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先の連休中のある日、中庭のスレートの上に妙な虫が居るのを見付けた。翅長25mm位はある大きなアミメカゲロウの様な虫で、翅に模様がある。ハタハタと頼りない飛び方をする。 留まったところを良く見ると、驚いたことに、トビケラである。トビケラの幼虫は例外なく水生、何でこんな水の無い住宅地のど真ん中に居るのか?? トビケラと云う虫は川の傍にしか居ないと思っていたのだが・・・。ヒゲナガカワトビケラ.水生昆虫が住宅地のド真ん中に出現!!(写真クリックで拡大表示)(2010/05/03) 少し前までは、トビケラに関して全く無知であった。しかし、今年もう一つのWeblogで初めてトビケラを2種紹介したので、少しは分かる様になった。 先ず、北隆館の新訂圖鑑にある検索表で科まで落とす。概略を記すと、小型種でない→単眼がある→小腮鬚は5節→小腮鬚の第5節は第4節に較べて2倍以上の長さで鞭状になる→触角は長く、大型種で、前翅にハッキリとした茶褐色の斑紋がある、と云うことでヒゲナガカワトビケラ科(Stenopsychidae)に落ちた。ヒゲナガカワトビケラの頭部.1~5は小腮鬚の節を示す「L」は下唇鬚だが、トビケラの分類には余り関係ない(写真クリックで拡大表示)(2010/05/03) 少し解説をすると、先ず、上の写真で、頭の上にまるで対空探照灯の様な大きな単眼が見える。単眼は3個あり、これは5番目の正面から見た写真の方がより良く分かる。小腮鬚は小顎鬚、小顎肢(最近よく使われるが、誤解を招く不適切な表現)とも呼ばれ、口器の一部である。これが、トビケラ類では非常に大きい。上の写真で番号を振ってあるのがそれで、全部で5節、第5節は第4節の数倍以上も長く、鞭状になっているのが分かる。 なお、虫の種類によっては、小腮鬚と紛らわしいものに下唇鬚がある。上の写真で「L」で示したのが下唇鬚である。尤も、これはトビケラの分類には余り関係しない。上の写真と同じ.前肢に距が3本ある(矢印)(写真クリックで拡大表示)(2010/05/03) さて次は、種へ落とせるか?である。九州大学の日本産昆虫目録に拠れば、ヒゲナガカワトビケラ科は6種、その内本州に産するのは5種、一方、東京都本土部昆虫目録を見ると、ヒガナガカワトビケラ只1種のみである。 北隆館の圖鑑には2種、他にチャバネヒゲナガカワトビケラが載ってる。まァ、この辺りに珍種が居る可能性も無いので、図鑑に載っている無印ヒゲナガカワトビケラか、このチャバネの何れかであろう。真上から見たヒゲナガカワトビケラ(写真クリックで拡大表示)(2010/05/03) 圖鑑の解説を読むと、決定的な違いは、脛節にある距の数である。また、少しややこしいことになるが、トビケラの分類では、距式と云うものを使って、脛節にある距の数を表す。もし仮に、前肢脛節には距が無く、中肢脛節では2本、後肢脛節では4本、であれば、距式は0-2-4と表される。圖鑑に拠れば、チャバネの距式は雄が0-4-4、雌が2-4-4、一方、無印ヒゲナガカワトビケラでは、雌雄共に3-4-4である。頭の上に航空探照灯の様な3個の単眼が見える(写真クリックで拡大表示)(2010/05/03) 写真のトビケラではどうか? 3番目の写真や此処に示していない写真から総合的に判断すると、前脚には3本,中脚には4本の距が認められる。後肢の距は良く見えないが、前肢、中肢で3-4だから、これは明らかにチャバネではない。無印ヒゲナガカワトビケラの解説を読むと、「産地から平地に広く分布し、全種[チャバネ]よりも分布も広く密度も高い」とある。圖鑑に載っていない珍種である可能性は、論理的には否定出来ないが、まァ、無印ヒゲナガカワトビケラ(Stenopsyche marmorata)として良いであろう。トビケラは毛翅目だが、この種では翅に毛が少ない(写真クリックで拡大表示)(2010/05/03) しかし、何故に水生昆虫のトビケラが我が家に現れたのか。私の住んでいる町は、東西を互いに約1km離れた2本の川に囲まれている。我が家はその中央よりやや東に位置するが、近い方の川でも400m位は離れており、また、何れの川も崖を下った所を流れている。其処から、自分で飛んで来たとは思えないし、また、風が強い日があった訳でもない。 圖鑑に拠ると、ヒゲナガカワトビケラは灯火によく飛来するそうである。川から明かりを求めて飛んでいる内に迷子になり、挙げ句の果てに、我が家の庭に現れたのであろうか。翅の付け根辺りには長い毛が多い(写真クリックで拡大表示)(2010/05/03) 今日、朝のコーヒーを飲む為にベランダの椅子に座ったら、ヒトスジシマカが数頭現れた。今年初見である。早速、横に置いてあるネットで掬い取って処分したが、兪々蚊の季節に入ったらしい。蚊、特にヒトスジシマカは大嫌いである(好きな御仁はまァ居ないだろうが・・・)。しかし、それでも寒いのよりは暖かい方がずっと宜しい。
2010.05.22
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今日は、これまで卵からその発育過程を掲載してきたヨツモンホソチャタテの完結編として成虫を紹介する。体長は、今日は2個体あるので、2.7mmと2.8mm、翅端まで3.5mmと3.8mm、前翅長は2.7mmと2.8mm、複眼幅(左右の複眼の端から端まで)は0.64mmと0.66mmである。 ヨツモンホソチャタテ(Graphopsocus cruciatus)はホソチャタテ科(Stenopsocidae)に属す。この科には前翅長が5mm前後あるやや大きな種類が多いのだが、このヨツモンホソはそれらと較べると相当小さい。6齢から飼育して羽化させたヨツモンホソチャタテ「首」の所にお弁当ならぬ糞を付けている(写真クリックで拡大表示)(2010/04/24) 最初と最後の2枚の写真は、6齢から飼育して羽化させた個体である(他は、トベラの木で幼虫を探した時に見つけた個体)。他の5齢から飼育していた4頭も後日チャンと羽化したので、何れも本来の住処であるトベラの木に放してやった。 この辺り(東京都世田谷区西部)には、ヨツモンホソチャタテは居ることには居るが、その数は普段は決して多くはない。少なくとも我が家で見たことはこれまで一度もなかった。 それが何故か、今年の冬は例年よりずっと数が多い。もう一つのWeblogでフィールドの一つにしている「四丁目緑地」では、毎回5頭以上を見付けた。この辺りで全体的な数が増えたので、我が家の庭にも飛んで来たのだろう。トベラの木に居たヨツモンホソチャタテ最初に孵化した内の1頭であろう(写真クリックで拡大表示)(2010/04/20) さて、このチャタテムシをヨツモンホソチャタテとした根拠を書かねばならない。実際のところ、翅の模様を見れば一目瞭然なのだが、一応チャンと検索してみよう。 先ず、科の検索である。チャタテムシの検索表としては「富田&芳賀:日本産チャタテムシ目の目録と検索表」がある。珍しく日本語の文献だが、この論文中の科への検索表では生態写真からは良く分からない構造がキーとなることが多く、非常に使い難い。 それではどうするか。翅脈相を見るのである。これだけでかなりのことが分かる。北大農学部の吉澤準教授が書かれた「Morphology of Psocomorpha」には25科(日本産は16科)の翅脈図が載っている。吉澤准教授のHPにある最新(2004)のリスト「Checklist of Japanese Psocoptera」を見ると、日本産チャタテムシは全部で20科だが、無翅、或いは、翅の退化した種が多い科が4科あるので、16科と云うことは、日本産の有翅チャタテムシの全科を含んでいると考えて良いだろう。同一個体.ヨツモンホソチャタテ翅脈の説明付節は2節からなる様に見える(写真クリックで拡大表示)(2010/04/20) ホソチャタテ科の前翅翅脈相の特徴は、後小室とM脈、縁紋とRs脈がそれぞれ横脈で繋がっていることである(上の写真の「A」と「B」)。後小室とM脈の間に横脈を持つ科としては、他にスカシチャタテ科とケブカチャタテ科(一部のみ)があるが、これらの科には縁紋とRs脈を繋ぐ横脈は無い。 しかし、翅脈だけでは些か心配なので、「富田&芳賀」の科への検索表をホソチャタテ科から逆に遡ってみる。暫くは問題無く辿れるが、キー3で「爪の先端近くに歯を持たない」と云う写真からは判断出来ない特徴が出て来る。反対は「・・・歯を持つ」である。其処でこれを下へ降りてみると、該当するキーが無くなり迷子になってしまう。どうやら「・・・歯を持たない」で正しい様である。上位にあるキー2は「付節は2節」であり、これは写真から何とか判断出来る。 ・・・と云うことで、ホソチャタテ科で特に問題は無い様である。 さて、次はホソチャタテ科の種への検索である。「富田&芳賀」は1991年に書かれているが、その後チャタテムシの分類に大きな変更があり、吉澤準教授のリストを見ると、種数は「富田&芳賀」と同じだが、その種構成はかなり異なっている。「富田&芳賀」でホソチャタテ科に属していたホソヒゲチャタテ(Kodamaius brevicornis)とマダラヒゲナガチャタテ(Taeniostigma ingens)は、何故か種自体が吉澤教授のリストには見当たらない。しかし、「Psocodea Species File Online」と云うチャタテムシ専門のサイトを参照すると、何方もケブカチャタテ科に属している。この両種は縁紋-Rs間の横脈を欠くので、ホソチャタテ科から追い出されたらしい。 一方、吉澤準教授のリストでは、ホソチャタテ科に新たに2種が加わっている。しかし、何れも北方領土に分布する種で、この辺りに居る可能性はない。結局のところ、「富田&芳賀」のホソチャタテ科の検索表で、前述の2種を除いたキー3から始めればよいことになる。正面から見たヨツモンホソチャタテ(写真クリックで拡大表示)(2010/04/20) キー3は、「後小室と中脈[M脈]の横脈は短い.前翅には目立った斑紋がある.前翅長は約3.0mm」で直ちにヨツモンホソチャタテ(Graphopsocus cruciatus)に落ちてしまう。実は、この横脈が短いか否かに付いては後述の様に一寸問題があるのだが、反対のキーは「・・・前翅には縁紋を除いて目立った斑紋はない」だから、此方の可能性はない。 最後に確認の為、学名を使って写真を探してみる。幸いなことに、このヨツモンホソチャタテは北米にも産する(移入種)のでBugGuide.netに沢山の写真が見付かった。何れも「ソックリ」である。これでホソチャタテ科のヨツモンホソチャタテと決まり、目出度しメデタシと相成る。斜めから見たヨツモンホソチャタテ(写真クリックで拡大表示)(2010/04/20) 一寸検索表で気に掛かるのは、後小室と中脈[M脈]の横脈は短い、と云う記述である。3番目の写真では明らかに短いが、下の写真(矢印)では縁紋とRs脈間の横脈に近い長さがあり、短いとは言い難い。もう一つのWeblogで紹介した個体でもこの横脈はかなり長かった。 雌雄で違うのか、或いは、雌雄とは無関係に長さにかなりの変異が見られるのか。一介の素人には判断出来ないが、今考えてみると、羽化した個体を庭に放す前に全て翅脈を撮影すべきであった。今後、機会があれば調べてみよう。最初と同じ個体.後小室とM脈間の横脈は短くない(写真クリックで拡大表示)(2010/04/24) 今回で漸く成虫となり、これで「チャタテムシ幼虫の観察」も終わりである。読者諸氏の中には、余り代わりばえのしない幼虫写真が続いていい加減ウンザリされた方も居られるかも知れない。しかし、卵から成虫までの各段階を追った記録は、Web上には無い様なので、全体を纏めた記事を更に1本書こうと思っている。[追記]纏め記事は未だに書いていないが、以下に、卵から終齢幼虫(6齢)までの成長記録一覧を示しておく。 内 容 掲 載 日 撮 影 日 卵と初齢幼虫 2010/03/13 2010/02/25,03/12 2齢幼虫 2010/03/23 2010/03/22 3、4齢幼虫 2010/04/19 2010/04/10 5齢幼虫 2010/04/25 2010/04/18,20 6齢幼虫 2010/04/29 2010/04/20
2010.05.11
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今日は、ヨツモンホソチャタテ(Graphopsocus cruciatus)の終齢幼虫(6齢)を紹介する。ホソチャタテ科(Stenopsocidae)のチャタテムシである。 多くの蝶やカメムシでは通常5齢が終齢である。しかし、鱗翅目でも蛾には6齢や7齢の種類が沢山あるし、ノコギリカメムシでは4齢で終齢となる。チャタテムシの場合は、「Handbooks for the Identification of British Insects」の一冊である「Psocoptera(噛虫目=チャタテムシ目)」に拠ると、長翅の種類では多くの場合6齢だが、無翅や短翅の種類では齢数がもっと少なくなるとのこと。ヨツモンホソチャタテの終齢(6齢)幼虫5齢と較べて翅芽がずっと長い左の触角の先が折れている(写真クリックでピクセル等倍)(2010/04/20) 6齢幼虫では、翅の突起(翅芽と呼ぶ)が5齢よりもずっと長くなる。腹部の半分には届かないが、1/3位の所にまで達している(腹部は成長に伴い伸長する)。 体長は2.4mm、複眼の幅(左右の複眼の端から端まで)は0.60mm、5齢では体長1.9~2.1mm、複眼の幅は0.54mmであったから、1割以上大きくなっている。肉眼で見ても、5齢と較べて明らかに大きいし、漸く虫らしくなって来たと云う感じがする(それまでは小さ過ぎて埃かゴミの如し)。横から見たヨツモンホソチャタテの終齢(6齢)幼虫糸を吐いて作った簡単な「巣」の下に居る(写真クリックでピクセル等倍)(2010/04/20) 以前紹介したクロアゲハやルリタテハの終齢(5齢)幼虫は、4齢と較べてかなり姿が変わり、見映えがする様になる。しかし、チャタテムシの場合は、体全体が大きくなるのと翅芽がそれよりもずっと大きくなる以外に大した変化は認められない。終齢だからと云っても、何も変哲はないと言える(だから、書くことがない)。翅芽が長いのと全体的に大きくなったこと以外に特に目立った変化は認められない(写真クリックでピクセル等倍)(2010/04/20) 写真の個体は、前回紹介したグループとは少し離れた場所に居た。恐らく、最初に孵化し途中で散開したグループ(初齢、2齢)の中の1頭ではないかと思うが、確証はない。トベラの葉裏を探して見つけた5頭の内、この個体のみが6齢で、他は全て5齢であった。この写真を撮った後、他の5齢幼虫と一緒に飼育箱に入れた。正面から見たヨツモンホソチャタテの終齢(6齢)幼虫5齢と大して変わらないので書くことが無くて困る(写真クリックでピクセル等倍)(2010/04/20) この幼虫は、写真を撮ってから4日の後に成虫になった。成虫は、近日中に、別に紹介する予定である(今すぐ見たいセッカチな御仁は此方をどうぞ)。 現在では、飼育した5頭の内、1頭がまだ終齢幼虫に留まっているが、他は何れも羽化した。この手のチャタテムシの飼育は結構容易と思われるので、先日、町の少し奥の方からチャタテムシの幼虫を何種か拉致して来た。尤も、これは「我が家の庭の生き物」ではないので、もう一つの別のWeblogで紹介することになる。同じ様な写真だが、オマケにもう1枚(2010/04/20) 昨日、一昨日は雨、今日はまた日本海低気圧の通過で大風が吹いている。全く今年は碌でもない天気ばかりである。 天気が思う様でないと、気象庁に電話して「どうしてくれる!!」と文句を言う人が居るらしい。全く馬鹿げた話だが、今年は、その手の人の気持ちが少しは分かる様な気もする。[追記]以下に、これ以前と以降のヨツモンホソチャタテ幼虫の成長記録一覧を示しておく。 内 容 掲 載 日 撮 影 日 卵と初齢幼虫 2010/03/13 2010/02/25,03/12 2齢幼虫 2010/03/23 2010/03/22 3、4齢幼虫 2010/04/19 2010/04/10 5齢幼虫 2010/04/25 2010/04/18,20 成 虫 2010/05/11 2010/04/20,24
2010.04.29
