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正直、返答に困った。 橋川に話してもいいものなのか。 とりあえず、うなずいて思い出したとだけ伝えた。 橋川は目を見開いたまま、私を凝視している。 言葉に出さないけれど、何があったのか知りたいと、目に、態度にあらわしている。 他人の私情に深くかかわる事柄だ。 できれば橘さんに聞いてからがよかったけれど――。 私は考えてからおずおずと口を開いた。「この家とは……どんな関係があるの?」 それは前々から知りたいことだった。 兵藤の家で橋川と出くわす機会をうかがっていたのも、それを知りたいがためだ。 もともと聞くつもりでいたけれど、今は状況がすこし異なる。 橋川の答えによっては、私は美菜恵さんとのあの日の出来事を、話すことはできない。 橋川と兵藤家がつながりが深いとは感じているけれど……確固たる確信が欲しかった。 橋川はひるんだように息をのんだ。「なんで、そんなこと……」「話せないなら、私も教えられない」「……なんで」「関係のない人に話せることじゃないから」 遠まわしの言葉の意味に気づいたのだろう。 橋川は口をつぐんで思慮をめぐらした。 ……考えても、行きつく先は同じだ。 観念したように橋川は目を閉じて息をついた。「兵藤は俺の……橋川の一族に類している」「……一族」 どこか非現実めいた言葉に、自分でも知らず知らずのうちに、橋川の言葉をくり返していた。 つぶやいた私の言葉にうなずいて、橋川は簡単な説明を告げた。 橋川は旧家の流れをくんでいて、名家としても知られている。 兵藤は橋川から派生(はせい)し、橋川の一族に属するのだという。 兵藤のように橋川から派生した別姓の一族はほかにもあるけれど、家が近しいこともあって、兵藤と橋川は往来のある、近しい関係をもっていたのだそうだ。 具体的に、家系図から見て、家としてはどれほど近しいのかと聞くと、橋川は少し考えて「……話すと長くなるけど」といった。 それでも話をきくかと言われて、私は首を横にふった。 理解できるとは思えなかったから。 今でも現実味にかける内容に、頭がついていっていないのだ。 橋川は何でもないことのように話すから、同じように聞き流すところだったけれど。 よくよく考えると一族がどうとか。旧家などの流れをくむ人……ということ? 念のため、橘さんとのつながりを聞くと、橋川は顔をしかめた。「うちの会社の従業員」 橋川の家は会社をいくつか持っていて、橘さんはそのひとつの従業員になるのだという。 そういいながら「……役員になってたか?」ともつぶやいている。 従業員と役員はぜんぜん違うじゃない。 ……と、胸のうちでつぶやきながら、ひどく困惑していた。 会社をもってるとか、旧家とか、橋川の家がそんなふうだなんて、聞いたことがなかったから。 考えもしなかった内情を知ってしまい、また普段の生活からあまりにも縁遠い話に、言葉は頭に入っていくけれど理解はできていない。←148※ 参加中。お気に召したらクリックをお願いします。 ※ ブログランキング
2006年12月31日
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お、わった~~!! やっと更新できた保管庫。 年内にどうにか間に合った。 ツメが甘くて、メールフォームの設定が上手くできなかった。 タグで作った(テンプレート使用させていただいて)もので試しに送信してみると、ナゼか警告が出るし。 よく意味がわかんなかったけど、何だか不安をかりたてるものだったので、引き下げて、フリーのメールフォームを急ごしらえで使用。 やっぱりUPしてみないとわかんないものってあるなぁ。 今日は大晦日。 食卓はなぜか豪勢で。 年越しそばに、寿司に、オードブルに。 そばとお寿司の途中でギブ。 久しぶりに「……もう食べれない……」ってくらい、おなかが一杯になった。 私としては「え? これだけでもう満腹?」と驚いて。 そばも少なめにしたのにね。 お寿司も4つで終わりだなんて。 ……胃が小さくなったのかなぁ? そんな意識はないけれど。
2006年12月31日
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ようやく改装が終わりました。 あとはUPするのみ。 だけど、これから仕事なのでそちらに出てきます。 今日中には大丈夫でしょう。 ……このさい、元旦にUPしようかとも考えたけれど、私が待ちきれないんで、今日中UPすることに。 不具合がなければいいけどなぁ。
2006年12月31日
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保管庫製作ももう少しで終わりそう。 長かったよ!! とくに小説のページ!! ブログでは毎日更新しているのに、保管庫の更新ができなくて、結構苦しかった。 更新したいのに!! ネタはあるのに!! このジレンマが何ともかんとも。 ブログで更新中の第二部。 半分いったかどうかってところかな。 早ければ、明日には更新できそう。 あ。でも明日は仕事だ……。 (二時間程度だけど)
2006年12月31日
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橋川は私をじっと見たあと、あきらめたように目を伏せた。 そうして客間の一つに案内したあと、自分は部屋から遠ざかる。 伸江さんのもとへ行くのかと体がすくんだけれど、少し離れた先でお茶の用意を頼んでいるのが聞こえた。 叱責(しっせき)や非難はないようだ。 そのことに安堵しつつ、私は橋川が客間に戻って、彼が座ってから向かい側に腰を下ろした。 その客間は、橘さんのときに案内された部屋とはまた別の場所だった。 家具の配置や棚のつくりが違うから、一目でわかった。 そうして向かい合わせに座ったものの、どう切り出せばいいのかわからず、私はうつむいていた。 橋川も何も言わない。 静かな沈黙が広がっている。 緊張はしているけれど、不思議と体の強張りはなかった。 やがて伸江さんがコーヒーと紅茶を持ってきてくれた。 どちらがいいかと聞かれて「紅茶」と答えると、橋川が受け取って渡してくれた。「いいの? ……そっちで」 聞くと「もともとコーヒーの方がよかった」と橋川は答えた。 伸江さんは、私が紅茶を好むとおぼえていてくれたようだ。 同じく、橋川がコーヒーを好むことも知っている。 一礼して下がる伸江さんを見送って、さらに時間をおいて橋川がさきに口を開いた。「あいつ、なんていった?」 紅茶を飲んでいた私は、こくんと一口飲みきって「あいつ……」と橋川の言葉を反芻(はんすう)する。「橘」 返答に困った。 橘さんとはいろんなことを話したから、橋川が何をさしているのか、判断しかねた。 さっしたように、橋川は言葉を重ねた。「脅(おど)されたんだろ」「脅すって……」 思いもしなかった言葉に、あわてて私は首を横にふった。 そんな私を見て、橋川は眉間に皺をよせた。「なら、なんで……」「私が……知りたかったから――思い出したかったから」 橋川は理解しがたいといった表情で、顔をゆがめている。「吐き気がするほど、キツいのに?」 ……ふと……本当になぜだか唐突に、理解した。 私が兵藤の家に来て、橋川とはちあわせたとき。 橋川は橘さんにかかわるなと言った。 あのときは兵藤の家は橋川のプライベートに関わる空間だから、嫌っている私がうろつくのが目障りなのだろうと考えていたけれど。 もしかしてあの時も……私を気づかってああ言ったのか。 つらい記憶だと、知っていたのか。 思って、圭介からあの日、家に帰ってからの状況を聞いていたのだと思いなおす。 間接的であれ、ただごとでないことが起こっていた。 クチナシの庭との関連付けがあれば、橋川ならそれが兵藤の家であったことだと連想しただろう。 念のため、何があったのか知っているのかと橋川に聞くと、視線をそらせながら「この家で……あの人が関わってるなら、ろくでもないことだろ」と苦く告げる。「くわしいことは……?」 たずねた私に橋川は首を横にふった。 そうしてふと思いついたように、見開いた目を私に向けた。「思い、出したのか?」←147※ 参加中。お気に召したらクリックをお願いします。 ※ ブログランキング
