全35件 (35件中 1-35件目)
1
楽天ブログがメールや足跡機能を削除してからすっかりやる気を無くし、また、最近はWeblogに割く時間が殆ど無かった為、2月の更新は零回、3月もそろそろ4月を迎える今日が初回である。尤も、昨年の記録を見ると2月は2回、3月も3回しか更新していないから、それ程異常な状態、と云う訳ではない。全体として、此処2年程は更新頻度が低下しているだけのことであろう。 2ヶ月と10日ぶりの更新は、虫ではなく草本植物のクリスマスローズの実生。これも記録を調べると、草本植物を紹介したのは2010年4月24日の「トキワハゼ」が最後だから、草本は約2年ぶり登場である。 昨年の3月6日にクリスマスローズに吸蜜に来た「セイヨウミツバチ」を掲載した。クリスマスローズも基本的に虫媒花なのか、昨年は例年になく沢山の種子が着いた(その種子が地面に落ちている写真も撮ろうかと思ったのだが、結局撮らなかった)。 その結果が、今日紹介するスザマジイ数の実生である。昨年のセイヨウミツバチの訪花により、異常な数の実生が出現した(写真クリックで拡大表示)(2012/03/14) クリスマスローズは、我が家の庭の「優占種」で何十株もあり、その根元付近は、程度の差はあるものの、総て写真に近い密度で実生が生じている。恐らく、全部で数千株はあるであろう。花が地面に倒れた状態で種子がこぼれ落ちたらしい(写真クリックで拡大表示)(2012/03/14) 余りに数が多いので、Weblogのネタにしたのだが、去年以外にセイヨウミツバチがクリスマスローズに訪花したことはないし、今年も全く現れていないので、これは今後とも記録的なものになると思われる。2つのプランターの間に生じた実生.プランターの下にも、モヤシ状の実生が密生していた毒草なので、そのモヤシは食えない(写真クリックで拡大表示)(2012/03/14) これだけ多数の実生を生じても、恐らく、残るのは僅か数株だけであろう。プランターにでも植え換えてやれば、数百株は残ると思うが、多数のプランターを置く場所はないし、また、これ以上クリスマスローズを増やすつもりもない。 クリスマスローズはキンポウゲ科の毒草であり、これを食草とする昆虫は寡聞にして知らない。また、クリスマスローズを更に増やせば、その面積分だけ我が家の植性の多様性が失われ、訪れる昆虫の種類もそれに比例して分減ってしまうであろう(葉の上は、日向ぼっこをするには良い場所らしいが・・・)。回りの大きなクリスマスローズも一緒に撮影赤紫色のには濃い赤紫の花が着く(写真クリックで拡大表示)(2012/03/14) 更に、どうもクリスマスローズには負のアレロパシー(negative allelopathy:他の植物の生育を阻害する)がある様に感じられる。クリスマスローズの密生している所には、余り雑草が生えないのである。だから、クリスマスローズを増やせば、その専有面積以上に多様性が失われることになる。 ・・・と云う訳で、読者諸氏の中には「勿体ない」と思われる御仁が居られるかも知れないが、これらの実生の99.9%は、やがて枯れてしまう運命にあるのである。
2012.03.25
コメント(4)
今日は久しぶりに庭の雑草を紹介することにした。調べてみると、このWeblogで草本植物を最後に取り上げたのは2008年11月末のアメリカイヌホオズキで、約1年半前のことである。草本には随分無沙汰をしてしまった。 今日紹介するのはトキワハゼ(Mazus pumilus=M. japonicus)、植木鉢の中に寄寓していた比較的小さな個体である。植木鉢の中に生えていたトキワハゼ左右に見えるのはツボスミレの花(写真クリックで拡大表示)(2010/04/19) トキワハゼはゴマノハグサ科(Scrophulariaceae)に属し、この辺りの都会の雑草に多い帰化植物ではなく、在来種である。 最近は温暖化とやらで、子供の頃は見なかった雑草が生えているが、このトキワハゼは昔から我が家の庭に生えていた。花に結構風情があるので、時として抜かないで残しておいた様な気もする。トキワハゼの花.斜めから見ると良く形が分かる(写真クリックで拡大表示)(2010/04/19) 花は、如何にもゴマノハグサ科でござい、と云う形をしている。尤も、この様なシソ科に近い2唇形ではなく、4裂した花冠を持つオオイヌノフグリもゴマノハグサ科だから、ややこしい。正面やや上からみたトキワハゼの花.幅は約7mm(写真クリックで拡大表示)(2010/04/19) 花を良く見ると、下側に位置する花冠の内側には、一見花糸の様な小さな突起が沢山ある。しかし、図鑑に拠れば、ゴマノハグサ科の雄蕊は「4本で2本が長いかまたは2本で、花冠の筒に裂片と互生してつく」とあるので、これは単なる飾り?らしい。花の中を覗いてみた.奥に見えるのは柱頭で雄蕊はその裏にあるらしい(写真クリックで拡大表示)(2010/04/19) 上の写真で一番奥に見えるのは雌蕊(柱頭)であろう。これでは雄蕊が何処にあるのか良く分からないので、今、庭に出て花を裂いてみた。雄蕊は4本で何れも花の奥の方にあった。 上の写真を良く見ると、柱頭の上部に胡麻塩模様の一寸違った感じの部分がある。どうもこれが葯の様で、その殆どは柱頭の後に隠れているらしい。柱頭の左右に見える管状の構造と思しきものは、恐らく花糸であろう。真横から見たトキワハゼの花.結構平たい(写真クリックで拡大表示)(2010/04/19) トキワハゼの花は幅約7mm、花冠の長さは約1cmとかなり小さい。同属のムラサキゴケ(最初「紫後家」と変換されてしまった)も似た様な花を着けるが、幅は1cm以上ありずっと大きい感じがする。また、後者は走出枝を出して匍匐するので、植物全体の見た感じも随分違う。真上からみたトキワハゼの花.萼の付け根まで約10mm(写真クリックで拡大表示)(2010/04/19) 今日、飼育していたチャタテムシの幼虫が羽化した。幸いなことに、極めて特徴的な種なので、一目で種が判明した。次回からは、チャタテムシの話が続くかも知れない。
2010.04.24
コメント(6)
ここ数日の間に何度か雨が降り、その度に木々の葉が落ちて、我が家の庭もかなり冬の様相を呈してきた。植物ネタも兪々乏しくなりつつあるが、まだ花を着けた雑草が1本だけある。道路に面した外庭に生えているイヌホオズキの1種である。 北向きの夕日しか当たらない場所に育っているせいか、徒長気味でおよそ頼りない代物である。茎は細く、自分で立っていられない。サツキの上を這う様に拡がっており、そのサツキの縁を越えた部分は垂れ下がっている。葉は小さく薄くペラペラ、イヌホオズキの仲間は茎が黒ずむことがあるが、茎は緑色で黒化した部分は見られない。果実は熟すと紫を帯びた黒色となり、直径は約6mm、多くは一つの果穂に2~3個の果実が着いている。 一見してアメリカイヌホオズキと思われるが、このイヌホオズキの仲間、先日のタネツケバナと同じく、類似種が色々あって紛らわしい。キチンと種類を見極めなければならない。アメリカイヌホオズキ.サツキの上を這っている茎も葉もイヌホオズキより細く薄く頼りない(2008/11/29) どんな類似種があるかというと、只のイヌホオズキ、アメリカイヌホオズキ、テリミノイヌホオズキ、カンザシイヌホオズキ、オオイヌホオズキ、ムラサキイヌホオズキ、アカミノイヌホオズキ、ケイヌホオズキ等がある。 多くは帰化種であるが、イヌホオズキやテリミノイヌホオズキなどは史前帰化種、或いは、在来種の可能性もあるらしい。今は花は殆ど無く実ばかり(2008/11/29) この内、ムラサキイヌホオズキ、アカミノイヌホオズキについては情報不足で、どの様な形態的特徴を持つのか良く分からない。しかし、ムラサキ(以下「イヌホオズキ」を略すこともある)は植物全体に紫色が強い様で、アカミノは赤い実が着くのだろうから、今日の写真のイヌホオズキには該当しないと思われる。また、ケイヌホオズキは全草に腺毛が多くてベタ付くとのことなので、これは明らかに異なる。唯一残っていた花穂(2008/11/29) カンザシは「簪」で花序が上向き、また、テリミノの果実は名の通り光沢が強く、萼片が著しく反り返るので、この2種も候補から脱落と相成る。後は、イヌホオズキ、アメリカイヌホオズキ、オオイヌホオズキの区別がつけばよい。花の拡大.最後の花だが、既に少し傷んでいる(2008/11/29) イヌホオズキは少し前に別のWeblogに掲載したが、果柄は下の写真の様に果梗の先端から放射状に出るのではなく、果梗の先にほぼ左右交互に並ぶ感じで付く。また、花冠は常に白で青味や紫を帯びることはないとのこと。従って、イヌホオズキも落第。残るはアメリカとオオの2種である。果柄は果軸のほぼ1個所から散形に出る(2008/11/29) アメリカは花冠が写真の様に青~紫色を帯びることが多い。しかし、オオも花冠が時に青~紫色になるので紛らわしく、しかも、植物体全体の雰囲気がイヌホオズキに似たものや、アメリカに似たものなど色々あるそうで、かなりややこしい種類の様である。 両者の相違点を挙げて見よう。先ず、一つの花序に着く花(果実)の数が異なる。アメリカでは2~4で稀に5、オオでは普通は5~8とずっと多い。また、花柄の付き方も少し違い、オオでは先端の1個所から数本出るが、その他に基部寄りのやや離れた個所からもう1本出ることが多い(一般的?)らしい。アメリカイヌホオズキの果実.多少の艶がある萼(ヘタ)は僅かに反り返る(2008/11/29) 写真の個体全体を調べてみると、果実の数は1~4、5個付いている果穂は無かった。また、果柄はほぼ1個所から散形に出ており、離れてもう1本出ている果穂は見当たらなかった。 ・・・これで、この植物はアメリカイヌホオズキに落ちた、と言えるだろう。しかし、何となく不安が残る。実際の個体変異の幅はもっと広くはないのか。自然交雑種は生じないのか・・・。 対象がややこしいにも拘わらず、キチンとした文献で調べていないのが難点である。この様な帰化植物も全部含めた、大井次三郎氏の「日本植物誌」の様なシッカリした植物誌を出版して欲しい、と思うのは私だけではないであろう。
2008.11.30
コメント(10)
