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今日もまた植木鉢の下に居た虫の話である。とは言っても、今日のはチャンとした虫、サシガメ科のアカシマサシガメ(Haematoloecha nigrorufa)である。 アカシマサシガメはずっと以前に紹介したことがある。しかし、その時は生態を知らなかったので、クリスマスローズの葉上に載せて写真を撮ってしまった。これは非常に不適切な処置であった。と云うのは、このサシガメ、ヤスデを好んで食すと云う地表性のサシガメなのである。恐らく、クリスマスローズの葉上を歩くことはないであろう。今日の写真の様に、地面の上を歩いているのが正しい。 このWeblogでは、1つ種類を同じ様には再掲載しないのを原則としている。しかし、以前掲載した時は、途中で飛んで逃げられてしまったせいもあって、平凡な写真が3枚のみであったし、生態写真としては正しくない撮り方をしてしまった。其処で、今回は前回の「訂正」も兼ねて、もう一度アカシマサシガメを掲載することにした。植木鉢の下に居たアカシマサシガメ.体長は12mm程度(写真クリックで拡大表示)(2010/01/25) ・・・と言っても、写真は多くない。露出不足の写真がかなり多く、補正すると影の部分が酷くザラザラになってしまって、使い物にならなかったからである。撮影中に画像を確認したときは何とかなると思ったのだが、こう云う黒い虫のRAWファイルを現像するときは、暗部を少し明るくする様にしないと、虫体の殆どが真っ黒に潰れてしまい詳細が良く見えない。しかし、暗部を明るくすると、露出の補正によるザラザラが更に目立ってしまうのである。歩き回るアカシマサシガメ.暗部を明るく現像すると黒い体の表面にあるデコボコが良く見える(写真クリックで拡大表示)(2010/01/25) アカシマサシガメは体長12~3mm、久しぶりに撮る大きな被写体である。こう云う大きいのに地面の上をチョコマカ歩き回られると非常に撮り難い。立ち位置を屡々変えながら撮らなければならず、焦点を合わせる暇がなくなるからである。しかし、まだ朝の内で気温が低く、動きが緩慢だったので撮影は楽であった。 ノソリ、ノソリと歩く。時々、止まったまま動かなくなる。恐らくは、一生懸命逃げようとしているのだろうが、寒くて体が利かないのである。まァ、捕まって標本にされる心配は無いのだから、そう慌てる必要は無い・・・。気温が低いせいか、何となく力が入らないと云う感じ(写真クリックで拡大表示)(2010/01/25) 写真を良く見てみると、頭や小楯板(胸の後にある3角形の部分)にかなりの土が付いている。見付けたときは植木鉢直下の土の上にジッとして居たが、場合によっては土中に潜るのだろうか。或いは、越冬中も暖かい日には餌のヤスデを追って、土の間に入り込むこともあるのかも知れない。アカシマサシガメの顔.やはりサシガメらしく精悍(写真クリックで拡大表示)(2010/01/25) 植木鉢の下に居る生き物の話がこれで5回続いた。我ながらウンザリなので、次回は少し違うものを紹介したい。
2010.01.29
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最近はどうも植木鉢の下に居る生き物ばかり紹介している。他には目新しい生き物は見当たらないのだから、まァ、仕方がないが、我ながら余り面白くない。読者諸氏も同様と拝察申し上げるが、何卒御寛恕頂きたい。 ・・・と云うことで、今日もまた植木鉢の下に居たトビムシの1種を紹介する。このトビムシ、先日の「トビムシの1種(その2)」と同時同所で撮影した。しかし、たった1枚しか撮れなかったので、その後、別個体を探してもう少し枚数を増やそうと思っていたのだが、どうしても見つからない。そこで写真はたった1枚だが、もう掲載してしまうことにしたのである。我が家の庭では、先日紹介した「トビムシの1種(その2)」が圧倒的な優占種の様である。植木鉢の下に居たトビムシの1種.体長約1.5mm(ピクセル等倍、拡大不可)(2010/01/10) 体長は約1.5mm、写真はピクセル等倍なので、画質はかなり酷い。例によって、トビムシの種類は分からない。しかし、体に毛が多く、腹節の後の方が前の節よりも長い。これらの点は、先日の「トビムシの1種(その2)」やずっと以前に掲載した「トビムシの1種」、或いは、別のWeblogで紹介した「トビムシの1種」も同じである。互いにかなり近い仲間であろうと思われるが、それ以上の判断するのは無謀と云うべきであろう。分類の決め手になる叉状器(跳躍器)は腹側にあって見えないし、虫が小さ過ぎて写真の解像力も不足しているからである。