2006年12月30日
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右往左往、挫折中の保管庫製作。どうにかうまくいかないものかと試行錯誤中。で、タグを紹介しているサイトにお邪魔して、使いたいタグをさがしていると「え! こんなのもあるの!」と、そんなタグを見つけたり。奥が深いよ。ホントに。使えるぞ。これは。と、思って試してみるものの、ほかの表示がおかしくなって、それが修正できそうにないので、使うの断念。タグって一長一短ってのが多いなぁ。「使うものだけ覚えてればいいや」って人間だったので、知識の浅さが浮き彫りに。……少しはほかのにも目を向けて勉強しよう。
2006年12月30日
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部屋に戻ると、ベットに座っていたサキが私の姿を見るなりすっくと立ちあがって側に来た。 所在なさげに縁側に立っていた橋川にかまうことなく、まっすぐに私のもとに来ると、花瓶をとってすたすたと歩いていく。 どこに行くのだろうとその後姿を見ていると、数部屋向こうの客間に入っていった。 様子が気になって後をおってみると、サキは応接用の卓に花瓶を置いてひどく満足そうにその景観を眺めていた。 遅れて橋川も様子を見に、私の隣でサキの様子を見ていた。 サキが何をするでもなく、また彼女に何もなかったと知ると、橋川は軽く息をついて安堵している。 学校では見ることのない表情だ。 珍しいものを見た心地もあって、傍らに立つ橋川を眺めていると、視線に気づいた橋川も私のほうに顔を向けた。 けれど橋川は、視線がかち合うと気まずそうに眉をひそめてすぐ視線をそらす。「花束は……いつも?」 思い起こせば、この家屋には何かと花が多い。 花を見るなりかけよったサキを見れば、橋川がたびたび花を持ってこの家に来ているのだろうと想像できた。 話しかけた私にひるんだように、橋川は少し言葉をつまらせてからうなずいた。「……白い花が、好きだから」 視線はサキに向けられている。 つられて見た先ではサキが卓にほおづえをついて、花瓶に生けた花をじっと見つめている。 そんな好みがあるなんて、初耳だ。 視線を感じて傍らを見ると、橋川が私を見ていた。 何か言いたそうに……けれど、何と言っていいのか、はかりかねている表情だ。「……いつから?」 考えたすえに、出てきた問い。 あたりさわりもなく、橋川自身も知りたいことだ。「圭介と……二人が謹慎処分になって少しあと、かな」 橋川の眉間に皺がよる。 想像より長い期間だったのだろう。 ほぞをかむように奥歯に力をこめた様子がうかがえた。 ちらりと屋敷の奥を盗み見もした。 そのさきは……伸江さんがいる方向だ。「ねえ」 意識を伸江さんからそらすように、私は橋川に声をかけた。 伸江さんが非難を受けるような事態には、したくなかったから。 そんな思いもあったけれど。 告げた言葉は、ずっと橋川に言おうと思っていたものだ。「少し……話す時間、もらえないかな」←146※ 参加中。お気に召したらクリックをお願いします。 ※ ブログランキング
2006年12月29日
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昨日は長めに更新。 最初はおとといとその前をあわせて一つ分の更新と考えていたけれど、長くなるので二つにわけた。 けど、今回はわけずにきりのいいところまで進めた。 ブログでの一回分の更新量って、適度はどれくらいだろう?
2006年12月29日
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呆然と、橋川は立ちつくしていた。 サキは橋川から花束を受けとると、のぞきこんでしばらく見たあと、ふり向いて私に差しだした。 つきつけるような渡し方だった。 花瓶に生けてくれというのだろう。 そう察して受けとると、サキはベットに腰をおろす。 花束はカラー数本にオレンジのガーベラ、かすみそうで彩(いろど)られている。 花瓶のありかを伸江さんに聞こうと、台所に足を向けた。 部屋を出るさい、傍らを通った私に、橋川ははっと我に返ったようだった。 呼び止めようとする彼に「すぐ戻るから」と告げて、伸江さんのもとへ行った。 橋川は何とも言えない、複雑な表情をしていたけれど、私の言うとおり待ってくれた。 ……何を言っていいのか、わからない。 そう言ったほうが正確だろう。 橋川には私が兵藤の家に通っている事実を告げずにいた。 隠す……という意識は、サキの存在を知って以降、特になかった。 橋川とは話す機会がなかったので、そのまま告げずにいただけだ。 ……その関係に、甘えてもいた。 言葉を交わす機会がないから話さなかっただけ。 そう、自分に思わせていた。 本気で話そうと思えば、いくらでも機会はあったのに。 学校では、周囲の目が気になって、話かけれずにいた。 人目のあるなかで、あの冷たい眼差しを受けると考えると……どうしても足がすくんでしまったから。 だから。 私も橋川も、どちらも逃げ場のない状況を……今日のような機会を待っていた。 伸江さんと橘さんの話から、橋川が数ヶ月に数回の頻度で兵藤の家に来るとうかがえた。 ふたりとも、橋川とこの家のつながりを話そうとはしなかった。 それとなく話の流れを持っていっても、話題をそらしたり言葉を濁したりして事実を明かそうとしなかった。 私が花束を持って伸江さんのもとへ行くと、彼女の顔があからさまに強張った。 それは瞬間的なもので、すぐに頬の強張りはとけたけれど、伸江さんの心情はそれだけで充分わかってしまった。「いらしたの、ですか」 頷いて返事をして、花瓶はどこかと尋ねた。 伸江さんは奥の棚からガラス製の花瓶を出した。 深い瑠璃色の、綺麗な花瓶だった。 手を差し出す伸江さんに、私は花束を渡した。 私が生けるより、伸江さんがしたほうが綺麗だろうから。 伸江さんは花束を受け取ると、きれいに包まれた包装紙をとって、水をはったたらいの中に花をさした。 奥の棚から剪定ばさみをとって水の中で余分な茎を切り、花瓶に生けてさまになるように形を整えていく。 主となるカラーを生けてガーベラをさし、それらのバランスを見ながらかすみそうで均整をとっていった。 伸江さんに礼を言って、花のいけられた花瓶を持ってサキの部屋に戻ろうとすると「立川さん」と伸江さんに呼び止められた。 ふり向くと、不安にかげった眼差しが向けられている。 呼び止めたものの、伸江さんは「その……」と言葉をにごらせた。 なんと言ったらいいのかわからないといった様相だ。 橘さんと橋川の関係を考えれば、そのまま伸江さんと橋川の関係も想像がつく。 伸江さんは橋川に口出しできない。 弁明も、助け舟も出せない。 だから心配も大きいのだ。「大丈夫、ですから」 そう伸江さんに告げて、私はサキの部屋に向かった。 部屋に向かいながら――橋川のもとに向かいながら「……何が大丈夫なんだろう」と苦笑がもれる。 今でも、橋川と向かい合うと緊張で体がこわばるのに。 喉がひあがるというのに。 それでも。 私は彼に確かめたいことがあった。←145※ 参加中。お気に召したらクリックをお願いします。 ※ ブログランキング
2006年12月28日
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気に入ってキープしていた素材をいざ使おうとしたら。その素材がどこのサイトのものかわからなくて、探しに探してようやく見つけた。再度、利用規定を読んで、規律違反に触れないかを確認。サイトによって、規定も違ってくるから。リンクウェアのサイトもあるし。私も素材屋してたころは、リンクウェアにしてた。理由は「素材の所在をはっきりさせたかったから」。ってのが一番の理由。デザイン・構想に関しては、苦い思い出があったのでね。プライベートで。だけれど。すごくショックだったんだ。まあ、そんなこんなで、保管庫更新したいものの、小説のページに時間をさかれていて。今も別窓20くらい開いて作業している状態。あと、平行して年賀状の印刷もね。町内なら、明日までなら元旦に間に合う……かな?
