私の根幹を支えて頂いた11人の恩人 0
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^-^◆ じいちゃんの思い出(6.遺言)[下] <requestによりrevival連載> 自転車を預けている家は、たいてい最終列車迄は、待っていてくれるのだが、もう電気が消えている。帰るべき人は皆帰ったのだろう……。まさか、今日行ったのが戻ってくるという予測は無いだろうからな……。仕方なく徒歩…………。じいちゃんの家には、1時過ぎにやっと着いた。奥の部屋の電気は点いているが…………鍵は閉まっている。ドンドンと戸を叩くと、中から「ハーイ」と、叔母ちゃんの声。ガラガラッと、重たい木の引き戸が開いて………………、顔を見て……叔母ちゃん、声が出ない。 「ええっーーー」という顔して、凝視している叔母ちゃんの横をすり抜けて、上がって…………座敷へと…………。叔母ちゃんの意に反して帰ってきたから、ちょっとバツが悪かった…………。じいちゃんが眠っている布団の横に、ばあちゃんが座っている。ばあちゃんは特に驚いた顔をしなかった。じいちゃんを手で指して、ほほえんだ。すぐ、線香上げて……。…………心からほっとした。叔母ちゃんがお茶を持ってきた。…………何も聞かない。ばあちゃんもニコニコ笑って何も言わない。「みんなは…………?」「明日が大変やから、皆、先に寝てもろうた……」……! ……意外だった。通夜というのは始めての経験だが、みんな、朝まで起きているものと思い込んでいた。 何か、ガッカリしたような……、……でも、戻って来て良かったとも思った。気持ちが凄く落ち着いた。故人のじいちゃんの嫁、つまり、ばあちゃんと、その娘、つまり、叔母ちゃんと、孫、つまり、自分の三人でお茶を飲みながら、じいちゃんの昔話をアレコレと話し、また、聞いた。たいてい知っていると思っていたが、知らない話が多かった。…………不思議に思っていた謎も解けた。じいちゃんは『正作』という名前だが、目上の人からも、常に『正作さん』と、さん付けで呼ばれていた。それが、とても不思議だった。田舎の農村では、同級生や上の人からは、たいてい、呼び捨てで呼ばれるのが常だったから…………。じいちゃんの若い頃からの生き方を聞いて……納得できた。…………でも、それって、凄い事だと思った。 自分で相手に頼む事でも、指示する事でもないからだ。周りの人々が、自然にそうなるのだから…………凄い。そういえば、じいちゃんも、家族以外の人を、誰も呼び捨てにしなかった…………なぁ。ずっと、年下の人でも、『……さん』付けで呼んでいた。「見た事なかろう……?」と言って、叔母ちゃんが、古いアルバムを持ってきた。「明日、お棺に入れてやろうと思ってね……」初めて見るじいちゃんの古いアルバム。分厚くて荘厳な表紙だ。明治の中ごろの生まれだから、幼い頃の写真は少ない。…………と、えっ、私の写真が混じっている。じいちゃん……、私の小さい頃の写真を持っていてくれたんだ。と、一瞬、思ったが…………。違う……。古すぎる。…………茶色っぽくなっている。「叔母ちゃん、これは……?」「ふふふふっ、……似とるやろう……お前に……」ばあちゃんも、笑っている。 似ているどころの騒ぎじゃない。そっくり…………。愕然とする位、そっくりの顔と、その表情だ。10歳位の写真だが……、自分で間違えたくらいだから……、うーーーーん…………ホント、そっくり……。ゾッとする位、似ているのだ。大きくなってからは、似ていると言われた事は一度もないし、自分でも「じいちゃん似」とは思っていなかった。「じいちゃんが、言ってたよ。お前が小さい頃。 あれは、俺の生まれ変わりやって……。可笑しいね。 まだ、自分が生きてるのにね……ふふふふっ」「うんうん、ようー、言いよったねぇ……じいさん」と、ばあちゃん。この時ほど、血のつながりを深く感じた事はない。横たわっているじいちゃんを見た。顔に白い布がかけてあるが、……まるで、眠っているようにしか見えない。ツーンと突き上げるものがあって、すすり上げたら、叔母ちゃんが背中をさすってくれた。 「お前は、さすがに長男やねぇ…………。よう、戻って来て くれたね。……みんなを寝かせてから、淋しかったとよ……」「あたしゃーー、帰ってくるような気がしとったよ」……と、 ばあちゃん。…………笑っている。朝方まで、三人の話は続いた。線香を絶やさないように点けながら…………。朝方、うたた寝をしている所に、親父が起きてきて、「通夜してくれたんだってな……アリガト……」と、言った。親父から、ちゃんとした言葉でお礼を言われたのも、初めての経験だった。