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(上のつづき。)180曲余りある、能の曲の中でも「名曲」として、また「悲劇」としても名高い『隅田川』。師匠のお母様はいつかこの『隅田川』のシテを務めたいと思われて無事、この日を迎えられたのだ。満員の見所。合間をぬってなんとか正面の席を確保する。高い笛の音・・・『隅田川』シテは、子と生き別れになった狂女である。女は、子を探して、隅田川までやってきて渡し守に、船に乗せてほしいと頼む。「舟こぞりて狭くとも 乗せさせ給へ渡守・・・」ここですっとシテがワキの渡し守に向かって、片手を差し出すのだ。これによく似た型は、『葛城』でも観た。でも全然違うのだ。ちょっと面が曇っただけなのに想いの切実さと、悲壮感とこみあげるものの深さが違うのだ・・・そして船に乗った女は対岸を見て、あることに気づく。「なうあの向ひの柳の下に 人の多く集まりて候は 何事にて候ぞ」そして渡し守は、わけを語る。あれは去年の丁度今日この地で亡くなった、親のない幼い子を弔う声であると。ワキが語る中段々と、シテの面が曇ってゆく。やがて船は対岸に着くが、女は、ただただ涙を流して動こうとしない。そして問うのだ。「その稚児の年は」「主の名は」「父の名字は」たたみかけるように聞き、そして知る。去年の今日この地で亡くなったその子こそ、探し求めていた我が子だと。そして、その夜対岸にある、子を弔うための塚の前に女はゆく。女は読経する。「南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏・・・」すると「なむあみだぶつ」かん高い、子どもの声が混じる。そして「なむあみだぶつ・・・」それまでそこにあった、「塚」の後ろから白い装束を身にまとった、幼子が出てくるのだ。女は感激し、かけよるが「互いに手に手を取り交はせば また消え消えとなり行けば」その手を取り交わすことは出来ない。何度か、2人は行き交って子は消え夜が明けてゆく。「我が子と見えしは 塚の上の 草茫々としてただ標ばかりの 浅茅が原となるこそ哀れなりけれ なるこそ哀れなりけれ・・・」この目で『隅田川』を観たのは、初めてで能を観て涙が出たのも、初めてだった。この能を作った世阿弥の長男は天才であるしこうして、何百年の時を経て現代のこの地で、その感動を表出させる師匠のお母様は素晴らしい。そして会の最後は、師匠の舞囃子『春日龍神』で幕閉めだ。これがまた、とてつもなく素晴らしく格好良かった。この方が、私たちの師匠なのだと思うととても誇らしく思えた。会の後の宴会ではお母様のお師匠さま、宝生宗家、師匠の師匠もみえられて大層豪華な感じ。私「『隅田川』、感動しました」お母様「ありがとう。 そう言っていただけると嬉しいです」色んな人と話してお酒も飲んで楽しくなっているうちに「走れ!」最終の新幹線に「待っ・・・」一瞬の差でプァーン『駆け込み乗車はおやめください・・・』乗り遅れる京都人「「・・・・・・」」約6名。・・・脳内を色々な想いが駆けめぐりつつも「夜行バスにチャレンジします……」「私はとりあえず、名古屋まで……」各々の方法で、次の日なんとか京都にたどり着いたのでありました。……次の日の仕事には間に合いましたので念のため。ああ、なんだか夢のような長い1日だったー
2008年06月29日