2006年12月28日
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それだけで嬉しいのだと、伸江さんは我が事のように喜んでいた。 私は……言葉に詰まっていた。 手には一輪の寒椿がある。 サキが私にくれた花。 彼女の空疎(くうそ)な世界に、私は存在するのだろうか。 邸宅にあがって縁側にいくと、その縁(へり)に座ったサキが、しゃぼんだまを吹いていた。 虹色の有膜(ゆうまく)は、たゆたうように身を震わせて、やがて球状の姿で空(くう)に舞う。 自分がつくったしゃぼんだまを、サキは飽(あ)くことなく見上げていた。 ……私にもまだ……できることがあるのだろうか。 考えながら、サキを見つめていた。 それからまた、兵藤の家を訪れる日々が始まった。 サキが玄関で待つようなことはもうなかったけれど、私を認識している様子はたびたびうかがえた。 そうして兵藤の家ですごす日々の中。 ベットにすわり、ぬいぐるみをかかえていたサキが、ついと立ち上がって部屋の入り口に向かった。 つられて振りむくと、花束を手にした橋川が、うれしそうに花を眺めるサキにそれを手渡していた。 そしてふと部屋の中に目を向けて――。 サキの部屋にいた私に、息をのんで目を見開いた。 私は立ち上がると、特に驚きもなく橋川の眼差しを受けていた。 予想は、していたから。 実際、橋川を目にして、腹の奥がぐっと重みを増す。 もう、覚悟はできている。←145※ 参加中。お気に召したらクリックをお願いします。 ※ ブログランキング
2006年12月27日
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小説、進まないなぁ。 昨日書いたところも、5行程度で終わるはずだったんだけれど。 まあ、心情をかきこめたから、それはそれでいいけれど。 表示される量を考えて更新している。 一場面の区切りでなく、ね。 最近、朝が起きれない。 疲れがたまって抜け切れてないのかな?
2006年12月27日
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保管庫製作にて。 文字の大きさをどうしようかと悩んで、時間を割いてしまった。 スタイルシートを使えば、私が思っている文字の大きさで表示できるけれど、それをしてしまうと、ブラウザで文字の大きさ変更ができないんで断念することに。 はじめから判っていたけれど、文字の大きさをどうにか、思ったとおりの大きさにしたいと悩み続けて、で「あ! スタイルシートで指定すればいいんだ!」との思考にたどり着いたのだから、おバカとしかいいようがない。 元に戻ってどうするよ。(苦笑) それに気づいたのも、満足できる文字の大きさにたどり着いてからってんだから泣けてくる。 ちまちまと小説ページ製作中。 作っては訂正。訂正のたびに、これまで作ったページも変更しなきゃならないから、すんごく手間がかかる。 文字の大きさ。 個人的にはフォントサイズの2と3の中間くらいの大きさが欲しいんだけど。 スタールシートでないと指定できないものなぁ。
2006年12月26日
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一日のほとんどを自室ですごすサキが、縁側で見かけるようになったのは、私が最後に訪れてからだいたい三日後のことだったと伸江さんは言った。 そのときは特に気にしていなかった。 変化に気づいたのは、それが数日続いてからだ。 縁側ですごす時間が増え、場所も少しずつ移動している。 ――玄関にむかって。 そうして時折、ふと廊下の奥――玄関に続く先をじっと見つめることが多くなった。 それが何を意味するのか、伸江さんは特に気にしていなかった。 橘さんが来ても家庭教師の先生が訪れても、何の反応も示さないのだから。 いつもの気まぐれの一つだと思ったという。 これまでにない奇異を感じたのは、サキが玄関口に座るようになってからだ。 宅配便や集金の人の声を聞くと、脱兎のごとく逃げ出すというのに、それでもサキはそっと様子をうかがいつつ、玄関先にまい戻る。 人との接触が苦手だと知っていた。 これまでは人の行き来のある玄関口と、そのすぐ側の客間は、鬼門のように近づかなかったというのに。 不可解な想いが頭をもたげた。 なぜだろうと考えるようになって、ふと気づいたこと。 それは。 私が兵藤の家を訪れなくなってからの行動だということ。 あの子を、待っているのかと。「そう思いついたときは……胸が震えました」 言いながら私を見る伸江さんの目元は、柔らかく緩(ゆる)んでいて。 まつげがかすかに濡れていた。 ずっと近くで見てきた。 誰よりも長いときを共にすごしてきた。 身の上にふりかかった常(つね)ならぬ出来事に、不憫(ふびん)だと哀れんで。 けれど立場上、立ちいったふるまいはできなくて。 そばで見ていることしか……できなかったから。「今日は……来てくれて……ありがとうございます」 そういうと、伸江さんは深々と頭を下げた。 孫の年にあたってもおかしくない私に対してだ。 私は慌てて「やめてください」と頭を上げるように頼んだ。 お礼を言われるようなたいそうなこと、してないのに。 そういうと、伸江さんは頭を上げて「いいえ」と静かに首を横にふった。「こうしていらしてくださった。それだけで充分です」←144※ 参加中。お気に召したらクリックをお願いします。 ※ ブログランキング
2006年12月26日
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年の瀬ってかんじがしない。年賀状もまだ終わってない。年々、季節を感じにくくなっている。それは多分、仕事に追われてるせいばかりじゃない。年中無休のお店とか、福引のなくなった商店街とか。年末の装いをあまり目にしなくなった。仕事上、季節感あふれる行事に触れないからって理由もあるのだろうけれどね。
2006年12月26日
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そのあと伸江さんも玄関に顔を出した。「こちらにいたんですか」 私と並ぶサキを見て、ほっと息をついている。 伸江さんは私の訪問を知るとすぐにサキを探したのだという。 部屋や庭を見たけれど見つけられなくて、あきらめて玄関へ来ると目当てのサキがいた。 安堵する伸江さんの横を、するりと抜けてサキは家の奥へと歩いていった。 気ままに、思うように動いて。 それは前と変わりない。 そんなサキの背を二人で見送った。 再び私の方を見た伸江さんは、顔がほころんでいた。「いらっしゃい」と告げられた言葉に、歓迎されているのだと感じて、安堵が胸に広がった。 嬉しそうに目をほそめた伸江さんだったけれど、その顔がふと不安に翳(かげ)る。「どうか……しました?」 赤い目に気づいたのだろう。 伸江さんが来たころには涙はおさまっていたけれど、泣いていた名残は完全にぬぐいきれない。 何でもありませんから。 そう言いながら、鼻をすする。 泣いていたのだと勘付いただろうけれど、伸江さんは何も聞かずにいてくれた。 変わりにサキの歩いていったほうを見て、ぽつりとつぶやいた。「ずっと、待ってらしたんですよ」 誰を。と言う代わりに、目を細めて私に顔をむける。 私のことをいわれているような気がして「え」と思わずつぶやいてしまう。 だって。 まさかそんな。 とても信じられなかった。 サキは他人の行動に関心がない。 誰が何をしようが、興味をもつことじたい、ないに等しかった。 そんなサキだから、誰かを探す姿など見たことがなかった。 私の考えがわかったのだろう。 伸江さんは、微苦笑をもらした。「たしかに……前はそうでした。けれど立川さんがいらっしゃるようになって、少しずつ……変わってきてるんですよ」 そういうと伸江さんは、ふつりと私の訪問が途絶えてからのサキの様相を教えてくれた。←142※ 参加中。お気に召したらクリックをお願いします。 ※ ブログランキング
2006年12月25日
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朝は6時に起きたんですが。眠くてしばらく、目をつむったまま座ってました。(それって起きてない。)怒涛の月曜日が終了。つーか「帰れ。」との上司の言葉に、半ば強制的に終了させられて。「俺達が入ったころは『残業するな』って言われてたんだぞ」とも言われた。だから逆に「残業しないですむ人員ください」と反論してしまった。だってねぇ。私だって残業なんぞしたくないもん。好きで残ってんじゃないのにね。せめてあと一人。いたら楽なんだけどなぁ。のちのちのことを考えると、残業したほうがいいってことがあるから仕方なく残ってる。近々、監査もあるし。別に何も悪いことしてないけど、監査にそなえて「まとめて整理しよう」とおいてた伝票類を急遽、片付けなければならなくなった。効率的な仕事のしかた、ないかななぁ?
