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いよいよ無類のケンカ好き、イシゲンの順番が回ってきた。僕たちにとって、イシゲンの実力は未知数だった。上級生チームからは、暴れ双生児2号こと双子の弟”勇次”先輩が出てきた。「兄貴はアカンのぉ。新入生に負けてどないするんじゃ、ヘボすぎるねん」奈良の大仏のようなパーマ頭のとてつもなく恐ろしい顔をした勇次先輩が言った。一卵性双生児なだけあって、兄の勇一先輩と見た目は瓜二つなのだが、大きく違う点は、鼻の下にホクロがある事と、その類まれなる凶暴性だ。勇一先輩より数倍も凶暴だった。とにかく後先関係なしに見境なくケンカをするので、「触らぬ勇次に祟りなし」と言われ、近所の中学でも有名だった。「おぅ、コラ、このくそ一年坊主。俺は兄貴みたいにいかんど。キャンキャンにいわしたるから覚悟せーよ」「あぁ?何えらそうにゆうてるねん。鼻クソつけて凄まれても全然怖ぁないんじゃ」これはいけない。イシゲンは触れてはいけない場所に触れてしまった。確かに勇次先輩の鼻の下のホクロは鼻クソのように見える。しかし、それは勇次先輩を知る者の間では、決して触れてはいけない事だった。イシゲンはO小学校出身なので、その事を知らないようだった。”知らぬが仏”素晴らしい言葉である。 勇次先輩はプルプルと怒りに震えていた。「何やとワレぇ…。もういっぺんゆうてみぃ…」「おぅ、何べんでもゆうたるわぃ。鼻クソ、鼻クソ、鼻クソ、鼻クソ!もっとゆうたろかぃ」 チャラチャチャッチャッチャ~イシゲンの一言で勇次先輩はレベルが上がった。凶暴性が5増えた。”見境なしモード”に突入した… レベルアップした先輩は、イシゲンの腹めがけて思いっきり蹴りを入れた。イシゲンはその勢いで後ろにブッ飛んだ。「その程度かぃ、鼻クソ先輩。全然痛ぁないどぉ」蹴られた腹を押さえながら、イシゲンは立ち上がった。 チャラチャチャッチャッチャ~その言葉で再び勇次先輩のレベルが上がった。凶暴性が更に10増えた。これ以上レベルアップすると、攻撃魔法を覚える恐れがあるので注意が必要だ。「口の減らんボンクラやのぉ…二度としゃべられへんようにしたるわぃ」勇次先輩は鬼のような形相で、起き上がろうとしているイシゲンに対し、二発目の蹴りを放ったのだった… …つづく ★人気小説ブログ←よろしければクリックお願いします
2008/01/30
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「この勝負、勇一先輩の勝ちですぅ。それでは新入生チームの次鋒、出てきて下さい」中井先輩が言った。次はノンさんの番だ。「やっぱり強いなぁ。いけるかなぁ…」ノンさんはそう言いながらリングに入った。 ノンさんはどんな時でも常に冷静沈着で、まず自分の頭の中で計算をし尽くしてから行動するタイプだった。そんな彼の事を、僕たちは”怒れる電子計算機”と呼んでいた。しかしごくまれに、もの凄くブチ切れて、計算も何もお構いなしで暴れまわるときがある。そんな時の彼は、”壊れる電子計算機”と呼ばれていた。そんな”壊れる電子計算機”バージョンのノンさんは、恐ろしいほど怖いのだ。「ほぅ、次は野田の番かぃ。お前は鮫よりちぃとは強いんやろなぁ、楽しませてくれよ。どっからでもええから、かかって来なさい」野田とはノンさんの苗字だ。「いやぁ、そんなに期待せんといて下さい。僕そんなに強ないですから」ノンさんはそう言うと、なにやらブツブツと言い始めた。 ”怒れる電子計算機”が作動しはじめたようだ。計算が始まるとノンさんはブツブツ言う癖があった。しばらくその状態が続いた。ノンさんはブツブツ言うだけで、かかって行こうとはしなかった。「何ブツブツ言うとるんじゃ、やる気ないんかボケぇ」その状態に痺れを切らした勇一先輩が、ノンさんの胸ぐらを掴んだ。「計算中にうるさいねん。わけわからんようになったやろがぃ」”怒れる電子計算機”は思わぬ障害のため、計算不能となってしまったようだ。 