HANNAのファンタジー気分

HANNAのファンタジー気分

December 20, 2024
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カテゴリ: 気になる絵本
かこさとし『かっぱとてんぐとかみなりどん』 再版の重版、のお知らせが来ました。あら、覚えのあるタイトルだけどなんかちょっと違うと思ったら、私の知っているのは 『えばなしのほん』 (童心社、初版は昭和42年!)に収録された古いバージョン 「てんぐとかっぱとかみなりどん」 でした。『えばなしのほん』を繰り返し読んで育った私はどのお話も好きでしたが、中でもこの話は面白いだけでなく構成がきっちりと整っているので、昔話の再話だろうと感じていました。が、じつはかこさとし作だったんですねえ(作者名が漢字で「加古里子」だったので、長らく読めなかったのです)。

 冒頭から、山のふもとに沼、そのほとりに杉の木、とカメラをズームするように景色が細かくなっていきます。その杉の木に天狗、沼に河童、山に雷が居ると、順番に今度はカメラを引いていくように紹介されるので、タイトルも「てんぐとかっぱとかみなりどん」という順番だと思っていたのですが…
 作者がタイトルの順番を変えたのには何か理由があったのでしょうね。このお話は紙芝居に絵本にと長年楽しまれて、現在は文も一部変わっているようです。

 ストーリーはもちろん、文体のリズムの良さがすてきで、若いころ暗記してストーリーテリングで語ったことがあります。

  えっちら お日さま おっちらさ


と、すみやきのとうべえさんが山を登ってくると、

  すみやきとうべえ、ちょっと まてー

とまるで歌舞伎の舞台ぜりふみたいな声がして(と私は想像しました)、天狗に河童に雷どんが次々と無理を言う。三人で三回繰り返しがあるのも、昔話の典型にのっとっていてリズミカル。読んでいても聴いていても、また出たぞ!と楽しめます。それにしても、とうべえ自身でなく息子のほっぺたやおへそや足をよこせ、とは、人外の三人の要求はひどいですね。
 でも雷はおへそを取るものだし、佃煮や味噌漬けにして食べるというのですから、彼らなりの生活というか食文化というわけですね。ただ困らせて楽しむいじめみたいなのとは違うので、憎悪というより畏怖の対象かなと思います。

 ともあれ、炭焼きとうべえは、

  えっちら こまった おっちらさ
  えっちら よわった おっちらさ

と帰宅しますが、このあと息子のとうへいが、一休さんやきっちょむさんのような頓知で難を逃れるばかりか、人外の三人を鉢合わせさせてやっつけます。
 『えばなしのほん』ではクライマックスの、三人が衝突するところは絵だけです。誰が何をどう勘違いして衝突したかは絵で分かります。
 さらに、衝突でどんな音がしたろうか、どんなすごい衝撃だろうかと想像するのが楽しかったのを覚えています。ストーリーテリングの時はさすがに説明が要るということになり、衝突も確かドッカーンとかグワッシャーンとか、適当な擬音をつけて語りました(現在の絵本や紙芝居ではこのあたりが詳しくなっているようです)。



  てんぐどんは はなを こがすし、
  かっぱどんは せなかに 大やけど、
  かみなりどんは なきべそを かいて、
  むちゅうで にげて いきました。

という終わり方。直接ボコボコにしたり殺したりするのでなく、早とちりの自業自得で自滅させる、的なやっつけ方で、読後感がよいですねえ。


 架空の舞台設定に架空の登場人物が、面白おかしく、わくわく楽しい、どきどき怖い、そんな冒険を繰り広げる物語は、その場で楽しむエンタメ性も重要ながら、もっと深い効用があると思います。特に昔話は繰り返し語られます。もう知っている話でも、何度も読む聴く、そのうちに意識深くに刻みこまれ、人生のいろんな場面で直接にも間接にも、意識的にも無意識にも、ふと浮かび上がって役に立つ…そういうのって素晴らしい。
 そのためにも、こんなにリズミカルな美しい構成のお話を、声に出して何度も楽しむことを、大人にも子供にもオススメしたいです!





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Last updated  December 20, 2024 12:39:26 AMコメント(0) | コメントを書く


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