2006年12月25日
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インターホンを押すのにも、小さな勇気が必要だった。 覚悟を決めて小さなボタンを押すと、すこしの間をおいて伸江さんが応対した。 名を告げるとあせった声で「どうぞ」と告げるなり通話が切れてしまう。 事務的な口調のように感じて、不安にかられた。 急に足が遠のいた私をよく思っていないのでは。 そんな考えが頭をもたげる。 連絡もなく急に訪ずれたから、迷惑だっただろうか。 重い足取りで広い庭を横切り、玄関の前へたどり着く。 横引きのガラス戸は、茶色の色彩が入っているから、中の様子が見えなくて人影もうかがえない。 いつもは伸江さんが玄関口で待っていた。 インターホンの時と同じく、覚悟を決めて戸を開いた。「こんにちは」と告げようと開いた口から言葉は出ず、かすかに開いたまま止まってしまう。 玄関に……サキが膝を抱えて座っていた。 一輪の白い寒椿を手に、背を壁にあずけてぼんやりとした眼差しを空に向けている。 戸が開いた音が耳に届いたのだろう。 ふっ、とこちらに目を向けた。 私は軽く混乱していた。 サキは見知らぬ人との接触をさける傾向がある。 これまで私をさけなかったのは、最初に橘さんと一緒に来たからだ。 思いかえすと、私が兵藤の家を訪れるようになった最初のころは、伸江さんが部屋まで案内してくれた。 幾度かそれを繰り返してから、私一人で部屋を訪れるようになった。 サキにはそんな性分(しょうぶん)があるから、人の出入りのある玄関口には近よろうとしなかった。 そのサキが、玄関にいる。 サキは私を見ると、ふらりと立ち上がった。 おぼつかない足取りで、私のもとへ歩いてくる。 素足で玄関口に下りると、感情の見えない瞳でじっと私を見たあと、空いていた私の左手に手をのばした。 その手をとって、何かを握らせる。 されるがままの手を見ると、一輪の白の寒椿がそこにあった。 寒椿をにぎる私の左手を、サキが両手でそっと包みこんだ。 そうしていたわるように、やさしい手つきでやんわりと手を撫でている。 驚いて顔を上げると、間近にサキの顔があった。 私を見るサキの目元が、口元が、やんわりとほころんでいる。 それは微笑とも言えないかすかな表情だったけれど。 一連の動作とあいまって、胸が詰まった。 サキが包み込む手は。 やさしく撫でるその動作は。 私が最初にサキにしたものと同じだったから。 覚えていたのかと。 私だとわかるのかと思うと。 嬉しいのだかなんなのか、自分でもわからない感情が胸に溢れてきて。 震える唇を我慢できず、少しだけ、泣いてしまった。←142※ 参加中。お気に召したらクリックをお願いします。 ※ ブログランキング
2006年12月24日
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小説のページに、意外と手間取ってます。 表示形式を模索しながら、あと、ちょこちょこと文章改変したり。 昔のを読み直しながら「え!? こんな設定だったっけ」とあせったり。 のちのちに影響はない箇所なので、こっそり変更しているけれど。 極力、変更はしない方針なので。 変更したいときはあきらめるか、後の話でどうにかするようにしてるから。 よくあるのが、ブログアップするまでは「この話を入れよう」と思ってたのを忘れること。 UPしたあとで「忘れた!」ってのが多々有り。 リアルタイム更新だから、まあしょうがないけど。 それでも話は続いています。 あとから書き忘れたところも付けくわえて掲載してますんで。(ブログ更新時にね。保管庫掲載時に付けくわえとかはまったくしてないんで) 作り直しながら思ったのが「漢字が多い……」ってこと。 漢字に直せるものをすべて漢字にする必要はないのにね。 一応、ブログでUPするさい、そのあたりのバランスを考えて掲載しているけれど、保管庫で見直すと「……読みにくいな」と反省しきり。 リズムを大切にしようとしても、漢字が多いとそのリズムを崩しかねないのにね。 保管庫、見ていない方がいらっしゃったら、見納めに今のうちに見ておいてください。 掲載内容は変わりませんが、近々、表示形式がガラリと変わりますので。 改装はほぼ完成しています。 のこすは小説のページのみ。 ……ああ、でもそれに手間取ってる……かなぁ? 訪問ついでに、お気に召したらランキングをクリックしていただければ、管理人が喜びます。 最近は保管庫のランキングメインなので。
2006年12月24日
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保管庫つくりに熱中するあまり、小説更新を危うく忘れるところだった。 ふう。 危なかった。 現在、スタイルシートとHTMLタグと、格闘しつつページを製作中。 おざなりになってたリンクページも製作中。 外食はとりやめに。 予約頼んだら、予約はまだ大丈夫だけれど、すでに予約客が多いというし。 食べ放題なので(セルフ)、以前、人の多いときに鉢合わせて、食べたいのがない。 ……てな状況になって、すごく嫌な思いしたから。 それなのに、時間内できっちり同じ料金とられるし。 年明けて、落ち着いてから行こうよ。ってことになった。 あまり年の瀬って気がしないけれど、年末なんだよね。 日に日にストレスの度合いがひどくなっていって、何もかも放り出してどこかに行きたい衝動にかられている。 ストレス発散すれば。とかの度合いじゃないし。 どうにかならないかな。(一番は仕事やめればいいってことだけど)
2006年12月23日
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そう言えばと、兵藤の家に向かう道すがらふと思う。 それなりにあの家を訪問しているのに、私は家庭教師の先生に会ったことがない。 午前中にしか来ないという先生。 平日だけならわかるのだ。 伸江さんの話だと(橘さんに聞いてもいい顔をしないから伸江さんに訊いた)、不定期だけれど土曜日曜も時折訪れるのだという。 それは教師としてでなく、気が向いたからと知人として訪れるのだそうだ。 そう教えてくれながら、伸江さんも「そういえば」と首をかしげた。「確かに、最近は……お休みの日はいらっしゃいませんねぇ」 以前は頻繁に来ていたのに。 そう、こぼして。 変わりに橘さんが以前にも増して、訪れるようになったと、私を見てつぶやいた。 それは私が来るから橘さんも来るのだと、暗に示しているようで私は軽く目を見張ってしまった。 確かにその通りだろうと、少し考えて納得する。 橘さんは私を気にかけていたから。 記憶の片鱗(へんりん)を知りたいと期待しつつ、同時に傷を掘り起こす罪悪感、相反する二つの感情にさいなまれていたから。 今日は……橘さんは来ているだろうか。 考えると、気が重くなった。 できれば会いたくない。 橘さんは時々、つらそうな表情を私に向ける。 気づかないフリをしているけれど、それを見る私も胸がつまってしまう。 今日はサキの様子を確かめて、長居せずに帰るつもりだった。 橘さんはあの日、私とサキ、美菜恵さんの間で何があったのかを知りたがっていた。 全てを知ったあと、何か変化はあったのだろうか。←141※ 参加中。お気に召したらクリックをお願いします。 ※ ブログランキング
2006年12月23日
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寒いと、人間、意欲が半減するみたい。……動きたくないー。本当は仕事場行って、作業しようと思ったけれど、体が動かなくて――いや、動かしたくなくて、結局、やめにした。職場の暖房、効かないんだもん。家にあった電気ストーブ発掘して持っていこうかな。と、考え中。そっちの方が、経費削減になるだろうから。今の職場の暖房は、一つだけ電源入れるってのが出来ないから。使うなら部屋全体に暖房を。ってな感じになるから、もったいないし。今日は急遽、家族を外食に連れて行くことになりそう。……店に空きがあれば。冬のボーナスもらったら、毎年どこか外食に連れて行っている。今年は多忙のためなかなかいけなくて、今日を逃すと来年になっちゃうから、できれば今年中にすませたくて。食べ放題のところだから、多いだろうなぁ。と思いつつ。一度、地区の子ども会のグループと一緒になったときは参った。走るし、激突してくるし。人にぶつかったら、あやまろうよ。
