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2021年03月07日
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カテゴリ: オペラ
先日も書きましたが、新国立劇場で今月予定しているワルキューレ、ジークムント役に第1幕、第2幕で違う歌手を代役に充てて公演するそうです。

 ​ https://www.nntt.jac.go.jp/opera/news/detail/6_019622.html

 で、前回書いてからあちこち見てたのですが、今時はTwitterくらいでしか何か書いてる人はいないのですね。で、そのTwitterの内容も(まぁそもそも140字で大した事書けるものでもないのだけれども)見ていてなんだかなぁ、としか思えないので、ちょっと改めて書いておこうと思ったのでした。
 いや、基本的には、前回ちょっと書いてほぼ言いたいことは書いたつもりなんですが、そもそも、なんでこれがダメなのか(いや、ダメなんですよ)ちゃんと述べてる人がいないんですよね.....

 まず、擁護する様な形で、「海外でも似た様な事してるのみたことある」とか、「ヘロヘロの歌を聞かされるよりはこの方がいい」といった意見があるのですが、率直に言って私は寡聞にしてそのようなことをしているのを見かけたことは全くありません。当日調子が悪くなって、途中から代役を、みたいなことはあるかも知れないけれど。
 そして、「ヘロヘロの歌を聞かされるよりは」というのは、そもそもオペラというものを根本的に誤解しているからだ、としか言いようがない気がします。
 そもそも。「椿姫」で、第1幕、堕2幕、第3幕で、ヴィオレッタに求められる性格が異なると言われているのは周知のことと思いますが、では、ヴィオレッタを3人揃えて、各幕でのベストを求めました、という公演があるか?ない。バイロイトで、大役だからと言って、幕毎に「ベストの歌手」を揃えてやるか?やらない。端的には、これが答えです。

 いや、そうすると、どうしてそうなの?って話になりますよね。そして、それが重要なのか?という。


 オペラというのは、「演劇」だから、だと思うんですね。本来は。つまり、「ワルキューレ」というオペラにおいて、ジークムント役を歌うテノールは、なんだかよくわからないけれど決められたタイミングで舞台に出て来て決まってる音で歌って引っ込む、というものではないんですね。「ジークムント」という、「ワルキューレ」という劇の中での役柄を演じる、その延長線上に、歌う、ということがあるのです。
 たとえばヴィオレッタの例を考える時、確かにヴィオレッタはその各幕での性格の違い故に、難役になっています。でも、だからといって、別々の人に各幕毎に演じさせるのは、劇としておかしい。それでは劇として成立しない。でも、何故?

 それは、その劇の中で、ヴィオレッタならヴィオレッタ、ジークムントならジークムントという役柄は、一つの人格として認識されているからです。同じ人格を演じるのに人が替わるというのはあり得ない。少なくとも、具体的に舞台という物理的に眼前にある現実で、さっきと違う人ですが同じ人格です、というのはあり得ない。(なにしろ我々は映画のPart1とPart2で演じる人が違うだけで違和感を感じるのですから。それどころか実質無料で見ているTVのドラマですら!)これはもう演劇として当然なんですね。それはただの約束事では済まない。
 というのも、同じ人格なのに別の人が演じる、というのは、その舞台上で展開している世界を破壊することに通じるからです。無論、それを逆手に取るやり方もあるし、子供時代と大人時代、というようなことはあり得るけれど、そうでなければ、劇世界を破壊する。だから御法度なんですね。
 第一幕で敵に追われ、追い詰められながら、永く生き別れていた妹に巡り合い、しかも男女の関係に陥ってしまうジークムントと、第二幕で敵から逃れながら一時の休息を取る、そこに現れるブリュンヒルデに対し荒々しく神々が決めようという運命に抗うと激するジークムントは、同じ人格なんですね。あくまで。だからそこにドラマがある。それを別の人にやらせよう、というのは、演劇としてのオペラを否定するに等しいと思うのです。