とうとう4日も更新をサボってしまった。虫ネタはあるのだが、何故かまた植物ネタを出したい。そこで植木鉢に寄寓している雑草を撮ったところ、その種類がどうもハッキリせず、判断に時間が掛かってしまったのである。 ・・・と言っても、最終的に種が判明した訳ではない。結局は情報不足で「アキノタネツケバナ?」と「?」を付けざるを得なかった。アキノタネツケバナ?.周りの草を取ったら倒れてしまった(2008/11/23) タネツケバナと言うのはよく似た種類の多いややこしいグループで、日本全土には10数種あるらしい。しかし、住宅地に生える雑草としては、タネツケバナ、ミチタネツケバナ、コタネツケバナの3種位しか手元の図鑑には載っていない。 ところが、この写真のタネツケバナはその何れとも一致しない。先ず、基本的にヘナヘナな植物で、根系は貧弱、どんなに繁茂してもごく簡単に抜くことが出来る。我が家の雑草の中では、抜き易さにおいて最優等生である。 上の写真は、植物体が見易い様に周囲りのカタバミの実生などを取り除いてから撮ったのだが、自分では殆ど自立出来ないほど頼りない植物である。タネツケバナやミチタネツケバナの様なロゼット状なんぞには決してならない。葉と花序(2008/11/13) 茎や葉は無毛である。この点で、タネツケバナとは明らかに異なる。また、葉の形も違う。「小葉」(複葉ではないので本当は小葉ではない)の殆どは、粗くてかなり深い鋸歯を持つ丸い形をしており、細い「小葉」は殆ど見られない。また、低出葉は普通の葉の先端部だけの様な形をしている。上に挙げた3種のタネツケバナの場合、先端以外の「小葉」の多くは細長いのとは大いに異なる。右が一番開いた状態、左は花後で伸長中の花柱(2008/11/13) 花は極く小さい。時期的に寒くて良く開かないのかも知れないが、一番開いたときで上の写真の様な状態。花弁の長さは2mm程度、もし花が完全に開いても花弁の上部しか開かないので、花の直径は3mmに達しない筈である。タネツケバナの花弁は3~4mm、ミチタネツケバナは2~3mm、コタネツケバナは2mmとのことなので、この花はコタネツケバナに一番近い。 しかし、花期は何れも春である。今咲いているのは狂咲きなのだろうか?別の花穂.この程度の開き方が普通(2008/11/13) どうも総合的にはコタネツケバナが一番近いのだが、やはり植物体の外観、葉の形や開花時期など、環境で変化しそうな形質で種を見極めようとするのは無理な様である。そこで、植物分類学の伝統的な基準(最近は違うやり方が色々ある)に従って、花、実や種子の詳細を見てみることにした。 アブラナ科はかつて十字花科と呼ばれた位で、花弁は4枚と決まっている。しかし、雄蕊の数は種によって異なり、タネツケバナとコタネツケバナは6本、ミチタネツケバナは4本が標準とのこと。写真では花が開いていないので、雄蕊の数は数えられない。其処で、花を解剖してみることにした。花の拡大.中々開かない.この状態で直径1.7mm(2008/11/23) 本来ならば、実体顕微鏡下でこの種の作業専用の細いピンセット(1本数千円~1万円以上する)で行う作業だが、顕微鏡は無いし、ピンセットは2回の引っ越し作業の間に行方不明になってしまった。仕方なく、細かい作業をするとき用の「+3」の老眼鏡を掛け、普通のピンセット2本を両手に持って花を分解した。 幾つかの花をバラしてみたが、何れも雄蕊は6本、これでミチタネツケバナは「失格」と相成った。アキノタネツケバナ?の果実とそれを裂いたもの(2008/11/23) 果実の形は何れも似たようなものなので、次は種子の形状である。ミチタネツケバナの種子は長さ約0.8mm、やや細長く白っぽい翼(ヒレ)がある。タネツケバナのは長さ約1mm、かなり丸い厚みのある種子で翼はない。この2種の種子は、全農教の「日本帰化植物写真図鑑」に写真が載っている。また、コタネツケバナの種子は長さ0.7~0.8mm、やや四角っぽくやはり白い翼がある。これは保育社の「原色日本帰化植物図鑑」に図が出ている。 それでは、このタネツケバナの種子はどうであろうか。種子を超接写したのが下の写真である。種子はかなり細長く、長さ1.3mm弱、厚み無く縦に細かい皺が沢山あり、周囲には暗色の翼がある。何れとも全然一致しないではないか!!アキノタネツケバナ?の種子.縦に細かい襞があり、周囲には暗色の翼がある.超接写した写真の部分拡大なので、余裕があり表面の皺は鮮鋭化処理に因るartifactではない(2008/11/23) 其処で、もう一度Internetでタネツケバナを調べてみることにした。すると、アキノタネツケバナ(Cardamine autumnalis)と言う種があることが分かった。秀和システムの「雑草や野草がよーくわかる本」に載っているとのこと。情報は不足しているが、茎は有毛乃至無毛、葉の形はこの写真にソックリ、花期は秋、雄蕊は6本とあるので正にピッタリである。更に、葉腋の枝基部周囲から長い根が多数出るのが大きな特徴らしいので、庭に出て確認したところ、葉腋付近から根が出ている個体が少なからずあった。 しかし、どうもこのタネツケバナと言うのは、環境で外部形態が相当変化するグループらしい。キチンとした文献で種子の形を確認するまでは、アキノタネツケバナと断定するのは止めておくことにする。
2008.11.26
コメント(8)
どうも最近は何故か植物ネタを掲載したくなる。丁度、ベランダの椅子の横にスミレ(種としてのスミレ:Viola mandshurica)の閉鎖花が開いているので、これをネタとすることにした。 今年は、秋になってからツマグロヒョウモンが余り姿を見せない。昨年は我が家のスミレの彼方此方に越冬幼虫がいたのだが、今年はサッパリである。御蔭でスミレにはシッカリ葉が残っており、閉鎖花も開放花(普通の花)も沢山着いている。スミレ(Viola mandshurica)の開放花(左)と閉鎖花(右)(2008/11/17) 実を言うと、閉鎖花の時期はもう過ぎていて、今は狂咲きの開放花の方がずっと多い。しかし、この開放花、キチンと開かないので観賞には堪えない。何とも中途半端な代物である。上の閉鎖花を拡大(2008/11/17) 閉鎖花と言うのは、花を開かず、と言うか、花弁が無く、開く前に自家受粉で受精して、開いたときには成熟した種子だけが出て来る「花」である。始めは、上の写真の様に下を向いているが、やがて上を向き、果実は3つに開裂する(下)。開いた閉鎖花.種子が詰まっている貧弱な種子は縦に皺が寄っている(2008/11/17) 上を向いたときには、成熟した種子はもう休眠に入っているのが普通である。休眠に入った種子は、播いても一定期間の低温を経ないと発芽しない。しかし、上を向く前のまだ白っぽい種子はまだ休眠に入っておらず、これを播くと、直ぐに発芽する。今はもう秋なので意味はないが、スミレを増やすときには、この白い種子を使うと、年内に充分成長し、翌年にはシッカリ花を咲かせることが出来る。別の閉鎖花(2008/11/17) 個々の種子はどの様な顔をしているのか、超接写システムで撮影してみた(下)。種子の長さは約1.5mm、直径は1.2mm前後である。種子の上側にヘソの様なものが見える。一体何であろうか?スミレの種子.種子の上部にヘソの様なものが見える(2008/11/17) こう言う構造を見ると、これは種子に栄養を供給した組織(胎座)が付着していた跡ではないかと思ってしまう。しかし、このヘソは果実の中心を向いている。閉鎖花が開いたときには、果実の中心には何もない。スミレの種子に栄養を供給する胎座は何処にあるのであろうか。1、2番目の写真に見える閉鎖花を分解したところ(2008/11/17) そこで、まだ若い閉鎖花を裂いて中を見てみることにした。何と、残っている若い閉鎖花は最初の2枚の写真に写っている閉鎖花、ただ1個だけであった。これを裂いて中を見たのが上の写真である。 果皮の内側に、何やらペラペラしたものが沢山付いている。恐らく、これが栄養を供給する組織(胎座)なのであろう。また、左下の種子には、何か半透明の組織がくっ付いているのが見える。これが剥がれたのが、そのペラペラした物と思われる。そこで、右側の2個の種子を除去して、反対側から撮影してみた。上の写真の右側2個の種子を除去して反対側から撮影(2008/11/17) この半透明の組織は、確かに種子にピッタリとくっ付いている。これが栄養を供給する組織(胎座)であるのは間違いないであろう。種子の無いところにあるペラペラした物の形を見ると、恐らく、写真では見えない裏側にも、この半透明の組織がくっ付いているものと思われる。 しかし、そうだとすると、種子の上側にあるヘソのような構造は一体何なのであろうか? 本当は、開放花にくっ付いた種子の写真だけを掲載して終わりにするつもりであった。しかし、何時もそうだが、細かい構造を見ると何やら疑問が湧いてきて、更に何かをせねばならなくなる。その何かをすると、また更に疑問が湧いて来て・・・となり、結局のところ???で終わるしかないことと相成る。
2008.11.17
コメント(14)
今日は赤紫色の花が咲く北米原産シオンの1種を紹介する。世間様ではこれを「友禅菊」と呼んでいるらしい。 しかし、「友禅菊」などと京を思わせる如何にも日本的な名前を付けるとは、半分詐欺の様なものである。ソモソモ雑草に毛の生えた様な植物なのだから、そんな名前は使わず、帰化植物並に「北米原産シオンの1種」としたいところだが、それでは白花の方と区別が付かなくなって些か困る。そこで表題を「北米原産シオンの1種(紫花)」とした。北米原産シオンの1種(紫花).巷間では友禅菊と呼んでいるらしい(2008/10/26) この「紫花」、やはり雑草に近いと見えて虫集めに関しては甚だ成績が宜しい。セイタカアワダチソウや「白花」に殆ど引けを取らない位に虫が集まる。一方、日本の栽培種の菊は「集虫度」がかなり低い。日本の栽培種の菊は種子では繁殖させないから、「集虫度」は淘汰の網に引っ掛からず、その結果として自然に低下したのであろう。花が開く前の舌状花は色が濃いが、開くとその内側は色が薄くなり、暫く経つとまた濃くなる(2008/10/25) どんな虫が来るかと言うと、先日紹介したハラナガツチバチ類、ハナバチ類、ハナアブ類、ツマグロキンバエやその他のハエ類、蝶や蛾類、更に何故か、ヒトスジシマカ(特に雄)がやって来る。「紫花」にやって来たホソヒラタアブ(2008/10/25) 先日紹介したブドウトリバもこの花がお気に入りの様で、一昨日はこの「紫花」と隣にあるセイタカアワダチソウの回りに5頭位が飛び回っていた。吸蜜するブドウトリバ(2008/10/25) こう言うキク科の花に虫がやってくるのは、殆ど花に陽が射している間だけである。