2006年12月23日
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保管庫の製作、ちゃくちゃくと進んでます。 あとは小説のページを作り変えなきゃ。 今度は別窓に表示しようかと考え中。 結構量があるんで、ちょっと大変だけど。 小説は、進みそうでなかなか進まない状態が続いている。 今回は、書いているうちに「そうくるか」ってな状況があって、ちょっとおもしろかった。 こういうのも、私には醍醐味。 さて。もう少し作業して眠ろうかな。
2006年12月23日
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時を経て兵藤の家に足を運んだのは、ひとえにサキの様子が気になったからだ。 サキは自由気ままに暮らしている。 それが幸福だとは……どうしても思えなかった。 あの広い家に一人きり。 伸江さんが住み込みでいてくれるけれど。 橘さんが足を運んでくれるけれど。 それでもあの閑散(かんさん)とした景色の中には、少なすぎる人数だ。 兵藤の邸宅を思い出すとき。 サキの姿を思い出すとき。 なんとも言いがたい寂寥(せきりょう)を感じて、くっと胸の辺りが苦しくなった。 小屋を見て二週間後。 休日に私は兵藤の家を訪ねた。 手土産に、洋菓子を持参(じさん)した。 サキは甘いものに目がない。 少しでも目を離すと、手づかみでほおばるほどに。 少々声を荒げて注意すると、大人しく、スプーンやフォークですくって口へ運ぶ。 もどかしそうにちらちらと私や橘さん、伸江さんを盗み見ながら、自分から意識がそれる機会をうかがっていた。 サキはシュークリームを好んでいた。 味のうんぬんでなく、手づかみで食べても注意されないからだろうと、苦笑交じりに橘さんが言っていた。 口のまわりや手をクリームでべとつかせながら、満足そうに頬張る姿に、誰ともなく笑みがこぼれる。 本当においしそうに食べるのだ。「しようのないこと」 伸江さんは苦笑交じりにつぶやいて、サキの口の周り、頬をぬぐう。 指についたクリームは、サキ自身が舐め取った。 食べ終わって手洗いを促されれば、すっくと立ち上がって洗面台に向かう。 サキのそんな行動は、私には目の見張るものだった。 もっと手のつけられない状態かと思っていたのに。「先生のおかげですよ」 伸江さんはそう告げる。 伸江さんのいう先生とは、兵藤の家に通いでくる家庭教師のことだ。 伸江さんが言うには、その先生が来るまでは、無法地帯だったのだという。 先生のおかげで、人として最低限のマナーを維持できるようになったのだそうだ。 私には意外な話だった。 橘さんの話を聞いていたから、いい印象をもっていなかった。 必要最低限のことしかしない人だと思っていた。 ちらりと橘さんを見ると、渋面(じゅうめん)を貼り付けて口をとざしていた。←140※ 参加中。お気に召したらクリックをお願いします。 ※ ブログランキング
2006年12月22日
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ラストを見逃した~。(涙) 睡魔に勝てず、いつの間にか寝てしまってて。 どうなったんでしょうね。最後は。 シリーズ最終章ってんだから、もうテレビで流れることはないのかな。 途中をかなりすっとばした内容に驚いたけれど、あやかの主治医の先生がいい人なのにも驚いた。 え? コトーを助けてるよ。 原作では足を引っ張ってたのに。(しかも確信犯。)「裏があるだろうな」って見てたらから驚いた。 ラストを親に聞いたら「フツーに終わったよ」。 だって。 ……フツーって何さ。(笑) 今シーズン、ずっと見ていたシリーズが終わる。 のだめは、見たかったけど、私がいる地域での放送時間帯とのおりがあわず、見逃したのが多すぎた。 もっと長い連載回数でしてくれないかなぁ。
2006年12月22日
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橋川には聞きたいことがたくさんある。 兵藤の家とのつながり、橘さんとの関係。 それに……彼の心情の変化。 接触の度合いは今も昔も変わりないのに、あれほど向けられていた敵意が、今ではかけらも感じられない。 兵藤に関する人々との関わりのためだろうと、想像はできるけれど。 明確な答えは、私にはわからなかった。 兵藤の家から離れてしばらくすると、美菜恵さんの影を恐れることもなくなった。 不意に視界の影に――意識の片隅に現れていた残像も、日々の経過にともなって頻度も低くなっていった。 いまでは皆無といえるほどだ。 平穏な日々が戻ってくると、ふとした拍子に思い出すのは、サキの姿だった。 幼い頃と……年を経た、今のサキ。 幼い頃は快活(かいかつ)だったサキ。 思い出に残っているのは、彼女のくったいのない笑顔と、明るい笑い声。 だから余計に、今の彼女を思い出すと、胸が痛かった。 よくよく思い出すと、昔から美菜恵さんの奇行は、その片鱗をのぞかせていた。 時折、いまの私でも理解しがたい言動をとっていた。 当時は幼かったから、美菜恵さんの行為に多少の違和感をおぼえても、特におかしいともおもわなかった。 ……でもサキはおそらく……異変を感じていた。 奇行をのぞかせる美菜恵さんを目の当たりにして、私はわけがわからず、首をかしげるだけだったけれど――サキは顔を強張らせていたから。 そうして時々、傍らにいた私の手を、強く握りしめていた。←139※ 参加中。お気に召したらクリックをお願いします。 ※ ブログランキング
2006年12月21日
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とことん眠いです。 お風呂入って「さあ更新しよう!」と思ったものの、職場のある機器の電源おとすの忘れてて、どうしても気になったので、消しにいった。 (それほど近くに職場があるという意味) 人もいないから、黒のジャージで急いでいくと、職場の駐車場を待ち合わせにしていた人たちがいて、入るに入れない!! 車から降りるに降りれない!! で、駐車場の中をぐるりと回る、不審きわまりない行動をとって、時間をおいていくはめに。 でも行ってよかった。 暖房も消し忘れてた……。 予定外に時間をとられて、何だか眠くなってきた。 これから更新して、今日はもう寝ようかな。
2006年12月21日
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ルナスケープについては、何度か日記にも書いたけれど。 やっぱり「いい」と思うことが多い。 今回はお気に入りの機能。 サイト名を登録できるだけでなく、自分でコメントを付け加えられる。 アイコンの色分けも指定できるし。 私はすぐお気に入り登録する人間なので、この機能は「いいなぁ」とホレボレ。 それに、よく訪問するサイトは、上のほうに移動するので、あまり探さなくてすむ。 IEは、わかりやすいようにと場所を移動させても、変更に効果がなかったりしたから。 まだまだ知らないことの多いルナスケープ。 あ、でも。 「F11」キーを使う全画面表示は効果なかったな。 ルナスケープ
2006年12月21日
