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未完成品とはいえ、脳の「長所」もある。たとえばチャレンジする分野、クリエイティブな分野では、イメージの力は非常に大きい。
コーチが出走を控えるランナーに「先頭を切ってテープを切るところをイメージしろ。お前の足は軽いぞ。手も足もよく動くぞ」と力強く語りかけると、それでほんとうに力が出るものらしい。
また、ファッションの世界でも、パリのモード・コレクションなどでモデルのヘアメイクを担当するアーティストは、髪をセットしながら「あなたはとてもキレイだ。今日は一段と美しい」と囁き続ける。すると、モデルのほうも「今日の私は一段とキレイなのよ」という自信が生まれ、ステージ上の表情や身のこなしが変わってくる。彼女が有名になれば、そのヘアメイク・アーティストにはまた仕事がくる。ヘアセットをしているのではなく、モデルの心の中をセットしていると言ってもよい。ちなみに、そういう男性が大勢いるのがパリやミラノで、まったくいないのが日本の大企業である・・・。
誰もそう いうイメージを与えてくれないのであれば、自分で常にイメー ジせよ、ということも言える。自らのイメー ジづくりが済んでいれば、何か上役から話がきたとき「私がやります」と即答できる。即答すると抜擢される。ところが学校秀オは、即答するのは軽率で、「今夜一晩 、時間をください」と答えるのがデキる人間だと思い込んでいる。もちろん、じっくり考えて返答したほうがいい場合もあるが、軽はずみでもパッと答えたほうが「よし、頼んだぞ」となりやすい 。

豊臣秀吉がなぜ抜擢されたかと言えば、織田信長の前で「こうするといいと思います」と自分の考えを語り、信長が「たしかにそれはいいな。しかし、やるヤツがおらんな」と言ったとき、即座に「私がやります」と答えたからである。秀吉の場合はあらかじめの準備がありそのとおりに成功したわけだが、仮に失敗したとしてもその態度のほうがよい。それから、失敗したら「いやあ失敗した」と明るく言えばよいのである。準備万全のところを信長がわかってくれたら、結果は失敗でも信用は傷つかない。
具体的にイメージする方法として、たとえば自分が一ランク、二ランク上のポストにあったらどうするかを日頃から考えるというやり方がある。野村證券を大きく成長させたあるトップは、「いつも一階級上の人間になったつもりで、日頃から考えておけ」と言っていた。そうすると、視点が高くなり視野が広がるからである。同じ考えるなら一階級上などと言わず、もっともっと上になったつもりで考えておくとさらによいだろう。
『すぐに未来予測ができるようになる 62 の法則』(日下公人氏著、 PHP 出版)より