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もともとは、3月末だったはずのこの会が6月に延期になったのは師匠のお母様が、ご病気になられたからだ。師匠「母はきっと元気になるから。 五月さんも、忙しい時期だとは思うけど 30周年だし、出てくれると嬉しいんだが・・・」私「そんな、私のほうこそよろしければ 出させていただきたいと思います」そして見事、お母様は元気になられかねてから望んでおられた、名曲『隅田川』のシテも決まった。この「郁雲会」にはお母様のお弟子さんたちを始め師匠のお弟子さん、うちのサークルの仲間たち、玄人の方々も大勢集われて、盛大な会になっている。だからOGさん「ほら五月さん、お客さんが沢山・・・」私「ああちょっとそんなこと言われると余計に変な汗が」天下の(?)宝生能楽堂、楽屋。出番前から変に緊張してしまってなんか大変な感じなんですけど・・・。OGさん「見所行って観てこようよ、 舞囃子まで時間あるし」私「そそそうですね、そうしましょう」始まっている仕舞を観にとりあえず見所へ。「鷲の御山の名を残す・・・」何人か、初舞台の方がおられた。ああ~、観てるほうがどきどきする・・・OGさん「あ、現役だ」その後、うちの宝生会のメンバーの仕舞。現役から始まり、OB・OGへと移る。さすがというか、何というか。普段から稽古できる身分なだけあって皆手堅い。しっかり舞ってる姿を観て・・・なんかちょっとだけ緊張ほぐれたかも。OGさん「そろそろ行こうか」私「ええ」私と、このOGさんとOBの熊さん(仮名)はこのあと舞囃子だ。「「「よろしくお願いいたします」」」切戸で手をついてお囃子方と、地謡の方々に礼。あーうそ緊張ほぐれたなんてうそ(泣)舞台の上は、なんでこんなにまぶしいんだなんでシテって1人なんだああ、何度舞台を経験しても緊張するのは変わりない・・・・・・シテ謡の前に一瞬だけ、一息ついてあれこれ考えるのをやめる。私は清経だ。「さては仏神三宝も・・・」シテ謡につづき地謡の声。お囃子の音色。しばらく聞いて「哀れなりし有様・・・」正座から膝を立て立ち上がる。私が『清経』の中で好きなところは拍子がいくつもあってそのすべてが、はっきりと意味合いが違うところだ。「また船にとり乗りて」ここの拍子は船に乗る拍子。「多声かと肝を消す」ここの拍子は、肝を冷やす音、「心にこめて思うよう」ここは気持ちを変えたときの音。そして、中でも好きなのが「腰より横笛ぬき出だし」扇を腰につけ、ぱっとはなして前に持ってくるとそれは横笛になる。「音もすみやかに」両手で大切に持ち拍子。「吹き鳴らし」笛の音。「今様を歌い朗詠し・・・」宝生能楽堂で鳴らす拍子の音は全国に散らばる能楽堂の中でももっとも優れた音色を響かせるという。笛の音に聞こえただろうか。正直いまいちだったと思う(泣)。ああ、もったいない。でも拍子はまだまだある。「南無阿弥陀仏弥陀如来」念仏を唱える拍子がぶつぶつと続き「迎えさせ給えと」心を決めて強い拍子を一発。「船よりかっぱと」船から水に落ち「落ち潮の・・・」ざぶん、という音をあらわす拍子がひとつ。(これは上手くいったかも)(←邪念)「いふならく 奈落も同じうたかたの・・・」そして、舞台上で平臥しシテ謡。あとはキリだ。「さて 修羅道におちこちの」『ここだけ清経はめちゃくちゃ強いつもりで』師匠の声。仲間うちでは「へたれ」と言われる清経だけど、キリばっかりは強いのだ。「乱るる敵 打つは波」敵にも果敢に戦う(ここでも拍子)。あれだけ苦戦したキリだけど、舞ってみれば割とそれなりに舞えたようにも思う。なんて。「仏果を得しこそありがたけれ・・・」「キリ格好よかった~」「拍子がまだまだですね」終わってみればあっけないもの。色々言われながらも終わってとりあえず、胸をなでおろす。すぐ後にOGさんたちの舞囃子が控えていたので、いそいそと見所へ。・・・例によって、例のごとく普通に上手い、『桜川』と『熊坂』の舞囃子。ああ、私はまだまだだなぁ~もっと稽古したいなぁ~もっともっと・・・「あの折り詰め、いただいていいんでしょうか」私「ええ、私も今いただくところです」そしてメインイベント『隅田川』を前に合間をぬって、楽屋で急いでお昼ご飯。一緒にご飯を食べた方は今日、初舞台を踏まれた方の1人だった。