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2004.12.25
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カテゴリ: 芝居
私たちの世代は演劇といえば夢の遊眠社(野田秀樹)か第三舞台(鴻上尚史)だった。大学に入って初めて観た遊眠社の芝居は回転人魚だったのだが、その運動量に圧倒されるだけでなく、ストーリーが捕らえきれず頭を抱えながら観たことを憶えている。野田秀樹も87年の「明るい冒険-見よ、ポロロッカ空に逝く!」の出来があまりに悪く(少なくとも私の周辺ではそういう評判だった)、本人もそれを認識してかそれ以降しばらくオリジナル新作を書かず、「半神」「贋作・桜の森の満開の下」といった原作のある作品や旧作の焼き直しが中心になっていった。その後に書かれたオリジナル新作は舞台の演出面での楽しさや美しさは遊眠社のそれなのだが、芝居のわかり易さという面では全く遊眠社時代のものとは異なっていった。日本を離れている間にNODA・MAPのメーリングリストから外れてしまい、優先予約でチケットが取れなくなり、しばらくぶりに観たのが2004年3月の「透明人間の蒸気」。作品としてはすばらしかった一方で、遊眠社の作品を観た後の感覚とは異なるサッパリした感覚にどうも違和感を覚えざるを得なかったことを思い出す。

「走れメルス」は76年10月初演の作品だ。その頃は私もまだ小学生だったわけで、私が以前観た「走れメルス」も86年7月の本多劇場での公演だった。ストーリーはほとんど憶えていなかったが、約20年ぶりに「走れメルス」を観てあの頃の感覚が蘇ってきた。美しい舞台の一方でワープしていくストーリーと場面設定に脳ミソがシャッフルされるような感覚だ。観終わった後の視的満足感と知的欲求不満感、これが私の中の野田秀樹の芝居のイメージなんだ。懐かしさとともに、最近の野田作品の方が疲れなくていいかもっていう自分がいて歳をとったなと思った。

役者はみんな良い。どんどん引き込まれる。それにしても古田新太って本当に舞台にあがるとすごい。「鈍獣」以来だけどいーねーやっぱ。拾い物だったのは小西真奈美。芝居が出来るんだと感心してプロフィールを見ると北区つかこうへい劇団出身だった(そう言われてみると舞台の上の彼女の芝居はつかっぽい。テレビドラマの彼女とは全くイメージが異なっている。)。余談だが芝居での深津絵里の声は野田秀樹の前の奥さん竹下明子に似ていると思った。ちゃんと芝居の出来る人だけが舞台にあがっていると安心して観られる。

まだ体調が良くないし、妻もシアターコクーンの椅子のつくりと階段が身体にこたえたようなので早々に渋谷を離れ自宅に戻る。こんな時に頼りになるのは近所の蕎麦屋一色庵(台東区鳥越2-14-12 03-3851-5634)。深夜0時まで出前してくれるのだ。お腹に優しい鍋焼きうどんの出前を頼む。うどんはしっかりしたこしがあるし、スープもけっこういけるのだが、玉子焼きだとか余計なものまで具に入っているのが難点。でも病気の時とかは本当に助かる。





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Last updated  2004.12.26 00:45:15
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