表情の奴らを見ると不思議に思う。いつから、こんな風に思うようになったのだろう。3人組の女子高生が笑いながらすれ違って行った。俺の高校生活は大して楽しくも無かったし、卒業してからは、この病気になってしまった。大きな夢は随分前に消えて、俺の目の前には灰色の霧が掛かった道しか見えなくなっていた。それなのに、そんな微かな灯かりさえも病気に奪われた気がした。今は真っ暗な道を、もがき苦しむことなくノロノロと前も後ろも分からないまま彷徨い歩いている。それは自分の意思ではなく、いい意味ではなく歩かされている。言葉で言えばそんな感じだ。頬に雫が垂れるのを感じた。空を見上げると雨雲が広がっていた。そして急にスコールのような激しい雨が降って来た。天気予報は当たりやしない。傘なんて持っていやしない。今まで、真夏のうだる様な暑さにノロノロと歩いていた人の波は一斉に雨から逃れるようにビルや百貨店の入り口に消えていった。俺も近くのビルの入り口に小走りに入った。何も用事も約束も無いので、別にこんなハプニングもどうって事は無い。ただ、俺は激しく降る雨を見つめていた。雨は10分ほど激しく降ると今までの事が嘘のようにピタリと止んだ。また焼け付くようなジリジリとした太陽が雲間から顔を覗かした。そして、辿り着く事の無い無い世界へ橋を架けるように虹が現れた。人々は歩く足を緩めて虹に見入った。そして先程の激しい通り雨のように虹もすぅーと消えそうになった。俺は消えていく虹を掴むように右手を眩しい太陽を遮る様に伸ばした。帰りたくない家に帰った。部屋にこもってリビングには行かなかった。家族も以前のような俺の病気に対する必死さが無くなり、脱力しきっている。あの頃に力の限り出し尽くしてしまった様に。以前の家庭の雰囲気も忘れてしまった。ただ、今は心の底では気にしているものの、その感情に熱は感じられず、乾いた砂のように強風が吹けば飛び散ってしまうような気がする。多分、そんなことは間違いだとは思うのだが。そこまで頭でいろいろ考えると、「はぁ~」と深いため息をついた。そして、いつの間にか眠りについていた。目が覚めると午前一時を回った所だった。そう言えば今日出会った、かおると言う女、もう仕事が終わる頃だろうか。一時を回ってから何も考えず携帯をダイアルする。すると意外にも通話中だった。暫く経ってもう一度かけてみる。ツーツーと言う通話中の音がする。急に頭に昼に見た虹が浮かんだ。虹をかき消すように「馬鹿な・・・。」と呟いた。そうか、考えてみれば恋人がいるのかもしれない。今まで、そんな事考えもしなかった自分が可笑しく思えた。じゃ、今日確かめておこう。恋人がいる女とゲームする気は無い。もう一度リダイアルしてみる。3度目でやっと出た。一番最初にかけて30分経っていた。「もしもし。かおるさんですか?」「・・・い。哲・・・です・・・。」電波が悪いのか途切れ途切れにしか聞こえない。30分待たされて何てこった。「もしもし。聞こえますか?」「・・・い。こっちは・・・・ですけど。」ザーという音が聞こえて携帯は切れた。一体どんな所に彼女はいるんだろう、と携帯を訝しげに見つめた。すると着信音のTUNAMIが鳴った。もどかしい記憶 第四夜 鬼の涙(6) <つづく>続きが読みたいと思ったらクリックしてね! → 人気blogランキング+ちょっと一言+かなり遅くなりましたが、これ連載物です。(汗)体調不良が続いておりまして、こっちまで書けませんでした。本館のほうもぼちぼちとやっているのですが、ずっと気になっていたこちらを久しぶりに書いて見ました。書き始めると、いろいろ文が浮かんできて(行き当たりばったりな何も考えない拙い文章ですが)楽しかったりします。更新は今後も遅いと思いますが、読みに来てくれる方、今後もよろしくお願いします。あまりに放置が長かったので、名前忘れて自分で読み返しました。(爆)んでは!
2005/08/18
コメント(4)