「『清経』、拝見しました」私「え、はあ、お恥ずかしい・・・」「私・・・今まで、 仕舞の何が格好いいとか、何が綺麗とか そういうのが分からなかったんです。 分からないままに稽古してたんです」私もそうだった。何も分からないままに稽古をしていた。その「面白さ」を教えてくださったのは師匠や先輩方一緒に稽古をした仲間たちだ。「でも、『清経』を観て 能って、こんなに格好良くなるんだって 初めて分かりました」・・・「稽古したくなってきました。 頑張りたくなりました」・・・うれしい。私の、下手な舞でも他の誰かに、「能は面白い」「能って格好いい」って思ってもらえる何かになったということだ。私の稽古が、次につながる、こんなにうれしいことはない。お囃子の“お調べ”(お囃子方のチューニング)が聞こえる。さあ必見の『隅田川』が始まる。(下につづく)
2008年06月28日
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私「次の日曜、 東京で舞台があるんです」という話をしたら社長「そうか! だったら10階で稽古したらええ!」そこ会議室ですから!営業さん1「ワタリィの踊り観たい~」私「(“舞”ですけど)いや無理です恥ずかしいんで」営業さん2「横断幕持って応援行こか?」間違ってますからやめてください。ああ、今頃、宝生能楽堂じゃあ申合をやってるんだろうな。入社6ヶ月たたないと有給取れないからな~~~うあーしゃーないわー私「では今日は早く帰ります!」「はい!」「いってらっしゃい」「がんばって~」みんなに見送られて今日はちょっと早めに帰ってきた。明日の夜は、宝生能楽堂で稽古をしてそして本番を迎えるのだ!がんばってきます! いってきます~~
2008年06月27日
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6月の金沢。県立能楽堂。熊さん(仮名)「おはよう」鴨くん(仮名)「おはようございます」宝生会の後輩たちの全国大会、全宝連。場所は金沢だけど続々と集まる、私たち卒業生。だって現役は頑張っているんだもの。応援に行きたいじゃないか。熊さん「丁度これから最初の仕舞だよ」そして久々に観る、後輩たちの仕舞。見所から、改めて観て思ったのはうちの大学・・・声にまとまりがないなぁ(苦笑)。まぁ、男女混声だから、仕方ないところもあるけれどもっと地頭の声に合わせるとかハリをもって謡うとかそういうのが欲しいなぁ・・・。みんな、声が個性的過ぎる・・・。・・・って、自分が現役のときに出来てたかといえば全然そうではないんですけど。とはいえ、どの大学もそれぞれの条件で、それぞれのスタンスで精一杯やっている。観てるとうずうずしてくる。ああ、稽古したい。****師匠「お疲れさまでしたー」そうして2日目、昼過ぎに全部の演目終わってから熊さんのご実家である、金沢のお寺に皆が集い熊さん「じゃあ観光と稽古に分かれて」「金沢観光」と「稽古」組に分かれる。私は稽古組として残る。1回生「ど、どうすればいいんでしょう・・・」熊さん「観光のほうが圧倒的にいいよ」ええ。容赦なく稽古しますからね。1回生「・・・えーっと」鴨くん「観光の人行きましたよ」1回生「あ。じゃあ、稽古します」おお。そうしてお寺に残ったのは6名ほど。鹿くん(仮名)「他大学に 『終わってから稽古するんですか(笑)』って言われたんですけど ほんとにするとは・・・」・・・そう言って、してしまう辺りがうちの宝生会。金沢の広いお寺で『熊坂』『三輪』『生田敦盛』『紅葉狩』等々響き渡る謡と、ハコビ、拍子の音。師匠「『清経』、なかなかいいんじゃない」私「ありがとうございます」はぁー、あと1週間。頑張ってる後輩たちに負けないようにしっかり、無事に舞囃子を舞い終えられるようにがんばるのだ!
