音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2009年07月23日
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 もう四半世紀も前のこと。シンディ・ローパーが米音楽シーンに登場した時、あの派手ないでたちを見て「ゲテモノ」と思った人も多かったことだろう。「ハイスクールはダンステリア (Girls Just Want to Have Fun)」、「グーニーズはグッド・イナフ」などのあのイメージだ。しかもブレークした時には既に三十路(失礼!)。ピチピチギャル(死語?)が網タイツはいて元気に踊っているというわけでもなかったし…。

 さて、シンディの1983年のデビューアルバム『She’s So Unusual(シーズ・ソー・アンユージュアル)』からは、上述の「ハイスクールはダンステリア」のほか、「シー・バップ」、「マネー・チェンジズ・エブリシング」などヒット曲が連発された。しかし、最初に全米No. 1となったシングルが「タイム・アフター・タイム」だったことを忘れてはならない。ポップなノリのよさや、奇抜なファッション性、あの特異なキャラだけでは済まされない、情感たっぷりの極上バラードを歌っていたわけだ。彼女はメジャーデビューの時点で既にこれだけの名作を生み出す素養もしくは歌唱力を、実は十分備えていたのである。

 そうした中、1986年に発表されたセカンド・アルバムがこの『トゥルー・カラーズ』であった。手持ちの発売当時のCDの帯には「"トゥルー"に生きるすべての人を、シンディは応援します!」などという、臭いセリフが書かれている。けれど、この売り込み方は(当時は仕方なかったのだろうけれど)、今から見れば大間違いだった。20年以上経った今あらためて聴くと、このアルバムはこんな軽い表現では済まされないくらいの輝きがある。今から帯の文句を変えられるものなら、「これぞ80年代最高のスタンダード!」と書き直したいぐらいだ。

 ともあれ、当時はシンディ人気絶頂の真っただ中。女性ヴォーカリストとしてはマドンナとその人気を二分するほどだった。私の身の周りでは、「シンディかマドンナか」という選択肢が、まるで「ユーミン派と中島みゆき派」のごとく存在していた。そんな絶頂の最中、当然のようにこのアルバムからは、表題曲 「トゥルー・カラーズ」 「チェンジ・オブ・ハート」 といったシングルが大ヒットした。

 けれども、アルバム全体や上記のような大ヒットに至らなかった曲にも目を向けて欲しい。本作はまだまだ奥深いのだ。例えば、マーヴィン・ゲイで知られる名曲「ホワッツ・ゴーイン・オン」、ニューオリンズの音楽シーンで繰り返しカバーされてきた「アイコ・アイコ」といった名曲もあり、シンディはそれらを見事に歌いこなしている。単なる誰かのコピーではなく、自分の世界を豊かなヴォーカル力で表現しているところがすごい。シンディのヴォーカルを「七色の声」と評すことがあるが、本作はその評価に見事に合致している。

 そのようなわけで、『トゥルー・カラーズ』には、単なる80年代の流行りものという評価では済まされない何かがある。ポップ/ロックなノリからバラード、古典的名曲まで幅広く歌い上げた名盤。いまや定番の「極上のポップアルバム」と言っていいと思う。





1. Change Of Heart
2. Maybe He'll Know
3. Boy Blue
4. True Colors
5. Calm Inside The Storm
6. What's Goin' On
7. Iko Iko
8. The Faraway Nearby
9. 911
10. One Track Mind

1986年リリース



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Last updated  2012年05月26日 15時41分47秒
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