 日本では、割と、この「演劇としての側面」が実は理解されていない気がします。軽んじられている、ではなくて、そもそも、理解出来ていないんじゃないか、という。「現代演出で観るくらいなら演奏会形式の方がいい」というのは昔から聞かされることですが、あれは、演劇としての演出の出来を論じているのじゃなくて、「そんなん観るの嫌だ」という方が強いんだと思います。「演奏会形式の方が集中出来る」なんてこと言う人もいましたし。じゃぁ録音聞いとけ、って思いますけれどね。DVDとかも曲者で、ああいうの観慣れると、「舞台だとどうなっているのか」という想像力が働かない人が出て来たりしますし。
 だから「この方がイキのいい歌が聞ける」なんて与太を言う人も出て来るんでしょうけれど。でも、それは決定的に違うのですよ。ガラコンサートじゃないんです。

 それと、これも前に書いたけれど、実際問題として、情けないですよ。通して歌える代役が立てられないというのは。
 まず、経緯はいろいろあるのだとは思います。ただ、問題は、ジークムント役ならばいわゆるカヴァーがアンダースタディとしていた筈です。何故彼(いや、誰だか知らんけど......男だよね?だから「彼」でいいよね?トランスジェンダーだったらごめんなさいね....)がやらないのか。その為の「カヴァー」でしょう?つまり、カヴァーが機能していないんです。これがもう組織として問題。
 で、代役を立てるとして、通しで歌える人が出てこない、というのはどうしようもなく情けない。というのも、そもそもジークムントは、第1幕は出ずっぱりですが、第2幕は後半しか出て来ないですからね。楽な役ではないけれど、第1幕終わって休憩挟んで第2幕の後半まで、1時間くらいは休憩出来ます。なんなら休憩伸ばせばいいし。それでも分けなきゃいけないというのはどういうことか。いや、いいですよ、第2幕ヘロヘロでも。それでも、オペラがオペラである以上、そこは守るのが意地だろうと。いやなんだったらPA入れたっていいですよ。よくないけれど。確かにPA 入れるとか情けないったらありゃしないし、オペラのオペラたる所以を崩すことにもなりかねない。でも、それでも、オペラが演劇であることを根底から崩すような真似に比べれば、多分、まだマシ。ダメだけど。

 そして、この判断を下した大野和士以下首脳陣の罪は重いです。「音楽的には最善」?いや、そもそももうこれはオペラであることを否定しているのだから、その時点でアウトでしょう。彼らにはオペラとはなんであるかが分かってないと言われても仕方ないのではないか。そのくらい間違った判断だと思います。


 私、チケット持ってますけれどね。行かないか、って言われると、今悩んでます。やめとこうと思いつつ、一方で、そこまでして何をどうするのか見極めてやる、という気もあるし。払い戻しは出来ないことになっているけれど、体調不良だったら仕方ないので申し出て下さい、払い戻します、が今の新国のポリシーなので、実質払い戻し出来ちゃいますしね。だから、それが理由では無いです。

 そして、お客の方は、もう絶望的だと思います。要するに、皆、オペラを演劇だと、お芝居だと、物語のあるものだと、お話しだと思ってない人ばかりだってことですもの。「これでいいんだ」って言う人どころか「ダメだ」って言う人ですら、この辺のことが分かってない人ばっかりなんだと思います。
 正直言うと、私も若い頃はそこまではっきり意識していなかったとは思います。結構「意味は分からなくても楽しめるんだ。音楽が大事なんだ」って思ってましたからね。でも、やっぱり、ちょっと実演で観ていれば、この辺のことは分かって来ますもの。幾らろくすっぽ舞台の見えない席ばっかりでも、見ていればわかるものですよ。その頃に比べれば、今は、生の舞台だって余程沢山接せられるようになったし、映像記録へのアクセスだって格段に容易になった。でも、全然観られていないんですよ、多分。舞台は見てるけれど、それがなんであるか理解してないんじゃないでしょうか。
 或いは、今日本で見られる舞台が、そんなこと考えも及ばないようなものばかりになってしまっているのか。そういうことかも知れません。

 まぁ、そんな地獄みたいな状況下で、やれ演出が、とか、誰それが、みたいな話に興じてるつもりになってるのは、みっともないからおよしなさい、と思ってしまうのではあります。






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最終更新日  2021年03月07日 22時40分26秒
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