2010.01.26
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今日もまた植木鉢の下に居た生き物を紹介する。但し、多毛類や訳の分からぬ奇怪な代物ではなく、蚊の1種である。植木鉢の底にある隙間から入り込んで越冬していたらしい。 体長は3mm強、翅端まで約4.5mm、ガガンボを小さくした様な虫である。この様な外見を持つ虫は、双翅目糸角亜目(広義の蚊の仲間)の色々な科に属すものが居て、その扱いに慣れていない者には厄介な存在である。私もその「慣れていない者」の一人なので、シッカリ苦労させられる羽目になった。 尚、翅が青いのはストロボの反射による構造色ではなく実際の色で、肉眼でも青い翅をしているのが認められた。タマバエ科のLestremiini族の1種.「ハエ」と付いても蚊の仲間翅が青いのは構造色ではなく、本来の色(写真クリックで拡大表示)(2010/01/11) こう云う訳の分からぬ虫を調べるには、検索表を辿るのが一番である。保育社の図鑑にある双翅目の検索表では、タマカ科(タマバエ科:Cecidomyiidae)に落ちた。しかし、其処に描かれている翅脈図は写真の虫の翅脈とは大いに異なる。その図ではM脈が1本でCu脈(実際はM3+4脈)に殆ど接しており、しかも点線で描かれているところを見ると、痕跡程度に弱いらしい。一方写真では、翅全体が微毛に被われていて分かり難いのだが、M脈の存在は明確でCu脈とは離れており、また、途中で2本に分かれているのが認められる。これだけ違えば、タマバエ科(タマカ科)ではないだろう。 こう云うのに一番近い翅脈を持つのは、クロバネキノコバエ科(クロカ科、クロキノコバエ科:Sciaridae、「ハエ」と付いても広義の蚊の仲間)である。しかし、この科の連中は、脛節端に明確な距(棘の様なもの)を持つ。写真の虫にはその様なものは見えない。また、「The European Families of the Diptera」に拠ると、クロバネキノコバエ科の触角は16節とあるが、写真からはとても16節あるとは思えないし、ブラッシ状に毛が生えている。更に、クロバネキノコバエにしては脚が細長過ぎる。余り質の良くない写真だが、背面からの写真1枚だけでは寂しいのでもう1枚斜め横からのを載せることにした(写真クリックで拡大表示)(2010/01/11) 其処で、例によって「一寸のハエにも五分の大和魂」(このサイトは暫く閉鎖状態になっていたが、平成21年11月9日からURLを変更し「一寸のハエにも五分の大和魂・改」として再開されている)の御世話になることと相成る。対応して下さったのはアノニモミイア先生で、翅脈相が不明瞭な写真なので断言は出来ないが,タマバエ科のLestremiini族の1種(雌)ではないかとの御話。この仲間は寒冷期にもよく活動し、翅脈相はかなりクロキノコバエのものと似ているが,前縁脈の位置などが異なるとのこと。Lestremiini族に属すLestremia属の翅脈図も提示して下さった。調べてみると、タマバエ科の翅脈相には、クロバネキノコバエに似たものの他に、様々なパターンがあることが分かった。 危ないところであった。もう少しで「クロバネキノコバエ科の1種」として掲載してしまうところであった。くわばらくわばら。科を間違えると云う重大過誤を犯さずに済んだのは、一意に「一寸のハエにも五分の大和魂・改」の存在とアノニモミイア先生の御蔭である。 ところで、タマバエ科と云うとその幼虫が虫えいを作ることでよく知られている。しかし、それはタマバエ科の一部であり、普通に植物を食したり、リーフマイナー(leaf-miner:絵描き虫)となるもの、キノコや腐植を食べるもの、捕食性のものなど様々である。このLestremiini族の幼虫は、アノニモミイア先生の御話では、腐植を食べるとのこと。腐植物の多い植木鉢の下に居たのも、幼虫時代の食性と関係があるのかも知れない。