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保管庫、製作中です。内容は何ら変更ナシ。表示形式を変えたかったので。ランキングに参加している関係で、ランキングから直でくるインデックスと、本当のインデックスを二つ設ける形をとっている。(目次にリンクを貼らなきゃならないんで。)そこらへんを解決したいんだけど。……どうしようか悩み中。以前は、スタイルシートになれてなかったんで、タグが解読不能の文章にぶちあたった感じがあった。今でもよく意味はわかっていないけれど、タグの知識は少しはあるんで、わかるところをとっかかりに、いろいろ変更中。テンプレート使わせてもらってるんで、へんないじり方をしなければ、おかしな表記にはならないし。一番の問題は小説の表記だけれど。ほぼ作り直しだからなぁ。(小説の内容はかわらない。タグを変えるから、全部に手を加えなければならなくてね。)ちまちまと更新してます。保管庫の体裁変更する前に、小説の更新はするけれどね。
2006年12月20日
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それからしばらく、私は兵藤の家から遠ざかっていた。 橘さんの忠告を耳にして、安堵したのも事実。 彼の言葉を聞いて気づいた。 兵藤の家での出来事を思い出さなければと、無意識のうちとはいえ、義務のように感じていたのだと。 私の記憶を一番欲していた橘さんが「もういい」と言ったのを聞いて、いつも体の根底に根付いてた緊張がほぐれていった。 久しぶりに体の芯に根付いた緊張がゆるんで、心地よい開放感が体に染みていく。 主要となる事象を思い出した達成感も感じていた。 私の役割は終わったのだと、心のどこかで思っていたのだ。 記憶が蘇ってから。 美菜恵さんの残像が色濃く残る兵藤の家に足を運ぶのは……どうしてもためらいがあった。 圭介は私が兵藤の家に通っていたときも、訪問をやめてからも、特に何も言ってこなかった。 どちらも気づいているだろうけど、聞かずにいてくれる。 圭介に告げるべきかどうかも、迷っていた。 今は私の心の整理ができてないから、上手く話せそうにない。 できれば話したくない。 人に率先して話す内容ではないから。 橋川とはこれまで同様、鉢合わせたらあいさつを交わす程度で、それ以上の接触はない。 言葉を交わすだけでも、以前に比べればたいした進歩だ。 聞きたいことはあるけれど、どう切り出していいかわからなかった。 ほかに人がいては話せない内容だし、橋川と二人きりになる状況には二の足を踏んでしまう。 視聴覚室での件があるから、どうしても、恐れが先立ってしまった。 思えば、橋川は私と二人になると、普段目にしない感情があらわになる。 秋口(あきぐち)は侮蔑、怒りといった負の感情だった。 それがいつのころから変化して、このまえは私を気遣う様子まで見せていた。 彼の中で何が変化したのか、私にはわからない。 けれど、普段無表情を貼り付けている橋川が見せる様々な表情を目の当たりにすると、戸惑いを禁じえなかった。←138※ 参加中。お気に召したらクリックをお願いします。 ※ ブログランキング
2006年12月20日
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昨日は「夕方に更新する」といいながら、夕方ではなかった。帰ったのも遅かったし。睡魔に勝てず、途中仮眠をとって。保管庫、更新しました。もうすぐ第一部完。ブログでは二部半ばだけれど。二部はおおまかに3つの場面にわかれて。その一つが終わったところ。保管庫、サイト形式を変えようと苦闘中。小説の表示形式も変える予定。
2006年12月20日
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あの日の出来事以来、サキは私の名を口にすることもなく、橘さんとも伸江さんとも距離を置くようになった。 もう誰も、傷つけたくなかったから。 その心境は。 共に一連の経緯を目にしなければ、推測しがたいものだった。 ……私しか、知りえないことだった。 一通り話し終えると、橘さんは眉を寄せて「すまない」と謝罪した。「田上(たがみ)君から、話は聞いてたんだ。リツちゃんが目を覚ましたときの……ショック状態のことを」 突然出てきた圭介の名に、私は軽く息をのんだ。 圭介は、私と兵藤の家を訪問したあと、『ラ・クォーツ』で橘さんに直(じか)に会ったのだという。 私が目を覚ましたときの状況を話して、余計な刺激を与えないでくれと頼んだのだそうだ。「美菜恵さんのとった行為へのショックだけだと、思っていた」 その現場は思い出しているから、これ以上、酷な事象はないだろうと考えていた。 ……甘えていたのだと、橘さんは苦笑する。 正直な話、「それ以上」の可能性は何度か脳裏をかすめていた。 けれど、頻繁に兵藤の家を訪ねる私に甘えていた。と。 私が訪問するようになってからのサキの変化は、目を見張るものなのだという。 いい状態に導いてくれる変化を、手放したくなかったのだと。 「つらいのなら、もう、来ないほうがいい」 後回しになっていた忠告を、そのとき初めて橘さんは口にした。 ←137※ 参加中。お気に召したらクリックをお願いします。 ※ ブログランキング
2006年12月19日
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結局。昨日の更新には間に合わなかった……。 不可効力とはいえ、ショック。 昨日、更新できなかった分もあわせて、今日更新してます。 昨日(今日? 日付変わってたから)の段階で、今日は早く起きて更新しようと思ってたけど、まさか4時30分に目が覚めるとは思わなかった。 目覚ましは5時30分セットだったんだけれど。 目も冴えていたから、そのままパソコンに直行。 で、こうして更新してます。 今日は夕方にもう一つ更新予定。 137は昨日の分ってことで。 ……回線が繋がらない状態にならない限り、更新できると思うんですけどね。 時間があれば、保管庫も更新したい。 ……でも保管庫更新は明日だろうなぁ。
2006年12月19日
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もう一つ、美菜恵さんの言葉で思い出したことがある。 呆然とする私を、美菜恵さんは血に濡れた手で「赤」に染めようとした。 その美菜恵さんを「やめて」とサキがとめようと、彼女の腕にしがみついて。 美菜恵さんは怪訝な眼差しでサキを見下ろし、私に向けていた手で、サキの頬をなでた。 血に濡れた手の感触に、サキはびくりと体を震わせる。 わななく唇、わずかに濡れる瞳。 大きく目を見開いて、美菜恵さんを見上げていた。 美菜恵さんはサキを見下ろして、不思議そうに首をかしげる。 サキがなぜ自分を止めようとするのか、わからないといった眼差しを向けた後、小さな笑みを浮かべた。 ――サーちゃんは離れて行かないよね。 愛おしげな眼差しを向けて、頬を撫でる手にも愛情が満ちていた。 ……美菜恵さんの姿が現状でなければ、何ら違和感のない親子の肖像だった。 ――ずっと、お母さんだけのサーちゃんよね。 ――もう、邪魔するものもないものね。 言って、血に染まった自分の姿を見下ろして、満足そうに微笑んだ。 それは。 美菜恵さんの言葉は。 サキが猫を気にかけていたから排除したのだと……告げているもので。 私も幼いながらも、その意味を理解していた。 それはサキも同様だったろう。 美菜恵さんの言葉を聞いたサキの頬に。 ――涙が、流れた。 ←136※ 参加中。お気に召したらクリックをお願いします。 ※ ブログランキング
2006年12月19日
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今日は回線が重い!! 途中までは順調だったのに。 ……というか、何か変。 一度書いた記事が消えてしまったし。 それも途中から。 普段使わない絵文字を使ったら、最初の二行だけ残して全部消えた。 ……こわー。 日記だったからまだいいけど(私はね)、小説だったら息とまるよ。 まあ、とにかく、表示の遅さと戦いながら、今から書いてきます。 ……今日中にかけるかなぁ?
