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2010.01.24
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 今日もまた植木鉢の下に居た生き物を紹介する。但し、多毛類や訳の分からぬ奇怪な代物ではなく、蚊の1種である。植木鉢の底にある隙間から入り込んで越冬していたらしい。

 体長は3mm強、翅端まで約4.5mm、ガガンボを小さくした様な虫である。この様な外見を持つ虫は、双翅目糸角亜目(広義の蚊の仲間)の色々な科に属すものが居て、その扱いに慣れていない者には厄介な存在である。私もその「慣れていない者」の一人なので、シッカリ苦労させられる羽目になった。

 尚、翅が青いのはストロボの反射による構造色ではなく実際の色で、肉眼でも青い翅をしているのが認められた。



Lestremiini族の1種1


タマバエ科のLestremiini族の1種.「ハエ」と付いても蚊の仲間

翅が青いのは構造色ではなく、本来の色

(写真クリックで拡大表示)

(2010/01/11)

 こう云う訳の分からぬ虫を調べるには、検索表を辿るのが一番である。保育社の図鑑にある双翅目の検索表では、タマカ科(タマバエ科:Cecidomyiidae)に落ちた。しかし、其処に描かれている翅脈図は写真の虫の翅脈とは大いに異なる。その図ではM脈が1本でCu脈(実際はM3+4脈)に殆ど接しており、しかも点線で描かれているところを見ると、痕跡程度に弱いらしい。一方写真では、翅全体が微毛に被われていて分かり難いのだが、M脈の存在は明確でCu脈とは離れており、また、途中で2本に分かれているのが認められる。これだけ違えば、タマバエ科(タマカ科)ではないだろう。

 こう云うのに一番近い翅脈を持つのは、 クロバネキノコバエ 科(クロカ科、クロキノコバエ科:Sciaridae、「ハエ」と付いても広義の蚊の仲間)である。しかし、この科の連中は、脛節端に明確な距(棘の様なもの)を持つ。写真の虫にはその様なものは見えない。また、「The European Families of the Diptera」に拠ると、クロバネキノコバエ科の触角は16節とあるが、写真からはとても16節あるとは思えないし、ブラッシ状に毛が生えている。更に、クロバネキノコバエにしては脚が細長過ぎる。



Lestremiini族の1種2


余り質の良くない写真だが、背面からの写真1枚だけでは寂しいので

もう1枚斜め横からのを載せることにした

(写真クリックで拡大表示)

(2010/01/11)

 其処で、例によって「一寸のハエにも五分の大和魂」(このサイトは暫く閉鎖状態になっていたが、平成21年11月9日からURLを変更し「一寸のハエにも五分の大和魂・改」として再開されている)の御世話になることと相成る。対応して下さったのはアノニモミイア先生で、翅脈相が不明瞭な写真なので断言は出来ないが,タマバエ科のLestremiini族の1種(雌)ではないかとの御話。この仲間は寒冷期にもよく活動し、翅脈相はかなりクロキノコバエのものと似ているが,前縁脈の位置などが異なるとのこと。Lestremiini族に属す Lestremia 属の翅脈図も提示して下さった。調べてみると、タマバエ科の翅脈相には、クロバネキノコバエに似たものの他に、様々なパターンがあることが分かった。

 危ないところであった。もう少しで「クロバネキノコバエ科の1種」として掲載してしまうところであった。くわばらくわばら。科を間違えると云う重大過誤を犯さずに済んだのは、一意に「一寸のハエにも五分の大和魂・改」の存在とアノニモミイア先生の御蔭である。

 ところで、タマバエ科と云うとその幼虫が虫えいを作ることでよく知られている。しかし、それはタマバエ科の一部であり、普通に植物を食したり、リーフマイナー(leaf-miner:絵描き虫)となるもの、キノコや腐植を食べるもの、捕食性のものなど様々である。このLestremiini族の幼虫は、アノニモミイア先生の御話では、腐植を食べるとのこと。腐植物の多い植木鉢の下に居たのも、幼虫時代の食性と関係があるのかも知れない。







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最終更新日  2010.01.24 18:51:40
コメント(8) | コメントを書く