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先日掲載した「チャタテムシの幼虫(3齢と4齢)」の最後に、トベラの葉裏に残った5齢の2頭(その内の1頭が下の写真)を飼育箱に入れてしまうか思案中である、と書いた。次の日見に行くと、更に減って1頭しか居ない。もうこうなったら飼育するしかない。トベラの葉裏に作った「巣」に潜むヨツモンホソチャタテの5齢幼虫4齢と較べて翅の突起が太く大きくなり、先端が腹部にかかっている体長1.8mm、複眼の幅(本文参照)は0.54mm不安定なフィールドで撮影したので、画像が良くない始めは2頭一緒であったが、1頭は「家出」した上にあるのは脱皮殻.6齢を経て成虫になる(写真クリックでピクセル等倍)(2010/04/18) しかし、これまでチャタテムシの飼育などしたことが無いので、上手く飼育出来るか、まるで自信がない。5齢幼虫1頭だけでは途中で死なせてしまうかも知れず些か心許ない。其処で、回りの葉裏を丹念に探してみた。その結果、更に5齢3頭と終齢(6齢)1頭の合計5頭が見付かった。飼育箱、と云っても100円ショップで売っている用途不明のやや縦長のプラスティックの箱だが、その中に花瓶を置いて幼虫の付いた葉を枝ごと挿し、他の幼虫は葉と一緒に切り取って、枝に密生しているトベラの葉の間に挟んでおいた。幼虫が溺れたりしない様に、枝に脱脂綿を捲いて花瓶に挿してあるが、脱脂綿が水を吸ってそこから水分が蒸発するので、チャタテムシの餌となるカビを生やすのに充分な湿度になるものと思われる。また、トベラは常緑樹で葉は厚みもあるせいか、葉だけ入れて置いても容易に萎れなかった。飼育は順調に進みそうである。最初と同一個体.行方不明になると困るので飼育を決定体長は2.0mmと成長したが複眼の幅は変わらない(写真クリックでピクセル等倍)(2010/04/20) 勿論、その前に写真を撮った。今度は机の上に葉を置いて撮ることが出来る。据え物撮りだから姿勢は安定しており、以前の様に100枚以上も撮る必要はない。 今回は、フィールド環境で4月18日に撮影(最初の写真)したのと同じ個体を主に撮影した。これまではチャタテムシの居た葉の位置の関係で、背面以外の方向から撮ることが出来なかったが、据え物撮りならば基本的に任意の方向から撮ることが出来る。しかし、この個体は枝付きの葉に居たので、葉の位置の関係で背面からの写真は少し斜めになってしまった(上)。正背面からの写真は、最後に別個体のものを載せておいた。横から見たヨツモンホソチャタテの5齢幼虫(写真クリックでピクセル等倍)(2010/04/20) この5齢幼虫、4齢に較べて翅の突起がかなり太く長くなっている。また、体長は4月18日(最初の写真)で1.8mm、2日後の20日には2.0mmとなった(最後の別個体は2.1mm)。しかし、複眼の幅(左右の複眼の端から端まで)は何れも0.54mmで同じである。体長は成長に伴い増加しても、複眼の幅は同じ齢では変化しないことが分かる。 また、先日掲載した4齢幼虫では、それぞれ1.5mmと0.47mmであったから、5齢以降かなり急激に大きくなるものらしい。正面から見たヨツモンホソチャタテの5齢幼虫(写真クリックでピクセル等倍)(2010/04/20) 生態に関する変化としては、多くの個体は4齢までは小さいながらも集団で生活していたのに対し、5齢以降では分散する傾向が見られた。4齢以下でも葉裏に1頭だけ居た場合もあるし、5齢でも2頭が一緒に居るのを見たこともある。しかし、飼育中の5頭は何れもそれぞれ別の葉裏で単独生活をしていたし、飼育箱に入れてからも、葉から葉への移動はしているが、それぞれバラバラに生活している。斜めから見たヨツモンホソチャタテの5齢幼虫(写真クリックでピクセル等倍)(2010/04/20) 実は、これらの写真(最初のを除く)を撮った4日後、まだ紹介していない6齢幼虫が遂に羽化して成虫となった(チャタテムシは不完全変態なので蛹にはならない)。チャタテムシは成虫でも種類が分からないことが多いが、幸いなことに、他と間違えることのない極めて特徴的な種、ホソチャタテ科(Stenopsocidae)のヨツモンホソチャタテ(Graphopsocus cruciatus)であった。 謎解きを途中でしてしまうと面白味に欠けるが、表題を「ヨツモンホソチャタテの幼虫」としたいので、敢えて答えを出してしまった次第である。このヨツモンホソチャタテに付いては、何れ成虫を紹介する時に詳述する。キチンと背面から撮ったヨツモンホソチャタテの5齢幼虫これまでとは別個体.体長2.1mm、しかし複眼の幅は0.54mmで最初の個体と同じ(写真クリックでピクセル等倍)(2010/04/20) 今日現在では、飼育箱の中に成虫1頭、6齢3頭、5齢1頭と、1頭も欠けることなく順調に成長している。 この手の、幼虫も成虫も葉裏で生活するチャタテムシ(主にホソチャタテ科、ケチャタテ科)は、意外と容易に飼育出来るものなのかも知れない。我が家の庭でこれらの科のチャタテムシを見ることは稀だが、少し奥に行けば色々な種類が生息している。今後、卵を見つけたら持って帰って飼育し、卵から成虫までの過程を撮影出来れば、結構貴重な記録になるかも知れない。[追記]以下に、これ以前と以降のヨツモンホソチャタテ幼虫の成長記録一覧を示しておく。 内 容 掲 載 日 撮 影 日 卵と初齢幼虫 2010/03/13 2010/02/25,03/12 2齢幼虫 2010/03/23 2010/03/22 3、4齢幼虫 2010/04/19 2010/04/10 6齢幼虫 2010/04/29 2010/04/20 成 虫 2010/05/11 2010/04/20,24
2010.04.25
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さて、今日はトベラの葉裏で成長中のチャタテムシ幼虫[羽化するまで観察しヨツモンホソチャタテ(Graphopsocus cruciatus)であることが判明した]のその後を紹介する。3齢と4齢幼虫である。前回の2齢から1ヶ月近く経っているが、今日紹介する集団は前回のとは別の葉に居たもので、2齢に非常に時間がかかったと云うよりは、同一の卵塊からかなり遅れて孵化した連中らしい。 糸を張り巡らした共通の「巣」の中に、3齢幼虫2頭と4齢幼虫3頭の合計5頭が一緒に居た。トベラの葉裏で成長中のチャタテムシ(種不明)の幼虫左から4齢、3齢×2、4齢×2の合計5頭(写真クリックで拡大表示)(2010/04/10) 「巣」には、御覧の通り、チャタテムシの糞が無数と言っても良い程沢山絡んでいて、かなりバッチイ感じ。こう沢山あると、写真を撮るのにかなり邪魔になるが、チャタテムシの餌であるカビを生やすにはこの方が良いのかも知れない。3齢幼虫.翅の原基が後上方を向いた透明な突起として認められる(写真クリックでピクセル等倍)(2010/04/10) チャタテムシの幼虫に関しては今まで何らの情報もなかった。しかし、先日、英国の古本屋から「Handbooks for the Identification of British Insects」の一冊である「Psocoptera(噛虫目:チャタテムシ目)」を入手したので、少しは知識が増えた。 それに拠ると、長翅型のチャタテムシの多くは幼虫期が6齢まであり、翅の原基は3齢から6齢に至る間に次第に大きくなる、とのこと。 2齢幼虫では、翅の原基(胸部にある4つの茶色の部分)が少し起き上がった様にも見えたが、これは気のせいらしい。一方、3齢では明らかに後上方を向いた透明な突起として認められる(上)。これが、4齢ではもっと長い棘状の構造になっている(下)。4齢幼虫.翅の原基は長い棘状の突起に成長している(写真クリックでピクセル等倍)(2010/04/10) ところが、体長を計ると、何故か3齢も4齢も同じで1.5mm。2齢は0.9mmであったから、かなり成長していると言えるが、3齢と4齢で同じなのは何とも奇妙である。恐らく、3齢は4齢への脱皮直前で、4齢は脱皮直後なのであろう。 しかし、良く見ると眼の間隔と云うか頭部の幅は明らかに3齢と4齢で異なる。左右の複眼の最外側間を測定すると3齢では0.42mmであるのに対し、4齢では0.47mmである。眼の間隔は脱皮後基本的に変化しないが、体長は増加するものと思われる。両側が3齢、中央は4齢.体長は同じだが、眼の幅は異なる腹が黒っぽいのは食べた餌の影(写真クリックでピクセル等倍)(2010/04/10) 今日の写真も拡大すると何れもピクセル等倍となる。かなり酷い写真だが、実は、虫体全体にシッカリ焦点の合った写真は1枚もないと言ってよい。画像処理で誤魔化しているのである。100枚以上撮ったが、満足のいく写真は遂に撮れなかった。 これは、チャタテムシの居る場所が目の高さよりやや高い位置にあり、カメラを向けるとフラフラして姿勢が安定せず、写真が非常に撮り難いからである。少し下向きの姿勢で撮ればかなり楽なのだが、この幼虫は今後も観察しなければならないので葉っぱを切り取って安定した環境で撮影する訳にも行かない。全く困ったものである。左1頭が3齢(前の写真の右端)、他は4齢(写真クリックでピクセル等倍)(2010/04/10) この写真を撮った時点では、この5頭の他に、別の葉にもう1頭の合計6頭が居た。しかし今日調べたところ、もうこの集団は既に散開しており、別々の葉に5齢が1頭ずつ合計2頭が居るだけとなってしまった。回りの葉を調べてみたが、成長した幼虫は他には居なかった。 その代わり、全然別の場所に、極く若齢の集団と、まだ孵化していない卵塊を見つけた。恐らく同じ種類と思われる。こうなると、1回は失敗しても良いから飼育するのも一案である。長期間の飼育は葉が枯れかかった場合にどうなるか見当が付かないが、5齢から成虫までの期間ならば何とかなるかも知れない。この5齢の2頭を飼育箱に入れてしまうか、現在思案中である。[追記]この幼虫は無事成虫にまで成長し、ホソチャタテ科(Stenopsocidae)のヨツモンホソチャタテ(Graphopsocus cruciatus)の幼虫であることが判明した。表題や本文中にある[]の中は判明後に追加訂正したものである。以下に、これ以前と以降のヨツモンホソチャタテ幼虫の成長記録一覧を示しておく。 内 容 掲 載 日 撮 影 日 卵と初齢幼虫 2010/03/13 2010/02/25,03/12 2齢幼虫 2010/03/23 2010/03/22 5齢幼虫 2010/04/25 2010/04/18,20 6齢幼虫 2010/04/29 2010/04/20 成 虫 2010/05/11 2010/04/20,24
2010.04.19
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今日は、先日の「チャタテムシの卵塊と初齢幼虫[ヨツモンホソチャタテ]」の続きである。前回は、全卵12個の内、4個が孵化したところで掲載したが、その後数日掛けて全てが無事孵化し、その内の5頭がまだ同じ葉の裏で生活している。他の7頭のその後の運命は不明である。 昨日の朝、そのトベラの葉裏を調べてみると、一寸様子に変化が見られた。何やら脱皮殻の様なものが見える。どうやら2齢になったらしい。トベラの葉裏で成長中のチャタテムシの2齢幼虫体長は約0.9mm(初齢は0.75mm)下にチャタテムシの張った網が見える(写真クリックで拡大表示)(2010/03/22) 撮った写真(約2倍の超接写)を見てみると、確かに、顔付きが少し大人っぽく?なっている。しかし、体長は0.9mm弱、初齢時の0.75mmに比して僅かしか大きくなっていない。チャタテムシは、一般に脱皮をしても体長は余り増加しないものなのだろうか。 その代わり、体の幅は全体として大部広くなり、頭部や腹部もかなりそれらしい形になって来た。また、胸部背側にある茶色をした翅の原基らしきものが少し大きくなり、斜め上に伸びて突起状になっている様に見える。 腹部に黒っぽい影の見える個体もある。これは模様ではなく、消化管内の内容物であろう。上の写真より少し上の部分に居た個体真ん中の腹部に黒い影が見える個体は最初の写真の最上部に居る個体と同一右側に丁度3個見えるのは脱皮殻(写真クリックでピクセル等倍)(2010/03/22) チャタテムシの餌は、菌類(黴)である(中には地衣類や苔を食べる種類もあるとのこと)。何処に黴が生えているのか超接写をしても良く分からないが、これらのチャタテムシの幼虫が餌を求めて移動しなくても良い様に、此の葉裏の黴には大いに増殖してもらいたい(??)。[追記]この幼虫は無事成虫にまで成長し、ホソチャタテ科(Stenopsocidae)のヨツモンホソチャタテ(Graphopsocus cruciatus)の幼虫であることが判明した。表題や本文中にある[]の中は判明後に追加訂正したものである。以下に、以前とその後のヨツモンホソチャタテ幼虫の成長記録一覧を示しておく。 内 容 掲 載 日 撮 影 日 卵と初齢幼虫 2010/03/13 2010/02/25,03/12 3、4齢幼虫 2010/04/19 2010/04/10 5齢幼虫 2010/04/25 2010/04/18,20 6齢幼虫 2010/04/29 2010/04/20 成 虫 2010/05/11 2010/04/20,24
2010.03.23
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この頃はすっかりサボり癖が付いてしまい、気が付くと前回の更新から1ヶ月近くが経っている。まァ、ネタらしいネタが無かったのだから仕方がないが・・・。 実は、先月の25日にトベラの葉裏にチャタテムシの卵塊を見付けた。しかし、チャタテムシの卵塊の上には母虫が張った網がかかっていて余り綺麗な写真にならないし、やはり孵化した虫を撮らなければ面白くないであろう。そう思って、孵化を待っていた。 卵の内部には既に黒い筋が見えていて、孵化は間近と思ったのだが、これが中々孵化しない。昨日になって、漸く4頭が孵化したので、早速写真を撮り掲載することにした次第。トベラの葉裏で見付けたチャタテムシの卵塊卵の長径は0.50~0.55mm(写真クリックで拡大表示)(2010/02/25) チャタテムシの卵塊を我が家の庭で見付けたのはこれが始めてである。卵は全部で12個、今まで見た卵塊に較べるとかなり小さい。チャタテムシの種類により違いがあると思うが、普通葉裏に見られる卵塊は20~30位のものが多いと思う。 卵の長径は約0.50~0.55mm、卵塊の上にかかっている網の主要部が3×4mm位だから、肉眼では殆ど何だか分からない存在である。孵化したチャタテムシの初齢幼虫体長は0.75mm.卵塊の傍から離れない(写真クリックで拡大表示)(2010/03/12) 孵化した初齢幼虫は体長0.75mm、ルーペ代わりの+3度の強老眼鏡を掛けても、単なる粉と殆ど区別が付かない。それでも何やら動いているので、漸く虫だと分かる程度。ストロボの光を浴びて、右往左往していたが、卵塊から遠く離れることはなかった。チャタテムシの幼虫は可愛い.如何にも赤ちゃんと云う感じ(ピクセル等倍、拡大不可)(2010/03/12) このチャタテムシの種類は当然分からない[羽化するまで観察しヨツモンホソチャタテ(Graphopsocus cruciatus)であることが判明した]。我が家でチャタテムシを見たのは、月桂樹の葉裏に集団で居たのと、空中を浮遊していたものの2回だけで、何方もウスイロチャタテ科に属すと思われる。しかし、この科の虫は何れも小さく、成虫の体長は1.3~2.2mm(「富田・芳賀:日本産チャタテムシ目の目録と検索表」に拠る)だから、初齢幼虫が0.75mmと云うのは幾ら何でも大き過ぎる。 葉裏に産卵してあるのだから、成虫が葉裏で生活するホソチャタテ科かケチャタテ科の可能性が高いと思う。しかし、確証は全く無い。奇跡的に運が良ければ、このまま成長を観察出来るかも知れないが、全部無事孵化したとして12頭、トベラの木全体に分散してしまえば、先ず見付からないだろう(ホソチャタテ科やケチャタテ科の虫は集団を作らず単独で生活する)[ホソチャタテ科(Stenopsocidae)であった]。寂しいのでもう1枚出すが、実は後ピン写真(ピクセル等倍、拡大不可)(2010/03/12) 尚、ホソチャタテ科、ケチャタテ科の虫や、チャタテムシの卵塊、或いは、母虫が網を張っているところ等を御覧になりたい方は、こちらをどうぞ。 今日の気温は20℃を超え、昼過ぎには22℃近くまで上昇した。春も直ぐそこまでやって来た、と云う感じである。このまま、暖かい日が続けば良いのだが・・・。[追記]この幼虫は無事成虫にまで成長し、ホソチャタテ科(Stenopsocidae)のヨツモンホソチャタテ(Graphopsocus cruciatus)の幼虫であることが判明した。表題や本文中にある[]の中は判明後に追加訂正したものである。以下に、その後のヨツモンホソチャタテ幼虫の成長記録一覧を示しておく。 内 容 掲 載 日 撮 影 日 2齢幼虫 2010/03/23 2010/03/22 3、4齢幼虫 2010/04/19 2010/04/10 5齢幼虫 2010/04/25 2010/04/18,20 6齢幼虫 2010/04/29 2010/04/20 成 虫 2010/05/11 2010/04/20,24