パチン…。その瞬間に”怒れる電子計算機”が”壊れる電子計算機”に切り替わった。こうなれば怖いものなしだ。 グシャァァ…次の瞬間、ノンさんのパチキが胸ぐらを掴んでいた勇一先輩の口元にめり込んだ。「うごぉぉ…」勇一先輩は口元を押さえのけぞった。口からは大量の血が流れていた。 しかし、それと同時にノンさんの額からも血がふき出した。放ったパチキが勇一先輩の前歯に当たったようだ、額はものの見事にパックリ割れていた。それでもノンさんは攻撃を止めなかった。何度も何度もパチキを喰らわせ続けた。”怒れる電子計算機”はやはり恐ろしかった。ノンさんの額から流れる血と、勇一先輩の口から流れる血が混ざり合って、まさしく血みどろ状態だった。「ノンさん、もうやめとけ。出血多量で死んでまうど!」その状態を見かねたテツが言った。 しかしそんな声など聞こえないのか、攻撃を一向に止めようとはしなかった。「野田、もうええ。勇一の負けや、それくらいで止めとけ!」トッちゃん先輩の一喝が入った。さすがのノンさんも、その王様の一声で我に返ったようだ。「ふぅ、ふぅ…。計算の邪魔しやがってボケぇ…」そう言うと、ノンさんはその場に倒れた。 僕たちはすぐさまノンさんに駆け寄った。パックリ割れた額からは、血がダラダラと流れていた。さすがにケンカを続けるのは不可能な状態だった。額の傷口をタオルで押さえ、出場メンバーに入ってない小田と塚本に、ノンさんを家まで送らせることにした。一方の勇一先輩は、前歯が一本ポッキリと折れていた。しかも、抜けてしまっているのではなく、歯の半分が折れてしまっていた。大人になった今でも、その半分折れた歯は、勇一先輩の口でキラリとひかり輝いている。彼は「いつかは伸びて元に戻るやろ」といい続けているが、んな事はあるわけない。 二回戦は、ノンさんの健闘むなしく、痛み分けに終わってしまった… …つづく ★人気小説ブログ←よろしければクリックお願いします
2008/01/26
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勇一先輩と鮫島の二人は上着を脱ぎ向かい合った。「おぅ鮫ぇ、お前ちゃんとケンカ出来るんかぃ。ハッタリだけやったら俺には勝てんどぉ。せいぜい頑張れよ」勇一先輩がバカにしたように笑いながら言った。「そんな事わかってますよ、一生懸命頑張りまっさかい、勇一先輩も油断せんとって下さいよ。ハッタリばっかりやと思ったら大間違いですよぉ」「忠告ありがとさん。そやけどえらい強気やのぉ、俺にボコボコにされてもパパにはチクらんといてくれよ。お前は大した事ないけど、パパはややこしいからのぉ」 それを聞いた鮫島の顔が急に険しくなった。彼は父親の事を口にされるのを異常に嫌っていた。「あぁ?オヤジに何の関係あるんじゃぃ。グジャグジャうるさいんじゃ、この腐れウインナーが!」双生児の間違いである。 鮫島はブチ切れて殴りかかった。久々に鮫島のハッタリじゃなく、本当のケンカを見れると思い、僕もワクワクしていた。 ゴッ…。鮫島の一発が勇一先輩の右頬にヒットした。 ナイス先制攻撃だ。ケンカは先に手を出した方が圧倒的に有利なのだ。「痛いやんけ、鮫ぇ~。覚悟は出来てるんやろなぁ」勇一先輩が殴られた頬をさすりながら言った。渾身の一発だったようだが、あまり効果がなかったみたいだ。「覚悟なんかとっくに出来とるわぃ。オドレこそハッタリばっかりちゃうんか」 鮫島は続けざまに殴りかかった。二発目も見事に顔面にヒットした。しかし、この一発もあまり効いてなかった。勇一先輩は首を左右に振り、コキコキと鳴らしながら鮫島に近づいてきた。「んならそろそろ反撃させてもらうど」 そう言うと勇一先輩は鮫島の髪の毛をわし掴みにし、アゴめがけて右アッパーを叩き込んだ。 ガシッ、ガシッ、ガシッ。勇一先輩の拳が何度もアゴにめり込んだ。最初はジタバタしていた鮫島だったが、三発目くらいから次第に動きが止まっていった。 