あま野球日記@大学野球

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2012.04.07
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テーマ: 高校野球(3735)
カテゴリ: 高校野球

■朝日新聞(4月4日付)に「滝正男さん死去/中京商復活に貢献」という記事を見つけた。

中京商(現・中京大中京高)野球部の選手として甲子園で優勝した中京大名誉教授の滝正男さんが2日、心不全のため90歳で亡くなった。戦前の中京商で捕手として活躍し、1937年夏と38年春の甲子園で優勝。指導者として54年夏、56年春を制し、その後は中京大でも指導するなど、アマチュア野球の発展に尽力した。

ボクは 滝正男 さんという人を知らなかったので、さっそく調べてみた。すると滝さんは、プロ・アマの違いはあるけれど、 川上哲治 さんと共に野球復興の時代を歩んできた人であるように思えてきた。

1937年(昭和12年)夏、滝さんがいた中京商は甲子園で優勝を果たしたが、決勝の相手は熊本工高、エースは川上さんだった。これが滝さんと川上さんの最初の接点。

翌38年春、滝さんは中京商の正捕手として自身2度目の優勝を経験したが、川上さんは巨人に入団し打者としての才能を次第に開花させた。2人はプロ・アマそれぞれの世界で歩み始める。

そして戦後になり、滝さんは中京商を2度の全国優勝に導くなど、アマチュア球界で指導者として着実に地歩を固め、川上さんはプロ球界で「打撃の神様」という愛称を冠するまでに成長した。2人は戦後の野球復興期を支えてきた。

さらに56年、滝さんは中京商を率いて優勝し、川上さんは史上初の2千本安打を放った(5月31日、対中日)。川上さんの2千本目の安打を放った相手投手は、中京商が54年に優勝した時のエース~いわば滝さんの愛弟子の~ 中山俊丈 だったことから、ボクは余計に2人の関係性を感じてしまった。


■以下に、滝正男さんが選手、部長として優勝した甲子園決勝の戦績をまとめた。合わせて川上さんのことをはじめプロ野球の動向を付記した。

No 開催年 大会 結果 相手校
1
1937年(昭和12年) 夏・第23回 3-1 熊本工高
2
1938年(昭和13年) 春・第15回 1-0 東邦商高
3
1954年(昭和29年) 夏・第36回 3-0 静岡商高
4
1956年(昭和31年) 春・第28回 4-0 岐阜商高

No.1 対熊本工高

熊本工  000 000 001 =1
中京商  020 001 00X =3
(熊)川上-吉原、(中)野口二-松井

中京商のエースは 野口二郎 (後に法政大中退-東京セネターズほか)。初戦の竜山中戦で野口はノーヒットに抑えながらも1失点でノーヒットノーランを逃す。2回戦の慶應商工戦は野口が2安打に抑え、延長11回サヨナラ勝ち。準々決勝は長野商高を1安打完封、準決勝の海星中戦も2安打1失点。決勝は、熊本工打線を4安打に抑え4年ぶり4回目の優勝を飾った。今大会、野口の被安打数はたった9本だった。(滝さんの決勝時のポジションは不明)

※熊本工のエースは 川上哲治 、捕手は 吉原正喜 (いずれも後に巨人入団)。川上は決勝戦終了後、甲子園の土をユニフォームのポケットに入れ、母校のグラウンドに撒いた。甲子園の土を持ち帰った第1号という説もある。

[1937年のプロ野球]
9月11日に後楽園球場が開場した。日本職業野球連盟が結成されて2年目のこの年、選手権試合(現在の日本シリーズ)は春季リーグ戦優勝の巨人と、秋季優勝のタイガースが戦い、タイガースが4勝2敗で優勝した。

ちなみにタイガースの主な選手は 松木謙治郎 影浦将 ら。巨人に 沢村栄治 水原茂 中島治康 らがいた。



No.2 対東邦商高

東邦商  000 000 000 =0
中京商  000 000 10X =1
(東)久野-日比野、(中)野口二-滝

エースは 野口二郎 、捕手は 滝正男 。初戦の防府商を3安打完封、準々決勝の海草中はノーヒットノーラン。準決勝の海南中は2安打完封、決勝の東邦商も2安打完封した。

[1938年のプロ野球]
この年より南海が加わり9球団になった。選手権試合は前年同様にタイガースと巨人が戦い、タイガースが4連勝で優勝した。巨人は新入団の 川上哲治 吉原正喜 千葉茂 が活躍し、応召された沢村栄治の穴を ヴィクトル・スタルヒン が埋めたが、選手権優勝には届かなかった。



No.3 対静岡商高

中京商  000 000 210 =3
静岡商  000 000 000 =0
(中)中山兄-加藤克、(静)松浦、横山-滝

中京商の部長は 滝正男 。エース・ 中山俊丈 (後に中日)が水戸一高を2安打完封し、2回戦で松商学園に辛勝すると、準々決勝は三原高を1安打完封。準決勝の新宮高戦は2安打17奪三振。決勝戦も静岡商を1安打完封して戦後初優勝を果たした。

[1954年のプロ野球]
パ・リーグに高橋ユニオンズの新規加入が認められた。日本シリーズは中日(セ)と西鉄(パ)が戦い、中日が4勝3敗で優勝した。

中日・ 天知俊一 監督は3年ぶりに中日の監督に復帰したことと、高校野球で中京商が全国制覇を果たしたことから、名古屋の街は熱狂にあふれた。MVPは天知監督の愛弟子・ 杉下茂



No.4 対岐阜商高

岐阜商  000 000 000 =0
中京商  300 001 00X =4
(岐)清沢-丹羽、(中)安井-鈴木

滝正男 は中京商の部長。エースは 安井勝 、捕手は 鈴木孝雄 。初戦の大津東戦は延長戦を制して勝利。準々決勝の桐生高戦も9回に決勝点を入れて辛勝した。準決勝、決勝は安井投手が連続完封して優勝した。

[1956年のプロ野球]
5月31日、巨人・ 川上哲治 が日本プロ野球史上初の通算2千本安打を達成した。この記念すべき安打を放った相手投手は中日・ 中山俊丈 。2年前に中京商を優勝に導いた投手である。

日本シリーズはその川上のいる巨人(セ)と西鉄(パ)が戦った。 水原茂 監督と 三原脩 監督の対決は『巌流島の決闘』とも称された。結果は西鉄が4勝2敗で優勝、MVPは 豊田泰光 、最優秀投手はルーキーだった 稲尾和久 。 



(参考資料)
・wikipedia
・『高校野球 甲子園全出場校大事典』(森岡浩編、東京堂出版)
・『改訂新版 野球百年史』(大和球士著、時事通信社)
・『高校野球 忘れじのヒーロー』(ベースボールマガジン社)
・『あま野球日記@大学野球』



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Last updated  2012.04.08 02:26:42
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