そのばあちゃんも、叔母ちゃんも、親父も、叔父ちゃんも、今は亡い。………遠い昔の話だが昨日の事のように思い出す。じいちゃんは、亡くなる時も、たくさんの貴重な経験をさせてくれた。……いつまでも、忘れえぬ…………思い出である。 <じいちゃんの思い出シリーズ完> ===========================================================================◆◆ホームページランキング(暮らし・生活⇒ライフスタイル)に参加しています。 他にもステキなブログがありますよ。 一票お願いします。ランキング表を見に来て下さ~い◆◆クリックして~~ ( ^-^)
2008/11/18
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^-^◆ じいちゃんの思い出(6.遺言)[上] <requestによりrevival連載> 伊藤作業長が言った。「帰った方が良いよ……。 やっぱり……」「遺言って言われて……」「うーん…遺言ねぇ……」「難しいんですよ……」「遺言でも……ねぇ。……おかしいなぁ」仕事の前準備をしているが、どうも気になって手が進まない。 実は今日、じいちゃんが亡くなった。……外出していて臨終に間に合わなかった…………。どこか具合が悪い訳でも無く、元気だったのに……、全く……突然の事…………だ。朝、あんまり起きて来ないので、10時頃起しに行ったら、眠ったまま亡くなっていた……と……聞いた……。医者は老衰と診断………。 80歳過ぎだから年に不足はないと…………叔父さん達が泣きながら言うが…………堪らない。指し物大工一筋……つい最近まで細工場に入っていた。…………今夜は通夜だ……。 会社が夜勤の私は、今、会社に居る……。なんで……?……。祖父の通夜の夜に…………。当然、通夜を務めるつもりだった。………当然だ。 …………夕刻、「今夜は会社を休む」と言う私に、じいちゃんの面倒をみていた叔母が言う……、「頼むから……会社を休まないでくれ……」「……?」じいちゃんの遺言だそうだ……………。遺言……?ピンと来なかった……。本当にじいちゃんがそう言って亡くなったのだろうか……?「じいちゃんはね、職人の鑑でね。どんなに体調が悪くても 約束した仕事を休んだことは一度も無い」…………と、叔母ちゃん。 「何があっても、例え俺が死んでも仕事の約束は、 守らなきゃいかんって……いっつも言ってたからね……」……叔母ちゃんが続けて言う。横でバァちゃんも頷いている…………。しかし…………。しかし、何か割り切れない…………。血のつながった孫だし…………。 …………叔父さん達は何も言わない。……って事は叔母ちゃんと一緒という事だ。父母に……どうしょうか……?……と言ったら、「遺言だから……」……と……皆と一緒。……で、今………会社にいる。 先輩は「明日葬儀だろう。少し仮眠しとけよ」と優しい言葉。「明日の夜は休めよ」……とも……念を押された。伊藤作業長だけが……さっきからうるさい。「……じいちゃんの通夜に、仕事するバカが、おるもんか……。 じいちゃん、悲しんどるよ…………」自分の本音に近い言葉だけに…………胸に堪える。胸に……痛い。息が苦しくなる。「あんた、総領やろう!!」伊藤作業長の、この言葉が最後の引き金だった。俺は嫡男に違いない。内孫の嫡男だ。---跡継ぎだ。祖父の通夜の場に居なくて本当に良いのか……?『遺言』という言葉では済まされない。通夜をしなくちゃ……一生悔やむかも…………。 …………腹が決まった。「すみません。帰らして頂きます!!」「そうか、そうしろ!そうしろ!」驚いたことに、伊藤作業長だけじゃなく皆が口を揃えて言った。皆…………気にしてくれていたんだ。しかし…………、「最終列車まで15分しかないぞ!!」ということだ。作業着のままで飛び出したとしても、どんなに急いでも、駅迄20分はかかる。しまった……!!……決断が遅かった。「いいか、通用門まで全力で走れ。門から駅まで車を 出して貰う様に、ワシが守衛さんに頼んでやる」 と……、伊藤作業長。「守衛が、そんな融通利かせるもんか……」と、先輩達……。「いいから走れ!!」の伊藤作業長の言葉に、はじかれたように、カバンを小脇に、出口へ……。「守衛に親しい人が居るから俺が頼む」という、怒ったような、伊藤作業長の言葉を背中に走った。 走った。走った。頭の中が、ボーーーッとなる。汗が吹き飛ぶ。……とにかく、走った。………………………………ややあって、南門。向こうに、人影が2人見える。横で車がエンジンを吹かしている。