グシャッ…フィニッシュは顔面への右ストレートだった。そしてそのまま鮫島は、ガクッと膝から崩れ落ちた。 試合終了。何ともあっけない勝負だった。一回戦は、勇一先輩の圧倒的な勝利で幕を閉じた。「しょっぼいのぉ。こんなもんなんかい、サラブレッドの血っちゅうもんは。やっぱりパパがおらんかったら何もでけへんみたいやのぉ。がっはっは…」勇一先輩は大声で笑って言った。「く、くっそぉ…うぅっ…」鮫島は血と悔し涙で顔をグシャグシャに濡らしてうずくまっていた。 改めて暴れ双生児の恐ろしさを知るはめになった… …つづく ★人気小説ブログ←よろしければクリックお願いします
2008/01/25
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今しがたとんでもない光景を目の当たりにしたのだが、このまま固まっていてもカージーの二の舞になるだけだ。僕たちは仕方なく集まって、順番を決める事にした。出来るだけ強いメンバーを選抜しなければならない。「どぉするよ。ハンパないくらい気合入れてかからなヤバそうやど。とりあえず俺が一番に行こうか?」テツが切り出した。さすが最強遺伝子を継ぐ男だけある、自信満々のようだ。「おぅ、それええ考えやなぁ。テツ頑張れよ、俺が応援してるから何も怖いもんなんかないからな」僕は痛い事が何よりも嫌いなので、傍観者を決め込むつもりでいた。「アホかユキ、なに眠たい事言うとるねん。お前も出なアカンに決まっとるやろがぃ。傍観者決め込もうと思ってもそうはいかんど」「え…。ぼ、傍観者って失敬な…。俺が出ても何の約にも立てへんしやなぁ…」もくろみは一瞬にして崩れ去った。僕は泣く泣く出場しなければならくなった。「ほんなら俺もやっちゃるわぃ」テツの横にいたガタイの大きな奴が言った。「どうせ負けたらリンチなんやし、それやったらやれるだけの事やっちゃるわぃ」 この中学校には、僕の通っていたM小学校と隣のO小学校の卒業生が入学する。そのため同級生の半分が、あまり面識のない奴なのだ。 しかし、いま出場を宣言したこの男は、O小学校の出身ながら、僕の小学校でも知らない奴はいないほど有名人だった。名前を石井と言い、みんなからはイシゲンと呼ばれていた。恵まれた体格と、ケタはずれの力で、ケンカを大の得意としており、この2年後に繰り広げられる、”高専戦争”のキッカケを作る男である。「後2人やなぁ…。え~っと…。おぉそうや、サメやん、お前も出れや」僕は同じ小学校出身の鮫島に向かって言った。「ん、別にかまへんけど、負けてもしらんど」鮫島は、父親が某ブランド暴力団体の幹部といった、超サラブレッドである。ケンカはそんなに強いわけではないのだが、口が誰よりも達者で、壮大なスケールのハッタリでここまでのし上がってきた男だった。 残りの一人は、冷静な判断力と鬼のような冷酷さを併せ持った、ノンさんに決まった。先鋒”鮫島”、次鋒”ノンさん”、中堅”イシゲン”、副将”僕”、大将”テツ”という順番にした。 上級生チームも出場者が決まったみたいだ。もちろん大将には”あのお方”が控えておられた。「よっしゃぁ、やられて元々や、思いっきりブチかましたろかぃ」テツが気合を入れた。 グランドの真ん中には、2年の先輩によって四角いリングのようなものが書かれていた。「先鋒のひと、リングに入って下さい」リングアナウンサー役の中井先輩が言った。「んなら軽~くやられて来よかぃ」先鋒の鮫島がリングに入った。ハナからやられる気満々だ。 上級生チームからは、暴れソーセージ1号の異名を持つ双子の兄弟の兄”勇一先輩”がリングに入った。「ほんなら殴り合って下さい」 なんともわかりやすい声共に、ケンカが始まった… …つづく ★人気小説ブログ←よろしければクリックお願いします
2008/01/24