2010.03.13
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最近はどうも植木鉢の下に居る生き物ばかり紹介している。他には目新しい生き物は見当たらないのだから、まァ、仕方がないが、我ながら余り面白くない。読者諸氏も同様と拝察申し上げるが、何卒御寛恕頂きたい。 ・・・と云うことで、今日もまた植木鉢の下に居たトビムシの1種を紹介する。このトビムシ、先日の「トビムシの1種(その2)」と同時同所で撮影した。しかし、たった1枚しか撮れなかったので、その後、別個体を探してもう少し枚数を増やそうと思っていたのだが、どうしても見つからない。そこで写真はたった1枚だが、もう掲載してしまうことにしたのである。我が家の庭では、先日紹介した「トビムシの1種(その2)」が圧倒的な優占種の様である。植木鉢の下に居たトビムシの1種.体長約1.5mm(ピクセル等倍、拡大不可)(2010/01/10) 体長は約1.5mm、写真はピクセル等倍なので、画質はかなり酷い。例によって、トビムシの種類は分からない。しかし、体に毛が多く、腹節の後の方が前の節よりも長い。これらの点は、先日の「トビムシの1種(その2)」やずっと以前に掲載した「トビムシの1種」、或いは、別のWeblogで紹介した「トビムシの1種」も同じである。互いにかなり近い仲間であろうと思われるが、それ以上の判断するのは無謀と云うべきであろう。分類の決め手になる叉状器(跳躍器)は腹側にあって見えないし、虫が小さ過ぎて写真の解像力も不足しているからである。
2010.01.26
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前回に引き続き、今日も植木鉢の下に棲んでいる生き物を紹介する。 こう云う所に居る生き物の中でその数が一番多いのは、恐らくトビムシであろう。大きくても体長4mm、多くは2mm以下なので、その存在に殆ど気が付くことのない虫である。以前、掲載した白いトビムシは、黒っぽい土とは対照的な色をしているので例外的に分かり易が、今日紹介する様なトビムシは、肉眼的には殆ど土と区別の付き難い色をしていて、見付けるのに苦労する。 しかし、老眼とは雖も、細かい作業用の+3度の眼鏡をかければ、容易に見つかる。尤も、+3度だから地面に顔をくっ付ける様にしなければ焦点が合わないので、かなりキツイ姿勢を強いられることになる。トビムシの1種.かなり大型で体長約3.0mm(写真クリックで拡大表示)(2010/01/10) 3種類のトビムシが見つかった。今日紹介するのはその中で一番沢山居たもので、殆どはこの種類であった。体長は大きな個体で3mm、トビムシとしては大きい方である。以前紹介した白いトビムシとは異なり、かなり跳躍力があって、時には10cm近く跳ぶ。 肉眼的には地面と似た様な色に見えるが、写真に撮ってみると、中々綺麗。残念ながら、種類は分からない。以前、別のWeblogで紹介したケヤキの樹皮下に居たトビムシと一寸似ている。しかし、これらの写真だけでは検索表も引けないので、科すら分からないと云う情けない話と相成る。同一個体.胸部背面に長い毛があり、腹部にも長い棘がある(写真クリックで拡大表示)(2010/01/10) トビムシについては以前かなり詳しく説明したが、粘管目に属す最も原始的なグループの一つで、様々な点で普通の昆虫とは異なることから、最近では昆虫綱とは別のグループとする学者が多いらしい。 何処が普通の昆虫と違うかと言うと、「翅がない、、変態をしない、成虫になっても脱皮を繰り返して成長する、交尾をせず雄が土の上に精包を置くと雌がこれを生殖口に収めると言う間接受精を行う、複眼単眼は無く8個の小眼(クモと同じ)より成る眼斑を持つ、多くは気管系を欠く、マルピーギ管を欠く・・・と色々ある」。これは以前書いた記事の引用である。別個体で体長2.5mm強.色彩が薄い(写真クリックで拡大表示)(2010/01/10) 今日の写真は、何れも拡大表示するとピクセル等倍になる様調整してある。従って、5枚とも倍率は同じ。かなり大きさに違いがあるが、体の格好や色の分布は、小さい個体(若齢)でも大きな個体(成虫)でも殆ど同じである(変態をしない)。只、成虫の方が色合いがハッキリしている。前方から見た同一個体.眼は複眼ではなく8個の小眼からなる眼斑がある(写真クリックで拡大表示)(2010/01/10) 触角の付け根の後方、普通の昆虫ならば複眼がある所に、芋虫の単眼の様な粒々が見える。これが小眼であろう。8個で1つの眼斑を成しているそうだが、小さ過ぎるのと毛が邪魔になって何個あるのか良く分からない。 最初の2枚の写真では、腹部の下、中脚と後脚の間に前向きの白い脚の様なものが見える。これは跳躍に使用される叉状器の先端部であろう。先が二本に分かれているので、この様な名前が付いている。第4腹節に基部があり、前を向いている。体長1.5mm弱の若齢個体.体は小さくても体の形や基本的な色合いは、大きなものと殆ど同じである(写真クリックで拡大表示)(2010/01/10) Wikipediaに拠れば、日本には約360種のトビムシが記録されているそうである。しかし、甲虫ではハムシ科だけで約780種と云うのだから、目全体で350種とはかなり小さなグループと言える。我が家に何種棲息しているかは分からないが、余り一生懸命に植木鉢の下を探すと、トビムシねたは直ぐに尽きてしまいそうである。これからは多足類でも探すとするか?
2010.01.11
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一昨日、ベランダの椅子で一服している時、目の前のクリスマスローズの上で体長2mm位の綺麗な黄色をした虫が浮遊しているのに気が付いた。以前掲載した「ハモグリバエの1種」かも知れないが、全身が真っ黄色に見えたから多分別の種類であろう。「庭を漂う微小な羽虫」シリーズには最適と思い暫く追いかけたのだが、残念ながら撮る暇もなく見失ってしまった。代わりに見付けたのが、このミドリグンバイウンカ(Kallitaxila sinica)の幼虫。ウンカやハゴロモ類の幼虫にはお尻に妙なお飾りを付けている種類がかなりあり、このミドリグンバイウンカの幼虫もその一つである。キショウブの葉に張り付くミドリグンバイウンカの幼虫体長4.0mm.お尻から出ている針?は一体何の為?写真クリックで拡大表示(2009/07/26) ミドリグンバイウンカの成虫は、我が家では専らクチナシに寄生している。しかし、これまでクチナシの葉裏を幾ら探しても幼虫は見つからなかった。見付けたのはキショウブの葉の低い位置。些か撮り難かったが、まァ、何とかなった。 体長は4.0mm、成虫と大して違わないから、終齢幼虫であろう。しかし、キショウブの草むらに居るとは思わなかった。幼虫と成虫で寄主が違うのであろうか。横から見たミドリグンバイウンカの幼虫殆ど真っ平ら.写真クリックで拡大表示(2009/07/26) ミドリグンバイウンカは半翅目同翅亜目ハゴロモ上科グンバイウンカ科に属す。しかし、九州大学の日本産昆虫目録データベースを参照すると、何故かドリグンバイウンカ(Kallitaxila sinica)は載っていない。Kallitaxila属は5種載っているのだが・・・。 尚、Internetでミドリグンバイウンカを調べると、学名をKallitaxila sinicaではなく、Kallitaxilla sinicaとしているサイトが少なからずある。九大目録や東京都本土部昆虫目録では前者を使用しており、また、前者の属名で検索すると約3000の主に国外のサイトがヒットするのに対し、後者の属名では日本と台湾の若干のサイトがヒットするだけである。後者の属名は書き間違いであろう。前から見ると、潰れたカエルを連想させる写真クリックで拡大表示(2009/07/26) 実は、前回の掲載で、画像倉庫が遂に満杯になってしまった。楽天(株)がこんな50MBなどと言う時代錯誤の容量を変更する気がないのは、楽天ブログはアフィリエイトで売り上げを伸ばす為の一つの手段に過ぎず、その文化的・社会的意義を全く評価していない証しだと思う。アフィリエイトで儲けるのが目的ならば、古い写真など意味がないから、50MBあれば充分と考えているのであろう。儲け第一で、Weblogのその他の意義を認めていないのであれば、今後、会社の事情で何時楽天ブログを閉鎖するかも知れず(楽天はかつて古本屋街を含む楽天フリマを簡単に破棄してしまった。膨大な古書に関するデータベースであったのだが、他に譲る事もせず一方的に放棄してしまった。古書の持つ分化的・学術的価値を全く認めていない証左である)、この様なところでWeblogを続けるのは些かの不安があるが、最近は何故かアクセス数が急激に増えており、他所へ移るのも何となく憚られる。 画像はフォト蔵などの外部の画像倉庫から引っ張ってくることも出来る。しかし、画像倉庫がメインテナンス中であったりすると文章だけが出て写真は表示されないから、読者諸氏には大いに御迷惑をかけることになってしまう。 ・・・と言う訳で、遂に楽天の手の内に落ち、画像倉庫を拡張した。今回を含め、以降は画像の容量など全く気にする必要がないので、可能であれば写真を拡大表示出来る様に「仕様変更」した。拡大可能な写真は2ピクセル幅の黒枠で囲ってある。拡大したときの大きさは画像の精緻さにより様々である。また、画質も幾分向上させた。緑色が赤っぽくなるのが少しは改善され、彩度が少し上がると思う。その代わり、写真が多い場合は、そのロードに今までより多少の時間がかかることが予想される。
2009.07.28
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かなり以前から、庭を漂う微小な羽虫類が気になっている。一見したところでは、埃と大した差がない様な連中で、虫に興味のない方の目には映ることも無いと思われる存在である。この類の羽虫、完全な空中静止は殆どしないが、何かあるとかなりの速度で飛んで逃げるので、浮遊中は何らかの作戦行動を執っているものと思われる。飛んでいるときの直径は2~3mm、色は様々で、虫の正体としてはアブラムシの有翅虫、アザミウマ、コナジラミ、小型の蚊やハエ、微小な寄生蜂等が考えられる。しかし、全く意外な虫が浮遊している可能性もある。 以前掲載した「ショウジョウバエの1種」等もこの仲間に入る。これは完全な空中静止をするので何とか撮影できたが、その他の羽虫は、空中静止はせずに少しずつ動き、しかも此方が近づけばその分だけ遠のくので、どうしても撮影することが出来ない。そこで、飛翔中の写真は諦め、捕まえて正体だけでも確認することにした。 先ず最初に捕まえた虫が下の写真。意外にもチャタテムシの1種であった。片手で握る様にして捕まえたので、掌を閉じるときに指の関節内側で挟まれてしまい、既に御臨終であった。手で捕まえたチャタテムシ.指の関節に挟まれて御臨終(2009/07/04) 体長1.5mm、翅端まで2.3mmと相当に小さい。私の手の指は成年男子としては平均的な大きさなので、上の様な写真を載せれば、虫の小ささが実感出来るであろう。飛んでいるときの直径は2.5mm位、オボロな輪郭を持つ茶色の玉の様であった。上の部分拡大.前翅と後翅がずれており翅脈が見やすい後翅のR脈とM脈は1横脈で結合しているのが分かる(2009/07/04) 下の写真はやはり手で捕まえたチャタテムシである。最初の写真と同一種と思われる。御臨終とはなっていない様だが、触角の片側が折れている。やはり、手で捕まえるのはダメで、捕虫網を使う必要があることを実感した。 さて、このチャタテムシ、何科のチャタテムシであろうか。一見して、以前紹介した月桂樹の葉裏に居たチャタテムシとよく似ている。月桂樹の葉裏は吸汁性昆虫の排泄物等で汚れていて、翅脈相が良く分からなかったが、今回は下地や周囲が綺麗だから、翅脈がハッキリと見える。これならば、何とか科まで落ちるかも知れない。別の個体.月桂樹の葉裏にいたチャタテムシとよく似ている(2009/07/04) しかし、チャタテムシ目の検索は、何れの検索表でも先ず触角の節数から始まる。その後も顕微鏡で見なければ分からない様な微小な構造の差異が問題となるので、幾ら翅脈が良く見えていても、等倍接写程度の写真では検索表を冒頭から引くことは出来ない。 其処で便法を使うことになる。先ず、写真のチャタテムシの前翅翅脈をよ~く見て、北隆館の圖鑑に載っているチャタテムシに同じ様な翅脈相を持つ種が無いかを調べる。・・・有った。マドチャタテ科のヒメマドチャタテとウスイロチャタテ科のクリイロチャタテが同じ様な前翅翅脈を持つ。後者の解説を読むと、クリイロチャタテは後翅の径(R)脈が中(M)脈と1横脈で結合していることでヒメマドチャタテと区別出来る、とある。ヒメマドチャタテでは径脈と中脈は直接接している。 2番目の写真を見ると、写真の虫では明らかに径脈と中脈は1横脈で結合している。この違いが科の違いなのかは分からないが、どうもこの虫はウスイロチャタテ科に属すらしい(ウスイロチャタテ科は以前はマドチャタテ科に含まれていた)。横から(2009/07/04) 実は、チャタテムシに関しては「日本産チャタテムシ目の目録と検索表」と言う文献がInternetで入手出来る。珍しく日本語の文献である。しかし、残念ながらこの検索表では、最初の方で「爪の先端近くに歯を持つ」と言う顕微鏡的な特徴の有無により、マドチャタテ科の属す系列とウスイロチャタテ科の属す系列の2つに分かれてしまうので、この両者を直接比較することが出来ない。 そこで外国のサイトでチャタテムシ目の写真を調べてみる。・・・すると、写真のチャタテムシに翅脈相や外観が似ているのはやはりウスイロチャタテ科以外にはない。かなりいい加減だが、以下は、写真のチャタテムシはウスイロチャタテ科に属す、と言うことで話を進める。前から.やはり漫画的な顔(2009/07/04) 前述のチャタテムシの文献を見ると、ウスイロチャタテ科にはEctopsocopsis属とEctopsocus属の2属しかない。しかも前者はクリイロチャタテ(E. cryptomeriae)1種だけである。この種は翅が赤紫色で、明らかに写真のチャタテムシとは異なる。従って、写真の虫はEctopsocus属に所属すると考えられる。そこで、次は検索表内のEctopsocus属を辿ることと相成る。しかし、此処でもやはり顕微鏡的な特徴の有無が問題となり、此処に載せた写真からの判断は困難である。 外国のサイトを見る限りEctopsocus briggsiと言うのが非常によく似ている。殆ど瓜二つと言う感じがする。東京都本土部昆虫目録を見てみると、この種は皇居で記録があるから、この辺りに居てもおかしくはない。しかし、外見が似ているからと言うだけで種を決めるのは些か無謀に過ぎる。Ectopsocus属は、九大の目録では4種だが、先の文献(此方の方が新しい)には未記載種を含めて8種が載っている。外見のソックリな種が他に居てもおかしくはないのである。 そこで此処では、Ectopsocus属の1種とした。本当は、ウスイロチャタテ科と言うのも余り確証が無いのだが・・・。オマケにもう1枚、斜めから(2009/07/04) それにしても、チャタテムシが空中を浮遊するとは知らなかった。「庭を漂う微小な羽虫」、これは思ったよりも面白そうである。
2009.07.14
