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2010.01.30
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歎異抄の続きである(これは、野間宏さんの本から引用している)

今日は第二章である。(少し長い)

本文は以下のごとし、

第二章

一、おのおの 十余ケ国 のさかひをこえて、身命(しんみよう)をかへりみずしてたづねきたらしめたまふ御(おん)こゝろざし、ひとへに 往生極楽 (おうじょうごくらく)のみちをとひきかんがためなり。

しかるに、念仏よりほかに往生のみちをも存知(ぞんち)し、また 法文 (ほうもん)等をもしりたるらんと、 こころにくゝ

もししからば、 南都北嶺 (なんとほくれい)にも ゆゝしき学生 (がくしよう)たち、おほく座(おわ)せられてさふらふなれば、かのひとびとにもあひたてまつりて、往生の要(よう)よくよくきかるべきなり。

親鸞におきては、ただ念仏して弥陀にたすけられまひらすべしと、 よきひと のおぼせをかふむりて信ずるほかに、別の子細(しさい)なきなり。

念仏はまことに浄土(じょうど)にむまるるたねにてやはんべるらん。

また地獄におつべき (ごう)にてやはんべるらん。

惣(そう)じてもて存知せざるなり。

たとひ法然聖人にすかされまひらせて、念仏して 地獄 におちたりとも、さらに後悔(こうかい)すべからずさふらふ。



いづれの行もおよびがたき身なれば、どても地獄は一定(いちじよう)すみかぞかし。

弥陀の本願まことにおはしまさば釈尊(しやくそん)の説教虚言(きょごん)なるべからず。

仏説(ぶつせつ)まことにおはしまさば善導(ぜんどう)の御釈(おんしやく)虚言したまふべからず。

善導の御釈まことならば法然のおほせそらごとならんや。

法然のおはせまことならば親鸞がまふすむねまたもてむなしかるべからずさふらうか。



このうへは、念仏をとりて信じたてまつらんとも、またすてんとも、面々(めんめん)の御はからひなりと云々。

訳文は次のようである。

一、それぞれのかたが、関東からはるばる十以上もの国々の境をふみこえ、命がけでここまで御来訪くださった志は、ただただ極楽往生の道を問いただそうがためである。

ところが、もし、念仏のほかに別な往生の方法をも知っており、また経典のだいじな文句などをも知っているのではないかと、なにかこの親鸞を奥ゆかしい別なものとしてお考えになっておられるのでしたら、それこそ大きなまちがい。

もしも、そういうこむずかしい教理でも聞きたいということであるならば、あの奈良や比叡の寺々にも、さも御立派そうな学者たちが大勢おいでになることなのだから、そういう方々になりともお会いになって、往生の要領をとくと聞かれるがよい。

この親鸞にあっては、「ひとすじにただ念仏をとなえて、弥陀におたすけいただくこと」といわれた、わが師法然の言葉を言葉そのままに聞き受けて信じるだけで、そのほかに格別いいたてるような事柄ほないのである。

「念仏は、わが一門がずっと言って来ているようにまちがいなく浄土に生まれるためのありがたい要因たりうるものでしょうか。

それともまた逆に世の他の宗派の言いふらしているように、地獄に落ちなくてはならない行ないにすぎないのでしょうか。」

そんなせんさくなど、まったく自分のあずかり知らないところなのである。

それだから、かりにも万一、法然上人のお言葉にだまされて、念仏をとなえ、地獄に落ちるようなことになったとしても、なんら後悔などすることはないのである。

というのは、もし、念仏いがいの修行にはげむことで仏になるほずであったものが、念仏をとなえることで地獄に落ちたというのであったら、これこそ、「法然上人の言葉にだまされてしまって」といった後悔も生まれようが、どんな修行もいっさい不可能なこの自分のこと、どっちにころんでも地獄こそが、すでにきまってしまっているわが住み場所というものなのである。

弥陀の本願が真実であらせられるからには、釈尊の説かれた教えがいつわりであるはずはない。

仏としての釈尊の教え説かれた経典が真実なものであらせられるからには、それにもとづいた善導の経典注釈がまちがったことを述べているはずもない。

善導のその注釈がほんとうであるからには、どうして法然のおっしゃったことばがいつわりごとになりえようか。

法然のおっしゃったことがほんとうであるからには、ただいまこの親鸞が申すことも、これまた、決してむだであるはずはありますまい。

要するに、この親鸞の心に信じるところでは、以上に申し述べたとおりなのである。

だから、これからあとは、念仏を自分のものとして信じ申されようが、または捨てさられようが、それはみなさんめいめいの御決断しだいだということになる。―――このようなお言葉であった。

