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2008.11.30
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カテゴリ: 植物(草本)




 北向きの夕日しか当たらない場所に育っているせいか、徒長気味でおよそ頼りない代物である。茎は細く、自分で立っていられない。サツキの上を這う様に拡がっており、そのサツキの縁を越えた部分は垂れ下がっている。葉は小さく薄くペラペラ、イヌホオズキの仲間は茎が黒ずむことがあるが、茎は緑色で黒化した部分は見られない。果実は熟すと紫を帯びた黒色となり、直径は約6mm、多くは一つの果穂に2~3個の果実が着いている。

 一見してアメリカイヌホオズキと思われるが、このイヌホオズキの仲間、先日のタネツケバナと同じく、類似種が色々あって紛らわしい。キチンと種類を見極めなければならない。


アメリカイヌホオズキ1
アメリカイヌホオズキ.サツキの上を這っている

茎も葉もイヌホオズキより細く薄く頼りない

(2008/11/29)



 どんな類似種があるかというと、只のイヌホオズキ、アメリカイヌホオズキ、テリミノイヌホオズキ、カンザシイヌホオズキ、オオイヌホオズキ、ムラサキイヌホオズキ、アカミノイヌホオズキ、ケイヌホオズキ等がある。

 多くは帰化種であるが、イヌホオズキやテリミノイヌホオズキなどは史前帰化種、或いは、在来種の可能性もあるらしい。

アメリカイヌホオズキ2
今は花は殆ど無く実ばかり

(2008/11/29)



 この内、ムラサキイヌホオズキ、アカミノイヌホオズキについては情報不足で、どの様な形態的特徴を持つのか良く分からない。しかし、ムラサキ(以下「イヌホオズキ」を略すこともある)は植物全体に紫色が強い様で、アカミノは赤い実が着くのだろうから、今日の写真のイヌホオズキには該当しないと思われる。また、ケイヌホオズキは全草に腺毛が多くてベタ付くとのことなので、これは明らかに異なる。

アメリカイヌホオズキ4
唯一残っていた花穂

(2008/11/29)



 カンザシは「簪」で花序が上向き、また、テリミノの果実は名の通り光沢が強く、萼片が著しく反り返るので、この2種も候補から脱落と相成る。後は、イヌホオズキ、アメリカイヌホオズキ、オオイヌホオズキの区別がつけばよい。


アメリカイヌホオズキ5
花の拡大.最後の花だが、既に少し傷んでいる

(2008/11/29)



イヌホオズキ は少し前に別のWeblogに掲載したが、果柄は下の写真の様に果梗の先端から放射状に出るのではなく、果梗の先にほぼ左右交互に並ぶ感じで付く。また、花冠は常に白で青味や紫を帯びることはないとのこと。従って、イヌホオズキも落第。残るはアメリカとオオの2種である。

アメリカイヌホオズキ3
果柄は果軸のほぼ1個所から散形に出る

(2008/11/29)





 両者の相違点を挙げて見よう。先ず、一つの花序に着く花(果実)の数が異なる。アメリカでは2~4で稀に5、オオでは普通は5~8とずっと多い。また、花柄の付き方も少し違い、オオでは先端の1個所から数本出るが、その他に基部寄りのやや離れた個所からもう1本出ることが多い(一般的?)らしい。


アメリカイヌホオズキ6
アメリカイヌホオズキの果実.多少の艶がある

萼(ヘタ)は僅かに反り返る

(2008/11/29)



 写真の個体全体を調べてみると、果実の数は1~4、5個付いている果穂は無かった。また、果柄はほぼ1個所から散形に出ており、離れてもう1本出ている果穂は見当たらなかった。

 ・・・これで、この植物はアメリカイヌホオズキに落ちた、と言えるだろう。しかし、何となく不安が残る。実際の個体変異の幅はもっと広くはないのか。自然交雑種は生じないのか・・・。


 対象がややこしいにも拘わらず、キチンとした文献で調べていないのが難点である。この様な帰化植物も全部含めた、大井次三郎氏の「日本植物誌」の様なシッカリした植物誌を出版して欲しい、と思うのは私だけではないであろう。







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最終更新日  2008.11.30 09:36:37
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