しかし、陽が射す前にやって来る虫もいる。ヒラタアブ類とツマグロキンバエは出勤が早い。ハチ類は、最近は朝晩かなり寒いせいか、陽が射して暖かくならないとやって来ない。或いは、陽が射すと花の匂いが発散し、それにつられて虫達がやって来るのだろうか。ヒトスジシマカもやって来る(2008/10/26) 虫が沢山集まっていれば、当然捕食者もやって来る。ハラビロカマキリの「カマちゃん」はすっかりこの場所が気に入ったらしく、この1週間ばかりず~と御逗留である。その間に、分かっているだけでキンケハナラガツチバチの雄雌各1、ハナバチ類1、アシブトハナアブらしきアブ1,ツマグロヒョウモン雄1を食べている。ハラナガツチバチの様な固い虫は食べるのに時間が掛かるが、普通の虫は直ぐに食べ終わってしまうから、実際はこの2~3倍は食べているであろう。お腹が一杯になると?、目立たぬよう少し下がって下向きのままジッとしている。獲物を待ちかまえるハラビロカマキリの「カマちゃん」(2008/10/26) この「紫花」、虫集めには絶好だが、一つだけ気に食わないことがある。花がやや赤っぽいのである。欧米から入った、或いは、逆輸入された青い花は、必ず少し赤味がさしている。キク類然り、テッセン(クレマチス)然り・・・。茶人であった祖母の薫陶を受けたものとしては、何故か知らぬが、これが何とも下品に感じられる。この花色では、姿がどんなに野菊風でも、祖母の目には叶わぬであろうと思う。 しかし、この花には今まで我が家では見たことのないハナアブもやって来たし、其処に集まる小型のアブやハエを狙う狩り蜂も出現した。御蔭で、これから何回かは、新顔の虫を紹介することが出来る。「紫花」様々である。
2008.10.31
コメント(10)
秋の庭と言うのは、本来風情のあるものなのだが、我が家の庭は、今かなり殺風景である。秋咲く花が少ないのである。キク科の花が少々ある他は、ホトトギスが打ち捨てられた様に咲いているだけ。 このホトトギス、親から家を継いだときには、庭中に蔓延っており、徹底して引っこ抜いて定住地を1平米程の範囲に落ち着かせた。ところが、どうもこの場所はネキリムシが跋扈するに適した環境にあるらしく、春先は成長がよいのだが、段々と下降線を辿る様になり、酷い年には殆ど花が着かないこともある。今年はどうかと言うと、まァ、平年並みに花が着いた。ホトトギスとタイワンホトトギスの交雑種(多分)右の花は咲き始めで3つに分かれた花柱が斜上する左は少し時間が経っており花柱の先が垂れている(2008/10/19) 例によって掲載する前に、これが本当のホトトギスか否か、一応図鑑で確認してみた。すると・・・、図鑑の記載とは一致しない所がある。図鑑には、花は葉腋から2~3個束生するとあるが、上の写真では束生していない。この部分は茎の先端部で、下の方を見ると、確かに束生している。しかし、図鑑の絵では先端に着いている花も束生である。 調べてみると、他にタイワンホトトギスと言う種類があり、これは散房花序が頂生する。しかし、下位の葉から腋生する花は殆ど無い。我が家のホトトギスには腋生の花が沢山着いているから、タイワンホトトギスでもないことになる。上から見た「ホトトギス」の花.花弁6、下向きの葯6花柱の先端は3つに分かれ、その先は2裂する(2008/10/18) これはどうやら、在来種のホトトギスとタイワンホトトギスとの交雑種らしい。今、庭で咲いている「ホトトギス」は昔からあったものではなく、改築後に植えたものである。今園芸店で売られている「ホトトギス」の多くは、タイワンホトトギスとホトトギスの交雑種だと言うから、まず間違いないであろう。花柱先端の拡大.一見蜜の様な透明な突起が沢山ある(2008/10/18) この花、ユリ科だが、よく見ると随分変な花である。6本の雄蕊と雌蕊が一体になって花の中央に突出し、雄蕊は下を向いて開裂し、雌蕊の先端はその上で3つに分かれ、更にその先が2裂する。 その雌蕊が3つに開いている部分に、透明で黄色を帯びが突起が沢山着いている。この突起、初めは、色と言い屈折率と言い花蜜かと思った位で、触ってみたり舐めても見たが、ベタ付きもせず味もなく、只の透明な突起であった。花柱先端にある突起.これだけ拡大してもまるで蜜の様(2008/10/19) 蜜線があるのは、花柱の付け根である。こんなところに蜜線がある筈はない。それが証拠に、ホシホウジャクはチャンと花柱の付け根に口吻を向けている(下の写真)。「ホトトギス」で吸蜜するホシホウジャク.口吻は花柱の付け根に向いている.6年前にコンパクトデジタルカメラで撮った写真(2002/10/22) この構造、一体何の為にあるのだろうか。花蜜風に見せて虫を引き寄せる為か、それとも・・・???、No idea!!。虫ばかりでなく、「植物の天地?も複雑怪奇」と言って逃げることにする。
2008.10.25
コメント(10)
今日は我が家の雑草を紹介する。キツネノマゴ科のキツネノマゴ、高さ20cm程度の、どう見てもパッとしない草である。 実は、ダンドボロギクと言う背より高い雑草の花を経時的に撮っていたのだが、茎が非常にひ弱で一寸の強雨で全部倒れてしまった。代わりの雑草に適当なものがないので、仕方なく、このキツネノマゴを掲載することにしたのである。キツネノマゴ.何とも冴えない雑草ではある(2008/10/10) 御覧の通り、冴えない草である。9月頃であればもう少し花が着いていたと思うが、まァ、それでも精々花穂当たり3個着けば良い方で、今は平均1個程度。花自体は後で見る様に悪くはないが、小さいし、数が余りに少な過ぎる。キツネノマゴの花穂.同時に咲く花は多くても3つ程度、今は1つ(2008/10/10) 子供の頃は祖母の命令で庭の草取りをさせられていた。だから、庭にどういう雑草が生えるかは、たとえ名前は知らなくても、姿はよく知っている。しかし、このキツネノマゴ、昔見た記憶がない。そこで、これは最近入って来た帰化種だと思っていた。しかも、花穂はシソの穂に似ているし、葉は対生で茎は4角、てっきりシソ科と信じ込んでいた。 しかし、帰化植物図鑑のシソ科を調べてみると該当する種は無い。その他の科も当たってみたがやはり無い。当たり前である。 そこで普通の植物図鑑を引っ張り出す。しかし、日本産のシソ科の中にも見当たらない。仕方なくその周辺を探して、やっと見つかった。何と、キツネノマゴであった。キツネノマゴ科もキツネノマゴも、名前はよく知っているのに、実物を知らなかったのである。花を拡大.幅は約4.5mmと小さい(2008/10/10) キツネノマゴ科は、図鑑には5属7種しか載っていないが、解説によると世界に約240属2200種(Wikipediaに拠れば約250属2500種)、主に熱帯に分布するとのこと。昔見た記憶がないのに、今方々で眼にするのは、ヤブミョウガと同じく、温暖化による北上と思われる。 写真を見れば分かる通り、外見的にはシソ科やゴマノハグサ科に似た植物である。図鑑に拠れば、「茎が4角で花が唇形で外見はシソ科に似ているが、子房が深く4つに分かれていないので大いにちがう」とある。こちとらは、こんな小さな花をバラして子房の形を見たりはしないから、間違えるのも無理はない。上の花を出来るだけ下側から撮ったもの(2008/10/10) 図鑑に拠ると、キツネノマゴ科の雄蕊は4本ないし2本で、花筒にくっ付いているとのこと。ゴマノハグサ科やシソ科も同様である。このキツネノマゴでは2本で、写真で花の上部に見えるのがそれであろう。横から見た図(2008/10/10) 別の花の上部をピクセル等倍まで拡大したものを下に示した。これは、まだ咲き始めの花らしい。丸くて黄色っぽいのが葯であることは明らかである。しかし、その他はどうなっているのか、まるで分からない。別の花を使って花の上部を拡大.ピクセル等倍(2008/10/14) 図鑑には「葯は2室で1室はほぼそれと同長の距がある」とも書いてある。真ん中の2つに分かれた部分が距で、真ん中に見える白い半透明のが雌蕊なのか、それとも花柱の先端が2つに分かれているのか。また、葯から斜め下に伸びている半透明の構造は何なのか・・・。先に示した他の花の写真と比較すると、更に分からなくなる。 この様な普通に撮った写真では、何とも判断し難い。そこで、花を分解してみようと思ったが、今の時期は花も小さく幅約4.5m、一寸やってみたが、やはりこれは実体顕微鏡下でなければ出来るものではない。 何とも中途半端な記事になってしまったが、実体顕微鏡は無いし、等倍マクロ撮影だけではこれが限界の様である。
2008.10.14
コメント(6)
今日は何か植物を掲載したくなって、少し庭を探索してみた。昨日無かった植物が急に現れる筈はないのだが、雑草の合間に薄紫色の穂状の花を見付けた。葉っぱの付かない花序だけが、雑草の間から顔を出している。まだ咲き始めらしくて、咲いているのは花序の下の方だけ、写真に撮るには丁度良い。ツルボの花穂.ユリ科で地下に2~3cmの鱗茎を持つ(2008/09/17) この花、昔から庭で良く見る花である。我が家ばかりでなく、町から1kmくらい奥の方にある林の中でも良く見た記憶がある。だが、今までまるで興味を感じたことのない花で、名前も知らなければ、何処に植わっていたか、いつ頃咲くのか、まるで記憶にない。まァ、我が家の庭では、今咲いて所に植わっているのは確かだし、今咲いているのだから、今頃咲くのだろう。下の方から咲いて行く.花被片の外側には緑色の部分がある(2008/09/17) かなり生い茂った雑草の合間から咲いているので、葉っぱが見えない。ヤブ蚊に食われながら葉を探す気にもなれないが、記憶によれば、この花の葉はランの様な単子葉で、花茎に葉は付いていなかった筈である。 写真を撮ってから、植物図鑑の単子葉類編を取り出して調べる。花は放射相称だから、ラン科やアヤメ科ではない。ユリ科であろう・・・。直ぐにユリ科のツルボであることが判明した。花の直径は6~7mm.花被片、雄蕊共に6(2008/09/17) 拡大してみれば、中々綺麗な花である。花被片6に雄蕊6、子房は妙に膨らんでいる。図鑑には「子房に短毛の3縦列がある」と書かれているが、それもチャンと見える。 虫も少しは来るらしい。1枚目の写真にはコハナバチに似た小さなハチが写っている。丸い子房が目立つ.子房表面の短毛の3縦列が白く見える(2008/09/17) このところ、何故か妙に疲れが溜まっている。虫ネタもあるのだが、何となく植物を掲載したくなった。疲れると、植物が恋しくなるのだろうか?
