Pastime Paradise

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2008.04.23
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カテゴリ: 書籍・雑誌
北方謙三 さんの「 水滸伝 」(文庫本全19巻)を味読した。
 いつの頃からか早死願望のようなものがあり、いつ死んでもいいや…と生きている(といっても決して自殺願望があるわけではなく、与えられた生はキチンと全うしたい)ものの、この本を読み終えるまでは絶対に死にたくないと思った。自分の方が早く死ぬと思っているので、だんなさんの生命保険金額の倍以上を自分に掛けているが、この本を読んでいる途中にちょっとそれを後悔した。
 おそらく私は死ぬ時に、この物語で果敢に散っていった豪傑達の死様を思い起こすことだろう。それくらい、面白い本だった。

 …なんて仰々しく書いたが、元々「水滸伝」が大好きで、学生時代から何度も読んだ。
「水滸伝」とは、北宋時代末期、汚職官吏たちがはびこる世相のため世の中からはじき出された英雄好漢たちが 梁山泊 と呼ばれる自然の要塞に集まって無法者の集団を形成し、やがて悪徳官吏を打倒し国を救う事を目指すという物語である(Wikiさんより)。
 おおッ、なんて胸のすくような話!などと思うのは早計で、水滸伝の結末は悲劇だ
108人の豪傑達 は、招安を受けて朝廷に帰順したものの、異民族や叛徒の討伐軍を率いての連戦に継ぐ連戦で次々と命を落とし、ついには滅びてしまう何とも胸の痛む話である。

 そんな元来の水滸伝を、全くといっていいほど違うかたちにしてしまったのが北方版水滸伝だ。
どちらが優れているかなどは比べようもないが、北方版のいい所は、108人の豪傑一人一人を丹念に書ききっているところだろう(特に死様)。
 原本では当然ながら全ての豪傑にスポットがあたっているわけではなく、 豹子頭林冲 九紋竜史進 花和尚魯智深 青面獣楊志 浪子燕青 など、難なく名前が思い浮かぶのは三分の一程度だったが、北方版を読んでからは、108人ほぼ全ての名前と人物像をすんなり思い描くことが出来る。

 弁慶よろしく、強敵を100人倒してもなお地に立っていたという強烈な死様で、超級インパクトを与えてくれた。みなし児を拾い、 楊令 と名付けて育てるエピソードも北方版オリジナルだが、この楊令が後に重要な役割を果たし、北方版「水滸伝」の続編である「 楊令伝 」へと受け継がれる。
 他に、原作では何とも思わなかった 没遮欄穆弘 混江龍李俊 毛頭星孔明 醜郡馬宣贊 などにも北方版では心惹かれ、また敵方も非常に魅力的だった。

 但し、北方版では性描写が多く、若干辟易した。まあ100人ほどの男がいれば確かにそうなるだろうが、それにしてもなあ…(^^ゞ 
で、決まって相手の女性は“顔から首筋、胸元までだんだん紅潮する”のだ。そういうもんなの?

 はじめに自分が死ぬ時彼等を思い起こすと書いたが、初めての出産を迎えたとき、私は思い浮かぶかぎりの母親達(実母であったり祖母であったり、「 めぞん一刻 」の響子さんであったり…)を頭に描き、自分も何とかなるだろうと落ち着かせた。そして息子が生まれた時、生命の誕生とはこれほど呆気ないものなのか!と驚いた。同時に、生命の終焉もまた同様に呆気ないものだろうと思った。
 水滸伝では、特に北方版では大勢の豪傑達が壮絶ではあるが切ないほど呆気なく、次々と死んでいく。その死様の描写が実に秀逸で、思わず引き込まれてしまう。
 興味のある方は、老後の退屈しのぎにでも読んでみられることをおすすめしたい。
早死したいなんていうヤツに限ってきっと長生きするだろうから、私もばーちゃんになって時間を持て余すようになったら、もう一度、二度、三度じっくり読み直してみようっと。





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Last updated  2008.04.23 19:31:52 コメントを書く
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