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2005年11月13日
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カテゴリ: 考古学
少し書き換えました。(11.14記入)
2005-11-13 11:23:41
2005-11-13 23:56:15
11月12日、第126回古代吉備を語る会に参加して「血吸い川上流域の遺跡群」を見て回りました。写真は総社市北側にそびえたつ鬼の城(きのじょう)です。ちょっと見難いですが、山の上をぐるっと白いものがめぐっているのがわかるでしょうか。岡山といえば吉備団子、吉備団子といえば桃太郎、「桃太郎」伝説の元になったのは吉備津彦と温羅(うら)との戦いです。「日本書紀」では、大和から派遣された吉備津彦が温羅という「鬼」を征伐したことが記されています。ただし、実際はこれは鬼の城ではなく、663年白村江の戦いに敗れた倭は、防備のために急遽西日本各地に朝鮮式山城を築きますが、この城もそのひとつだといわれています。左側の白い部分は巨大な西門が復元されています。右側の白い部分が当時のまま今も残る見事な石垣(写真)で、ちょっとどうやって作ったのか想像もできません。石垣や門の間は土塁ですが、版築という特殊な技術で固めてあります。(現在の技術で復元した版築土塁が去年の台風で崩れてしまったという情けないエピソードもありました)鬼の城が築かれるのは7Cですが、この城の東側の谷筋に弥生時代から人が住んでおり、さまざまな歴史的なドラマがあったと思われます。それを少しでも想像しようと、5Cから7C前半にかけての古墳や群集墳、そして日本最古の製鉄遺跡の千引遺跡を見て回ろうというのが今回の遺跡めぐりの目的です。県教育委員会の方が説明をしてくれました。

2005-11-13 11:18:34
いくつかの群集墳を見たのですが、写真は阿弥陀原古墳群(6C後半)のひとつです。本来は小山のような円墳だったのでしょうが、石舞台古墳のように石室がむき出しになっています。石の積み方が乱雑で、初期の群集墳の横穴式石室のつくり方がよく現れています。この時期は古墳後期といわれている時期で、造山古墳のような大型古墳はなりを潜め、地方の有力者が次々とこのような円墳や方墳を作る時期です。キトラ古墳や高松塚古墳はそれよりあとの終末期型古墳で、個人を豪勢に祭っているのが特徴です。一方、後期古墳はひとつの墓にたくさんの人を追葬しています。国の王様ではなく、村の有力者が墓を作れるようになったのでしょう。その財力はどこから来たのでしょうか。ヒントは谷を隔てた東側の丘陵にある千引遺跡です。

千引遺跡は、ゴルフ場をつくることで発見された日本最古の製鉄遺跡(6C後半)です。残念ながら今は埋め戻されて見学することは出来ないので、丘陵下で説明だけを聞いたのですが、製鉄の仕事に従事した人が群集墳を作ったのだとおそらく解釈できるだろうと思います。
製鉄遺跡に関しては過去 ここ ここ で展開しました。今回の新たな発見はこの製鉄は鉄鉱石からつくっているのですが、採石の場所を非公開でポロリと「足守にある」と聞いたことがひとつ。「なつめうなぎ」と呼ばれる製鉄に必須の炭窯が最近韓国の伽耶地方で発見されたという情報を聞いたことがひとつ。しかも弥生時代中期以前のものらしい。
もしそれが事実なら、吉備の製鉄の技術は吉備独自の発明ではなく朝鮮からの輸入であったこと、しかもその技術は800年程前には既に確立していたこと、「やはり」吉備と密接な関係にある伽耶から技術を輸入しており、百済からではないこと、等が推測されます。
そのあたりが明らかになれば、吉備地方が日本列島の先進地域になった理由は先進工業地帯であったからだといえるでしょう。また、この地域が大和の吉備津彦によって鬼として滅ぼされたのだとしたら、そうやって歴史から抹殺されたのだとしたら、それだけこの地方が重要な場所だったことの裏返しになるでしょう。


2005-11-13 11:19:36
写真は血吸い川です。伝説では、吉備津彦と戦った温羅の血が流れた川だからといわれています。私は砂鉄が流れて赤くなったのだろうと思っていました。でも鉄鉱石だから川は赤くならないのですね。教育委員会の方は「自説」を展開してくれました。この川の南のほうはずーと条里制による田んぼが広がっていたとのことです。この川は並行する足守川と比べるとまっすぐなのです。きっと水を統御するための人工的な川だったのに違いない、というのが彼の意見でした。「血吸い」ではなく「治水」だったのだろうというわけです。「なるほど~」と思いました。こういうことを考えることの出来る考古学は本当に面白い。

(追加)
その後私信で、「温羅の話が日本書紀にあったという話は違いますよ」とご指摘をいただいた。全く持って私の不徳のいたすところです。文章全体を直そうかとも思ったのですが、時間がないこともあり、詳しく書かれたHPを紹介して訂正させてもらいたいと思います。
http://www.pandaemonium.net/menu/devil/ura.html






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最終更新日  2005年11月14日 00時24分25秒
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