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毎日鬱陶しい空模様が続いている。虫も余り姿を見せないが、それでも探せば何かが見つかる。 先日は一寸面白い虫が居るのに気が付いた。クロヒラタヨコバイ(Penthimia nitida)、全国的には極く普通の虫らしいがこの辺りでは比較的少なく、特に我が家で見るのは今回が初めてである。クロヒラタヨコバイ(Penthimia nitida).体長4mm強、一見甲虫の如し(2009/06/13) 写真の様に、一見甲虫を思わせる形と色をしている。居たのはクチナシの葉裏で、遠目にはルリマルノミハムシが居るのかと思った。 しかし、名前の通り、ツマグロオオヨコバイ等と同じヨコバイの仲間であり、半翅目同翅亜目クロヒラタヨコバイ科(或いは、ヨコバイ科クロヒラタヨコバイ亜科)に属す。同じく背面から撮った写真だが、此の方が翅の模様が良く見える(2009/06/13) 近似種にオオクロヒラタヨコバイと言うのが居る。しかし、困ったことにクロヒラタとの違いが良く分からない。オオクロヒラタは「東京都本土部昆虫目録」にも載っているのでその可能性も零ではないが、写真の虫の体長は4mm強、クロヒラタとしてもやや小型なので、此処では単にクロヒラタヨコバイとしておく。横から見たクロヒラタヨコバイ.暫く接写をしていなかったせいか、少し後方からの写真になってしまった(2009/06/13) 背面から見ると甲虫の様でも、横から撮ればやはり如何にもヨコバイ類らしい脚をしている。ヨコバイ類は何かあると、ピンッと跳ねる。跳ねるのに使うのは後脚で、中脚よりもかなり長い。それで、留まっているときは、上の写真の様に、後腿節端が中腿節端よりも前に出てしまう。 ヨコバイ類は我が家の庭には余り多くない。だから、このWeblog「我が家の庭の生き物たち」には、ヨコバイ類は殆ど登場していない。しかし、もう一つのWeblogにはかなりの種類を掲載してある。何れの種類でも、後腿節端は中腿節端よりも前に出ている。興味のある読者諸氏は此方を参照され度。クチナシの葉裏に張り付くクロヒラタ.実はこれが最初に撮った写真(2009/06/13) 虫の写真を撮るときは、少なくとも、背面、側面、正面の3方向から撮ることにしている。色々な方向から撮らないと、種類の判別が出来ないことが多いのである。しかし、今回は正面からの写真は無い。一応撮ったのだが、ブレていたので没にしたのである。 等倍接写と言うのは射撃のようなもので、暫くやっていないと確実に腕が落ちる。2ヶ月の出張の間、虫の写真を撮る機会は皆無に等しかった。御蔭で、接写をするのが少し下手になった様である。
2009.06.18
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昨日は、「暖かい」を通り過ぎて暑い位であった。バイモ(貝母)なんぞは1日で5cm以上伸びたし、シジミバナの花芽も一気に膨らんで来た。 虫の方も、越冬中のホソヒラタアブ、クロヒラタアブ、ツマグロキンバエなどが飛び回っていたし、小さ過ぎて正体の分からない虫達も陽の中を翅を光らせて飛んでいた。コートもセーターも脱ぎ捨てて、陽の当たるベランダの椅子で一服していると、何と、4cm位の大きめのイトトンボが1頭、フワフワと飛んで来て、目の前のヒメリンゴの枝に留まった。成虫越冬するトンボなんか、居るのか!? トンボの越冬態は幼虫(ヤゴ)ではなかったのか。ヒメリンゴの枝に留まったホソミオツネントンボの雄(2009/02/14) 私はトンボに関してはまるで無知である。しかし、よく考えてみると、オツネン(越年)トンボと言うのが居る。早速、図鑑で調べるてみると、極く普通の種類としてはオツネントンボ、ホソミオツネントンボ、ホソミイトトンボの3種が成虫で越冬するとのこと。 良く分からない虫の種類を調べるときは、先ず、検索表を引くのが基本である。しかし、トンボの検索は翅脈が分からないとどうにもならない。写真の方は、胸部の側面と背面をシッカリ撮ってある。トンボの種の見極めには胸部側面の模様が決め手になることが多い。だから、この成虫越冬をする3種の詳細な画像を探し、此方の写真と一致する種があれば、先ず間違いなくそれであろう。幸い、この3種の写真はWeb上に沢山掲載されている。頭部~腹部前半の等倍接写(2009/02/14) 調べてみると、ホソミイトトンボ(イトトンボ科に属す)とは胸部側面の模様が全然違う。オツネントンボとホソミオツネントンボは、共にアオイトトンボ科だが、属は異なり外見もかなり違う。写真のイトトンボは、ホソミオツネントンボと胸部側面、背面の模様が一致し、また、腹部の斑紋も基本的に一致する。ホソミオツネントンボ(Indolestes peregrinus)の雄として、先ず間違いないであろう。上の写真の部分拡大.胸部側面の構造が良く分かる(2009/02/14) 写真のホソミオツネントンボは、アオイトトンボ科に属し、しかも雄の個体なのに、些かも青くない。これは、越冬中の色だからで、春になれば、雄は鮮やかな青い金属光沢を帯びる(雌の方は少しだけ青くなる)。 ホソミオツネントンボは、トンボの中では最も長寿な種なのだそうである。7月頃に羽化し、越冬して交尾産卵した後も7月位までは生き延びると言うから、ほぼ丸1年成虫として生きていることになる。ホソミオツネントンボの胸部背面(2009/02/14) しかし、これは成虫としての「寿命」である。多くのトンボは幼虫期が1年以内だが、オニヤンマは3~4年、ムカシトンボでは7~8年もの幼虫期を経て成虫になると言う。大型で、原始的な種ほど幼虫期が長いのかも知れない。 それならば、古生代石炭紀に棲息したという開張70cmのメガネウラ(原トンボ目)など、成虫になるまでにどれだけの年月を要したのであろうか。
2009.02.15
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余り新春に相応しいとは言い難いが、今日は大晦日に撮ったオオワラジカイガラムシの初齢幼虫を紹介する。この虫の成虫(雄、雌)は一昨年(2007年)の春に掲載済みである。 昨年最後の書き込みは12月30日である。その時は、もう一度大晦日に更新する積もりで居たので、新年を迎える挨拶は何も書かなかった。ところが、その後掃除その他に時間がかかり過ぎ、更新する時間が無くなってしまった。まさか、正月早々に旧年中に撮った余り好感をそそらないカイガラムシの写真を載せる訳にも行くまい。そこで、今まで倉庫に入れて置いたのである。オオワラジカイガラムシの初齢幼虫.寝ている?仲間の上を歩く体長約1.7mm(2008/12/31) 大晦日に、何かネタはないかと+3の強老眼鏡を掛けてクリの幹を調べていたら見つかった。体長は約1.7mm、成虫は1cm前後あるから、これは相当の若齢幼虫である。 調べてみると、オオワラジカイガラムシは6月頃に産卵し、卵は夏から初冬の間は休眠していて、12月~1月にかけて孵化するとのこと。これから一番の寒さに向かう時期に孵化するとは、一寸珍しい生活環である。それならば、これは初齢幼虫であろう。 カイガラムシの多くは、先日のタマカイガラムシの様に、孵化したばかりの幼虫は歩くことが出来るが直ぐに固着生活に入る。これに対して、このオオワラジカイガラムシの属すワタフキカイガラムシ科やコナカイガラムシ科の連中は、成虫(雌)になってもかなり活発に歩き回る。 写真でお分かりの通り、この初齢幼虫は普通に歩行する昆虫に引けを取らない立派な脚を持っている。クリの樹皮上を活発に歩くオオワラジカイガラムシの初齢幼虫(2008/12/31) 我が家は20年前に全面改築した結果、大きな樹は1本も無くなってしまった。若木の樹皮の窪みや割れ目を探しても越冬中の虫はそう容易くは見つからない。更新は勿論今後も続けるが、その頻度はかなり低下するであろう。
2009.01.06
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前回、ニシキハギに妙な虫がくっ付いていたと書いたが、今日はその「変な虫」を紹介することにしよう。 まァ、本当のことを言えば、別に変な虫ではない。カイガラムシの1種である。カイガラムシの種類については、詳しい文献も手元にないし、Internetで調べても必要な情報が得られないが、タマカイガラムシの1種(タマカイガラムシ科)であろうと思われる。 よく分からないのだが、Internetで調べると、ヒラタタマカイガラムシと言うのに似ている。しかし、この虫の学名で外国のサイトを検索すると、かなり違った像が沢山出て来るし、日本では主として温室で発生するとのことなので、ヒラタタマカイガラムシではないらしい。ハギの幹に付いていたカイガラムシ妙にスベスベしており、渋い色合いをしている(2008/12/22) タマカイガラムシなど何処にでも居て、普通は面白くもない虫である。しかし、このカイガラムシ、妙にスベスベしており、色も鼈甲色を濃くしたような感じで、何故か妙に好感が持てる。しかも、その幼虫か、或いは、成虫になったばかりなのか分からないが、妙に色の薄いのもすぐ隣に居て、これもまた中々味のある色合いである(下)。色が薄く、洒落た模様をしている幼虫か未成熟成虫と思われる(2008/12/22) しかしこの他に、普通のカイガラムシ的な形をした個体も居る(下)。これが本当の成虫で、上のはまだ幼虫なのかも知れない。写真は出来るだけ拡大してあるので分かり難いが、上の2個体は体長4mm弱、下の個体は5mm強で、大きさがかなり異なる。また、上の写真の個体からは横から白黒マダラの触角の様なものが出ている。これは一体なんであろうか。普通のカイガラムシ的な個体(2008/12/24) 本当は、まァ、カイガラムシと言うのはよく分からない虫である、と言って逃げてしまう積もりであった。しかし、それでは余りに無責任であろう。カイガラムシをひっぺ返して見れば何か分かるかも知れない。 そこで、細かい仕事用の+3度の強老眼鏡をかけ、シャーレとピンセットを持ってカイガラムシを剥がしに行った。2番目と同じ様な個体を剥がしてみたところ未だ生きている(2008/12/25) 色の薄い個体は柔らかく、綺麗に剥がすことが出来た。裏面を見ると上の写真の様である。触角の様なものは全然見当たらない。どうやら、虫とは関係ないものであったらしい。 この虫、幼虫なのか未成熟の成虫なのか、よく分からないが、少なくともまだ生きている虫である。 一方、色の濃い方は殻が固く、少し力を入れるとパリッと剥がれ、同時に細かい粉状のものが多量にこぼれ落ちて来た。粉状と言っても小麦粉の様な感じではなく、ある程度の大きさがあり、しかもその大きさは一定している様に感じられた。色の濃い個体を剥がしたもの.卵が一杯詰まっていた大半はこぼれ落ちてしまったが、まだこの程度残っている(2008/12/25) これはカイガラムシの卵に違いない。早速等倍接写をしてみると、上の写真の通り、正しく卵であった。ウメに付くタマカタカイガラムシの丸い殻と同じで、中の虫はもう死んでおり殻の中は卵で満たされていたのである。 一番目の写真のすべすべした虫も同じで、殻の中からは卵が出て来た。少し小型であったが、もう務めを果たした成虫であったのだ。カイガラムシの卵.美味しそうに見えるピクセル等倍(2008/12/25) タマカイガラムシの殻の中には卵がギッシリ詰まっている、と言う話は色々な所に書かれている。しかし、実際の卵の写真と言うのは、余り見た記憶がない。そこで、卵のピクセル等倍写真を掲げておいた。 超接写をすれば、もっと詳細な構造(例えば卵表面の模様)が見えるかも知れない。しかし、もう後1週間で新年、余りWeblogに時間をかける訳にも行かない。ここらで御勘弁願いたい。
2008.12.25
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昨日は肌寒い陰鬱な天気ですっかり滅入ってしまったが、今日は朝から快晴、しかもこの時期の晴天としては珍しく全くの無風である。私は天気で気分が簡単に左右される性格なので、今日は早朝から大変御機嫌が宜しい。 今日の写真は最近としては珍しく、昨日の夕方近くに撮ったばかりのホヤホヤ?である。しかし、残念ながら1枚しかない。写真の撮れ具合を確認している間に逃げられてしまったのである。 虫の名は、クロスジホソサジヨコバイ、少し長い名前だが「黒筋細匙横這」の意である。ヨコバイ科ホソサジヨコバイ亜科に属す。体長は4.5mm、やや小さめのヨコバイと言える。 この虫、晩秋から初春にかけて、少し離れた林の有る付近に行って木々の葉裏を探せば必ず見つかる普通種、しかし、住宅地の中で見るのは初めてである。ヤツデの葉裏に居ることが多いが、その他の木の葉裏にも居る。多くの場合、一緒に幼虫も見つかるので、かなり広食性の種類と思われる。クロスジホソサジヨコバイ.雄と思ったが雌らしい体長は4.5mm(2008/12/02) クロスジホソサジヨコバイの雄は基本的に淡い黄色と黒の2色なのに対し、雌はこれに真っ赤な部分が入ってずっと色鮮やかになる。多くの昆虫では、雌よりも雄の方が綺麗だが、このクロスジホソサジヨコバイは断然雌の方が美しい。 この写真の個体は、殆ど黄色と黒なので始めは雄だと思った。しかし、良く見ると極く少しだが赤い部分があり、また、お尻の先が翅端から飛び出している。どうも、雌の様である。 今日は写真が1枚なので、文章だけダラダラと書いても全体の締まりが無くなる。色々な角度から撮った成虫幼虫の写真やこの虫に関する種々の話題は既に別のWeblodgに載せてある。其方を御覧頂ければ幸である。
2008.12.03
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先日、何かネタはないかとコナラの葉裏を調べていたら、翅端まで3mm位の細長い真っ白な虫を見付けた。 始めはアブラムシの有翅虫だと思った。しかし、データをコムピュータに移して詳細を見てみると、触角が数珠状で25節位もある。こんなアブラムシは居ない。アブラムシの触角は、最大6節である。 また、全体の形を見ると、少しチャタテムシにも似ている。しかし、顔はチャタテムシの漫画顔でなくて中々凛々しいし、胸部の構造も違う。 ・・・また、謎の虫が現れた様である。シロコナカゲロウ.翅端まで約2.7mm触角は数珠状、大きな黒い眼が印象的(2008/08/07) しかし、チャタテムシの中にもこう言う「真面目?!」な顔があるかも知れないので、一応調べてみた。チャタテムシの仲間で、触角が20節以上あるのは、コチャタテ亜目のセマガリチャタテ科、ビロウドチャタテ科、コチャタテ科の3科のみで、日本産は全部で7種しか居ないらしい。外国のサイトも含めて調べてみると、みな漫画顔をしており、この謎の虫には該当しない。 他に可能性のあるのは脈翅目(アミメカゲロウ目)である。しかし、こんな白粉を帯び、翅端まで2.7mmと小さく、且つ、翅脈が単純な虫が脈翅目に属すとは思えない。横から見ると、翅脈が単純であるのが分かる何か食べている様にも見える(2008/08/07) ・・・と言うことで、目(分類学の階層である目:Order)が分からないと言う最悪の事態に陥ってしまった。 目の検索をするべきなのだが、先ず、少しインチキをして、これまで何回か御世話になっている「裏庭観察記」のその他の虫に該当するページでこの謎の虫を探してみた。 終わりの方から参照して行くと・・・、有った!!! 「シロコナカゲロウ」と書かれている。其処で、図鑑の脈翅目(アミメカゲロウ目)の検索表を見てみると、扁翅亜目(アミメカゲロウ亜目)の先頭に、「1.翅や胴体は白粉でおおわれる。翅脈疎で、前縁域に1~2本の横脈があるのみ。きわめて小型で開帳10mm以下(コナカゲロウ科)。日本産5種」と有るではないか!! やはり、アミメカゲロウ目の検索表を引いてみるべきであった。上の写真の部分拡大.ピクセル等倍口の辺りに見えるのが口器なのか餌なのか調べようと思い超接写システムを持ち出したが、ストロボが故障して撮影出来ず(2008/08/07) コナカゲロウ科に属すのは明らかとしても、本当にシロコナカゲロウか否か、少し不安である。そこで色々検索してみると、千葉大の中にNeuroptera(脈翅目)と言うサイトがあり、此処にコナカゲロウ科4種の写真が載っていた。シロコナカゲロウ以外の3種は、余り白くはなく写真の虫に該当するとは思えない。その他にも日本産が1~2種残っているが、まァ、此処ではシロコナカゲロウとしておこう。前から見ても、口器なのか餌なのかやはり分からないなお、コナカゲロウ類は捕食性.ピクセル等倍(2008/08/07) 脈翅目と言うのは、余り得意にしない目である。この辺りで目に付く種類は極く限られており、クサカゲロウ数種とウスバカゲロウ類(アリジゴクの成虫)位なものである。他にラクダムシ科、センブリ科、ヘビトンボ科、カマキリモドキ科、ツノトンボ科等が属すが、ツノトンボ以外は図鑑で知っているだけで実物を見たことはない。 それにしても、こんな白粉を吹いた小さな虫が脈翅目に属すとは夢にも思わなかった。イヤハヤ、虫の世界には、色々と意外なことが有りますな!!
