全6件 (6件中 1-6件目)
1

「トランプを生み出した思想家たち」をサブタイトルとすることには迷いがあった、と著者はあとがきで述べている。むしろ、彼らはトランプが大統領になったことで表舞台に登場した思想家たちではないのか。つまり「トランプが生み出した思想家たち」ではないのだろうか、と。著者はさらに、彼らに思想と言えるものがあるのかどうかも怪しい。単なる妄想や思いつきに過ぎないと言われたら否定できない、といった趣旨も述べている。この本が紹介する「思想家たち」の多くは、ヨーロッパの国々が世界各地を植民地としていた時代を、本来あるべき姿と信じ、白人と非白人が共生の関係にはないことを、今、非白人たちに思い知らせておかないと取り返しがつかなくなる、と訴えているように感じた。非白人が移民として欧米に流入を続ける結果として、やがて白人が少数派に転じてしまうことを彼らは酷く怖れている。伝統的に白人が支配してきた欧米を異人種が移民という手法で乗っ取ろうとしていると信じ込み、そのことに民主党支持者を含む脇の甘いリベラリストたちは気づくべきだ、と主張している。そして彼らが担ぐ神輿のうえで、今、トランプは非白人の排斥に熱中しているように見える。ベネズエラの石油利権を武力で奪取するなど、白人の利益のためには手段を選ばない姿勢も見える。暗澹たる気持ちで読み進む中で、ある一文に目が釘付けになった。少し前までアメリカ政治の保守本流にいながら、今は反トランプの立ち位置故に右翼の片隅に追いやられているデヴィッド・フレンチが記した一文。「他の人間を尊敬の念をもって扱いつつ根本的な自由を求めて戦うことが弱さのあらわれであるとみなされる奇妙な時代に我々は生きている。他人を侮辱することにかけては最高峰であるトランプのなかに、基本的なまっとうさを軽視するという現下の事態のあらわれを見出さざるを得ない。ごみのように他人を扱うことは、より良いアメリカに至る道だろうか。」National Reviewから原文も引用する。We live in a strange time when fighting for fundamental liberties while treating other human beings respectfully is seen as a sign of weakness. One can’t help but see the outlines of a case for Trump, the insulter-in-chief, in the disdain for basic decency. Is treating other people like garbage the way to a better America?(David French, "Decency Is No Barrier to Justice or the Common Good")まさにこれが言いたかった、と思った。敬意と礼節、思いやり、そして愛。今、これを言うと嘲笑され、負け組の落胤を押される。そんな風潮が日本の政治家の一部にも見える。人類から優しさが消え去らないことをひたすら願う。
February 26, 2026
コメント(0)