2008.09.17
コメント(10)
今日は、先日掲載したミズヒキと同じく、何時咲いているのか分からない様な小さな花を着ける植物を紹介しよう。 タデである。今まで、ハリカメムシの脇役として何回も出演しているが、今日は主役である。しかし、写真の枚数が多いので、全体写真は省略して、拡大写真ばかりを掲載する。イヌタデの花穂と、それを吸汁するカメムシ類右はハリカメムシの4齢幼虫、左はツヤマルシラホシカメムシ(2008/09/04) このタデ、今まで種類を調べてなかったので、保育社の「原色日本植物図鑑」で検索してみた。タデ類の検索は面倒かと思ったら、思いの外簡単で、直ぐに最普通種のイヌタデに落ちた。 イヌタデの特徴は、花は密な穂状で花柄に線毛を欠き、葉鞘の縁は緑色ではなく同じ程度の長さの縁毛があり、葉は葉鞘の下部に付き広披針形で鋭頭、花被の脈は明らかでない、と言うことになる。葉鞘の縁毛はかなり特徴的なので、下に写真を示した。イヌタデの葉鞘と縁毛(2008/09/10) しかし、このタデの花、何時開くのか。1週間ほど観察して、一番開いている状態が次の2枚の写真である。Internetで探してみると、ハルタデなどはシッカリ開くようだが、イヌタデの開き方はこんな程度らしい。 写真を見ると、花柱は3つに別れ、雄蕊は幾つあるのか良く分からない。図鑑のタデ科の解説には、雄蕊は6~9個、または稀に多数と書いてある。イヌタデの花(その1).花被には脈が認められない(2008/09/10)イヌタデの花(その2).花柱は3つに分かれている(2008/09/10) 花の直径は2mmを少し超える程度である。しかし、こんな小さな花の中にも虫が居た。写真を撮り始めたら花の中から出て来て、花の周りを一周してまた中に入ってしまった。花粉が付いていて良く分からないが、アザミウマの1種ではないかと思う。イヌタデの花に居た小さな虫.アザミウマか?(2008/09/04) タデもミズヒキと同じく、花被は花が閉じても落下せずに残る(しかしミズヒキとは異なり花柱は落下する)。この為、肉眼的にはず~と花が着いている様に見えるが、実際は桃色の花被の中で種子が成熟して行くのである。この種子を目当てに、カメムシどもがやって来る(カメムシが無数に集ったタデの花穂が見たい方はこちら)。 しかし、不可解なのは、花の咲く順序である。普通、穂状に着いた花は、その先端あるいは基部から順に咲いて行くものなのだが、タデの花の開き方はまるで無秩序である。下の写真の様に、種子が出来ている花のすぐ隣にまだ蕾や開いている花があったりする。イヌタデの花穂.黒く見えるのは成熟した種子の表皮開いている花や蕾らしきものも見える(2008/09/10) ミズヒキやタデでも、花を拡大してみると結構面白い。そこで、次は何にしようかと庭に出てみたが、意外とネタになりそうな雑草がない。ツメクサ、オランダミミナグサ、チドメグサなど、植木鉢の隅に何時でも生えていると思ったら、チドメグサが少しあるだけ。ツメクサとオランダミミナグサは全く見当たらない。雑草と雖も、やはり季節と無関係ではないのだろう。或いは、真夏の酷暑が苦手な種類もあるのかも知れない。 実を言うと、「雑草シリーズ」を始めれば、このWeblogの「植物(草本)」部門は安泰だと前々から思っていた。しかし現実は、中々こちとらの思惑通りには行かない様である。
2008.09.11
コメント(9)
どうも夏の我が家には花が少ない。デュランタ・タカラズカと先日紹介した花付きの良くないフヨウ、他には冴えないキク科の雑草擬きがチョボチョボと咲いているだけである。 しかし、考えてみると、小さい花ならば無いこともない。何しろ昆虫ならば2mm以下のものでも普段掲載しているのだから、花だってミリ単位のものを出してもおかしくはない。 ・・・と言うことで、今日はミズヒキの花を取り上げることにした。ミズヒキの花.花軸に沿って一斉に開いている(2008/09/02) 花の直径4mm強、虫ならば「撮り易い」大きさと言える。昨日掲載したハリカメムシ幼虫(4齢)の体長より少し小さいだけ。 雄蕊5本、雌蕊は2つに分かれているのが分かる。子房や雄蕊の基部の辺りは妙に凸凹している。調べてみると、4枚の花弁の様に見えるのは萼片だそうで、花は閉じることはあっても散ることはない。一つの花は直径約4mm.花弁のように見えるのは萼片上側が赤く、下側は白い(2008/09/02) 萼片は上側の1枚が赤く、下側の1枚は白い。左右の2枚はどうかと言うと、御丁寧にもその上半分が赤く、下半分は白い。花が上下で赤白の染め分けになっているので、水引と言う名前が付いたらしい。横からの方が雄蕊や雌蕊が良く見える(2008/09/03) しかしながら、この花、何時開くのかどうも良く分からない。実は、数日前にも撮ろうとしたのだが、かなり広い範囲に亘って彼方此方に生えているにも拘わらず、開いている花が一つも見当たらなかった。 ところが、昨日の朝は一番上の写真の様に沢山開いていた。他の写真も多くはその時に撮ったのだが、一部気に食わないのがあって、午後になってから撮り直そうとしたら、花はみな閉じてしまっている。今日の朝はどうかと言うと、一応開いている花があったが、昨日とは異なり探さないと見つからない程度。一日花なのか、或いは、同じ花が開いたり閉じたりするのか、花に印でも付けて毎日観察しないと分かりそうにない。閉じた花.2つに分かれた雌蕊だけが飛び出しているなお、倍率は他の花と同じ(2008/09/03) 小さい花だが、割りと虫に人気があるらしい。小さなハナバチやハエの類ばかりでなく、アリもやって来る。この写真のアリは、特にミズヒキが好きらしく、かなり離れたところにある花に同じ種類のアリが来ていた。種類を調べてみたが、何分にも小さ過ぎて良く分からない。しかし、アメイロアリかその近縁種らしい。ミズヒキの花にやってきたアリ.体長2.5mm程度(2008/09/02) 最近は植物を紹介することが少ない。春は別として、もう紹介済みの植物ばかりだからである。昆虫は飛んだり這ったりして我が家にやって来るから、常に新顔が登場する可能性があるが、植物はお隣の庭からノコノコ歩いてきたりはしないから、その可能性は少ない。風で飛んでくる種子や、鳥の落とし物に期待するだけである。 しかし、極く小さな花を着ける雑草には、まだ掲載していない種類が沢山ある。これからは、精々雑草を面白く撮って紹介する以外に手立てが無い様である。
2008.09.03
コメント(10)
今日は昨日掲載予定であったユリを紹介する。センターフォールド(centerfold)と言うエィシァティック・ハイブリッド(Asiatic hybrid)で、花は上向きに咲くからスカシユリの系統らしい。 しかし、先日紹介したロリーポップは、如何にもスカシユリらしく、茎が太く頑丈で葉も厚く短かったのだが、このセンターフォールドは茎も葉も細くて柔らかく何とも頼りがない。何となくカノコユリ系の血が入っている様な感じがする。センターフォールトの花(エィシァティック・ハイブリッド)茎が細く倒れ易い(2008/06/17) このセンターフォールド、少なくとも数年前から市場に出ており、我が家で植えるのは2回目、多分3年ぶりである。中々品格のある花だと思うのだが、Google検索ではロリーポップ(ロリポップ)の1/150位の数しかヒットしない。余り知られていないのか、或いは、人気が無いらしい。 しかし、欧米では評価が高いと見え、英文で検索すると、ロリーポップの2倍ほどヒットする。センターフォールトの花.花弁は始め黄色味を帯びているが段々黄味が薄れる(2008/06/17) このユリ、前回のロリーポップと同じく、長い間植え付けるのを忘れて居たので、球根が傷み、成長が宜しくない。しかも、茎が細いので、私が不在中に横に寝てしまって、全体の姿は見られたものではない。 そこで、全体の写真を撮る代わりに、雌蕊と雌蕊の先端(柱頭と葯)を等倍接写してみた。先ず、柱頭から。センターフォールドの柱頭.良い色をしている(2008/06/17) 直径は3mm程度で、先端は3つに分かれ、赤い突起を沢山生じている。此の色、中々深みがある。3つに分かれるて居るのは、子房が3室だからであろう。先端の突起は、花粉が付き易くする為の構造と思われる。センターフォールドの葯.毛糸が絡まった様(2008/06/17) 葯の方は、ゴシャゴシャしていて、何だかよく分からない。しかし、葯の体積に比して出来る限り表面積を大きくしようと努力?している風に見える。花粉の数を多くするには、表面積を増やすのが一番効果的なのであろう。
2008.06.22
コメント(15)
今日は一寸雰囲気を変えて、ユリの花を紹介する。 ユリは母の好きな花であったので、昔から色々な種類を植えていた。しかし、私は何分にも茶人の薫陶を受けているので、植えるのは日本の伝統的なユリ(と言っても茶花には使えないが・・・)か、それに近い温和しい花を着ける種類ばかりであった。 ところが、少し前から外国産、或いは、外国帰りの一風変わったユリを植える様になった。華麗でもケバケバしくなく、新鮮な魅力が感じられる種類があるからである。今日紹介するのは、ロリーポップ(Lollypop)と言うスカシユリの1種、lollypopとは棒付きの飴のことである。ロリーポップ.スカシユリの仲間なので花は上向き、背は余り高くない(2008/05/26) 現在、園芸店で売られているユリの殆ど、乃至、全部が交配種で、このロリーポップはエーシァティック・ハィブリッド(Asiatic hybrid)と呼ばれる仲間だそうである。 似た様な名称に、オリエンタル・ハイブリッドと言うのがある。よく知られていると思うが、今ではユリの代名詞に近くなっているカサブランカはこのオリエンタル・ハイブリッドの1種である。日本のユリを交配したグループで、Japanese hybridとも呼ばれるとのこと。これに対し、Asiatic hybridは、広くアジア産のユリを交配した品種を指すのだそうである。まァ、交配種の起源など余り興味がないので、この種の話はこの辺りで止めておく。今回は世話が良くないので花数が少ない(2008/05/26) このロリーポップ、昨年初めて見たので、新しく移入、或いは、開発された品種だと思っていた。しかし、調べてみると、少なくとも5年以上前から売られているらしい。但し、講談社の「園芸百科事典」に載っていないところを見ると、日本では、そう古くからある品種ではない様だ。上向きなので、花粉が落ちて花が少し汚れてしまうのが難点(2008/05/26) 今年のユリは、植え付けるのを忘れ、ウメの花が散る頃まで放って置いたので、球根が傷んでしまい、花付きが宜しくない。それでも何とか咲いてくれたが、このロリーポップ、家の店子さんや出入りの人々にも評判が大層宜しい様なので、来年は沢山植えてシッカリ世話をしようと思っている。
2008.06.03
コメント(14)