2010.01.24
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前回に引き続き、今日も植木鉢の下に棲んでいる生き物を紹介する。 こう云う所に居る生き物の中でその数が一番多いのは、恐らくトビムシであろう。大きくても体長4mm、多くは2mm以下なので、その存在に殆ど気が付くことのない虫である。以前、掲載した白いトビムシは、黒っぽい土とは対照的な色をしているので例外的に分かり易が、今日紹介する様なトビムシは、肉眼的には殆ど土と区別の付き難い色をしていて、見付けるのに苦労する。 しかし、老眼とは雖も、細かい作業用の+3度の眼鏡をかければ、容易に見つかる。尤も、+3度だから地面に顔をくっ付ける様にしなければ焦点が合わないので、かなりキツイ姿勢を強いられることになる。トビムシの1種.かなり大型で体長約3.0mm(写真クリックで拡大表示)(2010/01/10) 3種類のトビムシが見つかった。今日紹介するのはその中で一番沢山居たもので、殆どはこの種類であった。体長は大きな個体で3mm、トビムシとしては大きい方である。以前紹介した白いトビムシとは異なり、かなり跳躍力があって、時には10cm近く跳ぶ。 肉眼的には地面と似た様な色に見えるが、写真に撮ってみると、中々綺麗。残念ながら、種類は分からない。以前、別のWeblogで紹介したケヤキの樹皮下に居たトビムシと一寸似ている。しかし、これらの写真だけでは検索表も引けないので、科すら分からないと云う情けない話と相成る。同一個体.胸部背面に長い毛があり、腹部にも長い棘がある(写真クリックで拡大表示)(2010/01/10) トビムシについては以前かなり詳しく説明したが、粘管目に属す最も原始的なグループの一つで、様々な点で普通の昆虫とは異なることから、最近では昆虫綱とは別のグループとする学者が多いらしい。 何処が普通の昆虫と違うかと言うと、「翅がない、、変態をしない、成虫になっても脱皮を繰り返して成長する、交尾をせず雄が土の上に精包を置くと雌がこれを生殖口に収めると言う間接受精を行う、複眼単眼は無く8個の小眼(クモと同じ)より成る眼斑を持つ、多くは気管系を欠く、マルピーギ管を欠く・・・と色々ある」。これは以前書いた記事の引用である。別個体で体長2.5mm強.色彩が薄い(写真クリックで拡大表示)(2010/01/10) 今日の写真は、何れも拡大表示するとピクセル等倍になる様調整してある。従って、5枚とも倍率は同じ。かなり大きさに違いがあるが、体の格好や色の分布は、小さい個体(若齢)でも大きな個体(成虫)でも殆ど同じである(変態をしない)。只、成虫の方が色合いがハッキリしている。前方から見た同一個体.眼は複眼ではなく8個の小眼からなる眼斑がある(写真クリックで拡大表示)(2010/01/10) 触角の付け根の後方、普通の昆虫ならば複眼がある所に、芋虫の単眼の様な粒々が見える。これが小眼であろう。8個で1つの眼斑を成しているそうだが、小さ過ぎるのと毛が邪魔になって何個あるのか良く分からない。 最初の2枚の写真では、腹部の下、中脚と後脚の間に前向きの白い脚の様なものが見える。これは跳躍に使用される叉状器の先端部であろう。先が二本に分かれているので、この様な名前が付いている。第4腹節に基部があり、前を向いている。体長1.5mm弱の若齢個体.体は小さくても体の形や基本的な色合いは、大きなものと殆ど同じである(写真クリックで拡大表示)(2010/01/10) Wikipediaに拠れば、日本には約360種のトビムシが記録されているそうである。しかし、甲虫ではハムシ科だけで約780種と云うのだから、目全体で350種とはかなり小さなグループと言える。我が家に何種棲息しているかは分からないが、余り一生懸命に植木鉢の下を探すと、トビムシねたは直ぐに尽きてしまいそうである。これからは多足類でも探すとするか?