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地元では超有名人の方々が、これでもかと言わんばかりのガニ股で肩をいからせ近づいて来た。剣道部でもないのに竹刀を持った方までいらっしゃる。 その中でも一際目立つのが、アフロヘアーに短ラン・ドカンといったお姿でど真ん中を歩いておられる3年生の”トッちゃん先輩”だった。 そのお方は、圧倒的な強さでこの中学校を支配されておられた。この方のおかげで、この辺りでわが中学に逆らう学校は無かったぐらいだ。 しかし見事なまでのアフロヘアーである。陰ではあのアフロはヒナ鳥の巣になっており、毎日トッちゃん先輩が餌をあげて大事に育てていると言う噂まで流れたほどだ。ある日そのヒナが巣立っていき、トッちゃん先輩がそれを見て涙したと言う。「鬼の目にも涙」と言うことわざはそこから生まれたと言う者までいた。 その鬼が僕達の目の前で立ち止まった・・・「おぅ、今日入学したガキどもの中で悪そうな奴はこれで全部かぃ」トッちゃん先輩が訊いた。「はぃ、一応目ぼしい奴らは片っ端から集めました」2年生が答えた。 トッちゃん先輩は、よっしゃというように頷き、一歩前へ出た。「ほんなら今から恒例の歓迎会を始めるどぉ。お前らのためにわざわざやったるんやさかいに感謝せーよ。もちろんルールはわかっとるやろのぅ」 知らないなどとは口が裂けても言えない。小学生の頃からこの歓迎会については色々と噂を聞いていたので、もちろんルールは知っていた。 ルールというのはこうだ。まず僕たち一年チームと上級生チームに別れ、先鋒から大将までを決める。そして先鋒から順に前へ出て勝ち抜き戦を行う。いわゆる”大将戦”というやつだ。もし上級生チームに勝つ事が出来れば無事に帰宅できるが、負ければ全員がリンチにあうといった、いたって明瞭かつ暴力的で単純なルールだ。「んなら、始める前にとりあえず…そこの茶髪、前に出て来い」トッちゃん先輩が一人を指さして言った。その先にいたのは、温和で心優しき男、カージーだった。「えぇ~っ、ぼ、ぼくですか?」驚きのあまり飛び上がりながらカージーが訊いた。「お前しかおるかぃ、ゴチャゴチャ言うとらんとはよ出てこんかぃ、ボケ」 仕方なくカージーは、恐る恐る前へ出た。 と、次の瞬間、「ゴツッ」という音とともに、トッちゃん先輩の拳が、カージーの顔面にめり込んだのだ。カージーはそのまま後ろへひっくり返り、気を失った。 突然の出来事すぎて、僕たちは驚く暇もなかった。 これが”歓迎会開始のゴング”を意味しているみたいだった… …つづく ★人気小説ブログ←よろしければクリックお願いします
2008/01/23
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体育館から出た僕たちの目の前には、色とりどりで様々な形状をした頭の上級生の方々が並んで立っていたのだ。 その方々は体育館から出てくる新入生をジロジロと睨みつけていた。これがこの学校恒例の”新入生歓迎会”ってやつのようだ。”歓迎会”と言っても「入学おめでとう!素敵な中学校生活をエンジョイして下さい」などといったものではなく、ほんの少しだけ親不孝な奴などを片っ端から呼び出し、ヤキを入れるという行事である。先生たちもその行事の事は知っているのだが、なぜか見て見ぬふりをしていた。噂には聞いていたが、今現実となって目の前で行われようとしているのだ。そして、なぜか僕とテツも呼び止められた。 上級生に逆らえるわけもないので、仕方なく指示されたプール裏へと行ってみると、10人ほどの親不孝な新入生がすでに呼び出されていた。そしてその中にはなぜか、親孝行者であるはずのカージーも入っていた。「カージー何でこんなとこにおるねん」不思議に思い訊いてみた。「そんなん僕にもわからんよ。髪の毛茶色いからお前も来いって言われたねん」カージーが泣きそうな顔で答えた。カージーは生まれつき髪の毛が少し茶色かった。しかし性格は極めて温和でケンカなどした事も無かった。「それ最悪やん。上の子けーへん間に逃げとけや」「そ、そんなんしたら、後で何されるかわからんやん」おっしゃる通りだ、僕は返す言葉もなかった。カージーよ、髪の毛をほんの少しだけ茶色く生んだ親を恨むしかないようだ…しかしその日をきっかけに、カージーもめでたく親不孝の仲間入りしたのだった。 そんな事を話していると、校舎の方から新入生の呼び込みを終えた上級生の方々が、ゾロゾロと歩いてきた。いよいよ”歓迎会”の始まりだ… …つづく ★人気小説ブログ←よろしければクリックお願いします