今日は曇りで何となく肌寒いが、ここ数日、日中はコート無しでもいられる程暖かくなって来た。愈々春が近づいた、と言う感がある。 「春の訪れ」と言うと、真っ先にふきのとうとか福寿草などが頭に浮かんでくる。試しにGoogle検索で「"春の訪れ" ("福寿草" | "ふくじゅそう")」を検索すると約8万5千件、「"春の訪れ" ("ふきのとう" | "蕗のとう" | "蕗の薹")」では約6万8千件がヒットする。 一方、やはり春の象徴と言えるウメの花はどうかと言うと、「"春の訪れ" ("梅の花" | "ウメの花" | "うめの花")」では4万8千件弱で福寿草やふきのとうよりかなり少ない。 福寿草は兎も角、余り綺麗でもなく、大して目立ちもしないないふきのとうが、何故梅よりも「春の訪れ」の象徴として人口に膾炙するのであろうか。ふきのとう(その1)(2008/02/27) 尤も、ふきのとうが目立つ場合も無くはない。東京の様な比較的暖かい土地では、ふきのとうは枯れた草などに隠れて特に目立たないが、雪の多い北国では、根雪が溶けた直後の濡れた黒い地面から現れる黄緑色のふきのとうは、かなり印象的な存在である。但し、これは必ずしも早春とは限らず、山地の吹溜まりなどの場合には春遅くなることもある。 考えてみるに、福寿草もふきのとうも、前年から木の枝に着いている蕾が膨らむのではなく、それまで殆ど何も認められなかった地面からモッコリ姿を現すところが、何とも言えず良いのであろう。ふきのとう(その2)(2008/02/27) 福寿草はキンポウゲ科で全草有毒だが、ふきのとうは食べられる。「美味しい」と書かなかったのは、時として、苦味が強すぎて美味しいとは言い難い場合があるからである。 かつて北海道に居た頃、父がふきのとうの佃煮を好んだので、残雪の下から現れたふきのとうで佃煮を作ってみたことがある。普通に湯がいた程度では酷く苦い。そこで水に晒してみたが、数時間晒した位ではどうにもならず、2日晒したら香りはすっかり脱けてしまったにも拘わらず苦味はシッカリ残っていた。美味しくないどころか、殆ど食べられない代物であった。なお、我が父は、ふきのとうの佃煮が好きだからと言って、吉田健一氏の嫌悪する「胃弱の通人」とはまるで異なる種類の人物であった。ふきのとう(その3)(2008/02/27) 今は庭が小さいので佃煮にする程ふきのとうは採れない。此処に掲載した写真も、直前に兄が大半(と言っても数個)を収穫してしまったので、残った小数を被写体にして辛うじて撮ったものである。だから、余りリッパなのがない。ふきのとうの中にある蕾(2008/02/27) 現在の我が家では、ふきのとうの食べ方は決まっている。絹豆腐の賽目切を実にした味噌汁を作り、椀に盛った後で、細かく刻んだふきのとうを薬味として振り掛けるのである。汁を一口啜ると、瞬時にして春の香が口中に拡がる。少ない量でふきのとうを満喫するには良い方法だと思っている。
2008.03.05
コメント(4)
今日から全国的に平成20年の様である。 全く困ったことだ! これでまた棺桶に一歩近づいたことになる。棺桶に近づくのは、まァ、良いとしても、それに連れて心身共に機能が低下するのが何とも困る。 ・・・等と言っていても仕方がないので、Weblogの更新をすることにしよう。一応、新年早々の更新だから、やはり、今年のネタでないと些かマズイであろう。しかし、虫は居ないし、花は無いし・・・、狭い庭を動物園のシロクマの如くウロウロしていると、幸いにも、日本水仙が一輪咲いているのに気が付いた。ニホンズイセンの花.白い部分は花ではなく萼(2008/01/01) このニホンズイセン、祖父祖母の時代からある代物で、中々花が着かないので評判?のスイセンである。私がまだ小さい頃、藤の根元の傍に植わっていたのを憶えているが、恐らく戦前からあったものと思われる。畳半分位の広さにビッシリと生えているにも拘わらず、花は毎年2~3しか着かなかった。ニホンズイセンの本当の花の部分.雄蕊は6個あるはずだが3個は奥に隠れているらしい(2008/01/01) 家を改築したとき、何故この咲かない水仙を後生大事に取って置いたのか、どうも良く分からない。もっと珍しい植物が沢山あったのに、その殆どは放棄されてしまったのである。恐らく、他界した父にとっては、何か特別の思い出があったのであろう。 改築後は植木鉢に入れられていたが、世話も不充分で、辛うじて枯れないで居る、と言う状態であった。父母に代わって私がこの家に住む様になって暫くしてから、この「由緒ある」スイセンを10数年ぶりに咲かせてみようと思い立った。容易に咲いてくれなかったが、数年間の努力が実って、昨年は中型の植木鉢に10以上の花を咲かせることが出来た。 しかし、今年は花が2本しか着かなかった。昨年、花芽が分化する丁度その時期に、水をやり忘れて日干しにしてしまったからである。今年はチャンと管理して、来年はまた沢山花を咲かせるつもりで居る。
2008.01.01
コメント(12)
オオカナダモは所謂「金魚藻」の一つである。神戸市教育委員会の「神戸の水生植物」によると、「金魚藻」と称される植物には以下の7種類があるとのこと。この他にもコカナダモと言うのもあった筈だ。 1.ホザキノフサモ・・・・・・アリノトウグサ科 2.フサモ・・・・・・・・・・・・・・アリノトウグサ科 3.マツモ・・・・・・・・・・・・・・マツモ科 4.バイカモ・・・・・・・・・・・・キンポウゲ科 5.クロモ・・・・・・・・・・・・・・トチカガミ科 6.オオカナダモ・・・・・・・・トチカガミ科 7.フサジュンサイ・・・・・・スイレン科 オオカナダモはこれらの中でも最も普通の安価な藻で、誰でも一度は見たことがあると思う。しかし、その花を見た人はかなり少ないのではないだろうか? 花の花梗は数cmしかないから、水槽の上部にまで藻が達しないと花は咲きようがない。しかも、かなり藻が繁茂して安定しないと花は着かない様に見える。魚を観賞するのであれば、其処まで繁茂させたら魚が見えなくなってしまうので、結果的に花を見る機会は殆どないと思う。オオカナダモの花.開く前はクシャクシャ(2007/05/29) 我が家には、ヒメダカの居る大鉢の他に、2個の火鉢を中庭に置いて水とオオカナダモを入れている。本来はメダカを入れる為だったのだが、何回入れてもメダカはいつの間にか居なくなってしまう。原因は良く分からないが、火鉢ではやはり小さ過ぎて夏に直射日光を浴びると水温が上昇し、幾ら藻が繁茂していても溶存酸素量が不足して死んでしまうらしい。今ではもうメダカを入れるのを止めたので、藻だけが空しく繁茂している。 この火鉢とヒメダカの居る大鉢の両方でオオカナダモの花が咲く。実は、私もそれまでオオカナダモの花を見たことは無かった。初めて見たときは、小さく千切ったチリ紙が飛んで来て、それが鉢に浮いているのかと思った。オオカナダモの花.開いても拡大して見るとシワシワ(2007/05/30) 実際、何とも頼りない花で、良く見てみると花弁は皺だらけ。完全に開くと、次の日にはもう萎れて水面に倒れ、やがて沈んで腐ってしまう。 「オオカナダモ」、と誰がどう言うつもりで付けたのかは知らないが、原産地はカナダではなく南米のアルゼンチン、ウルグアイ、南西ブラジル。雌雄異株で、日本ばかりでなく、北米、オーストラリアなど世界各地に帰化している。しかし、それらはみな雄株だけとのこと。有性生殖ではなく、植物体が千切れることによる栄養体生殖で増えるので、雄株だけでも繁殖出来るのである。 雄だけで世界に蔓延している生物と言うのは一寸珍しい。
2007.06.03
コメント(1)
ペラペラヨメナとは、また何とも冴えない名前である。昭和24年に京大の北村四郎氏(保育社の「原色日本植物図鑑」の著者)が大学構内に帰化しているのを見付け、こう名付けたとのこと。 実際、葉っぱは薄くてペラペラ、茎も細くて直立出来ず、斜上、或いは、匍匐するという、頼りない草ではある。ペラペラヨメナ.花柄が非常に長い(2007/04/26) 花の直径は2cm前後なのに、花柄は長く10cmにもなる。花と植物体との調和を欠いており、一見するだけで日本の植物ではないことが知れる。開き始めたペラペラヨメナの花.直径5mm位(2007/04/24) 昭和51年刊行の保育社「原色日本帰化植物図鑑」には、ニュージーランド原産で学名はVittadinia trilobaと書かれているが、最近の書物では、中米原産で学名はErigeron karvinskianusとなっている。新しい方が正しいであろう。 Erigeron属には、ヒメムカシヨモギ、ヒメジョオン、ハルジョオンなど典型的な「雑草」が属す。しかし、ペラペラヨメナは、これらよりずっと繊細な感じのする植物である。開花する前に舌状花は桃色を帯びる(2007/04/14) 我が家には、1平方メートル程度の「寺の裏庭」と称するの色々な草が入り交じって生えている個所があり、ペラペラヨメナも其処に生えている。今までは、かなり大人しくしていたのだが、今年は妙に元気で沢山咲いている。 実は、ペラペラヨメナの花は既にヤマトシジミを紹介したときに写っている。これは去年の9月である。今年は4月から咲いているが、このまま秋まで咲き続けるのだろうか。花期が長いので、ムキュウギク(無休菊)の名称もあるとのこと。 こう言うキク科の花にはアブやハチが必ずやって来る。花期が長いのは大歓迎である。今はキタヒメヒラタアブが殆ど「常駐」している。開花したペラペラヨメナの花.舌状花もペラペラ(2007/04/20) 最近咲く花は白ではなく、桃色になってきた。これについては、また別の機会に紹介しよう。
2007.05.30
コメント(0)
アッツザクラは、高さ10cmに満たず、何処か高山植物的な雰囲気の漂う植物である。だから、アッツ島のあるアリューシャン列島辺りが原産地なのかと思うと大間違いで、南アフリカの山岳地帯が原産とのこと。コキンバイザサ科(Hypoxidaceae:キンバイザサ科とも呼ばれる)と言う、余り聞き慣れない科に属す(以前はヒガンバナ科に入れられていたこともある)。アッツザクラ(2007/05/07) 近づいて見てみると変な花である。小さいので普段は余り気にならないが、雄蕊も雌蕊も見当たらない。その点では、色も大きさも、また、形も少し違うが、スリランカやタイの墓地に植えられ、また、ハワイでは首飾り(レイ)にする、インドソケイの花に似ている。 繁殖は球根の分球で行われるので、実が着かなくても一向に構わないのである。上から見たアッツザクラ(2007/05/07) ところで、今の若い人達はアッツ島をご存じだろうか? 我々戦後間近に生まれた世代ならば、知らない者は居ない。アッツ島の話と言えば「アッツ島玉砕」に決まっている。 アッツ島はその東側にあるキスカ島と並んで、我日本軍が占領した唯一の米国本土である。しかし、占領時に於いてすら制空権は米軍にあった。補給船の多くは撃沈されて慢性的な食糧不足に陥り、冬は極寒地獄、天気が悪ければ濃霧と烈風、良ければ米軍の爆撃で、守備隊の将兵は過酷な毎日を強いられていた。 米国は、ガダルカナルで勝利を得た後、まず、アッツ島、キスカ島(注)の奪回作戦を行った。反撃がニミッツ提督(大将:当時)麾下の中部太平洋戦線(海軍)とマック・アーサー大将(当時)麾下の南部太平洋戦線(陸軍)の2戦線に絞られるのは、その後のことである。 昭和18年5月11日、キンケイド少将率いる米軍は陸海空から攻撃を開始し、同月29日、山崎大佐以下約2、600名のアッツ守備隊(陸軍:非戦闘員を含む)は玉砕した。中部太平洋戦線のタラワ島守備隊(柴崎少将以下約4600名:海軍特別陸戦隊他)の玉砕に先立つこと約6ヶ月である。アッツザクラの花.ノッペラボーの顔を拡大した様なものでポイントがない(2007/05/05) アッツ守備隊が玉砕して間もない頃、ある山草屋がこの南アフリカ原産の植物を「アッツザクラ(熱田桜)」の名称で売り出したと言う。桜の如く花と散ったアッツ守備隊にちなんで付けられたのであろう。 しかし、アッツ島には守備部隊の将兵が「アッツザクラ」と呼んでいた植物が別にあった。どの様な植物なのか明確な記録はないらしいが、戦後かなり経ってからアッツ島に取材した人の写真を見るとサクラソウの1種らしい。 ごく僅かな関係者を除く日本国民の大部分がアッツ守備隊将兵の苦労を知らなかったのと同様、アッツ島に「本物」のアッツザクラがあったことを知る日本人は、当時に於いてすら、殆ど居なかったのである。(注) キスカ島守備隊に対しては撤退作戦が行われ、昭和18年7月29日、約5,000名全員が無事撤退に成功した。それを知らぬ米軍は、アッツ島での予想外の損害に懲りて約35,000人の兵員に対して特別訓練を行い、18年8月15日、91隻の艦艇の支援を受けて無人のキスカ島に猛烈な艦砲射撃と爆撃を行った後、上陸作戦を「敢行」した。 誤認、誤射や事故で3日間の間に313人の死傷者を出し、戦果は子犬3匹を捕虜にしたのみ、と伝えられている。