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Re:Lestremiini族の1種(タマバエ科)(01/24)  
Mitch29  さん
この寒さでも探せば虫はいるものですね。
先週の日曜日にも散歩をしていたら、蚊柱が立っていました。ユスリガですかね?
(2010.01.24 20:36:12)

Re[1]:Lestremiini族の1種(タマバエ科)(01/24)  
Mitch29さん
>この寒さでも探せば虫はいるものですね。
-----
 越冬中の虫は探せば結構居ます。我が家では殆ど見つかりませんが、樹皮下や木の葉の裏側、朽ち木の下、草の根際などに居ます。もう一つのWeblog「成城の動植物」(http://wolffia.cocolog-nifty.com/blog/)では写真を撮り過ぎて掲載が追い付かない程です。一回出掛けると数種を見付けることが出来ます。但し、5mm以下の昆虫が大半です。

>先週の日曜日にも散歩をしていたら、蚊柱が立っていました。ユスリガですかね?
-----
 今頃の蚊柱の多くはユスリカと思いますが、このタマバエ科やガガンボダマシ科、ハネカ科その他多くの科に属す昆虫(双翅目糸角亜目)も蚊柱を作ります。大きめの虫であれば、ガガンボダマシやタマバエ類の蚊柱の可能性が高いです。
(2010.01.24 21:37:30)

Re:Lestremiini族の1種(タマバエ科)(01/24)  
クーン43  さん
冬なのにこんなにきれいなムシがいるんですねぇ。鉢の中や下で寒さをしのいでいるんですね!まだまだ新顔さんがでてくるのでしょうか?これからどんなムシが紹介されるのか楽しみです。

フウを教えてくださってありがとうございました。面白い実に目がいってしまい、どんな木から落ちた実なのか確認することを怠ってしまいました。さっそくブログを修正しました。
(2010.01.24 22:25:53)

冬の虫  
ノンケン さん
冬に虫を見かけると何を食べてるのか気になります。
蚊の仲間ということは何かの汁ですか? (2010.01.24 22:35:09)

タマバエ科の  
snowrun29  さん
山歩きをしてると結構よく見かける「虫こぶ」。

中を割って見てもあまり嬉しくない形状のものが、で
(しかもとても小さいし)
再々割りたくないと思ってしまいますし
「絵描き虫」にしても、で成虫はどんな?でした。

あの仲間にこんな美しい成虫になるのもいるんですね。 (2010.01.24 22:54:29)

Re[1]:Lestremiini族の1種(タマバエ科)(01/24)  
クーン43さん
>冬なのにこんなにきれいなムシがいるんですねぇ。鉢の中や下で寒さをしのいでいるんですね!まだまだ新顔さんがでてくるのでしょうか?これからどんなムシが紹介されるのか楽しみです。
-----
 うーん、中々綺麗な虫は出ないと思います。

>フウを教えてくださってありがとうございました。面白い実に目がいってしまい、どんな木から落ちた実なのか確認することを怠ってしまいました。さっそくブログを修正しました。
-----
 私は(主に海外で)面白い実や種子を見付けると拾ってくる習性があるので、色々溜まっています。フウもその一つでした。
(2010.01.25 06:28:43)

Re:冬の虫(01/24)  
ノンケンさん
>冬に虫を見かけると何を食べてるのか気になります。
>蚊の仲間ということは何かの汁ですか?
-----
 良く分かりませんが、この連中は恐らく何も食べないのでは? 鱗翅目の幼虫でも、越冬中は勿論、春になっても一切摂食せず、その儘蛹化、羽化する種類が結構居る様です。

(2010.01.25 06:31:03)

Re:タマバエ科の(01/24)  
snowrun29さん
>山歩きをしてると結構よく見かける「虫こぶ」。
>中を割って見てもあまり嬉しくない形状のものが、で(しかもとても小さいし)
>再々割りたくないと思ってしまいますし
>「絵描き虫」にしても、で成虫はどんな?でした。
-----
 虫えいも絵描き虫も、犯人は非常に広い範囲に亘っているので、中から出て来る幼虫は形態的にも様々です。キジラミやグンバイムシでも虫えいを作るものがあります。

>あの仲間にこんな美しい成虫になるのもいるんですね。
-----
 まァ、肉眼で見た感じは単なる冴えない蚊ですが、そう言う類の虫でも拡大すれば結構見られるものです。
(2010.01.25 06:35:28)

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