2008/01/22
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色んな悪さを繰り返し、やがて僕たちは中学生になった。 その中学校は大阪は堺のすみっこの方にあり、とにかく良い噂などこれっぽっちも無い学校だった。僕たちは小学生の時からその中学校のお兄さんお姉さん達の悪行の数々を聞かされていた。アフロヘアーやパンチパーマのお兄さんや、遠山の金さんのような長いスカートを履いたお姉さんが平気で存在しているのだ。中には万引きした品物を、特価販売して財をなしているお兄さんもいたりする。そんなお上品な中学校に僕たちは入学するのだ。 そして迎えた入学式の日、僕たちは未来への憧れと大いなる夢を抱いて校門をくぐった この日のために、制服も完全に改造してある。しかもお手製の変形制服だ。僕の通う中学は当時では珍しく、公立なのに学ランではなくブレザーだった。そのため、変形制服って物など売っていなかった。不良を目指す奴は自分で標準制服を改造するしかなかったのだ。今考えれば、とてつもなくダサイ格好なのだが、当時の僕たちにとっては究極のファッションだった。「いよいよ僕たちも大人への第一歩を歩み始めるんだなぁ、テツくん」そびえ立つ校舎を見つめて僕は言った。「これからは気兼ねなく、堂々とタバコを吸えるのぉ」テツはそう言いながら制服の内ポケットからタバコを取り出し、口にくわえた。「おいおいテツ、タバコは18歳からやど」 この二人の会話に正しいところなど何一つなかった。まぁ、小学3年のころからタバコを吸い続けている二人にとっては、18歳であろうが20歳であろうがどうでもいい事なのだが。 入学式は体育館で行われた。この中学校には、2つの小学校から生徒が集まるため、見た事ない奴らがいっぱいいた。悪そうな奴も結構いるみたいだ。それからPTAのオッサンのくだらない話や、ハゲた校長の祝辞が長々と続き、およそ1時間半ほどで式は終了した。「やっと終わったのぉ」僕はウーンと伸びをした。「人ごみウザイからはよここから出よや」「そやの、帰ってゲーセンでも行こかぃ」 僕とテツは、体育館の扉を開けて表に出た。 そして、目の前に広がる光景を見て固まってしまった… …つづく ★人気小説ブログ←よろしければクリックお願いします
2008/01/21
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僕たちの投げた爆竹は、ものの見事にゴリポン兄弟の耳元で、「バーーーン!」という大きな音をたてて爆発した。 ゴリポン兄弟は突然の爆音に驚き、耳を押えてかがみこんだ。間をあけず第2弾攻撃にうつった。お次はロケット花火だ。火を点けて発射ギリギリまで持っていたロケット花火を、標的めがけて投げつけるのだ。ロケット花火は、これまた2人の側で派手に爆発した。 この攻撃で2人は完全にひるんでいた。今がチャンスだ。「さっきのお返しじゃぁ~。いっぺん死んどけぇ~」テツが兄ゴリラ目がけて殴りかかった。 ゴッ……テツの拳がコメカミにヒットした。ゴリ兄は何がなんだかわからないままに倒れ込んだ。そして、テツは倒れたゴリ兄の上に乗っかると、容赦なく顔面を殴り続けた。「うちのオトンより怖い人間なんかおらんのじゃぁ、お前なんか屁ぇじゃ」 追い込まれたテツは果てしなく強かった、4歳年上の兄ゴリをボコボコにしていた。兄ゴリもなんとか反撃をしようともがいていたが、崖っぷちモードのテツを止める事は出来ないようだ。 