2007.05.17
コメント(1)
少し時期遅れになってしまったが、アメリカスミレサイシンの青色種(濃色種と言うべきか?)を紹介する。 同種の淡色種の所で書いた様に、このスミレはかつてViola papilionaceaと呼ばれていたが、淡色種の当時Viola priceanaと呼ばれていたスミレと同一種とされてViola sororiaと名が変わり、また、日本では和名も付いてアメリカスミレサイシンと呼ばれるようになった。アメリカスミレサイシン(青色種)の株(2007/03/28) ・・・しかし、どうも納得が行かないのである。 まず第1に、青色種はスミレ(種としてのスミレ)程ではないが、かなり日当たりの良いところを好む。日陰には生えて来ない。ところが淡色種は、半日陰を好み、一日中殆ど陽が当たらない所にも生えて来る。 青色種は淡色種ほど大きな株にならず、葉もやや小さく、淡色種の様に繁茂しない。淡色種と青色種を混植すると、青色種は負けて消えてしまう。 スミレの繁殖は、殆どが完全な自家受精である閉鎖花で生じた種子で行われるせいかもしれないが、青色種と淡色種が交雑した、或いは、中間的な色彩、模様の花を見たことがない。アメリカスミレサイシン(青色種)の花(2007/04/11) ・・・と様々な点で別種の様に見えるのだが、専門家の判断に素人が容喙するのは僭越且つ滑稽であり、「素人の浅はかさ」と言われるだけであろう。
2007.05.05
コメント(0)
少し時節を外れてしまったが、イチハツ、否、ジャーマンアイリスを紹介する。園芸店に騙されて、イチハツとして買ったのが、実はジャーマンアイリスだったのである。 昔の庭には、「イチハツ」と我が家では呼ばれていた白いIris sp.(アヤメ属で種名不明の意)があった。中々品があり花も綺麗だったので、園芸店で「イチハツ」と名札が付いているのを見たら、昔を想い出して衝動的に買ってしまった。 ところが、花が咲いたら白ではなく青紫で、花弁はペラペラ、シワシワ。まるで青紫に染めたチリ紙を丸めて花軸くっ付けた様、全く品格に欠ける。色は基本的には悪くはないのだが、何となくケバケバしい雰囲気がある。「場末のバーのマダム」と言うのはこういう感じだろうか。ジャーマンアイリスの花.花被が皺クチャ(2007/03/30) 調べてみると、外花被の内側基部に鶏冠状の突起があるのがイチハツで、突起がブラッシ状であればジャーマンアイリス、イチハツの花色は基本的に青紫(白花のイチハツも稀にあると言う)で、白い花の着く「イチハツ」と称する植物の殆どはニオイイリスとのこと。また、最近の園芸店では青紫のジャーマンアイリスを「イチハツ」として売ることがあることも分かった。と言うことは、昔、我が家にあったのは、ニオイイリスだったらしい。 しかし、ジャーマンアイリスをイチハツと偽って売るとは、全く怪しからん園芸店である。棄ててしまおうかとも思ったが、まァ、可哀想だし花に罪はないから、どうでも良い所に地植えにしたら妙に繁殖してしまって、今年は8本位花が着いた。ジャーマンアイリスの花の拡大.外花被の上に黄色いブラッシ状の構造がある(2007/03/30) 我が家には、他にアヤメ、キショウブ、ダッチアイリス(球根アイリス)がある。アヤメ、キショウブの花はまだだが、ダッチアイリスの花期はジャーマンアイリスとほぼ同じで、もう終わってしまった。この方は、御覧の様に清楚な感じで透明感があり、好みに合っている。ややバタ臭いが、茶花としても使えるかも知れない。ダッチアイリス.清楚で花色も宜しい(2007/04/05) Internetで様々なサイトを拝見すると、イチハツとジャーマンアイリスを混同しているところが多い。そこで、老婆心ながら、紛らわしいアヤメ科(園芸)植物の主なものの相違を表に纏めてみた(シャガとヒメシャガは区別が明らかなので、この表には入れていない。なお、テーブル・タグで表を組むと、何故か数10行の空白が挿入されてしまうので、仕方なくテキストで表を組み直した)。 種 類 葉 の 特 徴 花--------------------------------------アヤメ 葉細く中肋は目立たず 外花被基部に網目模様カキツバタ 葉やや太く中肋は目立たず 外花被中央に縦に白~黄色の 線状の斑ハナショウブ 葉やや太く中肋は目立つ 外花被基部に黄色斑キショウブ 葉やや太く中肋は目立つ 花被全体が黄色イチハツ 葉太く中肋は目立たず 外花被内側に鶏冠状の突起ジャーマンアイリス 葉太く中肋は目立たず 外花被内側にブラッシ状の突起ニオイアイリス 葉太く中肋は目立たず 花被は内側にブラッシ状の突起 花被は白で基部や突起は黄色ダッチアイリス 葉細く中肋から内側に折れる 花被は細い 園芸品種の中には突飛なものもあるのでこの表から逸脱する場合もあろうし、世界を眺めればこの中に入っていない紛らわしいアヤメ科の植物はまだ他に沢山存在する。なお、この表では、白花のジャーマンアイリスとニオイイリスの区別が出来ない。しかし、ニオイイリスにはジャーマンアイリスの様な派手さは無い様である。 葉先が垂れるか否かも判定の基準になるが、これは省略した。また、「やや太く」等と言う客観性の無い表現もあるが、まァ、ご勘弁いただきたい。出来るだけ簡潔に纏めたつもりである。
2007.05.02
コメント(3)
30年ぶりに実家に戻ってビックリしたのは、庭に見慣れぬスミレが沢山生えていることであった。特に蹲踞(つくばい)の横では1平方メートル位の「大群落」になっていた。 更にビックリしたのは、花も大きいが、花後に出て来る葉が丸く大きく、長さ10cm近くにもなることで、とてもこの辺りに生えるスミレの葉とは思えなかった。まるでウスバサイシンの葉の様。 ・・・此奴、余所者に違いない!! 調べてみると、やはり帰化種で、北米原産のViola priceana(当時)と言うスミレであった。アメリカスミレサイシンの若い株(2007/04/11) しかし、このスミレはその後、濃い青い花を着けるので屡々ニオイスミレと間違えられるViola papilionaceaと同一種とされてViola sororiaと名が変わり、また、日本では和名も付いてアメリカスミレサイシンと呼ばれるようになった。 今回はこのアメリカスミレサイシンの淡色種を紹介する。アメリカスミレサイシンの大きな株に着いた花(2007/04/06) アメリカスミレサイシンには色々な色のものがあり、我が家に生えているのは写真に示した通りで大した変異はないが(濃青色の種類は別に紹介する)、白花や斑模様のものもある。 花は大きく、縦横3cm位にもなり、側弁基部には沢山の毛がある(タチツボスミレやスミレサイシンには毛が無い)。 また、このスミレは山葵の様な形をしたかなり大きな地下茎を形成する。アメリカスミレサイシンと言う名が付けられたのも、日本のスミレではスミレサイシンが大きな地下茎を持つからとのこと(スミレサイシンの葉も非常に大きい)。アメリカスミレサイシンの花.側弁に毛が密生する(2007/04/11) ところで、スミレはヒョウモンチョウ類の食草である。この辺りではツマグロヒョウモンが産卵にやって来る。一昨年の秋はツマグロヒョウモンの幼虫が大発生して殆どのスミレが丸坊主となり、日本産のスミレは衰弱し、弱ったところをダンゴムシに食害されて殆ど枯れてしまった。しかし、このスミレは地下茎にシッカリ栄養を蓄えているらしく、ツマグロヒョウモンに丸坊主にされても平気の平左、全然枯れない。咲き始めたアメリカスミレサイシンの花.花弁の先の方は真っ白(2007/04/17) アメリカスミレサイシンは余りに繁茂するので、御近所のNさん宅では雑草と見なし、気が付いたら抜いているそうである。しかし、我が家では、この北米原産の余所者をヒョウモンの食草として「栽培」している。他のスミレに付いたツマグロヒョウモンの幼虫を見付けると、直ちに捕まえてアメリカスミレサイシンの葉に移すのである。 こうすれば、私の好きな日本のスミレとツマグロヒョウモンの双方を生かす事が出来るし、また、アメリカさんもこれで枯れる訳ではないから、八方(三方か?)丸く収まり目出度し目出度しと相成る。
2007.04.28
コメント(4)
今、オダマキが丁度良い咲き具合である。勿論、日本のオダマキである。 昔はこの日本オダマキが庭の彼方此方に生えていて中々風情があった。そこで改築後も植えたいと思って色々探して見たのだが、何処の園芸店に行っても西洋オダマキしか売って居らず、残念ながら入手出来なかった。 ところが暫く経ってから、ある園芸店の責任者に日本オダマキが手に入らないか訊ねてみたところ、何処からか探して来てくれて、今では我が家の庭の色々な場所で咲いている。オダマキの花.もう少し下から撮りたかったが花の背が低いのでこれが限界(2007/04/23) しかし、西洋オダマキのあの品の無さに較べて、何と言う高貴さであろうか!!「典雅」と言う言葉すら頭に浮かんで来る。我が家の庭に咲く花の中でも、ヒゴスミレと並んで最も高潔な感じのする花である。オダマキの花の拡大.花弁の様に見える外側に開いている部分は、クリスマスローズ等と同じく実は萼片である(2007/04/23) オダマキは多年草ではあるが、スミレと同じく、数年経つと地下茎が浮かび上がって来てやがて枯れてしまう。しかし、種子で容易に繁殖するので、自然に世代交代が行われ、庭全体としては絶えることがない。 文献によると、このオダマキはミヤマオダマキ(Aquilegia flavellata)の園芸品種らしい。しかし、学名はAquilegia flavellata var. flavellataとなっており、「var.」(variety:変種)であって「cv.」(cultivar:栽培品種)ではない。古くからある植物なので、変種か栽培品種か確定出来ないのであろう。後ろから見たオダマキの花.西洋オダマキと異なり距が内側に回り込んでいる(2007/04/22) 最近ではこの日本のオダマキが、普通の園芸店でも売られる様になって来た。大変良いことである。我が家の庭でも沢山の種子が採れるので、希望者には配布したい位である。
2007.04.25
コメント(3)
シャガの花が咲いた。と言っても花軸たった1本だけの寂しい咲き方ではあるが・・・。 昔は庭の一角に余り陽の当たらない場所があり、其処にシャガが群生していて、春になると沢山の花を着けたものである。それに較べて何とまァ慎ましい咲き方!! しかし、茶人であった祖母の勲等を受けたものとしては、これはこれで中々良いと思っている。一本だけ咲いたシャガの花(2007/04/16) シャガは一日花なので、生けた場合には毎日花を整え直さなければならない。上の写真でも、右側にある花の上下に3個の咲きかけの花があるので、此が咲いてから写真を撮り直そうと思って待っていたら、咲いたときには先頭にある花は既に萎れ始めていて写真にならなかった。シャガの花.多くのアヤメ科植物の花とは異なり内花被が外花被と同じ高さにある(2007/04/15) この花、実は植木鉢に咲いたものである。改築した時に庭師が植えたシャガは、植え方がいい加減だったのか直ぐに消えてしまった。シャガは母も好きな花だったので、また植え直そうと思って探してみたが、何処の園芸店に行っても売っていないし、Internetの通販でもヒメシャガはあっても只のシャガは何処にも見当たらなかった。 そこで出入りの植木屋さんに聞いてみると、「家にあるのを差し上げますよ」と言うことで一鉢貰った。しかし、12月なので植木鉢から地面に移すには不向き。春になって植え換えようと思ったが、植え場所に困ってしまって、そのまま数年未だに鉢の中である。今年こそは、直植えにして植木鉢を返さなくては。