藩政時代の町名、二日町(ふつかまち)は、昭和45年の住居表示で町の範囲がわずかに変わったものの、今もほぼ同じ場所で住所(仙台市青葉区二日町)として使われている。二日町の南側には仙台の歓楽街「国分町」があり、二日町の中心を通るかつての奥州街道も、今は「国分町通り」と呼ばれている。けれど、国分町から定禅寺通を渡った先にある二日町に歓楽街の雰囲気は感じられず、銀行の支店やオフィスビル、そして小さな飲食店や割と新しいマンションなどが並んでいた。歓楽街の雰囲気同様、二日町の街並みに藩政時代の名残も感じられなかったが、江戸時代には、立町、二日町、新伝馬町とともに米穀売買の特権が与えられ、「四穀町」と呼ばれていたらしい。(仙台市ウェブサイト「奥州街道を歩く」より)一つだけ、通り沿いに古い蔵を見つけた。今は国分町三丁目になっているこの場所は、かつての二日町。早速、蔵の周りをうろうろしてみたが表示なども見当たらなかったので、スマホで探してみた。すると、建物を所有している志ら梅ビルのウェブサイトに詳しい説明があった。(以下、同社ウェブサイトより)建物の名前:秋保石 石蔵(旧・吉岡酒造店) 【大正三年建造】※(令和7年8月現在)一時的に賃貸を中止。(東日本大震災の被害で内壁の漆喰が浮き上がったため。)■建物の特徴旧奥州街道の往時の賑わいを記憶する石蔵。旧・吉岡(屋)酒造店の敷地内に大正期に建造された数棟のうち最後の一棟。当時流行した自然石である地場・仙台市太白区秋保産の凝灰岩「秋保石」を積み上げている。デザインは大正モダンの和洋折衷様式で、北面ファサードに重厚なアーチと角型の2つの開口部を並べている。開口部屋根の軒支えと雨樋受けの鉄製金具に、同店銘柄「清酒志ら梅」の梅の花弁の輪郭を象った意匠が看て取れる。昭和20年の仙台大空襲では焼夷弾が瓦屋根を突き抜け内部の収蔵品すべてを灰燼に帰した。酒造時代には「志ら梅醸造場」用の米蔵、小売時代には商品倉庫として利用された。小売店舗は平成22年10月を以て閉店した。 (以上、同社ウェブサイトより)説明によると空襲の前からこの蔵はこの場所にあったとのこと。そして「旧奥州街道の往時の賑わいを記憶する石蔵」とも書かれている。戦後、仙台の中心部では大規模に区画整理が行われ、青葉通りなど広い道路もつくられたが、焼失する前の街の形にはできるだけの配慮をしたのかもしれない。もうひとつ、仙台市役所二日町分庁舎前に、市教育委員会が立てた看板があり、この場所に「仙台藩町奉行所」があったことを説明していた。(ただしここは藩政時代には二日町ではなく西隣の町にあたる。)以下説明。仙台城下の町人町(ちょうにんまち)の行政全般を預かる町奉行は、城下町建設期より置かれ、当初は地域割りごとに奉行がいましたが、2人の奉行の月番(つきばん)制となりました。恒常的な施設としての「町奉行所」は設けられず、町奉行を務める藩士の屋敷で事務を行う役宅(やくたく)制が採られていたましたが、嘉永(かえい)年間(1848~55)以降は、仙台城下を南と北に分けてそれぞれに町奉行所が設置されたといいます。仙台市二日町分庁舎前には北の町奉行所が、仙台国際ホテル・SS30前には南の町奉行所がありました。
February 21, 2026
コメント(0)

2024年11月の大統領選挙で、共和党のトランプが民主党のハリスに勝って再び大統領になった。その時の選挙戦を日経新聞の記者たちが全米各地で取材を重ね、リアルタイムで報道した。後日、その時の記事を加筆・再構成し一冊にまとめたものがこの本。選挙当時も今も、自分にはアメリカの人たちがなぜトランプを選んだのかが理解できず、この本を手に取った。過去の大統領選挙を見ていても、アメリカ国民は変化を求める傾向が強く「Change!」が大好き。つまり現職に厳しいとは感じていた。そして、現職の大統領や相手候補を悪意のあるテレビCM(今回はSNSも)で貶める手法は今回に限らずアメリカの大統領選挙では各陣営の常套手段として毎回繰り返されてきた。では、今回の大統領選挙はこれまでと何が違ったのか。言えることは、バイデンもトランプもどちらも大統領経験者であったこと。そして、両者ともに国民の評価が高いとは言えない大統領であったこと。本書によれば、才能豊かなアメリカ社会において、大統領候補がなぜこの2人なのか。もっと若い候補者はいなかったのか。選挙期間中、アメリカ国内のあちこちでこんな声が聞かれた。正直言って、どちらにも投票したくない。そんな国民の思いも伝わってきた。鼻をつまんでトランプに入れる、と苦渋の選択を口にする人もいた。勝手にまとめると、民主党が勝てるはずの選挙をみすみす落とした。共和党やトランプに負けたのではなく自滅した。そういう選挙だったのではないか、と感じた。だけど、どんな経緯があろうと選ばれてしまえば大統領には絶大な権限が手に入る。残り3年の任期中に世界が荒廃しないこと、滅びてしまわないことを祈っている。
February 16, 2026
コメント(0)

この小さな本一冊に野村克也監督の野球理論がぎっしりと詰まっていて、読みながら頭がパンパンになった。おそらく、プロ野球選手の大半は小さな頃から投げる、打つが周りの子供たちよりも飛び抜けて上手で、打っては四番、投げてはエースだった人たちだと思う。向かうところ敵なしの体育会系。それだけに、例えアマチュア時代にある程度のずる賢さは身に付けていたとしても、プロに入って叩き込まれる野村理論に付いていけない選手たち、何を言われているのか頭に入らない選手たちは少なからずいたのではないか。そんな気がした。自分も一球一球、一挙手一投足に意味があると言われながら、自分としてもそれを意識しながら野球をやっていたつもりだけれど、この本を読んでみると野村ノートの入り口にも立っていなかった気がするし、実際そうだった。翻って考えると、自分が所属していた学生野球リーグ全体がここまで考えながら野球をするレベルではなかったようにも思う。これも実際そうだった。自分たちがやっていたことは、まさに打ち損じと投げ損ないの勝負だった。どうやって打ち取るか、どうやって攻略するかの勝負をしてるつもりではいたけど、裏付けとなるデータは貧弱だった。子どもに戻れるのなら今度は野村の教えを頭に入れて、もう一度イチから野球をやってみたい。そう思った。
February 11, 2026
コメント(0)

