愛 こ と ば・心 の 散 歩 路

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2018/10/11
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カテゴリ: 和の心








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^-^◆ 忘れたくない「日本人が持っていた『恥の文化』」



知「うん、なるほど、なるほど……。
  世の親だって、子どもを見る目は似たようなもんだよ。
  どこどこ大学に入ってくれて、どこどこ大企業に就職して
  くれれば、もうそれだけでいいんだから…………なっ」

衆「まさにそうですね。
  以前、ある一流選手の賭博スキャンダルが露見しました。
  マスコミは驚きをもって伝えていましたが……、
  本当は、親しい周囲の人たちはある程度察知し、
  かなりの危惧を抱いていたと思います。
  わかっていながら止められなかっただけなのです。
  なぜなら、彼が人の喜ぶ結果を出し続けていたからです。
  だから、つい甘やかしてしまったのでしょう」

知「まさに、成果主義の怖さじゃないか……」

衆「スポーツでは『健全な肉体に健全な精神が宿る』
  と言われますが、これは反対で、
  『健全な精神に健全な肉体が宿る』と思います(^-^)」





知「ウン、正に言いえて妙だ。(^。^)」

衆「よく『緊張や束縛が取れ、締まりのない状態になる』
  ことを指して『たががはずれる』と言いますね」

知「うん、昔から言うなぁ……」

衆「ここで云う『たが』とは何かを日本人は忘れてしまった
  のかもしれません」

知「恥かしながら俺なんて最初から知らないよ…………(^-^;」

衆「たが(箍)」というのは、
  桶や樽の外側を締めている輪のことです。(^-^)」

知「あっ、そうそうそうそう……そうだったなぁ……」





衆「『たが』があるから形が整う。
  あの輪がなければ、桶も樽もあっという間にバラバラに
  なって、原形を留めることができません。
  バラバラになって初めて『たが』の大切さがわかるんです。
  今の日本も成果主義に惑(まど)わされずに、
  本来何が大切なのか『たが』を締め直す必要がありそうです」

知「うん、まさにそういうことだな……。
  日本古来の『恥の文化』の貴さも再認識しなければな……。
  日本人が持っていた「恥の文化」を忘れてはならない……」

衆「まさに、言われる通りです。
  『人に見られて恥ずかしいことはしない』というのが、
  日本人共通の美の意識でした」

知「ご先祖様に恥じることをしてはならない。
  人に後ろ指を指されるようなことはするな……親に、
  よく言われたもんだ……」

衆「考えてみれば、この『恥の文化』こそ、日本人にとっては
  最も大切な『たが』の役割を果たしていたのでしょうね。
  その恥に対する感覚がなくなってしまったことが、
  今日の状況につながっているのだと思います」

知「日本民族として、由々しき事じゃないか。
  どうしてそんな風になってしまったのかなぁ…………」

衆「なぜそうなったのか…………。
  それは、日本の教育の内容が変わってきたからだと
  考えられます」

知「やはり基本は教育という事かなぁ……」





衆「ええ、何時の世も教育は基本中の基本ですね。
  人間性を見るのではなく、人間の能力だけを見る。
  だから能力の分析や測定、数値化が過大視されていく。
  つまり、生徒を測るものが試験の点数に限られ、
  それをいかに上げるかが、優先されているんです」

知「うん、能力も確かに大切な要素だとは思うが、
  昔なら『修身』という授業の貴さや掃除の意義といった、
  分析・測定が不可能なものが大切にされていたよなぁ……」

衆「ええ、そうですね。
  今はこの大切なことが失われてしまい、
  さして重要視されていません。
  こうした現実が日本の教育を緩ませ、
  社会全体に微妙な影を落としていると私は思います。
  道徳を重視し、日本人のよき『恥の文化』の貴さを改めて、
  認識するべきじゃないでしょうか……ね」

知「うん、まさにその通りだと思うよ。
  学校がダメなら、家庭や、社会で本気で考えていかなければ
  大変なことになると思うなぁ。
  もう、大変なことが始まっているのかもしれんが……」

衆「色々と話してきましたが、私たちの役割もまだまだ、
  残っていそうですね…………(^。^)」


          <完>



  ------------参考文献:マネジメント誌『衆知』
        2016年9・10月号「鍵山衆三郎の幸福論」


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Last updated  2018/10/11 10:30:34 AM
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