2008.08.11
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少し前のことになるが、ゲッケイジュの葉裏を調べていたら、妙な物を見付けた。ある種の長い触手を持つイソギンチャクの様な代物である。 コナジラミの蛹殻であろう。コナジラミ類(双翅目=カメムシ目、同翅亜目=ヨコバイ亜目、腹吻群、コナジラミ上科、コナジラミ科)は、成虫の形態にあまり変化が見られないので、蛹殻の形態で分類される。幼虫と大して変わらない平凡な蛹殻を作るカタバミコナジラミの様な種類もあるが、中には非常に「芸術的」なものを作る連中も居る。この蛹殻はかなり特徴的なので圖鑑やInternetで調べてみたが、残念ながら、蛹殻の主は分からなかった。 早速写真を普段の方法で撮影した。しかし、中々繊細な構造をしているので、この被写体を使って接写システム(少し大袈裟だが・・・)の比較をしてみることにした。 なお、蛹殻の透明な中央部分の長径は約0.64mmである。コナジラミの蛹殻.中央部分の長径は約0.64mm普段使用しているシステムで等倍接写.ピクセル等倍アンシャープなし(2008/07/12) 最初は、普段使っているシステムで等倍撮影したもの。かなり厚さがあるので絞りはF16にしてある。ピクセル等倍なので、これ以上は拡大出来ないし、アンシャープをかけても効果はあまり期待できない(現像段階では少しアンシャープをかけている。以下同じ)。上のカメラにテレラプラス×2を付けて撮影.ピクセル75%アンシャープなし(2008/07/12) 次は、これにテレコンヴァーター(テレプラス)×2を付け、やはりF16に設定し最大倍率で撮影したもの。ピクセル75%で表示してある。この写真も最終的な段階でアンシャープをかけていない。ピクセル75%なので効果は薄いが、かければもう少し鮮鋭な像になる。 この2枚の写真を撮ったカメラのCCDは、3872×2592≒1千万ピクセルである。別のカメラでマクロレンズにクローズアップレンズのNo.5とNo.3を付けて撮影.ピクセル50%アンシャープなし(2008/07/12) 3枚目の写真では、4672×3104≒1千450万ピクセルのカメラを使用した。クローズアップレンズのNo.5とNo.3の2枚をマクロレンズの前にねじ込んで、最大倍率で撮影。絞りはF11だが、上の写真とはカメラが違うのでF値の表示方法が異なり、上の写真と同じ実効絞りに換算すればF22となる。ストロボ・ディフューザーを使っているので、前の2枚とは少し見え方が異なる。表示はピクセル50%で、上の写真と同じく、最終的な段階でアンシャープをかけていないが、かければもっと鮮鋭な画像になる。上の写真にアンシャープを少しかけたもの(2008/07/12) これにアンシャープを少しかけたのが上の写真である。当然のことながら、少し鮮鋭になっている。2番目の写真の部分拡大.ピクセル等倍、アンシャープなし(2008/07/12) 上の写真は2番目の写真(テレプラス使用)をピクセル等倍にしたもの、下は3番目のピクセル等倍表示である。何れも、最終段階でのアンシャープはかけていない。ピクセル等倍でも、下の写真の方が明らかに鮮鋭である。3番目の写真の部分拡大.ピクセル等倍、アンシャープなし(2008/07/12) 写真の鮮鋭度は、焦点が正しく合っているか、絞りを幾つに設定しているか、鮮鋭化処理(アンシャープ)をどの程度かけているか等で大きく異なり、システム間の比較は中々難しい。しかし、3番目のシステム、即ち、クローズアップレンズのNo.5とNo.3を併用し、1千450万ピクセルのカメラで撮影したものが、他をかなり引き離して鮮鋭であると言えるであろう。
2008.08.04
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今日は珍しく、トンボを紹介する。オオシオカラトンボ、住宅地の中にいるこの手のトンボは、シオカラトンボではなく、オオシオカラトンボのことが多いらしい。シオカラトンボは水田や湿地帯の様な開けた場所を好むので、住宅地には少ないとのこと。 実は、私はバッタと並んでトンボも苦手で良く分からない。バッタは好きになれなくて苦手なのだが、トンボは回りに殆ど居ないので知る機会がないのである。オオシオカラトンボの雌.オオムギワラトンボとは呼ばない余命幾ばくも無いらしく最早飛ぶことが出来ない(2008/06/15) このオオシオカラトンボの雌(オオムギワラトンボとは呼ばないらしい)も、始めはムギワラトンボ(シオカラトンボの雌)だと思っていた。しかし、掲載前に一応調べてみたら、どうも斑紋の出方が違う。色々なサイトの写真と比較すると、オオシオカラトンボの方がずっとよく似ている。 其処で、図鑑にあるオオシオカラトンボの記載を読んでみると、翅の基部が黒い、とある。このトンボ、少し分かり難いが、チャンと基部に暗色の部分がある。オオシオカラトンボの雌であった。シオカラトンボと異なり翅の基部が黒い(2008/06/15) この個体、先日のアカボシゴマダラと同じく、寿命が幾ばくも無い様で、まるで力がない。物に掴まることは辛うじて出来るが、飛ぶことは最早出来ない。死ぬ前に写真を撮って、その姿をこの世に残してやることにした。トンボの頭部を裏から見る.殆ど空洞である(2008/06/15) トンボの頭と言うのは、後ろから見ると奇妙な構造をしている。複眼は脊椎動物の眼の様に頭部に埋まっているのではなく、まるでヘルメットの様なもので内側は極く薄い。トンボの頭部は、複眼の薄板で被われている様なものである。頭部を解体して調べてみたい誘惑にかられるが、虫を殺すことは若い頃に散々やったので、今はもうしないことにしている。トンボの顔.複眼の個眼が整然と並んでいる(2008/06/15) 眼自体も変な代物である。トンボの複眼をよく見ると、上と下の2つの部分に分かれている。上は個眼が大きく、下側は小さい。このオオシオカラトンボの場合は、大きさが違うだけで複眼全体としては滑らかな丸い輪郭をしているが、アキアカネなどでは個眼の大きい上側の部分は下側より少し盛り上がっており、輪郭は歪になっている。 一体この眼でどんな風に見えているのか、複眼を見る度にそう思うが、これは容易に分かることではない。100年経っても屹度分からないであろう。右側を部分拡大.複眼の上部と下部で個眼の大きさが違う(2008/06/15) この正に死なんとするオオシオカラトンボを撮影しているとき、同じオオシオカラトンボの雄がやって来て日本シャクナゲの上に留まった。こちらの方はまだ元気で、少し遠くで1枚撮った後すぐに逃げられてしまった。 しかし、これで雌雄揃った訳で、掲載する方としては大変好都合であった。オオシオカラトンボの雄.翅(特に後翅)の付け根が黒いのがよく分かる(2008/06/15) 我が家の庭にやって来るトンボと言えば、他にアキアカネとコシアキトンボがいるだけである。先日、久しぶりにオニヤンマと思しき大型のトンボを見かけたが、上空を通過するだけで下りては来なかった。オニヤンマが飛び回るには、我が家の庭は狭過ぎるのである。
2008.07.22
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セミよりずっと小さいが、形はセミに似ている虫としてアワフキムシ、ツノゼミ、ヨコバイ、ウンカ、ハゴロモ、キジラミ等どが挙げられる。これらの中でもアワフキムシは、大きさもかなりあるし、一番セミに近い感じがする。子供の頃、始めてアワフキムシを見たとき、こんな小さなセミが居るのか、と驚いたのを想い出す。シロオビアワフキ.全国に分布する最普通種翅端まで12mm程度(2008/06/10) 写真のアワフキムシはシロオビアワフキ。最普通種で、日本の全土に棲息する。幼虫が自身で作った泡の中で生活するので、アワフキムシの名がある。 昔はこの辺りでも、彼方此方の木にこのシロオビアワフキの幼虫が出す泡が付いていたものだが、最近ではかなり珍しいものになってしまった。キイチゴには特に沢山付いていた記憶がある。 写真のアワフキは、我が家のクチナシに居た幼虫が羽化したもの。幼虫の頃に一度写真を撮ろうかと思っていたのだが、グズグズしている内に成虫になってしまった。幼虫は腹部が赤く、ずっと昔には、ホタルの幼虫だと思われていたこともあるとのこと。ジッとクチナシにしがみ付いているシロオビアワフキ(2008/06/10) Wikipediaの「アワフキムシ」に拠ると、アワフキムシの幼虫は師管液ではなく導管液を吸汁する(他に、蝉の幼虫、オオヨコバイ亜科のヨコバイも導管液を吸汁するとのこと。昨年の夏に掲載した「オオツマグロヨコバイ(吸汁)」では、師管液を吸うとの前提で書いたが、これは誤りであった。導管液と考えると旨く説明出来ること幾つかあり、追記として訂正を入れて置いた)。導管液は師管液よりもずっと薄く、糖分が少ないのでベト付かない。排泄された液には窒素代謝の排泄物としてアンモニアが含まれ、これと幼虫が分泌するワックス成分が反応して石鹸様の界面活性のある物質となる。少し下から撮ると、遠くを見つめる様な「表情」(2008/06/10) 幼虫は尾端に呼吸のための特別な管を持っており、これを空気中に突き出して空気を吸ってから排泄液の中にその空気を吐き出すことを繰り返して泡を作る。虫からは、ワックスの他に繊維性の蛋白も分泌され、泡の補強材となるらしい。 この泡を含んだ液には界面活性があるので、普通の昆虫が中に入ろうとすれば、気門から液が入って気管を塞ぎ、虫は死んでしまう。一見頼りない泡だが、普通の昆虫に対しては、強力な防御壁になるのである。 以上、殆どWikipediaの丸写しとなってしまった。瞑想するアワフキムシ(2008/06/10) このアワフキムシ、拡大してみると瞑想する哲学者の様な顔つき。ヨコバイやキジラミ、ツノゼミ等の顔とは随分印象が違う。セミはまだ撮ったことがないので検索してみたら、結構アワフキに近い顔をしていた。しかし、「瞑想する」と言う感じではない。ストロボの光を嫌うのか直ぐにお尻を向けてしまうので真っ正面から撮るのが難しかった(2008/06/10) 此処暫く晴れの日が続いている。気象庁からの「梅雨明け宣言」はまだ無いが、もう完全に夏の日である。これからは少し夏の虫も紹介せねばならないだろう。
2008.07.18
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もう大分前のことになるが、ゲッケイジュの葉裏に、ハエの様な妙な小昆虫が沢山いるのを見付けた。マクロレンズで覗いて居ると、丁度虫と目が合った。忘れもしないこの漫画的な顔、チャタテムシである。ゲッケイジュの葉裏に居たチャタテムシの1種漫画的な顔?をしている(2008/05/30) 体長2mm強、翅端まで2.5mm、小さな虫である。此処に掲載した写真では、かなりコントラストを上げて虫の存在が目立つ様にしているが、実際はかなり背景に溶け込んでおり、見分けが付き難い。ある1枚の葉の裏にかなりの数のチャタテムシが居たが他の葉では見つからなかった(2008/05/30) チャタテムシは、多くの人にとって余り縁の無い虫ではないだろうか。一部のチャタテムシは屋内害虫としてかなり有名とのことだが、生まれてこの方自宅で発生したことはない。尤も、小さ過ぎて気が付かなかっただけなのかも知れないが・・・。 実はつい最近まで、チャタテムシと言う虫を見たことがなかった。今年の冬に近くの緑地に生えているタラヨウの葉裏に居るのを見付けたのが最初である。この虫も体長僅か2mm、翅が長いので翅端までは3.5mmあったが、やはり小さな虫であることには変わりがない。 しかし、図鑑を見ると「普通」と書かれた種が沢山あり、家の庭で見たことがないのも、屋内同様、居ても気が付かなっただけの可能性が高い。横から見たチャタテムシの1種翅脈が見えそうだが、やはりよく分からない(2008/05/30) Wikipediaに拠ると、チャタテムシはかつては独立のチャタテムシ目に属していたが、最近ではシラミやハジラミと一緒に咀顎(そがく)目に入れられて居り、その中のコチャタテ亜目、コナチャタテ亜目、チャタテ亜目の3亜目が旧チャタテムシ目に相当する。 室内害虫として知られているチャタテムシの多くは、コチャタテ亜目やコナチャタテ亜目に属し一般に無翅で小さく体長2mm以下。有翅チャタテムシの殆どは、チャタテ亜目に属し、一般に屋外で生活する。大きさは様々で、図鑑を見ると、オオチャタテの様に雌の前翅長が8mmに達する大型種もある。正面から見たチャタテムシ.面白い顔をしている(2008/05/30) チャタテムシは一般にカビや地衣類などを餌とする。屋内に発生するのは、通気の悪いところに生えたカビが餌になるからである。乾燥食品や動物標本、書籍等に集るのも、其処に生えたカビを食べる為らしい。斜めから見たチャタテムシ(2008/05/30) ところで、このチャタテムシ、例によって種も分からなければ、科も分からない。小さ過ぎて細部の構造は判別不能だし、翅脈もよく見えない。日本産は100種位記録されているらしいが、北隆館の大図鑑でも僅か20しか載っていない。チャタテ亜目に属すと思われるが、それ以上は「チャタテムシの1種」とする以外に手がない。 屋外で撮影したチャタテムシの写真を検索してみると、その殆どが「チャタテムシの1種」かそれに類する表題になっている。皆さん、何れも小さ過ぎるのと資料不足でお困りの様である。チャタテムシの幼虫.不完全変態をする(2008/05/30) このチャタテムシを見ていると、カイガラムシと思われるもの(2番目の写真の右端)の周辺を探索?していたりするので、ヒョッとして捕食性!?かと思った。しかし、調べてみると、捕食性のチャタテムシと言うのは何処にも出て来ない。やはり、古い葉裏に沢山付いている寄生性昆虫の排泄物などに生えたカビ目当てと考える方が順当らしい。チャタテムシの幼虫と目が合ってしまった(2008/05/30) なお、チャタテムシは漢字で書くと、「茶立虫(茶点虫)」となる。これは、ある種のチャタテムシが抹茶をたてるときの様な音を出すからだそうである。北隆館の大図鑑には「発音器として後脚基節内側のヤスリ状器官と尾端部、口器が挙げられている」と書かれている。こんな小さな虫が一体どんな音を立てるのか、聞いてみたいものである。
2008.07.14
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先日紹介した「新接写システム」を使って、今花盛りのクチナシに集っているアザミウマを撮ってみた。このアザミウマは以前にも紹介しているので、「新システム」でどの程度解像力が上がったかを比較するには丁度良い被写体なのである。 今日の写真は、先日のとはカメラ本体が異なり、横幅4672ピクセル(以前は3872ピクセル)のボディーで撮っているので、解像力が多少上がっている筈である。6番目の2頭一緒に写っている写真を除いて、何れも原画で横幅750ピクセル(表示は500ピクセルに縮小)、実際の長さにして約2.0mmである。写真を調整し終わってから見てみると、もう少し拡大した方が細部が明確になったと思うが、やり直すのがメンドーなので、そのままにしてしまった。クチナシの花に集るアザミウマ.全体的に暗褐色ハナアザミウマの雌と思われる(写真の拡大率は6番目を除いて全て同じ.横幅約2.0mm)(2008/06/25) 写真を撮っていてアレッと思ったのは、1種類だと思っていたアザミウマに3通りのタイプがあったことである。上に掲げた全身色が濃い褐色(頭部胸部がやや淡色の個体もある:下から2番目の写真)で大型のタイプが最も多く、下に示した色の薄く小型のものは全体の1/5かそれ以下である。他に中ぐらいの大きさで全体的に色が少し薄い個体(5番目の写真)も居たが数は少ない。雄の個体.雌と較べるとずっと小さい.下の写真とは少し異なるどちらかがハナアザミウマの雄であろう(2008/06/25) 以前掲載したアザミウマの写真は、顕微鏡写真の様な感じで平面的な像になっているが、新システムでは普通の写真の様に立体感が出ている。触角の1つひとつの節や、毛の生え方もかなり良く分かる。残念ながら、毛の生え方は、掲載した写真では倍率が不足でやや不明瞭だが、原画をピクセル等倍に拡大するともう少しはっきり見える。同じく雄.上の個体よりもかなり小さい(2008/06/25) これだけ詳細が分かると、巧く行けば、このアザミウマの種類が判別出来るかも知れない、と言う気になる。すっかり忘れていたが、1年ほど前に「農作物のアザミウマ」と言う本を買ってあった。これには26種のアザミウマ(クダアザミウマ科7種、アザミウマ科19種)についての詳細な記述がある。この本に拠ると、クチナシに寄生するアザミウマとして、クロトンアザミウマ、チャノキイロアザミウマ、ハナアザミウマ、ヒラズハナアザミウマの4種が挙げられている。この内、前2者は全く異なる外観をしており、明らかに写真のアザミウマとは異なる。残るは、ハナアザミウマとヒラズハナアザミウマの2種である。真横から見たハナアザミウマの雌(2008/06/25) この2種は、外見的には非常によく似ている。しかし、ヒラズハナは単眼域に長い刺毛が一対、前胸背板の前縁と後縁の双方に長い刺毛を持つのに対し、ハナでは単眼域に2対、前胸背板の後縁のみに長刺毛を持つ。横から見た写真(上)を見ると、単眼域には2対の長刺毛があり、また、前胸背板の前縁には長い刺毛は認められない。これは、ハナアザミウマの特徴と一致している。 九州大学の「日本産昆虫目録データベース」には、アザミウマ科だけで176種が登録されている。これに対し、「農作物のアザミウマ」に載っているアザミウマ科はたったの19種。しかし、このクチナシに毎年集るアザミウマは極く普通種であろうし、濃色型と淡色型(下から2番目の写真:頭部胸部が淡色)の2型あること、「本種(ハナアザミウマ)は各種の花卉からも発見されるが、その被害の実態については不詳である」と書かれていることなどから、少なくとも色の濃い大型の雌は、ハナアザミウマとして良いのではないだろうか。やや淡色で小型のアザミウマ.ハナアザミウマではない可能性が高い(2008/06/25) しかし、上に示したやや小さく色も少し淡色の個体は、横から撮った写真がないので、何だか良く分からない。ヒラズハナアザミウマかも知れないが、文献に拠ればヒラズハナの方が一般に大きいとされている。 小型の色の薄い個体は、アザミウマの雄である。アザミウマの雄は常に雌よりも淡色で小型の様である。雄の形態については詳しい記述がないので何とも言えないが、多分ハナアザミウマの雄であろう。しかし、2枚の写真を較べると、大きさや触角の色に差異がある。或いは、ヒラズハナその他の雄が混じっているのかも知れない。踊るハナアザミウマの雌.頭部胸部が淡色(2008/06/25) ところで、このアザミウマの雌は、時々妙な踊りをする。腹部をくねらせてフラダンスの様な踊りをするのである。忙しく歩き回って居たかと思うと、突然止まって踊り始める。暫くすると、また走り回る。この繰り返しである。 雄が求愛行動として踊るのなら分かるが、雌が何故この様な行動をとるのか全く不可解である。同じく、踊るハナアザミウマの雌.翅がよく見える(2008/06/25) 今日の写真は、真っ白に近いクチナシの花を背景にしているので、カブリを生じてやや鮮鋭度が落ちている感じがする。被写体によっては、もう少しカチッとした写真が撮れるのではないだろうか。
