愛 こ と ば・心 の 散 歩 路

愛 こ と ば・心 の 散 歩 路

2008/07/22
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「麻チャン……彼のこと、

 粗末にしてたか……?」

「全く……そんな事ないよ」

「……だろう……」

「ただ、共働きだし……

 いわゆる翔んでる夫婦だったから…………」

「人からは、彼を粗末にしているように見えたってことか……?

 ……たとえば、角井田さんなんかからは……」

「ウン……、そういうことかな……。

 ………彼ってねぇ、育児にも家事にも凄く協力的だったしね」

「彼女、近くで見てたんだ、……色々とな……。

 確か……麻チャンとは、正反対のタイプだよな……」

「昔風で……私とは全く、性格が反対だから……、

 彼女にしてみりゃ嫌だったんじゃないかな……?」

「……憧れの男性が……粗末にされてるってかい……?」

「耐えられなかったんだって……、言ってた……。

 ……でも、要らぬお世話よ……ねぇ……」

「お前たち夫婦は、お互いに納得ずくなのになぁ………」

「私もこんな仕事でしょ……。子育ても家事も、

 分担しなくちゃ……やってけなかったし……」

「噂じゃ、お前たちは『おしどり夫婦』って聞いてたぜ」

「そりゃー仲良かったよ。いつまでも、アツアツだった……」

「そういう仲の良い所も、角井田さんは見てるんだろう?」

「もちろんよ、……羨ましがる訳でもなく……淡々としてたわ」



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「……ウーン、彼女って………恐い気もするなぁ……( 一一)」

「あの二人が昔付き合ってたなんて……ホント嘘みたいだった」

「………だろうよ。…だから、プラトニックラブって………」

「イヤ!ただ……あれね……彼女が結婚しないのは……、

 ちょっと……ね」

「……気にはなってたか……?」

「ウン、恋人もいなかったし………結婚しないしね……」

「彼女、何て言ってた……?」

「……ウーン……独身主義みたいなこと……言ってたかな」

「そんなのが、み~んな計算ってわけか?……結局」

「……かなぁ……。わかんないよ……。

 10年以上だから……親戚みたいになっちゃって」

「………そんな娘だったか?元々……彼女」

「うーん…………。いつも、家に来るし……、

 近所の目もあるからさ……親戚の従姉妹って事にしてたよ」

「まさか、ダンナの昔の彼女って……言えないなぁ………」

「イヤ!まさか!ハハハハハハッ………ねぇ」

「しかし………お前も、相変わらずサッパリしてるなぁ………」

「娘も、オバチャン、オバチャンてなついてね………フゥ」

「何だな……そういう意味では、お前……、

 むしろ彼女を信じてたんだ……」

「私も忙しい時があって、彼女には随分助けて貰ったわ」

「仕事、大変だったらしいな………ピークもあるしなぁ」

「ウン、娘の運動会とか……行ってもらったことある……」

「……!ダンナも一緒にか……?」

「もちろん…………」

「いくら何でも、そりゃー、ヤバイのと違うか?

 ……油断大敵っていうぜ……」



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「結局、馬鹿をみたのは、私よね………」

「何とかならんのか……?

