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2023.10.14
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第35話「月と星の関係」

袁慎(ユエンシェン)は程少商(チォンシャオシャン)と凌不疑(リンブーイー)の婚約の宴から追い出される汝陽(ジョヨウ)王妃と城陽(ジョウヨウ)侯夫人を目の当たりにした。
「程娘子の婚約は慶事と言えなくもないが、汝陽王にとっては大慶事だな…」
「″言えなくもない″って何よ?」
少商は回廊にいた袁慎の失礼な物言いを聞き逃さなかった。
「そんなに嫌味ったらしいのは嫉妬しているから?前の縁談が潰れてもすぐ次が決まった
 善見(シャンジエン)公子なんて子晟(ズーション)と同年代なのに妻もいない
 今日は世家の娘が大勢来ているから私が取り持ってあげましょうか?」


万松柏(ワンソンバイ)が凱旋、匪賊を討伐して無事に人質だった王隆(ワンロン)を解放した。
事情を聞かれた王隆は、持ち場を勝手に離れたのも父・王淳(ワンチュン)の軍令に従ったからだと釈明したという。
皇太子は自分が慎重に調査すると申し出たが、その時、廷尉(テイイ)府・紀遵(ジーズン)が自分たちに任せて欲しいと嘆願した。
「善見、陛下にご挨拶を…」
仕官した袁慎は御前で拝礼し、見解を述べようとした。
すると凌不疑が話を遮り、実は昨夜のうちに調査を済ませたという。
実は王隆への軍令は文修君(ウェンシウジュン)が夫の文として偽造し、印章も偽物だった。
しかも文修君は寿春(ジュシュン)にいる弟・小乾安(ケンアン)王を援助するため、銭の鋳造をそそのかしたという。
皇帝もこれ以上かばい立てできず、文修君の封号を剥奪して自害を命じ、また王父子は官位を剥奪され庶民に落とされた。

朝議が散会した。
すると朝堂を出た凌不疑に少商からの差し入れが届く。

「善見、お前もいい年だ、身を固めないのか?」
「縁談に興味はありません」

↓善見ザマアァァァwww


王姈(ワンリン)は長秋(チョウシュウ)宮へ駆けつけ、皇后に母の命乞いを続けた。
しかしちょうど母の見舞いに来ていた五公主が現れ、立ち去らなければ宮廷を騒がせた罪で打ち据えると脅す。

「死にたくなければ黙って…事は重大よ、私たちでは何もできない」

その夜、少商は寿春料理を作って皇帝に届けた。
皇帝は舌鼓を打ちながら老乾安王を懐かしんだが、少商が遠回しに嘆願に来たと見抜く。
すると少主は嘆願が皇后のためでもあると言った。
「皇后は乾安王に養育されました
 文修君がどれほど横暴で不敬な態度でも耐えて来たのは、ひとえに故人を偲んでのこと
 文修君が死を賜ることになり、皇后はまた病に伏されました、きっとお辛いはずです」
皇帝は子晟からも同じことを言われたと明かした。
老乾安王は霍(フォ)兄のために亡くなり、文修君と弟はその乾安王が残した唯一の血脈だという。
「…いいだろう、幸いひどい事態は招いておらぬ、死は免じよう」

王姈は彭坤(ポンクン)へ嫁ぐことが決まり、その前に生涯軟禁となった母を訪ねた。
夫や娘を顧みず大罪を犯した母、しかし未だ過ちを認めず、気概がない娘を引っ叩いてしまう。
すると王姈はついに母を見限った。
「阿母、舅父は陛下への書状で全ての罪を阿母に着せたわ
 自分は貨幣のことも知らず、軍を動員したこともないと…
 最初、陛下は自害を命じた、でも皇后に免じて監禁に留めてくださったのよ」
結局、文修君は自分が守ろうとした弟に裏切られ、恨んでいた相手に命を救われることになった。
それでも文修君は弟をかばい、全ては大局を考えてのことだと訴える。
王姈は哀れな母に深くし失望し、寿春へ行ったら毎日、皇帝と皇后のために祈ると言った。
「あなたは永遠に実現しない夢を見ながら、この部屋で一生、過ごすのね」



五公主は病み上がりの母后を訪ね、寿誕の宴を自分に任せて欲しいと頼んだ。
父皇は少商を指名したが、母后から推薦して欲しいという。
しかし皇后は娘が宴の予算に目をつけ、自分の懐を潤すつもりだと分かっていた。
五公主は悪びれる様子もなく、幕僚たちを養う元金が必要だと訴える。
その時、どこからともなく甘い匂いが漂って来た。
「(クンクンクン…)何の匂いですか?」