2008.07.02
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今日は「繋ぎ」として植木鉢の下にいたトビムシを紹介する。 普通はもう少し大きい種類(個体)も居るのだが、今日紹介するのはかなり小さい方で、体長約1.1~1.2mm。写真はピクセル等倍なので、鮮明ではない。 昆虫類全体を把握している読者を別にすると、そもそもトビムシとは何ぞや、を解説する必要があるかも知れない。・・・と言う私も、実のところ、トビムシを真顔で撮ったのは今回が初めな位で、大して良くは知らない。 トビムシは落葉の下から土壌のかなり深い所にまで棲息する最も原始的な粘管目に属す昆虫である。多くは1~3mm、尾端にある叉状器というエビのシッポの様な構造を使って跳躍する種類が多いので、トビムシと呼ばれる。しかし、「跳ぶ」と言っても、多くは体長の10倍程度をピョコンと跳ぶだけで、蚤の様なものを連想されては困る。 幾つかの点で、普通の昆虫とは異なるところがあり、最近では六脚虫上綱には属すが、カマアシムシ(原尾目)やコムシ(双尾目)と共に昆虫綱とは別のグループとする学者が多い。 何処が普通の昆虫と違うかと言うと、翅がない、、変態をしない、成虫になっても脱皮を繰り返して成長する、交尾をせず雄が土の上に精包を置くと雌がこれを生殖口に収めると言う間接受精を行う、複眼単眼は無く8個の小眼より成る眼斑を持つ(多足類に似る)、多くは気管系を欠く、マルピーギ管を欠く・・・と色々ある。植木鉢の下に居たトビムシの1種.体長約1.2mm叉状器が見えないが腹の下に折り畳んでいるのかも知れない(ピクセル等倍、以下同じ)(2008/01/24) ある文献によると、日本には約400種のトビムシが記録されているが、なお多くの未記載種を含むとのこと。例によって写真で示したトビムシの種類は分からない。アブラムシと同様、顕微鏡で細部を見ないと種の判別は難しいが、トビムシの場合は全体像を知らないので、種どころか、どの科に属すのかすら分からない。こんな不鮮明な写真2枚では、検索表による科の判別は不可能というものである。トビムシの1種.シロトビムシ科かも知れないが良く分からない(2008/01/24) トビムシの多くは、腐植や菌類を咀嚼して食べている(分解物を液体として吸汁したり、少数だが捕食性の種類もあるとのこと)。こう言う小さい連中が土の中にゴマンと居り(実際に日本の森林土壌では1平方メートル当たり数万から10万棲息すると言われている)、陸生等脚類(ヒメフナムシ、ダンゴムシ等)、ササラダニ、ヒメミミズ等と共に有機物分解者として食物連鎖の末端を担っている訳である。 土壌中の生き物は直接眼に触れることは少ないが、それなりの方法を使えば容易に捕えることが出来る。ネタが無くなったら、土でもほじくるか・・・。
2008.01.29
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昨年の大晦日にツマグロヒョウモンの越冬幼虫を掲載したが、実はその時、植木鉢の下にもう1種類越冬している虫を見付けた。この虫、余り世間様に歓迎される質の虫ではない。しかし、拡大して見ると思いのほか綺麗なので、これも一興かと思い、掲載することにした。 クロゴキブリの若齢幼虫である。掲載するつもりが無かったので、写真は1枚しか撮っていない。クロゴキブリの若齢幼虫.体長5mm2本の白帯があり、触角の先端部も白い(2007/12/31) 昭和3年に建った昔の家にはクロゴキブリが沢山居た。何しろ、昔の木造建築の構造は東南アジア等にある高床式の床を70cm位に低くした様なものなので、ゴキブリは何処からでも侵入できる。身を隠す隙間も無数にあった。昔の我が家は、ゴキブリから見れば正に格好の住処であったに違いない。 これが20年程前に鉄筋コンクリートの西洋長屋に建て替えられた。ゴキブリの侵入できる隙間は何処にもない。ゴキブリも、昨今は住み難くなった、と嘆いているに違いない。御蔭でゴキブリ母さんも室内に入って産卵できず、ウロウロしている間にベランダ辺りで産気づいたらしい。 普段は越冬中の虫には同情的なのだが、やはりゴキブリには余り同情心が起こらない。このゴキブリの幼虫、塵取りに掃き入れられ、バケツ、ポリ袋を経て世田谷区の焼却場へ送られてしまった。
2008.01.20
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先日の雨で木々に残った葉もすっかり落ち、漸く冬らしいサムザムとした景色になった。成虫で越冬する虫達も、大きな樹の割れ目の中や落葉の下などでジッと寒さに耐えているに違いない。 ・・・と思っていたら、クリスマスローズの葉上にクサカゲロウがいるのを見付けた。 始めは羽化したばかりの個体かと思ったが(今頃??)、良く見てみると翅はもう充分に固まっている。天気が良くなって、葉の上に姿を現したものらしい。 このクサカゲロウ、翅が曲がっている。羽化するときに翅を充分伸ばせなかったらしい。クリスマスローズの葉上に居たクサカゲロウの1種
2007.12.25
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先日、夏の間に伸び過ぎた庭木を剪定していたら、全身真っ黄色の大きなヨコバイが飛び出して来た。飛び出すと言っても、跳躍力は弱く、何とも頼りない感じ。よく見てみると、羽化したばかりのツマグロオオヨコバイ(オオツマグロヨコバイ)の様である。羽化したてのツマグロオオヨコバイ(2007/09/13) 翅端その他の黒い部分がまだ透明。時間が経つと黒くなるのであろう。ツマグロオオヨコバイは昔から我が家に沢山いるが、こう言うまだ色の出ていない個体を見たのは初めてである。一応歩くことは出来る(2007/09/13) 一応歩けるし跳躍もするが、幼虫の方が遙かに跳躍力がある。翅はまだ固まっていないらしく、拡げることすらしない。 一応歩けるとは言うものの、まだヨチヨチ歩きで、下の写真の様に、時々ズッ転ける。歩けるが時々ズッ転ける.左後脛節が折れているらしい(2007/09/13) しかし、写真をよく見てみると、どうも左後肢の脛節が折れている様である。まだ充分固まっていない脚で飛び跳ねたりしたので折れてしまったのかも知れない。 枝に留まらせて写真を撮ったが、そのまま其処でジッとしていた。 その後、このツマグロオオヨコバイがどうなったかは分からない。気が付いたときには、もう居なくなっていた。正面から見たツマグロオオヨコバイ.まだ顔の模様がよく出ていない(2007/09/13) ところで、私は子供の頃からこの虫を「オオツマグロヨコバイ」と呼んでいた。しかし、改めて調べてみると、「ツマグロオオヨコバイ」の方がずっと一般的であることが判明した。そこで、今回を含め以降は「ツマグロオオヨコバイ」と呼ぶことにする。 小學生の頃に使っていた昆蟲圖鑑は、叔父が使っていたと言ふ昭和拾年頃に出版された漢字カタカナ交りの古い本だったので、今とは少し違ふ名前が附いていたのかも知れない。
2007.09.17
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先日、シソの葉に集るハダニ類を掲載したが、今日は其処に居た捕食者を紹介する。「日本原色植物ダニ図鑑」に拠れば、ハダニの天敵には、同じダニ目に属すカブリダニ類や、ハダニアザミウマ、ハナカメムシ類、ハダニカブリケシハネカクシ、キアシクロヒメテントウ等の他、タマバエ、オドリバエ、アシナガバエ、ハナアブの各科に属す昆虫が居るそうである。その他にも、クサカゲロウ類の幼虫もハダニの捕食者として知られている。葉脈の陰に隠れる(?)ハダニアザミウマの幼虫.ピクセル等倍(2007/08/25) シソの葉にはアザミウマ類の幼虫が何頭か認められた。前述の図鑑に拠れば、ハダニを食べるアザミウマはハダニアザミウマのみらしいので、此処ではハダニアザミウマとしておく。 1枚の葉に2~3頭程度の密度である。ハダニアザミウマ雌成虫の1日当たりの捕食量は、ハダニ卵なら約40個、ハダニ雌成虫で約9匹とのことなので、その程度の密度でも良いのかも知れない。ハダニアザミウマの幼虫.その2.ピクセル等倍(2007/08/25) 普通、アザミウマと言えば吸汁性の害虫である。それが此処では、ダニを補食する益虫となっている。餌が植物と動物では随分違う様に感じられるかも知れないが、植物の汁を吸うのがダニの体液を吸うのに変わっただけのことである。口器の形を基本的に変化させないで済むから、大した変化ではない。歩き回るハダニアザミウマの幼虫.ピクセル等倍(2007/08/25) アブラムシの中には兵隊アブラムシと言う兵隊アリの様な防御個体を持つ種類が居て、普通は植物の汁を吸う筈の口針で敵を刺す。カメムシの仲間には、ハナカメムシ科やサシガメ科ばかりでなく、多くは吸汁性のカメムシ科の中にも捕食性の種類が居る。これも植物の汁を吸うのが獲物の体液を吸うのに変わったと考えれば納得が行く。 考えてみると、吸汁性の害虫と体液を吸う捕食性の益虫とは、意外に近いところに位置する必然性が有ることになる。
2007.09.02
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今日はアオバハゴロモを紹介する。昔からこの辺りに居るハゴロモ類の1種である。昔は他にスケバハゴロモ、ベッコウハゴロモ、テングスケバ等が居たが、最近ではこのアオバハゴロモと先日紹介したミドリグンバイウンカだけである。 イネの害虫として著名なウンカ類も、上記のハゴロモ類とは少し外見が違うが、同じハゴロモ上科(ビワハゴロモ上科)に属す。一方、先日紹介したオオツマグロヨコバイ(ツマグロオオヨコバイ)は、外見はウンカに似ているが、ヨコバイ類とハゴロモ類(ハゴロモ、ウンカ)は、実はかなり離れた仲間なのである。アオバハゴロモ.緑色を基調に青白色と紅色を散りばめ美しいが肉眼では良く分からない(2007/08/24) ヨコバイ類はツノゼミ上科に属し、ハゴロモ類よりもアワフキムシやセミに近い。ヨコバイ類がハゴロモ類と何処が違うかというと、・・・ヨコバイやセミ類では単眼が複眼間の上側(頭頂)に位置し、中脚基節は短く左右接近し、肩板を欠くが、ハゴロモ類では単眼は通常複眼の下側に位置し、中脚基節は長く左右に離れ、肩板を持つ点にある・・・。と言っても、中脚基節は生態写真では中々見えないし、ハゴロモ類の単眼は何処にあるのか分かり難い。背側から見たアオバハゴロモ.複眼の間に単眼はなく翅の付け根に肩板が見える(2007/08/24) 昨年紹介したオオツマグロヨコバイの写真を御覧頂きたい。1枚目の写真で、頭部の背側にある丸い斑紋の両側(写真は横向きなので上下)に見える小さい斑点が単眼である。翅の付け根は平滑で、肩板と思しき構造は認められない。 一方、アオバハゴロモの単眼は何処にあるか分かり難い(一番上の写真で複眼の右側にある白っぽい斑点がそれだと思う、更にその右の暗色部分は触角)が、少なくとも頭頂にはなく、また、翅の付け根の上に肩板があるのが見える。正面から見たアオバハゴロモ.上の写真と同じく、複眼間に単眼はなく翅の付け根に肩板が見える(2007/08/24) まァ、何れにせよ、肉眼ではとても分からない「微細な」違いである。しかし、こう言う基本的な違いに気を付けていないと、種名の分からないヨコバイの仲間を誤って「ウンカの1種」としてしまうことも有得る。これは、かなりの「大間違い」と言える。
2007.08.26
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涼しかったのも束の間、又暑い日が続いている。雨も1mm位は降ったが、焼け石に水、庭はカラカラである。 ところが、蹲踞の前の一角だけ、何時行っても水滴が少々溜まっているところがある。カラカラの庭に天然の水滴? 一寸奇妙な光景である。ヤブミョウガから吸汁するオオツマグロヨコバイ.下に水滴が溜まっている.更にその下にも溜まっているが、写真には写っていない(2007/08/17) 犯人は誰か・・・と言うと、実はヤブミョウガに集っているオオツマグロヨコバイである。 ヨコバイに限らず、吸汁性の昆虫は、草木の汁(師管液)だけから栄養を摂っている。この師管液、植物の種類、季節、時刻などで成分はかなり異なるとは思うが、殆どは水で、他には数パーセントの糖分とその1/10位のアミノ酸が含まれているだけ。 だから、吸汁性の昆虫は師管液をドンドン吸って、出来るだけ沢山のアミノ酸と必要なだけの糖類を取り込み、残りの糖分と水は、これをドンドン排泄しなければならない。昔の日本人や米食を主とする民族が、大量の米飯を食べてそこから必要なアミノ酸の総てを取り、残りの不要な澱粉は吸収せずに排泄していたのと似た様なものである。 蹲踞の前の雫は、このヨコバイが排泄した師管液の「カス」なのである。ヤブミョウガの師管液は糖分が少ないのか、排泄した液を舐めてみたが殆ど甘さを感じなかった。尤も、これは舐めてみなくてもアリが居ないことで分かる。もし甘ければ、アリが放って置くはずがない。吸汁中のオオツマグロヨコバイ.成虫2、幼虫2(2007/08/17) ところで、オオツマグロヨコバイは、この様にまるでアミノ酸フィルターの様なことだけをしていれば生きて行けるのか、と言うと、そう簡単ではない。 昆虫にも、人間と同様、自身では合成の出来ない各種ヴィタミンと10種の必須アミノ酸と言うものがあり、生きてゆく為にはそれらを何らかの形で外部から取り込まなければならない。 ところが、師管液にはヴィタミンは多くないし、必須アミノ酸は全アミノ酸の2割程度しか含まれていない(平均して師管液全体の0.2%程度か?)らしい。吸汁性の昆虫は、一体どうやって不足分のヴィタミンや必須アミノ酸を獲得しているのだろうか。特に一生懸命な1頭.左側に水滴が溜まっている.舐めてみたが甘くない(2007/08/17) 実は、吸汁性の昆虫は、体内に共生菌を飼っていて、自身が不要なアミノ酸や糖類をこの共生菌に供給し、代わりに其処で合成されたヴィタミンや必須アミノ酸を得て生きているのである。だから、抗生剤を与えて共生菌を殺すと、虫の方も栄養失調に陥り、やがて死んでしまう。 これらの共生菌は、シロアリの様に消化管内に居るのではない。消化管内は生物学的には体外である。体の細胞の中に共生菌を飼っているのである。アブラムシの多くはブフネラ(Buchnera)と呼ばれる菌と共生しており、その付き合いは2億五千万年以上もの長きに亘ると言うのだから、チョットやソットの間柄ではない。 