「伊藤さんから聞いた。早く早く……」いつもは、怖い守衛さんが、せかしてくれる……。乗車……、発車。……あまり時間がない。「電話しとけ……」と、残した守衛さんに叫んで、グーーーーンと、スピードアップ。「ご迷惑かけます。スミマセン……」「大変やナ……。出て来る時、具合悪かったの?」……?……?…そういう事にしてくれている様だ。……伊藤作業長…………。「いえ…………、まさか……亡くなるとは……」ウソだが…………ご好意に……言葉を合わせた。「駅にも、電話させたから絶対大丈夫だからな」「…………!!」「2~3分なら、待ってくれる…………」「…………!……スミマセン。そこまで……」しかし、一企業の守衛さんに、国鉄の列車を待たせる力があるんだろうか……?一瞬、よぎったが……、感謝の気持ちの方が強く、ジーーーンときた…………。心を読んだかのように「人は皆、人情に生きとる……」と、守衛さんが呟いた。……この時、決断が遅れたことを、心の底から悔やんだ………。駅に着いた。駅員さんが改札のこっちまで出て来て待っている。「急いで下さい。……今、入りました」お礼も、そこそこに、ホームに走り込む。乗った途端に、ピーーと笛がなって、ガタンと動き出した。まだ、蒸気機関車の時代だ。ゴットン、ゴットンと、ゆったり動き出す。腰掛けて、ほっとした………………。 …………間に合った。ああ~~……。伊藤作業長、先輩達、守衛さん、駅員さんの、真剣な顔が浮かんできて、思わず……涙が出た。伊藤さんは、直属の上司でもないのに真剣に心配してくれた。…………涙が……止まらない…………。0時近い最終列車、着くまで一時間近くかかる。22時に出勤したから、一時間以上迷ってた事になる。列車が……、いつもより遅いように……感じる。そして………やっと………駅に着いた…………。 <続> ============================================================================◆◆ホームページランキング(暮らし・生活⇒ライフスタイル)に参加しています。 他にもステキなブログがありますよ。 一票お願いします。ランキング表を見に来て下さ~い◆◆クリックして~~ ( ^-^)
2008/11/17
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^-^◆ じいちゃんの思い出(5.唄) <requestによりrevival連載> じいちゃんは、大工仕事をしながら鼻唄を歌っている事があった…。時々だが……、たいてい仕上がった作品に磨きをかけているような時だった……と覚えている。ニスが乾いた後の磨きだ……。高い音色の……、良い声だった記憶がある……。共同風呂の帰りには、歩きながら大きな声で、民謡みたいな唄を歌っていた。 ちょっと一杯入った時………じいちゃんが、口癖のように言っていた言葉がある。(お酒はあまり強いほうではなかった様だが、 少し飲んだ……ほろ酔い機嫌を愛していた様に思う) 「…………あのな……、お前、唄……好きか? そうか、そうか……好きか……。 大きくなってな……酒の席で歌うような事があったらな……、 ぐずぐずせんで、真っ先に歌え。 真っ先が……いい。 ……遠慮はいかんぞ。 歌えと言われたら、ハイッって言って……、 さっさと歌え……いいな。 …………でな、唄だが……、 上手いとか、下手とか言われるようなつまらん唄は 絶対に歌うな…………。 いいか、凄いと言われる唄を歌えよ…………」 今でも、思い出す懐かしい話だ…………。この「凄い唄」の意味で、何十年も悩んだものだ。今も、きちんとした答えがあるわけではない…………。 言われている意味も、ずっと長いこと真には、理解できなかった。だって、唄って、上手い下手が歴然とあるからだ。 40歳も半ばを過ぎた頃、何となく意味を感じるようになってきたかな……。カラオケ時代になって……。…………深い言葉だと……思っている。「凄い」って言うのは「感動」であり「心に響く」という事だろう。素人には難しいと思っていたが……、そうではなかった。「心を込めて唄う」ことは、誰にでもできる。「心から唄わないと、相手の心に響かない」……ようだ。耳の辺りで止まってしまう…………。 じいちゃん他界後、30~40年の歳月を経て、しみじみと……キャッチした「言い残し」である…………。 <続> ============================================================================◆◆ホームページランキング(暮らし・生活⇒ライフスタイル)に参加しています。 他にもステキなブログがありますよ。 一票お願いします。ランキング表を見に来て下さ~い◆◆クリックして~~ ( ^-^)