2006年12月18日
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毎日更新中の「クチナシの庭」。 書いてる途中から「二部」なるものができてきて。 どうやら「三部」で終焉かな。 ……って様相になってきた。 一つの事件のあらましと、経緯、原因がほぼわかって、あとはもう一つの事件のあらまし、真相などがわかり、人間関係も「二部」で全て明らかになる予定。 で「三部」はその後の動きになるだろうな。……と。 二部では判明するだけで、根本的な解決にはなってないから。 番外編なる構想も出てきて、できれば書きたいけれど、今書くとネタばれになるんで保留中。 いつかは書きたいなぁ。 本編も、はよ恋愛模様にたどり着きたい。
2006年12月17日
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保管庫の体裁を変えようと思って、素材屋さんめぐりをしている。 テンプレートにお世話になりつつ、またテンプレートを使わせていただいての様式変更にしようかと。 いま使わせていただいているところはスキなんですけど、ちと字が小さいかな……。と。 私はずっとこのサイズで公開しているから、気にしていなかったけれど。 「ブラウザで文字の大きさ変更すればいいから」と考えていたので。 けど、スタイルシートの設定で、ブラウザでの変更を受け付けてくれないとわかって、ちょっと焦った。 私も文字の大きさ変えて読んだりしてる人間なので。 疲れているときは文字を大きくして読みたいしなぁ。 そういうわけで、サイト様式を模索中。 web素材は公開してたときの下地があるけれど、文章公開の下地は記憶の彼方なので……。 それか、一から自分でつくるか。 ……アイデアがないんだけれどね。
2006年12月17日
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それからしばらく、兵藤の家を訪れることができなかった。 不意に、美菜恵さんの血に染まった姿が脳裏をかすめて、そのたびに凍りつくように体がこわばっていた。 自宅でも学校でも、ところかまわず訪れるフラッシュ・バック。 あの事件と、まるで関係のない場所でこの状態なのだから、兵藤の家ではどうなるのか。 そう考えると、あの家を訪問するのにためらいが生じた。 怖くない、わけがない。 不意におとずれる息をのむ瞬間は――かなうことなら経験などしたくないものだった。 恐れを感じると同時に……私の役割は終わったのではとも、考えていた。 橘さんは、あの時の詳細を知りたがっていた。 私が物置で美菜恵さんの言葉を思い出した日。 足が震えて一人での歩行が困難だった私を、橘さんは両腕を抱えるように客間へと運んでくれた。 そこで私は、思い出したことをありのまま話した。 美菜恵さんの行為と……美菜恵さんが私に告げた言葉を。 話を聞いた橘さんは、目を閉じて深く息を吐き出した。「わかった」と、短くつぶやいた言葉は、全てを理解したとの意味合いがこめられていた。 私も……美菜恵さんの言葉を思い出して、ようやく状況を把握した。 以前、橘さんが言っていた「美菜恵さんはサキに執着している」との言葉も、そのときに理解した。 美菜恵さんは、サキが猫をかわいがっていたと知っていたのだ。 猫を思う割合が増していったから……あのような行為をとったのだろう。 サキを、とられたように感じて。 ――リツちゃん。 柔らかな美菜恵さんの声が、耳元で蘇って息をのんだ。 幼いながらにも、私はあの忠告の意味を理解していた。 ――サキを、とらないでね。 これ以上、私がサキと仲良くなると。 血に濡れた美菜恵さんの姿は、手にした猫の姿と同じ状況になると、暗に示していた。 ←135※ 参加中。お気に召したらクリックをお願いします。 ※ ブログランキング
2006年12月17日
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目を閉じると、あの頃の情景が瞼の裏に蘇った。 母猫の遺体と、冷たくなった母にすがる、生まれたばかりの子猫たち。 ひときわ甲高い、幼猫特有の声が、鼓膜の内で響いている。 そう。 生きていたのだ。 あの子猫たちは。 美菜恵さんは母猫の遺体を切り裂いた。 この物置で母猫とその子供達を見つけたのだ。 瞼を持ち上げ、橘さんを見上げた。「……子猫は?」 震える喉元を、つばを飲み込んで我慢して、どうにか声に出す。 なぜ、もっと早く気づかなかったのだろう。 少し考えれば思いつくことなのに。 私の言いたいことがわかったのだろう。 橘さんはきつく目を閉じると、小さく首を横に振った。「見つけたときには……傷を受けて……どれも……息をしていなかった……」 予想したとおりの答えだった。 ある程度、覚悟は出来ていたけれど……。 改めて聞いた事実に、苦い想いが胸に広がる。 生(せい)を受けてすぐに命を閉ざした子猫たちを思うと、いたたまれないはがゆさが、胸に去来(きょらい)した。 ――リツちゃん……。 美菜恵さんの声が、耳元で聞こえる。 穏やかな口調でつぶやきながら、血に濡れた手で、私の頬を撫でてていた、あの人。 ――リツちゃんはとらないでね。 口元は笑みを浮かべているのに、目元は笑っていない。 瞳は虚ろな空洞のように、果てのない闇が見えた。 ――私からこの子を、とらないでね。 ←134※ 参加中。お気に召したらクリックをお願いします。 ※ ブログランキング
2006年12月16日
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昨日は忘年会で、思ったより長かった。つーか、途中、ほかの課と合流してしまい、帰るに帰れなかった。翌日、仕事があるってのにね。と、いうわけで今日は仕事。ほかの用事もある。……きついなぁ。
2006年12月16日
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毎週欠かさず見ているテレビドラマ。原作のマンガを読んでいるけれど、ドラマと違うんで見てしまう。話がいきなしとんだよ。ってとこに驚いたけれど。(最終章って聞いたの、気のせい??)とにかく、おもしろい。来週で最後なのがすごく残念。
2006年12月15日
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喉の奥がひあがったように乾いていた。 つばをのみこむと、こくんと音がする。 体が……細かく震え出した。 呼吸がうまくできない。 吐気と吸気がかみ合わなくて、軽い呼吸困難に陥った。 一人で立つのも難しくて、近くにあった戸につかまり立ちする。 毬が手からこぼれおちた。 数度はねて、転がっていく。 今さら気づいた可能性に、体が震えていた。 なぜ……今まで気づかなかったのか。 少し考えれば、容易に思いいたるものなのに。 ぐらりと景色が歪む。 目の前の情景が揺れている。 苦しい呼吸の中、ふっと視界が翳(かげ)った。 暖かい闇が、広がっている。 目を覆うように、人の手がかぶせられていた。「……落ち着いて」 耳元で囁かれた声に、びくりと体がはねる。 それを制するように……不安定な体を支えるように、後方から片腕が体に回されている。 後ろから抱きしめられていた。 声は続けて目を閉じるよう告げて、深呼吸を促した。 震える息を飲み込んで、私は声に従い、目を閉じて深呼吸を繰り返した。 声は、私の呼吸に合わせて「吸って」「吐いて」と動作を促した。 誘導に従っていると、次第に体も心も落ち着いてきた。 体の震えもとまり、それを確認してから体に回された腕と目を覆う手がそっと離れる。 不意におとずれる開放感に不安を覚えて、私はその人の腕を……橘さんの袖をつかんでいた。 ゆっくりふりむくと、悲痛な面持ちの橘さんが立っていた。「……大丈夫?」 返事はできなかった。 無理にでも「平気」とは……言いがたい心境だったから。 ←133※ 参加中。お気に召したらクリックをお願いします。 ※ ブログランキング
2006年12月15日
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サキは動く気配がない。 仕方なく、私は毬を拾いに小屋の方へと足を向けた。 かがんで毬を持ち上げたところで、視界の隅に影が落ちる。 小屋の中からするりと抜け出した影に、驚いて「わっ」と声を上げていた。 小屋は十数センチ、戸が開いていて、中から何か出てきたのだ。 びくりと体が大きく震えた。 ちりちりと細かな鈴の音が耳に届く。「にー」と甘えた声で鳴く猫が、のどをならして足にすりよってきた。 その正体が猫だとわかると、ほっと安堵の息がもれた。「おどかさないでよ」と一言文句を告げて、ふと上げた視線の先にある隙間が気になった。 中をのぞいたのに、特に理由はなかった。 戸を閉めようとしたものの、ほかに猫がいる可能性を考えて、閉じ込めてしまわないように確認をしたのだ。 わずかな既視感(きしかん)を感じていたのに……その意味を深く考えることを怠っていた。 自分がなぜ兵藤の家を訪れているのかも、ここで何があったのかも、生活の一部と化していたから、何の注意も払っていなかった。 小屋の中をのぞくと、箒(ほうき)やちりとりといった、庭の掃除に使うものから、庭木の剪定(せんてい)ばさみ、一輪車(いちりんしゃ)など園芸に使う道具が閉まってある。 薄暗い影の中、小屋の中を見た私は息をのんだ。 一つの情景が、不意に脳裏に蘇った。 耳の奥では、甲高い子猫の鳴き声が響いている。 母を求めて鳴いていた。 ぬくもりを求めて鳴いていた。 昨日まで、のどを鳴らして甘えてきたトラきじ模様の母猫は――。 冷たい体を横たえて眠っていた。 わかっている。 今、この場での出来事でないと。 わかっている。 昔の情景なのだと。 その景色は脳裏をかすめるだけで、実際、目にはうつっていない。 けれど不意に思い出した衝撃は、体の芯から熱を奪った。 ←132※ 参加中。お気に召したらクリックをお願いします。 ※ ブログランキング