トランプ政権1期目の2016年から2021年の中頃にかけて、長年ワシントン・ポストで記者を勤めた著者が、アメリカの地方都市に暮らす人たちの姿を追った。正しく生きていればやがて報われると信じ、それを地道に実践してきた退役軍人のブレントは、イラク駐留当時に拠り所としていたアメリカの正義が見つけられなくなっている。常に誰かを罵り、強欲の限りを尽くして生きてきたトランプ、誠実な生き方とは程遠いトランプのような人間が、アメリカ大統領という栄誉ある地位を得ていることがブレントにはどうしても受け入れられない。一方、ブレントの隣人マイケルは、トランプが言い立てる根拠不明な民主党攻撃を真実と信じ、トランプに期待し、心酔している。デタラメを言っているのはトランプではなくマスコミだ。我々はかつて暴虐非道なイギリスと戦ってアメリカ独立を手にした。民主党はあのイギリスと同じように我々から銃を取り上げようとしている。トランプがひどいことを言ったところなど見たことがない…まったく噛み合わない会話。議論にすらならないまま、小さな地方都市でも分断が進んでいくアメリカの姿が淡々と描かれていた。国民の分断と対立を煽り続けるトランプは、最終的に何がしたいのだろう。自分に異を唱えない人間、とりわけ白人に囲まれて、常に誰かを吊るし上げることで身内の結束を固め、お金だけはうなるほどあるような国を作りたいのだろうか。そんな国に住みたい人はいるのだろうか。家族の問題やイラク駐留当時の記憶など、話が様々飛ぶので読んでいてストーリーがつかみづらいところはあった。ただ、それよりも今は、このような本が自由に出版され、誰でも自由に読める世の中であり続けてほしいと強く思った。
February 6, 2026
コメント(0)

「すべての野球ファンと、トップ選手を目指す野球選手に向けて」往年の名投手、そして名監督の工藤公康さんが書いた野球の本。野球を本気でやりたい人がやるべきこと、考えるべきことがたくさん書かれていた。工藤さん自ら、あとがきの中で「野球ファンへのメッセージより、野球を志す若者や…コーチをしている方へのメッセージが多くなってしまいました」と"反省”しているけれど、読んでいて確かに「野球を志す若者にとっても少し難しい内容かもしれない」と感じるくらい、彼の野球への情熱があふれていた。野球が飛び抜けて上手、というだけで通用するのはプロ入りまで。プロ野球選手として成績を残すためには上手いだけではダメで上手くなるための努力が必要。そして、ケガをせずに長く選手を続けるためは上手くなるための努力だけでは足りない。ではどうするか、について技術的なことも心構え的なことも書いてあって、野球が好きで長くやっていただけの自分には理解が追いつかない部分も少なくなかった。例えば…(カーブについて)・僕(工藤公康)は…親指を前に出すように投げていた。前田健太くんは…小指から親指を前に出すようなイメージで投げているそうだ。(投球フォームについて)・藤川球児くんは…振りかぶってからボールをリリースするまでの時間が長い。…徐々に筋出力を大きくしていくことが可能なため筋肉への負担が少なくて済む。・成瀬善久投手は…腕を体の近くに置いておくことで距離を作り、加速時間を長くしている。・右投手なら左股関節から左肩までが「中心軸」で、左肘が「力点」、右手指先が「作用点」となる。などなど、すぐにはビジュアルが浮かばず、しばし考え込むような表現が最初の30ページくらいを読み進む間にも次々と出てきた。「野球をやっていた」と一丁前に言えるようになるためにはまだまだ学ぶことがたくさんあるし、もう身体は思うように動かないけど、できればもう少し野球を知りたいと思った。
February 1, 2026
コメント(0)
全6件 (6件中 1-6件目)
1


![]()