2010.01.11
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正月も7日を過ぎて、もうしめ飾りにもお引き取り願ったのだが、ネタは全然現れない。この冬は何故か毎年1~2頭は居る筈のホソヒラタアブですらも全く姿を現さない。この分だと1月の更新は無い、と云うことにもなりかねないので、非常の手段を執ることにした。 地面に直に置いている植木鉢の下に居る連中である。余り可愛い生き物は居ない。多足類(ムカデ、ヤスデ、ゲジゲジ)やダンゴムシ、或いは、もっと不気味なコウガイビル・・・、何れも新年早々のネタとしては相応しくない。其処で、今日はその中でも比較的マトモなカタツムリの1種を紹介することにした。植木鉢の下に居るトクサオカチョウジガイ(写真クリックで拡大表示)(2010/01/08) 縦長の筆状のカタツムリで、殻高は1cm前後、小さな陸生貝類である。実は、始めはキセルガイの1種だと思っていたのだが、調べてみると、キセルガイは左巻きで殻口に上板と下板と云う2つの突起が有るのに対し、この貝は多くのカタツムリと同じ右巻きで殻口は平滑である。 縦長で右巻きの陸生貝類には、キセルガイモドキやオカチョウジガイその他のグループがある。保育社の「原色日本陸産貝類図鑑」の図版を見てみると、どうやらオカチョウジガイの仲間(オカクチキレガイ科)らしい。図鑑には同科に属す3属7種が載っている。 因みに、キセルガイ科はこれよりずっと大きな科で、日本には200種近くが棲息するとのこと。最初の写真左端の個体を拡大(写真クリックで拡大表示)(2010/01/08) しかし、図鑑を持ってはいるものの、カタツムリ類に関しては超ド素人である。図鑑の図版は小さいし、解説も余り詳しく書かれていない。其処で、関西学院大学の「微小貝」と云うHPを参照してみた(オカクチキレガイ科は8種あり)。・・・すると、写真の貝が最もよく似ているのはトクサオカチョウジガイ(Paropeas achatinaceum、Allopeas javanicumとしているサイトもある)であった。 貝殻の形(尖り方)と質感(不透明で光沢がない)や色彩、殻表の生長線が粗いこと等がよく似ている。また、この貝は平地に多産するそうなので、その点でも一致する。我が家の庭の貝は大きさにかなりの変化があるが、恐らく生長度の違いであろう。しかし、何となく自信が持てないので「?」を着けておくことにした。 トクサオカチョウジガイは、アフリカマイマイ超科オカクチキレ(ガイ)科に属し、関東以南に分布する。外来種(移入種)だそうで、分布拡大中とのこと、要注意種かも知れない。最初の写真とは別の場所に居た(写真クリックで拡大表示)(2009/01/08) この貝、植木鉢の下の土にワンサと居るが、皆既に死んでいる。生きている貝は居ない。今年は余り多くなかったので、丁度1年前に撮った写真を下に示した。多くの貝はまだ土の中に埋もれており、その儘放置して雨に晒し、12日後に撮ったのがその次の写真である。 かなり沢山の貝殻が写っている。しかし、この間に40mm以上の雨が降っており、しかもかなり強い降雨があったので、土の上にあった貝殻の多くは流れてしまったものと思われる。昨年の1月上旬に撮った写真.16~17個の細長い貝殻が認められる丸い微小なカタツムリも左右に見える(写真クリックで拡大表示)(2009/01/08) 其処で、どの程度の密度で貝殻が存在するのかを調べてみた。植木鉢直下の約7cm四方の土を、深さ約1cm(約50cc)まで採取し、泥を洗い流して貝殻のみを取り出した。一つ前の写真の12日後に撮影、雨に洗われて土の下から合計40前後の貝殻が現れた(写真クリックで拡大表示)(2009/01/20) 何と、71個もあった(下の写真)。1リットル当たり、約1400個と云うことになる。印象として今年は昨年よりも数が少ないので、昨年ならばもっと沢山の貝殻が見つかったかも知れない。約50ccの土の中にいたトクサオカチョウジガイ全部で71個体、大きさにはかなりの違いがある(写真クリックで拡大表示)(2010/01/07) しかし、これらの貝殻、全部中身はない。全て死んでいる。恐らくこの貝は1年生の卵越冬で、秋に産卵した後、風の当たらない湿り気の多い植木鉢の下に移動し、其処で一生を終えるのであろう。 しかし、普段は何処で生活しているのか? 朽木や落葉等の腐植質を食べているのだろうが、暑い時期に見た記憶がない。尤も、夏には余り植木鉢の下など調べないから、気が付かないだけなのかも知れない。大きいもの(殻高約9.5mm)と小さいもの(殻高約5.0mm)を1個ずつ拡大してみた.大きさや巻数が違うのは生長度の違いか?なお、左右の写真の拡大率は同一(写真クリックで拡大表示)(2010/01/07-08) 新年早々余りパッとしない生き物の残骸を紹介した。しかし、こうも新顔が少なくなると、今後は地表や土中の生き物を探すしかない。何分にも酷いネタ不足なので、暫くこの手の生き物の紹介が続く可能性が高い。[覚書]:編集中に何回(合計5~6回)もIEが予告無く落ちた。御蔭で更新作業に1時間半もかかってしまった。システムをリセットしても同じで、どうもこの楽天ブログの編集ページにあるスクリプトに何らかのバクがあるのではないかと思われる。編集途中で「下書き保存」を4回も行って、何とか作業を完遂できた。
2010.01.09
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