テツが兄ゴリを退治しているので、僕は弟ゴリを退治する事にした。耳を押えているオデキの背後から、背中を思いっきり蹴ってあげた。「ゴリラの放し飼いは危険なんじゃぃ、おとなしくオリに戻らんかぃ」 そのまま前のめりに倒れたオデキの顔面を蹴り上げてさしあげた。「ぎゃんっ」オデキはそのまま失神してしまった。何ともあっけない。もう少し楽しませて欲しかった。 「ゴリポン捕獲作戦」大成功である。2匹のゴリラが道端で伸び上がっていた。「おっしゃ、勝ったどぉ」テツが勝ち誇って言った。「おぅ、怖いもんナシじゃぃ」 それから僕たちは、2匹のゴリラの引取りをお願いすることにした。 失神している2匹を、すぐそばにあるオデキの家まで引きずって行き、インターホンのボタンをを押した。 ピンポーン「はぃ、どちらさんですか」インターホンの向こうから、オデキのオカンがダミ声で訊いてきた。「あの~こちらから脱走したゴリラが2匹、道路で寝てるので、お引取りお願いしますぅ」「はぁ?どういう事ですか」その質問には答えず、僕たちはその場から立ち去った。 曲がり角を曲がるときに、もう一度オデキの家のほうを振り返ると、倒れている自分の子供たちを見つけて、アタフタと慌てふためいているオデキのオカンがいたのだった。 こうして僕たちの任務は完了した… …つづく ★人気小説ブログ←よろしければクリックお願いします
2008/01/14
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タカヒロの家に戻った僕たちは、表から2階の窓に向かって呼んだ。「おぃ、タカヒロ~。いてるかぁ~」 するとすぐに窓が開き、タカヒロが顔を出した。「どぉなったん、2人とも。やられたん?」僕たちの顔を見たタカヒロが、驚いたように言った。「おぅ、ちょっとだけな。そやけどあのゴリラ卑怯やど、兄貴連れてきよったんや。おまえ来んで正解や、ピモキチなんか知らん間に消えてしもたし」殴られた顔をさすりながらテツが言った。「そやけどこのままでは終らせんでぇ、さっそく反撃開始や。タカヒロ、店においてある爆竹とロケット花火、全部持って来い」 と僕が言うと、タカヒロは「わかった」と言い、窓を閉め1階の店の方に降りて行った。 しばらくすると、店に置いてあった爆竹とロケット花火を片っ端から抱えて、タカヒロが現れた。店の中からはおバァの怒った声が聞こえてきたが、僕たちは走ってその場を離れた。「とりあえず持ってきたけどどないするん」タカヒロが不思議そうに訊いてきた。「これをやなぁ、あいつらの後ろからブチかましたるんやんけぇ。あのゴリラども、ビビリまくるどぉ」そう言うテツの顔はメチャクチャ楽しそうだった。「んで、ビビってる隙にシバキまくっちゃる」僕が付け加えた。「えぇ、向こうはオデキの兄ちゃんもおるんやろ。そんなんいけるん」「あんなカス、屁でもないわぃ。さっきやられた分、10倍にして返したるわ」テツの顔は笑顔から怒りの顔に変わっていた。 そして僕たちは、オデキ兄弟が通るであろう道へ向かって走り出した。 しばらく行くと、オデキの家の近所の道を、仲良く歩いているゴリラの兄弟を発見した。「ビンゴぉ、ゴリラの兄弟発見や。単細胞の行動はわかりやすいのぉ。んならいっちょかましたろかぃ、テツぅ」「おぅ、派手にいこかぃ」 そう言って僕たちは、手に持った爆竹に火を点けると、ゴリポン兄弟めがけて投げつけた… …つづく ★人気小説ブログ←よろしければクリックお願いします
2008/01/14