2008/11/14
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^-^◆ じいちゃんの思い出(4.銘) <requestによりrevival連載> プーンと匂ってくる墨の匂いで、僕にはその日がわかります。滅多に無い匂いだから……。そんな日は、きっと沢山あった筈なんだけど……、小学三年生の時の夏休みの思い出が今でも鮮明です……。 朝の10時頃……匂いは座敷からしてきます。フスマを少し空けてそっと覗くと、じいちゃんが、しずかに墨を磨っています。ピンと張った麻の「甚平」を着ています。じいちゃんは、この日しか、この「甚平」を着ることはありません。正座して……目をつむって……。右ひざの横に置いた、硯の上を、手がゆっくり行き来しています。 前には、飯台が置いてありました。じいちゃんが何日もかけて作っていた飯台で……、郵便局長の奥様から頼まれたというものです。あんまり大きなものじゃなくて、一人か二人で、ご飯を食べる時の、ちゃぶ台です。 昨日まで、ニスの匂いをプンプンさせながら、細工場の端っこで、乾かしてあったものです。じっと見ていると、じいちゃんが飯台を裏に向けて、左の膝の上に、端を乗せて……それから、筆をとりました。たっぷりと墨を含んだ筆です。左手で飯台の脚をしっかり持って、じっと裏面を睨むようにしていた、じいちゃんが、さらさらさらと書き始めました。 きっと、いつもと同じように、今日の日付と「銘」を、入れているのです。 「銘」は「正作」で、じいちゃんの名前。どんな小さな小物でも、じいちゃんは、自分で作った物には、必ずこの儀式をします。……カメの蓋でも……。 いつもとは違う、キリッとした顔で……。じいちゃんは、この、キリッとした顔を時々します。作品が出来上がってニスを塗る直前に、何度も何度もあっちこっちから、作品を眺めながら…………その時、こんな目をします……。……真剣な目。 江戸時代の名工左甚五郎みたいで……かっこ良いです。銘を入れたら、傍らにおいて墨が乾くのを待ちますが、その時、必ずキセルに火をつけて、おいしそうに、煙をゆったりと吐き出します。この日も……そうです。 じいちゃんが、凄く偉く見える瞬間です。この時は、ぜったい部屋に入って行けません。厳しく止められているからだけでなくて、いつもと違うじいちゃんがそこにいるからです。じいちゃんは、亡くなるまで、職人の鑑って、近所のおじさん達に言われていました。じいちゃんみたいになりたいなって……当時思ってました。 ============================================================================◆◆ホームページランキング(暮らし・生活⇒ライフスタイル)に参加しています。 他にもステキなブログがありますよ。 一票お願いします。ランキング表を見に来て下さ~い◆◆クリックして~~ ( ^-^)
2008/11/13
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^-^◆ じいちゃんの思い出(3.英語) <requestによりrevival連載> 中学に入った頃……(……だったと思う)夏の朝……休みの日。だいぶ早く……起きた。じいちゃんが丁度、井戸端に向かう所……。いつものように洗面器を持って……手拭いを肩に掛けて、……セッタで……スタスタスタ……。 釣る瓶で水を汲み上げて……ザヴァーンと洗面器に溢れさせる。ブリキの大きな洗面器が水で満杯になる……。それから、手拭いを腰の辺りに挟んで……、足を開いて中腰になって……、ブルブルッと……顔から頭まで……。何度も何度も……ブルブルッ……。じいちゃんは、ほとんど丸坊主頭。完全に…ではなく、少し残したカット。その頃、一般に大工刈と呼ばれていたように記憶している。大工さんのほとんどがしていた髪型だ。じいちゃんは大工で……、それも、建築大工ではなく、指物大工。いわゆる、内装関係をやる指物師だ。 したがって、自宅に細工場(サイクバ)があった。その細工場から、建具や、その部品、簡単な家具類が、次々に生み出されていった。じいちゃんが、僕を見つけて、手拭いで頭と顔を拭きながら、近づいて来た。「中学に行って、英語習っとるか?」「……うん」「じいちゃんも少しは知っとるぞ……」「えっ……?」 