2007.04.23
コメント(4)
今日はまたスミレ類を紹介することにする。2回目は、ツボスミレ。 タチツボスミレやアメリカスミレサイシンと並んでこの辺りに自然に生えているスミレである。しかし、先日紹介した「スミレ」と同様、今我が家では直接地面に生えているものは見当たらず、色々な植木鉢に仮寓しているのが幅を利かせている。特にカサブランカ(ユリ)の鉢では、仮寓を通り越して鉢の主となり、鉢全体に隙間無くビッシリと生えている。ツボスミレの花.ユリの鉢を占拠して咲いている(2007/04/06) スミレの仲間には地上茎を持つものと持たないものの2つがある。ヒゴスミレや先日の「スミレ」などは地上茎を持たず、根元から直接花柄を出す。しかし、このツボスミレはタチツボスミレと同様地上茎を持ち、茎の葉腋から花柄を出す。まだ春なので余り目立たないが、夏になると、植木鉢から地上茎が四方八方に15cm以上もはみ出して枝垂れる。ツボスミレは地上茎の葉腋から花を着ける(2007/04/06) 花はスミレの中でも最も小さい方で、横幅は1cmを少し超える程度。上側の2枚の花弁(上弁)はめくれ上がるので、花は縦に巻いた少し変な形になる。正面から見たツボスミレの花.側弁の基部だけでなくかなり広い範囲に亘って毛がある(2007/04/06) 花は小さいし形も少し違うので、スミレとは思わない人もいるらしい。少し下側から覗くようにしてみたツボスミレの花.柱頭が見える(2007/04/06) 植木鉢の本来の主役であるユリの方は、一昨年オルトランを撒くのが1週間程遅れた為にアリマキにやられ、そのアリマキから感染したウィルス病ですっかり駄目になってしまった。一層のこと鉢をひっくり返してユリを棄て、ツボスミレは専用の少し浅めの植木鉢に移そうかとも思っている。 先日のスミレも蚊連草に代わって鉢の主役になってしまった。もう何年かすると、我が家の中庭はスミレだけの鉢で一杯になるかも知れない。
2007.04.11
コメント(1)
我が家の庭にはスミレが沢山植わっている。ツボスミレ、タチツボスミレ、帰化種のアメリカスミレサイシン(Viola sororia)の色の薄い方は自然に生えて来た種類で、只のスミレ、アメリカスミレサイシンの色の濃い方(かつてViola papilionaceaと呼ばれていた)は近くの空き地から取ってきたもの、ヒゴスミレ、エイザンスミレ、コスミレ、ノジスミレ、ヒラツカスミレ(ヒゴスミレとジョウザンスミレの交雑種)などは園芸店から買ってきた種類、白花のスミレは深大寺植物園でスミレ展が開催されているときに種子を貰ってきたものである。 この内、ノジスミレは探しても見つからないし、花を着けていない種類不明のスミレが幾つかあり、また、園芸店から買って来たスミレはこれだけではなかったと思うので、今ではもう何種類あるのか分からなくなってしまった。 しかし、色々スミレを見てきた結果、濃い紫色の只のスミレと白花のヒゴスミレの2種が色も姿も断然他を引き離して素晴らしいことが分かったので、もう新しい種類を増やすのは止めた。 今日はまず何も形容の付かない只のスミレ(Viola mandshurica)を紹介する。大きな株から咲いたスミレの花(2007/03/28) 種名のmandshuricaは「満州の」の意で、一寸調べてみたら日本全国、満州、東部シベリアに分布すると言う。北方系の種類とは知らなかった(変種のアツバスミレは南方系)。 このスミレ、町の南側には自生しており、場所によっては群生しているところもあるが、何故か我が家のある北側では見かけない。南の空き地から採って来て直接庭に植えたものも今では殆ど消えてしまった。 しかし、何かの植木鉢の中から芽を出してきたものは彼方此方にある。上の写真も蚊連草の鉢に生えてきたもので、本来の主である蚊連草が殆ど枯れてしまったので、今ではその鉢の主役になっている。開き始めたスミレの花(2007/03/28) 一昨年はツマグロヒョウモンが大発生し、我が家のスミレはヒゴスミレやエイザンスミレを除いてほぼ全部が丸坊主になった。その後で、元気の衰えたスミレから出てくる新芽を何者かが片っ端から食べてしまい、終に枯らしてしまった様である。 始めはナメクジが犯人と思いナメクジ退治をした。これで少しは被害が少なくなった様に見えたが、どうも真犯人は別にいるらしく、食害は止まらない。開花したスミレの花.側弁基部に毛が少しある(2007/04/07) ある日スミレを見ると、ダンゴムシが1~2匹葉の上にいた。すぐ横を見ると、ハイゴケ(オニゴケ)の上に20匹近いダンゴムシが集って葉を食べている。そこでダンゴムシ駆除の薬を撒いたところ、スミレの食害は止まった。どうやら犯人はダンゴムシだったらしい。 しかし、もう手遅れで、結果的に地植えのスミレは殆ど全部枯れてしまった。 今年は植木鉢に生えているスミレから種子を採り、またスミレを増やそうと思っている。完熟した種子は休眠に入り翌年まで発芽しないが、まだ白っぽく柔らかい種子は撒くと直ぐに発芽する。来年はスミレの大群落を紹介したい。
2007.04.08
コメント(1)
我が家の庭の植物は、20数年前に他界した祖母(茶人)の影響を未だに残しており、洋物が少ない。しかし、草本で最も面積を占めているのは、何故か洋物のクリスマスローズである。 このクリスマスローズ、今では幾つかの品種が植わっているが、その内の最も古い品種は、今から実に45年も前にさる貴人から賜った由緒あるものである。当時は余所では全く見ることが出来ない極めて珍しい植物であった。 20年程前からは花屋で時々見かける様になり、10年程前から大流行して、今では何処の家にも植えられているごく普通の花になってしまった。クリスマスローズの「群落」(2007/03/28) よく知られている様に、クリスマスローズの「花弁」は、ハナミズキやドクダミ、アジサイなどの「花弁」と同様に萼片である。だから、本当の花が散った後も落ちずに残って、長い間「花」を楽しめる。 我が家では上の写真の様に殆ど「群落」と言っても良いほど繁茂しており、長い間庭に彩りを添えている。45年前からある由緒ある品種.萼の内側に模様が殆どない。萼の外側は花後も綺麗で5月まで同じ様な感じで楽しめる(2007/03/28) 上の写真は、その高貴な方から賜った「オリジナル」品種で、萼片の先は尖り、内側に殆ど模様がない。今から15年程前に導入した品種.今では上の品種とこれとの交雑種が大半を占める.これも5月まで楽しめる(2007/03/28) 次の写真は、クリスマスローズが花屋の店先に出る様になってから買った品種で、萼片の色や形は「オリジナル」に似るが、萼片の内側に紫色の斑紋が沢山ある。 現在植わっているクリスマスローズの大半は、この2番目の品種と「オリジナル」が自然交雑したもので、萼片の内側にはやはりこの斑紋が見られるが、この写真よりも斑紋の出方が少ない。5年ほど前に買った品種.品格にやや欠けるところがある(2007/03/28) 暫くして、色々な品種が出るようになり、萼片の赤黒い品種も現れた。早速買って植えてみたが、全体に大柄で余り品格がない。2年ほど前に買った品種.萼が余り開かず梅花状になる.萼片が赤味を帯びて始めは綺麗だが、花後は色が汚くなり観賞に堪えない(2007/03/28) クリスマスローズの萼片は大きく開くのが普通である。しかし、数年前から梅花状に余り開かない品種が出て来た。上の写真の様に仄かに赤味を呈すものもある。咲き始めは綺麗だが、花後暫くすると萼片の外側にシミ様の斑紋が現れ汚くなる。 下の写真も最近購入したもので、梅花状だが、萼片の内側に斑紋が無く赤味も呈さない。これも2年ほど前に買った品種で萼が余り開かず梅花状になる.上の品種程ではないが花後は萼片が汚くなる(2007/03/28) 斯くの如くして、我が家の庭には5品種のクリスマスローズとその交雑種が「繁茂」している訳だが、45年間クリスマスローズを眺めた結論としては、最初の「原始的」な2品種が長い間「花」を楽しめ、また、植物全体の形も良く風情がある。 茶人としてかなり特異な才能を有していた祖母は、2~3月の花の少ない時期に、屡々クリスマスローズを茶花として使っていた。切り花にすると萎れ易いので、切り口を焼くなどして色々苦労していたのを想い出す。 実にクリスマスローズは、その祖母の厳しい眼鏡に適った「洋物」だったのである。
2007.04.05
コメント(0)
暖冬と雨が降らないせいか、まだ庭の真ん中にあるモミジは殆ど紅葉していないし、デュランタ・タカラズカは未だに花や蕾を沢山着けている。 そんな中でも、コムラサキシキブや禾本科の雑草は完全に葉を枯らし、その部分だけが冬景色になっている。 9月30日に掲載したエノコログサも、今は完全に白く枯れた姿になってしまった。エノコログサの穂(冬枯れ)(2006/12/01) こういう禾本科の冬枯れを見ると、何故か、釧路湿原の枯れススキを思い出す。茫漠たる浅い雪の原に、枯れ草色のススキが彼方此方に頭をもたげていて、それが白い雪と所々に顔を出している黒い土と一緒になって、絶妙な淡い色彩の世界を造っていた。エノコログサ(冬枯れ)(2006/12/05) 30年前のまだ若かった頃の記憶が急に甦ってきて、柄にもなく妙に感傷的になってしまった。
2006.12.08
コメント(0)
我が家の庭の生き物たちも、もう多くは冬支度に入っているが、目立たないところで妙な花が咲いている。 スミレである。普通は春に花を着けるが、秋も終わりに近づいてから、再び花を着けることが多い。尤も、その数は春よりもずっと少ないが・・・。 我が家の庭には10種以上のスミレが植わって(生えて)おり、その内のスミレ、エイザンスミレ、ヒゴスミレ、コスミレなどが今咲いている。しかし、夏から秋に至る間に色々な虫に食われて植物全体が余り綺麗ではない。だから、庭のスミレ達については、春になってまた綺麗になってから紹介するつもりでいたが、このコスミレは葉もチャンとしているので今回取り挙げることにした。コスミレ.左下に閉鎖花が写っている(2006/11/14) スミレの花は中々可憐なので、スミレ専門の園芸家も居る位である。しかし、その可憐な花は実を結ばないことが多い。代わりに閉鎖花と言う、蕾とも実とも言い難いような、花弁のない妙な「花」が種子を作る。花は開くことなく、蕾のなかで自家受粉が行われて結実するのである。 上の写真の左下に閉鎖花が写っている。これが伸びて真上を向き、3つに開裂して種子を飛ばす。初夏から秋まで、スミレは専らこの閉鎖花を「咲かせて」、繁殖に努める。コスミレの花.正面から(2006/11/14) 閉鎖花はそれだけで結構話の種になるので、来年の初夏に詳しく経過を追って紹介する予定でいる(気の長い話・・・)。だから、今回はその可憐な花を見るだけにしておこう。 しかし、何故今頃になってスミレが咲くのか、一寸不思議である。花芽の分化は普通は日長で制御されるが、スミレは1年中花芽(「花」用の花芽と閉鎖花用の花芽)を作っている訳だから日長は関係ない。恐らく気温(平均気温 or 最低気温)がある値より低くなると、閉鎖花よりも普通の花を分化する様になるのだろう。コスミレの花.横から(2006/11/14) このコスミレは以前紹介したニワナナカマドの鉢に生えてきたものである。スミレはこう言うところが好きな様で、我が家の植木鉢の大半に色々な種類のスミレが「繁茂」している。 スミレ好きの私にとっては大いに結構なことだが、一見したところでは、手入れが悪くて雑草が生えている様にしか見えない。一寸みっともないが、別に人の評判を気にすることもあるまい。