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ゴリラたちが公園を出た後、僕は体の痛みを我慢して何とか起き上がった。「くっそぉ、いったいのぉ。いけるかテツぅ」「おぅ、何とか生きてるどぉ。めちゃめちゃ痛いけどなぁ。それよりピモキチは?」「俺もさっき気になって見回したんやけど、どこにも見当たれへんねん。まぁ、あいつのことやから、とっとと逃げ出したんちゃうか」「ほんまにクソの役にも立てへんやっちゃなぁ」「まぁ、あいつらしくてええんちゃうか。あはは……いてて……」笑ったら体のそこら中が痛かった。「そやけどこのままやったら家帰られへんのぉ」テツは困ったような顔で言った。 そう、テツのオヤジこと、最強オヤジマーチャンはケンカに負ける事を、とてつもなく嫌うのだ。もし、我が子がケンカに負けて帰って来ようものなら「ワレ何やそのぶっさいくな顔。もしかしてケンカに負けたんかぃ!それでのこのこと帰って来たんかぃ!もっぺん行ってこんかぃ!死んでも勝つまで帰って来るな!」と言って、テツをシバいて回した挙句、家を蹴り出すだろう。このままでは帰れないわけだ。「そらそうやなぁ、マーチャンの方があいつらより何百倍もエゲツないもんなぁ」「そやけどあのゴリラ兄弟だきゃぁ、めっさムカツクのぉ」殴られたせいか、ムカツイてるせいかわからないが、テツの目は血走っていた。「ほんならこの後、ゴリポン兄弟が2人っきりになったところに奇襲かけてこましたろか」「それはええ考えやなぁ。そこでボコボコにしたったら、家帰ってからシバかれんですむし」テツは僕の意見に大賛成のようだ。まぁ、仮に僕がそんな提案をしなくても、彼は一人でも仕返しに行く気だっただろうが。「んなら、一旦戻って武器調達しよかぃ」 このままゴリラの放し飼いを見過ごす事は出来ないので、捕獲作戦を実行するため、僕たちは一旦タカヒロの家まで戻ることにした… …つづく ★人気小説ブログ←よろしければクリックお願いします
2008/01/13
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「ありゃりゃ、うちのチビはかいだるい(情けない)のぉ~」 スーパーゴリゲルゲは、ジャングルジムのてっぺんで腕を組んで座っていた。「兄ゴリ、ちょっと間違ってるど、オデキが弱いんちゃうねん、俺らが強すぎるんじゃぃ」テツが言い返した。「偉そうな事ぬかすやんけ、このクソガキがぁ。まとめてかかってこんかぃ」そう言うと、スーパーゴリゲルゲはジャングルジムから飛び降りた。 まとめてかかって良いのならありがたい。テツと2人で一緒にかかれば、何とかなるかもしれない。そして、僕とテツは一斉にスーパーゴリゲルゲ目がけて走った。 手始めに僕は飛び蹴りを喰らわせようとした。が、ヒラリとかわされ、しりもちをついた。続いて殴りかかったテツは、ものの見事にカウンターを喰らってその場に倒れ込んだ。「やっぱり半端ないくらい強いわ」テツはそう言うと、そのまま気を失ってしまった。「こうなったらヤケクソじゃぃ」そう言って僕は反撃しようと立ち上がったが、次の瞬間、目の前にキラキラとお星様が輝き、顔面に強烈な痛みを感じた。どうやらプラスチックバットで殴られたようだ。「お星様やぁ~、綺麗やなぁ。…あ、あかん…めっちゃ痛い…」僕は顔を押え、その場にうずくまった。 それからは何をされたか、あまり記憶になかった。とにかくさっきの顔面プラスチックバット攻撃が、思い出に深く刻み込まれすぎたので、その後の攻撃がインパクトに欠けたのかもしれない。まぁ、とにかく殴られたり蹴られたり、色々やられたであろう。 そしてひと通り攻撃した後、「ガキが調子乗りすぎたらあかんど、わかったんかぃ」と、スーパーゴリゲルゲが勝ち誇ったように言った。「ショボイのぉお前ら。兄ちゃんにかかったら瞬殺やんけぇ、ウッホッホ」さっきまで鼻血をダラダラ流して倒れ込んでいた弟ゴリラもいつの間にかよみがえり、調子に乗ってはしゃいでいた。「どう考えてもお前の方がショボイやろがぃ」と言ってやりたかったが、あちこちが痛く声が出なかった。動こうにも体も動かない。 かろうじて顔を上げ辺りを見回すと、ボコボコにされたテツが近くで倒れ込んでいた。しかし、どこを探しても一番最初にやられて倒れているはずの、ピモキチの姿がなかった。後日、本人に聞いたところ、僕らが暴れてるどさくさに紛れてその場から逃げ出したらしかった。何とも役に立つ男である。「おぃ、アホコンビ。これからはデカイ面して歩くなよ。道の端っこの方を静かに歩くように」と、調子に乗りまくったオデキがほざいた。 ゴリラ級の顔をしたオデキに、デカイ面などと言われるのは心外だったが、この状況ではどうする事もできなかった。 そしてそのままサルの軍団は勝ち誇ったように公園を出て行ったのだった… …つづく ★人気小説ブログ←よろしければクリックお願いします
