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2009.11.12
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オオアブラムシ亜科の1種1


アブラムシの有翅虫.オオアブラムシ亜科の雄と思われる

翅端まで約10mmと大きいが、胴体は小さい

(写真クリックで拡大表示)

(2009/11/05)

 翅端まで約10mm、かなり大型の有翅虫である。しかし、体の長さはどうかと言うと、これが非常に短く約3.5mmで体長の僅か1/3程度、特に腹部が短く体全体の2/5位しかない。

 どうも雄の有翅虫の様である。雌ならば腹部がもっと大きいと思う。


オオアブラムシ亜科の1種2


同一個体.翅脈の基部が太く、翅斑(縁紋)が異常に大きい

(写真クリックで拡大表示)

(2009/11/05)

 横から見ると、翅脈の基部が矢鱈に太く、また、翅斑(縁紋)が異常なほど大きい。写真を撮っている時は、この太い翅脈と縁紋が胴体の続きの様に見えて、随分細長い変な腹部だと思った位である。


オオアブラムシ亜科の1種3


暗青色、飴色、黒色で中々渋い配色

(写真クリックで拡大表示)

(2009/11/05)

 調べてみると、こう言う翅脈上の特徴を持つのはオオアブラムシ亜科(Lachninae)の様である。余り自信がないが、大型でもあるし、一応オオアブラムシ亜科の有翅雄と言うことにしておく。


オオアブラムシ亜科の1種4


全体に比し腹部は如何にも小さい

(写真クリックで拡大表示)

(2009/11/05)

 拡大してみると、体は青味を帯びており、腿節の一部と翅脈基部が飴色(赤褐色)、脚のその他の部分は黒色で、中々良い色合いをしている。

 全農教の「日本原色アブラムシ図鑑」を見ると、ハネナガオオアブラムシ( Cinara longipennis )がこの様な特徴を持っている。しかし、図鑑に載っているオオアブラムシ亜科は僅かに8種、九州大学の目録を見るとオオアブラムシ亜科は51種もあり、オオアブラムシ属( Cinara )だけでも26種もあるので、そう簡単に決めつける訳には行かないであろう。


オオアブラムシ亜科の1種5


正面からみた顔.アブラムシは一般に虫相?が悪い

(写真クリックで拡大表示)

(2009/11/05)

 雄は晩秋にしか現れない。最近の理科の教科書は読んだことはないが、昔の教科書に書かれていたアブラムシの生活環は次の様である。春に卵から孵った雌(これを幹母と言う)は単為生殖で仔虫(無翅胎生雌)を産み、仔虫は成長してまた単為生殖で増殖し、世代を重ねる(無性世代)。これが晩秋になると雄と有性雌を生じ、有性雌は雄と交尾の後、越冬卵を産む(有性世代)(しかし、実際には多くのパターンがあり、こんなに簡単では無い。個体群により異なる複数のパターンを持つ種もある。如何に簡単でないかは、到底此処で書き切れるものでは無いし、また、私の理解にも限りがあるので、それなりの専門的な書籍(例えば、東京大学出版会の「アブラムシの生物学」等)を参照していただきたい)。


オオアブラムシ亜科の1種6


翅を拡げたアブラムシの有翅虫

(写真クリックで拡大表示)

(2009/11/05)

 この雄には、種によって有翅形、無翅形、或いは、その両方と色々あるが、有性雌の方は私の知る限り全て無翅形である。雌の方は、有性雌を胎生で産む産雌虫が有翅形になることが多い(無翅の場合もある)。

 今はワタムシ(雪虫)の飛ぶ季節である。このワタムシ(タマワタムシ亜科)の場合はどうかと言うと、この有翅虫は産性雌と呼ばれる胎生雌で、これが無翅雄と無翅有性雌の双方を胎生で産み、生まれた無翅有性雌が無翅雄と交尾して産卵する(ただ1個のみ!!)。雪虫には雄は居ないのである。


オオアブラムシ亜科の1種7


飛び出す直前.この後少し引いて撮った写真はピンボケであった

(写真クリックで拡大表示)

(2009/11/05)

 この写真の有翅虫、翅ばかり大きくて余り旨く飛べそうにも見えない。しかし、ストロボの光を何回も浴びて身の危険を感じたらしく、時々翅を拡げる動作をした。雲の多い日の早朝であり、しかも場所はかなりの日陰だったので、まだ気温が低くて飛べないだろうと思って油断していたら、何とチャンと飛んで逃げた。しかし、普通のアブラムシの有翅虫とは異なり、ウスバカゲロウの様な何とも頼りない飛び方。翅が体に比して大き過ぎる?のでこう言う飛び方になってしまうのであろう。







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最終更新日  2009.11.12 12:50:30
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