少商が新しい甘味を作っていると、皇后と五公主が様子を見にやって来た。
「また子晟に食べ物を?」
実は大臣たちも少商が子晟の馬車に差し入れを運ばせているのを目撃し、今や賢妻と評判になっているという。
「でも孝行者とは聞かないわね~」
皇后が遠回しに嫉妬すると、少商は今回の試作が皇后のためだと教えた。
早速、試食した皇后は甘くて美味しいと笑顔、そこへ皇帝が凌不疑を連れてやって来る。
「…誰かさんは朕より皇后を喜ばせられるようだな」

少商は皇帝にも新しい甘味を勧めた。
飴糖(イトウ)は高価なため甘蔗(カンシャ@サトウキビ)を絞り、小豆と糖汁を煮詰めたという。
すると少商は五公主を尻目に不疑にも甘味を渡した。
「ご安心を、甘蔗は自腹で買いました、皇后を喜ばせるため一文なしです、ふふふ~」
「そなたは孝行者だな、子晟、お前の新婦は出来がいい」
皇帝は喜んで不疑に食邑200戸を授けたが、少商はなぜ自分ではなく不疑が褒美をもらえるのか分からなかった。

↓(๑・᷄ὢ・᷅๑)何でなん?


五公主は娘の自分を差し置いて父皇と母后に寵愛される少商が面白くなかった。
すると帰りの道すがら回廊で偶然、駱済通(ルオジートン)と出くわす。
「あなたは私の伴読を務め、翟(ジャイ)媪(ウバ)を支えて宮中の雑務を行って来たわ
 でも母后は差配を程少商に任せるそうよ?
 …母后はあなたを十一郎に与えると思ったのに、まさか先を越されてしまうなんてね~」
駱済通は寛容な対応を見せたが、内心は少商に激しく嫉妬していた。
その気持ちを見透かすように侍女の春笤(チュンティアオ)は皇后の寵愛があっさり少商に移ったことに不満を漏らす。
しかし何にせよ誰が皇后の意向に異論を唱えられるというのか。

その夜、少商は皇后に今日の皇帝の褒賞について尋ねた。
「陛下は私を褒めたのに、子晟に褒美を与えました…
 200戸が惜しいわけではなく、私の出来が良かったのになぜ子晟の手柄になるのですか?」
すると皇后はかつて楼(ロウ)家で少商が皇帝から表彰されたのは子晟が願い出たからだと明かした。
当時、子晟は自分の褒賞を求めず、少商が楼家で見下されぬよう嘆願したという。
何も知らなかった少商は驚いたが、ただ周りから子晟の妻としか見られず、自分自身がないことに納得できなかった。
皇后はならば皇帝の麾下(キカ)である将士や大臣たちなど自分の居場所すらなくなるという。
「良策を立て戦に勝利しても陛下の領土を広げただけ、自分たちとは何も関係ない
 策が悪く、破れれば陛下の落ち度になる…でも古(イニシエ)よりこの満天の星の下では
 合従(ガッショウ)や連衡を唱えて来た名将や策士も同じ星の河に名を連ね、明るくその輝きを放つ…」
皇后は孤独に育った少商がこれまで自分の栄辱ばかり考えて来たが、成婚すれば別のやり方が必要だと諭した。
「…皇后の言うとおりです、郎君が陽光で万里を照らすなら、私たち女は明るい星、星河に輝く」
少商は日月と星河に高低は関係なく、互いが欠かせない、共存することでこの天地を成すのだと理解した。

程家では一家が宮中から戻らない嫋嫋(ニャオニャオ)を恋しがっていた。
嫋嫋がいない食卓は火が消えたようだったが、老夫人だけは気にかける様子もなく食欲が落ちることもない。
すると朝餉の時間というのに突然、凌不疑が尋ねて来た。
実は少商が皇后の寿誕の宴を仕切ることになり、皇帝に命じられて宮中に留まることになったという。
「宴が終われば帰れるかと…
 それで少商が暮らしに困らぬよう、使い慣れた小物を取りに伺いました」
程始(チォンシー)は了承したが、凌将軍は全ての荷物を運び出し、少商の部屋は空っぽになってしまう。

つづく


( ゚ェ゚)そしてまた独り消えた…
ようやく原題の意味が出て来ましたね





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最終更新日  2023.10.14 15:32:12
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