しかし、真核生物のミトコンドリアや高等植物のクロロプラスト(葉緑体)の様な細胞器官も、その起源は内部共生細菌にあるとされているのは、周知の通りである。それに較べると、アブラムシとブフネラの関係はまだ一寸歴史が浅いと言うことになる。余分な水分を排泄した瞬間.矢印の先がそれである(2007/08/17) ヤブミョウガに集っていた4頭のオオツマグロヨコバイの内、上の写真の個体は特に吸汁に熱心の様であった。見ていると、2~3秒置きに数滴を排泄する。どの位の水を排泄するのか汁を受けて計測して見ようかとも思ったが、一寸面倒臭さそうなので止めた。しかし、スゴイ量だと思う。仮に虫を人間の大きさとすれば、1時間に風呂桶1杯分位の水を排出しているのではないか? 正に生きているフィルターである。 吸汁性の昆虫が吸うのは師管液(葉で合成された糖類その他の栄養素を含む)で、導管液(根で吸収された水分や塩類)ではない、とされている。導管液では栄養不足で、虫は生きていけないのである。「ヘチマ水」は師管液ではなく導管液である。だから沢山出る。しかし、師管液と言うのは普通そんなに沢山出るものではない。 例えば、ヤシ酒はヤシ類の花梗を切ってそこから出る師管液を集めて作るが、これを出す為には、事前に花梗を揉んだり、叩いたり、或いは、その先端を少しずつ切ると言う様な刺激を何日もかけて与える必要があるとされている。オオツマグロヨコバイの集っているヤブミョウガの茎の直径は5mmもない。この直径でこれだけ沢山の師管液が流れている、と言うのは些か信じがたい。或いは、オオツマグロヨコバイは、何らかの刺激を植物に与えて、師管液の出を良くしているのだろうか。オオツマグロヨコバイの幼虫.力強く跳ねる(2007/08/17) 吸汁していたのは成虫ばかりではなく、幼虫も2頭いた。オオツマグロヨコバイの幼虫は、まだ御披露目をしていなかったので、此処で紹介しておく。親とは異なり、全身半透明緑色の綺麗な虫である。突っつくと、ピンッと強力に跳ねる。 追記:wikipediaの「アワフキムシ」に拠ると、アワフキムシ、セミの幼虫、オオヨコバイ亜科に属すヨコバイ類は、師管液ではなく、導管液を吸汁するのだそうである。導管液は師管液よりもずっと薄いので、非常に沢山の量を摂取しなければならない。それで、こうも沢山排泄するのであった。また、甘くないのも導管液だからである。 掲載後、約1年経ってようやく疑問が解決したことになる。それにしても、導管液で生きていけるとは思ってもみなかった。反省、反省・・・。(2008/07/17)
2007.08.21
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一昨日の夕方、クチナシの葉上に羽が緑色に透き通った小さな虫が留まっているのを見付けた。翅端まで6mm位、もう薄暗くてよく見えないが、こんなに小さいクサカゲロウが居るのかと些か驚いていたら、ピンと跳ねて飛んで行ってしまった。クサカゲロウではなく、ハゴロモの類らしい。 それにしても、薄べったい虫である。葉っぱに張り付いている、と言う感じ。 クチナシの木をよく調べて見ると、他にも同じ虫が何頭か居ることが判明した。ハゴロモ類と言えば、昔はベッコウハゴロモ、スケバハゴロモ、テングスケバ等、色々居たものだが、最近ではアオバハゴロモしか見たことがない。逆に、この薄べったいハゴロモらしき虫、今まで見た記憶がない。ミドリグンバイウンカ.緑色の葉に緑色の虫なので鮮明に見えない(2007/08/17) 調べてみると、グンバイウンカ科に属すミドリグンバイウンカ(Kallitaxila sinica )と言う種類らしい。我が家ではクチナシに集っているが、色々な植物に付く虫の様である。 ところが、その後色々なサイトを見てみると、同じ虫にオヌキグンバイウンカ(Mesepora onukii)の名を冠している所が幾つかある。和名はいい加減な名称だから2つあっても構わないが、学名の属名も種名も共に異なっているのが一寸気になる。何となく、シノニム(異名:Synonym)ではなくて、どちらかが誤った写真を掲げている様な気がする。もう少し調べてみる必要がありそうだ。横から見たミドリグンバイウンカ.平べったい(2007/08/17) 調べてみた結果、この種の虫について詳しい「かめむしBBS」でミドリグンバイウンカとオヌキグンバイウンカの問題が議論されているのを見付けた。それに拠ると、其処で問題にされているこの写真の虫と同じと思われる虫は、後脚脛節の側刺の数や、翅脈の走り方から、ミドリグンバイウンカ(Kallitaxila sinica )であり、オヌキグンバイウンカの方は誤認とのこと。やはり、シノニムではなかった。 Internetの昆虫図鑑の御蔭で、今までの標本写真による図鑑では中々同定が出来なかった虫が、かなり容易に同定できる様になった(本当の意味での同定ではないが・・・)。一方で、この様な誤認が一人歩きする可能性があるのを心配していたが、やはり現実にその様なことが起こっていた、と言うことである。クワバラ、クワバラ・・・。
2007.08.19
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少し前にヤマトシジミの雌を紹介したが、その時、そのヤマトシジミが産卵していたカタバミが余り健康な状態でないのが一寸気になっていた。 今年は、植木鉢に寄寓しているカタバミに白い点々が発生し、やがて枯れてしまうことが多い。始めは、グンバイムシかと思ったがグンバイムシは見つからない。よく調べてみると、葉裏にコナジラミが沢山付いているのが見つかった。粉にまみれたコナジラミ.成虫と幼虫、脱皮殻(2007/07/30) このコナジラミ、以前紹介したクチナシに付くコナジラミよりももっと小さく、頭から翼端まで1.1~1.3mm、クチナシのコナジラミはよく飛ぶのに対し、このコナジラミは殆ど飛ばない。 Internetで調べてみると、カタバミに付くカタバミコナジラミと言うのが居るそうである。この種の吸汁昆虫は昆虫と植物の関係がかなり固定的なことが多いので、確証は無いが、そのカタバミコナジラミとしておく。コナジラミ成虫の等倍接写.楕円形の玉はコナジラミの卵であろう.全長約1.1mm、ピクセル等倍(2007/07/30) 1.1~1.3mmと言うのは、等倍マクロでは一寸難しい「小ささ」である。実際に撮ってみると、これまで使っていた機材では、鮮明度がかなり落ちる。 何とかならないかと考えている内に、今の機材とは別に「一眼レフ+100mmマクロ」がもう1セットあるのを思い出した。実は、このセットには「致命的な欠陥」が2~3あるので、お蔵にしていたのである。しかし、こちらの方がCCD自体の解像力は高そうなので、これをれを使えば多少は鮮鋭度が上がるのではないか・・・。コナジラミの等倍接写.ピクセル等倍(2007/07/30) 問題はその「致命的欠陥」である。しかし、世の中、その気になって真剣に考えると結構問題は解決するもので、「致命的欠陥」は若干の出費で簡単に解決してしまった。粉の付いていないコナジラミ.羽が透けて美しい.全長約1.3mm、ピクセル等倍(2007/07/30) 早速そのセットで等倍接写をしてみると・・・、結構イケル。これまで、何処のメーカーでも大した差はないだろうと思っていたのだが、こう言う極限状態ではやはり差があった。 今回の等倍接写は、ISO100、絞りF8~11で撮影している。F8で等倍接写をすると、被写界深度はコナジラミの厚さよりも浅い。多分0.2~0.3mm位であろう。 ここに示した写真は総て手持ち撮影である。テーブルに被写体を置き、頬杖をついて撮っているので何とかなっているが、フィールドでは一寸無理と思われる。コナジラミの幼虫と蛹.白いのは羽化直前(2007/07/30) 不思議なことに、これまで使っていたレンズでは、F22に絞ると画質が低下して使い物にならないのに対し、この玉はF27でも結構使える。 しかし、これが普通であろう。大体100mmレンズでF16を超えて絞ると画質が急激に低下する、と言うのが一寸不可解であった。100/16=6.25mmを超えると回折の影響が大きくなるのなら、18mmではF4で画質が劣化しなければならない。レンズ自体に何らかの欠陥があるのかも知れない。コナジラミ幼虫、蛹の等倍接写.体長1.0~1.1mm、ピクセル等倍(2007/07/30) この機材を使うと、カタバミの葉裏にコナジラミと一緒に居たハダニも何とか撮れる。これからは、この機材を使って接写をすることにした。
2007.08.14
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先週の月曜日の昼過ぎ、丁度東京23区西部が雷雨に見舞われていた頃、突然我がコムピュータがInternetに接続できなくなった。始めは落雷でホストがダウンしたのかと思ったが、何時まで経っても復旧しない。夜になって調べてみると、どうやら雷雨は関係なく、単に家のモデムが故障しただけらしい。 次の日の朝、新しいモデムを送付して貰う手続きを取り、その翌日にはモデムを交換することが出来た。しかし、相変わらずホストとのリンクは取れない。プロバイダーに電話すると、回線に何らかの異常が発生したものと考えられるので、回線工事をやり直すとのこと。工事には約一週間かかり、その前のモデムの交換と合わせると約10日間、Internetなしの生活を強いられることと相成った。 探してみると、我が町にもInternetの端末を置いている喫茶店が見つかった。しかし、いい年をしたオジサンがその種の場所で何やらキーボードを叩いているのも余り見られた格好ではないと思い、Weblogは臨時休業にして、工事が終了するまで大人しく待つことにした。結果的に、読者諸氏には御迷惑をかけることになったと思ふが、何卒御寛恕願ひたい。 今日の16時頃、丁度カラーキャリブレーションをしている最中に、モデムのリンク状態を示すランプが点灯しているのに気が付いた。漸く回線が復旧したらしい。カラーキャリブレーションが終了すると、様々なプログラムの自動更新が一斉に動作を開始し、こちとらが起動したプログラムは殆ど動かない状態が暫く続いた。 さて、今日は前回掲載したクサカゲロウの繭の話の続きである。 クサカゲロウの繭を飼育箱(100円ショップで買ってきた只のプラスティックの箱)に確保してから丁度1週間経った日の夕方、箱の中にクサカゲロウが羽化しているのが認められた。体長11mm、翅端まで15mm、小さなクサカゲロウである。 しかし、もう暗くなっているので、箱から出すと燈りの中に入ってしまうかも知れず、写真を撮るのは次の日の朝まで待つことにした。日中ならば、大概の虫は明るい外の方に向かって飛んでカーテンに留まるので、写真が撮り易いのである。羽化したクサカゲロウ.触角が長い(2007/07/29) 次の日、箱の中から出してやろうとすると、まるでそれを待っていたかの様に激しく羽ばたいた。クサカゲロウがこんなに力強く飛翔するとは知らなかった。 カーテンに突進し、更に彼方此方飛び回っている。余りに元気なので、御披露目の写真が撮れない。暫くそのままにして疲れるのを待つことにした。カーテンに留まるクサカゲロウ.金緑色の体が美しい(2007/07/29) 10分程すると予想道理余り羽ばたかなくなり、漸く写真を撮ることが出来る様になった。 撮影を終わってから、やはり本来繭のあった所に放すのが良いだろうと思って、ニシキハギの所まで連れて行って放してやった。 ところが、手から離れた途端、体の後の方に飛んで行ってしまって、振り向いた時には、もう何処にも見当たらなかった。予想外の、余り面白くない別れ方。クサカゲロウの成虫もアブラムシを食べる。顔は精悍(2007/07/29) さて、Internetで調べてみると、クサカゲロウ類の羽化は一寸変わっている。繭の中から成虫が出てくるのではなく、蛹が繭を食い破って表にで、それから羽化するのだそうである。繭の近くに別に蛹の脱け殻があるとのこと。 早速繭の付近を調べてみたが、蛹の脱け殻は何処にも無い様であった。しかし、良く見てみると、繭の上に何か白っぽいものがくっ付いている。クサカゲロウの繭と蛹の脱け殻.この角度だと上に乗っているのが何だか分かり難い(2007/07/29) 直接カメラを覗いているだけでは一寸分かり難いが、コムピュータに移して拡大してみると、明らかに繭の上にあるのは蛹の脱け殻である。 繭を確保した時、蛹の横に何か橙色の寄生バチの卵の様な物があった(前回の2番目の写真)が、それはもう見当たらなかった。孵化はしたが繭に穴を空けて蛹に取り付くことが出来なかったのかも知れない。上の写真の左約90度から見たもの。蛹の脚、頭、腹部が識別できる(2007/07/29) ところで、このクサカゲロウ、残念ながら何クサカゲロウかは分からない。しかし、クサカゲロウがこんなに金緑色に光るとは知らなかった。翅脈も網目状で繊細な模様を成しているが、生憎後のカーテンの網目が邪魔でよく見えない。この次クサカゲロウを見付けたら、翅だけの拡大写真を撮ってみよう。
2007.08.07
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今日は、約半月前に掲載したクサカゲロウの幼虫のその後に付いてである。 クチナシからニシキハギに移されてアブラムシもモリモリ食べていたクサカゲロウの幼虫は、掲載後、連日雨のために暫く生存を確認できなかった。しかし、何日か経って、天気の好転した日に見に行くと、まだチャンとニシキハギの葉裏に健在であった。 ところが、どうも少しおかしい。その後は毎日見に行ったのだが、全く同じ所に居て些かも動いていない様である。心配なので、マクロレンズで覗いて安否を確かめてみた。 すると・・・幼虫は居らず、何だか丸い物になっている。一体こりゃ何だ??!!クサカゲロウの繭.植物性の物を周りに付けているのが見える(2007/07/21) 良く見てみると、やはり周りにガラクタを付けては居るが、これは明らかに繭である。・・・クサカゲロウは繭を作るのか??? 知らなかった!!上の写真の右120度位の位置.アブラムシの残骸を付けている.手前下の橙色のものは寄生バチの卵か?(2007/07/21) 考えてみれば、幼虫の時背負っているガラクタは何かごく細い糸のような物で繋ぎ合わされていた。だから、その材料で繭を作ってもおかしくはない。それに、成虫雌は例の「優曇華の花」を作る。クサカゲロウは、どうやら幼虫成虫共に糸を紡ぐ能力があるらしい。 それでは、その糸は何処から出てくるのか? 蝶や蛾の幼虫は総て口から糸を吐く。クサカゲロウも口から吐くのか? しかし、クサカゲロウの口はアブラムシやハダニを食べるために特殊化している。これに糸を吐く機能まで求めるのは無理だろう。 調べてみると、何とお尻から出すのだそうである。蜘蛛みたいなヤツ!!上から見たクサカゲロウの繭(2007/07/21) 繭の大きさは、周りのガラクタを除くと、直径4mmに満たない。この小さな繭から、一体どの様なクサカゲロウが出てくるのか? 早速ハギの枝を切り取り、飼育箱の中に確保した。 <続く>
2007.07.29
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また、ハギの季節がやって来た様である。「ハギの季節」と言ってもハギの花が咲く訳ではない。昨年から閲覧されている読者は憶えておられるかと思うが、鉢植えの花の着かないニシキハギの上で、様々な虫たちが繰り広げる物語の季節が始まった、と言うことである。 例年夏ともなれば、このニシキハギにアブラムシがそう沢山付くことは無いのだが、今年は何故かビッシリと付いている。アブラムシが居れば、何処からともなくテントウムシの幼虫が現れて来てそれを食べ始める。しかし、アブラムシと捕食者との平衡がアブラムシの増殖の方に偏っていてアブラムシは増える一方、捕食者が更に必要の様である。 先日、何時ものベランダの椅子で一服していると、横に植わっているクチナシの葉表に5mm位の丸いものが付いているのが、葉を透かして裏側から見えた。ヒョッとして、と思い葉表を見てみると、案の定、クサカゲロウの幼虫が居た。これも強力なアブラムシの捕食者である クサカゲロウの幼虫の多くは、自分が食べた獲物の残骸や色々なゴミ?等を体の上に背負い込んで歩く。それで丸い影が出来る。尤も、昨年紹介した「クサカゲロウ類の幼虫」の様に、何も身につけない種類もある。アブラムシを捕まえたばかりのクサカゲロウの幼虫.(2007/07/13) 早速手の上に乗せて、ハギの方に移住して貰うことにした。中々手から葉に移らず苦労したが、移ったと思った途端、もうアブラムシを捕らえていた(上の写真)。流石強力な捕食者、すごい早業である。アブラムシを捕食するクサカゲロウの幼虫.上の写真の約1分後、既にアブラムシは萎んでいる(2007/07/13) クサカゲロウ類の幼虫は、アリジゴク(ウスバカゲロウの幼虫)と同じで大きな大顎を持っており、これでガッチリと獲物を掴む。 実は今まで、この大顎は只掴むだけでこれとは別に口吻を差し込んで体液を吸うのだと思っていたのだが、写真を見ると大顎で挟んでいるだけで何もしていない。しかし、アブラムシの体はアッと言う間(1分弱)に萎んでしまった。 調べてみると、この大顎は吸収顎と言うもので、この大顎の内側に細くなった小顎がはまりこんで管になっており、直接この大顎を差し込むだけで体液を吸い取ることが出来るのだそうである。残骸になったアブラムシを大顎から外そうとするクサカゲロウの幼虫(2007/07/13) アブラムシが充分に萎んで空になると、クサカゲロウの幼虫は頭を激しく振り回していた。アリマキの残骸を大顎から外す行動の様に見えたが、中々外れないで苦労している感じであった。 残念ながら、アリマキの残骸を背負い込む行動は確認できなかった。約30分後、周りにいたアブラムシを食べ尽くしたクサカゲロウの幼虫(2007/07/13) 30分程してまた見に行くと、クサカゲロウの幼虫は相変わらず同じ葉の上にいた。しかし、その葉の上にいた数頭のアブラムシは跡形もなく消え失せていた。全部食べられてしまったらしい。 その後このクサカゲロウの幼虫がどうなったか気にしているのだが、生憎の天候で良く分からない。アブラムシをシッカリ食べて、無事成虫になって欲しいものである。