2008/01/07
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オデキの兄貴は僕たちより3つ年上の中学1年生で、隣町では結構有名な不良だった。おまけに一緒に来ている3人も、名前が知られている奴らばっかりだ。「さすがにこれはヤバイなぁ。どぉするよテツ」いくらなんでも少し相手が悪すぎると僕は思った。「ムカツクけど、逃げるしかないみたいやのぉ」テツも危険を感じてるみたいだ。「おぃ、ピモキチ、オレが逃げろってゆうたら一気に走り出せよ」一番捕まる確立が高そうなのがピモキチだ。「う、うん。てかオレ根本的に関係ないやん。巻き込まれてるだけやのに」「アホか、それは自分の運のなさを恨めや。お前は生まれついてそうゆうキャラやねん」 そんな相談を密かにしていると、オデキの大きな声が聞こえてきた。「コラぁ、お前らビビってるんかぃ。土下座して謝ったら許したるどぉ」 このオデキの一言でテツの最強遺伝子に火が点いた。「あぁ?なんやとこのゴリラ。誰がこれくらいでビビるんじゃボケぇ~!」 そう言うと、テツは見境なしに突っ込んで行った。「あちゃぁ、テツのやつキレてもうたがな。しゃぁないけどピモキチ、腹くくれよぉ」 こうなったら逃げるわけにもいかないので、僕はテツに続いて”村人”たちの中に飛び込んで行った。ピモキチも仕方なく僕と一緒に飛び込んできた。 とりあえず僕たちは”村人”を蹴散らす事にした。しかし今日の”村人”たちは、”村長”さんも一緒に来られているせいもあってしぶとかった。 そんな中「痛ぁ~い、もうやめてぇ~」と泣き叫ぶピモキチの声が聞こえてきた。「ピモキチのやつやっぱり今日もヤラレとるわ」僕は目の前の”村人”をドツキながら言った。「あいつはああいうキャラやから、しゃぁないわ」テツが半笑いで答えた。 しかし、思った以上に”村人”がしぶとく、中々ゴリラの元まで辿り着けない。いい加減、ドツいている自分の拳も相当痛くなってきた。このままでは”怪人ゴリゲルゲ”に辿り着く前に拳がつぶれてしまうかもしれない。「おぃオデキ!セコイまねせんと、勝負せんかぃ!」「アホかテツぅ、誰が勝負なんかするかぃ。お前らがヘロヘロになってから俺様がトドメさしたるんじゃ。ウッホッホッ」 何とも卑怯なゴリラだ。しかも笑い方までアニマルチックで余計に腹が立つ。「ほんなら今からすぐに行ったるさかいに楽しみに待っとけ、このゴリゲルゲ」僕はそう言うと、狙いをオデキ一人に定めた。 そして並み居る”ショッカー”たちをかわすと、”ゴリゲルゲ”の鼻目がけてパチキ(頭突き)を喰らわせた。 ゴツッ…、鈍い音と共に、オデキは鼻を押えながら後ずさった。押えた指の間からは、大量の鼻血が流れ落ちていた。「どぉじゃ、ゴリゲルゲ。めちゃめちゃ痛いやろがぃ」 オデキは涙を流しながら、モゴモゴと言った。 そんなオデキの背中目がけて、今度はショッカー軍団を掻き分けて出てきた、テツの飛び蹴りが炸裂した。「何ゆうてるのかわからんのじゃゴリゲルゲ、人間の言葉しゃべれや。それに怪人やったら緑の血ぃ流さんかぃ。」 この蹴りでオデキは完全にノックアウトされた。前のめりに倒れ込んで、ピクピクと痙攣していた。「おっしゃぁ、次はズーパーゴリゲルゲの番じゃぁ」 僕たちはオデキの兄貴の方に向かってそう言った… …つづく ★人気小説ブログ←よろしければクリックお願いします
2008/01/05
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