正直、信じられなかった……。じいちゃんは、明治の西南戦争の頃の生まれだし、……生粋の大工職人。カタカナ言葉など聞いたことも無かった。「ヒネルトージャーは、水道じゃ」「……」「フミャンガデールは、饅頭…………なっ」「……」「……そうか……、まだ習ってないか?」違う……。それは無い。『英語』じゃなく『落語』…………。 落語の洒落の世界の話だって事には、すぐ気付いた。大人達が良く言ってたから………。つまり『水道は、捻るとジャーっと水が出る。饅頭は、踏めばアンがでる。』っていう冗談の世界だ。「じいちゃん、誰に習ったの……?」「……ん、ああ、郵便局長さんよ。 局長さんは年だが物知りだ……」そういえば、ここのところ、じいちゃんは台所周りの仕事ってことで、局長さんの家に通っていた。きっと、局長さんが、冗談で言われたのを、じいちゃん、信用してしまったに違いない。当時、郵便局長、警察署長、校長先生、お坊さんと言えば、地域の皆から、尊敬の念を集めていた人達だ。 「じいちゃん……、あのね……今度、 局長さんに確かめた方が良いよ……」「なに!!間違っとるか?おかしいか?」「……うーん」「局長さんがウソを言うわけないがなぁ……」「うーん…、じいちゃん、ドイツ語かもしれん」「……ドイツ語……なぁ。よしよし、今度聞いてみよう……」局長さんを、全く信じきっているじいちゃんは、ニコニコ笑って、母屋の方に悠々と肩を振って戻っていった。はっきり、駄洒落だって……言えなかったよ。 ============================================================================◆◆ホームページランキング(暮らし・生活⇒ライフスタイル)に参加しています。 他にもステキなブログがありますよ。 一票お願いします。ランキング表を見に来て下さ~い◆◆クリックして~~ ( ^-^)
2008/11/12
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^-^◆ じいちゃんの思い出(2.太陽) <requestによりrevival連載> ある日の早朝…………。じいちゃんが……お日様を拝んでいました。正確に言うと「拝む」って意味を知らない年頃でしたから……、「???…………ん?」何をしているか分からなくって…………、フシギナ……ふしぎな光景だったんです。 じいちゃんは、職人でした。指物大工で家の内装物を作っていました。お日様が昇る頃……細工部屋から出てきて、……それから、やおら首に巻いた手拭いを取って、積んだマキの上に、ポーンと投げて………、昇ってきたばっかりのお日様を見上げます……。それから……パン、パーンと手を打ちます。ゴツゴツの手から、とても大きな音が出ます。それから……、両手を合わせたままで、何かブツブツと言ってから、……また、……ブツブツブツブツ言って、そして……又、パン、パーンと手を叩きます。それから……今度は深々と頭を下げます。……なかなか、頭を上げません……。しばらくして…………顔を上げたじいちゃんの顔は、さっきより、もっと、やさしい顔です。 (^。^) …………何歳くらいの時でしたかねぇ……。……ずいぶん幼い頃の思い出です。じいちゃんの、この儀式(?)は、早い時刻だから何回も見たわけじゃないと思いますが……、不思議に思う光景って子供にとっては、神秘的でもあるのです。雨の日も曇りの日も、東の方向を拝んでいました。たしか一度……、終わりの「パン!パーン!」の後に……、一緒に、横に行ってチョンチョンとしたら、じいちゃんが頭を下げたまま、背中をさすってくれました。温かい、手の感触でした。 今まさに、地球環境問題が取りざたされている昨今ですが、我々人類が今日のように在る事が出来る根幹は太陽になります。温度と光が得られなかったら、人類は発生したかどうか……。「太陽の恵み」などという言葉を聞く事がありますが、太陽は、人でも神でも無いので、ただ、物理的に存在し、その機能構造の故に、化学反応を繰り返し、結果として、地球に、光と温度が届いているにすぎないのですが…………、太陽があってこその…………地球。このことを、じいちゃん達は暗黙のうちに思い、感謝の気持ちを持っていたのでしょうか?……じいちゃんが、お日様(この表現も敬いですが……)を拝んでいたという事は、多分、そのお父さんも、また、そのお父さんも……拝んでいたんだと思います。この素朴な、ほんとうに素朴な行為に思いを馳せる時、地球環境の問題を起こしてしまった、近代の人種の、人間としての未熟さを感じて……なりません。じいちゃんの、行為の原点からもっと学ぶべきでした……。 ============================================================================◆◆ホームページランキング(暮らし・生活⇒ライフスタイル)に参加しています。 他にもステキなブログがありますよ。 一票お願いします。ランキング表を見に来て下さ~い◆◆クリックして~~ ( ^-^)
