^-^◆自分の考えを
自分で操る[その8 最終章-1
]
阿武「ははははっ……では、
話を元に戻して………。
皆さんに聞きます……。
皆さん、たった数年前、学生時代に身につけたものですら
……もう役に立たなくなってませんか?
何か役に立ってますか?ほとんど陳腐化してませんか?
何もコンピュータ関連の世界に限った話でもありません。
一般の社会においてすら、早いテンポの変化に、どう対応
していくかが重要なポイントになってきています。
例え、お年寄りが自分は進化はイヤだと言われたとしても
駅でも銀行でも、ボタンを示された順序に沿って
押さなければならない……、そんな世の中なのです。
まして、皆さんはある意味では、その社会改革の最先端を
いく、コンピュータ技術の世界に身を置いている訳です」
備前「身を置いてしまったのですが、人によっては、
身を置いて『しまった!』と感じている者もいるかも
しれません……ははははっ」
阿武「大変ですね……。
ハードが変るんでしょう?
ソフトも変る、ネットワークが変る、
それも物理的に変る事もあれば、ルール的にも変る。
一言でソフトといったって、あらゆるジャンルの大変な
種類のソフトが変化していく……。
また、全く新しい機能が次々に発表されてくる。
ユーザーだって変る……。
開発対象だって変わる……。
自分だってローテーションで色々な職場に変る。
もう何ですよ……『変化』について数え上げれば
きりがありませんね。それも、日常茶飯事のように、
サラリと……淡々と……変わっていくんです」
備前「考え様によってはですね……、
変化する事がむしろ当然の世界なのかもしれません。
変化しない事の方が異常なのでは……?
と言っても良い位、めまぐるしい変化の世界に身を
置いています……」
阿武「………ですね………皆さんは……。
そして……あなたたちが在職中は、どんどん、どんどん、
お構いなしに変化し続けるだろうということも、
ほぼ間違いないんじゃないですか?
俗世間から考えりゃ、誠に個性的な分野の仕事に従事して
おられる……………。
そうなってくると、あなたたち一人一人が、
この宿命的な『変化』への対応を、自分自身の重要な問題
として捉え、対抗できる強い体質を作っていかないと、
将来、脱落者に成るであろう事は、容易に想像できます。
まるで、戦死みたいなもんです……………」
備前「うっ……驚ろかさないで下さい……」
阿武「変化に強い体質を作っていく際に、重要な姿勢の一つを、
私はこうよんでいます。
………それは 『CCC精神』
です。
チェンジ(変化)や
チャンス(機会)に
チャレンジ(挑戦)する……。
常に前向きの、且つ攻めの精神です……」
備前「阿武さん、先ほどから挑戦とか攻めの精神とか聞きますと
なんかこう戦闘的な感じで………、いつか見せてもらった
『和活喜塾心得』の
『 和
やかに たがいの こころ 通いあい
活
力にあふれた魂は 嬉々として
喜
びの笑顔 絶えることなし。
かような人の輪のなかに生涯の時を
すごさんと 欲す』
という感覚からはほど遠いような気がしますが………」
阿武「そうですね……。
備前さん……実はその次に書いたことが重要でしてね。
そのように欲するならば、どうありたいかについて
言ってますよね。
つまり、
『 おさな児のごとく 何事にもとらわれぬ
広く大らかなこころ持ち(自由)
諸々の事々に棲む あらゆる差別を遠ざけ
おしなべて平にして(平等)
慈しみの こころ持ち 思いやりのこころ
忘ることなく(愛)
悔やまず 悩まず
ただ楽天の気こそ有し(楽観)
任に向かいては 己を空しゅうし
只 燃え尽きる心にて(完全燃焼)
物事に接し 人にあたるがよかろう
』
という所ですが…………。
実は、何事にもとらわれないとか……、
差別を遠ざけるとか……、相手を思いやるとか……、
楽天の気持ちとか……、燃え尽きる心とか……は、
非常に積極的な思考から生まれてくるものなのです……。
消極的な逃げの思考からは生まれにくいのです。
若い皆さん相手ですから、少し、厳しい言葉の表現を
しましたが、真意はこういうところにありまして、
まさに、和活喜塾の基本としているところなんです……」
備前「なるほど………。俗に言うところの、前向きの姿勢と
いうことですかね」
阿武「フム…………。近いですね。
……では、話をもどしましょうか。
Change(変化)や
Chance(機会)に
出会った時に、大切な頭脳を『できない理由』に
使うのではなく、
Challenge(挑戦)
するようにしたいものですね。
どんなに能力のある人であっても、もし、その能力を
必要な時に適切な形で発揮できなければ、目的を
達成することは、とうてい叶いませんね」
備前「うん、それは確かに……そうですね」
阿武「よくよく考えてみますとね……、我々に常に求められて
いる『能力』とは単なる『できる』『やれる』という
能力では無いんじゃないでしょうかね。
それは、もっと能動的なものでして、現実の場で
『 やってのける
』あるいは
『 責任を果たす
』という能力では
ないんでしょうか」
備前「…………!……実行能力……」
阿武「……。そこでは、知識、経験、熟練度がどんなに豊富で
また優れていようとも、それだけでは能力があるとは
いえないんだと言わざるをえません。
『自分はこれほどの責任をもつ事ができる』と主張し得る
ところの問題解決能力(特に未知の問題に対決し得る力)
そして、問題発生抑止能力(異常を予知し問題を発生させ
ないようにする力)といったものが、
ポイントになるんじゃないでしょうかね…………」
備前「……!!!……発生抑止……デスカ……」
阿武「そうです。たとえばですねぇ、陸上競技で100mを
10秒で走る事ができるにもかかわらず、突然の火事に
遭遇した時、火に怯えて足がすくみ通報に走る事が
できない場合とか……………。
課題の整理…分析力、斬新的な企画力に優れているにも
かかわらず、それを上司や関係先に分かるように
伝達できない、あるいは説得出来ない人とか……
残念な例はたくさんあります……」
備前「…………!」
阿武「もう一度繰り返して言います。いいですか?
あらゆる事に常に求めて挑戦する事が大切です。
そうすれば、その繰返しの中から、必ず可能性が見えて
くるものです」
備前「『できない理由』など考えている頭のゆとりも
時間のゆとりも……実は無いか…………」
阿武「備前さん、そして皆さん……、世の中って、
面白いものでしてね。消極的な思考の持ち主はですね、
時としてテレビドラマや歌謡曲の中などで、周りに
落ち着きや、安らぎを与える役として扱われる事が
あります。そして、それは又、あながち作り話でも
ないんですね……」
備前「あっ……なるほど」
阿武「それらの言わば癒しの感覚に魅力を感じる人がいても、
決して不思議ではありません。自分が、どうありたいかと
いう事、言い換えれば、どう生きたいかなんて事は、
そもそも、個人の問題であって人それぞれが自分で、
考え・選ぶことです。
まぁ、これは、言うまでもないことですよね……」
備前「そうですね。……………当然です」
< 最終章-2
へ続く>
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