2006.11.25
コメント(0)
しばらく虫の話ばかり続いたので、久しぶりに花を取り挙げることにした。と言っても今咲いている花は少ない。デュランタが相変わらず花を着けている他は、秋になって元気になったメドーセージ位なものである。 メドーセージはその濃い青紫色の花が気に入って買ったが、やはり西洋の花と言うのはバラと同じで、植物全体としての姿に風情がない。だから、今回は(も)花の写真だけである。 シソ科の多年草は、往々にして地下茎で矢鱈に蔓延る。昔庭が広かった頃、ハッカを一寸植えたらあっと言う間に10平方メートル位に拡がってしまった。こうなると庭草ではなく、厄介な雑草としか言い様がない。茶花を大切にしていた祖母が激怒し、駆除するのに数年を要した記憶がある。 このメドーセージも植えた次の年には、その許された領域を超えて芽を出し始めたので、危険を感じてただちに掘り起こし、植木鉢に移してしまった。 ところが、この涼しい気候を故郷とする植物を植木鉢で育てると、大きな問題を生ずることが分かった。夏になって気温が上がって来ると、全く生長を止めてしまうのである。当然花も着かない。地植えでは問題なく育つので、根の温度が上がるのがいけないらしい。 だから、夏を過ぎて涼しくなるとまた生長を始め、葉腋から芽を出し、今頃になって花を着けた。メドーセージの花(2006/11/12) しかし、御覧の様に花序はかなり小さい。写真としては物足りないので、花1個を接写してみた。メドーセージの花の拡大(2006/11/04) すると、何か凄い感じになった。何やら剛毛の様なものが沢山生えていて食虫植物の様にも見えるし、もっと想像を逞しくすれば、ヘビが毒牙をむき出しにしている様にも見える。花を解体してみたら牙の様なものは雌蕊の先端であった。メドーセージで吸蜜するホシホウジャク(2006/10/12) しかし、そんなことを考えるのは勿論人間だけで、虫は平気で吸蜜に来る。丁度ホシホウジャクがやって来た。ホシホウジャクは既に紹介済みだが、私の好きな虫なのでまた載せておく。
2006.11.14
コメント(1)
我が家の庭には秋に咲く花が殆どない。デュランタは相変わらず花を着けているが、他に咲いているのは雑草を除くと、この「シオンの1種」とホトトギス位しかない。 キク科の多年草は他にもあり、本来は今頃咲いているはずなのだが、今年は何故かすっかり虫に食われてしまって見る影もない。 この「シオンの1種」、北米原産のいわば雑草で、それ以外は名前も分からない、と言うか、忘れてしまった。園芸店で買った植物の名札は普通はとって置くのだが、探しても見当たらないところを見ると、「北米原産キク科の雑草」に名札なんぞ無用と思ったのかも知れない。 買ったときは、3号位の鉢に入れられた高さ20cm程度のものだった。しかし、植え換えたら次の年は高さ1m程に生長してしまった。どうやら矮化剤で処理してあったらしい。北米原産シオンの1種.咲き始め(2006/10/08) シオン属(Aster)か否かも多少の疑問はあるが、コンギク族(Astereae)であることは間違いないし、頭花の形態と色、筒状花、舌状花共に3mm程度の冠毛を持つことから、まァ、Aster sp.として良いだろう。もっとも、北米には日本に無い属があるかも知れない。北米原産シオンの1種.満開時(2006/10/18) この花に色々な虫がやって来る。これからは何回も此の花にとまっている虫たちが登場するであろう。シオンの1種.ハラナガツチバチの類がとまっている(2006/10/18) いや、もう既に登場しているのである。一番上の写真の左端上側の花には妙な幼虫がくっ付いている。この倍率ではよく見えないが、クサカゲロウの幼虫らしい。 3番目の写真のやはり左上にはハラナガツチバチの1種が写っている。 何れも後で詳しく取り上げるつもりでいる。
2006.10.21
コメント(0)
もう朝晩はかなり寒くなって来て、プラタナスやケヤキの葉も何かしら秋めいた色合いを帯びてきた。我が家の庭でもヤマノイモの葉の色が変わり始めた。 よく見てみると、ヤマノイモの蔓の先端には葉がなく、途中は黄色、根元に近い部分(まだこれが大部分だが)は緑色をしている。どうやら蔓の先端に近い方から徐々に黄葉し落葉するらしい。ヤマノイモのムカゴ.根元に近い部分はまだ緑色の葉を付けている(2006/10/10) 蔓植物というのはヤマノイモに限らず厄介なもので、園芸愛好家には目の敵にされるが、こうして見ると中々風情がある。ヤマノイモのムカゴ.すこし先端寄りでは既に黄葉している(2006/10/10) ヤマノイモと言えばムカゴが付くものと昔から相場が決まっている。まだ細い蔓なのにムカゴの方は長径1cm以上もありかなり大きい。小さい内からリッパに子孫繁栄に貢献している。人も見習うべきか?ヤマノイモのムカゴ.先端に近く葉はもう落ちている(2006/10/10) かなり以前(2006/09/12)にオニユリのムカゴを取り上げた。しかし、オニユリのムカゴは苦味があって余り旨いものとは言えなかった。 この写真のムカゴは食べるか否かまだ決めていない。恐らく食べないだろう。 子供の頃には庭が広かったから、ムカゴなど笊に一杯位採れ、よくお八つに食べたものである。懐石料理などでは珍重されるらしいが、大して旨いものでもないことはとうの昔から分かっている。
2006.10.15
コメント(2)
典型的な雑草でも、良く見てみると結構味わいのある草もある。 その一つがエノクログサ。旨く使えばチャンと生け花になる。他界した母が、他に適当な花のない時、よくこれを一輪挿しに生けていたのを思い出す。 エノコログサは俗に「ねこじゃらし」とも呼ばれる。ねこじゃらしとは巧く言ったもので、実際これを使って猫と遊ぶと面白い。エノコログサ.その1(2006/09/18) このエノコログサ、不幸にも盆栽風に育てているイロハモミジの植木鉢に生えた為、栄養も水も不足で生長が甚だ宜しくない。葉っぱが稈に向かって次第に細くなっているのでアキノエノコログサかと思ったが、苞穎の形態は全くエノクログサと同一なのでエノコログサとした。エノコログサ.その2.レンズのボケ味が良くない(2006/09/18) 雨の降った後だから細かい水滴が付いて綺麗に写ると思って撮ってみた。しかし、雨では水滴が大きすぎるのか余り綺麗に撮れていない。霧吹きか何かで細かい水滴を付ける手もあるが、マスコミではあるまいし、ヤラセはしないことにしている。
2006.09.30
コメント(2)
どうも狭い庭と言うのは困ったもので、花や木を植える場所は直ぐに無って、植木鉢が増え始める。しかし、植木鉢を置くところも直ぐに無くなって、仕方なく庭の飛び石の上に置いたりする。 結果的に庭の中に入り難くなり、雑草が蔓延ってしまう。雑草が多くなると、ヤブカが増えて尚更草取りをするのが億劫になる。雑草はいよいよ繁茂し、ヤブカも更に増える。 今年はこの悪循環に陥って雑草を大いに蔓延らせてしまった。 しかし、雑草と言ってもツメクサ、チドメグサとか、或いは、イネ科やキク科に属す多くの典型的雑草の他に、先日載せたヤブミョウガの様な雑草と庭草の中間に位置するものもある。ツユクサのその一つで、余り抜かないことにしている。ツユクサの花(2006/09/19) そうしていたら矢鱈に繁茂し、道を塞ぐ程になってしまったので、とうとう抜くことにした。しかし、一寸可哀想なのでその前に記念写真を撮ってやることにした。ツユクサの花(拡大)(2006/09/19) この花、何となく寂しそうな顔していると思いませんか?
2006.09.23
コメント(0)
家としては今の場所に80年前から住んでいるが、私自身は大学生になって東京を離れ、戻ってきてからも荷物が多すぎて部屋に入れず、実家から少し離れた所に住んでいた。今の家に戻ってきたのは両親共に他界してからである。 久しぶりに自分の庭の草取りをすると、昔は見なかった雑草が結構ある。その内の一つがヤブミョウガ。ミョウガの名がついてもショウガ科ではなく、ツユクサ科の植物だ。 実はヤブミョウガという名前を知ったのは、たまたま新聞紙上に記事があったからで、それまでは新しい帰化植物だと思っていた。昔は全く見た記憶が無いにも拘わらず、最近は自分の家ばかりではなく方々で目にする様になったからである。どうやらこれも、ツマグロヒョウモンやナガサキアゲハと同じく、温暖化による北上の結果らしい。ヤブミョウガの花と実(2006/09/03) 我が家の植物は春から初夏に花の咲くものが多く、真夏に咲くのはフヨウだけ、晩夏から初秋にかけても少なく、目立つのは虫集めの為に植えてあるデュランタ・タカラズカとカクトラノオくらいと言って良い。 ヤブミョウガは我が家にとっては雑草扱いだが、この時期は花が少なく殺風景なので、抜かないでそのままにしてある。種子と匍匐茎(スロトン)でかなり旺盛に繁殖するが、簡単に引っこ抜けるので心配は要らない。ヤブミョウガの花.直径1cmに満たない(2006/09/17) 白い花と白から青を経て段々黒くなってくる実の色の変化が結構面白い。花も直径1cmに満たないが、マクロレンズで撮ってみると中々可憐である。 今回の写真は花のみ、植物全体は他のサイトで見て欲しい。全体を撮ると今の我が家の荒れ庭状態が分かってしまうので、ここに出すのは止めにした。 自分では意識していないが、結構見栄っ張りらしい。
2006.09.18
コメント(2)
数年前のことである。昔庭に咲いていたオニユリがどうしても欲しくなった。しかし、最近の園芸店で売られているユリ類は、カサブランカの系統や名前も知らぬ外国で改良された品種ばかりで、インターネットで探してもオニユリの球根(鱗茎)を売っている店は見つからない。 そこで人様の庭からはみ出しているオニユリのムカゴ(珠芽)を頂戴してきて植えてみた。まァ、5年位すれば花の一輪位は咲くであろう、と気長な作戦である。 1年目は約25cmまで生長した。2年目は茎の径こそ5~7mmと細かったが、50cm以上に生長したので、来年こそは花が着くと思い、植木鉢を大きなのに代えた。 3年目、高さ2m近くまで生長し、ついに花が咲いた。それも1つや2つではなく、黒い点々のある真っ赤な花が賑やかに咲いた。 子供の頃、オニユリと言えばクロアゲハが来るものと、相場が決まっていた。そして、期待に違わず、チャンとやって来た。オニユリで吸蜜するクロアゲハ(2006/07/25) ユリ類は一般に根の温度が上がるのを嫌う。オニユリも植木鉢だと花が着く頃には下の方の葉は枯れて来るので、今年の秋に地植えにする予定。今は既に株によっては茎も殆ど枯れているが、ムカゴだけはシッカリ着いている。オニユリのムカゴ.これから3年で花が着く(2006/09/10) 山芋のムカゴが食べられるのだから、オニユリのムカゴを食べても問題は無いだろう。そこで写真のムカゴを全部収穫し、1分茹でて1分蒸らし塩をパラパラと振り掛けて、酒のつまみにしてみた。 オニユリの鱗茎は、ヤマユリと較べると苦味があるそうだが、ムカゴにも少し苦味がある。しかし、趣味にもよるが、苦味のある方が酒の肴に向いているかも知れない。ムカゴには既に根が出て来ているので、それがモヤシの様にシャキシャキする。 久しぶりに妙なものを食べてみた。しかし、まァ、特に旨いと言う程のものではなかった。
2006.09.12
コメント(2)
全35件 (35件中 1-35件目)
1