2008年06月22日
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仕事もいろいろ詰まってまいりまして全然更新できておりませんが……明日・明後日はサークルの後輩たちの全国大会すなわち全宝連が金沢であります。見に行ってきます。……でもそんなことしたら土日つぶれて『清経』の稽古できないんですけどね!熊さん(仮名)「金沢でしたらいいじゃん」まぁそれはそうなんですけど。うちの大学の舞台は、明日の午前中にあるので早朝のサンダーバードに乗るわけです。ちなみに来週の土日は、夜行バスで東京です。なので今月末は全然休みじゃないんですけど社長「土日はアグレッシブに休むのだ!」という社長の言もあります故。なんとかなるでしょう。来週は連吟『夜討曾我』もあるとか聞いてるけどそんなの稽古してる暇ないし~~~う~~でも忙しいって嬉しいよう~~(笑)金沢、1回生の自分を思い出しながら(全宝連の会場は、東京→名古屋→京都→金沢と4年周期で回るのです)楽しんで見てきますわ~
2008年06月20日
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「・・・・・・」朝起きたら「・・・・・・」8時50分。「・・・・・・!」(注:うちの会社は9時出勤である)やばいやばいやばい(顔洗って着替えてカロリーメイト持って)てか携帯の電池切れてるし!どうりでアラーム鳴らないわけだやばいやばいやばい(自転車)やばいやばいやばい(キコキコキコ)やばいやばいやばいハリーさん(仮名)「おぅ、おはよー珍しいな」私「おはようございます・・・・・・」超奇跡的に間に合った。凄すぎる。あー、びっくりした。ナツさん(仮名)「ワタリィ、いつも一番やのに遅いから、電話しよか思たわ」ハリーさん「罰金ならんくて良かったなぁ」そう、うちの会社は「1分以上遅刻でに5000円」の罰金なのである。共有のゴジラの貯金箱に入れるのである。(そして飲み会代に使われる)あー、びっくりした。今度から時計2つ使ってアラームかけようかな。あーびっくりした。
2008年06月11日
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例によって休日午前中のBOX稽古。熊さん(仮名)「山は鉄城~のところは 半身のヒキワケとはいえ、体の正中線上から手がずれたらおかしいよ」OBの熊さんに指導を受けつつ『清経』の、変なところを直していく。向こうでは亀さん(仮名)が笛(早舞かなぁ)を吹いている。熊さん「そこもっぺんやってみて」私「はい」かけてひねってシカケて右足をひきつつ・・・熊さん「そこ、扇をぱたんと返すんじゃなくて」えーと熊さん「こう、すっと自然に」えーと熊さん「いや最後だけぱたんとするんじゃなくて」こうか。熊さん「そうだね」6月に入ると午前中とはいえ、汗がにじむ。亀さんの笛の音は相変わらず。熊さん「やっぱり『清経』は キリがへちょいとどうしてもねー」そうですねークライマックスですからねー・・・あー、ほんとに稽古しないと。もう舞台まで3週間か・・・。熊さん「亀くん『紅葉狩』大丈夫なの」亀さん「あっ、ええ やっ、やらないといけないですね」亀さん、『紅葉狩』の後シテなのに余裕だなぁ。暑いからってうだうだしてるとあっというまに月末になる。社会人は、学生の時みたいに時間が無限にあるわけではない。限られた時間を、どううまく活用するか。前に録音したプロの音源を聞き直そう。やるだけやるのだ!
2008年06月08日
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今の仕事のひとつにとある「ゼリー商品」のパッケージを作る仕事がある。もう少しで入稿してお仕事完了だったんだけれど……先方「あの……先日社長との会議がありまして」修正が入るのか。まあ、よくあることだけれど……先方「ここに大きく文字を入れろと言われまして……」……私「ありえないですよねこのデザイン!?」ナツさん(仮名)「ありえへん」アキさん(仮名)「これはないですわ」先方からお聞きしたデザインをそのままラフに落とすともう、なんかありえないデザイン。せっかくスタイリッシュだったものに「ゴシックの、太目の文字」が「横並び」でパパパと入って下にあるフルーツの絵が死んでなんか文字文字くんのパッケージ。はっきり言ってださいのだ。こんなパッケージいやだ。アキさん「もうひとつ案作って並べてみたら 先方も納得するかもしれへんしね」ナツさん「そうですね……やってみます」それで比較対象として、なんとか見易くレイアウトを変えたパッケージを一緒に送る。これなら納得するだろう、と思って。ところが。先方「社長がやはり こちらの案がよいと言われまして……」……よい案ならみんなが気に入ると思っていたけれどそうではないのだ。そして99人が気に入っていても決定権の1人が首を縦にふらなければどんなにいい案でも、意味を成さないのだ。社長「よくあることなのだワタリィ」私「はい……」社長「広告屋さんは いい広告だけ作ればいいのではないのである。 クライアントの嗜好によって変わるから それをコントロールせねばならんのだ。 むずかしや、むずかしや」……多少ださくなってしまったとある「ゼリー商品」は5月末の入稿日の、一週間遅れで印刷会社に渡る。そしてこの夏、試験販売。それで売れなければ全国には回らない。ああ。どうか売れてくれますように。
2008年06月04日
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