 ……ああ、再婚しちゃったか……ダメか……」

「結局……何にもなくて……。私の一人相撲だから、悲劇よね」

「ふぅ……。角井田さんの気持に早く気付くべきだったなぁ」


「今はもう、さっぱりして彼とも時々会うけどね。娘と……」

「そうか!……俺なんかの感覚からすりゃー、翔んでるよ」

「なんといっても……娘の父親だからね」

「子供に罪はないからな。気をつけてやれよ……被害者だ」

「俊さん………」

「うん?」

「人を信じるって………どういうことかねぇ…………」

「生活の積み重ねもなぁ、バカにはできないぞ……」

「そうかなぁ、………先天的な性格のような気がするのよ」

「……疑い深い、性格ってか……?」

「……というか、他人の言葉に振り回されるっていうか……」

「時間の積み重ねも、理解が深まるし……信じる力が増す」

「…………かなぁ……?」


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「もしかして、能力かもな…?…………信じきる能力……」

「能力ね………念力みたいな気もする。……彼女見てて……」


「信ずる者って書いて、儲けるって読むんだ」

「………ホント!……信ずるって、奥が深いね。あ~~あ」


「考えてみりゃー……、日本国民も今、この事を真に

 問われているのかもしれん………………」

「日本国民!!!! 何!!……急に……」

「おいおい、そんな素っ頓狂な声を出すなよ。

 お前らしくもない……」

「だって、俊さんが突然変な事言い出すから……」

「変な事じゃないよ。……大事な事さ。憲法九条だ……」

「……九条……?」

「ああ、あの精神は、日本国憲法前文に書いてある」

「それは、知ってるわよ。

 『……日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を

  支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、

  平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、

  われらの安全と生存を保持しようと決意した……』

 でしょっ……」

「うん、さすが法律屋だ。この精神は本当に崇高な理想なんだ」

「……」

「われわれは、真にそれに値する精神を持って、その上で、

 九条論議をしているのかな……」

「どういうこと……?」

「心底から『平和を愛する諸国民の公正と信義』に

 『信頼』しているか……ということよ」

「はっきり言って……してないよ。信頼なんか……。

 だって、ある国が日本を攻撃するかもしれない可能性を

 考えながらの……論議じゃない……」

「本当に、心の底から相手を信頼していれば、相手は決して、

 こちらを攻めることなどあり得ない……という、

 確信はあるのかな……?」

「……無いって……!!」



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「それじゃー、九条の云う精神は担保されていない、つまり、

 国としては、偽りだということになるじゃないか……?」

「そんなこともあって、改正しようって言ってる面も

 あるでしょう……?」

「世界の現実の情勢が、理想論では危険という事か……?」

「そうじゃないのかなぁ……」

「じゃー聞くが、九条を守るって言ってる人達は、どうなんだ?

 真に、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼する力を

 有しているのか……」

「どうでしょうね……。組の事務所を街から追い出す運動を

 している人達も、混じっているしね……」

「自分の、安全と生存を脅かすものに対しては敏感だよな」

「誰だって……そうでしょう」

「じゃーお前、日本国民の大半は、真に諸外国を信頼することの

 できるレベルでは無いという事じゃないか……」

「諸外国というか……、国際社会のレベルが、

 そこまで来ていないんだから仕方ないじゃない……」

「お前、さっきから一体何を話してきたんだ……。

 真に『信ずる』というのは、相手の問題じゃない……」



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「あっ、そうか………。信じるって……難しいね……」

「『信じていたのに裏切られた』……ていうのはおかしいんだ」

「せいぜい『こちらが想定した通りに相手がしなかった』

 程度のレベルであって、信じてなんかいなかったって事だね」

「『想定していたようにならないで戸惑ってるけど、

  あの人の事だから、きっと何かあるに違いない』

 と考えるのが……信じているというレベルだろう……」

「信じる……って、軽々しく使えないね……」

「うーん……俺も……再認識したよ……」

「もっと崇高にならなきゃね……私達が……」


「うん崇高に……な。よし、頑張ろう……。ハハハハッ……。

 麻チャン、時々は話しに来いよ…………な」

「ウン……話してみて、少し、すーとしたよ。

 アリガト……。

 やっぱ……幼馴染って……良いわ……(^。^)」

「よし、……じゃーな。

 そろそろお開きにするか。ハハハッ。

 ……今日……時間あるんだろう?」

「えっ?」

「この後よ……。焼き鳥……行くぞ……」

「へへへっ……、そのつもりで、寄ったの……」

「よし、分かった。少し、時間潰していてくれ。

 片づけてくるからな……」

「りょうかい、了解!

 ここで待ってる……。

 電話も幾つかしなきゃならないし……」


「それじゃ、………あとで」


       <完>

  【長きご愛読ありがとうございました(^。^)】






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Last updated  2008/07/26 10:49:50 AM
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