2006年12月14日
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仮眠のつもりが、気づけば11時。寝すぎたー。帰ってきたの早かったけれど、眠くて思考力ゼロだったから。仮眠も適度な時間を越えると、何だか体が変な感じ。
2006年12月13日
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兵藤の家に通う日々は、穏やかに過ぎていった。 サキも私の存在に慣れたようで、時折だけれど、私が訪れると目を向けて、じっと見つめることもあった。 そんな風に過ぎてゆく日々の中。 いつものようにサキの部屋をたずねると、部屋には誰もいなかった。 不思議に思って伸江さんに聞くと、屋敷内にはいるはずたとの返答をうける。 ときどき、あてもなくふらふらと散策するのだそうだ。 伸江さんは「よくあることだから」と告げたけれど、私は何だか落ち着かなくて、邸宅内のサキを探しに出た。 私が訪問すると、サキはいつも部屋にいた。 伸江さんは「外に出ることはないから」と告げたけれど、いつも居る場所にいつもいる人がいないというのは、何だか不安にかられる。 広い兵藤の家を歩いていると、西に面した庭でサキを見つけた。 サキは裸足で庭におりて、じっとたたずんでいる。 彼女を目にしてホッと息をつく。 縁側に置いてあった、客人用のサンダルを拝借して、サキの側へ行った。 足を洗おう。サンダルを履こう。 そう促しても、彼女は何の反応もしない。 よくよく見ると、じっと同じ場所を見つめている。 視線の先を追うと、物置らしい小さな小屋がある。 その側に、赤い毬(まり)が転がっていた。 サキの部屋にあった、和製の毬だ。 それを拾おうとして、庭に下りたのだろう。 毬を拾うのかとサキに尋ねたけれど、反応はない。 サキはただ、一点を見つめている。←131※ 参加中。お気に召したらクリックをお願いします。 ※ ブログランキング
2006年12月13日
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使っている「ルナスケープ」。なんつーか、すごいな。と思うとこ多々あり。ログイン帳なるものがあって、ログイン作業をすることの多い私には、すっごく助かる。別ソフトになるのかわからないけれど(でもダウンロードしたらついてくる)、これは「ロボフォーム」の機能かな?今はまだ、使い続けたい機能と必要ない機能の選別が終わってない。必要ない機能を削っていけば、もっと使いやすくなるんだろうなぁ。
2006年12月13日
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以前から言っていた、他サイトに掲載している小説を一つ。不定期更新で連載中。「クチナシの庭」とはガラリと様相が違う……はず。三人称で書いてるし、世界観がまるで違うんで。よーするにファンタジー。ほんの少し違う世界ってことで書います。魔法とかはありません。どっちかっていうとハードボイル?系。?をつける程度だけれど。インデックスとか目次ないんで、冒頭にリンクを張ってます。前後はつないでるんで、そのまま読めます。特段「次のページはどこ!?」と探さずにすむようにはなってます。リンクはこちら。「BURAI―ブライ―」
2006年12月12日
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よほど居心地がいいのだろう。 縁側でひなたぼっこをする猫をよく見かけた。 それらの猫はたいてい人慣れしていて、私や橘さん、伸江さんが側を通っても驚く素振りもなく、逆に甘い声で鳴いて甘えてくる子もいた。 サキは猫達に興味があるらしく、遠巻きに眺めるのだけれど、いざ猫達が甘えて足元に擦り寄ると、数秒硬直したのち、その場から逃げ出す。 初めは怖いのかと思ったけれど、そうでもない。 逃げるけれど、距離を置いてじっと見ているのだから。 その様子がなんだかいじらしくて、思わず口元が緩んでしまう。 嫌いではないのだ。 ただ、どう受け止めていいのか、戸惑っている。 そんなふうに、私には見えた。 数日後、私は猫のぬいぐるみを持って彼女の元を訪れた。 ふわふわの毛並みの、白い猫のぬいぐるみだ。 30センチほどの大きさで、小脇に抱えるにはちょうど具合がいい。 彼女にぬいぐるみを見せると、目をまたたませたのち、まじまじと見つめた。 そうしておそるおそる手を伸ばし、その体に触れる。 柔らかな毛並みをひとしきり撫でた後、私が手渡すと、またおそるおそるといった感で両手で受け止める。 全体を撫でたあと、おずおずとその体を抱きしめた。 感触を確かめたあと、正面からぬいぐるみを見たサキの顔には、穏やかな笑みが浮かんでいた。「あの猫のぬいぐるみ、リツちゃんが?」 後日、橘さんに訊かれて私はうなずいた。 うなずいたあとでハッとした。「……いけませんでした?」 今のサキは……精神的に不安定な状態だ。 何をするでも、まず橘さんや伸江さんに許可をもらったほうがよかったのでは。 そう不安にかられて訊くと「いや」と橘さんは首をふった。 見ると、口元がゆるんでいる。「サキ、あのぬいぐるみを気に入ったみたいでね。離そうとしないんだ」 食事中も離そうとしないので、伸江さんに怒られてしまったそうだ。 橘さんは肩を揺らしたあと「ありがとう」と礼を告げた。←130※ 参加中。お気に召したらクリックをお願いします。 ※ ブログランキング
2006年12月12日
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手帳がない……。 今年のでなく、来年のが。 いつも(と言っても今年と去年)買っていたお気に入りの手帳があるんだけれど。 いつも買う場所に行ってもまだ店頭に並んでない。 いくらなんでももう並んでる時期だろう。 ……となると、もう出てるけれど、その店では並ばない……? それは困る。 ほかに売ってるとこ知らないのに。 いま使ってる手帳がベストなのに。 大きさも機能も使い勝手も。 簡略ながらも家計簿つきって、なかなかないし。 家計簿ついてても、メモするトコ大きめだし。 もうしばらく通ってそれでも並ばなかったら、通販で買うしかないかな。
2006年12月11日
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兵藤宅への訪問を重ねるうちに、いろいろとわかってきた。 まるっきり意志の疎通を取れないと思っていたあの子とも、ちょっとした要領を得れば、簡単なやりとりができるという。 もっとも、こちらが言いつけたことを守らせる、一方通行のものだけれど。 それでも私には驚きだった。 試行錯誤のすえ、勉学に関しては年相応の学力をどうにか保っている。 興味のあるなしが極端にわかれるけれど、気分がのれば、自分から問題集を開いて解いていくのだという。 わからないことがあれば、誰かれかまわず、問題集の側につれてきては、ペンシルで指して教えを請うていた。 精神的に不安定なサキは、学校に通えない。 かわりに一日に数時間、家庭教師の人が来て、彼女に教えているのだそうだ。 彼女の性分も納得済みで、それに見合った方法をいろいろと試してくれるらしい。 授業は午前中で終わってしまうので、残念ながら、私はまだ目にしたことはない。「熱心な方なんですね」 私だったら、きっと途方にくれる。 家庭教師の人を、尊敬の意をこめてそう言うと「熱心は……熱心だけどね」と橘さんは苦笑した。 口調には皮肉がこめられている。 ふと私を見た橘さんは、向けられた怪訝な眼差しに気づいたのだろう。 少し考えたあと「夢を壊して悪いけれど」と歯切れの悪い口調でつぶやいた。「それだけの給料、もらってるからね。一日数時間で破格の給金だ。クビにならないように必死にもなるさ」 ……本当に、一気に気分が沈んだ。 いたたまれない気持ちが胸にあふれて、私はうつむくと歯の根をかみ締めていた。 純粋に彼女のためを思う、熱心な先生なのだと思ったのに。 金銭が第一で、だから懸命になるなんて……そう思うと胸がつまった。 兵藤の家を訪れるうちに、そんなふうにサキのことを少しずつ知っていった。 橘さんや伸江さんから聞いて知ったこともあったけれど、私が独自に知ったこともある。 兵藤の家はその庭のつくりで、木枯らしが邸内に吹き込まない構造になっている。 おだやかな日差しが注ぐ日中は、縁側はホカホカと心地よい温もりに満ちている。 ←129※ 参加中。お気に召したらクリックをお願いします。 ※ ブログランキング
2006年12月11日
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