注釈には以下のように書かれていた。

1 十余ケ国  関東から京都へ行くときの通り道であった、常陸・下総・武蔵・相模・伊豆・駿河・遠江・三河・尾張・伊勢・近江・山城など十二にわたる東海道すじの国々。

2 往生極楽  「極楽」は浄土と同じで、苦悩をさって、すべての楽しみを受けられる国。十万億のさまざまな仏の国を越えて、さらに西方のかなたにあるという。

3 法文  仏の教えを文章に書きとどめたもの。

4 こころにくゝ  まだ何か深い考えがありそうに、東国から来た人々には見える親鸞のようす。

5 南都北嶺  南都は奈良の興福寺、北嶺は比叡山の延暦寺を指す。京都を基準に南北という。

6 ゆゝしき学生  りっばで普通でない学者。しかし、このわれわれの苦悩をどうするかにほあまり関係のないことをやっているという疎遠感を底にひめている。

7 よきひと  法然のこと。「よき」とは深いところで直観的に師弟が結びつくところから出てくるもので、ここには、その敬愛にみちた追慕の念が感じられる。

8 地獄  生前悪いことをした者が死後に落ちてさまざまな苦しみを受ける所。

9  単なる行為をいうのが本来の意味であったが、因果思想と結びついて、一つの行為はかならず善悪・苦楽のいずれかの結果をもたらすという、行為とその将来の結果とのつながりに重点がおかれるようになった。

10 法然聖人  法然は号、実名は源空。長承二(1113)年から建暦二(1212)年までの人。承安五(1175)年浄土宗を開く。主著は『選択本院念仏集』。

11 すかされ  だまされ。おだてられ。

12 とても  とてもかくても(とありてもかくありても)の略。どっちにしても。

13 一定  一方にきまった。決定的な。

14 釈尊  釈迦牟尼世尊の略。仏教の開祖。釈尊は教えを文章としては一字も書き残さなかったが、亡くなるとすぐ、迦葉(かしょう)を中心とする阿難(あなん)・憂波離(うばり)などの弟子にょり、経・律としてその教えがまとめられ制定された。

15 善導の御釈  善導(613-681)は唐代の高僧で、中国浄土教の大成者。「釈」とは、仏説である経、菩薩の著述である論につぐ、高僧の著述という意味で、ここでは『観無量寿仏経疏』(四巻)を指す。この著が日本浄土教を生むはたらきをしている。

16 愚身  謙遜の自称。

逐次訳は別として、要は、

みんなが、天国へ行くための方法を聞きに来るのだが、念仏より他に何か方法があるのだろうと思っているのならそれは大きな間違いで、そんなことがあるなら、奈良の興福寺や京都の延暦寺に偉い坊さんに聞いたらいい。

とにかく念仏を唱えなさい、其れ以外にはありません。そしてそれが唯一の道であり、よしんば私の法然師匠が間違っていたら、それは弥陀のみが知ることで、それ以上言いようがない。

あの釈尊が説かれた「弥陀の本願」に誤りはないのだから、それを説く経典が間違っているはずもない。従って、それを基にした善導の解釈も嘘ではなく、従って法然の教えも又間違っては居ない。

したがって、この私(親鸞)の言うことが間違っていないのです。

と言う具合に三段、四段論法で正しさを証明しているのだが、念仏することがよいか悪いかはみんなで判断して下さいと言っている。

寺からまた「如是」が送られてきた。冒頭、真宗大谷派改革の推進者、訓覇信雄師の話が載せてあった。
晩年に、「もう長くない人生、自己とはなんぞやと言う人生の根本問題を探る道を歩んでいきたい。同和問題や靖国問題に関わっている暇はない」と言って物議を醸したそうだ。

寺は批判的な論調であったが、所詮は坊主、自らの煩悩を払えず悟り得ていないということを告白しているわけで、正直と言えば正直だが、これが無常というものかと思う。





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Last updated  2010.01.31 07:00:30
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