2008/11/11
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^-^◆ じいちゃんの思い出(1.祭り) <requestによりrevival連載> 小学2年生の頃(…だったと思う)宗像大社の秋の大祭に一緒に行こうとじいちゃんに言われた。「わぁ~~い」と喜んだのが運のつきで……断りにくくなった。……なんで、断るかといえば……。なんと!!家を出るのが朝5時という話……。ローカルバスが通っていない時代だから、当然歩いてお宮まで行くのだが、一時間以上は確実にかかる。学校は祭りで休みだった(地元の神社のお祭りで学校が休みなんて……良い時代だった(^。^)) いやだなぁ。……朝起きるの辛い……。なんで、そんなに早朝に行くかというと……、じいちゃんの目的が「流鏑馬」だからだ。子供にしてみれば、ソレが何なのか……、面白いのかどうか……何で、朝早いのか……、…………何も分からない。……でも……、結局、行く事になって……。眠い目をこすりながらじいちゃんに、ついて歩いた。 だいぶ歩いた所の川べりの三つ角に大きな木があって、その根っこの所に腰掛けて……朝ごはん。ばあちゃんが作ったにぎり飯とタクアン。……と、水筒のお茶。……おいしかった。……そんな思い出……。 お宮に着いてお参りして、流鏑馬の会場の方に歩いて行って、びっくり。ものすごい人だかりだ……。……?なんで…?人垣の途切れているところまで歩いて、じいちゃんと前の方に陣取った。馬が走ると聞いていたから、運動場のような場所を想像していたら直線の道だ。50mくらいかな……?砂利を敷き詰めた通路みたいな道。道の反対側は、ずっと池の端で見物人は、みんなこっち側から……。……しばらく待った。……だいぶ待った。ものすごく待った……そんな記憶……。…………と。 パカパン、パカパンというか、ダダダン、ダダダンっていうか、すごい地響きと共に馬が駆けてきた。……かっこいいーー。いっぱい飾りを着けた馬に、鎌倉時代のような衣装を着た人が乗って駆けてくる。二つ折りにしたような帽子をかぶって、赤いアゴ紐がとても目立つ。……すごい。両手を離して弓を持っていっぱいに引いて、駆けてくる。……すごい。……落ちそう。揺れてる……。目の前に迫ってきたとき、その足音とスピードに圧倒されて、とても、とても怖かった。バチッというような音がして、斜め前の池の方側に立ててあった竹の先に着けた板が割れた。黒い二重丸を書いた四角い板が、こんな形(◇)で立っていたが見事に二つに割れて飛んだ。馬に乗った人の矢が当たったのだ。……すごい。……めちゃくちゃすごい!!何がなんだか分からないうちに通り過ぎた。観衆の拍手の中を……。 じいちゃんが、身を乗り出して馬のうしろ姿を、追っているので一緒に見たら、馬に乗った侍みたいな人(確かに刀さしてた)は、背中から新しい矢を引き抜いて、また、弓を引き絞っている。向こうにも、また、的があるんだ。音は、歓声で聞こえなかったが、おそらく、バチッといって第二の的も飛んだ。……スゲー!!!眼が点になって、ぼーーとしたのを思い出す。振り向いたじいちゃんと目が合った。握っていた手をじいちゃんがブンブンと振った。ぼくも振った。なんか……ジーンとした思い出。この時の、お宮参りはこの事しか覚えていない。他にも、色々と見たり、何やかやと、買って貰ったりしたと思うが…………。何も、覚えていない。月日が流れて…………。現在、この神事は行なわれているんだろうか?とにかく、ヤブサメ……スゴカッタ……思い出。 ===========================================================================◆◆ホームページランキング(暮らし・生活⇒ライフスタイル)に参加しています。 他にもステキなブログがありますよ。 一票お願いします。ランキング表を見に来て下さ~い◆◆クリックして~~ ( ^-^)
2008/11/10
コメント(38)
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