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2009.08.11
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カテゴリ: 昆虫(甲虫)


ハリブトシリアゲアリ かと思ったが、腹の辺りが少し膨れている。どうも別の虫らしい。

 早速、マクロレンズで覗いてみると、甲虫の1種であった。見たことのない虫、何となく、ゴミムシ的な体形をしている。

 こう言う小さい甲虫は種の判別が難しい。しかし、鞘翅に明らかな模様があるから、何とかなるであろう。


ヒロオビジョウカイモドキ(雌)1




雄の触角第1節と第2節は長く異常に膨らむ

(写真クリックで拡大表示)

(2009/08/06)

 データをコムピュータに移し拡大してみると、口は咀嚼型の様で少なくとも大顎は発達していない。ゴミムシ(オサムシ科)の類ではない。こうなると、もう何科か分からない。図鑑を端から見てゆくことになる。

 と言っても、カミキリムシ、テントウムシ、コガネムシ、タマムシ、ゾウムシ・・・等、明らかに該当しない科が多いから、それ程時間は掛からない。直ぐにジョウカイモドキ科オビジョウカイモドキ属( Intybia )の1種であることが分かった。ジョウカイモドキ科・・・今まで見たことのない虫である。体長は3.5mm。


ヒロオビジョウカイモドキ(雌)2


横から見るとかなり毛が生えている

(写真クリックで拡大表示)

(2009/08/06)

 ジョウカイモドキとは、ジョウカイボンに似ているから付いた名前と思う。このジョウカイボン(例えば セボシジョウカイ )と言うのは、カミキリムシに似た触角の長い細長い虫である(ジョウカイボンは鞘翅が柔らかいので、カミキリムシとの区別は容易)。そのジョウカイボンに似ていると言うのだが、図鑑を見ると、その多くはジョウカイボンとは余り、と言うより、殆ど似ていない。特にこのオビジョウカイモドキ類は、ジョウカイボンとはゼンゼン似ていない。全く、紛らわしい名前を付けるものである。

 日本産オビジョウカイモドキ属は7種の様で、その内本州に棲息するのは5種、しかし、ヒロオビジョウカイモドキ以外は皆かなりの珍種らしい。我が家は、東京都内のかなり大きな商店街から僅か150mの距離にある。珍種が居るとは考え難い。消去法により、自動的にこの虫はヒロオビジョウカイモドキ( Intybia historio = Laius historio )と相成った(九州大学の目録には、 Intybia 属は無く、全て Laius 属となっている)。


ヒロオビジョウカイモドキ(雌)3


胸部は腹部に較べて厚みがない.設定を間違えて撮ったので

解像力が低く、虫体を小さくしてある

(写真クリックで拡大表示)

(2009/08/06)

 このオビジョウカイモドキ属( Intybia )、並びに、その近縁であるイソジョウカイモドキ属( Laius )では、雄の触角第1節と第2節が長く異常に膨らんで面白い形になる。しかし、写真の個体は残念ながら雌、その部分が一寸膨らんでいるだけである。

 ジョウカイモドキの仲間には、花に集まる種類が多いらしい。「花粉などを食す」と書いてあるサイトもあるが、保育社の甲虫図鑑には「成虫、幼虫ともに肉食性」と書いてある。このヒロオビジョウカイモドキはどうかと言うと、明らかに捕食性と思われる。テントウムシと同じ様に、葉を一枚いちまい調べながら、忙しく走り回っている。徘徊型捕食性の典型的行動である。


ヒロオビジョウカイモドキ(雌)4


正面から見たヒロオビジョウカイモドキ.口は咀嚼型の様に見える

(写真クリックで拡大表示)

(2009/08/06)

 賢明な読者は気付かれたかも知れないが、このヒロオビジョウカイモドキも先日の ウスグモスズ ヒメテントウの1種(コクロヒメテントウ?) も、皆クチナシの葉裏に居た虫である。しかも、同じ日(2009/08/06)。

 2年前までは、オオスカシバの幼虫を駆除する為に屡々アース・ジェットをクチナシの株全体に噴霧していた。しかし、こうするとクチナシに居る虫が全滅してしまう。そこで、昨年からは出来るだけ殺虫剤を使わない様にしている。御蔭で、この3種以外にも ハリブトシリアゲアリ クロヒラタヨコバイ 等を撮ることが出来た。クチナシもハギに似て、色々な虫が様々な物語を繰り広げている舞台の様である。







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最終更新日  2009.08.11 14:15:06
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