2007.07.15
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クチナシの花が咲くと、必ずやって来る微小な昆虫がいる。余りに小さくて大きさを測るのも容易でないが、今回撮影した画像から計算すると、長さ1.1~1.2mm、幅約0.2mm。肉眼では、体の詳細は全くわからない。 花を切って部屋に生けると、何時の間にか居なくなる。クチナシの花に集る微小な昆虫(2007/06/30) 小さくて細長いから、アザミウマの仲間に違いないと思っていたが、兎に角小さ過ぎてこれまでチャンと観察したことがなかった。写真を撮るにも、1.2mmと言うのは、明らかに等倍マクロの限界を超えている。CCDの横幅が24mmだから、画面の1/20の長さでしかない。もう少し近寄ってみる.アザミウマの1種であることが分かる(2007/06/30) 無理と分かると、天の邪鬼根性がムラムラと沸き上がってきて、挑戦したくなる。その結果が下の写真、何だか顕微鏡写真の様な感じになってしまったが、明らかにアザミウマの1種である。 我ながら綺麗な写真とは言い難い。余り汚い写真は出したくないのだが、100mm等倍マクロの限界はこの程度である。ここに表示したのはピクセル等倍の約80パーセントだから、これ以上はどんなにレンズが良くても無理であろう。アザミウマの拡大写真.体長約1.1mm(2007/06/26) 写真でお分りの通り、チャンと羽が付いていて飛ぶことが出来る。飛んでいるところを見ると、何か直径2mm位の霞の様な球が飛んでいると言った感じ。頼りないことこの上ない。アザミウマの拡大写真.体長約1.2mm(2007/06/26) このアザミウマ、クチナシの害虫として広く知られている様だが、どのサイトでもただ「アザミウマ」と書かれているだけで、種名は書かれていない。小さ過ぎて同定が面倒だからだろうか。 アザミウマは、他の吸汁性昆虫と同様、種々のウィルス病を媒介するので嫌われる。しかし、このクチナシの花に来るアザミウマは、吸汁するだけでその様な心配は特に無い様である。花が萎れると、何処かへ消え去ってしまう。
2007.06.30
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庭に草木を植えると、必ずそれを食べる虫が何処からともなく現れる。虫としては、別段悪いことをしているつもりはなく、ただ「ごはん」を食べているだけなのだが、人には「害虫」として嫌われてしまう。 こういう「害虫」の中にはオオシモフリスズメの幼虫の如く10cmを超える巨大なものもいる一方、アリマキ、グンバイムシ、アザミウマ、キジラミ、コナジラミの様な、肉眼では良く見えない程微小な昆虫も沢山居る。この内、アリマキ(アブラムシ)はよく知られているが、グンバイムシ以下の4種類はよく知らない人の方が多いのではないだろうか。私自身、このWeblogを始めるまで、名前は知っていても実際によく観察したことのない虫達であった。 今日はその内の、コナジラミを紹介する。クチナシに付いたコナジラミの1種.全長1.7mm(2007/05/14) 木を揺すったり、殺虫剤の類を噴霧したりすると、何か埃が舞い上がる様に、白い小さな虫が一斉に飛び立つことがあるのに気付かれている読者は多いと思う。飛翔力が弱いので風に流され易く、虫とは思わない人もいるかも知れない。これがコナジラミの成虫である。 写真は西洋クチナシに付いているもので、ミカンコナジラミの可能性が高い。しかし、その根拠は、クチナシにミカンコナジラミがよく付くこと、成虫の写真が良く似ている(コナジラミの成虫は皆同じ様な形をしている様なので、殆ど根拠にはならない)と言うだけで、同定に必要な情報は全く無いから、此処では単に「コナジラミの1種」としておいた。 体長は1.7mm~1.8mm、小さ過ぎて現在使用している機材の限界を一寸超えている。カチッとした写真を撮るには、等倍以上の接写が出来る機材が必要となる。クチナシに付いたコナジラミの1種(2007/05/14) このコナジラミ、幼虫はカイガラムシのように初齢以外は固着生活を送ると言う。沢山付くと幼虫の出す排泄物が原因で、スス病の発生を見る場合もあるらしい。 しかし、我が家のクチナシにはそれ程沢山は付いていないし、幼虫は小さ過ぎて(一般に直径1mm以下の楕円形、乃至、円形)探しても見つからなかった。 もう5月下旬、そろそろクチナシにオオスカシバの幼虫が付く季節である。オオスカシバの幼虫駆除に使用するアースジェットの巻き添えを食らうのか、コナジラミは毎年夏になれば居なくなってしまう。 だから、我が家では特にコナジラミ対策は講じていない。
2007.05.24
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先日、トベラの葉裏にスカシクロバ(マダラガ科に属す半透明の黒っぽい羽を持つ小さな蛾類、近日中に紹介予定)の様な、全長7mm位の虫がいたので早速写真を撮った。葉裏の虫というのは、中腰で上向き、等倍接写をするには最悪の位置である。撮影時には、専ら焦点を合わせるのに気を取られてしまうが、それでもスカシクロバ類にしては小さ過ぎるし、何となくおかしいと思った。そこで、直ぐにコムピュータに移して確かめてみた。 すると・・・、触角が数珠状で、その1つひとつから放射状い剛毛が数本出ている。こんな蛾は居ない。体付きも蛾ではない。胸部が非常に細長く、翅がその下端に付いている。謎の虫(2007/05/08) それでは一体何か??トビケラは触角が糸状だ。ハエの中には奇妙キテレツな連中が居るが、やはり体付きが違う。また、トビケラもハエも翅脈はかなり複雑で、この虫の様な極めて単純な翅脈を持つものは居ない。 何の目(分類体系の目:Order)に属する虫なのかが分からない。こんなアホな話あるか!! もうすっかり疑心暗鬼になってしまって、再度トビケラ類やガ類、双翅目を調べ直す始末。しかし、数珠状で剛毛の生えた触角を持つ虫は見当たらない。 八方塞がり、すっかり考え込んでしまった。上の写真の部分拡大.数珠状で各「数珠玉」から放射状に剛毛が出ている.剛毛をハッキリさせるためにアンシャープを強くかけてある(2007/05/08) 目が分からないと言うのが何とも情けない。しかし、2~3日経って、ヒョッとすると図鑑に目の検索表もあるのではないかと気付き開いてみると、簡単な素描による検索表があった。ざっと見てゆくと、半翅目同翅亜目(セミ、ヨコバイ、ウンカ、アブラムシ、カイガラムシ等)に似たような触角と頭部胸部を持つ虫の絵があるではないか。横にある楕円形の虫と一緒に描かれている・・・。カイガラムシ?・・・カイガラムシの成虫の雄か!!! カイガラムシの雌成虫は昆虫としては特異で、小さな饅頭みたいな形をしていて一般に木の表皮に固着して動かない。一方、雄成虫は普通の虫で羽もある、と言うことは知っている。しかし、どんな虫なのかは知らない、見たことがない。アブラムシの近縁なのだから、どうせナヨナヨした虫だろうと漠然と思っていただけで、全く想像が付かない。頭の中が真っ白。 早速、Internetで「カイガラムシ 成虫 雄」をキーワードにして調べてみると・・・、いた!! 上の写真ソックリなのが、余り鮮鋭ではないが、幾つかのサイトに掲載されていて、オオワラジカイガラムシの雄成虫とある。 オオワラジカイガラムシなら我が家のアラカシやクリにも結構付いているから、その雄成虫が居て些かもおかしくない、と言うか、居る方が当然と言える。近縁種についての情報は無いが、オオワラジカイガラムシの雄成虫として良いだろう(図鑑の記載によると「触角は10節」とある。写真の数珠玉1個が1節ならば遙かに多く一致しない)。オオワラジカイガラムシの雌成虫.名前の通り草鞋にソックリ.上に触角、左側に脚が1本見える(2007/05/11) それならば、雌成虫の写真もあった方が良いに決まっている、と言うことで、早速クリの木を見に行く。丁度撮り易い位置に1匹居たので、直ちに御披露目の写真を撮った。しかし、余り御披露目に値するほど見映えのする虫ではありませんな。 この虫、カイガラムシの雌成虫のくせに、リッパな脚があってチョコチョコ歩き回る変なカイガラムシである(コナカイガラムシ科やワタフキカイガラムシ科の雌成虫は一般に歩行が得意らしい)。体長9mm程度、雄よりも大きい。 広い生物界には雄雌で大きく形態の異なる生き物が色々居るが、これ位違うのも一寸珍しい。しかし、雌の方は幼体の形態が殆ど変化せずに成熟すると考えれば、大して奇妙ではない。
2007.05.13
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前々回(2006/10/21)に紹介した「シオンの1種」の最初に掲げた写真の左上に小さな変な虫が写っていた。今日はこの変な虫の話である。 最近は眼が悪くなったとはいえ、写真を見て始めて気がついたのではなく、勿論、撮影中に気が付いてはいた。しかし、正体は良く分からなかった。ヒラタアブがよく来ているので、その幼虫かとも思ったが、体節が凸凹しており剛毛も見えるので明らかにヒラタアブの幼虫ではない。それでは、テントウムシの幼虫か? 何分にも体長7mm程度の小さな虫なので、マクロレンズを通して見てみないと、老眼の私には詳細が分からない。ところが、マクロで等倍程度にすると、焦点が合うのは一瞬のみで、ボヤボヤの虫がゆらゆらして見えるだけ。 撮影時には焦点合わせばかりを気にしているせいもあり、コムピュータに移してから漸く検討出来る状態になった。クサカゲロウ類の幼虫.花に覆い被さっていて全体が見えない(2006/10/08) 調べてみると、クサカゲロウ類の幼虫である。特にヤマトクサカゲロウの幼虫によく似ている。だが、何分にもクサカゲロウ類の幼虫に関する文献なんぞ持ち合わせがない。ただ外見が似ているからと言って、そう安易に断定する訳には行かない。クサカゲロウ類の幼虫.尻尾の方(2006/10/08) しかし、クサカゲロウ類は幼虫、成虫共に純粋の肉食性とされている。この幼虫は「シオンの1種」の筒状花に頭を突っ込んで何かをしていた。花の中にアブラムシやハダニなど、餌になる生き物がいるのだろうか? 写真からはそんなものはいない様に見える。だが、小さな虫がいるか居ないは、実体顕微鏡下で花をバラしながら見てみないと分からないだろう。 それとも常識に反して花密を吸っていたのか?頭部先端の両側にある大顎がクサカゲロウ類の幼虫の特徴(2006/10/08) 何れにせよ、こんな花の上にクサカゲロウの幼虫が居るとは思ってもみなかった。このWeblogを始めてから、今まで見慣れていたものでも改めて詳細に見直す機会が多くなり、その結果として教えられることが多々ある。
2006.10.24
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昔はクサカゲロウと言うと、夏の晩、毎日の様に燈火に誘われて網戸に張り付いていた体長15mm位の小さな緑色のカゲロウのことであった。よく網戸の桟に卵、所謂「うどんげの花」、を産んでいった。 しかし、最近はこの小型のクサカゲロウは全く姿を潜め、写真の大型のクサカゲロウしか見ない。体長3cm位ある。この大きな種類は昔は見なかった様な気もするが、カゲロウなどに特に興味もなかったので余り定かではない。クチナシの葉にとまるクサカゲロウの1種(2006/10/08) クサカゲロウ類は保育社の図鑑に1種しか載っていないし、大して種類もいないのだろうと高を括っていたら大間違いで、日本に50種近くおり、普通種だけでも10種は居るそうだ。クサカゲロウの文献なぞ、当然持っていないから、このクサカゲロウは「クサカゲロウの1種」とするしかない。クサカゲロウの1種.青い幻色を生じている(2006/10/08) このクサカゲロウかなり屡々見かける。しかし、写真を撮ろうとすると、直ぐに葉裏に隠れてしまって写真が中々撮れない。今回はどういう訳か、葉表に暫くとまったままだったので、何とか写真を撮ることが出来た。葉裏に隠れたクサカゲロウ(2006/10/08) しかし、ストロボの光に驚いたのか、やはり葉裏に逃げ込んだ。しかし、頭隠して尻隠さず。クサカゲロウの智恵もこの程度の様ですな。
2006.10.18
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秋が近づくと必ずアカトンボがやって来る。狭い庭でも1~2匹は、雨でも降らない限り、必ず何処かにとまっている。 しかし、トンボというのは先の尖った高いところにとまるのが好きだから、何時も見上げる格好になって逆光となり、写真が撮り難い。 目の高さくらいの所にとまっても、真っ正面からでは大概逃げてしまうし、横から撮って頭に焦点を合わせると、被写界深度に入り切らなくて羽はボケてしまう。しかも、トンボはとまっているときには羽を少し下げる習性があるから、胸の辺りは羽に隠れて見えず、全くポイントを欠いた写真になってしまう。 低いところにとまるのを待っていたが、ついにしびれを切らして無理矢理下からストロボで撮ることにした。ボケの枝先にとまるアキアカネ.日中シンクロ(2006/09/25) 尾っぽは被写界深度を外れてボケてしまったが、眼と胸の部分がカチッと撮れているので何とか使い物になるだろう。 しかし、どうしても背側から撮りたい。そこで椅子を持って来て踏み台にし、トンボと同じ高さにして撮ろうとしたが、こちらが椅子に乗るとトンボは警戒して必ず体を回転させ横を向いてしまう。 そこで両側の羽を撮るのは諦め、片側の羽だけで我慢することにした。少し待ったら、トンボが60度位の斜めになったので、すかさずシャッターを押した。ボケの枝先にとまるアキアカネ(2006/09/27) この夏の終わりからやって来るアカトンボ、実は今まで一度もナツアカネなのかアキアカネなのか調べたことが無かった。写真を撮ってみると、明らかにアキアカネである。 トンボは蚊を食べると言うが、我が家の蚊はヤブカ(ヒトスジシマカ、その内紹介する予定)ばかり。ヤブカは低いところにいるのに、トンボは何時も高いところしか飛んでいない。 どうもこのトンボ君達、我が家のヤブカ退治には余り貢献していない様である。
2006.10.08
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先日紹介したクロウリハムシと並んで、昔から我が家にいてその数が多くも少なくもならないのがオオツマグロヨコバイ。此奴も植物の汁を吸う「害虫」であるが、特に酷い悪さは認められていないので居住を許している。オオツマグロヨコバイ(2006/09/16) 上の写真の様に拡大してみると、分類学通りセミに近い種類であることが良く分かる。今にも逃げようとしているオオツマグロヨコバイ(2006/09/21) 普通はかなり敏感な虫で、近づくと葉や枝の裏にサッと隠れたり、或いは、羽で飛んで逃げる。上の写真は今将に逃げようとしているところ。カプラォの茎にとまるオオツマグロヨコバイ(2006/09/23) しかし、このオオツマグロヨコバイはまるで死んだように動かなかった。口吻を刺している様にも見える。汁を吸っている最中か? とまっている植物はカプラォと呼ばれるバジルの一種(Ocimum tenuiflorum =O.sanctum、カミメボウキ、ホーリーバジル)で、タイ料理ではよく使用される。日本でこれを植えている人は余り居ないと思うので、そのうち機会があれば紹介しよう。
2006.10.02
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